説明

LED発光装置、LED表示装置、およびLED発光装置の製造方法

【課題】実装基板に対する発光ダイオードの光軸方向を任意の方向に傾斜させて実装することが可能なLED発光装置、その製造方法、およびそのようなLED発光装置を適用したLED表示装置を提供する。
【解決手段】LED発光装置1は、発光ダイオード10が載置された第1リードフレーム11と、発光ダイオード10に金線などのワイヤを介して接続された第2リードフレーム12と、発光ダイオード10を配置する凹部15cを画定して第1リードフレーム11および第2リードフレーム12を互いに反対方向から導出する成形樹脂部15とを備える。第1リードフレーム11および第2リードフレーム12は、実装基板20に接続されたときに成形樹脂部15の実装基板20に対向する基板対向面15ssが実装基板20に対して傾斜角度θで傾斜するように折り曲げられた折り曲げ部11bf、11bs、12bfを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)を実装したLED発光装置、LED発光装置を実装基板に配置したLED表示装置、およびLED発光装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
消費電力、寿命、信頼性などの観点から、発光ダイオードを適用したLED発光装置が表示装置などに適用されている。
【0003】
LED発光装置は、発光ダイオードを保護するために樹脂部で保護される。実装基板に実装するためにリードフレームを樹脂部に対して折り曲げることがある(例えば特許文献1ないし特許文献5参照。)。
【0004】
図8および図9に基づいて、従来例に係るLED発光装置を説明する。
【0005】
図8は、従来例に係るLED発光装置の発光面を示す正面図である。図9は、図8に示したLED発光装置を実装基板に実装した状態を矢符X方向から見た側面を示す側面図である。
【0006】
従来例に係るLED発光装置101は、発光ダイオード110と、発光ダイオード110が載置された第1リードフレーム111と、発光ダイオード110にワイヤを介して接続された第2リードフレーム112と、発光ダイオード110を配置する凹部115cを画定して第1リードフレーム111および第2リードフレーム112を導出する成形樹脂部115とを備える。
【0007】
発光ダイオード110は、銀ペーストなどの導電性接着剤で第1リードフレーム111にダイボンドされ、金線などのワイヤを介して第2リードフレーム112に接続される。
【0008】
第1リードフレーム111および第2リードフレーム112を導出する成形樹脂部115は、例えばインサート成形で形成され、併せて凹部115cを形成してある。凹部115cの内部は発光ダイオード110を保護するため封止部116により封止されている。注型樹脂としては、エポキシ樹脂もしくはシリコーン樹脂が使用され、透明または拡散剤を混入させた乳白色の樹脂としてある。
【0009】
図8、図9に示すLED発光装置101は、いわゆる面実装型といわれる構造をしている。つまり、成形樹脂部115から導出された第1リードフレーム111および第2リードフレーム112が実装基板120に接続されたとき、成形樹脂部115は、実装基板120に対して平面状に載置されるように構成してある。つまり、第1リードフレーム111および第2リードフレーム112は、互いに対称的な配置を構成するように対称的に折り曲げてある。
【0010】
したがって、従来例に係るLED発光装置101は、発光ダイオード110の光軸が実装基板120に対して垂直方向となる。つまり、従来例に係るLED発光装置101は、成形樹脂部115(実装基板120に対向する基板対向面)が実装基板120に対して平行に配置された平面型LED発光装置として構成されている。
【特許文献1】特開平3−73578号公報
【特許文献2】特開平11−87780号公報
【特許文献3】特開2002−270902号公報
【特許文献4】特開2004−214436号公報
【特許文献5】特開2005−317661号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従来のLED発光装置101は、リードフレーム(第1リードフレーム111、第2リードフレーム112)を相互に対称的に折り曲げ、実装基板120に対して成形樹脂部115を平行に配置する平面型LED発光装置として構成されることから、実装基板120に対する発光面の方向(発光ダイオード110の光軸)を自由に制御することができないという問題があった。
