説明

黒色感光性組成物

【課題】熱に対する形状安定性が高いブラックマトリクスを形成することが可能な黒色感光性組成物を提供する。また、本発明では、この黒色感光性組成物から形成されたブラックマトリクス、インクジェット方式カラーフィルタ用隔壁、及び液晶表示素子用スペーサを提供する。
【解決手段】光重合性化合物と、光重合開始剤と、カーボンブラックのような黒色顔料と、を含有する黒色感光性組成物において、形状安定剤として、有機顔料を含有した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、黒色感光性組成物に関する。具体的にはブラックマトリックス等の遮光性の膜を形成するための黒色感光性組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレィ等の表示体は、互いに対向して対となる電極が形成された2枚の基板の間に液晶層を挟む構造となっている。そして一方の基板の内側には、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)等の各色からなる画素を有するカラーフィルタが形成されている。そして、このカラーフィルタでは、各画素における異なる色の混色を防止したり、電極のパターンを隠したりするために、通常、R、G、B各色の画素を区画するようにマトリクス状に配されたブラックマトリクスが形成されている。
【0003】
一般に、カラーフィルタはリソグラフィ法により形成される。具体的にはまず、基板に黒色の感光性組成物を塗布、露光、現像し、ブラックマトリクスを形成する。その後、次いで、赤(R)、緑(G)、青(B)各色の感光性組成物毎に、塗布、露光、現像を繰り返すことで各色のパターンを所定の位置に形成してカラーフィルタを形成する。
【0004】
また、従来のブラックマトリクス形成用感光性組成物には、遮光性を付与するために、カーボンブラック以外にも、有機顔料が補助顔料として含有されていることがある(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平6−289216号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ブラックマトリクスに高い遮光性を付与するには、遮光材料の含有量を高くするか、膜厚を厚くしなければならない。そのため光学濃度が高くなり、露光の際に光が膜の深部まで到達せず、光硬化(感光反応)が十分に進行しない場合があった。その結果、現像マージンが狭くなり、パターンの直線性が低くなったり、パターンが基板から剥がれたり、基板上に残渣が発生したりする場合があった。
【0006】
また、近年注目されているインクジェット方式を用いてカラーフィルタを形成する場合、従来のブラックマトリクスでは、上からインク組成物を吹き付けると、インク組成物がパターンの外へはみ出してしまう場合がある。そのため、このようなインク組成物のはみ出しを防止するために、ブラックマトリクスの膜厚を大きくする必要があった。
【0007】
上記のようにブラックマトリクスを厚膜にした場合には、パターン表面にシワが発生するという問題が生じるようになってきた。さらに、ブラックマトリクスが薄膜である場合には起こりにくいが、熱処理の際に膜が変形してしまうという問題が生じる。
【0008】
以上の課題に鑑み、本発明では、熱に対する形状安定性が高いブラックマトリクスを形成することが可能なブラックマトリックス形成用の黒色感光性組成物を提供することを目的とする。また、本発明では、この黒色感光性組成物から形成されたブラックマトリクス、インクジェット方式カラーフィルタ用隔壁、及び液晶表示素子用スペーサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、黒色感光性組成物に形状安定剤を含有させることが、ブラックマトリクスの形状の安定化に有効であることを見出した。具体的には、形状安定剤として有機顔料を含有させることが有効であることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
本発明は、光重合性化合物と、光重合開始剤と、黒色顔料と、を含有する黒色感光性組成物であって、形状安定剤として、有機顔料を含有する黒色感光性組成物、及びこの黒色感光性組成物から形成されたブラックマトリクス、インクジェット方式カラーフィルタ用隔壁、及び液晶表示素子用スペーサを提供するものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、黒色感光性組成物に形状安定剤を含有させることによって、熱に対する形状安定性が高いブラックマトリクスを形成することが可能となった。また、形状安定剤を有機顔料としたことによって、黒色顔料の黒色を調整しつつ、ブラックマトリクスの形状を安定化させることが可能となった。また、有機顔料を添加したことによって、ブラックマトリクスのテーパー角を調整することが可能となった。その結果、インク組成物が収まりやすいパターンを有したブラックマトリクス、インクジェット方式カラーフィルタ用隔壁及び液晶表示素子用スペーサを提供することが可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について説明する。
本発明に係る黒色感光性組成物は、光重合性化合物と、光重合開始剤と、黒色顔料と、を含み、さらに形状安定剤として、有機顔料を含有している。
【0013】
〔光重合性化合物〕
「光重合性化合物」とは、紫外線等の光の照射を受けて重合し、硬化する物質をいう。光重合性化合物としては、エチレン性二重結合を有する化合物が好ましい。
【0014】
<エチレン性二重結合を有する化合物>
