説明

DRAM装置

【課題】データ保持特性が不良なメモリセルを、冗長メモリセル領域を設けることなく救済するDRAMを提供する。
【解決手段】DRAM10は、データ保持特性が不良なメモリセルの救済アドレスを記憶し、データ読出し及び書込みの際に入力される外部アドレスが、記憶された救済アドレスと一致すると、SA救済判定信号S1を出力するセンスアンプ救済判定回路24と、SA救済判定信号S1が発生すると通常のSA選択信号S3に代えて救済用SA選択信号S2を発生するセンスアンプ制御回路25と、救済用SA選択信号S2が発生すると、対応するセンスアンプを通常よりも高い電源電圧に設定するセンスアンプ部12とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)装置に関し、更に詳しくは、半導体装置を構成するDRAM装置、又は、半導体装置に搭載されるDRAM装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体記憶装置の一つに、DRAM装置(以下、DRAMと呼ぶ)がある。DRAMは、1ビットのデータを記憶するメモリセルとして、データ保持用キャパシタとデータ転送用トランジスタとを備え、記憶するデータ値に応じた電荷量を、データ保持用キャパシタに蓄えることによりデータを記憶する。DRAMは1つの半導体装置の全体を構成し、或いは、半導体装置に搭載されて、その一部を構成する。
【0003】
図8は、従来のDRAMの全体構成を示すブロック図である。DRAM100は、メモリセルアレイ11、センスアンプ部12、行デコーダ13、列デコーダ&ラッチ回路14、行アドレスバッファ&リフレッシュカウンタ15、列アドレスバッファ&バーストカウンタ16、コマンドデコーダ17、制御回路18、モードレジスタ19、データ制御回路20、ラッチ回路21、入出力バッファ22、及び、内部クロック発生回路23から構成される。
【0004】
上記DRAM100の書き込み動作は、以下のように行われる。まず、外部クロック信号CLKに同期して、外部制御信号として図示しないROW選択コマンド(以下、ACTコマンドと呼ぶ)が入力される。このACTコマンドを受けて、コマンドデコーダ17が、制御回路18にACTコマンドを伝達する。制御回路18は、外部入力のアドレスを行アドレスとして、行アドレスバッファ&リフレッシュカウンタ15に取り込み、また、行デコーダ13により、メモリセルアレイ11の行アドレス(ロウアドレス)を選択する。このとき、センスアンプ部12では、選択された列アドレス(カラムアドレス)に対応するセンスアンプ(SA)が活性化する。
【0005】
次いで、外部クロック信号CLKに同期し、外部制御信号としてカラム選択コマンド(以下、ライトコマンドと呼ぶ)が入力される。ライトコマンドを受けて、コマンドデコーダ17が、制御回路18にライトコマンドを伝達する。制御回路18は、外部入力のアドレスを列アドレスとして、列アドレスバッファ&バーストカウンタ16に取り込み、また、列デコーダ&ラッチ回路14によりメモリセルアレイのカラムアドレスを選択する。
【0006】
ライトコマンドを取り込んだクロックパルス、またはその直後のクロックパルスに同期して、外部データ(DQ)が取り込まれる。この外部データは、入出力バッファ22、ラッチ回路21、データ制御回路20を経由し、センスアンプ部12の駆動電圧でメモリセルアレイ11内のメモリセルに書き込まれる。
【0007】
DRAMでは、通常、ウェハとして出来上がったDRAMチップ上に、大多数の十分な容量及び保持特性を有する健全なメモリセルの他に、データ保持特性が悪い少数の不良セルが形成される。このデータ保持不良セルのデータ保持時間が短い主な原因としては、キャパシタの接合リーク電流が多いため、単位時間当たりに失う電荷量が多いこと、データ転送用トランジスタのリーク電流が多いこと、或いは、キャパシタの容量が基準値よりも低く形成されたこと等の理由が挙げられる。
【0008】
上記従来のDRAMでは、データ保持不良セルの数を予め想定し、想定した数だけのメモリセルを含む冗長メモリセル領域をメモリセルアレイ11内に用意しておき、性能試験において実際に発生したデータ保持不良セルを、冗長メモリセル領域のメモリセルに置き換えて、データ保持不良セルを救済している。冗長メモリセル領域によってデータ保持不良セルを救済するDRAMは、例えば特許文献1に記載されている。
【特許文献1】特開平11−66883号公報
