説明

LNG気化器の並列運用

【課題】並列配置した気化器における流量或いは圧力の変動を抑える構成を有するLNGサテライト設備を提供する。また、並列配置による仕様の過大化を避け、省コスト化、省スペース化を実現する。さらに、並列配置した気化器の各々に対して、ガスの流入量を調整できる構成を有するLNGサテライト設備を提供する。
【解決手段】液化天然ガスG1を蓄えるLNG貯槽10と、LNG貯槽10から液化天然ガスG1が払出される共通払出路15と、共通払出路15の下流に並列に接続された複数の気化器20と、複数の気化器20の下流に接続される共通送出路18と、共通送出路18を流れる気化ガスG2の圧力を調整する調整弁30と、を備えるLNGサテライト設備1であって、共通払出路15より下流側で、複数の気化器20各々の入口部に、気化器20に流入する液化天然ガスG1に抵抗を付与する流量分配装置100を備える点にある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、液化天然ガス(LNG)を蓄えるLNG貯槽と、前記LNG貯槽から前記液化天然ガスが払出される共通払出路と、前記共通払出路の下流に並列に接続された複数の気化器と、前記複数の気化器の下流に接続される共通送出路と、前記共通送出路を流れる気化ガスの圧力を調整する調整弁と、を備えるLNGサテライト設備に関する。
【背景技術】
【0002】
LNGサテライト設備は、例えば、工場を需要箇所として、液化天然ガスを燃料ガスとして供給するために設置される。このようなLNGサテライト設備には、液化天然ガスを貯蔵するLNG貯槽が設けられ、LNG貯槽には、定期的にタンクローリーによって液化天然ガスが補給される。そして、LNG貯槽に貯蔵された液化天然ガスを気化器によって気化して、燃料ガスとして工場内に供給する。
【0003】
工場に設置されるこのようなLNGサテライト設備には、設置される工場内だけを需要箇所として製造ガスを送る小規模なものが多く、製造ガスの送出圧力も0.1MPаG程度と低いため、貯槽の圧力を製造ガスの送出に利用する製造設備が多い。このような設備では、設備の故障等による液化天然ガスの供給停止を防止するために予備機を設置する場合があり、それは気化器についても同様である(気化器を並列配置した先行技術文献として、例えば特許文献1がある)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−138958号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図8に気化器を並列配置した従来のLNGサテライト設備の全体構成を、図9に従来のLNGサテライト設備において、2台の気化器を並列配置した場合の各気化器の気化ガス流量の変動のグラフ図を示す。
【0006】
図8に示すLNGサテライト設備1では、共通払出路15を介して、並列配置した気化器20にLNG貯槽10から液化天然ガスG1が導入され、共通送出路18に気化ガスG2が導出される。そして、このような構造を採用した場合、各気化器20a(20)、20b(20)の特性に従って、図9に示すように、各気化器20a、20bの流量に差が生じ、さらに、各気化器20a、20bで圧力の変動、ひいては流量の変動を生じることがある。
【0007】
さらに、貯槽圧を利用して送出ガス圧力を得る気化器、特に温水を熱源とする気化器では、気化器に流入した液化天然ガスが急速に気化するため、気化器出口ガス圧力が変動し、並列運転した場合において両気化器間で相互に影響し合い、圧力変動が大きくなる。そして、この傾向は気化器の負荷が低いほど起こりやすくなる。このような大きな圧力変動は、大きな流量変動に繋がる。
【0008】
図9から、気化器20a、20bの流量を参照すると、気化器20aの流量変動と気化器20bの流量変動とは同期しており、気化器20aの流量変動は、気化器20bの変動最小流量域から、気化器20aの平均流量を越えて、その変動最大流量域までの大ききで変動している。このような大きな流量変動は、送出ガス圧力制御装置の寿命を縮め、LNGサテライト設備のメンテナンスコストを増大させる。
【0009】
また、LNGサテライト設備の予備機を設置する場合において、予備機の容量は要求される最大ガス量に応じた設備とするため、過大な仕様となっている。これは、気化器を並列配置する場合についても同様である。
【0010】
さらに、先に説明したように、並列配置した気化器を並列運転する場合において、気化器への液化天然ガスの流入量が均等にならないことがあるが、このような状況では、流入量の多い側の気化器が過負荷になり、機器に損傷を与える可能性がある。したがって、気化器を並列運転する場合、並列配置した各々の気化器に対して、液化天然ガスの流入量を調整できることが好ましい。