エチレン性二重結合を有する化合物としては、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸、フマル酸モノメチル、フマル酸モノエチル、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、エチレングリコールモノメチルエーテルアクリレート、エチレングリコールモノメチルエーテルメタクリレート、エチレングリコールモノエチルエーテルアクリレート、エチレングリコールモノエチルエーテルメタクリレート、グリセロールアクリレート、グリセロールメタクリレート、アクリル酸アミド、メタクリル酸アミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、イソブチルアクリレート、イソブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ブチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、テトラメチロールプロパンテトラアクリレート、テトラメチロールプロパンテトラメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、カルドエポキシジアクリレート等のモノマー、オリゴマー類;多価アルコール類と1塩基酸又は多塩基酸を縮合して得られるポリエステルプレポリマーに(メタ)アクリル酸を反応して得られるポリエステル(メタ)アクリレート、ポリオール基と2個のイソシアネート基を持つ化合物を反応させた後、(メタ)アクリル酸を反応して得られるポリウレタン(メタ)アクリレート;ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノール又はクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、レゾール型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、ポリカルボン酸ポリグリシジルエステル、ポリオールポリグリシジルエステル、脂肪族又は脂環式エポキシ樹脂、アミンエポキシ樹脂、ジヒドロキシベンゼン型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸を反応して得られるエポキシ(メタ)アクリレート樹脂等が挙げられる。さらに前記エポキシ(メタ)アクリレート樹脂に多塩基酸無水物を反応させた樹脂を用いることができる。これらの化合物には、アクリロイル基またはメタクリロイル基が導入されているところから架橋効率が高められ、塗膜の耐光性、耐薬品性が優れている。
【0015】
中でも分子内にカルド構造を有する樹脂を用いることが好ましい。カルド構造を有する樹脂は耐熱性や耐薬品性が高いため、光重合性化合物に用いることによって黒色感光性組成物の耐熱性及び耐薬品性を向上させることができる。具体的には下記の一般式(1)で示される樹脂を用いることが好ましい。
【化1】

式中、Xは、下記一般式(2)で示される基であり、Yはジカルボン酸無水物からカルボン酸無水物基(−CO−O−CO−)を除いた残基であり、Zはテトラカルボン酸二無水物から2個のカルボン酸無水物基を除いた残基であり、nは1から20の整数である。
【化2】

【0016】
前記Yを誘導するジカルボン酸無水物(カルボン酸無水物基を除く前のジカルボン酸無水物)の具体例としては、例えば無水マレイン酸、無水コハク酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水メチルエンドメチレンテトラヒドロフタル酸、無水クロレンド酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水グルタル酸等が挙げられる。
また、前記Zを誘導するテトラカルボン酸二無水物(2個のカルボン酸無水物基を除く前のテトラカルボン酸二無水物)の具体例としては、例えば無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物等のテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。
【0017】
さらに、上記エチレン性二重結合を有する化合物は、質量平均分子量が1,000以上のものを用いることが好ましい。質量平均分子量を1,000以上にすることにより塗膜を均一にすることができる。また、質量平均分子量が100,000以下にすることが好ましい。質量平均分子量を100,000以下にすることにより現像性を良好にすることができる。本発明では、この質量平均分子量が1,000以上のエチレン性二重結合を有する化合物を、エチレン性二重結合を有する高分子化合物と称することとする。
【0018】
さらに、上記エチレン性二重結合を有する高分子化合物は、光重合性モノマーと組み合わせて用いることが好ましい。この光重合性モノマーとしては、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、テトラメチロールプロパンテトラアクリレート、テトラメチロールプロパンテトラメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、カルドエポキシジアクリレート、アクリル酸、メタクリル酸等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。中でも、多官能性光重合性モノマーが好ましい。このようにエチレン性二重結合を有する高分子化合物と光重合性モノマーと組み合わせることにより、硬化性を向上させ、パターン形成を容易にすることができる。
