説明

2コンバータ方式電源装置の制御方法及び電源装置

【課題】スイッチングロスを低減し電力変換効率を向上することができるとともに装置の小型化を実現できる2コンバータ方式電源装置の制御方法及び電源装置を提供する。
【解決手段】第1のコンバータCV1と第2のコンバータCV2との間に選択スイッチング素子Qsを接続するとともに、整流回路2と第2のコンバータCV2との間に逆止用ダイオードDsを接続する。電圧検出回路10は、整流回路2からの電源電圧が予め定めた値以上かどうかを判定し、電源電圧が予め定めた値以上と判定したとき、選択スイッチング素子Qsをオフさせて整流回路2からの電源電圧Vddを逆止用ダイオードDsを介して第2のコンバータCV2に入力させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2コンバータ方式電源装置の制御方法及び電源装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、商用電源から安定した所望の直流電圧を得るために、2コンバータ方式の電源装置が種々提案されている(例えば、特許文献1)。
従来の2コンバータ方式の電源装置では、前段に力率改善のためのコンバータ(PFCコンバータ)を設け、後段には電流制御のためのコンバータ(DC/DCコンバータ)が設けたものが一般である。
【0003】
PFCコンバータは、商用電源よりも高い周波数の駆動信号にてスイッチング素子をスイッチング制御して、インダクタに対してエネルギの蓄積と放出を繰り返させる。そして、PFCコンバータは、スイッチング素子がオフのときインダクタに蓄積されたエネルギをキャパシタに放出させる。これによって、PFCコンバータは、力率改善してキャパシタに対して商用電源の電源電圧よりも高い所望の値に昇圧された直流電圧を充電させる。
【0004】
また、DC/DCコンバータは、同じく商用電源の電源周波数よりも高い周波数の駆動信号にてスイッチング素子をスイッチング制御する。そして、DC/DCコンバータは、PFCコンバータにて充電されたキャパシタの充電電荷が放出されることで流れる電流をインダクタによって限流して所望の電流値にして負荷に供給するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−238435号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、この種の2コンバータ方式の電源装置においては、2つの独立したコンバータが、縦続接続され、2つのコンバータを通ることから、スイッチングロスが大きく電力変換効率に低下を招いていた。また、力率改善のためにPFCコンバータを付加することから、電源装置が大型化する問題があった。
【0007】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、その目的は、スイッチングロスを低減し電力変換効率を向上することができるとともに、装置の小型化を実現できる2コンバータ方式電源装置の制御方法及び電源装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の2コンバータ方式電源装置の制御方法は、第1のスイッチング素子をスイッチングすることにより、整流回路にて整流された電源電圧を電圧変換してキャパシタに充電する第1のコンバータと、第2のスイッチング素子をスイッチングすることにより、前記第1のコンバータにて充電されたキャパシタの充電電荷を放出させることで流れる電流を制御して負荷に供給する第2のコンバータとを備えた2コンバータ方式電源装置の制御方法であって、前記整流回路からの電源電圧を検出し、その電源電圧が予め定めた値以上のときには、その時の電源電圧を、直接、前記第2のコンバータに入力し、前記電源電圧が予め定めた値未満のときには、その時の電源電圧を、前記第1のコンバータを介して前記第2のコンバータに入力するようにしたことを特徴とする。
【0009】
また、上記構成において、前記第1のコンバータは、第1のインダクタ及び前記第1のスイッチング素子を備え、前記第1のスイッチング素子をスイッチングすることにより、前記第1のインダクタに印加された前記整流回路からの整流された電源電圧を電圧変換して前記キャパシタに充電するブーストコンバータであり、前記第2のコンバータは、第2のインダクタ及び前記第2のスイッチング素子を備え、前記第2のスイッチング素子をスイッチングすることにより、前記キャパシタの充電電荷を放出させることで流れる電流を前記第2のインダクタによって限流して負荷に供給するバックコンバータであることが好ましい。
