説明

駆動装置及び撮像装置並びに携帯端末

【課題】移動体を所望の速度に調整するに際し、簡易な構成で、簡単に調整できる低コストの駆動装置を得、該駆動装置を備えることにより光学系の移動速度の安定した撮像装置及び該撮像装置を備えた携帯端末を得る。
【解決手段】電圧の印加に基づいて変位する電気機械変換素子と、移動体を摺動可能に支持し電気機械変換素子に接合されて電気機械変換素子と共に変位する軸状部材と、電気機械変換素子に接続され電圧を印加する駆動回路と、を有し、電気機械変換素子の変位により、移動体を軸状部材に沿って移動させる駆動装置において、電気機械変換素子に、駆動回路の時定数を調整する可変抵抗を直列に接続した駆動装置とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電圧の印加により変位する電気機械変換素子を有する駆動装置、該駆動装置を有する撮像装置及び、該撮像装置を備えた携帯端末に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、電圧の印加に基づいて変位する電気機械変換素子に軸状部材を接着固定し、軸状部材に移動体を摩擦係合させ、電気機械変換素子の電極にパルス電圧を印加し、電気機械変換素子の伸長方向と収縮方向の加速度を異ならせることで、移動体を移動させる駆動装置が知られている。
【0003】
このような駆動装置において、電気機械変換素子である圧電素子に分極方向と同方向の電圧を印加して充放電する2つのスイッチ素子からなる第1の駆動手段と、分極方向と逆方向の電圧を印加して充放電する2つのスイッチ素子からなる第2の駆動手段と、第1の駆動手段と第2の駆動手段との駆動周期が一定になるように少なくとも一方の駆動手段による駆動時間を設定変更する設定変更手段と、第1の駆動手段と第2の駆動手段を交互に駆動する駆動制御手段と、を備えた駆動装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2001−103772号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような駆動装置は、圧電素子に印加される駆動電圧、電圧波形、圧電素子の変位、移動体の摩擦保持力、移動体質量等により動作性能が左右される。すなわち、駆動電圧、電圧波形が同じであっても、圧電素子の変位の個体差や摩擦保持力の個体差ばらつきにより、移動体の移動速度に個体差が生じてしまう問題がある。
【0005】
一方、上記のような駆動装置を携帯電話等の携帯端末に内蔵される小型の撮像装置の光学系の焦点調節や変倍の駆動に適用する場合、光学系が組み付けられた移動体の移動量は開ループで制御できることが好ましい。閉ループで移動量を制御する場合には、位置検出手段及び周辺回路を要することになり回路の複雑化・大型化及びコスト高を招くことになる。
【0006】
このため、開ループ制御で移動体の位置の制御をおこなえる駆動装置が要望され、移動体を、所望の速度で個体差なく移動させることができる駆動装置が要望されている。
【0007】
しかしながら、上記特許文献1に記載の駆動装置は、駆動手段の駆動時間を変更して移動体速度の調整を行うもので、駆動時間の変更には、パルス幅制御部等に電子部品が必要であり高コストとなると共に、調整工程での調整時間を要する問題があった。
【0008】
本発明は、上記問題に鑑み、移動体を所望の速度に調整するに際し、簡易な構成で、簡単に調整できる低コストの駆動装置を得、該駆動装置を備えることにより光学系の移動速度の安定した撮像装置及び該撮像装置を備えた携帯端末を得ることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題は、下記の構成により達成される。
【0010】
(1) 電圧の印加に基づいて変位する電気機械変換素子と、移動体を摺動可能に支持し前記電気機械変換素子に接合されて前記電気機械変換素子と共に変位する軸状部材と、前記電気機械変換素子に接続され電圧を印加する駆動回路と、を有し、前記電気機械変換素子の変位により、前記移動体を前記軸状部材に沿って移動させる駆動装置において、前記電気機械変換素子に、前記駆動回路の時定数を調整する可変抵抗を直列に接続したことを特徴とする駆動装置。
【0011】
(2) 前記可変抵抗は、少なくとも5〜20Ωの変更範囲を含むことを特徴とする(1)に記載の駆動装置。
【0012】