【0012】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、実装基板へ接続されるLED発光装置(発光ダイオード)の光軸を実装基板に対して傾斜させるように第1リードフレームおよび第2リードフレームを折り曲げた折り曲げ部を設けることにより、実装基板に対する発光ダイオードの光軸方向を任意の方向に傾斜させて実装することが可能なLED発光装置を提供することを目的とする。
【0013】
また、本発明は、発光ダイオードの光軸方向が実装基板に対して垂直方向となる平面型LED発光装置と発光ダイオードの光軸方向が実装基板に対して傾斜するLED発光装置とを実装基板に配置することにより、被照射体に対する照射範囲の広い優れた表示特性を有するLED表示装置を提供することを他の目的とする。
【0014】
また、本発明は、LED発光装置を実装基板に実装する前にLED発光装置(発光ダイオード)の光軸を実装基板に対して傾斜させるように第1リードフレームおよび第2リードフレームを折り曲げた折り曲げ部を設けるリードフレームフォーミング工程を備えることにより、実装基板に対する発光ダイオードの光軸方向を任意の方向に傾斜させて実装することが可能なLED発光装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明に係るLED発光装置は、発光ダイオードと、該発光ダイオードが載置された第1リードフレームと、前記発光ダイオードにワイヤを介して接続された第2リードフレームと、前記発光ダイオードを配置する凹部を画定して前記第1リードフレームおよび前記第2リードフレームを互いに反対方向から導出する成形樹脂部とを備えるLED発光装置であって、前記成形樹脂部から導出された前記第1リードフレームおよび前記第2リードフレームは、実装基板に接続されたときに前記成形樹脂部の前記実装基板に対向する基板対向面が前記実装基板に対して傾斜するように折り曲げられた折り曲げ部を備えることを特徴とする。
【0016】
この構成により、発光ダイオードが構成する光軸を実装基板に対して任意の方向に所定の傾斜角度で傾斜させ必要に応じた照射角度での照射が可能なLED発光装置とすることができる。また、実装基板と基板対向面との間に空間を設けることから、放熱特性を向上させることが可能となる。
【0017】
また、本発明に係るLED発光装置では、前記第1リードフレームの長さは、前記第2リードフレームの長さより長くしてあることを特徴とする。
【0018】
この構成により、発光ダイオードが載置された第1リードフレームを放熱部として作用させることが可能となることから、放熱性が良く、優れた放熱特性を有するLED発光装置とすることができる。
【0019】
また、本発明に係るLED発光装置では、前記第1リードフレームおよび前記第2リードフレームは、それぞれ複数配置してあることを特徴とする。
【0020】
この構成により、第1リードフレームおよび第2リードフレームの対に対応する複数の発光ダイオードを搭載することが可能となり、多色発光を行なうLED発光装置とすることができる。
【0021】
また、本発明に係るLED発光装置では、前記折り曲げ部は、切込み部を有することを特徴とする。
【0022】
この構成により、折り曲げ部を高精度かつ容易に形成することが可能となる。
【0023】
また、本発明に係るLED発光装置では、前記折り曲げ部は、正弦波状に折り曲げられた正弦波状屈曲部を有することを特徴とする。
【0024】
この構成により、折り曲げ部を高精度かつ容易に形成することが可能となる。
【0025】
また、本発明に係るLED発光装置では、前記折り曲げ部は、前記発光ダイオードが構成する光軸が前記実装基板に対して45度程度傾斜するように形成してあることを特徴とする。
【0026】
この構成により、実装基板と平行な方向に対応させて照射を行なうことが可能となり、幅広い角度で広い面積に対する照射が可能となる。
【0027】
また、本発明に係るLED発光装置では、前記基板対向面が形成された前記成形樹脂部の台座部は、前記第1リードフレームおよび前記第2リードフレームが固定される位置を底辺とし前記基板対向面を上辺とする台形状としてあることを特徴とする。
