説明

L型キッチン設備及びキッチンユニット

【課題】本発明の目的は、作業者の動線を確保するとともに、複数の作業者及び非作業者間において、位置的及び心理学的に良好なコミュニケーションを取ることが可能なL型キッチン設備及びキッチンユニットを提供することにある。
【解決手段】略直交する第1の方向及び第2の方向に延在する第1の部分1Aと第2の部分1Bを有する略L字形状のL型キッチン設備1に関する。
第1の部分1Aには、シンク11若しくは調理器具12が少なくとも備えられるとともに、第2の部分1Bにはシンク11若しくは調理器具12が少なくとも備えられ、シンク11及び調理器具12は、略L字形状の屈曲部である出隅部分に沿う側面側から作業が行われるように配設されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、住宅のキッチンスペースに備えられるL型キッチン設備に関し、特に、作業領域とその他のダイニングスペースやリビングスペース等の非作業領域の中間部に位置させたアイランド形式のL型キッチン設備及びキッチンユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的にキッチン設備には、その形状によって、I型、L型等様々な型式のものが知られており、また、住宅内でのレイアウトによって、クローズ式、セミクローズ式、対面式、アイランド式等のものが知られている。
しかし、どの形態のキッチン設備にも、その長所及び短所があり、居住人の好みやライフスタイル、住居の構造・広狭等のキッチン空間の条件に応じて、キッチン設備の形態が選択される。
【0003】
例えば、クローズ式、セミクローズ式の場合は、雑然とする傾向の高いキッチン設備まわりのスペースを、ダイニング及びリビング等の生活空間より隔離・半隔離することができるため、生活空間と作業空間を分離することが可能となる。
また、対面式及びアイランド式は、作業空間を生活空間より隔離することはできないが、作業空間と生活空間との間でコミュニケーションを取ることが可能となる。
【0004】
更に、キッチンでの作業空間において作業を行いながら、生活空間の様子を監視することができるため、生活空間での様子を監視しながらでも、安心して作業を遂行することができる。
近年、機能性において家事動線を考慮したL字型キッチンや、コミュニケーションを重視した対面式及びアイランド式のキッチンが好まれる傾向にある。
このような背景下、種々の対面式のL型キッチン設備が提案されている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
【0005】
特許文献1には、L字形キッチン設備が開示されている。
この文献に開示されたL字形キッチン設備は、加熱調理具とシンクが配設されたキャビネットと、引き出し等の収納設備が備えられたキャビネットをL字形に組み合わせることにより構成されている。
【0006】
このL字形キッチン設備は、作業空間と生活空間の境界位置に設置され、作業者は、シンクでの作業及び加熱調理具を使用しての作業を、生活空間側を向いて(生活空間と対面して)行うことができる。
また、収納設備が備えられたキャビネットは、加熱調理具とシンクが配設されたキャビネットと略直角をなすように組み合わされるが、このとき、収納設備の引き出し面は生活空間側に配置されるとともに、この天面は作業台として活用される。
【0007】
特許文献2には、対面式厨房装置が開示されている。
この文献に開示された対面式厨房装置は、シンクと調理機器が配設されたL字型の本体と、シンクに対面したカウンター部が備えられ、このカウンター部には、洗面等を行うための洗面ボウルが備えられている。
【0008】
【特許文献1】特開2004−329464号公報
【特許文献2】特開2007−054411号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、特許文献1及び特許文献2に記載の技術では、基本的に、コミュニケーションの方向が対向方向である。
つまり、これらの文献記載のキッチンにおいては、面と面が向かう位置でのコミュニケーションが実現されることとなる。
【0010】
また、特許文献1に記載の技術では、加熱調理具とシンクが直線状に並んで配設されており、作業者が複数人存在する場合には、作業者間でのコミュニケーションが取り難い配置となっている。
更に、特許文献2の技術では、シンクと調理機器はL型に配置されているが、作業者はこのL型の内隅部にて作業を行うため、複数の作業者は背中合せに作業を行うこととなり、この技術においても作業者間でのコミュニケーションが取り難い配置となっている。