(3) 前記駆動装置は、前記電気機械変換素子と、前記駆動回路とが接続部材で接続され、前記可変抵抗は前記電気機械変換素子側に配置されていることを特徴とする(1)又は(2)に記載の駆動装置。
【0013】
(4) (1)から(3)までのいずれか一項に記載の駆動装置と、該駆動装置により移動させられる光学系と、被写体光を光電変換する撮像素子と、を有することを特徴とする撮像装置。
【0014】
(5) (4)に記載の撮像装置を備えたことを特徴とする携帯端末。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、移動体を所望の速度に調整するに際し、簡易な構成で、簡単に調整できる低コストの駆動装置が得られ、該駆動装置を備えることにより光学系の移動速度の安定した撮像装置及び該撮像装置を備えた携帯端末を得ることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、実施の形態により本発明を詳しく説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0017】
図1は、本実施の形態に係る駆動装置を用いた撮像装置の概略構成を示す模式図である。
【0018】
同図において、撮像装置10は、光学系Lと、光学系Lにより導かれた被写体光を光電変換する撮像素子Sを有しており、光学系Lを光軸O方向に移動させるための駆動装置12が設けられている。
【0019】
駆動装置12は、支持部材24に固定された電圧の印加に基づいて変位する電気機械変換素子である圧電部材26と、圧電部材26に接合された軸状部材28と、軸状部材28に摩擦係合し摺動可能に支持された移動体30を有している。更に、圧電部材26に接続され電圧を印加する駆動回路14を有している。制御部22は、駆動回路14を制御するものである。なお、撮像素子Sには、不図示であるが、駆動、制御及び画像信号の読み出し等を行う回路が接続されている。
【0020】
圧電部材26は、例えば、所要の厚さを有する複数枚の板状の圧電素子を、各圧電素子間に薄膜の電極を挟み込んで接着した積層型の圧電体で構成されたものである。この複数枚の圧電素子は、隣接する圧電素子の分極方向が互いに逆向きとなるよう積層されている。
【0021】
圧電部材26は積層方向の一方の端部で、不図示の固定部材に固定された支持部材24に接合され、他方の端部には軸状部材28が接合されており、軸状部材28は圧電部材26の伸縮により、共に変位するようになっている。
【0022】
図2は、本実施の形態に係る駆動装置の移動体30の構造の一例を示す断面図である。
【0023】
同図に示すように、移動体30は、軸状部材28の径よりやや大きい径に形成された穴部304が2箇所形成されており、軸状部材28は穴部304を遊嵌状態で貫通している。この移動体30に形成された両耳部302の間に配置された摩擦係合部材303が、板バネ305により、軸状部材28方向に所定の付勢力で付勢されることで、移動体30と軸状部材28は摩擦係合している。
【0024】
この摩擦係合により、軸状部材28が高速で変位(伸長又は縮小)するときは、移動体30は軸状部材28に対してずれが生じ、相対的に移動する。また、軸状部材28が低速で変位(伸長又は縮小)するときは、移動体30は軸状部材28との相対位置を維持する。これにより、軸状部材28に対し移動体30を所定の方向に移動させることができる。
【0025】
なお、本実施形態では、板バネ305を用いているが、これに限るものではなく、例えばコイルばねやゴム等の他の弾性部材を用いてもよい。
【0026】
図3は、本実施の形態に係る駆動装置の駆動回路14の構成の一例を示す図である。
【0027】
同図において、駆動回路14は、駆動電源PSから駆動電圧+Vpが供給される接続点aと接地される接続点bとの間に、MOS型FETであるスイッチ素子Q1からなる第1スイッチ回路141及びMOS型FETであるスイッチ素子Q2からなる第2スイッチ回路142の直列回路が接続されると共に、MOS型FETであるスイッチ素子Q3からなる第3スイッチ回路143及びMOS型FETであるスイッチ素子Q4からなる第4スイッチ回路144の直列回路が接続され、各スイッチ回路141乃至144に駆動制御信号を供給する制御信号供給手段としての駆動パルス発生回路145が接続されて構成されている。
【0028】