【0028】
この構成により、台形の形状に対応させた折り曲げ角度を有する折り曲げ部とすることが可能となり、高精度かつ容易に折り曲げ部を形成することができる。
【0029】
また、本発明に係るLED表示装置は、発光ダイオードの光軸が実装基板に対して垂直な平面型LED発光装置と、発光ダイオードの光軸が実装基板に対して傾斜しているLED発光装置とを実装基板に配置したLED表示装置であって、前記LED発光装置は、本発明に係るLED発光装置であることを特徴とする。
【0030】
この構成により、被照射体の形状に対応した効率的な照射が可能で照射範囲の広い優れた表示特性を有するLED表示装置とすることが可能となる。
【0031】
また、本発明に係るLED発光装置の製造方法は、発光ダイオードと、該発光ダイオードが載置された第1リードフレームと、前記発光ダイオードにワイヤを介して接続された第2リードフレームと、前記発光ダイオードを配置する凹部を画定して前記第1リードフレームおよび前記第2リードフレームを互いに反対方向から導出する成形樹脂部とを備えるLED発光装置の製造方法であって、前記第1リードフレームおよび前記第2リードフレームを準備するリードフレーム準備工程と、前記成形樹脂部を形成する成形樹脂部形成工程と、前記成形樹脂部を形成した後、前記発光ダイオードを前記第1リードフレームに載置して前記発光ダイオードを前記第2リードフレームとワイヤで接続する接続工程と、該接続工程の後、成形樹脂部15から導出された前記第1リードフレームおよび前記第2リードフレームが実装基板に接続されたときに前記成形樹脂部の前記実装基板に対向する基板対向面が前記実装基板に対して傾斜するように前記第1リードフレームおよび前記第2リードフレームを折り曲げた折り曲げ部を形成するリードフレームフォーミング工程とを備えることを特徴とする。
【0032】
この構成により、発光ダイオードが構成する光軸を実装基板に対して任意の方向に所定の傾斜角度で傾斜させ必要に応じた照射角度での照射が可能なLED発光装置を実装基板に対応させて形成することが可能となるので、生産性と汎用性に優れたLED発光装置の製造方法とすることができる。
【発明の効果】
【0033】
本発明に係るLED発光装置およびその製造方法によれば、実装基板へ接続されるLED発光装置(発光ダイオード)の光軸を実装基板に対して傾斜させるように第1リードフレームおよび第2リードフレームを折り曲げた折り曲げ部を設けることから、実装基板に対する発光ダイオードの光軸方向を任意の方向に傾斜させて実装することが可能なLED発光装置を容易に提供することができるという効果を奏する。
【0034】
つまり、本発明に係るLED発光装置によれば、被照射体に固有の角度で効率よく被照射体へ照射光を照射することが可能となる。また、本発明に係るLED発光装置の製造方法によれば、生産性と汎用性に優れたLED発光装置の製造方法とすることが可能となる。
【0035】
また、本発明に係るLED表示装置によれば、発光ダイオードの光軸方向が実装基板に対して垂直方向となる平面型LED発光装置と発光ダイオードの光軸方向が実装基板に対して傾斜するLED発光装置とを実装基板に配置することから、被照射体の形状に対応した効率的な照射が可能で照射範囲の広い優れた表示特性を有するLED表示装置を提供することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0037】
<実施の形態1>
図1ないし図3に基づいて、本発明の実施の形態1に係るLED発光装置およびその製造方法について説明する。
【0038】
図1は、本発明の実施の形態1に係るLED発光装置の発光面に対する側面状態を示す側面図である。
【0039】
本実施の形態に係るLED発光装置1は、発光ダイオード10(図4参照。図1ないし図3は側面図であり側面には現れないことから図示を省略してある。)と、発光ダイオード10が載置された第1リードフレーム11と、発光ダイオード10に金線などのワイヤを介して接続された第2リードフレーム12と、発光ダイオード10を配置する凹部15cを画定して第1リードフレーム11および第2リードフレーム12を互いに反対方向から導出する成形樹脂部15とを備える。
【0040】
