説明

靴中敷

【課題】 1枚の片面段ボール紙を用いて足裏の土踏まず部分を適度に刺激させると共に外側を厚くしてO脚の矯正に対応できる靴中敷とする。
【解決手段】 Eフルートの片面段ボール紙で、左右一対の靴中敷1の内側を罫線4で連接し、両外側縁周の最膨らみ部分に小指第二関節付近から踵部に沿う任意の幅で中空部Aを有し罫線6で2重となる外縁部2を罫線5で連接し、左右靴中敷連接下面の共通部分に任意の幅の土踏まず部3を中心線上で分割して罫線7で連接して成形し、左右の外縁部2を罫線5、罫線6で左右の靴中敷上に折り返し後折り重ね、土踏まず部3も左右の靴中敷1の上に折り返し、左右の靴中敷1の段を表面にして折り返す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
片面段ボール紙を用いて、1枚のシートの成形で靴中敷の外周縁部分と土踏まず部分を厚くすることを可能にした使い捨てを前提とした靴中敷に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に段ボール紙とは、ライナーと呼ばれる2枚の紙の間に波型の段が入った構成で両面段ボール紙と呼ばれ波型のピッチと段数でA、B、Eフルートに大別され単独又はそれらの組み合わせで多種類あり、主に段ボール箱として各種のものがあらゆる産業に使用されている。片面段ボール紙は、この両面段ボール紙のライナー片側を取り除いたもので波型が表面となるが通常あまり目にすることは少ない。但し、波型の段は感触が良い、曲げやすい、デザインが面白い等の理由で、包装材、小箱、使い捨て靴中敷等に使用されている。特に、靴中敷は、Eフルートの片面段ボール紙を靴底の形に切り抜くだけでよく、足裏に爽やかな畳の上の感触を与え、更に、紙には吸水、吸臭、保温性等の特徴があり、他の化成品の靴中敷より安価にて提供できるが長期間の使用はできない。
【0003】
現在市販されている片面段ボール紙製の靴中敷では、アシート・コバシ株式会社が模様を印刷した特殊紙を使用して、1枚のEフルートの片面段ボール紙を左右の靴底型に切り抜き(デザインは図3参照)いつも清潔取り替えタイプ、波型成形でツボ刺激、特殊紙使用で悪臭カットの特徴を持たせた使い捨てタイプの靴中敷「アシート」が全国に流通している。
【0004】
上記の片面段ボール紙製靴中敷の特徴は使用者には一定の評価を得てはいるが、更に、人体のあらゆる部位のツボが集中している足裏を効果的に刺激することと、腰痛、骨盤の歪み、膝関節の痛み等の原因となるO脚対策用の靴中敷が求められている。
【0005】
本出願人は、先に、片面段ボール紙を用いて足の裏の土踏まず部分を効果的に刺激する靴中敷を提案している。この靴中敷は、Eフルートの片面段ボール紙を左右一対で中央内側を連接し、中間に存在する間在部を土踏まずの部分に盛り上げて利用する形状として、打ち抜き機で打ち抜き、波型を表面にして、左右の靴中敷で包み込み土踏まず部分を盛り上げたもので、左右一対で片側の靴中敷となり吸水性は2倍、耐久性は2倍以上となる。従って、1枚で成形された靴中敷より土踏まずの刺激で足の裏に爽快感があり血行もよくなるので、歩きながらの青竹踏み健康法が行える。(例えば特許文献1)
【0006】
又、O脚矯正用としての靴中敷は、外側を内側より次第に厚くする方法がとられており主に化成品を素材にした各種の靴中敷が市販又は提案されている。一例としては、靴中敷を上敷材と下敷材と上下の敷材間に挟みこむスペーサーで構成し、スペーサーを着脱自在とし、そのスペーサーの増減又は異厚みスペーサーとの交換による外側部の厚み調整を可能としたものがある。(例えば特許文献2)
【特許文献1】特開平7−136004
【特許文献2】特公開2000−254156
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記の問題点を解決しようとする課題は、1枚の片面段ボール紙の成形で、外側縁部分と土踏まず部分を厚くした靴中敷を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決する為に、本発明の請求項1に記載の靴中敷は、Eフルートの片面段ボール紙で、左右一対の靴中敷の内側を罫線で連接し、両外側縁周の最膨らみ部分に小指第二関節付近から踵部に沿う任意の幅で中空部を有し罫線で2重となる外縁部を罫線で連接し、左右靴中敷連接下面の共通部分に任意の幅の土踏まず部を中心線上で分割して罫線で連接して成形し、左右の外縁部を罫線で左右の靴中敷上におり返し後折り重ね、土踏まず部も左右の靴中敷上に折り返し、左右の靴中敷の段を表面にして折り返す。この一連の工程において左右の靴中敷の上に折り返す外縁部と土踏まず部、更に、左右の靴中敷同士も接着材にて仮止めをすれば商品価値が高まり靴内への挿入も容易となる。
【0009】