第1スイッチ回路141を構成するスイッチ素子Q1及び第2スイッチ回路142を構成するスイッチ素子Q2はPチャンネルFETであり、第3スイッチ回路143を構成するスイッチ素子Q3及び第4スイッチ回路144を構成するスイッチ素子Q4はNチャンネルFETである。
【0029】
なお、第1スイッチ回路141及び第3スイッチ回路143の接続点cと、第2スイッチ回路142及び第4スイッチ回路144の接続点dとの間に圧電部材26が接続(接続点cが圧電部材26の矢印Pで示す分極方向を基準にして+側の電極に接続され、接続点dが圧電部材26の−側の電極に接続される)されてブリッジ回路146が構成され、第2スイッチ回路142及び第4スイッチ回路144の各FETのゲートには駆動パルス発生回路145がそのまま接続され、第1スイッチ回路141及び第3スイッチ回路143の各FETのゲートには駆動パルス発生回路145が反転回路147を介して接続されている。
【0030】
この駆動回路14において、接続点a、b間に接続される駆動電圧の極性及び接続点c、d間に接続される圧電部材26の分極方向は任意に設定することができるが、例えば図3に示すように、接続点aを駆動電圧の正極とし、圧電部材26が矢印Pの方向に分極され、その+分極側が接続点cに接続(−分極側が接続点dに接続)されているとすると、第1スイッチ回路141及び第4スイッチ回路144は圧電部材26に対し分極方向と同方向(分極を強める方向)に駆動電圧+Vpを印加して端子間電圧Vsが+Vpとなるまで充電する第1の駆動回路を構成し、第2スイッチ回路142及び第3スイッチ回路143は圧電部材26に対し分極方向と逆方向に駆動電圧+Vpを印加して第1の駆動回路による充電電荷を放電し、かつ、端子間電圧Vsが−Vpとなるまで充電する第2の駆動回路を構成することになる。圧電部材26が第2の駆動回路により−Vpに充電されると、第1の駆動回路はその充電電荷を放電し、その後に+Vpに充電する。
【0031】
なお、圧電部材26を図3とは逆方向に接続すると、第2スイッチ回路142及び第3スイッチ回路143が圧電部材26を分極方向と同方向に充電する第1の駆動回路となり、第1スイッチ回路141及び第4スイッチ回路144が圧電部材26を分極方向と逆方向に充電する第2の駆動回路となる。
【0032】
更に、本実施の形態に係る駆動回路は、図3に示すように、圧電部材26に直列に駆動回路14の時定数を調整する可変抵抗VRが接続されている。
【0033】
図4は、図3に示す駆動回路の駆動パルス発生回路145の構成例を示すブロック図である。この図において、駆動パルス発生回路145は、例えば125nsのクロックパルスを出力する水晶発振子等の発振素子150と、発振素子150から出力されるパルス信号をカウントアップすると共に、そのカウント値を出力するカウンタ151と、駆動パルスの周期が記憶された第1メモリ152と、圧電部材26に対する充電時間が記憶された第2メモリ153と、を備えている。なお、カウンタ151は、後述する第1比較器155からリセット信号が入力されたとき、そのカウント値をゼロにリセットする。
【0034】
また、駆動パルス発生回路145は、更に、第1メモリ152のセット値(T)とカウンタ151から出力されるカウント値(T)とを比較すると共に、カウント値(T)がセット値(T)に達したとき(T≧T)にリセット信号をカウンタ151に出力する第1比較器155と、第2メモリ153のセット値(T)とカウンタ151から出力されたカウント値(T)とを比較すると共に、カウント値(T)がセット値(T)よりも小さいとき(T<T)にハイ信号“H”を出力する一方、カウント値(T)がセット値(T)に達したとき(T≧T)にロー信号“L”を出力する第2比較器156と、制御部22からの出力制御信号に基づいて動作するものであって、駆動パルス出力時に第2比較器156からの出力を駆動パルスとして出力し、駆動パルス出力停止時は駆動パルスをハイ状態に固定する出力制御回路157とを備えている。
【0035】
なお、本実施の形態においては、第1メモリ152のセット値(T)及び第2メモリ153のセット値(T)は予め実験等で決められ、記憶させてあるものであり、固定値である。
【0036】
図5は、駆動回路14による圧電部材26に印加される駆動電圧波形を示す図である。なお、同図は、可変抵抗VRが0Ωに設定されている場合の駆動電圧波形を模式的に示した図である。
【0037】