【0011】
つまり、両技術においては、作業者が一人の場合の動線を考慮したものであり、作業者と非作業者とのコミュニケーションは考慮されていても、作業者間のコミュニケーションが考慮されたものではない。
更に、両者においては、基本的に対向位置(面と向かう位置)でのコミュニケーションが想定されているとともに、カウンターにおける複数の非作業者間のコミュニケーションは考慮されているとは言えない。
心理学的には、対向位置(面と向かう位置)でのコミュニケーションは、緊張感を創出する可能性があり、対面方向の考慮が加わると、更に、円滑なコミュニケーションが実現されることが想定される。
【0012】
本発明の目的は、上記各問題点を解決することにあり、作業者の動線を確保するとともに、複数の作業者及び非作業者間において、位置的及び心理学的に良好なコミュニケーションを取ることが可能なL型キッチン設備及びキッチンユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題は、請求項1に係るL型キッチン設備によれば、略直交する第1の方向及び第2の方向に延在する第1の部分と第2の部分とを有する略L字形状のL型キッチン設備であって、前記第1の部分には、シンク若しくは調理器具が少なくとも備えられるとともに、前記第2の部分にはシンク若しくは調理器具が少なくとも備えられ、前記シンク及び前記調理器具は、前記略L字形状の屈曲部である出隅部分に沿う側面側から作業が行われるように配設されていることにより解決される。
【0014】
このように、本発明に係るL型キッチン設備においては、第1の部分には、シンク若しくは調理器具が少なくとも備えられるとともに、第2の部分にはシンク若しくは調理器具が少なくとも備えられる。
つまり、両者は、コーナーから見て略90°の角度の位置に配置される。
更に、本発明においては、シンク及び調理器具は、略L字形状の屈曲部である出隅部分に沿う側面側から作業が行われるように配設されている。
【0015】
従来のL型キッチン設備においては、略L字形状の屈曲部である内隅部分に沿う側面側から作業が行われるものであったため、複数の作業者が作業を行う場合には、背中を向け合うこととなり、コミュニケーションを良好に取り難く、また、内隅に沿う側面に沿って動くこととなるために十分な作業動線が確保し難いという問題点があった。
しかし、本発明においては、上記のように構成されているため、複数の作業者が本発明に係るL型キッチン設備において作業を行う場合に、略90°の角度をもって向き合うこととなる。
【0016】
この略90°の位置関係は、心理学上、会話の成立しやすい位置関係であると言われている。
つまり、動物の本能上、直接対向する位置関係(面と向かう位置関係)であると、緊張感が増す傾向にあるとともに、180°の位置関係、若しくはこれ以上の角度の位置関係(つまり背中側を合わせることとなる位置関係)では、相手の様子等を認知し難く、会話が成立し難い。
このため、略90°の位置関係が一般的には会話が成立しやすいと考えられている。
【0017】
よって、本発明によれば、向かい合った状態で、この略90°の位置関係を創出することができ、複数の作業者は良好なコミュニケーションをとることが出来る。
また、本発明においては、シンク及び調理器具は、略L字形状の屈曲部である出隅部分に沿う側面側から作業が行われるため十分な作業動線を確保することができる。
【0018】
また、請求項1に記載の発明において、前記出隅部分は、隅切りされていると、出隅部分が、作業動線やコミュニケーションの障害となることがなくなる。
このように、機能性に優れるとともに、意匠性も向上するため好適である。
【0019】
更に、上記課題は、請求項3に係るキッチンユニットによれば、略直交する第1の方向及び第2の方向に延在する第1の部分と第2の部分とを有する略L字形状のL型キッチン設備と、天板が略L字形状に形成されたテーブルと、を有するキッチンユニットであって、前記L型キッチン設備の前記第1の部分には、シンク若しくは調理器具が少なくとも備えられるとともに、前記第2の部分にはシンク若しくは調理器具が少なくとも備えられ、前記シンク及び前記調理器具は、前記略L字形状の屈曲部である出隅部分に沿う側面側から作業が行われるように配設されおり、前記テーブルの前記天板と前記L型キッチン設備は、前記天板の一端部側が前記第1の部分及び前記L型キッチン設備の内隅部に沿うとともに、前記第2の部分が前記天板の内隅部分に沿うように組み合され、略一塊となった上面輪郭形状を有するアイランド式となるよう構成されていることにより解決される。