【0010】
上記課題を解決するために、本発明の電源装置は、第1のスイッチング素子をスイッチングすることにより、整流回路にて整流された電源電圧を電圧変換してキャパシタに充電する第1のコンバータと、第2のスイッチング素子をスイッチングすることにより、前記キャパシタの充電電荷を放出させることで流れる電流を制御して負荷に供給する第2のコンバータとを備えた電源装置であって、前記第1のコンバータと前記第2のコンバータとの間を接続する第1接続回路と、前記整流回路と前記第2のコンバータとの間を接続する第2接続回路と、前記整流回路からの整流された電源電圧を入力し、その電源電圧が予め定めた値以上かどうかを判定する判定回路と、前記判定回路にてその時の前記電源電圧が予め定めた値以上と判定されたとき、前記第1接続回路を非接続にして第2接続回路を選択するとともに、前記判定回路にてその時の前記電源電圧が予め定めた値未満と判定されたとき、前記第2接続回路を選択する選択回路とを備えたことを特徴とする。
【0011】
また、上記構成において、前記第1のコンバータは、第1のインダクタ及び前記第1のスイッチング素子を備え、前記第1のスイッチング素子をスイッチングすることにより、前記第1のインダクタに印加された前記整流回路からの整流された電源電圧を電圧変換して前記キャパシタに充電するブーストコンバータであり、前記第2のコンバータは、第2のインダクタ及び前記第2のスイッチング素子を備え、前記第2のスイッチング素子をスイッチングすることにより、前記キャパシタの充電電荷を放出させることで流れる電流を前記第2のインダクタによって限流して負荷に供給するバックコンバータであることが好ましい。
【0012】
また、上記構成において、前記第2のコンバータからの電流が供給される前記負荷は、複数個の負荷が直列に接続された負荷であり、前記第2のコンバータの第2のスイッチング素子は、前記各負荷に対してそれぞれ設けられ、それぞれ対応する負荷に対して並列に接続されものであることが好ましい。
【0013】
また、上記構成において、前記第1接続回路は、第1の選択スイッチング素子であり、前記判定回路にて選択された時、該第1の選択スイッチング素子は、前記第2のスイッチング素子を兼用して前記スイッチング動作するものであり、前記第2接続回路は、第2の選択スイッチング素子であり、前記判定回路にて選択された時、該第2選択スイッチング素子は、前記第2のスイッチング素子を兼用して前記スイッチング動作することが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、スイッチングロスを低減し電力変換効率を向上することができるとともに、装置の小型化を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】第1実施形態の電源装置の電気回路図。
【図2】全波整流回路の電源電圧波形の山領域と谷領域を説明する波形図。
【図3】第2実施形態の電源装置の電気回路図。
【図4】第3実施形態の電源装置の電気回路図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(第1実施形態)
以下、本発明を具体化した電源装置の第1実施形態を図面に従って説明する。
図1に示すように、電源装置1は、商用電源Gをダイオードブリッジよりなる全波整流回路2にて整流し、その整流した電源電圧Vddを電圧変換してキャパシタCに充電する第1のコンバータCV1を有する。また、電源装置1は、第1のコンバータCV1で充電したキャパシタCの充電電圧Vchに基づいて負荷LDに供給する電流を制御する第2のコンバータCV2を有している。
【0017】
(第1のコンバータCV1)
第1のコンバータCV1は、本実施形態では力率改善型のブーストコンバータであって、第1のインダクタL1、第1のスイッチング素子Q1及び第1のダイオードD1を備えている。
【0018】
第1のインダクタL1は、磁性体に巻回されたインダクタであって、その入力側端子が整流回路2の正極端子PT1に接続され、出力側端子が第1のスイッチング素子Q1に接続されている。
【0019】
第1のスイッチング素子Q1は、NチャネルのMOSトランジスタよりなり、第1端子が第1のインダクタL1に接続され、第2端子が整流回路2の負極端子NT1に接続されている。第1のスイッチング素子Q1の制御端子には、第1の制御回路5から第1駆動信号CT1が入力され、第1のスイッチング素子Q1は、同第1駆動信号CT1に基づいてスイッチング動作(オン・オフ動作)する。
