説明

魚の捕獲・運搬方法およびそれに用いる運搬用浮体

【課題】捕獲した魚にできるだけ負担を与えないで、かつ、効率良く魚を養殖地などの目的地に運搬する方法およびこの方法に用いられる運搬用浮体を提供すること。
【解決手段】魚の捕獲・運搬方法は、魚を捕獲する工程と、捕獲した魚を水中に保持したままで、浮体(バージ)100の船倉部に設けた貯水槽22の壁部に設けられた開口部30から該魚を該貯水槽22内に移動させる工程と、前記貯水槽22内の魚を前記浮体100ごと目的地まで運搬する工程とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、魚の捕獲・運搬方法およびそれに用いる運搬用浮体に関する。本発明は、例えば、小型の天然魚を捕獲して、養殖により成長させてから販売する養殖方法における、養殖用天然魚の捕獲・運搬方法およびそれに用いる運搬用浮体に関する。
【背景技術】
【0002】
養殖には、親魚−産卵−孵化−成育の全サイクルを管理下で行う場合と、卵、稚仔魚、あるいは小型の魚を天然から捕獲してきて、それを育てる場合がある。天然から捕獲してくる場合、その後の成長を確実なものにするためには、卵や魚に負荷をかけず、傷つけたりすることがないように最善の注意が払われる。
【0003】
例えば、マグロの場合、卵からの全サイクルの養殖も可能になってきているが、多くは天然の小型のマグロを捕獲してきて、養殖生簀で生育させ販売するというタイプの養殖が多く行われている。天然からの捕獲は一本釣りや、まき網漁などの方法がとられている。小さい魚は一本釣りもされるが、大きな魚では魚に傷がつくのでまき網による方法が選択される。
【0004】
まき網で捕獲した魚は、曳航生簀内に移され、生簀ごと船で養殖地まで曳航される。この場合、もとより水の抵抗が大きいうえに、一定の速度より速くすると魚に対する圧力も大きくなるため好ましくなく、非常にゆっくりした曳航スピードで運搬されている。この曳航スピードを高くするための工夫として、特開平5−301594号公報に記載されたものがある。生簀の周辺を船の形状に近づけるものである。しかし、あくまでも、魚を貯蔵する貯水部分は外海に通じており、曳航生簀の範疇の工夫である。
【0005】
バージ(barge)は艀とも呼ばれ、河川や運河などの内陸水路や港湾内で重い貨物を積んで航行するために作られている平底の船舶である。バージは、通常エンジンを積んでいないため自力で航行することはできず、引き船(タグボート)に牽引されたり、トウボートに押されたりしながら航行する。従来、艀は港湾において、沖合に停泊した貨物船からおろされる荷物を川沿いの工場・倉庫へ運送するために活躍したが、現在でも、トラックやトレーラーでは運べない重い貨物を運ぶために、河川や港湾で使用されている。
【0006】
バージは目的によってさまざまな形状、機能を付加したものが製造されているが、基本的には、前部浮体、後部浮体、左右浮体などを必要に応じて組み合わせた浮体に函体が接続されている。浮体と函体の形状により船倉の形状が決定される。土砂などを運搬するものは、上面が全開になっている。液状物を運搬するものではタンク状になったものもある。このようなタンクバージとしては、例えば特開平7−10080号公報に記載されたものがある。
【0007】
また、曳航生簀で運搬する代わりに、活魚船のような船の中の水槽に魚を入れて運搬することも考えられるが、船の中は比較的狭い区画に区切られているため、石油タンカーのような大型の活魚船でもない限り、マグロのような速い速度で遊泳する魚に負担を与えずにこれを収納することは無理がある。また、養殖用魚の運搬のように一時的に用いる目的のために、石油タンカーのような大型の船を製造することはとてもコストがあわないものであった。
【特許文献1】特開平5−301594号公報
【特許文献2】特開平7−10080号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、捕獲した魚にできるだけ負担を与えないで、かつ、効率良く魚を養殖地などの目的地に運搬する方法およびこの方法に用いられる運搬用浮体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明にかかる魚の捕獲・運搬方法は、
魚を捕獲する工程と、
捕獲した魚を水中に保持したままで、浮体の船倉部に設けた貯水槽の壁部に設けられた開口部から該魚を該貯水槽内に移動させる工程と、
前記貯水槽内の魚を前記浮体ごと目的地まで運搬する工程と、
を含む。
【0010】
本発明の魚の捕獲・運搬方法において、前記魚を捕獲する工程は、まき網船による捕獲であることができる。
【0011】
本発明の魚の捕獲・運搬方法において、前記魚を捕獲する工程は、生簀内の養殖魚の捕獲であることができる。
【0012】