【0020】
このように、本発明によれば、上記L型キッチン設備に加えて、略L字形状のテーブルが組み付けられている。
よって、上記のように、複数の作業者が本発明に係るL型キッチン設備において作業を行う場合に、略90°の角度をもって向き合い、良好なコミュニケーションをとることが出来るとともに、作業者とテーブルを使用する非作業者、及び複数の非作業者間においても、この略90°の角度をもっての向き合い状態を創出することができる。
【0021】
このため、複数の作業者間のみならず、作業者とテーブルを使用する非作業者、及び複数の非作業者間においても良好なコミュニケーションを図ることができる。
なお、「略一塊」とは、ユニットとしてまとまりのある状態を指す意味であり、厳密に沿うもののみを意味するのではなく、例えば、一部に間隙を有して組み合わされた状態も含むものとする。
【0022】
更に、請求項3に記載の発明において、前記L型キッチン設備の前記出隅部分及び前記テーブルの前記天板の屈曲部であるテーブル側出隅部分のうちの少なくとも一方は隅切りされていると、各出隅部分が作業動線や、コミュニケーションの障害となることがなくなる。
このように、機能性に優れるとともに、意匠性も向上するため好適である。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係るL型キッチン設備は、第1の部分には、シンク若しくは調理器具が少なくとも備えられるとともに、第2の部分にはシンク若しくは調理器具が少なくとも備えられており、両者は、コーナーから見て略90°の角度の位置に配置される。
また、本発明においては、シンク及び調理器具は、略L字形状の屈曲部である出隅部分に沿う側面側から作業が行われるように配設されている。
【0024】
この略90°の位置関係は、心理学上、会話の成立しやすい位置関係であると言われている。
つまり、動物の本能上、直接対向する位置関係(面と向かう位置関係)であると、緊張感が増す傾向にあるとともに、180°の位置関係、若しくはこれ以上の角度の位置関係(つまり背中側を合わせることとなる位置関係)では、相手の様子等を認知し難く、会話が成立し難い。
このため、略90°の位置関係が一般的には会話が成立しやすいと考えられている。
【0025】
よって、本発明によれば、この略90°の位置関係を創出することができ、複数の作業者は良好なコミュニケーションをとることが出来る。
また、本発明においては、シンク及び調理器具は、略L字形状の屈曲部である出隅部分に沿う側面側から作業が行われるため十分な作業動線を確保することができる。
【0026】
更に、本発明に係るキッチンユニットは、上記L型キッチン設備に加えて、略L字形状のテーブルが組み付けられている。
よって、作業者とテーブルを使用する非作業者、及び複数の非作業者間においてもまた、この略90°の角度をもっての向き合い状態を創出することができる。
このため、複数の作業者間のみならず、作業者とテーブルを使用する非作業者、及び複数の非作業者間においても良好なコミュニケーションを図ることができる。
【0027】
また、出隅部を隅切りすると、各出隅部分が作業動線や、コミュニケーションの障害となることがなくなる。
このため、作業性が向上するとともに、機能性及び利便性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
なお、以下に説明する構成は本発明を限定するものでなく、各部材の材質・配置等、本発明の趣旨の範囲内で種々改変することができるものである。
本実施形態は、作業者の動線を確保するとともに、複数の作業者及び非作業者間において、位置的及び心理学的に良好なコミュニケーションを取ることが可能なL型キッチン設備及びこのL型キッチンを備えたキッチンユニットに関するものである。
【0029】
図1乃至図8は、本発明に係る一実施形態を示すものであり、図1はキッチンユニットを示す作業スペース方向の斜視図、図2はキッチンユニットを示す非作業スペース方向の斜視図、図3はキッチンユニットを示す上面説明図、図4はキッチンユニットの各面図、
図5は作業者の作業動線を示す説明図、図6乃至図8はコミュニケーションポジションを示す説明図である。
なお、図9はキッチンユニットの改変例を示す上面説明図、図10はキッチンユニットの改変例を示す各面図である。
【0030】
図1乃至図4により、本実施形態に係るキッチンユニットUの構造を説明する。
図1乃至図4に示すように、本実施形態に係るキッチンユニットUは、L型キッチン設備1、テーブル2を有して構成されている。