【0020】
本実施形態では、第1の制御回路5は、第1のインダクタL1の電流I1を検出する図示しない電流検出回路を有し、常時、第1のインダクタL1の電流I1を検出している。そして、第1の制御回路5は、第1のインダクタL1を流れる電流I1がゼロになった時、第1のスイッチング素子Q1を、オフからオンさせる第1駆動信号CT1を生成し、第1のスイッチング素子Q1に出力する。
【0021】
即ち、第1のコンバータCV1は、電流臨界モード(BCM)のコンバータである。従って、第1の制御回路5が電流検出回路の電流検出に基づいて生成する第1駆動信号CT1は、商用電源Gよりも高い周波数の駆動信号となる。
【0022】
第1のインダクタL1の出力側端子と第1のスイッチング素子Q1の第1端子との接続点であるノードN1には、第1のダイオードD1のアノード端子が接続されている。第1のダイオードD1は、逆止用のダイオードであって、そのカソード端子にキャパシタCの正極端子と接続されている。キャパシタCは、平滑用のキャパシタであって、その負極端子が第1のスイッチング素子Q1の第2端子に接続されているとともに、整流回路2の負極端子NT1に接続されている。
【0023】
ここで、第1のスイッチング素子Q1が、商用電源Gよりも高い周波数の第1駆動信号CT1にてスイッチング動作されていることから、第1のインダクタL1は、第1のスイッチング素子Q1のスイッチング動作によって、エネルギの蓄積と放出を繰り返す。そして、第1のインダクタL1は、第1のスイッチング素子Q1がオフのとき蓄積していたエネルギをキャパシタCに放出させる。これによって、キャパシタCは、商用電源Gの電源電圧よりも高い昇圧された直流電圧に充電される。
【0024】
つまり、全波整流回路2は、整流した電源電圧VddがキャパシタCの充電電圧より大きい時には、同全波整流回路2を構成するダイオードに電流に電流を流すことができる。反対に、全波整流回路2は、整流した電源電圧VddがキャパシタCの充電電圧より以下の時には、ダイオードに電流に電流を流すことができない。詳述すると、第1のインダクタL1には所定の期間しか電流が流れないことになり、導通角が狭く電流波形は正弦波とかけ離れた波形となり、多くの高調波成分を含む電流となる。
【0025】
そこで、第1のスイッチング素子Q1をスイッチング動作させることによって、第1のインダクタL1に、流れる電流波形を正弦波に近づけている。
キャパシタCの正極端子は、第2のコンバータCV2に対する正極側出力端子PT2に接続されている。一方、キャパシタCの負極端子は、第2のコンバータCV2に対する負極側出力端子NT2に接続されている。
【0026】
正極側出力端子PT2は、第2接続回路としての選択スイッチング素子Qsを介して、第2のコンバータCV2の正極側入力端子PT3に接続されている。選択スイッチング素子Qsは、NチャネルMOSトランジスタよりなり、第1端子が第1のコンバータCV1の正極側出力端子PT2(キャパシタCの正極端子)に接続され、第2端子が第2のコンバータCV2の正極側入力端子PT3に接続されている。
【0027】
また、第2のコンバータCV2の正極側入力端子PT3は、第1接続回路としての逆止用ダイオードDsを介して、整流回路2に正極端子PT1に接続されている。逆止用ダイオードDsは、アノード端子が整流回路2に正極端子PT1に接続され、カソード端子が第2のコンバータCV2の正極側入力端子PT3に接続されている。
【0028】
これによって、第2のコンバータCV2は、逆止用ダイオードDsを介して、整流回路2が生成した電源電圧Vddを直接入力することができるとともに、選択スイッチング素子Qsを介して、キャパシタCの充電電圧Vchを入力することができることになる。
【0029】
(第2のコンバータCV2)
第2のコンバータCV2は、本実施形態では降圧型のバックコンバータであって、第2のスイッチング素子Q2、第2のダイオードD2及び第2のインダクタL2を備えている。第2のスイッチング素子Q2は、NチャネルMOSトランジスタよりなり、第1端子が第2のコンバータCV2の正極側入力端子PT3に接続され、第2端子が第2のインダクタL2の入力側端子と接続されている。第2のスイッチング素子Q2の制御端子には、第2の制御回路6から第2駆動信号CT2が入力され、第2のスイッチング素子Q2は同第2駆動信号CT2に基づいてスイッチング動作(オン・オフ動作)する。
【0030】