本請求項2の靴中敷は、請求項1に記載の靴中敷にあって、靴中敷の特定のサイズに対応する切り取り容易な切り取り線を踵の部分に設ける。
【0010】
本請求項3の靴中敷は、請求項1乃至2に記載の靴中敷にあって、片面段ボール紙の波型の段に、段を潰す圧潰線を段と交叉するように入れる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の靴中敷は、1枚の片面段ボール紙で、靴中敷の外側に厚みを有する外縁部分を設けることによりO脚に対応できるので、膝の関節ずれ予防、骨盤の開き予防、又、歩行時には踵から土踏まず、小指、親指への体重移動をリズムよく確実に受けるので地面をつかんで歩く未体験の感覚を足の裏全体で体得できる。従って、体重が外側に逃げることが無く常に腿から膝にかけ内側に意識がいくようになるので歩くことだけでO脚の矯正が自然に行える。又、靴中敷の土踏まず部分を厚くすることにより土踏まずを効果的に刺激するので血行が良くなり爽快感もあり、従来では得ることが出来なかった各種の健康面への効果が期待できる。
【0012】
従来の靴中敷は一定期間の使用が前提となっており、付加されている各種の機能も衛生面、健康面等それぞれ特徴を有してはいるが、次第に機能が低下していく傾向にあり価格も安価には設定されていない。
【0013】
本発明に使用するEフルートの片面段ボール紙は、段ボール製造工場において大量生産ができ、靴中敷の成形及び組み立ても機械にて連続して行える設計としている。又、紙であるので鋏で容易に加工ができるので、各自の足に合うよう工夫して使用が可能である。但し、耐久性は紙の為に長期間の使用はできないが、反面、使用状態により早めに交換すれば常に靴内を清潔に保つことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
片面段ボール紙で左右一対となる靴中敷の内側を一部連接し、両外側に小指第二関節付近から踵付近にかけ靴中敷の外周に沿い折り返して折り重ねが出来る外縁部分を形成し、更に、内側の連接部分下面の共通部分を左右の靴中敷土踏まず部に折り返して土踏まず部分を形成し、段を表面にして折り返す。
【0015】
靴中敷のサイズは、通常23cm〜27cmの範囲で0.5cm毎に設定されている。本発明は、中敷の外周に沿う外縁部を形成するので各サイズ別に製作することが望ましいが0.5cm分までサイズを増せば種類が多くなる。従って、0.5cm単位分は踵部分に切取り線を設けて共用する。
【実施例】
【0016】
以下、本発明の実施例を図面に其づいて説明する。本靴中敷に使用の片面段ボール紙は平面が裏で波型が表となる。又、片面段ボール紙は、30cm当りの段数と段高で通常A,B、Eフルートが製造されているが本靴中敷はEフルート(段数30cm当り90〜100、段高1.1〜1.3mm)を使用する。図1は、靴中敷1の踵部分にサイズ調整用の0.5cmの切り取り線7をミシン目を設けた裏面の平面図、図2は、本発明に係わる靴中敷の組み立て途中の斜視図である。片面段ボール紙用いて、内側の一部を罫線4で連接した左右一対の靴中敷1の両外側の外周に沿う外縁部2を罫線5で連接し靴中敷1の上に罫線5で折り返し罫線6で折り重ねる。次に、左右靴中敷連接下面の上下中心部分に任意の幅の土踏まず部3を中心線上で分割して罫線7で左右の靴中敷1の上に折り返し、左右の靴中敷1の段を表面にして折り返して半足の靴中敷とする。
【0017】
上記において、革靴、ハイヒール等、靴内に余裕が少ない場合には罫線4の連接部を切離してそれぞれを左右の靴中敷とすれば厚みが半分となり窮屈感が無く1足分として使用できるので経済的でもある。
【0018】
図1において、靴中敷のサイズをフリーサイズ、又はS,M,L等に分類すれば共用できるので便利ではある。本靴中敷は外縁部2の関係で各サイズを踵又は爪先部分での調整が難しいが踵部での0.5cmは調整の許容範囲内である。この場合には、外縁部2の下端も合わせて切取るほうがよい。又、大きいサイズを小さいサイズ流用する場合には全体のバランスを考慮して上、下を鋏で切り取って使用してもよい。
【0019】
図3は、片面段ボール紙の段9を平行にして成形し組立てた靴中敷表面の平面図である。この状態では使用時において段ボールのイメージが強く段9の潰れが目立ち平凡な感じを受ける。図4は片面段ボール紙に段9を潰す圧潰線10を交叉するように入れて成形し組立てたものである。圧潰線10を入れることにより段9が強化され履き心地及び耐久性も増す。図5は段9に圧潰線10入れたシートを斜めにして成形し組立てたものである。この形はデザイン的に優れたものとなるが成形時においてシートの歩留まりは悪くなる。尚、圧潰線の形成は、段ボールシートにあらかじめ成形ローラーで入れるのと、成形時に型により同時に行う方法がある。
【0020】