成形樹脂部15から導出された第1リードフレーム11および第2リードフレーム12は、実装基板20に接続されたときに成形樹脂部15の実装基板20に対向する基板対向面15ssが実装基板20に対して傾斜角度θ(以下の図でも同様であり、適宜説明は省略する。)で傾斜するように折り曲げられた折り曲げ部11bf、11bs、12bfを備える。
【0041】
つまり、第1リードフレーム11および第2リードフレーム12の長さを相互に異ならせるように第1リードフレーム11および第2リードフレーム12を折り曲げて折り曲げ部11bf、11bs、12bfを設けてある。
【0042】
この構成とすることにより、発光ダイオード10(LED発光装置1)が構成する光軸Laxを実装基板20に対して任意の方向に所定の傾斜角度θで傾斜させ必要に応じた照射角度での照射が可能なLED発光装置1とすることができる。また、実装基板20と基板対向面15ssとの間に空間を設けることから、空気の対流を大きくすることができるのでLED発光装置1の放熱特性を向上させることが可能となる。
【0043】
本実施の形態に係るLED発光装置1は、上述したとおり、発光ダイオード10と、発光ダイオード10が載置された第1リードフレーム11と、発光ダイオード10にワイヤを介して接続された第2リードフレーム12と、発光ダイオード10を配置する凹部15cを画定して第1リードフレーム11および第2リードフレーム12を互いに反対方向から導出する成形樹脂部15とを備え、次の製造方法により製造することが可能である。
【0044】
つまり、本実施の形態に係るLED発光装置1の製造方法は、第1リードフレーム11および第2リードフレーム12を準備するリードフレーム準備工程と、成形樹脂部15を形成する成形樹脂部形成工程と、成形樹脂部15を形成した後、発光ダイオード10を第1リードフレーム11に載置して発光ダイオード10を第2リードフレーム12とワイヤで接続する接続工程と、接続工程の後、成形樹脂部15から導出された第1リードフレーム11および第2リードフレーム12が実装基板20に接続されたときに成形樹脂部15の実装基板20に対向する基板対向面15ssが実装基板20に対して傾斜角度θで傾斜するように第1リードフレーム11および第2リードフレーム12を折り曲げた折り曲げ部11bf、11bs、12bfを形成するリードフレームフォーミング工程とを備える。
【0045】
したがって、本実施の形態に係るLED発光装置1の製造方法によれば、発光ダイオード10が構成する光軸Laxを実装基板20に対して任意の方向に所定の傾斜角度θで傾斜させ必要に応じた照射角度での照射が可能なLED発光装置1を実装基板20に対応させて形成することが可能となるので、生産性と汎用性に優れたLED発光装置1の製造方法とすることができる。
【0046】
第1リードフレーム11の長さは、第2リードフレーム12の長さより長くしてある。なお、リードフレームの長さは、成形樹脂部15から導出され実装基板20に接続される位置までの長さで比較する。
【0047】
リードフレームの長さを第1リードフレーム11と第2リードフレーム12とで異ならせることにより、発光ダイオード10が載置された第1リードフレーム11を放熱部として作用させることが可能となることから、放熱性が良く、優れた放熱特性を有するLED発光装置1とすることができる。
【0048】
リードフレーム準備工程では、金属平板に打ち抜き加工を施して第1リードフレーム11および第2リードフレーム12で構成されるリードフレームを準備する。
【0049】
成形樹脂部形成工程では、リードフレーム(第1リードフレーム11、第2リードフレーム12)をインサート成形金型に配置してインサート成形(プラスチック成形体に埋め込む金属部品などの異種材料の部品をあらかじめ金型内に設置しておいて、そこに樹脂を射出成形などによって充填する成形法)を行なう。
【0050】
インサート成形では、エポキシ系の白色樹脂を適用する。つまり、発光ダイオード10からの光が成形樹脂部15で吸収されないで反射するようにしておく。
【0051】
インサート成形により、発光ダイオード10を配置する凹部15cを画定し、第1リードフレーム11および第2リードフレーム12を固定する成形樹脂部15を形成する。凹部15cの側面は、発光ダイオード10からの放射光を光軸Lax方向へ反射する反射面を構成するように形成してある。