【0011】
本願発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、並列配置した気化器における流量或いは圧力の変動を抑える構成を有するLNGサテライト設備を提供する点にある。また、気化器の並列配置による仕様の過大化を避け、省コスト化、省スペース化を実現する点にある。さらに、並列配置した各々の気化器に対して、液化天然ガスの流入量を調整できる構成を有するLNGサテライト設備を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するための本願発明に係る、液化天然ガスを蓄えるLNG貯槽と、前記LNG貯槽から前記液化天然ガスが払出される共通払出路と、前記共通払出路の下流に並列に接続された複数の気化器と、前記複数の気化器の下流に接続される共通送出路と、前記共通送出路を流れる気化ガスの圧力を調整する調整弁と、を備えるLNGサテライト設備の特徴構成は、前記共通払出路より下流側で、複数の前記気化器各々の入口部に、前記気化器に流入する液化天然ガスに抵抗を付与する流量分配装置を備える点にある。
【0013】
上記の特徴構成によれば、複数の気化器の各々の入口部に、流入する液化天然ガスへの抵抗となる流量分配装置を備えることにより、各気化器入口部(流量分配装置出口部)に至るまでの液化天然ガスの圧力損失の差を抑えることが可能となり、気化器への液化天然ガスの流れを均等化させることができる。また、流量分配装置は、気化器内で発生する圧力変動に対しても抵抗となるため、圧力及び流量の変動幅を抑えることができる。これにより、気化器出口におけるガス圧力(流量)が安定するため、送出ガス圧力制御装置の寿命を延ばし、LNGサテライト設備のメンテナンスコストを削減することができる。
【0014】
本願発明に係るLNGサテライト設備の更なる特徴構成は、前記複数の気化器の各々の気化容量が、通常運転時に前記共通送出路から送出されるガスの量である常用負荷をまかなえる容量で、前記通常運転時に、前記複数の気化器を同時に稼動して前記常用負荷をまかなう点にある。
【0015】
ここで、「常用負荷をまかなえる容量」とは、LNGサテライト設備の通常運転時に共通送出路から送出されるガス量(常用負荷)の100〜120%の範囲内の容量を意味する。
上記の特徴構成によれば、気化器の台数制御及び並列運転を行うことにより、1台当たりの気化器の容量を小さくできるため、設備費を安く、かつ、LNGサテライト設備の省スペース化を図ることができる。
ここで、設備負荷を考えた場合、上述の常用負荷とこの常用負荷より大きいピーク負荷とが存在する。そして、上記の構成では、通常運転時には複数の気化器を同時に稼動してこの常用負荷を賄うことができる。
複数ある気化器に関して、単一の気化器の気化容量を常用負荷をまかなえる容量としておくと、例えば、一対備えられる気化器のうち、片方のメンテナンスを行う場合、異常があった場合等にも単一の気化器の運転で設備全体の常用負荷を賄うことができる。ただし、この常用負荷より大きなピーク負荷に対しては、単一の気化器でこれを賄うことはできない。
【0016】
本願発明に係るLNGサテライト設備の更なる特徴構成は、前記流量分配装置が持つ前記抵抗の大きさが可変であり、前記複数の気化器の各々の流量分配装置が持つ前記抵抗の大きさを調整することにより、前記複数の気化器の各々への液化天然ガスの流入量を調整できる点にある。
【0017】
上記の特徴構成によれば、気化器入口部に設けた流量分配装置の抵抗の大きさを調整することで、各々の気化器への液化天然ガスのガス圧力(流量)を均等にし、気化器の並列運転時に発生するおそれがある液化天然ガスの偏流を防止することができる。すなわち、上記の特徴構成により、配管圧損等の差による偏流をなくし、並列配置された気化器の各々に均等に液化天然ガスを流すことができる。
【0018】
本願発明に係るLNGサテライト設備の更なる特徴構成は、前記流量分配装置の圧損が、前記気化器の定格運転時の圧損の30%〜50%である点にある。
【0019】
上記の特徴構成によれば、本来、気化器を単独で運転した場合に、当該気化器の定格運転状態における圧損(この圧損を100%とする)に対して、その30%〜50%を流量分配装置側で負担させることで、各気化器入口の圧力差は小さくなる。また、気化器での圧力変動(流量変動)を小さくするとともに、液化天然ガスの安定した流入を確保することができる。なお、30%未満では、流量分配装置を設ける効果が低減する。一方、50%より大きい場合は、流量分配装置出口で減圧による気化が起こり、気化器への流入に支障が出る恐れがある。この場合、圧力・流量変動を抑えられたとしても、好ましくない。