【0019】
上記では、光重合性化合物として、その分子自体が重合可能なものを挙げたが、本発明では、高分子バインダーと光重合性モノマーとの混合物も光重合性化合物に含まれるものとする。
高分子バインダーとしては、現像の容易さからアルカリ現像が可能なバインダーであることが好ましい。
【0020】
具体的には、高分子バインダーとして、アクリル酸、メタクリル酸等のカルボキシル基を有するモノマーと、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、N−ブチルアクリレート、N−ブチルメタクリレート、イソブチルアクリート、イソブチルメタクリレート、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、フェノキシアクリレート、フェノキシメタクリレート、イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、スチレン、アクリルアミド、アクリロニトリル等との共重合体、およびフェノールノボラック型エポキシアクリレート重合体、フェノールノボラック型エポキシメタクリレート重合体、クレゾールノボラック型エポキシアクリレート重合体、クレゾールノボラック型エポキシメタクリレート重合体、ビスフェノールA型エポキシアクリレート重合体、ビスフェノールS型エポキシアクリレート重合体等の樹脂が挙げられる。前記樹脂を構成するアクリル酸、メタクリル酸等のカルボキシル基を有するモノマー成分の含有量は、5モル%から40モル%の範囲が好ましい。
【0021】
上記高分子バインダーの質量平均分子量の好ましい範囲は、1,000から100,000である。質量平均分子量を1,000以上にすることにより塗膜を均一にすることができる。また、質量平均分子量を100,000以下にすることにより現像性を良好にすることができる。
【0022】
光重合性化合物として、高分子バインダーと光重合性モノマーとを含む場合、高分子バインダーは、高分子バインダーと光重合性モノマーと光重合性開始剤との合計100質量部当たり10質量部から60質量部の範囲で配合されるのがよい。配合量を10質量部以上にすることにより、塗布、乾燥時に膜を形成しやすくすることができ、硬化後の被膜強度を十分高めることができる。また、配合量を60質量部以下とすることにより、現像性を良好にすることができる。
【0023】
また、光重合性モノマーは、高分子バインダーと光重合性モノマーと光重合性開始剤との合計100質量部当り15質量部から50質量部の範囲で配合されることが好ましい。前記配合量が15質量部以上にすることにより、光硬化不良を防止し、十分な耐熱性、耐薬品性を得ることができる。また50質量部以下にすることにより、塗膜形成能を良好にすることができる。
【0024】
〔光重合開始剤〕
光重合開始剤としては、例えば、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、ビス(4−ジメチルアミノフェニル)ケトン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾル−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、4−ベンゾイル−4’−メチルジメチルスルフィド、4−ジメチルアミノ安息香酸、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸ブチル、4−ジメチルアミノ−2−エチルヘキシル安息香酸、4−ジメチルアミノ−2−イソアミル安息香酸、ベンジル−β−メトキシエチルアセタール、ベンジルジメチルケタール、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、o−ベンゾイル安息香酸メチル、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、チオキサンテン、2−クロロチオキサンテン、2,4−ジエチルチオキサンテン、2−メチルチオキサンテン、2−イソプロピルチオキサンテン、2−エチルアントラキノン、オクタメチルアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン、2,3−ジフェニルアントラキノン、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキシド、クメンパーオキシド、2−メルカプトベンゾイミダール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(m−メトキシフェニル)−イミダゾリル二量体、ベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、p,p'−ビスジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、3,3−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン−n−ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、アセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアセトフェノン、p−ジメチルアミノプロピオフェノン、ジクロロアセトフェノン、トリクロロアセトフェノン、p−tert−ブチルアセトフェノン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、p−tert−ブチルトリクロロアセトフェノン、p−tert−ブチルジクロロアセトフェノン、α,α−ジクロロ−4−フェノキシアセトフェノン、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、ジベンゾスベロン、ペンチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、9−フェニルアクリジン、1,7−ビス−(9−アクリジニル)ヘプタン、1,5−ビス−(9−アクリジニル)ペンタン、1,3−ビス−(9−アクリジニル)プロパン、p−メトキシトリアジン、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(5−メチルフラン−2−イル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(フラン−2−イル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(3,4−ジメトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−エトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−n−ブトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(3−ブロモ−4−メトキシ)フェニル−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(2−ブロモ−4−メトキシ)フェニル−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(3−ブロモ−4−メトキシ)スチリルフェニル−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(2−ブロモ−4−メトキシ)スチリルフェニル−s−トリアジン等を挙げることができる。これらの光重合開始剤は、単独又は2種以上組み合わせて用いてもよい。
この光重合開始剤は、上記光重合性化合物と光重合開始剤との合計100質量部に対して、1質量部から40質量部含まれることが好ましい。
【0025】
[黒色顔料]
この黒色顔料としては、遮光性のある顔料であれば、特に限定されるものではなく、具体的には、カーボンブラック、チタンブラック、銅、鉄、マンガン、コバルト、クロム、ニッケル、亜鉛、カルシウム、銀等の金属酸化物、複合酸化物、金属硫化物、金属硫酸鉛又は金属炭酸塩等の無機顔料等も挙げられる。これらの黒色顔料の中でも、高い遮光性を有するカーボンブラックを用いることがより好ましい。
【0026】
カーボンブラックとしては、チャンネルブラック、ファーネスブラック、サーマルブラック、ランプブラック等公知のカーボンブラックを用いることができる。また、樹脂被覆カーボンブラックを用いることが好ましい。
【0027】
この樹脂被覆カーボンブラックは、樹脂被覆されていないカーボンブラックに比べて導電性が低いことから、液晶ディスプレィのような液晶表示素子のブラックマトリクスとして用いた場合に電流のリークが少なく、信頼性の高い液晶ディスプレィを形成できる。
【0028】
また、分散剤としては、ポリエチレンイミン系、ウレタン樹脂系、アクリル樹脂系の高分子分散剤を用いることが好ましい。
これらの分散剤としては、例えば、ビックケミー・ジャパン株式会社製の商品名BYK−161、162、163、164、166、170、182、ゼネカ株式会社製の商品名ソルスパースS3000、S9000、S17000、S20000、S27000、S24000、S26000、S28000等を挙げることができる。
【0029】
[形状安定剤]
本発明に係る黒色感光性組成物は、形状安定剤として、有機顔料を含有する。この有機顔料を含有することにより、熱に対して安定なブラックマトリクスを形成することができる。また、この有機顔料は、黒色顔料の色を調整することも可能となる。さらに、有機顔料を添加することによって、高温で処理しても形状の安定なパターンを形成することが可能となる。
【0030】
また、この有機顔料を添加することにより、ブラックマトリクスを形成した際に、パターンのテーパー角を調整することができる。
【0031】
このような有機顔料としては、カラーインデックス(C.I.;The Society of Dyers and Colourists社発行)においてピグメント(Pigment)に分類されている化合物、具体的には、下記のようなカラーインデックス(C.I.)番号が付されているものが挙げられる。
【0032】
C.I.ピグメントイエロー1(以下、「C.I.ピグメントイエロー」は同様で番号のみ記載する。)、3、11、12、13、14、15、16、17、20、24、31、53、55、60、61、65、71、73、74、81、83、86、93、95、97、98、99、100、101、104、106、108、109、110、113、114、116、117、119、120、125、126、127、128、129、137、138、139、147、148、150、151、152、153、154、155、156、166、167、168、175、180、185;
【0033】
C.I.ピグメントオレンジ1(以下、「C.I.ピグメントオレンジ」は同様で番号のみ記載する。)、5、13、14、16、17、24、34、36、38、40、43、46、49、51、55、59、61、63、64、71、73;
C.I.ピグメントバイオレット1(以下、「C.I.ピグメントバイオレット」は同様で番号のみ記載する。)、19、23、29、30、32、36、37、38、39、40、50;
【0034】
