説明

魚の自動計量装置および自動計量方法

【課題】
風袋を用いずに容積式計量および重量式計量を計量精度を維持しつつトータルの計量時間の最短化を実現する。
【解決手段】上段に容積式自動計量部100が位置し、その直下となる下段に重量式自動計量部200が位置する。重量式自動計量部200の直下に搬送容器400の搬送ライン300が通過する。容積計量された魚が重量計量チャンバー201に落下投入される間は、重量計量チャンバーの荷重がロードセル202に掛からないように重量計量チャンバーをアクチュエータ204で押し上げる。アクチュエータ204は、重量計量チャンバーへの魚の落下投入が終えた直後に下降して、重量計量チャンバーの荷重がロードセル202に掛かかる位置で、重量計量チャンバーの被支持部から離れる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、魚の自動計量装置および自動計量方法に係り、特に連続して供給される魚を極めて短時間に且つ定量的に計量して、搬送ライン上の容器に投入することができる自動計量(定量)装置および自動計量(定量)方法に関する。
【背景技術】
【0002】
荷揚げ港において入港した魚船から荷揚げされる魚は、直接業者に売却される場合もあれば、一旦冷凍庫に貯蔵されて売却される場合もある。何れの場合にも、計量された所定分量の魚が順次搬送されてくる容器内に配分されるのが普通である。これらの作業は、船倉からベルトコンベアに運ばれてきた魚を計量して所定の容器に配分した後、コンベヤにより所定の場所に搬送されて、保管される。これらの作業は、作業速度が遅く時間が長くかかると、魚の鮮度が落ちるため短時間で行う必要がある。それと同時に容器内は配分される魚の量が所定量になっていなくてはならない。
【0003】
魚の重量を計量する代表的な手法として、秤量法があるが、構造が複雑で、短時間で正確な計量を行うことが困難である。本件出願人は、かような秤量法に代わって、容積法を用いる自動計量装置を既に発明し(特許文献1:特許第1504741号、特許文献1:特許第3979938号公照)、短時間で比較的正確な計量を可能とする構造の簡単な自動計量装置を提案し、実用化している。
【0004】
この容積式の自動計量装置は、ホッパーシュートを介して計量ドラム(計量チャンバー)に順次投入される魚が所定の高さまで堆積すると、レベルセンサがそれを検知し(すなわち、レベルセンサによって、計量ドラムの魚が所定容量になったことを推定し)、その検知信号により、開閉機構(例えば計量ドラムの回転)を介して計量チャンバーの上部の魚受け入れ口(ホッパーシュート出口)を閉じ、計量ドラム下部の出口(魚落下口)を開いて、所定容積(容量)分の魚を、計量ドラム直下に待機している搬送容器に投入するようにしてある。魚が搬送容器に投入された後は、開閉機構(計量ドラムの反転)により計量ドラム下部の魚落下口が再び閉じ、計量ドラム上部の魚受け入れ口が開き、再びホッパーシュートを介して計量ドラムに魚が投入され、以後、上記の一連の動作が繰り返される。搬送容器は、搬送コンベアを介して計量室直下にセットされるようにしてある。
【0005】
容積式の自動計量装置は、容積計量により、ある程度の重量をみなすものであるが、ホッパーシュートを介して連続的に計量ドラムに魚を投入する方式を前提とした場合には、重量式の自動計量装置よりも短時間で正確な計量(容積によるみなし重量)を可能にするものとして評価されている。その理由は、次のとおりである。
【0006】
すなわち、重量式計量装置の場合には、秤量法に代わるものとして、短時間で精度の良い計量を行い得る歪ゲージを用いたロバーバル型ロードセルが考えられるが、かようなロードセルを用いたとしても、ベルトコンベアおよびホッパーシュートを介して、多量の魚が投入される場合、魚の落下衝撃により計量ドラムに振動が生じ、それがロードセルに加わるので、振動が収束するまでは、正確な計量が困難であり、短時間の計量が困難となる。しかも魚が計量ドラムに次から次へと投入されてくるので、目標重量を区切りにホッパーシュートを一時的に閉じて計量された魚を計量ドラムから搬送容器に移す場合にも、重量計量後ホッパーシュートが閉じるまでの時間(いわゆるタイムラグ)に落下中の魚(計量外の魚)も計量ドラムを介して容器に入り、計量誤差が生じる。したがって、重量式計量装置だけで計量を行う場合には、短時間で正確な計量をすることが困難である。
【0007】
これに対して、容積式計量装置の場合には、荷重を計るものではないので、重量式のような魚の落下衝撃ひいてはそれにより生じる振動は問題にはならず、また、計量は、レベルセンサの位置と結果的に得られた魚の分量(タイムラグ中に落下してきた魚も含めた分量)との関係だけをとらえればよいので、重量式計量のようなタイムラグに伴う重量誤差は問題にならない。したがって、容積式計量は、重量式計量に較べてはるかに計量時間が短く、精度の良い定量的計量を行うものとして評価されている。
【0008】
ところで、最近では、鰯や鯖などの小魚も激減して高値取引されるようになっており、高値で取引される魚の場合には、容積計量後に、正味の重量を正確に確認するニーズが生じている。重量は、魚の鮮度、大きさ(計量室内の魚の密度)および種類により単位容積あたりの重量が変動する。
【0009】
そのため、特許文献2では、容積式計量装置と重量式計量装置(重量計)を併用している。具体的には、搬送容器の搬送ラインにおける容積式計量装置の下流に重量式計量装置(重量計)を配置し、容積計量後に魚が投入された搬送容器(風袋)を、搬送コンベアにより重量式計量装置に送り、重量の計量を行なうようにしてある。ちなみに、容積計量の後に重量計量を行なう場合であっても、重量式計量装置は、風袋に入った魚を計量するので、ホッパーシュートを介して多量の魚の落下衝撃を受ける重量式計量装置単独の計量方式に較べて、トータルの計量時間を短くし、且つ正確な重量計量を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特許第1504741号明細書
【特許文献2】特許第3979938号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上記のように風袋に投入された魚の正味の重量を計量する場合には、計量値から風袋の重量分を差し引かなければならない。風袋は、材質、大きさ、型、その中に付加的に加えるもの(冷凍に用いる水等)等により重量が様々であるため、風袋の重量分を考慮することは、計量設定を煩雑にする要因となる。また、風袋は、作業現場で種々の外的衝撃が加えられるために、経時的に変形をきたし、また材質劣化などで、重量が変動するので、同種の風袋であっても重量がばらつき、計量精度を低下させる要因となる。
【0012】