第2のインダクタL2は、磁性体に巻回されたインダクタであって、その出力側端子が第2のコンバータCV2の正極側出力端子PT4に接続され、その正極側出力端子PT4には負荷LDの正極入力端子が接続される。
【0031】
第2のインダクタL2の入力側端子と第2のスイッチング素子Q2の第2端子との接続点であるノードN2には、第2のダイオードD2のカソード端子が接続されている。第2のダイオードD2は、逆止用のダイオードであって、そのアノード端子が第2のコンバータCV2の負極側入力端子NT3に接続されている。
【0032】
なお、第2のコンバータCV2の負極側入力端子NT3は、負極側出力端子NT2に接続されているとともに、負極側出力端子NT4を介して負荷LDの負極入力端子に接続されている。
【0033】
ここで、第2のスイッチング素子Q2を商用電源Gの電源周波数よりも高い周波数の第2駆動信号CT2にてスイッチング動作させる。これによって、第2のコンバータCV2に入力されてくる電流を第2のインダクタL2によって限流し、負荷LDに供給する電流I2を所望の電流値にして負荷LDに供給する。
【0034】
本実施形態では、第2の制御回路6は、常時、負荷LDに供給する電流I2を検出する図示しない電流検出回路を有している。第2の制御回路6は、負荷LDに供給される電流I2が予め定めた値になるように、第2のスイッチング素子Q2をスイッチングさせる第2駆動信号CT2を生成し、出力する。
【0035】
即ち、第2のコンバータCV2は、電流制限型のコンバータである。従って、第2の制御回路6が電流検出回路の電流検出に基づいて生成する第2駆動信号CT2は、商用電源Gよりも高い周波数の駆動信号となる。これによって、第2のコンバータCV2に入力されてくる電流は第2のインダクタL2によって限流され、負荷LDに供給される電流I2は所望の電流値に制御されて負荷LDに供給される。
【0036】
整流回路2の正極端子PT1には、電圧検出回路10が接続されている。電圧検出回路10は、整流回路2が全波整流した電源電圧Vddを入力し、予め定めた基準電圧Vk以上あるかどうかを検出する。
【0037】
つまり、整流回路2が全波整流した電源電圧Vddの電圧波形が、図2に示す波形であったとき、図2に示す基準電圧Vk以上あるかどかを検出する。換言すると、電圧検出回路10は、その時々で図2に示すように変化する電源電圧Vddが基準電圧Vk以上の山領域Z1にあるか、反対に、変化する電源電圧Vddが基準電圧Vk未満の谷領域Z2にあるかを検出する。
【0038】
この山領域Z1と谷領域Z2を決める基準電圧Vkは、本実施形態では以下のように設定している。
第1のスイッチング素子Q1をスイッチング動作させない状態で、全波整流回路2が整流した電源電圧Vddが、キャパシタCの充電電圧より高くなって同全波整流回路2を構成するダイオードから電流が流れた時の電圧値を基準電圧Vkとして設定している。そして、この基準電圧Vkは、予め実験、試験、計算等で求めた値である。
【0039】
つまり、電源電圧Vddの山領域Z1は、第1のコンバータCV1で力率改善する必要がない領域である。反対に、電源電圧Vddの谷領域Z2は、第1のコンバータCV1で力率改善する必要がある領域である。
【0040】
電圧検出回路10は、本実施形態では、コンパレータよりなり、予め定めた基準電圧Vkと電源電圧Vddを比較する。そして、電圧検出回路10は、電源電圧Vddが基準電圧Vk以上の時、選択スイッチング素子Qsをオフ状態にするロウレベルの選択信号CTsを選択スイッチング素子Qsの制御端子に出力する。
【0041】
従って、電源電圧Vddが基準電圧Vk以上の山領域Z1にある時、第2のコンバータCV2は、直接、逆止用ダイオードDsを介して、その時の整流回路2が全波整流した電源電圧Vddを入力することになる。
【0042】
反対に、電圧検出回路10は、電源電圧Vddが基準電圧Vk未満の時、選択スイッチング素子Qsをオン状態にするハイレベルの選択信号CTsを選択スイッチング素子Qsの制御端子に出力する。従って、電源電圧Vddが基準電圧Vk未満の谷領域Z2にある時、第2のコンバータCV2は選択スイッチング素子Qsを介して、キャパシタCの充電電圧Vchを入力することになる。
【0043】
次に、上記のように構成した電源装置1の作用について説明する。
今、商用電源Gは整流回路2にて全波整流されている。整流回路2にて全波整流された電源電圧Vddは、電圧検出回路10及び第1のコンバータCV1に出力される。
【0044】