【特許文献2】特開平11−339478号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記冗長メモリセル領域によってデータ保持不良セルを救済するDRAMでは、冗長メモリセル領域が、大きな専有面積を必要とし、チップサイズの増大を引き起こしていた。しかし、従来は、冗長メモリセル領域を有することなく、データ保持不良セルを救済するDRAMは知られていなかった。
【0010】
特許文献2には、冗長メモリセル領域を設けることなく、データ保持特性が不良なメモリセルの救済を行う半導体記憶装置として、SRAMが記載されている。このSRAMでは、各メモリセル内の高抵抗負荷と並列に、抵抗及びスイッチを直列に接続した直列回路を接続している。しかし、この技術は、メモリセル内に高抵抗負荷を持つSRAMに特有の技術であるため、メモリセル内に高抵抗負荷を有しないDRAMに適用することが出来ない。
【0011】
本発明は、上記特許文献1などに記載された従来のDRAM装置を改良し、冗長メモリセル領域の配設を不要としつつ、データ保持特性が不良なメモリセルの救済を図るDRAM装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明のDRAM装置は、データ保持特性が規定値以下のメモリセルのアドレスを記憶する記憶部と、
入力された外部アドレスと、前記記憶部に記憶されたアドレスとを比較して、双方のアドレスの一致を検出する一致検出部と、
複数のセンスアンプを有し、前記一致検出部が双方のアドレスの一致を検出しないメモリセルに対応するセンスアンプは、データ線の電位差を所定の電源電圧によって増幅し、前記一致検出部が双方のアドレスの一致を検出したメモリセルに対応するセンスアンプは、データ線の電位差を前記所定の電源電圧よりも高い電源電圧によって増幅するセンスアンプ部と、
を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明のDRAM装置によると、データ保持特性が規定値以下のメモリセルにデータを書き込む際、或いは、それからデータを読み出す際には、センスアンプ部が、所定の電源電圧よりも高い電源電圧を使用してデータ線の電位差を増幅するので、データ保持不良セルに書き込まれるデータ、データ保持不良セルから読み出されるデータ、或いは、書込みや読出しの際にデータ保持不良セルに再び格納されるデータが、高い電源電圧で増幅された高電圧のデータとなってメモリセルに格納される。このため、冗長メモリセル領域の配設を不要としながらも、データ保持不良セルのデータ保持特性が改善される。つまり、DRAM装置の専有面積を増大させることなく、データ保持不良セルの救済が可能になる。
【0014】
本発明のDRAMでは、前記センスアンプ部は、前記所定の電源電圧を出力する第1電源電圧発生回路と、前記所定電圧よりも高い電源電圧を出力する第2電源電圧発生回路とを備える構成を採用してもよく、或いは、前記所定の電源電圧と、前記所定の電源電圧よりも高い電源電圧とを切り替えて出力する電源電圧発生回路を備える構成を採用してもよい。本発明のDRAMは、単体のDRAM装置であってもよく、或いは、DRAM装置と他の半導体装置との混載であってもよい。
【0015】
また、本発明のDRAMでは、前記一致検出部は、前記外部アドレスの行アドレスと前記記憶部に記憶されたアドレスの行アドレスとを比較し、双方の行アドレスの一致を検出すると一致信号を出力し、前記センスアンプ部では、前記一致信号が出力されると、前記記憶部に記憶されたアドレスの内で、当該一致した行アドレスを有するメモリセルの列アドレスに対応するセンスアンプが前記高い電源電圧でデータ線の電位差を増幅してもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面を参照し本発明の最良の実施形態について詳細に説明する。なお、全図を通して同様な要素には同様な符号を付して示している。図1は、本発明の第1の実施形態に係る半導体装置を構成するDRAMのブロック図である。本実施形態のDRAM10は、メモリセルアレイ11、センスアンプ部12、行デコーダ13、列デコーダ&ラッチ回路14、行アドレスバッファ&リフレッシュカウンタ15、列アドレスバッファ&バーストカウンタ16、コマンドデコーダ17、制御回路18、モードレジスタ19、データ制御回路20、ラッチ回路21、入出力バッファ22、内部クロック発生回路23、センスアンプ救済判定回路24、及び、センスアンプ制御回路25を有する。