図6は、図5のA−A断面図である。靴中敷の外周部分には縁に沿って外周縁部2が挟み込まれているので外側が厚く内側は薄くなる。1枚のシートの厚みを1.3mmとすれば靴中敷の外側は1.3mm×6=7.8mmで内側は1.3mm×2=2.6mmとなる。図7は、図5の土踏まず部分のB−B断面図である。内側は土踏まず部3があるので1.3mm×4=5.2mmとなる。但し、歩行時に図6及び図7の空間は全体が足裏の圧力で密着し、段高も次第に圧縮されて当初の80%位の厚みとなる。
【0021】
上記において、足の裏の状態は各自違うので、それぞれに合った靴中敷が望ましい。本発明の靴中敷は片面段ボール紙を使用しているので鋏を使用すれば加工が容易に行えるので、足の裏の感触で不要な部分は取り除き、必要な部分は身近な板紙、段ボール等を使用すればオーダーメイドに近い靴中敷の使用が可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本発明は、Eフルートの片面段ボール紙を、複数の靴中敷き平面形状に切刃を埋め込んだ型を打ち抜き機にセットして連続生産が出来、組み立ても機械にて折り返しと折り重ねが自動的に行える形状なので安いコストで生産できる。
【0023】
靴中敷を使用する場合、使用者の足の裏は千差万別であり体形による足への負担、既往症等により自分に合った靴中敷を市販品より選定することはかなり困難であると言える。従って、本靴中敷きは、基本的には外側を厚くしてO足矯正用と土踏まず部分を刺激することであるが素材が片面版ボール紙の為に各自の状態により不要な部分を取り去る、逆に、手近にある紙を利用しての補強でマイ靴中敷の使用が可能となる。尚、耐久性については、段ボール紙の為に水分、湿度、強圧には弱いので各自の使用状態によって定期的に取替えを行うことが必要である。従って、定期的に取り替えることにより常に靴内が清潔に保てる利点があり,紙なので廃棄も問題ない。
【0024】
最近、健康維持の方法として手軽に行えるウォーキングが主流となっており特に中高年の人が多い。ウォーキング時に本靴中敷を使用すれば人体のあらゆる部位のツボがある足裏の効果的な刺激と血行促進により腰痛、膝関節痛、不整脈の予防となり、ダイエット効果も期待できる。更に、定期的な取替えで常に靴内が清潔に保てるので水虫、油足、悪臭の悩みも解消できるので老若男女に試用して欲しい。但し、段ボール製であるとのイメージを少なくする必要があり、解決策としては、コスト高にはなるが波型の段に模様入りの印刷紙、抗菌紙等の特殊紙を使用することが考えられる。
【0025】
21世紀の予防医学は運動不足の血行不良がテーマと言われているが、本靴中敷がスポーツ医学で実証されて多くの人に愛用されるならば今後年毎に増大する社会保障費の抑制におおいに貢献できるものと信じている。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】靴中敷の組み立て途中の斜視図である。
【図2】靴中敷の裏面の平面図である。
【図3】靴中敷の段を平行にして成形し組立てた平面図である。
【図4】靴中敷の段に圧潰線入れて成形し組立てた平面図である。
【図5】靴中敷の段に圧潰線を入れ斜めに成形し組立てた平面図である。
【図6】靴中敷図5のA−A断面図である。
【図7】靴中敷図5のB−B断面図である。
【符号の説明】
【0027】
1 靴中敷
2 外縁部
3 土踏まず部
4 罫線
5 罫線
6 罫線
7 罫線
8 切取線
9 段
10 圧潰線
A 中空部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
Eフルートの片面段ボール紙で、左右一対の靴中敷の内側を罫線で連接し、両外側縁周の最膨らみ部分に小指第二関節付近から踵部に沿う任意の幅で中空部を有し罫線で2重となる外縁部を罫線で連接し、左右靴中敷連接下面の共通部分に任意の幅の土踏まず部を中心線上で分割して罫線で連接して成形し、左右の外縁部を罫線で左右の靴中敷上に折り返し後折り重ね、土踏まず部も左右の靴中敷上に折り返し、左右の靴中敷の段を表面にして折り返したことを特徴とする靴中敷。
【請求項2】
靴中敷の特定のサイズに対応する切り取り容易な切り取り線を踵の部分に設けたことを特徴とする請求項1に記載の靴中敷。
【請求項3】
片面段ボール紙の波型の段に、段を潰す圧潰線を段と交叉するように入れたことを特徴とする請求項1乃至2に記載の靴中敷。


【図6】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−148636(P2010−148636A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−329402(P2008−329402)
【出願日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【出願人】(591256505)
【Fターム(参考)】