本発明の魚の捕獲・運搬方法において、前記魚を前記貯水槽内に移動させる工程は、前記捕獲に用いた網の開口部分を前記貯水槽の前記開口部に合わせ、該網を絞っていくことによって行われることができる。
【0013】
本発明の魚の捕獲・運搬方法において、前記目的地は、前記魚の養殖地であることができる。
【0014】
本発明の魚の捕獲・運搬方法において、前記魚は回遊魚であることができる。
【0015】
本発明の魚の捕獲・運搬方法において、前記魚は、マグロ、ブリ、カンパチ、ヒラマサ、カツオ、マダイ、フグ、またはサケであることができる。
【0016】
本発明の魚の捕獲・運搬方法において、前記魚は、体重が0.2〜5kgのサイズであることができる。
【0017】
本発明の魚の捕獲・運搬方法において、前記浮体はバージであることができる。
【0018】
本発明にかかる魚の運搬用浮体は、浮体の船倉部を貯水槽とした。
【0019】
本発明の魚の運搬用浮体において、前記船倉部の壁部に設けられ、前記貯水槽と外海とを連通する開口部と、前記開口部を開閉する扉部と、を有することができる。
【0020】
本発明の魚の運搬用浮体において、前記貯水槽の壁面に魚の衝突防止用設備を有することができる。
【0021】
本発明の魚の運搬用浮体において、前記衝突防止用設備は、前記貯水槽の壁部に沿ってエアバブルが上昇するように設けられたエアカーテンであることができる。
【0022】
本発明の魚の運搬用浮体において、前記貯水槽の上部を、対向する舷側部から対称的に塞ぐ蓋部を有することができる。
【0023】
本発明の魚の運搬用浮体において、前記蓋部は、前記貯水槽の上部を65〜100%の面積比で覆うことができる。
【0024】
本発明の魚の運搬用浮体において、前記貯水槽の上部において、少なくとも船首尾方向に沿って上下方向に設けられた、該貯水槽内の水面の遊動を制御するための抑制部を有することができる。
【0025】
本発明の魚の運搬用浮体において、前記貯水槽には、船首尾方向に移動可能な仕切部を有することができる。
【0026】
本発明の魚の運搬用浮体において、前記浮体はバージであることができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明の魚の捕獲・運搬方法によれば、従来の曳航生簀のように貯水部が外海と遮断されているので、天然から捕獲した魚でも、魚に負担をかけず、かつ、短時間で養殖地などの目的地へ運搬することが可能になる。また、本発明の運搬用浮体によれば、捕獲した魚に負担をかけることなくそのまま遠距離運搬することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、図面を参照しながら本発明の一実施形態について詳細に説明する。
【0029】
本発明において、浮体は、本発明の用途に使用できる機能を有していればよく、「船」、「バージ」と称呼されているものを含む。本発明の浮体としてはバージが好適である。以下の実施形態では、浮体として運搬用バージを用いた例について述べる。
【0030】
1.運搬用バージ
まず、本実施形態にかかる運搬用バージについて説明する。
【0031】
図1は、本実施形態にかかる運搬用バージ100を模式的に示す平面図である。図2は、図1に示す運搬用バージ100の側面図である。図3は、図1に示すA−A線に沿った断面図であり、図4は、図1に示すB−B線に沿った断面図である。
【0032】
本実施形態において運搬用バージ(以下、単に「バージ」ともいう)100は、艀とも呼ばれる、河川や運河などの内陸水路や港湾内で重い貨物を積んで航行するために作られている平底の船舶である。図示の例のバージ100は、エンジンを積んでいないため自力で航行することはできず、トウボートに押されて航行するタイプのものである。 バージ100は、バージ本体10と、バージ本体10の船倉部からなる貯水槽22とを有する。バージ本体10は、船首部12と、船尾部14と、右側の第1舷側部16と、左側の第2舷側部18と、船底部20とを有し、これらを構成する壁部によって囲まれる船倉部を貯水槽22としている。船尾部14には、トウボート(図示せず)の先端が収容される収容部15が設けられている。バージ本体10内には、図示しないバラストタンクを有することができる。そして、バラストタンクで水量の調整を行うことにより、バージ本体10の前後方向および両舷方向の傾斜や全体の沈降および浮上を制御できる。
【0033】
本実施形態では、バージ100は、魚の活け込みを行う手段として、開口部30と、追い込み用の複数の仕切部50,52を有する。
【0034】
開口部30は、第1舷側部16に設けられ、貯水槽22と連通している。また、第1舷側部16には、開口部30を開閉するための扉部32が設けられている。本実施形態では、扉部32は、図2に示すように、第1舷側部16上に設けられたウインチ装置34によって上下方向に移動可能に形成されている。