なお、本実施形態においては、テーブル2を有するユニット型の構成を説明するが、本発明の目的を達するためには、テーブル2は必ずしも必要ではなく、L型キッチン設備1のみの構成でもよい。
もちろん、テーブル2を付加することにより、作業者と非作業者との間、非作業者間におけるコミュニケーションを図ることもできるという効果が新たに付加される。
【0031】
本実施形態に係るL型キッチン設備1は、キッチン設備であり、シンク11、調理器具12を備えて構成されている。
本実施形態に係るシンク11は、公知のシンクであり、給排水設備、蛇口等が備えられている。
また、本実施形態に係る調理器具12は、ガス設備、電熱設備等を備えた加熱調理を行うための公知の調理器具である。
【0032】
本実施形態に係るシンク11と調理器具12とは、L型の屈曲部を挟んで、両側に各々配設されている。
つまり、L型キッチン設備1を上面から見て、内隅と出隅を結ぶ線M1で分けた場合(図3参照)、一方にシンク11が配設されるとともに、他方に調理器具12が配設される。
このとき、シンク11及び調理器具12は、出隅に沿う側面側に向いて配設される。
つまり、作業者は、L型キッチン設備1の出隅に沿う面側から、シンク11及び調理器具12を使用する作業を行うこととなる。
【0033】
このため、シンク11付近で作業を行う作業者と、調理器具12付近で作業を行う作業者とが、略90°の角度をもって向き合う位置関係となる。
更に、L字型の作業動線を確保することができるとともに、作業者が複数人いる場合であっても、作業空間を大きくとることができる。
なお、説明の便宜上、以下、L型キッチン設備1を上面から見て、内隅と出隅を結ぶ線M1で分けた場合(図3参照)、シンク11が配設される側を「シンク側キッチン設備1A」と記すとともに、調理器具12が配設される側を「調理器具側キッチン設備1B」と記す。
【0034】
なお、本実施形態においては、シンク11及び調理器具12をこの配置としたが、これらシンク11及び調理器具12の配置は本発明の趣旨を逸脱しない範囲であれば、これに限られるものではない。
つまり、出隅部分を境界に、シンク11及び調理器具12等の、作業者が使用する設備が分割されていれば良いのであって、シンク11の位置と調理器具12の位置が反対であってもよいし、双方にシンク11が備えられていてもよいし、双方に調理器具12が備えられていても良い。
また、シンク11及び調理器具12は複数備えられていてもよいし、その他のキッチン作業のための設備(例えば、食器洗浄器、コンポスト等)が備えられていてもよい。
更に、キッチン作業以外の作業設備、娯楽設備、体勢補助設備等が備えられていてもよい。
【0035】
また、L型キッチン設備1のシンク11下方及び調理器具12下方には、引き出し及び棚等の収納設備や、食器洗浄器等の設備が備えられる。
更に、排水パイプ等の配管設備等もまた備えられるが、記載は省略する。
また、調理器具12の上方には、レンジフードFが備えられている。
このレンジフードFは公知のレンジフードであり、調理器具12の位置が変更すれば、調理器具12の位置に従い、その直上に移動する。
【0036】
本実施形態に係るテーブル2は、略L字形状のテーブルであり、L型キッチン設備1と組み立てられて、略矩形状の上面輪郭形状を有するアイランド式のキッチンユニットUとなる(図3参照)。
【0037】
つまり、テーブル2の一端部側が調理器具側キッチン設備1B及びL型キッチン設備1の内隅部に沿うとともに、シンク側キッチン設備1Aがテーブル2の内隅部分に沿うように組み合され、略矩形状の上面輪郭形状を有するアイランド式のキッチンユニットUとなる。
【0038】
ただし、組み立て方はこれに厳密に限定されることはなく、本発明の趣旨を逸脱することなく、アイランド式として機能するものであれば特に限定されない。
例えば、厳密に沿うものではなく、一部に間隙を有して組み合わされていてもよい。
また、本実施形態においては、略矩形状の上面輪郭形状を有するアイランド式のキッチンユニットUを例示したが、L型キッチン設備1とテーブル2とが一体(一塊)となり、アイランド式のキッチンユニットUを形成すればよいのであって、設計や意匠の関係で施される調整において上面輪郭形状が幾何学的にどのような図形となろうと、本発明の趣旨を逸脱するものでなければよい。
【0039】
また、テーブル2の内隅のシンク側キッチン設備1Aと接する側には、カウンター21が備えられている。
このカウンター21は、シンク11からの水分がテーブル2側へ飛散することを防止するための界壁となるとともに、シンク11内の目隠しとしての界壁ともなる。
更に、配膳台等としても機能する。
【0040】