【0017】
メモリセルアレイ11は、アレイ状に配設された複数のDRAMメモリセルによって構成される。これらメモリセルの内には、製造にあたって採用されたプロセス条件によって、データ保持特性が規定値以下のメモリセルが含まれることがあり、そのようなデータ保持不良セルは、製品出荷前の性能試験で検出される。データ保持不良セルは、例えば、規定値以下のデータ保持時間を有するメモリセルとして検出される。
【0018】
センスアンプ部12は、選択されたメモリセルからデータ線を経由して読み出されたデータ、又は、I/Oラインを経由して外部から伝達されるデータを増幅し、この増幅によって確定したデータを外部に出力し、或いは、選択されたメモリセルに書き込む。行デコーダ13は、行アドレスバッファ&リフレッシュカウンタ15を経由して外部から入力された外部アドレス(ADDRESS)に基づいて、メモリセルアレイ11の行を選択する。列デコーダ&ラッチ回路14は、列アドレスバッファ&バーストカウンタ16を経由して外部から入力された外部アドレスに基づいて、メモリセルアレイ11内のデータ線を選択する。
【0019】
コマンドデコーダ17は、外部からチップセレクト信号/CS、ロウアドレス・ストローブ信号/RAS、カラムアドレス・ストローブ信号/CAS、ライト・イネーブル信号/WEなどを入力して、制御回路18に伝達する。制御回路18は、コマンドデコーダ17を経由して入力された外部信号に基づいて、DRAM10内部の各要素の動作を制御する。内部クロック発生回路23は、外部クロックCLK、CKEを入力して内部クロックを生成し、各部に伝達する。センスアンプ救済判定回路24は、データ保持不良セルのアドレス情報を保持しており、外部アドレスと記憶されたデータ保持不良セルのアドレスとを比較して、双方のアドレスが一致するか否かを判定し、一致すると一致信号を出力する。センスアンプ救済判定回路24による判定結果を示す信号S1(SA救済判定信号)は、センスアンプ制御回路25に入力され、センスアンプ制御回路25は、その判定結果に従って、各センスアンプに対応して配設された信号線を経由して、信号S2(救済用SA選択信号)又は信号S3(通常SA選択信号)の何れかを出力して、センスアンプ部12の各センスアンプについて、動作電源の電圧制御を行う。
【0020】
図2は、図1のDRAMの一部詳細を示すもので、図1のメモリセルアレイ11をMOSモデルで、センスアンプ部12を論理モデルで示している。メモリセルアレイ11内では、多数のメモリセル31がアレイ状に配設されており、対応するデータ線DL(DLa、DLb、...、DLN)、/DL(/DLa、/DLb、...、/DLN)に接続されている。各メモリセル31は、データ転送用MOSFET32とデータ保持用キャパシタと33とから構成される。また、センスアンプ部12内の各センスアンプ36は、インバータ39が逆並列に接続されたラッチ回路として示されている。
【0021】
データ保持特性が良好なメモリセルに関しては、以下のようにデータの読出し及び書込みが行われる。まず、データの読出しに際しては、メモリセル31からデータ線DL、/DL、例えばデータ線DLaに読み出された信号は、隣接するデータ線/DL、DL、例えばデータ線/DLbの電位と比較されて、各センスアンプ36によって増幅される。増幅された信号の内、列デコーダ&ラッチ回路14によって選択された信号は、対応するI/OラインYSaに読み出され、外部に出力される。読み出された各データは、再び対応するメモリセル31に格納される。データの書込みに際しては、I/OラインYSaから入力した信号が、列デコーダ&ラッチ回路14によって選択されたセンスアンプ36によって増幅され、対応するデータ線DL、/DLから、選択されたメモリセル31に書き込まれる。
【0022】