【0052】
成形樹脂部15は、凹部15cの外周(LED発光装置1の発光面側の外形)を構成する表装部15sと基板対向面15ssを形成する台座部15bとで構成され、表装部15sおよび台座部15bの間で第1リードフレーム11および第2リードフレーム12を固定する構成としてある。
【0053】
なお、凹部15cでは、発光ダイオード10を接続できるように第1リードフレーム11および第2リードフレーム12の先端部が露出させてある。
【0054】
接続工程では、凹部15cに露出された第1リードフレーム11および第2リードフレーム12の先端に発光ダイオード10を接続する。つまり、銀ペーストなどの導電性接着剤を適用して発光ダイオード10を第1リードフレーム11にダイボンドし、ワイヤを介して第2リードフレーム12を発光ダイオード10に接続する。
【0055】
凹部15cの内部は発光ダイオード10を保護するため封止部16により封止されている(封止工程)。封止部16は主にポッティング方式で注型される。注型樹脂としては、エポキシ樹脂もしくはシリコーン樹脂が使用され、透明または拡散剤を混入させた乳白色の樹脂としてある。
【0056】
トランスファー成形、インジェクション成形などによる形成も可能であり、発光面を任意の形状(例えば凸レンズ形状)にすることも可能である。また、封止部16は、凹部15cの表面端部に蓋状(例えば凸レンズ状の蓋材)に形成することも可能である。
【0057】
上述したリードフレーム準備工程、成形樹脂部形成工程、接続工程、封止工程は、多連リードフレーム(不図示)を適用して複数のLED発光装置1を一括して処理する形態で製造することが可能である。一般的には、一括して大量のLED発光装置1を同時に形成するバッチ式で工程処理が施される。
【0058】
したがって、上述したリードフレーム準備工程、成形樹脂部形成工程、接続工程、封止工程を終了した後、LED発光装置1は、個々に多連リードフレームから切断され(分離工程)、個別のLED発光装置1が一応完成する。
【0059】
本実施の形態に係るLED発光装置1の製造方法では、さらに上述したリードフレームフォーミング工程を備える。つまり、成形樹脂部15から導出された第1リードフレーム11および第2リードフレーム12のフォーミングを行なう。
【0060】
LED発光装置1を実装基板20に実装するときに、LED発光装置1の発光面(発光ダイオード10の光軸Lax)が実装基板20の表面に対して傾斜角度θを有して実装されるようにリードフレーム(第1リードフレーム11および第2リードフレーム12)を加工する。
【0061】
したがって、フォーミングするときのリードフレームの曲げ方(曲げ角度)を変えるだけで任意の傾斜角度θを持つLED発光装置1を形成することができることから、部品としてのLED発光装置1の共有化を図ることが可能となる。
【0062】
第1リードフレーム11は、第1の折り曲げ部である折り曲げ部11bf、第2の折り曲げ部である折り曲げ部11bsを有する。折り曲げ部11bfは成形樹脂部15(光軸Lax)を傾けるために折り曲げ部11bsとの間で直線部を構成するように形成され、折り曲げ部11bsは第1リードフレーム11を実装基板20に実装(接続)するための折り曲げ部としてある。つまり、第1リードフレーム11は、折り曲げ部11bsの先で実装基板20に接続される。
【0063】
また、第2リードフレーム12bは、第1の折り曲げ部である折り曲げ部12bfを有する。折り曲げ部11bfに対応させて折り曲げてある折り曲げ部12bfは、第2リードフレーム12を実装基板20に実装(接続)するための折り曲げ部としてある。つまり、第2リードフレーム12は、折り曲げ部12bfの先で実装基板20に接続される。
【0064】
したがって、折り曲げ部11bsから先の第1リードフレーム11の先端部および折り曲げ部12bfから先の第2リードフレーム12の先端部は、実装基板20に接続されるが、第1リードフレーム11は、折り曲げ部11bfと折り曲げ部11bsとの間の直線部が存在することにより成形樹脂部15(光軸Lax)を傾けることとなる。
【0065】
つまり、第1リードフレーム11は、折り曲げ部11bfと折り曲げ部11bsとの間の長さ分だけ第2リードフレーム12に対して長いリード部分を有することとなり、結果として折り曲げ部11bfと折り曲げ部11bsとの間の長さに応じて成形樹脂部15(光軸Lax)を実装基板20に対して傾斜させることが可能となる。