さらに、容積計量後に重量計量を行なう場合に、それぞれの計量場所が異なる場合には、計量装置や搬送ラインの設置スペースが増大し、また、搬送時間が延びる分、作業全体の時間がそれだけ要することになる等の解決すべき課題が残されていた。
【0013】
本願発明は、以上の事情を考慮してなされたものであり、その目的は、計量設定の煩雑化及び変動要因となる風袋(いわゆる重さを量るときの容器)を伴うことなく、しかも容積式計量装置で計量した後に魚を重量式計量装置で計量する場合にも、計量精度を維持しつつトータルの計量時間の最短化を実現し、且つ計量作業スペースの合理化を図り得る魚の自動計量装置及び自動計量方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、上記目的を達成するために、基本的には、次のように構成される。
(1)一つは、自動計量装置に係る発明であって、まず、
(イ)上段に容積式自動計量部が位置し、その直下となる下段に重量式自動計量部が位置するよう、前記容積式自動計量部と重量式自動計量部とを上下2段配置構造とし、前記重量式自動計量部の直下に搬送容器の搬送ラインが通過する構成とする。
(ロ)さらに、前記容積式自動計量部は、ホッパーシュートを介して容積計量チャンバーに連続的に投入される魚の堆積が一定の高さレベルに達すると、前記ホッパーシュートの出口を閉じ下段の前記重量式自動計量部に通じる魚落下口を開き、前記重量式自動計量部に魚を落下させた後に前記ホッパーシュートを開状態に且つ前記魚落下口を閉状態に戻す一連の動作を繰り返す容積計量側の開閉機構を有する。
(ハ)さらに、前記重量式自動計量部は、前記容積計量チャンバーの前記魚落下口を介して一括落下投入される容積計量後の魚を受け入れる重量計量チャンバーと、前記重量計量チャンバーの荷重を受けて魚を含む前記重量計量チャンバーの重量を計量する歪ゲージ式のロードセルと、前記重量計量チャンバーを上下動可能に保持するロバーバル原理の平行リンク又は板ばねと、前記重量計量チャンバーを押し上げ及び下降させる直線動作機能を有するアクチュエータと、重量計量後に重量計量チャンバーの出口を開いて重量計量された魚を直下にセットされた前記搬送容器に落下させ、その後、この出口を閉じる重量計量側の開閉機構と、を備える。
(ニ)さらに、前記アクチュエータは、容積計量された魚が前記重量計量チャンバーに落下投入される間は、前記重量計量チャンバーの荷重が前記ロードセルに掛からないように前記重量計量チャンバーを押し上げており、且つ前記アクチュエータは、前記重量計量チャンバーへの魚の落下投入が終えた直後に下降して、該重量計量チャンバーの荷重が前記ロードセルに掛かかる位置で、前記重量計量チャンバーの被支持部から離れるよう設定されている。
(2)もう一つは、上記装置に関連する自動計量方法に係る発明であり、使用する装置自体は、上記(1)同様に、上段に容積式自動計量部が位置し、その直下となる下段に重量式自動計量部が位置するよう、前記容積式自動計量部と重量式自動計量部とを上下2段配置構造とし、前記重量式自動計量部の直下に搬送容器の搬送ラインが通過する構成とする。
そして、
(イ)前記容積式自動計量部では、ホッパーシュートを介して容積計量チャンバーに連続的に投入される魚の堆積が一定の高さレベルに達すると、容積計量側の開閉機構を制御して前記ホッパーシュートの出口を閉じ下段の前記重量式自動計量部に通じる魚落下口を開き、前記重量式自動計量部に魚を落下させる第1の工程と、
(ロ)前記重量式自動計量部では、ロバーバル原理の平行リンク又は板ばねを介して重量計量チャンバーを上下動可能に保持しており、前記容積計量チャンバーの前記魚落下口を介して一括落下投入される容積計量後の魚を重量計量チャンバーが受け入れ、容積計量された魚が前記重量計量チャンバーに落下投入される間は、前記重量計量チャンバーの荷重が前記ロードセルに掛からないように直線動作機能を有するアクチュエータを介して前記重量計量チャンバーを押し上げ制御し、且つ前記重量計量チャンバーへの魚の落下投入が終えた直後に前記アクチュエータを、前記重量計量チャンバーを伴って下降制御して、該重量計量チャンバーの荷重が前記ロードセルに掛かかる位置で該アクチュエータを前記重量計量チャンバーの被支持部から離して、魚を含む前記重量計量チャンバーの重量計量を実行する第2の工程と、
(ハ)第2工程を終えた重量計量直後に、前記重量計量チャンバーの開閉機構を制御して該重量計量チャンバーの出口を開いて、重量計量後の魚を、該重量計量チャンバーの直下にセットされた前記搬送容器に落下させ、その後、魚が投入された前記搬送容器をベルトコンベアを介して送り出す第3の工程と、
(ニ)第3の工程直後に、前記容積計量側および前記重量計量側のそれぞれの開閉機構を同時に制御して前記ホッパーシュートの出口を開状態、前記容積計量チャンバーの魚落下口を閉状態、および前記重量計量チャンバーの出口を閉状態に戻し、次の搬送容器を前記重量計量チャンバーの直下にベルトコンベアを介して送り且つ容器キャッチ機構を介して待機させる第4の工程と、を繰り返す。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、上段で自動容積計量を行った後に、その容積計量された魚を下段の自動重量計量部でそのまま自動計量し、その計量後の魚を搬送容器に投入するので、計量設定の煩雑化及び変動要因となる風袋(いわゆる重さを量るときの容器)を伴うことがない。しかも、容積計量された魚を重量計量する場合に、ロードセルに魚の落下衝撃および振動を加えずに計量するので、計量精度を維持しつつ計量時間の最短化を実現する。且つ容積計量部と重量計量部を2段配置構造とするので、計量作業スペースの合理化を図り得る。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の自動計量装置の第1実施例の構成を模式的に示す正面断面図であって、その一部の機構Cを取り出して上面から示す部分図と、重量式自動計量部200の動作を部分的に取り出して示す部分図を含む。
【図2】図1の左側面を示す図。
【図3】上記実施例に用いる重量式自動計量部の動作を示す説明図。
【図4】上記実施例の一連の計量工程を示す説明図。
【図5】上記実施例のロードセル202に重量計量チャンバー201からの荷重を受けた場合の時間経過Tとロードセル202からの信号の状態を示すグラフ図。
【図6】本発明の自動計量装置の第2実施例の構成を模式的に示す正面断面図であって、その一部の機構Cを取り出して上面から示す部分図と、重量式自動計量部200の動作を部分的に取り出して示す部分図を含む。
【図7】図6の左側面を示す図。
【図8】上記第1実施例、第2実施例で実行される制御部の制御フローを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図面に示す実施例にしたがって説明する。
【0018】