上記DRAMにおける不良メモリ救済の際の書込み動作を、従来のDRAMの書込み動作と比較しながら詳細に説明する。まず、従来のDRAMの書込み動作を、図8のブロック図、図2の詳細図、及び、図3のタイミングチャートを参照して説明する。DRAMの書込みは、図3の時刻t1において、外部制御信号/CS、/RASがイネーブルになることにより開始される。時刻t1の直後の内部クロックパルスに同期して、コマンドデコーダ17が、制御回路18に行アドレス取込み命令を出力し、外部アドレス(ADDRESS)が、行アドレスバッファ&リフレッシュカウンタ15に取り込まれる。取り込まれた行アドレスは、行デコーダ13でデコードされ、そのデコード結果に従って、一本のサブワードラインSWL、例えばSWLaが選択される。選択されたサブワードラインSWLaがVPP電源電位(3.2V)にドライブされることで、メモリセル31のデータ転送用MOSFET32が開き、当該行のメモリセル31から各データ線DL又は/DLにキャパシタ33の電位が移る。その結果、データ線DL又は/DL(図3ではDLa)と、これに隣接するデータ線/DL又はDL(図3では/DLa)との間には、読み出されたデータに応じて極性が異なるわずかな電位差が生じる。
【0023】
時刻t2において、サブワードラインSWLa選択から或る時間を置いて、制御回路18がSA(センスアンプ)動作信号をセンスアンプ部12に出力し、センスアンプ部12内の各センスアンプSAが起動する。各センスアンプSA、例えばセンスアンプSAaは、データ線DLaとデータ線/DLaとの間に生じた電位差を、センスアンプ駆動電位のVDL電源電位(1.4V)及びVSS電源電位(0V)にまで拡げる。
【0024】
時刻t3において、センスアンプSAが駆動するのを待って、外部制御信号/CS、/CAS、/WEがイネーブルになると、直後の内部クロックパルスに同期して、コマンドデコーダ17が、制御回路18に列アドレス取込み命令を出力し、列アドレス信号が列アドレスバッファ&バーストカウンタ16に取り込まれる。取り込まれた列アドレスは、列デコーダ&ラッチ回路14でデコードされ、一本のY−スイッチ(YSa)が選択される。選択されたY−スイッチYSaの電位がVCL電源電位(1.8V)に駆動されることで、選択されたnMOSFET34が開き、I/Oライン35上のデータが、センスアンプSAaに書き込まれる。図3のタイミングチャートの例では、データ“H”が書き込まれる。その他のデータ線DLb〜DLNでは、読み出されたデータがそのまま元のメモリセル31に書き込まれる。
【0025】
時刻t4において、書込み動作が終了し、外部制御信号/CS、/RAS、/WEがディスエーブルになると、その直後の内部クロックパルスに同期して、コマンドデコーダ17が、制御回路18を経由して行デコーダ13に行アドレス選択解除信号を出力する。このため、サブワードラインSWLaの電位が下がり、メモリセル31のデータ転送用MOSFET32が閉じる。これによって、データ保持用キャパシタ33に蓄積された電荷が保存される。この例では、図3に示されるように、各メモリセル31のデータ保持用キャパシタ33に書き込まれる電位は、センスアンプ駆動電位のVDL電源電位(1.4V)である。
【0026】
次に、図1の実施形態のDRAMにおけるデータ保持不良セルの書込み動作について、図1のブロック図、図2の詳細図、及び、図4のタイミングチャートを参照して説明する。図4は、データ保持不良セルの救済を行う場合のタイミングチャートである。図4において、時刻t1以前に、データ保持特性が規定値以下のデータ保持不良セルのアドレスが、センスアンプ救済判定回路24に予め記憶されている。記憶する方法は、公知技術であるヒューズの切断や不揮発性の記憶素子を使用することが好ましい。
【0027】
図4の時刻t1において、外部制御信号/CS、/RASのイネーブルから、サブワードラインSWLaが選択されるまでの動作は、図3のタイミングチャートで示した従来のDRAMの動作と同様である。
【0028】
時刻t2において、行アドレスが選択されると、センスアンプ救済判定回路24に救済対象として記憶されたメモリセルの行アドレスと、外部から入力された外部アドレスの行アドレスとが比較される。双方の行アドレスの一致が検出されると、センスアンプ救済判定回路24から、センスアンプ制御回路25にSA救済判定信号S1が送られる。センスアンプ救済判定回路24は、行アドレスの一致が検出されると、当該一致した行アドレスを有するデータ保持不良セルの列アドレスを、SA救済判定信号S1に含めてセンスアンプ制御回路25に通知する。
【0029】
センスアンプ制御回路25では、通常時には、つまり行アドレスの一致が検出されていない場合には、制御回路18からのSA動作制御信号に応じて通常SA選択信号S3をセンスアンプ部12に送っている。しかし、センスアンプ救済判定回路24から、センスアンプによって救済するためのSA救済判定信号(S1)を受けている場合には、行アドレス及び列アドレスが一致したデータ保持不良セルに対応するセンスアンプ、例えばセンスアンプSAaには救済用SA選択信号S2を、また、その他の正常なメモリセルに対応するセンスアンプSAには通常SA選択信号S3をセンスアンプ部12に送る。