本実施の形態に係る駆動装置12の駆動回路14は、駆動時には駆動パルス発生回路145から出力された駆動パルスがそのままの状態で駆動制御信号としてスイッチ素子Q2、Q4に入力される一方、駆動パルス発生回路145から出力された駆動パルスが反転回路147を介することにより反転された状態で駆動制御信号としてスイッチ素子Q1、Q3に入力される。これによってスイッチ素子Q1、Q4及びスイッチ素子Q2、Q3が交互にオンになり、そのオン期間に圧電部材26に対して駆動電圧Vpが印加されることになる。
【0038】
移動体30を軸状部材28の先端側に移動させようとする場合(以下、この方向の駆動を「正方向駆動」という)は、図5(a)に示すように、+Vpとなす時間t1を短く、−Vpとなす時間t2を長くする。また、移動体30を支持部材24側に移動させようとする場合(以下、この方向の駆動を「逆方向駆動」という。)は、図5(b)に示すように、+Vpとなす時間t1を長く、−Vpとなす時間t2を短くする。
【0039】
なお、スイッチ素子Q1、Q2はPチャンネルFETであるので、駆動制御信号がローレベルのときにオンになり、スイッチ素子Q3、Q4はNチャンネルFETであるので、駆動制御信号がハイレベルのときにオンになる。
【0040】
なお、上述のように、第1メモリ152のセット値(T)及び第2メモリ153のセット値(T)は予め決められたものであるため、時間t1、t2は固定値である。
【0041】
上述のような駆動回路14において、可変抵抗VRを0Ωから変更した際の、圧電部材26に印加される駆動電圧波形と、移動体の速度について説明する。
【0042】
図6は、駆動回路14内の可変抵抗VRを0Ωから変更した際の、圧電部材26に印加される駆動電圧波形の変化を模式的に示す図である。なお同図は、図5(a)に示した正方向駆動の場合を例にとり示したものである。
【0043】
同図に示すように、可変抵抗VRの抵抗値を次第に大きくすると破線で示す0Ωの時の状態から、実線で示すように、立ち上がり波形及び立ち下がりの波形が鈍り、更に抵抗値を大きくすると立ち上がりの波形及び立ち下がりの波形がより大きく鈍った状態に変化する。
【0044】
すなわち、可変抵抗VRを、圧電部材26に直列に接続することにより、駆動回路14の時定数を調整する。
【0045】
図7は、駆動回路14の時定数を調整する可変抵抗VRの抵抗値と移動体速度を測定したグラフである。同図は、図3に示す駆動回路を用い、Vpを2.8V、接続点eに接続されたコンデンサCを10μF、接続点bとGNDの間に配置された抵抗Rを3.3Ωとし、可変抵抗VRの抵抗値を変更して正方向駆動した場合の2つの駆動装置の移動体速度の測定値を示している。
【0046】
同図に示すように、抵抗値の増加に伴い移動体速度が単調に減速するもの(図示D1で示す)と、0〜5Ω程度まで移動体速度が増速し、その後、減速するもの(図示D2で示す)とがあるが、いずれも5Ω以上では単調に減速する。
【0047】
すなわち、可変抵抗VRの抵抗値を変更することにより、圧電部材26に印加される駆動電圧波形を変化させ、圧電部材26の挙動を異ならせることで、移動体30(図1参照)の移動速度を変更することができる。換言すると、圧電部材26に直列に接続された可変抵抗VRの抵抗値を変更することで、所望の移動体速度に調定することができるということである。
【0048】
図8は、本実施の形態に係る駆動装置の駆動回路14における可変抵抗VRの配置の変形例を示す図である。図8に示す駆動装置は、図3に示した構成と異なる部分についてのみ説明する。
【0049】
図8に示す駆動回路14は、接続点bとGNDの間に可変抵抗VRを配置したものである。この場合も、可変抵抗VRは圧電部材26に直列に接続されている。
【0050】
また、その他の変形例として、コンデンサCの接続点eと接続点aの間に可変抵抗VRを配置してもよい。
【0051】
なお、可変抵抗VRの配置位置は、圧電部材26、移動体30及び軸状部材28で構成されたユニットと、駆動回路14とが接続点c、dでコネクタ等の接続部材で接続されて駆動装置が形成される場合には、図3に示す位置(圧電部材26側に配置)が好ましい。これは、圧電部材26、移動体30及び軸状部材28で構成されたユニットの個体差に対応して、移動体30が所望の速度となるように抵抗値が調定された状態で、一対とすることができ、互換性を持たせることができるからである。すなわち、圧電部材26、可変抵抗VR、移動体30及び軸状部材28で構成されたユニットを、別の等価の駆動回路に接続したとしても、移動速度は変化せず、再調整を不要とすることができる。