【0035】
開口部30は、網で捕獲された魚を該網の開口部分(図示せず)とあわせることができる大きさを有していればよい。図示の例では、開口部30は、バージ本体10に1つ設けられているが、第1および第2舷側部16,18にそれぞれ設けられていてもよい。また、第1舷側部16には、開口部30と網の開口部分とを固定するための手段を有することができる。
【0036】
また、貯水槽22には、船首尾方向に移動可能な2枚の第1仕切部50および第2仕切部52を有する。仕切部50,52は、船首部12に設けられた第1ウインチ装置54および船尾部14に設けられた第2ウインチ装置56によって、それぞれ水中で浮かんだ状態で独立して移動できる。仕切部50,52は、貯水槽22から魚を船外に取り出すときに、貯水槽22の両側から開口部30に向けて移動させることにより魚を開口部30付近に集めることができ、開口部30から船外の目的地に移動させることが容易となる。
【0037】
本実施形態では、船体のローリングを抑制する手段として、蓋部40,抑制部42,44を有する。
【0038】
図3および図4に分かりやすく示すように、貯水槽22の上部は、蓋部40によって部分的に覆われている。本実施形態では、蓋部40は、第1舷側部16および第2舷側部18から対称的に水平方向に延設された第1蓋板40aと第2蓋板40bとを有することができる。蓋部40は、貯水槽22の上部を65〜100%の面積比で覆うことができる。図示の例の場合、蓋部40は、第1蓋板40aと第2蓋板40bとを間隔をおいて配置しているので、両者の面積の合計が占める割合が上記範囲にある。蓋部40は、貯水槽22の上部を全体に覆っていてもよい。この場合には、蓋部40の一部を例えばスライド可能に形成し、開口部が形成されるようにしてもよい。
【0039】
蓋部40の占める面積比が上記範囲にあることで、貯水槽22の水面において遊動水の発生が抑制され、バージ100のローリングが抑制される。バージ100の貯水槽22は、大面積かつ大容量を確保できるので、マグロなどの回遊魚にとっては好適であるが、バージ100が浮沈式の活魚運搬船に比べて大型で、しかも貯水槽22内に区画を有さないことから、船体のローリングを抑制することは安全運航を行う上で重要である。
【0040】
図示の例の場合、蓋部40は、第1蓋板40aと第2蓋板40bとを間隔をおいて配置しているので、両者の間には隙間46がある。この隙間46を介して貯水槽22内を観察することができ、また、隙間46を介して作業、例えば貯水槽22内の死んだ魚を除去する作業などを行うことができる。
【0041】
さらに、貯水槽22の上部において、船首尾方向に沿って蓋部40より下方に突出する複数の第1抑制部42を有する。また、船首尾方向に直交する方向(船体の幅方向)に沿って、蓋部40より下方に突出する複数の第2抑制部44を有する。第1、第2抑制部42,44は、いずれも貯水槽22内の水面に発生する遊動水を制御することができ、バージ100の安全運航に寄与することができる。
【0042】
本実施形態では、活魚、特にマグロなどの回遊魚の斃死を防止する手段として、以下の構成をとることができる。
【0043】
第1に、貯水槽22の壁面に魚の衝突防止用設備を有することができる。このような衝突防止用設備のひとつとして、エアカーテンを採用できる。エアカーテンは、図2に示すように、貯水槽22の船底部20上に設けられたエアカーテン用パイプ72を介して貯水槽22壁部に沿ってエアバブルを供給することで形成される。エアカーテン用パイプ72には、例えばエアを出すための穴が所定間隔で形成されている。エアには酸素を混合して用いることができる。エアカーテンにより水の溶存酸素を多くすることができ、酸素消費量が多い、回遊魚の斃死を防止できる。また、エアカーテンによって、魚がバージ本体10の壁面に衝突して傷ついたりすることが防止され、この点からも魚の斃死を低減できる。
【0044】
本実施形態では、上述したエアカーテンに加えて、あるいはこれに代えて、貯水槽22の壁面に弾性素材のシートを設けてもよい。あるいは、魚が壁面を認識しやすいように、貯水槽22の壁面に色彩を施してもよい。
【0045】
第2に、本実施形態では、独立した複数、例えば2系統の潅水ライン(図示せず)を設けることができる。複数の潅水ラインを設けることで、貯水槽22内の水の循環を充分に行うことができ、魚、特に回遊魚の斃死を防止できる。
【0046】
本実施形態では、バージ100のサイズは特に限定されず、種々のサイズのものを選択できる。例えば、バージ100としては、大きいものでは全長100m、幅20m、深さ7m、喫水5m、載荷重量6000t、載荷容量3500mほどのものを用いることができ、マグロなど遊泳速度の速い回遊魚を運搬するにも十分な大きさがある。運搬する魚の数量やサイズによってバージの大きさを選択すればよい。