第1のコンバータCV1は、第1のスイッチング素子Q1のスイッチング動作に基づいて、入力した電源電圧Vddを電圧変換してキャパシタCに充電する。一方、電圧検出回路10は、入力した電源電圧Vddが山領域Z1にあるか、谷領域Z2にあるかどうかを基準電圧Vkと比較して検出する。
【0045】
そして、電源電圧Vddが山領域Z1にある時、電圧検出回路10は、選択スイッチング素子Qsをオフさせる。従って、整流回路2が整流した電源電圧Vddの山領域Z1の部分が逆止用ダイオードDsを介して、直接に第2のコンバータCV2に出力される。
【0046】
即ち、第1のコンバータCV1の昇圧動作なしに、第2のコンバータCV2を動作可能な電源電圧Vddの山領域Z1の部分を直接に入力することから、第2のコンバータCV2に入力される電力は、第1のコンバータCV1による電力ロスのない電力が入力される。
【0047】
反対に、電源電圧Vddが谷領域Z2にある時、電圧検出回路10は、選択スイッチング素子Qsをオンさせる。従って、充電電圧Vchに充電されたキャパシタCの充電電流が選択スイッチング素子Qsを介して第2のコンバータCV2に出力される。
【0048】
即ち、第2のコンバータCV2の動作に必要な電圧が不足し、整流回路2を直接、第2のコンバータCV2に接続しても、入力電流の導通角が狭くなる電源電圧Vddの谷領域Z2の部分については、第1のコンバータCV1にて電圧変換する。そして、従って、キャパシタCは、電源電圧Vddの谷領域Z2の部分について電圧変換された電圧を充電し、選択スイッチング素子Qsを介してその充電電流を第2のコンバータCV2に出力する。
【0049】
次に、上記のように構成した第1実施形態の効果を以下に記載する。
(1)上記第1実施形態によれば、電源電圧Vddが山領域Z1にある時、電圧検出回路10は、選択スイッチング素子Qsをオフさせ、整流回路2が整流した電源電圧Vddを第2のコンバータCV2に逆止用ダイオードDsを介して出力させる。従って、電源電圧Vddの山領域Z1部分は、第1のコンバータCV1にて電力ロスされずに、第2のコンバータCV2に入力される。
【0050】
また、電源電圧Vddが谷領域Z2にある時、電圧検出回路10は、選択スイッチング素子Qsをオンさせ、第1のコンバータCV1にて電圧変換され充電されたキャパシタCの充電電流を第2のコンバータCV2に選択スイッチング素子Qsを介して出力させる。従って、第1のコンバータCV1にて電源電圧Vddの谷領域Z2が力率改善され、第2のコンバータCV2に入力される。
(2)上記実施形態によれば、第1のコンバータCV1は、電源電圧Vddの谷領域Z2(基準電圧Vk未満の領域)について、電圧変換すればよいため、第1のコンバータCV1自身の回路構成を小型にして導通角を拡大できる。従って、電源装置1として小型高効率の電源装置を実現できる。
(第2実施形態)
次に、本発明を具体化した電源装置の第2実施形態を図面に従って説明する。
【0051】
本実施形態では、第2のコンバータCV2に特徴を有するものであり、第1のコンバータCV1は第1実施形態と同じ構成とした。そのため、説明の便宜上、異なる部分について詳細に説明し、第1実施形態と共通する部分は符号を同じにして詳細な説明は省略する。
【0052】
本実施形態では、図3に示すように、第2のコンバータCV2に設けた第3のスイッチング素子Q3が第1実施形態の第2のスイッチング素子Q2と選択スイッチング素子Qsを兼用するようにした。
【0053】
第3のスイッチング素子Q3は、第1端子が正極側入力端子PT3及び正極側出力端子PT2を介してキャパシタCの正極端子に接続され、第2端子が第2のインダクタL2の入力側端子と接続されている。第3のスイッチング素子Q3の制御端子には、第3の制御回路7から第3駆動信号CT3が入力され、第3のスイッチング素子Q3は同第3駆動信号CT3に基づいてスイッチング動作(オン・オフ動作)する。
【0054】
また、第2のインダクタL2と接続する第3のスイッチング素子Q3の第2端子と整流回路2に正極端子PT1との間には、第4のスイッチング素子Q4が接続されている。
第4のスイッチング素子Q4は、NチャネルMOSトランジスタよりなり、第1端子が整流回路2に正極端子PT1に接続され、第2端子が第2のインダクタL2の入力側端子と接続されている。第4のスイッチング素子Q4の制御端子には、第3の制御回路7から第4駆動信号CT4が入力され、第4のスイッチング素子Q4は同第4駆動信号CT4に基づいてスイッチング動作(オン・オフ動作)する。
【0055】
