説明

靴の中敷

【課題】革靴を長時間履いて歩行すると、靴の内部は発汗により高湿度になるため非衛生的である。この発明は靴に装着し歩行したときに足の快適さを損なわずに靴の内部を換気することを課題とする。
【解決手段】この発明の靴の中敷は、先端部分に排気孔を持つ上敷が上側に位置し、下側に底板があり、中間に換気機構を有し、前記換気機構の後部は弾性体を内包する空気室であり、前部は先端部分に上向きの開口部を持つ排気室で、前記空気室と前記排気室は連通しており、連通を開閉する手段として連通開閉弁を設け、前記空気室の後方に吸気管があることを特徴とする靴の中敷である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、靴の中敷の換気機能に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、足の衛生のために抗菌防臭素材で作った靴の中敷があったが、革靴などの蒸れ易い靴で長時間歩いた場合発汗し高湿度になるが、高湿度に対しては効果がない。このため、中敷に換気機能を持たせる考案が出ており、中敷の踵部から空気を吸い込みつま先部から排気するアイデアもあるが、中敷の中に送気管や逆止弁を設けるため中敷が分厚くなり、足を入れる空間が狭まり非常に窮屈である。さらに足の裏は敏感で、中敷の中に送気管や逆支弁を設けると異物感があるので、歩行の快適さを損なう問題がある。また、空気の吸い込み口を中敷の踵部に設けた構造では、靴内部の空気を循環するだけで、外の新鮮な空気を取り入れないので換気にならないと言う問題がある。
【特許文献1】特開平7−289308号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
革靴を長時間履いて歩行すると、靴の内部は発汗により高湿度になるため非衛生的である。この発明は靴に装着し歩行したときに足の快適さを損なわずに靴の内部を外部の空気で換気することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この発明の靴の中敷は、先端部分に排気孔を持つ上敷が上側に位置し、下側に底板があり、中間に換気機構を有し、前記換気機構の後部は弾性体を内包する空気室であり、前部は先端部分に上向きの開口部を持つ排気室で、前記空気室と前記排気室は連通しており、連通を開閉する手段として連通開閉弁を設け、前記空気室の後方に吸気管があることを特徴とする靴の中敷である。
【発明の効果】
【0005】
本発明の靴の中敷を靴に入れ歩行すると、靴の外部の空気を吸入し、靴の内部に吹き出すので、靴内部を換気でき衛生的であり、土踏まずからつま先にかけて中敷を薄く作れるので窮屈でなく、足裏が当たる部分に送気管や逆支弁がないので異物感がないため快適に使用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
この発明の靴の中敷本体1は図1のように薄く、図2にあるように3層構造で、土踏まずから先は非常に薄く作れるので、靴に入れても足が窮屈にならない構造であることをあらわしている。この3層は上側に上敷2、中間に換気機構3、下側に底板4で構成する。
【0007】
図3は上敷2の上面図で、靴を履いたときに足指が当たる先端部に排気孔12を設けたことをあらわしている。
【0008】
図4は底板4の上面図をあらわしている。
【0009】
図5は換気機構3をあらわしている。換気機構3は2枚の例えば合成樹脂フィルムが重なり外周は閉じていて、足の踵に相当する部分を後部、足のつま先に相当する部分を前部とすると、後部に空気室5、前部に排気室6、空気室5と排気室6の中間に連通開閉弁7があり、各部が連通している。
【0010】
空気室5は後方に吸気管8があり、内部に弾性体9を有する空気ポンプである。
【0011】
排気室6は靴を履いたときに足指が当たる先端部分に上向きの開口部10を有している。
【0012】
連通開閉弁7は2枚の合成樹脂フィルムが重なり密着している。
【0013】
連通開閉弁7の役割を説明すると、密着した2枚の合成樹脂フィルムを真ん中から剥がそうとしても気圧により剥がすことは難しいが、端から剥がせば容易に剥がせる理屈を用いている。空気室5の気圧が外気より低いと空気室5は空気を吸い込もうとするが、連通開閉弁7の2枚の合成樹脂フィルムは密着するので、排気室6の空気が連通開閉弁7を通り抜けることは困難である。逆に空気室5の気圧が外気より高いと連通開閉弁7の2枚の合成樹脂フィルムの密着を剥がし、空気室5の空気は連通開閉弁7を通り抜けることができるので、連通開閉弁7は気圧の作用により開閉する弁になっている。