C.I.ピグメントレッド1(以下、「C.I.ピグメントレッド」は同様で番号のみ記載する。)、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、40、41、42、48:1、48:2、48:3、48:4、49:1、49:2、50:1、52:1、53:1、57、57:1、57:2、58:2、58:4、60:1、63:1、63:2、64:1、81:1、83、88、90:1、97、101、102、104、105、106、108、112、113、114、122、123、144、146、149、150、151、155、166、168、170、171、172、174、175、176、177、178、179、180、185、187、188、190、192、193、194、202、206、207、208、209、215、216、217、220、223、224、226、227、228、240、242、243、245、254、255、264、265;
【0035】
C.I.ピグメントブルー1(以下、「C.I.ピグメントブルー」は同様で番号のみ記載する。)、2、15、15:3、15:4、15:6、16、22、60、64、66;
C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントグリーン36、C.I.ピグメントグリーン37;
C.I.ピグメントブラウン23、C.I.ピグメントブラウン25、C.I.ピグメントブラウン26、C.I.ピグメントブラウン28;
C.I.ピグメントブラック1、ピグメントブラック7。
【0036】
また、上述のように、有機顔料は、形状安定剤としてだけではなく、カーボンブラックの補助顔料として機能する場合がある。補助顔料としては例えば、フタロシアニン系顔料、アゾ系顔料及び、塩基性染料レーキ顔料等が挙げられる。
【0037】
有機顔料と黒色顔料との質量比は、10:2から10:10であることが好ましく、10:4から10:7であることがより好ましい。
【0038】
また、前記有機顔料と前記黒色顔料との合計量は、光重合性化合物および光重合開始剤の全質量に対して60質量%から120質量%であることが好ましく、70質量%から105質量%であることがより好ましい。合計量が80質量%以下にすることにより、適切な感度を得ることができる。また、合計量が10質量%以上にすることにより、遮光性を高め、ブラックマトリクスとしての機能を十分果たすようになる。
有機顔料の中で好ましいものとしては、C.I.ピグメントブルー15:6、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントイエロー139が挙げられる。これらの有機顔料は、遮光性の向上、形状安定性の向上をより促進させることができる。
【0039】
[その他の成分]
本発明に係る黒色感光性組成物では、必要に応じて添加剤を配合することができる。具体的には、増感剤、硬化促進剤、光架橋剤、光増感剤、分散剤、分散助剤、充填剤、密着促進剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、凝集防止剤等が挙げられる。
【0040】
また、黒色顔料の濃度は、後述するように本発明に係る黒色感光性組成物を用いてブラックマトリックスを形成した際に、黒色感光性組成物の膜厚1μmあたりのOD(Optical Density)値が、4以上となるように調整することが好ましい。黒色感光性組成物の膜厚1μmあたりのOD値が4以上あれば、液晶ディスプレィのブラックマトリックスに用いた場合に、十分な表示コントラストを得ることができる。
【0041】
また、本発明に係る黒色感光性組成物を用いてブラックマトリクスを形成する際には、後述するように、基板上に本発明の黒色感光性組成物を塗布、乾燥して膜を形成する。このときの塗布性の改善、光硬化後の物性改善のために、上記成分に加えてさらに結合剤として高分子バインダーを含有してもよい。結合剤は相溶性、被膜形成性、現像性、接着性等改善目的に応じて適宜選択すればよい。
【0042】
基板上に形成されたブラックマトリクスの厚みとしては、通常0.5μmから10μmの範囲内で設定することができ、好ましくは1μmから5μm、さらに好ましくは2μmから4μmである。膜厚が2μm以上であれば、通常のカラーフィルタ用ブラックマトリクスとして使用することができるだけではなく、インクジェット方式のカラーフィルタの隔壁として使用することができる。
【0043】
また、このブラックマトリクスを隔壁として用いる場合には、プロファイル角が、50°以上であることが好ましく、70°以上であることがより好ましい。さらに、このプロファイル角は、90°未満であることが好ましい。ここで、「プロファイル角」とは、基板表面と、パターンの斜面とがなす角度をいう。また、上記隔壁は開口部を有するように形成される。
【0044】
インクジェット方式でカラーフィルタを形成する場合、インク組成物が隔壁の開口部の外へはみ出してしまうことがある。しかしながら、プロファイル角を50°以上とすることによって、インク組成物が多少はみ出しても、はみ出したインク組成物を開口部内に戻すことができるため、はみ出しを防止することが可能となる。
【0045】
また、本発明に係る黒色感光性組成物は、希釈のための溶剤や、熱重合禁止剤、消泡剤、界面活性剤等を添加してもよい。
【0046】