【0020】
本願発明に係るLNGサテライト設備の更なる特徴構成は、前記流量分配装置が、複数の絞りを入れたオリフィス、径を細くし螺旋状に巻いたキャピラリ、可変オリフィス、のいずれか一つ以上を備える点にある。
【0021】
上記の特徴構成によれば、絞りの数や螺旋の巻数を変更することで、抵抗の大きさを調整できる流量分配装置を構成できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本願発明に係るLNGサテライト設備の第1実施形態に係る全体構成を示す図である。
【図2】本願発明に係る流量分配装置の形態を示す概略図である。
【図3】本願発明に係るLNGサテライト設備の各部における圧力の変化を示すグラフ図である。
【図4】本願発明に係る流量分配装置の概略寸法を示す図である。
【図5】本願発明に係る第1実施形態のLNGサテライト設備における気化ガス流量の変動を示すグラフ図である。
【図6】本願発明に係るLNGサテライト設備の第2実施形態に係る全体構成を示す図である。
【図7】本願発明に係る第2実施形態のLNGサテライト設備における気化ガス流量の変動を示すグラフ図である。
【図8】従来のLNGサテライト設備の全体構成を示す図である。
【図9】従来のLNGサテライト設備における気化ガス流量の変動を示すグラフ図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に図面を参照して本願発明に係るLNGサテライト設備について説明する。
〔第1実施形態〕
図1は、本願発明に係るLNGサテライト設備1の全体構成図である。
本願発明に係るLNGサテライト設備1は、図1に示すように、液化天然ガスG1を貯蔵するLNG貯槽10と、その下流に並列に配置される複数台の気化器20a、20b、・・・(以降、複数台の気化器の各々を区別する必要がない場合には、まとめて気化器20と表記する)と、気化器20の各々の入口部に設けられ、抵抗を持ち、液化天然ガスG1の偏流を防止する流量分配装置100と、気化器20の下流に位置し、気化器20から送出される製造ガスG2の送出圧力や、並列配置された複数台の気化器20の制御を行う調整弁30と、需要場所P(本実施形態では工場)とを、配管により接続して構成されている。また、LNG貯槽10と各気化器20a、20bへの分岐部16までには共通払出路15が設けられており、各気化器20a、20bからの合流部17から需要場所P(工場)までには共通送出路18が設けられている。
【0024】
本実施形態のLNGサテライト設備1は需要場所P(工場)内に設置され、設置された需要場所P(工場)内だけに製造ガスG2を送出する小規模な設備を対象としている。したがって、製造ガスG2の送出圧力が0.1MPaG程度と低いため、送出圧力にLNG貯槽10の圧力を利用している。
【0025】
LNG貯槽10には、液化天然ガスG1が、タンクローリー等により定期的に補給され、貯蔵される。LNGサテライト設備1は、LNG貯槽10に貯蔵された液化天然ガスG1を下流に送出し、以下で述べるように、気化器20で気化させることで、需要場所Pに送出する製造ガスG2を得る。
【0026】
LNG貯槽10の下流には、液化天然ガスG1を気化させ、製造ガス(気化天然ガス)G2を得る気化器20が並列に複数台配置されている。そして、本願発明に係るLNGサテライト設備1では、気化器20の各々の入口部に、抵抗を持つ流量分配装置100が備えられている。
【0027】
流量分配装置100は、図2に示すような、(a)径を細くし螺旋状に巻いたオリフィス、(b)いくつもの絞りを入れたオリフィスや、図示しない可変オリフィス等で構成される。これにより、流量分配装置100の持つ抵抗で圧損Δaを生じることで、気化器20内で圧力が上昇した場合にも、流量分配装置100の持つ抵抗が気化器20内の圧力上昇により気化したガスが気化器20入口側に逆流しようとする流れの抵抗となるため、変動の幅が抑制される。これにより安定して液化天然ガスG1を気化器20へ流入させ、かつ、気化器20の出口ガス圧力を安定させることができる。
【0028】
並列配置される各気化器20の容量は、需要場所Pの常用負荷に応じた容量とし、通常運転時は並列運転により需要場所Pの需要をまかなうこととする。すなわち、並列配置する気化器20の各々の容量を、1台で需要場所Pのピーク時の負荷をまかなえる容量でなく、複数台の並列運転によりまかなえる程度の容量とする。したがって、この設備構成では、ピーク負荷に対しては両気化器20a、20bの並列運転が必須となり、また、同時に、並列運転状態で、できるだけ均等に各気化器20に負荷が受け持たれる必要がある。これにより、1台当たりの気化器20の容量を小さくできるため、設備費を安く、かつ、省スペース化を図ることができる。