【0030】
図5は、上記実施形態におけるセンスアンプ部12内のセンスアンプ36を、センスアンプ制御回路25と共に示す回路図である。センスアンプ制御回路25には、センスアンプ動作制御信号/SAと、SA救済判定信号S1とが入力されており、双方の信号を同時に受信すると、列アドレスが一致したメモリセルに対応するセンスアンプ36には救済用SA選択信号S2を選択し、その他のメモリセルに対応するセンスアンプ36には、通常SA選択信号S3を選択して、センスアンプ部12に通知する。センスアンプ制御回路25が救済用SA選択信号S2を選択したセンスアンプ36では、データ線DL又は/DLを、VDLジェネレータ37が出力するVDL電源電位(1.4V)に代えて、VODジェネレータ38が出力するVOD電源電位(1.8V)で駆動する。この様子が図4に示されている。この例では、SA救済判定の際には、データ線DLaとデータ線/DLaとの間の電位差は、VOD(1.8V)とVSS(0V)の間の電位差にまで拡がる。
【0031】
時刻t3において、外部制御信号/CS、/CAS、/WEのイネーブルからからY−スイッチYSaの選択までの動作は、従来のDRAMと同様である。
【0032】
時刻t4において、外部制御信号/CS、/RAS、/WEのディスエーブルから書き込み動作終了までの動作は、従来のDRAMと同様である。なお、メモリセル31のデータ保持用キャパシタ33に電荷を書き込む際の電位は、行及び列アドレスが外部アドレスと一致したメモリセルについては、SA駆動電位のVOD電源電位(1.8V)であり、その他の正常メモリセルについてはVDL電源電位(1.4V)である。
【0033】
外部アドレスの行アドレスが、記憶部に記憶されたデータ保持不良セル行アドレスと一致しないときには、つまり、SA救済動作を使用しない場合には、そのタイミングチャートは図3に示した従来のタイミングチャートと同じである。
【0034】
データ読出しに際しても、外部アドレスと記憶部に記憶されたアドレスとが、同様に比較される。ここで、双方の行アドレスの一致が検出されると、行アドレスと列アドレスの双方が一致したデータ保持不良セルの列アドレスに対応するセンスアンプについては、同様にVOD電源電位が選択され、データ保持不良セルのデータは、高い電源電位で保存される。その他の、通常メモリセルのデータはVCL電源電位で保存される。
【0035】
上記実施形態のDRAM10では、データ保持特性が規定値以下のデータ保持不良セルの救済を行う場合には、センスアンプ部12による書込み電位を高くしたことにより、データ保持用キャパシタ33に蓄積される電荷量が増す。従って、冗長メモリセル領域を設けることなく、データ保持不良セルの救済が可能となる。また、センスアンプの駆動電位は、救済すべきデータ保持不良セルに対してのみ高くするので、それに伴うDRAM全体の電流増加はほとんど無視できる程度である。更に、昇圧又は降圧回路を最適化することで、センスアンプ部12における消費電流を最小限にすることができる。
【0036】
図6は、図5に示したセンスアンプ36について、SA通常動作を行う回路部分のみを抜き出して示す回路図である。センスアンプ36は、2つのCMOSインバータ41、42が、VDL電源とVSS電源との間に逆並列に接続されて構成される。データ線DL、/DLはそれぞれ、インバータ41、42のpMOSFETとnMOSFETの接続ノードN1、N2に接続されている。また、その接続ノードN1、N2はそれぞれ、互いに相手側のインバータ42、41の各トランジスタpMOSFET、nMOSFETのゲートに接続されている。SA通常動作制御信号SA、/SAがアクティブになると、MOSFET43、44がオンとなって、VDL電源及びVSS電源がインバータ41、42に接続され、センスアンプ36が活性化される。センスアンプ36が活性化されると、データ線DL、/DLの間の微少な電位差が、正のフィードバックによって増幅され、電源電位間の電位差に設定される。
【0037】