第3の制御回路7は、電圧検出回路10からの選択信号CTsを入力する。第3の制御回路7は、電圧検出回路10から電源電圧Vddが基準電圧Vk以上の時に出力されるロウレベルの選択信号CTsを入力すると、第3のスイッチング素子Q3を非選択し、第4のスイッチング素子Q4を選択する。反対に、電圧検出回路10から電源電圧Vddが基準電圧Vk未満の時に出力されるハイレベルの選択信号CTsを入力すると、第3のスイッチング素子Q3を選択に、第4のスイッチング素子Q4を非選択する。
【0056】
また、第3の制御回路7は、常時、負荷LDに供給する電流I2を検出する図示しない電流検出回路を有している。第3の制御回路7は、負荷LDに供給される電流I2が予め定めた値になるように、その時、選択状態にある第3又は第4のスイッチング素子Q3,Q4をスイッチングさせるための第3及び第4駆動信号CT3,CT4を生成する。即ち、第3の制御回路7は、第1実施形態の第2の制御回路6と同じ機能を有している。
【0057】
そして、第3の制御回路7は、第3のスイッチング素子Q3が選択されている時(電源電圧Vddが基準電圧Vk未満の時)には、第3のスイッチング素子Q3に対しスイッチングのための第3駆動信号CT3を出力する。これに対し、第3の制御回路7は、第4のスイッチング素子Q4には常時オフとなる第4駆動信号CT4を出力する。
【0058】
反対に、第3の制御回路7は、第4のスイッチング素子Q4が選択されている時(電源電圧Vddが基準電圧Vk以上の時)には、第4のスイッチング素子Q4に対してスイッチングのための第4駆動信号CT4を出力する。これに対し、第3の制御回路7は、第3のスイッチング素子Q3には常時オフとなる第3駆動信号CT3を出力する。
【0059】
従って、電源電圧Vddが基準電圧Vk以上の山領域Z1にある時、第2のコンバータCV2は直接、第4のスイッチング素子Q4を介して、その時の整流回路2が全波整流した電源電圧Vddを入力することになる。
【0060】
反対に、電圧検出回路10は、電源電圧Vddが基準電圧Vk未満の時、第2のコンバータCV2は第3のスイッチング素子Q3を介して、キャパシタCの充電電圧Vchを入力することになる。
【0061】
従って、本実施形態も第1実施形態と同様に、電源電圧Vddが山領域Z1にある時、整流回路2が整流した電源電圧Vddを第2のコンバータCV2に第4のスイッチング素子Q4を介して出力させた。また、電源電圧Vddが谷領域Z2にある時、第1のコンバータCV1にて充電されたキャパシタCの充電電流を第2のコンバータCV2に第3のスイッチング素子Q3を介して出力させた。
【0062】
従って、山領域Z1の部分は第1のコンバータCV1にて電力ロスされずに、第2のコンバータCV2に入力される。また、電源電圧Vddの谷領域Z2の部分が、第1のコンバータCV1にて電圧変換されキャパシタCに充電されることから、電源電圧Vddの谷領域Z2が力率改善される。
【0063】
また、第1実施形態の第2のスイッチング素子Q2と選択スイッチング素子Qsを第3のスイッチング素子Q3にて兼用したので、その分だけ回路構成を小型化できる。
さらに、第1実施形態と同様に、第1のコンバータCV1自身の回路構成を小型にして導通角を拡大でき、電源装置1として小型高効率の電源装置を実現できる。
(第3実施形態)
次に、本発明を具体化した電源装置の第3実施形態を図面に従って説明する。
【0064】
本実施形態では、複数の負荷を有し、その複数の負荷に対し電流を供給する第2のコンバータCV2に特徴を有するものであり、第1のコンバータCV1は第1実施形態と同じ構成とした。そのため、説明の便宜上、異なる部分について詳細に説明し、第1実施形態と共通する部分は符号を同じにして詳細な説明は省略する。
【0065】
図4に示すように、第2のコンバータCV2の正極側入力端子PT3は、選択スイッチング素子Qsを介してキャパシタCの正極端子に接続されているとともに、逆止用ダイオードDsを介して整流回路2の正極端子PT1に接続されている。また、第2のコンバータCV2の正極側出力端子PT4と負極側出力端子NT4との間には、第1の負荷LD1と第2の負荷LD2からなる直列回路が接続されている。
【0066】
第2のコンバータCV2は、第2のインダクタL2と第5及び第6のスイッチング素子Q5,Q6を有している。第2のインダクタL2は、その入力側の端子が第2のコンバータCV2の正極側入力端子PT3に接続され、その出力側の端子が第2のコンバータCV2の正極側出力端子PT4されている。
【0067】