【0029】
例えば図1のように2台の気化器20a、20bを並列に配置する場合において、工場の常用負荷が1,200m3N/h、ピーク時の負荷が1,800m3N/hの場合には、気化器20a、20bに例えば気化能力1,200m3N/hのものを並列に配置し、常用負荷時は気化器20a、20bをそれぞれ600m3N/hで、ピーク時はそれぞれ900m3N/hで運転を行うことにより、常用負荷及びピーク負荷をまかなえるように構成する。さらに、一方の気化器においてメンテナンスが必要な場合等、当該一方の気化器を停止する場合は、稼動可能な気化器により常用負荷に対する適切な気化運転を確保する。
【0030】
気化器20で製造された製造ガスG2は、調整弁30を経て需要場所Pに送出される。台数制御用自動弁31は、気化器20の下流に備えられ、並列配置された気化器20の台数制御を行うものである。この目的を達成できるのであれば、台数制御用自動弁31は、気化器20の上流に設置してもよい。図1では、気化器20の各々の下流に調整弁30の一種である台数制御用自動弁31を、送出ガスの合流点の下流に調整弁30の一種である送出ガス圧力調整弁32を配置する例を示した。
【0031】
図3は、これまでに説明したLNGサテライト設備1の各部における圧力の変化を示した図である。本願発明では、気化器20の入口部に抵抗を持つ流量分配装置100を備えることにより、当該流量分配装置100で圧損Δaを生じている。
【0032】
なお、流量分配装置100の圧損Δaは、気化器20の定格運転時の圧損Δbの30〜50%程度とするのが望ましい。流量分配装置100の抵抗(流量分配装置100の圧損Δa)を大きくすれば気化器20内での圧力変動による影響を小さくできるが、流量分配装置100の出口での減圧による液化天然ガスG1の気化が起こるため、気化器20に流すべき液化天然ガスG1の流入量を確保できなくなるためである。
【0033】
したがって、例えば定格運転時に通常0.05MPaの圧損を生じる気化器20に対しては、流量分配装置100に持たせる抵抗は0.02MPa程度であることが望ましい。例えば気化器容量が1,200m3N/hの場合、図4に示すように、コイル線長さを約500mm、10A直線部の長さを約200mmとすれば、流量分配装置100における圧損Δaは約0.025MPaとなる。また、直管部径やコイル線径、コイル径は、気化器容量により、適宜変更を行うとよい。
【0034】
続いて、図9、図5の比較により、本願発明の効果を示す。図9は、図8に示される、流量分配装置100を有さない従来のLNGサテライト設備において並列配置された2台の気化器20a、20bの各々における気化ガス流量の変動を示すグラフ図である。図9では、縦軸を気化ガス流量、横軸を時刻として、気化ガス流量の変動を示している(なお、図9において気化ガス流量の単位である「%」は、1つの気化器の定格運転時の流量を100%とした割合であり、時刻の単位は「分」である:図5、図7において同じ)。図9によれば、従来のLNGサテライト設備では、気化器20aは平均流量が約38%である一方で、瞬時流量は、周期20秒で、約8〜69%の間で変動している。
【0035】
一方、図5は、図1に示される、本願発明に係るLNGサテライト設備における気化ガス流量の変動を示すグラフ図である。図5によれば、流量分配装置100を備えた本願発明に係るLNGサテライト設備では、平均流量が約36%の気化器20aの瞬時流量は、周期に大きな違いは見られないものの、変動幅は約27〜40%の間に収束した。また、気化器20aのほか、気化器20bの気化ガス流量も、変動幅が小さくなり、安定した。
【0036】
以上より、本願発明の有する特徴構成により、第1実施形態では、液化天然ガスの流れを安定させ、気化器内で発生するガス圧力の変動を抑えることができたといえる。
【0037】
〔第2実施形態〕
しかし、図5において、気化器20aと気化器20bの気化ガス流量の違いが示すように、第1実施形態では、並列配置した2つの気化器20a、20bで、配管圧損等の差により、気化ガス流量が不均等となる場合がある。そこで、第2実施形態では、気化器20の流量分配装置100が持つ抵抗の大きさを可変としている。これにより、流量分配装置100が持つ抵抗の大きさを調整することで、各気化器20への液化天然ガスG1の流入量を調整することが可能となる。流量分配装置100の抵抗の大きさを可変とするには、例えば、流量分配装置100のオリフィスの直管部径やコイル線径、コイル径等を変更可能にするとよい。すなわち、流量分配装置100を、発生する圧損が異なるものに交換可能な構成とすればよく、さらに、オリフィスに関しては、例えば絞り量が可変のものを採用するとよい。