図1は本発明の自動計量装置の第1実施例の構成を模式的に示す正面断面図であって、その一部の機構Cを取り出して上面から示す部分図と、重量式自動計量部200の動作を部分的に取り出して示す部分図を含む。図2は図1の左側面を示す図、図3は上記実施例に用いる重量式自動計量部の動作を示す説明図、図4は上記実施例の一連の計量工程を示す説明図である。
【0019】
図1、図2に示すように、本実施例の自動計量装置は、上段に容積式自動計量部100が位置し、その直下となる下段に重量式自動計量部200が位置するよう、容積式自動計量部100と重量式自動計量部200とが上下2段構造で配置されている。容積式自動計量部100と重量式自動計量部200とは、図示省略された一つの枠組みにより支持されてユニット化されている。
【0020】
重量式自動計量部200の直下には、搬送容器400の搬送ライン例えばベルトコンベア300が通過する。なお、図1では、ベルトコンベア300上の搬送容器400は、一つだけを図示しているが、実際には、多数の搬送容器400が列をなしている。
【0021】
ベルトコンベア300は、自動計量装置を用いた作業中、常時走行している。搬送容器400は、連続的に供給される魚を所定量単位(一バッチ単位)で仕切って容積および重量計量する一バッチ計量サイクルごとに、ベルトコンベア300を介して重量計量チャンバー201の直下にくるように設定されている。換言すれば、ベルトコンベア300の速度も上記搬送条件を満たすように設定されている。搬送容器400は、重量計量チャンバー201の直下にくると、容器キャッチ機構500により一時的にキャッチされてその位置に短時間留まるよう拘束される。そのキャッチ(拘束)している時間は、搬送容器400が重量計量チャンバー210の直下位置にきてから魚が搬送容器400に落下投入されるまでの時間である。搬送容器400に魚が投入されると、キャッチが解除され、魚が投入された搬送容器400は、ベルトコンベア300を介して次の工程位置に搬送される。後に続く搬送容器400も、同様のキャッチおよびキャッチ解除が行われる。
【0022】
容器キャッチ機構500は、エアシリンダ502により作動するキャッチレバー501により構成されている。エアシリンダ502に圧縮空気が導入された時にキャッチレバー501の先端が下向きにレバー動作(往動作)して、搬送容器400の後端上部に係止し、搬送容器400をキャッチする(図示実線で示す)。また、エアシリンダ502に係る空圧を解除することにより、キャッチレバー501が上向きにレバー動作(復動作)して、搬送容器400からのキャッチを解除する(図示一点鎖線で示す)。
【0023】
容積式自動計量部100は、ホッパーシュート101と容積計量チャンバー102とを有する。また、ホッパーシュート101には、魚搬送コンベア600(図4に示す)を介して順次連続的に魚が投入され、それらの魚は、ホッパーシュート101に案内されて容積計量チャンバー102に連続的に投入される。
【0024】
容積式自動計量部100は、原理的には、特許文献2に示すものと同様の構成であり、可変容積型である。また、開閉機構Aを有する。
【0025】
開閉機構Aは、揺動回転型の計量ドラムにより構成される容積計量チャンバー102と、この容積計量チャンバー102を所定の回転角度(例えば約90度)の範囲で揺動回転させるエアシリンダ105と、チャンバー102に投入される魚の堆積高さを検知するレベルセンサ104とを含むものである。容積計量チャンバー102の構成は、後で詳述するが、回転軸106を中心に揺動回転する。回転軸106は、チャンバー102の左右一対の側板102bを貫通して一対の軸受けアーム118により支持されている。
【0026】
ホッパーシュート101を介して容積計量チャンバー102に投入された魚の堆積が一定の高さレベルに達すると、レベルセンサ104がこれを検知し、その検知信号を受けて制御部700がエアシリンダ105のエアバルブ(図示省略)を開制御し、圧縮空気をエアシリンダ105に導入する。それにより、エアシリンダ105のプランジャが往動作し、チャンバー(計量ドラム)102がその力を受けて、図4(b)に示す位置まで回動する。それにより、ホッパーシュート101の出口101aが閉じられ、下段の重量式自動計量部200に通じる魚落下口103(図4に示す)が開く。それにより、容積式自動計量部100で容積計量された魚は、重量式自動計量部に落下する。その直後に、エアシリンダ105にかかる空圧を解除するようにエアバルブを制御することで、エアシリンダ105のプランジャが復動作して、図1(図4(a))に示すようにチャンバー102が元の状態、すなわちホッパーシュート101の出口101aが開状態に且つ魚落下口103を閉状態に戻される。開閉機構Aは、このような一連の動作を、制御部700のシーケンス制御の一環として繰り返す。このときのエアシリンダ105の往復動作(換言すれば揺動回転型の容積計量チャンバー102が揺動回転により往復する動作)に要する時間は、片道で0.25〜0.3秒程度、往復で0.5〜0.6秒程度である。
【0027】
図1において、容積型計量チャンバー102は、断面状態で示されている。ドラム型の容積型計量チャンバー102は、底板102aが回転半径R1の主円弧部102a´と、回転半径R1と異なる点を中心点として円弧を描く回転半径R2の従円弧部102a”とからなる。従円弧部102a”は、主円弧部102a´の先端に接続する。これらの主円弧部と従円弧部は、後述するリンク式容積調整可動板107が動作したときの可動板107の先端(下端)軌跡に合わせたものである。
【0028】
また、底板102aは、チャンバー102の左右一対の側板102bと溶接結合されて回転方向の一端が開口しているドラム型を呈し、この開口が容積調整可動板107により閉じられる構造になっている。このような構造をなすことで、底板102a、左右一対の側板102bおよびリンク型の容積調整可動板107により可変容積型のチャンバー102が形成される。
【0029】
容積調整可動板107は、2枚の可動板107a,107bが上下に平行に並んでリンク結合(ヒンジ結合)され、その上端の軸108を支点として主円弧部102a´および従円弧部102a”に沿った関節動作的な揺動回転をするものである。符号の107´で示す2点鎖線は、容積調整可動板107がチャンバー102の最大容積となる位置にある状態を示している。容積調整可動板107の下端には、主円弧部102a´および従円弧部102a"に摺接するゴム板109が取り付けられている。
【0030】