第5及び第6のスイッチング素子Q5,Q6は、NチャネルMOSトランジスタにて構成されている。第5のスイッチング素子Q5は、第1端子が第2のインダクタL2の出力側の端子に接続され、第2端子が第6のスイッチング素子Q6の第1端子に接続されている。
【0068】
第6のスイッチング素子Q6は、第1端子が第5のスイッチング素子Q5の第2端子に接続され、第2端子が第2のコンバータCV2の負極側入力端子NT3に接続されていると共に負極側出力端子NT4に接続されている。また、第5のスイッチング素子Q5の第2端子と第6のスイッチング素子Q6の第1端子との接続点であるノードN3は、第1の負荷LD1と第2の負荷LD2の接続点であるノードN4と電気的に接続されている。
【0069】
第5及び第6のスイッチング素子Q5,Q6の制御端子は、第4の制御回路8が接続されている。第4の制御回路8は、常時、第2のインダクタL2流れる電流I2を検出する図示しない電流検出回路を有している。第4の制御回路8は、第2のインダクタL2流れる電流I2に基づいて、第5のスイッチング素子Q5または第6のスイッチング素子Q6のいずれかを選択、または両方を選択して、スイッチングさせる第5及び第6駆動信号CT5,CT6を生成し出力する。
【0070】
本実施形態では、第2のコンバータCV2の正極側入力端子PT3に入力される入力電圧が変動(低下)して、第2のインダクタL2流れる電流I2が低下する場合がある。第4の制御回路8は、低下する電流I2の電流値に応じて、第5のスイッチング素子Q5及び第6のスイッチング素子Q6を選択してオンして、電流I2が緩やかに変動させるようにしている。
【0071】
従って、第1及び第2の負荷LD1,LD2が発光ダイオードの発光装置の電源装置1に使用された場合、第2のコンバータCV2の正極側入力端子PT3に入力される入力電圧が変動(低下)しても、発光装置の発光輝度を均斉化することができる。
【0072】
なお、第4の制御回路8は、第5のスイッチング素子Q5及び第6のスイッチング素子Q6を選択してオンさせる時、第5のスイッチング素子Q5及び第6のスイッチング素子Q6を交互に所定時間オンさせるように実施してもよい。これによっても、入力電圧の変動に対して、電流I2を緩やかに変動させることができる。
【0073】
従って、第3実施形態は、上記した第1実施形態の効果の(1)(2)を有するとともに、第1及び第2実施形態のバックコンバータ型の第2の第2のコンバータCV2よりも、本実施形態の第2のコンバータCV2の形状・損失をより低減できる。その結果、小型で高効率な電源装置を実現することができる。
【0074】
尚、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記第1及び第3実施形態では、第1接続回路を逆止用ダイオードDsで実施したが、MOSトランジスタで実施してもよい。この場合、電源電圧Vddが基準電圧Vk未満のとき、MOSトランジスタをオフさせ、電源電圧Vddが基準電圧Vk以上のとき、MOSトランジスタをオフさせる。
【0075】
・上記第3実施形態では、第1の負荷LD1と第2の負荷LD2の2個であったが、これに限定されるのもではなく、それ以上の数で実施してもよい。
【符号の説明】
【0076】
1…電源装置、2…整流回路、5…第1の制御回路、6…第2の制御回路、7…第3の制御回路、8…第4の制御回路、10…電圧検出回路(判定回路及び選択回路)、C…キャパシタ、CT1〜CT6…第1〜第6駆動信号、CV1…第1のコンバータ、CV2…第2のコンバータ、D1…第1のダイオード、D2…第2のダイオード、Ds…逆止用ダイオード(第1接続回路)、G…商用電源、I1,I2…電流、L1…第1のインダクタ、L2…第2のインダクタ、LD…負荷、LD1…第1の負荷、LD2…第2の負荷、Q1…第1のスイッチング素子、Q2…第2のスイッチング素子、Q3…第3のスイッチング素子(第2接続回路)、Q4…第4のスイッチング素子(第1接続回路)、Q5…第5のスイッチング素子、Q6…第6のスイッチング素子、Qs…選択スイッチング素子(第2接続回路)、PT1…正極端子、NT1…負極端子、PT2…正極側出力端子、NT2…負極側出力端子、PT3…正極側入力端子、NT3…負極側入力端子、PT4…正極側出力端子、NT4…負極側出力端子、Vdd…電源電圧。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のスイッチング素子をスイッチングすることにより、整流回路にて整流された電源電圧を電圧変換してキャパシタに充電する第1のコンバータと、