ここで、黒色感光性組成物に添加可能な溶剤としては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等の他のエーテル類;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン等のケトン類;2−ヒドロキシプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル等の乳酸アルキルエステル類;2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸メチル、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルプロピオネート、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸i−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、ぎ酸n−ペンチル、酢酸i−ペンチル、プロピオン酸n−ブチル、酪酸エチル、酪酸n−プロピル、酪酸i−プロピル、酪酸n−ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸n−プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−オキソブタン酸エチル等の他のエステル類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類等が挙げられる。これらの溶剤は、単独又は2種以上を混合して使用することができる。
【0047】
中でもプロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、シクロヘキサノン、3−メトキシブチルアセテートは、光重合性化合物、光重合開始剤に対して優れた溶解性を示すとともに、黒色顔料等の不溶性成分の分散性を良好にすることができるため、好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシブチルアセテートを用いることが特に好ましい。溶剤は、光重合性化合物、光重合開始剤及び着色剤の合計100質量部に対して50質量部から500質量部の範囲で用いることができる。
【0048】
また、熱重合禁止剤としてはヒドロキノン、ヒドロキノンモノエチルエーテル等を用いることができる。また、消泡剤としてはシリコーン系、フッ素系化合物を、界面活性剤としてはアニオン系、カチオン系、ノニオン系等の公知の各種熱重合禁止剤を用いることができる。
【0049】
本発明に係る黒色感光性組成物の製造方法としては、上述の光重合性化合物と、光重合開始剤と、着色剤、これらを全て攪拌機で混合することにより得られる。なお、得られた混合物が均一なものとなるようフィルタを用いて濾過してもよい。
【0050】
[ブラックマトリクス、スペーサ、およびインクジェット用隔壁の形成]
まず、本発明に係る黒色感光性組成物を、基板上にロールコータ、リバースコータ、バーコータ等の接触転写型塗布装置やスピンナー(回転式塗布装置)、カーテンフローコータ等の非接触型塗布装置を用いて塗布する。基板は、光透過性を有する基板が用いられる。
【0051】
ガラス基板と黒色感光性組成物との密着性を向上させるために、予めガラス基板上にシランカップリング剤を塗布しておいてもよい。あるいは黒色感光性組成物の調製時にシランカップリング剤を添加しておいてもよい。
【0052】
この黒色感光性組成物を塗布後、乾燥させて溶剤を除去する。乾燥方法は特に限定されず、例えば(1)ホットプレートにて80℃から120℃、好ましくは90℃から100℃の温度にて60秒間から120秒間乾燥する方法、(2)室温にて数時間から数日放置する方法、(3)温風ヒータや赤外線ヒータ中に数十分から数時間入れて溶剤を除去する方法、のいずれの方法を用いてもよい。
【0053】
次いで、ネガ型のマスクを介して、紫外線、エキシマレーザー光等の活性性エネルギー線を照射して部分的に露光する。照射するエネルギー線量は、黒色感光性組成物の組成によっても異なるが、例えば30mJ/cmから2000mJ/cm程度が好ましい。
【0054】
次いで、露光後の膜を、現像液により現像することによって所望の形状にパターニングする。現像方法は特に限定されず、例えば浸漬法、スプレー法等を用いることができる。現像液としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の有機系のものや、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、アンモニア、4級アンモニウム塩等の水溶液が挙げられる。
【0055】
次いで、現像後のパターンを200℃程度でポストベークを行う。また、形成されたパターンを全面露光することが好ましい。
以上により、所定の形状を有するブラックマトリクス、スペーサまたはインクジェット方式カラーフィルタ形成用隔壁を形成することができる。
【0056】
[カラーフィルタの形成]
上記の方法により形成されたブラックマトリクスを有するカラーフィルタの製造工程について説明する。
(1)リソグラフィ方式(リソグラフィ法)によるカラーフィルタの形成
上記ブラックマトリクスの形成された基板上に、通常R、G、Bの3原色の着色材を含む黒色感光性組成物を用いて、一色ごとに、上記ブラックマトリクスの形成と同様にして、順次着色層を形成する。これによりカラーフィルタを形成することができる。
【0057】
(2)インクジェット方式によるカラーフィルタの形成
インクジェット方式によりカラーフィルタを形成する際には、本発明の黒色感光性組成物から形成されたインクジェット方式カラーフィルタ形成用隔壁を用いる。この隔壁は、黒色であるため、ブラックマトリクスとしての役割も同時に果たす。そして、この隔壁は、インクを溜めるための開口部(隔壁に囲まれた部位)を有するように形成される。