容積調整可動板107を揺動回転させるための電動可動板移動機構Cは、スクリューロッド111と、スクリューロッドが嵌合する棹状ナット112と、モータ113と、モータの回転力をスクリューロッド111に伝達するチェーン114およびスプロケット115とを有する。棹状ナット112の一端は、容積調整可動板107に連結されている。モータ113の正逆の回転に応じてスクリューロッド111が正逆回転し、正回転では棹状ナット112が図1の右方向に進んで、棹状ナット112が容積調整可動板107を図1の右方向に押すことにより、容積調整可動板107は、チャンバー102の容積を小さくする方向にスクリューロッド111の回転分だけ回転移動する。逆回転では、棹状ナット112が図1の左方向に後退し、それに伴い、容積調整可動板107が図1の左方向に引かれて、容積調整可動板107は、チャンバー102の容積を大きくする方向にスクリューロッド111の回転分だけ回転移動する。
【0031】
スクリューロッド111は、軸受け116を介して計量装置フレームに支持されている。スクリューロッド111は、ハンドル117により手動でも正逆回転可能に構成され、シーケンス制御を解除した場合には、ハンドルにより容積調整可動板107を手動操作可能である。
【0032】
次に重量式自動計量部200の構成について説明する。
【0033】
重量式自動計量部200は、容積計量チャンバー102の魚落下口103を介して一括落下投入される容積計量後の魚を受け入れる重量計量チャンバー201と、重量計量チャンバー201の荷重を受けて魚を含む重量計量チャンバー201の重量を計量する歪ゲージ式のロードセル202と、重量計量チャンバー201を上下動可能に保持するロバーバル原理の平行リンク203又は板ばね(図示省略)と、重量計量チャンバー201を上下移動可能に持ち上げるアクチュエータ204と、重量計量後に重量計量チャンバー201の出口201bを開いて重量計量された魚を直下にセットされた搬送容器400に落下させる重量計量側の開閉機構(ゲート)201aと、を有する。ロードセル202自体もロバーバル構造のセルが用いられる。
【0034】
平行リンク203又は板ばねは、重量計量チャンバー201を一側面で片持ち支持しており、図2に示すように2対の平行リンク203(或いは2対の平行板ばね)が使用されている。図2の212は平行リンクの固定側ノード、213は可動側ノードである。
【0035】
さらに、重量式自動計量部200は、容積計量された魚が重量計量チャンバー201に落下投入される間は、重量計量チャンバー201の荷重がロードセル202に加わらないようにアクチュエータ204を介して重量計量チャンバー201を押し上げるように設定されている。アクチュエータ204は、重量計量チャンバー201への魚の落下投入が終えた直後に下降して(図1の左側に取り出して図示するアクチュエータ204参照)、重量計量チャンバー201の荷重がロードセル202に掛かかるように、アクチュエータ204が重量計量チャンバー201の被支持部(作動杆205の下端)から離れる機構を有する。本実施例では、重量計量チャンバー201への魚の投入が終えた直後にアクチュエータ204を下降させて、重量計量チャンバー201の荷重が、後述するように、係止部材206、205を介してロードセル202に加わるように設定されている。
【0036】
アクチュエータ204としては、本実施例では、エアシリンダを用いるが、その他の流体シリンダやソレノイド式の電動シリンダなど種々考えられ、エアシリンダに限定するものではない。
【0037】
図3には、アクチュエータ204と重量計量チャンバー201およびロードセル202の関係を示す。本実施例では、アクチュエータ204は、エアシリンダ204aにより構成される。エアシリンダ204aの上方には、エアシリンダのプランジャ204bとは別体成形された作動杆205が配置される。作動杆205は、ロードセル202の荷重受け部202aに設けた貫通穴207を通されて、その先端部に円錐駒形の可動子205aが設けられている。可動子205aの最大直径は貫通穴207の直径よりも大きくしてある。作動杆205とプランジャ204bは、同一軸線上にあり、作動杆205の下端は、その下方に配置されたエアシリンダ204aのプランジャ204bの上端と対向している。
【0038】
エアシリンダ204aに圧縮空気が導入された時には、図3(a)に示すようにプランジャ204bが上昇してプランジャ204が作動杆205の下端面に当接して作動杆205および可動子205aを押し上げる。重量計量チャンバー201の一側面には、可動子205aの上部に係止する係止部206が設けられている。上記のようにプランジャ204bが上昇移動すると、作動杆205および可動子205aが押し上げられ、ひいては、係止部206を介して、重量計量チャンバー201が押し上げられ、可動子205とロードセル202の荷重受け部202aとの間にはクリアランス209が確保される。この状態では、魚を含む重量計量チャンバー201の荷重がロードセル202に掛からず、アクチュエータ204(エアシリンダ204a)に掛かる。また、作動杆205の下端が、アクチュエータ204に対する重量計量チャンバー201の被支持部となる。
【0039】
一方、エアシリンダ204aの空圧が解除された時には、図3(b)に示すようにプランジャ204bが下降してそれに追従して作動杆205及び可動子205aも下降し、最終的には、可動子205aが荷重受け部202aに係止し、プランジャ204bが作動杆205の下端(被支持部)から離れる位置まで下降する。この状態では、重量計量チャンバー201の荷重が係止部206、可動子205aおよび荷重受け部202aを介してロードセル202に加わる。すなわち、係止部206と可動子205aと作動杆205は、重量計量チャンバー201への魚の落下投入が終えた直後にアクチュエータ204を下降させた場合に、ロードセル202の荷重受け部202aに係止して、魚を含む重量計量チャンバー201の荷重をロードセル202に掛ける係止部(係止部材)としての役割をなす。また、容積計量された魚がチャンバー201に落下投入される間は、係止部材(係止部206、可動子205a、作動杆205)がロードセル202に対して非接触状態、すなわちクリアランス209を保って対向するようアクチュエータ204を介してチャンバー201が押し上げられている。なお、付随的に、可動子205aと荷重受け部202aの間にゴム材のような緩衝部材208を介在しておけば、荷重受け部202aが重量計量チャンバー201からの荷重を受ける場合に、より緩衝的効果を発揮する。なお、緩衝部材208がなくても、重量計量チャンバー201に容積重量計量チャンバー102からの魚が落下投入される間に前記クリアランス209を維持しておれば、魚の落下衝撃がダイレクトにロードセル202に加わるのを充分に防止できる。そして、重量計量チャンバー201への魚の投入が終えた直後に、アクチュエータ204(エアシリンダ204a)を下降させて、重量計量チャンバー201の荷重がアクチュエータ204に代わりロードセル202に掛かるように設定すれば、荷重はほとんど衝撃を与えることなくロードセル202に加わるので、重量計量の計量時間の短縮と安定化を図り得る。