第2のスイッチング素子をスイッチングすることにより、前記第1のコンバータにて充電されたキャパシタの充電電荷を放出させることで流れる電流を制御して負荷に供給する第2のコンバータと
を備えた2コンバータ方式電源装置の制御方法であって、
前記整流回路からの電源電圧を検出し、その電源電圧が予め定めた値以上のときには、その時の電源電圧を、直接、前記第2のコンバータに入力し、
前記電源電圧が予め定めた値未満のときには、その時の電源電圧を、前記第1のコンバータを介して、前記第2のコンバータに入力するようにしたことを特徴とする2コンバータ方式電源装置の制御方法。
【請求項2】
請求項1に記載の2コンバータ方式電源装置の制御方法において、
前記第1のコンバータは、第1のインダクタ及び前記第1のスイッチング素子を備え、前記第1のスイッチング素子をスイッチングすることにより、前記第1のインダクタに印加された前記整流回路からの整流された電源電圧を電圧変換して前記キャパシタに充電するブーストコンバータであり、
前記第2のコンバータは、第2のインダクタ及び前記第2のスイッチング素子を備え、前記第2のスイッチング素子をスイッチングすることにより、前記キャパシタの充電電荷を放出させることで流れる電流を前記第2のインダクタによって限流して負荷に供給するバックコンバータであることを特徴とする2コンバータ方式電源装置の制御方法。
【請求項3】
第1のスイッチング素子をスイッチングすることにより、整流回路にて整流された電源電圧を電圧変換してキャパシタに充電する第1のコンバータと、
第2のスイッチング素子をスイッチングすることにより、前記キャパシタの充電電荷を放出させることで流れる電流を制御して負荷に供給する第2のコンバータと
を備えた電源装置であって、
前記第1のコンバータと前記第2のコンバータとの間を接続する第1接続回路と、
前記整流回路と前記第2のコンバータとの間を接続する第2接続回路と、
前記整流回路からの整流された電源電圧を入力し、その電源電圧が予め定めた値以上かどうかを判定する判定回路と、
前記判定回路にてその時の前記電源電圧が予め定めた値以上と判定されたとき、前記第1接続回路を非接続にして第2接続回路を選択するとともに、前記判定回路にてその時の前記電源電圧が予め定めた値未満と判定されたとき、前記第2接続回路を選択する選択回路と
を備えたことを特徴とする電源装置。
【請求項4】
請求項3に記載の電源装置において、
前記第1のコンバータは、第1のインダクタ及び前記第1のスイッチング素子を備え、前記第1のスイッチング素子をスイッチングすることにより、前記第1のインダクタに印加された前記整流回路からの整流された電源電圧を電圧変換して前記キャパシタに充電するブーストコンバータであり、
前記第2のコンバータは、第2のインダクタ及び前記第2のスイッチング素子を備え、前記第2のスイッチング素子をスイッチングすることにより、前記キャパシタの充電電荷を放出させることで流れる電流を前記第2のインダクタによって限流して負荷に供給するバックコンバータであることを特徴とする電源装置。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の電源装置において、
前記第2のコンバータからの電流が供給される前記負荷は、複数個の負荷が直列に接続された負荷であり、
前記第2のコンバータの第2のスイッチング素子は、前記各負荷に対してそれぞれ設けられ、それぞれ対応する負荷に対して並列に接続されものであることを特徴とする電源装置。
【請求項6】
請求項3又は4に記載の電源装置において、
前記第1接続回路は、第1の選択スイッチング素子であり、前記判定回路にて選択された時、該第1の選択スイッチング素子は、前記第2のスイッチング素子を兼用してスイッチング動作するものであり、
前記第2接続回路は、第2の選択スイッチング素子であり、前記判定回路にて選択された時、該第2選択スイッチング素子は、前記第2のスイッチング素子を兼用してスイッチング動作することを特徴とする電源装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−38882(P2013−38882A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−172140(P2011−172140)
【出願日】平成23年8月5日(2011.8.5)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】