【0066】
また、図1に示した折り曲げ部12bfは、基板対向面15ssに対応する側に折り曲げてあることから、実装基板20の配線領域を縮小することが可能となる。折り曲げ部11bsを図示した方向と逆に基板対向面15ssに対応する側に折り曲げた場合も同様な効果を奏する。
【0067】
基板対向面15ssが形成された成形樹脂部15の台座部15bは、第1リードフレーム11および第2リードフレーム12が固定される位置を底辺とし基板対向面15ssを上辺とする台形状としてあることが望ましい。
【0068】
この構成により、リードフレーム(第1リードフレーム11または第2リードフレーム12)を台形の斜辺に沿うように折り曲げることが可能となることから、台形の斜辺形状に対応させた折り曲げ角度を有する折り曲げ部11bf、12bfとすることが可能となり、高精度かつ容易に折り曲げ部11bf、12bfを形成することができる。
【0069】
折り曲げ部11bf、11bs、12bfは、発光ダイオード10が構成する光軸Laxが実装基板20に対して45度程度傾斜するように形成してあることが望ましい。この構成により、実装基板20と平行な方向に対応させて照射を行なうことが可能となり、幅広い角度で広い面積に対する照射(表示)が可能となる。
【0070】
図2、図3は、図1に示したLED発光装置のリードフレームの折り曲げ状態を変えた変形例を示す側面図である。基本的には図1と同様であるので主に異なる事項について説明する。
【0071】
図2に示すLED発光装置1では、図1の場合と異なり、折り曲げ部12bfを基板対向面15ssに対応しない外側へ折り曲げてある。したがって、第2リードフレーム12の位置合わせを容易かつ高精度に行なうことが可能となる。
【0072】
図1、図2に示すLED発光装置1は、面実装型としてあることから、実装基板20の形状を簡略化して薄型化することが可能となっている。つまり、実装基板20の裏面側の形状を凹凸の無い平面状とすることが可能となる。また、面実装型としてあることから、傾斜角度θの制御を第1リードフレーム11、第2リードフレーム12の折り曲げにより容易かつ高精度に行なうことが可能となる。
【0073】
図3に示すLED発光装置1では、図1、図2の場合と異なり、折り曲げ部11bf、12bfの2ヶ所のみで折り曲げることにより、LED発光装置1を面実装タイプではなく、DIP(Dual Inline Package)タイプとして構成してある。DIPタイプとした場合にも図1、図2の場合と同様に発光ダイオード10が構成する光軸Laxを実装基板20に対して傾斜させることが可能となる。
【0074】
なお、実装基板20に対する位置決めを精度良く行なうために、第1リードフレーム11、第2リードフレーム12の途中に適宜の突起部を形成して実装基板20に対して位置決めできる形態とすることが望ましい。
【0075】
<実施の形態2>
図4は、本発明の実施の形態2に係るLED発光装置の発光面を示す正面図である。基本的な構成は実施の形態1でのLED発光装置1と同様であるので主に異なる構成について説明する。
【0076】
本実施の形態に係るLED発光装置1では、第1リードフレーム11および第2リードフレーム12は、それぞれ複数配置してある。図4では、第1リードフレーム11および第2リードフレーム12の対を3対配置した場合を示す。したがって、第1リードフレーム11および第2リードフレーム12の対に対応する複数の発光ダイオード10を搭載することが可能となり、多色発光を行なうLED発光装置1とすることができる。なお、3対に限らずさらに多くの対とすることも可能である。
【0077】
リードフレーム対(第1リードフレーム11および第2リードフレーム12)を3対とした場合は、それぞれ異なる発光色を有する3チップを搭載することが可能となるので、発光色を3原色で構成して独立に電流を制御することでフルカラー表示を実現することができる。
【0078】
なお、実施の形態1に示したLED発光装置1は、3対の中の1対を取り出した形態とすることが可能であり、また、3対の中の2対を取り出した形態とすることも可能である。
【0079】
<実施の形態3>