【0040】
上記したクリアランス209は、そのサイズを限定するものではないが、小さいほどアクチュエータ204の下降時における荷重受け部202aへ到達する移動時間が短くなり、計量時間をより短縮できる。クリアランス209は、好ましくは、1mm程度或いはそれ以下が良いが、要求計量時間に余裕がある場合には、1mm以上であってもよい。
【0041】
図5に本実施例のロードセル202に重量計量チャンバー201からの荷重を受けた場合の時間経過Tとロードセル202からの信号の状態を示す。本実施例によれば、ロードセル202が荷重を受ける時に生じる振動は、短い時間で減衰するために、一バッチ当たり10〜20kgの魚を計量する場合であっても、計量を、荷重を受けてから瞬時(0.2秒〜0.3秒)に行なうことができる。本実施例のような荷重測定方式を採用せずにロードセル202がダイレクトに魚の落下衝撃を受ける荷重測定方式の場合には、振動減衰までに早くても約3秒かかるものである。
【0042】
重量計量チャンバー201は、底板と対向する左右一対の側板とで、所定の回転角度(例えば約90度)で揺動回転可能なスイング式のゲート201aを構成するものである。スイング式のゲート201aは、エアシリンダ210の往復動作により、軸211を中心に重量計量チャンバー201の底部出口201bを開閉する。すなわち、エアシリンダ210に、制御部700のエアバルブ(図示省略)制御により、圧縮空気を導入すると、エアシリンダ210のプランジャが往動作して、重量計量チャンバー201のゲート201aが一点鎖線に示すように所定回転角度だけ回転する。それにより、重量計量チャンバー201の底部出口201bが開口し、チャンバー201に収容されている魚は、出口201bを通して、直下にセットされた搬送容器400へ落下投入される。その直後にエアシリンダ210にかかる空圧を解除するように、エアバルブを制御することで、エアシリンダ210のプランジャが復動作し、重量計量チャンバー201のゲート201aが実線に示すように元の位置に戻り、チャンバー201の底部出口201bが閉じられる。
【0043】
自動重量計量部200の荷重支持切り替えのアクチュエータ204の動作およびゲート201aのエアシリンダ210の動作(すなわち重量計量チャンバー201の底部出口201bの開閉動作)も、既述した搬送コンベア300上の搬送容器キャッチ機構500のレバー動作および容積自動計量部100の動作制御と絡んで、シーケンス制御の一環として、制御部700により制御される。このときのゲート開閉用のエアシリンダ210の往復動作(換言すればゲート201aの開閉動作)に要する時間は、片道で0.25〜0.3秒程度、往復で0.5〜0.6秒程度である。
【0044】
次に本実施例の自動計量装置全体の作業工程の全体動作を、図4を参照して説明する。なお、図中、係止部材206の位置で示されている上向きの矢印(図4の(a)〜(c)、(e)、(f)で示されている)は、アクチュエータ204(図4では、図示省略)により重量計量チャンバー201が押し上げられて、チャンバー201側の係止部材206(厳密には、既述のように可動子205a,作動杆205も含むが、作図の便宜上、符号206で代表する)とロードセル202側の荷重受け部202aが非接触状態(クリアランス209の保持状態)にあることを示している。この状態では、ロードセル202には、重量計量チャンバー201からの荷重がかからず、その荷重をアクチュエータ204が受けている。また、係止部材206の位置で示されている下向きの矢印(図4(d)で示されている)は、アクチュエータ204により重量計量チャンバー201が下降して、チャンバー201側の係止部材206がロードセル202側の荷重受け部202aに係止(接触)状態にあり、係止部材206からアクチュエータ204が離れていることを示している。この状態では、ロードセル202に重量計量チャンバー201からの魚を含む全荷重がかかる。
【0045】
図4(a)は、計量工程の状態1を示す。状態1では、荷揚げされ種類の選別された魚は、ベルトコンベア600を介してホッパーシュート101に投入される。ベルトコンベアは、魚の投入作業中は、中断することなく常時駆動している。
【0046】
状態1では、ホッパーシュート101の底部(魚投入口101a)は、完全に開かれており、容積計量チャンバー(計量ドラム)102の底部103が完全に閉じられている。この状態では、ベルトコンベア600を介して搬送されてくる魚がホッパーシュート101を介して容積計量チャンバー102に連続的に投入され、投入される魚の堆積量がレベルセンサ104によって検知される計量レベルになるまで待ち受け状態にある。また、重量計量チャンバー201の出口ゲート201aは閉じた状態にある。また、ロードセル202には、重量計量チャンバー201からの荷重がかからず、その荷重をアクチュエータ204が受けている。
【0047】
重量計量チャンバー201の直下には、空の搬送容器400がキャッチ機構500でキャッチされて待機状態にある。
【0048】
図4(b)は、計量工程の状態2を示す。状態2では、ホッパーシュート101から容積計量チャンバー102に投入される魚の堆積量がレベルセンサ104に到達した後の動作状態を示している。魚がレベルセンサ104に到達すると、制御部700によるエアシリンダ105の往動作制御により、計量チャンバー(計量ドラム)102が上方に向けて所定角度回転する。ここで、魚投入から魚がレベルセンサ104に到るまでの時間が容積計量に要する時間となる。実際には、容積軽量チャンバー102がホッパーシュート101の開閉動作を繰り返すので、ホッパーシュート101を閉(図4(a)の前の状態)から開状態(図4(a)の状態)に移すチャンバー移動時間(0.25〜0.3秒)にも魚が投入されておりその時間に図4(a)の待ち時間0.2秒を加える時間で魚の堆積量がレベルセンサ104に到達するので、一回(一バッチ)あたりの容積計量時間は、約0.5秒程度である。図4(b)の状態2では、ホッパーシュート101の出口101aは、チャンバー底板102aにより閉ざされる。一方、容積調整可動板107が現状位置に留まるので、可動板107と計量チャンバー102の間に魚落下口103が形成される。それにより、計量チャンバー102内の容積計量された魚が重量計量チャンバー201に落下投入される。なお、ホッパーシュート101の出口101aは、計量チャンバー102の底板102aで閉ざされているので、ホッパーシュート101内にはベルトコンベア600から連続的に投入されてくる魚が溜まっていく。図4(b)は、そのような状態を示している。図4(b)のように、ホッパーシュート出口101aが閉であっても出口101上方に溜まる魚がレベルセンサ104に接した場合には、容積計量チャンバー102の状態は、エアシリンダ105に制御部700から復動作指令(空圧解除指令)が出されない限り現状を維持する。また、重量計量チャンバー201の出口ゲート201aは、引き続き閉じた状態にある。また、ロードセル202も、引き続き重量計量チャンバー201の荷重(魚も含む)がかからず、その荷重をアクチュエータ204が受けている。