【0014】
図6は空気室5の中に弾性体9が置かれていることをあらわしている。
【0015】
本発明を使用するときは、図7のように靴の中敷本体1を靴に装着する。図8は歩行中に足が着地すると、排気孔12から空気が吹き出るところをあらわしており、図9は足が地面を離れたとき吸気弁11から空気を吸入するところをあらわしている。
【0016】
これを詳細に説明すると、空気室5は歩行の足を動力源とする空気ポンプで、弾性体9は歩行の足に踏まれ圧縮と復元を行い、それにともない空気室5は容積の縮小拡大を行い気圧が高低するので、踏まれて空気室5の気圧が高まると、空気は空気室5の後方にある吸気弁11からは出られず、吹き出る圧力となって連通開閉弁7の密着する2枚の合成樹脂フィルムを空気室5につながる部分から剥がし通り抜け、排気室6へ至り開口部10を経由して排気孔12から吹き出ることができる。
【0017】
逆に足が上がって空気室5の気圧が低くなったときは、連通開閉弁7の2枚の合成樹脂フィルムは気圧により強く密着されるので、空気が排気室6の側から連通開閉弁7を通り抜けて空気室5に入ることは難しいので、空気は吸気弁11から吸い込まれ容易に空気室5に入ることができる。
【0018】
このように連通開閉弁7は気圧の作用により開閉する弁になっているので、換気機構3に上敷2と底板4を取り付けるときは、空気室5と排気室6は上敷2と底板4に接着するが連通開閉弁7はどちらにも接着しない。
【0019】
弾性体9は空気室5に入れるので、空気室5に出来るだけ多くの空気を溜めたいため、高い空孔率を持つ連続気泡構造のスポンジが望ましく、かつ復元能力の高い剛弾性スポンジが材質的に最適である。
【0020】
上敷2は例えばフェルトの板で作り、排気孔12は例えば合繊網メッシュクロスにすれば使用時の感触を良くすることができる。底板4は例えば合成樹脂を用いた板で作る。
【0021】
図10は吸気弁11の上面透視図をあらわしている。吸気弁11は円形または楕円形の吸気口を有し、吸気口の内側に裏蓋13を設ける。裏蓋13は吸気口より大きい例えば合成樹脂フィルムで、裏蓋13の一部を吸気口脇に接着固定し開閉可能としたものである。図11は吸気弁の断面図で、裏蓋13が開き矢印のごとく空気を吸い込んでいることをあらわしている。
【0022】
このように、本発明の靴の中敷を装着して歩行すると靴の外部の空気を吸入し、足指付近から空気を吹き出すので靴の内部を換気でき、且つ中敷の中に送気管や逆支弁を使わないため、足に異物感を与えないので快適さを損なうことがない。
(図1、図2、図3、図4、図5、図6、図7、図8、図9、図10、図11参照)
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の斜視図
【図2】本発明の側面図
【図3】本発明の上敷の上面図
【図4】本発明底板の上面図
【図5】本発明の換気機構の上面図
【図6】本発明の換気機構の水平断面図
【図7】本発明の使用状態を示す斜視図
【図8】本発明の動作を示す斜視図
【図9】本発明の動作を示す斜視図
【図10】本発明吸気弁の上面透視図
【図11】本発明吸気弁の断面図
【符号の説明】
【0024】
1 靴の中敷本体
2 上敷
3 換気機構
4 底板
5 空気室
6 排気室
7 連通開閉弁
8 吸気管
9 弾性体
10 開口部
11 吸気弁
12 排気孔
13 裏蓋

【特許請求の範囲】
【請求項1】
この発明の靴の中敷は、先端部分に排気孔を持つ上敷が上側に位置し、下側に底板があり、中間に換気機構を有し、前記換気機構の後部は弾性体を内包する空気室であり、前部は先端部分に上向きの開口部を持つ排気室で、前記空気室と前記排気室は連通しており、連通を開閉する手段として連通開閉弁を設け、前記空気室の後方に吸気管があることを特徴とする靴の中敷である。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−195307(P2009−195307A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−37674(P2008−37674)
【出願日】平成20年2月19日(2008.2.19)
【出願人】(302063765)
【出願人】(508051964)
【Fターム(参考)】