【0052】
図9は、本実施の形態に係る撮像装置10の一部を示す外観斜視図である。
【0053】
同図に示す撮像装置10の一部は、図1に示す圧電部材26、軸状部材28、移動体30、光学系L及び撮像素子Sとを筐体53が内包している。撮像素子S、圧電素子26、可変抵抗VRは、支持基板52aに接続されている。54はコネクタであり、フレキシブルプリント基板52bを介し、圧電部材26、可変抵抗VRと、不図示の駆動回路14とを図3に示す接続点c、dで接続するようになっている。更に、コネクタ54は、撮像素子Sと信号の授受をおこなう他の回路とも接続されるようになっている。
【0054】
このように構成することで、上述の移動体30が所望の速度となるように抵抗値が調定された状態を維持することができ、組み替え等で別の等価な駆動回路に接続したとしても、移動速度は変化せず、再調整を不要とできる。
【0055】
図10は、本実施の形態に係る撮像装置10を備えた携帯端末の一例である携帯電話機100の外観図である。
【0056】
同図に示す携帯電話機100は、表示画面D1及びD2を備えたケースとしての上筐体71と、入力部である操作ボタン60を備えた下筐体72とがヒンジ73を介して連結されている。撮像装置10は、上筐体71内の表示画面D2の下方に内蔵されており、撮像装置10が上筐体71の外表面側から光を取り込めるよう配置されている。
【0057】
なお、この撮像装置の位置は上筐体71内の表示画面D2の上方や側面に配置してもよい。また携帯電話機は折りたたみ式に限るものではないのは、勿論である。
【0058】
図11は、携帯電話機100の制御ブロックの一例を示す図である。
【0059】
同図に示すように、撮像装置10は、フレキシブルプリント基板52bを介し、携帯電話機100の制御部101と接続され、輝度信号や色差信号等の画像信号を制御部101へ出力する。
【0060】
一方、携帯電話機100は、各部を統括的に制御すると共に、各処理に応じたプログラムを実行する制御部(CPU)101と、番号等を指示入力するための入力部である操作ボタン60と、所定のデータ表示や撮像した画像を表示する表示画面D1、D2と、外部サーバとの間の各種情報通信を実現するための無線通信部80と、携帯電話機100のシステムプログラムや各種処理プログラム及び端末ID等の必要な諸データを記憶している記憶部(ROM)91と、制御部101により実行される各種処理プログラムやデータ、若しくは処理データ、撮像装置10による画像データ等を一時的に格納したり、作業領域として用いられる一時記憶部(RAM)92を備えている。
【0061】
また、撮像装置10から入力された画像信号は、携帯電話機100の制御部101により、不揮発性記憶部(フラッシュメモリ)93に記録されたり、或いは表示画面D1、D2に表示されたり、更には、無線通信部80を介し画像情報として外部へ送信されるようになっている。なお、不図示であるが携帯電話機100には、音声を入出力するマイク及びスピーカ等を有している。
【実施例】
【0062】
本実施の形態に係る駆動装置の駆動回路14の時定数を調整する可変抵抗VRの適切な範囲を求めるため以下の実験を行った。
【0063】
実験は、図3に示す駆動回路を用い、Vpを2.8V、接続点eに接続されたコンデンサCを10μF、接続点bとGNDの間に配置された抵抗Rを3.3Ωとし、可変抵抗VRの抵抗値を変更して正方向駆動した場合の14個の駆動装置の移動体速度の測定を行った。
【0064】
図12は、実験の測定結果をグラフにしたものである。
【0065】
この測定データによれば、可変抵抗VRの抵抗値が5〜20Ωの調整範囲を有していれば、測定に使用した駆動装置は、3.3〜4.5mm/sの範囲内では、所望の移動体速度に調定できることがわかる。
【0066】
また、抵抗値使用範囲を広げ20Ω以上の値まで調定に用いてもよいが、抵抗値が大きくなりすぎると、0Ωのときに比べ移動体の速度低下が大きく、消費する電力に対し、駆動効率が低下してしまう。また、0〜5Ωの領域を調定に用いてもよいが、速度変化量が小さいものもあって、判断しにくい場合がある。
【0067】
これらのことより、駆動回路14の時定数を調整する可変抵抗VRの抵抗値の調整可能範囲は少なくとも5〜20Ωの範囲を有していることが最も適切である。
【0068】