【0049】
図4(c)は、計量工程の状態3を示す。状態3では、容積計量チャンバー102からの容積計量された魚が一バッチ全量、重量計量チャンバー201に収まった状態を示している。その他の状態は、図4(b)の状態が引き続いている。
【0050】
図4(d)は、計量工程の状態4を示す。状態4では、容積計量チャンバー102からの容積計量された魚が重量計量チャンバー201に収まった後、0.数秒後にアクチュエータ204が下降することで、重量計量チャンバー201が下降し、係止部材206がロードセル202の荷重受け部202aに係止し(アクチュエータ204はチャンバー201の被支持部から離れる)、重量計量チャンバー201の荷重がロードセル202に加わる。それにより、魚を含む重量計量チャンバー201の重量が計量される。本実施例における重量計量に要する時間は、既述したように0.2〜0.3秒である。
【0051】
図4(e)は、計量工程の状態5を示す。状態5では、上記計量直後に制御部700によるエアシリンダ210の往制御により重量計量チャンバー201の出口ゲート201aが所定角度回転し開状態になる(この所要時間は、0.25〜0.3秒である)。この出口ゲート201aが開くことで、計量完了された魚が搬送容器400に落下投入される。また、アクチュエータ204により重量計量チャンバー201が再び押し上げられ、チャンバー201側の係止部材206とロードセル202側の荷重受け部202aが非接触状態(クリアランス209の保持状態)となり、チャンバー201の荷重はロードセル202に掛からない状態になる。
【0052】
図4(f)は、計量工程の状態6を示す。状態6では、制御部700が重量計量チャンバー開閉機構のエアシリンダ210および容積計量チャンバーの開閉機構のエアシリンダ105を同時に復動作(空圧解除)させて、重量計量チャンバーの出口ゲート201aおよび計量容積チャンバー102を戻り動作させる(この所要時間は、約0.25秒〜0.3秒である)。この動作により、重量チャンバー201の出口ゲート201aは閉じ、ホッパーシュート101の出口101aを開き、容積計量チャンバー102の出口(魚落下口)を閉じる。また、容器キャッチ機構500も往復動作して、魚の投入された搬送容器400のキャッチを解除し、その後に重量計量チャンバー201の直下にくる空の搬送容器400をキャッチする。そして、以上の(a)〜(f)の一連の動作がシーケンス制御により繰り返される。
【0053】
図4の動作において、実際には、容積計量部100側のホッパーシュート投入口101aの開閉と重量計量部200側の開閉は交互に繰り返され、これに容積計量の待ち時間や重量計量の待ち時間や搬送容器への魚の落下時間などを考慮すれば、一バッチ処理あたりのトータル時間(ホッパーシュートへの魚の投入から容積計量、重量計量を経て搬送容器に投入されるまでの時間)は、約1.5秒程度である。したがって、本実施例によれば、ホッパーシュートへの魚の投入から容積計量、重量計量を経て搬送容器に投入されるまでの時間を極めて短時間にして、計量することができる。しかも、容積計量から重量計量の一貫した計量には、風袋を用いることないので、風袋に起因する従来の計量精度の課題を解消して、精度の良い計量を実現することができる。本実施例によれば、1分間に約40個の搬送容器への計量された魚の投入を可能にする。
【0054】
なお、上記した時間は、上記に限定されるものではなく、可能な範囲で任意に設定変更可能である。
【0055】
さらに、本実施例では、制御部700は、重量計量後の実計量値と目標計量値との間に誤差がある場合には、誤差分に応じて容積計量チャンバー102の容積調整可動板107の必要移動量を決定し、電動可動板移動機構Cを介して可動板107を移動制御する。この可動板107の移動制御により、その重量誤差分相当の容積調整が行われる。
【0056】
本実施例では、スクリューロッド111の1回転単位で移動する容積調整可動板107の移動量と、その移動量(換言すれば容積変化分)による魚の重量相当分との関係を予め設定しておく。そして、制御部700は、重量式自動計量部100の実計量値と目標計量値との誤差分に応じて、スクリューロッド111を所要回転数だけ回転制御する。例えば、スクリューロッド111の1回転あたりの魚重量相当分が100gとすると、誤差がマイナス200gであれば、モータ113をパルス駆動制御してスクリューロッド111を容積計量チャンバー102の容積が増える方向に2回転制御する。この場合、スクリューロッド111の1回転あたりの魚重量相当分は、誤差補正の閾値でもあり、100g未満の端数は、誤差分にいれず、それにより容積調整が端数によりハンチングすることを防止している。
【0057】
図8に、図4に示す本実施例の魚計量から搬送容器への魚投入までの制御フローを示す。かような制御は、制御部700を介して実行される。
【0058】
図8において、ステップS1は、図4(a)に示す状態1の容積計量工程中に相当するものである。アクチュエータ204はオン状態で圧縮空気が導入されて、重量計チャンバー201を押し上げ状態にあって、既述のように、ロードセル202には、重量計量チャンバー201からの荷重がかからず、その荷重をアクチュエータ204が受けている。
【0059】
ステップS2は、図4(b)の状態2を示すものである。ホッパーシュート101から容積計量チャンバー102に投入される魚の堆積量がレベルセンサ104に到達し、その検出信号が制御部700に送られる。ロードセル202の検出信号は、シーケンサからの指示タイミングで読み取る。S2におけるT1は、容積計量の所要時間である。
【0060】
ステップS3も図4(b)の状態2および図4(c)の状態3に相当し、エアシリンダ105をオンして、エアシリンダ105に圧縮空気を導入し(エアシリンダ往動作)、容積計量チャンバー102を上方に所定角度回転させている。これにより、容積計量後の魚を容積計量チャンバー102から重量計量チャンバー201に落下させている。
【0061】
ステップS4は、図4(d)の状態4に相当し、アクチュエータ204をオフ(空圧解除:重量計量チャンバー201下降)して、魚を含む重量計量チャンバー201の荷重をロードセル202に掛けている。
【0062】
ステップS5も図4(d)の状態4に相当する。時間T2は、重量計量に要する時間である。
【0063】