図5は、本発明の実施の形態3に係るLED表示装置の側面を透視的に示す側面図である。基本的な構成は実施の形態1、実施の形態2でのLED発光装置1と同様であるので主に異なる構成について説明する。
【0080】
本実施の形態に係るLED表示装置2は、発光ダイオード10の光軸Lax(実施の形態1参照)が実装基板20に対して垂直な平面型LED発光装置1fと、発光ダイオード10の光軸Laxが実装基板20に対して傾斜しているLED発光装置1とを実装基板20に併せて並置(配置)してある。
【0081】
LED発光装置1は、他の実施の形態で記載したLED発光装置1をそのまま適用することが可能である。また、平面型LED発光装置1fは、従来のものをそのまま適用することが可能である。
【0082】
この構成により、被照射体に対する照射範囲の広い優れた表示特性を有するLED表示装置2とすることが可能となる。また、LED表示装置2の製造工程で、リードフレームフォーミング工程までは、LED発光装置1を共通部品として共有化することが可能となる。
【0083】
<実施の形態4>
図6、図7に基づいて、本発明の実施の形態4に係るLED発光装置について説明する。
【0084】
本実施の形態に係るLED発光装置1は、実施の形態1で示したLED発光装置1のリードフレーム(第1リードフレーム11、第2リードフレーム12)の折り曲げ部11bf、11bs、12bfに係る形状を変形した変形例である。基本的には図1と同様であるので主に異なる事項について説明する。
【0085】
なお、説明の便宜を考慮して第1リードフレーム11の第1の折り曲げ部である折り曲げ部11bfに対する変形例を説明するが、他の折り曲げ部11bs、12bfに対しても同様に適用できる。
【0086】
図6は、本発明の実施の形態4に係るLED発光装置のリードフレームの折り曲げ部に対する変形例を示す側面図であり、(A)は折り曲げ前の状態を示し、(B)は折り曲げ後の状態を示す。
【0087】
図6に示す第1リードフレーム11では、折り曲げ部11bfは、折り曲げ方向に切り欠きされた切込み部11vを有する。したがって、折り曲げ部11bfを高精度かつ容易に形成することが可能となる。切込み部11vの存在により、折り曲げ部11bfを小さい圧力で容易に折り曲げできることから、成形樹脂部15に対して加わる応力を抑制することが可能となる。
【0088】
図7は、本発明の実施の形態4に係るLED発光装置のリードフレームの折り曲げ部に対する変形例の折り曲げ前の状態を示す側面図である。
【0089】
図7に示す第1リードフレーム11では、折り曲げ部11bfは、正弦波状に折り曲げられた正弦波状屈曲部11wを有する。正弦波状屈曲部11wの当初の折り曲げ部を転用して折り曲げることが可能となり、この構成によっても図6の場合と同様の作用効果を得られる。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】本発明の実施の形態1に係るLED発光装置の発光面に対する側面状態を示す側面図である。
【図2】図1に示したLED発光装置のリードフレームの折り曲げ状態を変えた変形例を示す側面図である。
【図3】図1に示したLED発光装置のリードフレームの折り曲げ状態を変えた変形例を示す側面図である。
【図4】本発明の実施の形態2に係るLED発光装置の発光面を示す正面図である。
【図5】本発明の実施の形態3に係るLED表示装置の側面を透視的に示す側面図である。
【図6】本発明の実施の形態4に係るLED発光装置のリードフレームの折り曲げ部に対する変形例を示す側面図であり、(A)は折り曲げ前の状態を示し、(B)は折り曲げ後の状態を示す。
【図7】本発明の実施の形態4に係るLED発光装置のリードフレームの折り曲げ部に対する変形例の折り曲げ前の状態を示す側面図である。
【図8】従来例に係るLED発光装置の発光面を示す正面図である。
【図9】図8に示したLED発光装置を実装基板に実装した状態を矢符X方向から見た側面を示す側面図である。
【符号の説明】
【0091】
1 LED発光装置
1f 平面型LED発光装置
2 LED表示装置
10 発光ダイオード
11 第1リードフレーム
11bf 折り曲げ部
11bs 折り曲げ部
11v 切込み部
11w 波状屈曲部
12 第2リードフレーム
12bf 折り曲げ部
15 成形樹脂部
15b 台座部
15c 凹部
15s 表装部
15ss 基板対向面
16 封止部
20 実装基板