【0038】
図6は、直管部径やコイル線径、絞り数を変更することにより、並列配置した2台の気化器20a、20bへの液化天然ガスG1の流入量が均等になるように流量分配装置100の抵抗の調整を行った第2実施形態を示す全体構成図である。また、図7は、第2実施形態により、2台の気化器20a、20bへの液化天然ガスG1の流入量が均等になるように調整を行った場合の、気化器20a、20bにおける気化ガス流量の変動のグラフ図である。第2実施形態により2台の気化器20a、20bへの気化ガスの流量が均等に調整されるとともに、第1実施形態と同様に、変動幅が小さい、安定した状態での供給を行えている。
【0039】
〔その他の実施形態〕
上記の実施形態では、通常時は2台の気化器20a、20bを並列で運転する構成としたが、例えば1台当たりの負荷が最大容量の10〜40%程度になった等の低負荷時には、1台で運転を行う構成としてもよい。また、1台が故障した場合には、もう1台の気化器で常用負荷をまかなう構成としてもよい。
【0040】
上記の実施形態では、一対の気化器20a、20bを備えた構成を示したが、並列配置される気化器20の台数には制限はない。気化器20の台数が多い場合でも、適切な流量分配装置100を格別に備えることにより、圧力・流量変動の少ない運転状態を実現できる。
【0041】
上記の実施形態では、製造ガスG2の供給先(需要場所P)が工場である例を示したが、本願に係るLNGサテライト設備1の設置先は、天然ガスの供給を必要とする場所であれば、いかなる場所でもよい。
【0042】
さらに、上記の実施形態では、製造ガスG2の送出がLNGサテライト貯槽10の圧力により可能で、送出圧力がほぼ常圧の構成を示したが、送出圧力が0.1MPаG程度より高いものであってもよい。
【符号の説明】
【0043】
G1 液化天然ガス
G2 製造ガス
P 需要場所(工場)
1 LNGサテライト設備
10 LNG貯槽
20、20a、20b 気化器
30 調整弁
31 台数制御用自動弁
32 送出ガス圧力調整弁
100 流量分配装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液化天然ガスを蓄えるLNG貯槽と、前記LNG貯槽から前記液化天然ガスが払出される共通払出路と、前記共通払出路の下流に並列に接続された複数の気化器と、前記複数の気化器の下流に接続される共通送出路と、前記共通送出路を流れる気化ガスの圧力を調整する調整弁と、を備えるLNGサテライト設備であって、
前記共通払出路より下流側で、複数の前記気化器各々の入口部に、前記気化器に流入する液化天然ガスに抵抗を付与する流量分配装置を備えることを特徴とするLNGサテライト設備。
【請求項2】
前記複数の気化器の各々の気化容量が、通常運転時に前記共通送出路から送出されるガスの量である常用負荷をまかなえる容量で、前記通常運転時に、前記複数の気化器を同時に稼動して前記常用負荷をまかなうことを特徴とする請求項1に記載のLNGサテライト設備。
【請求項3】
前記流量分配装置が持つ前記抵抗の大きさが可変であり、
前記複数の気化器の各々の流量分配装置が持つ前記抵抗の大きさを調整することにより、
前記複数の気化器の各々への液化天然ガスの流入量を調整可能なことを特徴とする請求項1又は2に記載のLNGサテライト設備。
【請求項4】
前記流量分配装置の圧損が、前記気化器の定格運転時の圧損の30%〜50%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のLNGサテライト設備。
【請求項5】
前記流量分配装置が、複数の絞りを入れたオリフィス、径を細くし螺旋状に巻いたキャピラリ、可変オリフィス、のいずれか一つ以上を備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のLNGサテライト設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−145043(P2011−145043A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−8485(P2010−8485)
【出願日】平成22年1月18日(2010.1.18)
【出願人】(501246488)株式会社クリエイティブテクノソリューション (10)
【Fターム(参考)】