ステップS6は、図4(e)の状態5に相当する。エアシリンダ210をオン(圧縮空気導入:往動作)して、重量計量チャンバー201の出口ゲート201aを開き、搬送容器400に重量計量された魚を落下投入している。また、アクチュエータ204を再びオンして、重量計量チャンバー201をアクチュエータ204により押し上げ、ロードセル202に荷重がかからないようにしている。
【0064】
ステップS7は、図4(f)の状態6に相当する。エアシリンダ105、210をオフ(空圧解除:復動作)して、容積計量チャンバー102、重量計量チャンバー201を図4の(a)の状態1同様に戻している。
【0065】
制御部700は、以上のステップS1〜S7を繰り返す。
(1)本実施例によれば、一バッチ単位の魚の重量を計量する場合に、風袋(いわゆる重さを量るときの容器)を使用しないでダイレクトに計量するので、風袋使用に伴う計量設定の煩雑化及び計量の変動をなくすことができる。しかも、容積計量された魚を重量計量する場合に、ロードセルに魚の落下衝撃および振動を加えずに計量するので、計量精度を維持しつつ計量時間の最短化を実現する。
(2)且つ容積計量部と重量計量部を2段配置構造とするので、計量作業スペースの合理化を図り得る。
(3)さらに、本実施例によれば、魚の定量的な搬送容器への供給作業において、重量計量以外は、ロードセルに荷重ストレスをかけず、しかも魚の重量計量時にかける荷重ストレスも極めて短時間で少なく、ロードセルの故障、劣化を抑制することができる。
(4)また、重量計量誤差を、容積計量チャンバーの容積を可動板を介して自動調整することで、補正するので、計量精度の向上を図ることができる。
【0066】
さらに、本実施例では、次のような付加的要素も備えている。
【0067】
すなわち、本実施例では、図示省略するが、計量設定入力用および測定結果のモニターとなるディスプレイ(例えば、タッチパネル或いは設定ボタンなどの入力手段を有するディスプレイ)を備える。そして、入力手段を介して、「目標重量値」、計量対象となる魚の種類に応じて「1匹あたりの魚の重量値(推定平均値)」を入力したら、この設定値をディスプレイに表示する。また、ディスプレイには、魚の重量計量結果である「実重量値」、「目標重量値に対する実重量値の誤差」、「誤差を補正するために増減すべき魚の数」も表示する。ここで、「誤差を補正するために増減すべき魚の数」は、制御部700が、上記誤差を上記「1匹あたりの魚の重量値(推定平均値)」で割ることで求められる。
【0068】
このディスプレイを通して、作業者は、誤差補正分の魚を簡単に認識して、計量済みの魚を収容された搬送容器400に追加し或いは減らすことも容易に行い得る。
【0069】
また、規定の定量値を満たさない場合には、ディスプレイでそれを認識して、作業者によって該当搬送容器を間引くことも可能になる。
【0070】
また、上記誤差補正分を作業者が認識して、スクリューロッド111をシーケンサおよびモータ113を介さずにハンドル117により手動で操作して、容積計量チャンバー102を可変調整することも可能である。
【0071】
なお、上記実施例に用いた各種エアシリンダは、その他の流体シリンダに代えてもよく、或いはソレノイドを用いた電動シリンダであってもよい。また、その他の構成要素も本発明の技術的思想を逸脱しない範囲で技術的に制限されるものではない。
【0072】
さらに、ロードセルを重量計量チャンバー側(可動側)に設け、このロードセルを重量計量チャンバーと一緒にアクチュエータで押し上げて固定側の荷重受けと非接触状態で対向させておき、重量計量チャンバーに容積計量済みの魚が落下投入された後に、このロードセルを重量計量チャンバーと一緒にアクチュエータを介して下降させ、固定側の荷重受けにロードセルを介して重量計量チャンバーに荷重をかけるようにしてもよい(この場合、固定側の荷重受けを介して、ロードセルに重量計量チャンバーの荷重がかかることになる)。
【0073】
図6は本発明の自動計量装置の第2実施例の構成を模式的に示す正面断面図であって、その一部の機構Cを取り出して上面から示す部分図と、重量式自動計量部200の動作を部分的に取り出して示す部分図を含む。図7は図6の左側面を示す図である。なお、図は、第1実施例と異なる箇所の構成要素とそれに関連する構成要素にだけ符号を付して示している。
【0074】
本実施例は、ロードセル202の荷重受け202aに対して重量計量チャンバー201側の荷重を加える係止部206aと、アクチュエータ204(エアシリンダ204a)のプランジャ204bに支持される係止部(被支持部)206bとを、それぞれ別々にして重量計量チャンバー201の側面に設ける。そして、容積計量された魚が容積計量チャンバー102から重量計量チャンバー201に落下投入される間は、重量計量チャンバー201の荷重がロードセル202に掛からないように、アクチュエータ204が係止部206bを介して、重量計量チャンバー201を押し上げている。この時は、ロードセル202の荷重受け部202aは、もう一つの係止部206aから微小間隙を介して離れている。アクチュエータ204は、重量計量チャンバー201への魚の落下投入が終えた直後にプランジャ204bが下降して、係止部206aがロードセル荷重受け部202aに係止し、プランジャ204aは係止部206bから離れる。それにより、重量計量チャンバー201の荷重がロードセル202に掛かかる。
【0075】
なお、その他の構成は、第1実施例と同様であり、その符号は、省略してある。
【0076】
本実施例でも、重量計量チャンバーの荷重のシフト、すなわちアクチュエータ側からロードセル側への荷重のシフトの原理は、同様であり、かつその他の構成も第1実施例同様であるので、第1実施例同様の作用、効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0077】
100…容積式自動計量部、101…ホッパーシュート、101a…ホッパーシュート出口、102…容積計量チャンバー(計量ドラム)、103…魚落下口(容積計量チャンバー)、104…レベルセンサ、105…エアシリンダ、107…リンク式容積調整可動板、111…スクリューロッド、113…モータ、200…重量式自動計量部、201…重量計量チャンバー、201a…出口ゲート、202…ロードセル、203…平行リンク、204…アクチュエータ、205…作動杆(被支持部)、205a…可動子、206…係止部、210…エアシリンダ、300…搬送容器用ベルトコンベア、400…搬送容器、500…容器キャッチ機構、600…魚用搬送ベルトコンベア、700…制御部、A…容積計量チャンバー用開閉機構、C…電動可動板移動機構。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生魚を搬送容器に定量的且つ自動的に投入する自動計量装置において、
上段に容積式自動計量部が位置し、その直下となる下段に重量式自動計量部が位置するよう、前記容積式自動計量部と重量式自動計量部とを上下2段配置構造とし、