以上説明したように、圧電部材26に可変抵抗VRを直列に接続した構成とし、抵抗値を調整することにより、移動体を所望の速度に調整することができ、簡易な構成で、簡単に調整できる低コストの駆動装置を得ることが可能となった。更に、該駆動装置を備えることにより光学系の移動速度の安定した撮像装置及び該撮像装置を備えた携帯端末を得ることが可能となった。
【0069】
なお、本発明の駆動装置は、以上記載の構成に限定されるものではない。例えば、円盤状のセラミックタイプの圧電素子2枚を金属板を挟んで重ねて構成し、一方の圧電素子上の接着部に接着固定された軸状部材と、軸状部材の摩擦力により係合している移動体とで構成されるものであってもよい。すなわち本発明の駆動装置は、圧電素子に駆動電圧を与えることにより円盤状の圧電素子が凸凹に変位することで移動体を移動させる形式のものにおいても適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本実施の形態に係る駆動装置を用いた撮像装置の概略構成を示す模式図である。
【図2】本実施の形態に係る駆動装置の移動体の構造の一例を示す断面図である。
【図3】本実施の形態に係る駆動装置の駆動回路の構成の一例を示す図である。
【図4】図3に示す駆動回路の駆動パルス発生回路の構成例を示すブロック図である。
【図5】駆動回路による圧電部材に印加される駆動電圧波形を示す図である。
【図6】駆動回路内の可変抵抗を0Ωから変更した際の、圧電部材に印加される駆動電圧波形の変化を模式的に示す図である。
【図7】可変抵抗の抵抗値と移動体速度を測定したグラフである。
【図8】本実施の形態に係る駆動装置の駆動回路における可変抵抗の配置の変形例を示す図である。
【図9】本実施の形態に係る撮像装置の一部を示す外観斜視図である。
【図10】本実施の形態に係る撮像装置を備えた携帯端末の一例である携帯電話機の外観図である。
【図11】携帯電話機の制御ブロックの一例を示す図である。
【図12】実験の測定結果をグラフにしたものである。
【符号の説明】
【0071】
10 撮像装置
12 駆動装置
14 駆動回路
22 制御部
24 支持部材
26 圧電部材(電気機械変換素子)
28 軸状部材
30 移動体
100 携帯電話機
141 第1スイッチ回路
142 第2スイッチ回路
143 第3スイッチ回路
144 第4スイッチ回路
145 駆動パルス発生回路
146 ブリッジ回路
147 反転回路
C コンデンサ
L 光学系
、Q、Q、Q スイッチ素子
R 固定抵抗
S 撮像素子
PS 駆動電源
VR 可変抵抗

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電圧の印加に基づいて変位する電気機械変換素子と、移動体を摺動可能に支持し前記電気機械変換素子に接合されて前記電気機械変換素子と共に変位する軸状部材と、前記電気機械変換素子に接続され電圧を印加する駆動回路と、を有し、
前記電気機械変換素子の変位により、前記移動体を前記軸状部材に沿って移動させる駆動装置において、
前記電気機械変換素子に、前記駆動回路の時定数を調整する可変抵抗を直列に接続したことを特徴とする駆動装置。
【請求項2】
前記可変抵抗は、少なくとも5〜20Ωの変更範囲を含むことを特徴とする請求項1に記載の駆動装置。
【請求項3】
前記駆動装置は、前記電気機械変換素子と、前記駆動回路とが接続部材で接続され、前記可変抵抗は前記電気機械変換素子側に配置されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の駆動装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の駆動装置と、該駆動装置により移動させられる光学系と、被写体光を光電変換する撮像素子と、を有することを特徴とする撮像装置。
【請求項5】
請求項4に記載の撮像装置を備えたことを特徴とする携帯端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−124592(P2010−124592A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−295412(P2008−295412)
【出願日】平成20年11月19日(2008.11.19)
【出願人】(303000408)コニカミノルタオプト株式会社 (3,255)
【Fターム(参考)】