具体的には、まず、R、G、Bのインクを、上記開口部にインクジェット方式で吐出して隔壁内に溜める。次いで、溜められたインクを熱あるいは光で硬化させる。これにより、カラーフィルタを形成することができる。
【0058】
本発明に係る黒色感光性組成物は、パターンを形成した際の、パターン表面におけるシワの発生を抑制することが可能である。従って、良好なブラックマトリクスを形成することができる。また、特にスペーサには、液晶層の厚み(セルギャップ)の正確さが要求される。本発明の黒色感光性組成物から形成されたスペーサによれば、シワの発生が抑制されており、セルギャップをより正確に保持することが可能となる。さらに、本発明の黒色感光性組成物から形成されたスペーサは、遮光性を有しているため、光の反射を抑制することができる。これにより良好な表示が可能な表示装置を製造することができる。
【実施例】
【0059】
以下に、本発明を実施例に基づいて説明する。
[合成例1]
ベンジルメタクリレート56質量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート36質量部、グリシジルメタクリレート78質量部を、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート250質量部に溶解させ、アゾビスイソブチロニトリル2質量部を加え、加熱重合を行った。
その後、重合禁止剤としてメチルヒドロキノン2質量部を溶解させたアクリル酸40質量部を添加し反応させた。次いで、テトラヒドロフタル酸無水物42質量部を加えて反応させ、樹脂を得た。得られた樹脂の質量平均分子量は3000であった。
【0060】
[実施例1〜6、比較例1]
表1の各成分を混合し、溶剤以外の固形分の濃度が25質量%となるように、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートで調整して、黒色感光性組成物を得た。
【表1】

【0061】
表中の各成分名の略称と正式名称の対応は以下の通りである。
DPHA:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
イルガキュア369:2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1(チバスペシャルティケミカル社製)
ブルー分散液:ブルー顔料分散液CFブルーUM(C.I.ピグメントブルー15:6、20質量%含有:御国色素製)
カーボン分散液:「カーボン分散液CFブラックEX−1455」(高抵抗カーボン24質量%含有:御国色素製)
レッド分散液:「CFレッドEX−109」(C.I.ピグメントレッド177、アントラキノン系赤顔料20質量%含有)
イエロー分散液:「CFイエローHM」(C.I.ピグメントイエロー139、モノアゾ系黄色顔料20質量%含有)
【0062】
(ブラックマトリクスの形成)
得られた黒色感光性組成物をガラス基板上にスピンコーターを用いて塗布し、90度で2分間乾燥させて黒色感光性組成物層を形成した。
次いで、この黒色感光性組成物層にネガマスクを介して紫外線を選択的に照射した。その後、2.38%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液で現像し、220℃のオーブン中で30分間ポストベークすることにより、厚さ2.5μmのブラックマトリクスパターンを形成した。
【0063】
(評価)
上記形成されたブラックマトリクスについて、シワの発生、OD値、テーパー角について評価した。その結果を表2に示す。
【表2】





【特許請求の範囲】
【請求項1】
光重合性化合物と、光重合開始剤と、黒色顔料と、を含有する黒色感光性組成物であって、
形状安定剤として、有機顔料を含有する黒色感光性組成物。
【請求項2】
前記黒色顔料は、カーボンブラックである請求項1に記載の黒色感光性組成物。
【請求項3】
前記黒色顔料と前記有機顔料との質量比は、10:2から10:10である請求項1または2に記載の黒色感光性組成物。
【請求項4】
前記有機顔料と前記黒色顔料との合計量は、溶剤以外の全固形成分に対して60質量%から120質量%である請求項1から3いずれかに記載の黒色感光性組成物。
【請求項5】
前記有機顔料は、C.I.ピグメントブルー15:6、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントイエロー139から選択される少なくとも1種を含む系顔料である請求項1から4いずれかに記載の黒色感光性組成物。
【請求項6】
前記2μm以上の厚膜形成用である請求項1から5のいずれかに記載の黒色感光性組成物。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載の黒色感光性組成物から形成されたブラックマトリクス。
【請求項8】
光学密度が4以上である請求項7に記載のブラックマトリクス。
【請求項9】
プロファイル角が50°以上である請求項7または8に記載のブラックマトリクス。
【請求項10】
請求項1から6いずれかに記載の黒色感光性組成物により形成され、プロファイル角が50°以上であるインクジェット方式カラーフィルタ用隔壁。
【請求項11】
請求項1から6のいずれかに記載の黒色感光性組成物により形成された液晶表示素子用スペーサ。

【公開番号】特開2007−249046(P2007−249046A)
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−75284(P2006−75284)
【出願日】平成18年3月17日(2006.3.17)
【出願人】(000220239)東京応化工業株式会社 (1,407)
【Fターム(参考)】