また、調理器具側キッチン設備1Bと接する側には、遮蔽板22が立設されている。
この遮蔽板22は、調理器具12から調理中の油等がテーブル2側へ飛散することを防止するための界壁となるとともに、調理器具12での作業及び使用されている器具等の目隠しとしての界壁ともなる。
なお、これらのカウンター21及び遮蔽板22等の形状はこれに限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲でそのような形態のものが用いられてもよいし、必ずしも備えられる必要はない。
【0041】
なお、説明の便宜上、以下、テーブル2を上面から見て、内隅と出隅を結ぶ線M2で分けた場合(図3参照)、シンク11及び調理器具12と対面する側を「キッチン側テーブル2A」と記すとともに、他方を「端側テーブル2B」と記す。
【0042】
次いで、図5により、作業者の作業動線Lについて説明する。
図5に示すように、作業者の作業動線Lは、出隅に沿う側面側に沿って描かれる。
つまり、作業者は、L型キッチン設備1の出隅に沿う面側から、シンク11及び調理器具12を使用する作業を行うこととなる。
このため、シンク11付近で作業を行う作業者と、調理器具12付近で作業を行う作業者とが、略90°の角度をもって向き合う位置関係が実現するとともに、内隅に沿う側面側に沿って作業動線が描かれる従来技術に比して、広い作業空間を確保することができ、複数人の作業者による作業を行うことが容易となる。
【0043】
次いで、図6乃至図8により、コミュニケーションポジションを説明する。
図6は、複数人の作業者で作業を行う場合のポジションを示す。
図6に示すのは、作業者W1が、調理器具側キッチン設備1Bの調理器具12付近で作業をしており、作業者W2がシンク側キッチン設備1Aのシンク11付近で作業をしている場合である。
この場合、作業者W1と作業者W2とは、略90°の角度を有する位置関係で向き合うこととなる。
【0044】
この位置は、心理学上、会話の成立しやすい位置関係であると言われている。
つまり、動物の本能上、直接対向する位置関係(面と向かう位置関係)であると、緊張感が増す傾向にあるとともに、180°の位置関係、若しくはこれ以上の角度の位置関係(つまり背中側を合わせることとなる位置関係)では、相手の様子等を認知し難く、会話が成立し難い。
このため、略90°の位置関係が一般的には会話が成立しやすいと考えられている。
【0045】
本実施形態に係るL型キッチン設備1によれば、このように、作業者W1と作業者W2は、この略90°の角度を有する位置関係で向き合うこととなるため、会話が成立しやすく、良好なコミュニケーションをとることができる。
また、本実施形態に係るL型キッチン設備1によれば、L型キッチン設備1の出隅に沿う面側から、シンク11及び調理器具12を使用する作業を行うこととなるため、十分な作業空間を確保することができる。
【0046】
次いで、図7は、複数人の作業者と非作業者のポジションを示す。
図7に示すのは、作業者W3が、シンク側キッチン設備1Aのシンク11付近で作業をしており、非作業者H1がテーブル2の端側テーブル2Bに着席している場合である。
この場合、作業者W3と非作業者H1とは、略90°の角度を有する位置関係で向き合うこととなる。
【0047】
このように、本実施形態に係るキッチンユニットUによれば、作業者W3と非作業者H1は、略90°の角度を有する位置関係で向き合うこととなるため、会話が成立しやすく、良好なコミュニケーションをとることができる。
また、本実施形態に係るキッチンユニットUによれば、例えば、非作業者H1が食事をしている場合等は、食事後に使用した食器類をシンク11側の作業者W3は直ちに回収することができ、機能的である。
【0048】
次いで、図8は、複数人の非作業者のポジションを示す。
図8に示すのは、非作業者H2がテーブル2のキッチン側テーブル2Aに着席し、非作業者H3がテーブル2の端側テーブル2Bに着席している場合である。
この場合、非作業者H2と非作業者H3とは、略90°の角度を有する位置関係で向き合うこととなる。
【0049】
このように、本実施形態に係るキッチンユニットUによれば、非作業者H2と非作業者H3は、略90°の角度を有する位置関係で向き合うこととなるため、会話が成立しやすく、良好なコミュニケーションをとることができる。
また、本実施形態に係るキッチンユニットUによれば、例えば、非作業者H2及び非作業者H3が食事をしている場合等は、良好なコミュニケーションが取れるとともに、何らかの作業を行う場合においても、作業にとって機能的な位置関係となる。
【0050】
次いで、図9及び図10に改変例を示す。