【0047】
本実施形態にかかるバージ100によれば、以下の特徴を有する。
【0048】
第1に、バージ100は、従来の浮沈式の活魚運搬用生簀や活魚運搬用船に比べて格段に大容量の遊泳空間を確保できる貯水槽22を有するので、例えばマグロなどの高速で遊泳する回遊魚を傷つけることなく安全に運搬することが可能となった。また、バージ100は浮沈式のため、水中での魚の取り入れや取り出しが容易となる。
【0049】
第2に、貯水槽22の壁面(舷側部)に開口部30を設けることにより、網により捕獲した魚を水中に保持したままで開口部30から貯水槽22に移動させることができる。そのため、魚に負担をかけず、バージ100に活け込むことができる。また、貯水槽22内に移動可能な2枚の仕切部50,52を有することにより、魚に負担をかけず、開口部30から外部の目的地、例えば養殖地に魚を容易に活け込むことができる。
【0050】
第3に、貯水槽22の上部に蓋部40および抑制部42,44を有するため、貯水槽22内で遊動水の発生が抑制され、船体のローリングが防止される。そのため、甲板が喫水に対してさほど高くないバージであっても、安全に運航することができる。
【0051】
第4に、エアカーテンなどの衝突防止用設備を備えているので、遊泳速度の速い回遊魚などであっても魚が壁面に衝突して傷つくことが防止され、また充分な溶存酸素を保持できるので、魚の斃死を少なくできる。また、複数の潅水ラインを有するので、大容量の貯水槽22であっても魚の負担を少なくでき、この点でも魚の斃死を低減できる。
【0052】
2.魚の捕獲・運搬方法
次に、上述したバージ100のような本発明にかかる運搬用バージを用いた魚の捕獲・運搬方法について説明する。運搬用バージの説明においては、便宜上、図1〜図4に示したバージ100を引用する。
【0053】
本実施形態にかかる魚の捕獲・運搬方法は、(a)魚を捕獲する工程と、(b)捕獲した魚を水中に保持したままで、バージの船倉部に設けた貯水槽の壁部に設けられた開口部から該魚を該貯水槽内に移動させる工程と、(c)前記貯水槽内の魚を前記バージごと目的地まで運搬する工程と、を有する。
【0054】
工程(a)において、魚を捕獲する方法としては、代表的には、まき網船による捕獲を用いることができる。捕獲される魚としては、マグロ、ブリ、カンパチ、ヒラマサ、カツオ、マダイ、フグ、またはサケなどの回遊魚を挙げることができる。これらの魚は、養殖用稚魚として用いられる場合には、体重が0.2〜5kgのサイズであるものが好ましい。
【0055】
あるいは、工程(a)として、生簀内の養殖魚を網などで集めて捕獲することもできる。
【0056】
工程(b)において、魚をバージ100の貯水槽22内に移動させるには、図示しない魚網の開口部分を貯水槽22の開口部30に合わせて固定し、魚網を絞っていくことによって魚を開口部30から貯水槽22に移動させることができる。このとき、バージ100を漁船に近づけて、上術した方法で魚を水中で直接バージ100の貯水槽22に活け込むことができるので、魚に負担をかけずに、かつ容易に移動させることができる。
【0057】
工程(c)において、バージ100の貯水槽22内の魚をバージ100ごと目的地まで運搬することができる。バージ100によれば、既述したように、大容量の貯水槽22内に安全に魚を収容できるので、効率の良い運搬が可能となる。本実施形態は、特に回遊魚の養殖用の天然魚の捕獲・運搬方法に好適である。この場合、運搬先(目的地)は、魚の養殖地である。
【0058】
また、工程(c)では、運搬手段として、押船(トウボート)を用いることができる。この場合、バージ100の船尾部14に設けられた収容部15にトウボートの先端をいれ、トウボートを駆動することでバージ100を移動させることができる。トウボートを用いたバージ100の運航では、高速安定性がよく、かつ、魚の活け込み時の離接舷の安全性が高い利点がある。もちろん、バージ100の運航は、トウボートに限定されず、引き船(タグボート)による牽引、あるいはエンジンを一体にしたタイプのバージでもよい。
本実施形態にかかる魚の捕獲・運搬方法によれば、以下の特徴を有する。
捕獲した魚を水中に保持したままで、貯水槽22の開口部30から魚を貯水槽22内に移動させ、さらに、貯水槽22内の魚をバージ100ごと目的地まで運搬することができるので、例えば天然から捕獲した魚でも、魚に負担をかけず、かつ、短時間で大量の魚を養殖地などの目的地へ運搬することができる。
【0059】
以上、本発明の一実施形態にかかる運搬用バージおよびそれを用いた魚の捕獲・運搬方法について述べたが、本発明はこれらに限定されない。例えば、本発明にかかる運搬用バージは、十分な広さと容積を有する貯水槽を設けることができるバージであればその構造は特に限定されない。また、本発明は、バージに限定されず、上述したバージと同様の機能を有すればよく、船などにも適用できる。