前記重量式自動計量部の直下に搬送容器の搬送ラインが通過する構成とし、
前記容積式自動計量部は、ホッパーシュートを介して容積計量チャンバーに連続的に投入される魚の堆積が一定の高さレベルに達すると、前記ホッパーシュートの出口を閉じ下段の前記重量式自動計量部に通じる魚落下口を開き、前記重量式自動計量部に魚を落下させた後に前記ホッパーシュートを開状態に且つ前記魚落下口を閉状態に戻す一連の動作を繰り返す容積計量側の開閉機構を有し、
前記重量式自動計量部は、前記容積計量チャンバーの前記魚落下口を介して一括落下投入される容積計量後の魚を受け入れる重量計量チャンバーと、前記重量計量チャンバーの荷重を受けて魚を含む前記重量計量チャンバーの重量を計量する歪ゲージ式のロードセルと、前記重量計量チャンバーを上下動可能に保持するロバーバル原理の平行リンク又は板ばねと、前記重量計量チャンバーを押し上げ及び下降させる直線動作機能を有するアクチュエータと、重量計量後に重量計量チャンバーの出口を開いて重量計量された魚を直下にセットされた前記搬送容器に落下させ、その後、この出口を閉じる重量計量側の開閉機構と、を備え、
前記アクチュエータは、容積計量された魚が前記重量計量チャンバーに落下投入される間は、前記重量計量チャンバーの荷重が前記ロードセルに掛からないように前記重量計量チャンバーを押し上げており、且つ前記アクチュエータは、前記重量計量チャンバーへの魚の落下投入が終えた直後に下降して、該重量計量チャンバーの荷重が前記ロードセルに掛かかる位置で、前記重量計量チャンバーの被支持部から離れるよう設定されていることを特徴とする自動計量装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記自動重量計量部は、前記自動計量チャンバーへの魚の落下投入が終えた直後に前記アクチュエータが下降すると、前記ロードセルに係止して前記自動計量チャンバーの荷重を前記ロードセルに加える係止部材を有しており、容積計量された魚が前記自動計量チャンバーに落下投入される間は、前記係止部材が前記ロードセルに対して非接触状態で対向するよう前記アクチュエータを介して前記重量計量チャンバーおよび前記係止部材を押し上げていることを特徴とする自動計量装置。
【請求項3】
請求項1又は2において、前記アクチュエータは、エアシリンダにより構成されていることを特徴とする自動計量装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項において、前記重量計量チャンバーの直下を通過する前記搬送ラインは、計量作業中に常時走行するベルトコンベアであって、前記搬送容器が前記ベルトコンベアを介して前記重量計量チャンバーの直下にきたときに該搬送容器を魚投入のために一時的にキャッチする機構を備えることを特徴とする自動計量装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項において、
前記平行リンク又は板ばねは、前記重量計量チャンバーを一側面で片持ち支持していることを特徴とする自動計量装置。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1項において、
前記容積式自動計量装置における前記容積計量チャンバーの容積を可変調整する可変容積調整機構を備え、この可変容積調整機構は、容積の一面を形成する可動板と、該可動板を移動させる電動可動板移動機構と、前記重量式自動計量部の実計量値と目標計量値との誤差分に応じて前記可動板の必要移動量を決定して前記電動可動板移動機構を制御する制御部と、を有することを特徴とする自動計量装置。
【請求項7】
請求項6において、
前記電動可動板移動機構は、モータの回転を直線動作に変換するスクリューロッド機構よりなり、前記制御部がスクリューロッドの1回転単位で補正する重量相当分を予め設定しておいて、前記重量式自動計量部の実計量値と目標計量値との誤差分に応じて前記スクリューロッドを所要回転数だけ回転制御するよう設定されていることを特徴とする自動計量装置。
【請求項8】
生魚を搬送容器に定量的且つ自動的に投入する前に計量する自動計量方法において、
上段に容積式自動計量部が位置し、その直下となる下段に重量式自動計量部が位置するよう、前記容積式自動計量部と重量式自動計量部とを上下2段配置構造とし、前記重量式自動計量部の直下に搬送容器の搬送ラインが通過する構成とし、
前記容積式自動計量部では、ホッパーシュートを介して容積計量チャンバーに連続的に投入される魚の堆積が一定の高さレベルに達すると、容積計量側の開閉機構を制御して前記ホッパーシュートの出口を閉じ下段の前記重量式自動計量部に通じる魚落下口を開き、前記重量式自動計量部に魚を落下させる第1の工程と、
前記重量式自動計量部では、ロバーバル原理の平行リンク又は板ばねを介して重量計量チャンバーを上下動可能に保持しており、前記容積計量チャンバーの前記魚落下口を介して一括落下投入される容積計量後の魚を重量計量チャンバーが受け入れ、容積計量された魚が前記重量計量チャンバーに落下投入される間は、前記重量計量チャンバーの荷重が前記ロードセルに掛からないように直線動作機能を有するアクチュエータを介して前記重量計量チャンバーを押し上げ制御し、且つ前記重量計量チャンバーへの魚の落下投入が終えた直後に前記アクチュエータを、前記重量計量チャンバーを伴って下降制御して、該重量計量チャンバーの荷重が前記ロードセルに掛かかる位置で該アクチュエータを前記重量計量チャンバーの被支持部から離して、魚を含む前記重量計量チャンバーの重量計量を実行する第2の工程と、
第2工程を終えた重量計量直後に、前記重量計量チャンバーの開閉機構を制御して該重量計量チャンバーの出口を開いて、重量計量後の魚を、該重量計量チャンバーの直下にセットされた前記搬送容器に落下させ、その後、魚が投入された前記搬送容器をベルトコンベアを介して送り出す第3の工程と、
第3の工程直後に、前記容積計量側および前記重量計量側のそれぞれの開閉機構を同時に制御して前記ホッパーシュートの出口を開状態、前記容積計量チャンバーの魚落下口を閉状態、および前記重量計量チャンバーの出口を閉状態に戻し、次の搬送容器を前記重量計量チャンバーの直下にベルトコンベアを介して送り且つ容器キャッチ機構を介して待機させる第4の工程と、
を繰り返すことを特徴とする自動計量方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−101059(P2013−101059A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−245097(P2011−245097)
【出願日】平成23年11月9日(2011.11.9)
【出願人】(392000187)株式会社高橋電器製作所 (3)
【Fターム(参考)】