改変例に係るキッチンユニットU´は基本的な構造は、上記実施形態と同様であるが、
上記実施形態に係るL型キッチン設備1及びテーブル2の出隅部分を隅切りしてある。
つまり、図9及び図10に示すように、出隅部分Dがカットされた構成となっている。
その他の構造は、同様であるため、説明は省略する。
【0051】
このように、改変例においては、出隅部分Dが隅切りされているため、作業動線部分に存在していた出隅部分Dという障害物がなくなり、出隅部分Dを挟んだコミュニケーションが更に容易になるとともに、作業性もまた向上する。
また、出隅部分Dは、奥行きが大きくなるため、奥側に手が届きにくく、この奥部分がデットスペースとなりやすい。
更に、この奥行き側は、清掃も困難である。
【0052】
しかし、本改変例においては、この出隅部分Dが隅切りされているため、この切り取られた分だけ奥行きが短くなり、このような無駄なデットスペースが無くなるとともに、清掃を行うことも容易となる。
以上のように、隅切り行うことにより、上記様々な問題が解消され、より作業性及び利便性の高いキッチンユニットU´を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の一実施形態に係るキッチンユニットを示す作業スペース方向の斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るキッチンユニットを示す非作業スペース方向の斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態に係るキッチンユニットを示す上面説明図である。
【図4】本発明の一実施形態に係るキッチンユニットの各面図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る作業者の作業動線を示す説明図である。
【図6】本発明の一実施形態に係るコミュニケーションポジションを示す説明図である。
【図7】本発明の一実施形態に係るコミュニケーションポジションを示す説明図である。
【図8】本発明の一実施形態に係るコミュニケーションポジションを示す説明図である。
【図9】本発明の改変例を示す上面説明図である。
【図10】本発明の改変例を示す各面図である。
【符号の説明】
【0054】
1 L型キッチン設備
1A シンク側キッチン設備
1B 調理器具側キッチン設備
2 テーブル
2A キッチン側テーブル
2B 端側テーブル
11 シンク
12 調理器具
21 カウンター
22 遮蔽板
D 出隅部分
F レンジフード
H1,H2,H3 非作業者
L 作業動線
U,U´ キッチンユニット
W1,W2,W3 作業者



【特許請求の範囲】
【請求項1】
略直交する第1の方向及び第2の方向に延在する第1の部分と第2の部分とを有する略L字形状のL型キッチン設備であって、
前記第1の部分には、シンク若しくは調理器具が少なくとも備えられるとともに、前記第2の部分にはシンク若しくは調理器具が少なくとも備えられ、
前記シンク及び前記調理器具は、前記略L字形状の屈曲部である出隅部分に沿う側面側から作業が行われるように配設されていることを特徴とするL型キッチン設備。
【請求項2】
前記出隅部分は、隅切りされていることを特徴とする請求項1に記載のL型キッチン設備。
【請求項3】
略直交する第1の方向及び第2の方向に延在する第1の部分と第2の部分とを有する略L字形状のL型キッチン設備と、
天板が略L字形状に形成されたテーブルと、を有するキッチンユニットであって、
前記L型キッチン設備の前記第1の部分には、シンク若しくは調理器具が少なくとも備えられるとともに、前記第2の部分にはシンク若しくは調理器具が少なくとも備えられ、
前記シンク及び前記調理器具は、前記略L字形状の屈曲部である出隅部分に沿う側面側から作業が行われるように配設されおり、
前記テーブルの前記天板と前記L型キッチン設備は、前記天板の一端部側が前記第1の部分及び前記L型キッチン設備の内隅部に沿うとともに、前記第2の部分が前記天板の内隅部分に沿うように組み合され、略一塊となった上面輪郭形状を有するアイランド式となるよう構成されているキッチンユニット。
【請求項4】
前記L型キッチン設備の前記出隅部分及び前記テーブルの前記天板の屈曲部であるテーブル側出隅部分のうちの少なくとも一方は隅切りされていることを特徴とする請求項3に記載のキッチンユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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