図7は、本発明の第2の実施形態に係るDRAMにおけるセンスアンプ部12の回路構成を示している。第1の実施形態では、SA駆動電位をスイッチによって切り替える例であったが、本実施形態では、SA救済判定信号S1に従って救済用SA駆動電位を発生する電圧制御回路40の出力電圧を制御する例である。電圧制御回路40は、センスアンプ部12内に配設されており、センスアンプ制御回路25から通常SA選択信号S3を受け取ると、1.4VのVDL電源電位を出力し、また、救済用SA選択信号S2を受け取ると、出力電圧を昇圧し1.8VのVOD電位を出力する。
【0038】
第1及び第2の実施形態の何れを採用しても、通常SA選択信号S3又は救済用SA選択信号S2の何れが、センスアンプ制御回路25から出力されるかによって、センスアンプ部12のセンスアンプの電源電位が選択できるので、データ保持不良のメモリセルの救済が、可能になる。
【0039】
以上、本発明をその好適な実施形態例に基づいて説明したが、本発明のDRAM装置は、上記実施形態例の構成にのみ限定されるものではなく、上記実施形態例の構成から種々の修正及び変更を施したものも、本発明の範囲に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るDRAMの構成を示すブロック図。
【図2】図1のDRAMの一部を詳細に示す詳細ブロック図。
【図3】従来のDRAMの動作を示すタイミングチャート。
【図4】図1のDRAMの動作を示すタイミングチャート。
【図5】図1のDRAMにおけるセンスアンプの接続関係を示す回路図。
【図6】図5のセンスアンプ内の回路構成を示す回路図。
【図7】本発明の第2の実施形態に係るDRAMにおけるセンスアンプの接続関係を示す、図5と同様な回路図。
【図8】従来のDRAMの構成を示すブロック図。
【符号の説明】
【0041】
10,100:DRAM
11:メモリセルアレイ
12:センスアンプ部
13:行デコーダ
14:列デコーダ&ラッチ回路
15:行アドレスバッファ&リフレッシュカウンタ
16:列アドレスバッファ&バーストカウンタ
17:コマンドデコーダ
18:制御回路
19:モードレジスタ
20:データ制御回路
21:ラッチ回路
22:入出力バッファ
23:内部クロック発生回路
24:センスアンプ救済判定回路(一致検出部)
25:センスアンプ制御回路
31:メモリセル
32:MOSFET
33:キャパシタ
34:nMOSFET
35:I/Oライン
36:センスアンプ
37:VDLジェネレータ
38:VODジェネレータ
39:インバータ
40:電圧制御回路
41、42:インバータ
43、44:MOSFET

【特許請求の範囲】
【請求項1】
データ保持特性が規定値以下のメモリセルのアドレスを記憶する記憶部と、
入力された外部アドレスと、前記記憶部に記憶されたアドレスとを比較して、双方のアドレスの一致を検出する一致検出部と、
複数のセンスアンプを有し、前記一致検出部が双方のアドレスの一致を検出しないメモリセルに対応するセンスアンプは、データ線の電位差を所定の電源電圧によって増幅し、前記一致検出部が双方のアドレスの一致を検出したメモリセルに対応するセンスアンプは、データ線の電位差を前記所定の電源電圧よりも高い電源電圧によって増幅するセンスアンプ部と、
を備えることを特徴とするDRAM装置。
【請求項2】
前記センスアンプ部は、前記所定の電源電圧を出力する第1電源電圧発生回路と、前記所定電圧よりも高い電源電圧を出力する第2電源電圧発生回路とを備える、請求項1に記載のDRAM装置。
【請求項3】
前記センスアンプ部は、前記所定の電源電圧と、前記所定の電源電圧よりも高い電源電圧とを切り替えて出力する電源電圧発生回路を備える、請求項1に記載のDRAM装置。
【請求項4】
前記一致検出部は、前記外部アドレスの行アドレスと前記記憶部に記憶されたアドレスの行アドレスとを比較し、双方の行アドレスの一致を検出すると一致信号を出力し、
前記センスアンプ部では、前記一致信号が出力されると、前記記憶部に記憶されたアドレスの内で、当該一致した行アドレスを有するメモリセルの列アドレスに対応するセンスアンプが前記高い電源電圧でデータ線の電位差を増幅する、請求項1〜3の何れか一に記載のDRAM装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−135126(P2008−135126A)
【公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−321208(P2006−321208)
【出願日】平成18年11月29日(2006.11.29)
【出願人】(500174247)エルピーダメモリ株式会社 (2,599)
【Fターム(参考)】