21 樹脂封止部
Lax 光軸
θ 傾斜角度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光ダイオードと、該発光ダイオードが載置された第1リードフレームと、前記発光ダイオードにワイヤを介して接続された第2リードフレームと、前記発光ダイオードを配置する凹部を画定して前記第1リードフレームおよび前記第2リードフレームを互いに反対方向から導出する成形樹脂部とを備えるLED発光装置であって、
前記成形樹脂部から導出された前記第1リードフレームおよび前記第2リードフレームは、実装基板に接続されたときに前記成形樹脂部の前記実装基板に対向する基板対向面が前記実装基板に対して傾斜するように折り曲げられた折り曲げ部を備えることを特徴とするLED発光装置。
【請求項2】
前記第1リードフレームの長さは、前記第2リードフレームの長さより長くしてあることを特徴とする請求項1に記載のLED発光装置。
【請求項3】
前記第1リードフレームおよび前記第2リードフレームは、それぞれ複数配置してあることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のLED発光装置。
【請求項4】
前記折り曲げ部は、切込み部を有することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一つに記載のLED発光装置。
【請求項5】
前記折り曲げ部は、正弦波状に折り曲げられた正弦波状屈曲部を有することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一つに記載のLED発光装置。
【請求項6】
前記折り曲げ部は、前記発光ダイオードが構成する光軸が前記実装基板に対して45度程度傾斜するように形成してあることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか一つに記載のLED発光装置。
【請求項7】
前記基板対向面が形成された前記成形樹脂部の台座部は、前記第1リードフレームおよび前記第2リードフレームが固定される位置を底辺とし前記基板対向面を上辺とする台形状としてあることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか一つに記載のLED発光装置。
【請求項8】
発光ダイオードの光軸が実装基板に対して垂直な平面型LED発光装置と、発光ダイオードの光軸が実装基板に対して傾斜しているLED発光装置とを実装基板に配置したLED表示装置であって、
前記LED発光装置は、請求項1ないし請求項7のいずれか一つに記載のLED発光装置であることを特徴とするLED表示装置。
【請求項9】
発光ダイオードと、該発光ダイオードが載置された第1リードフレームと、前記発光ダイオードにワイヤを介して接続された第2リードフレームと、前記発光ダイオードを配置する凹部を画定して前記第1リードフレームおよび前記第2リードフレームを互いに反対方向から導出する成形樹脂部とを備えるLED発光装置の製造方法であって、
前記第1リードフレームおよび前記第2リードフレームを準備するリードフレーム準備工程と、
前記成形樹脂部を形成する成形樹脂部形成工程と、
前記成形樹脂部を形成した後、前記発光ダイオードを前記第1リードフレームに載置して前記発光ダイオードを前記第2リードフレームとワイヤで接続する接続工程と、
該接続工程の後、成形樹脂部15から導出された前記第1リードフレームおよび前記第2リードフレームが実装基板に接続されたときに前記成形樹脂部の前記実装基板に対向する基板対向面が前記実装基板に対して傾斜するように前記第1リードフレームおよび前記第2リードフレームを折り曲げた折り曲げ部を形成するリードフレームフォーミング工程と
を備えることを特徴とするLED発光装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−4443(P2009−4443A)
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−161535(P2007−161535)
【出願日】平成19年6月19日(2007.6.19)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】