【0060】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。たとえば、本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(たとえば、機能、方法および結果が同一の構成、あるいは目的および効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成または同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本実施形態にかかる運搬用バージを模式的に示した平面図である。
【図2】図1に示す運搬用バージの側面図である。
【図3】図1に示す運搬用バージのA−A線に沿った断面図である。
【図4】図1に示す運搬用バージのB−B線に沿った断面図である。
【符号の説明】
【0062】
10・・・バージ本体、12・・・船首部、14・・・船尾部、16,18・・・舷側部、
20・・・舷底部、22・・・貯水槽、30・・・開口部、32・・・扉部、
40・・・蓋部、42,44・・・抑制部、50,52・・・仕切部、100・・・バージ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
魚を捕獲する工程と、
捕獲した魚を水中に保持したままで、浮体の船倉部に設けた貯水槽の壁部に設けられた開口部から該魚を該貯水槽内に移動させる工程と、
前記貯水槽内の魚を前記浮体ごと目的地まで運搬する工程と、
を含む、魚の捕獲・運搬方法。
【請求項2】
請求項1において、
前記魚を捕獲する工程が、まき網船による天然魚の捕獲である、魚の捕獲・運搬方法。
【請求項3】
請求項1において、
前記魚を捕獲する工程が、生簀内の養殖魚の捕獲である、魚の捕獲・運搬方法。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかにおいて、
前記魚を前記貯水槽内に移動させる工程は、前記捕獲に用いた網の開口部分を前記貯水槽の前記開口部に合わせ、該網を絞っていくことによって行われる、魚の捕獲・運搬方法。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかにおいて、
前記目的地が、前記魚の養殖地である、魚の捕獲・運搬方法。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかにおいて、
前記魚は回遊魚である、魚の捕獲・運搬方法。
【請求項7】
請求項6において、
前記魚は、マグロ、ブリ、カンパチ、ヒラマサ、カツオ、マダイ、フグ、またはサケである、魚の捕獲・運搬方法。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれかにおいて、
前記魚は、体重が0.2〜5kgのサイズである、魚の捕獲・運搬方法。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれかにおいて、
前記浮体は、バージである、魚の捕獲・運搬方法。
【請求項10】
浮体の船倉部を貯水槽とした、魚の運搬用浮体。
【請求項11】
請求項10において、
前記船倉部の壁部に設けられ、前記貯水槽と外界を連通する開口部と、
前記開口部を開閉する扉部と、
を有する、魚の運搬用浮体。
【請求項12】
請求項10または11において、
前記貯水槽の壁面に魚の衝突防止用設備を有する、魚の運搬用浮体。
【請求項13】
請求項12において、
前記衝突防止用設備は、前記貯水槽の壁部に沿ってエアバブルが上昇するように設けられたエアカーテンである、魚の運搬用浮体。
【請求項14】
請求項10ないし13のいずれかにおいて、
前記貯水槽の上部を、対向する舷側部から対称的に塞ぐ蓋部を有する、魚の運搬用浮体。
【請求項15】
請求項14において、
前記蓋部は、前記貯水槽の上部を65〜100%の面積比で覆う、魚の運搬用浮体。
【請求項16】
請求項10ないし15のいずれかにおいて、
前記貯水槽の上部において、少なくとも船首尾方向に沿って上下方向に設けられた、該貯水槽内の水面の遊動を制御するための抑制部を有する、魚の運搬用浮体。
【請求項17】
請求項10ないし16のいずれかにおいて、
前記貯水槽には、船首尾方向に移動可能な仕切部を有する、魚の運搬用浮体。
【請求項18】
請求項10ないし17のいずれかにおいて、
前記浮体は、バージである、魚の運搬用浮体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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