Uシールへのバネ装着方法
【課題】シール性が低くなる、また相手部材に対して過大な接触面圧をもって接触するので、早期摩耗又は過大変形を発生するという課題がある。
【解決手段】Uシールの凹溝3へコイル状バネ1を均等なバネピッチをもって装着するには、バネ1の両端部A,Bを突合せ状態でUシール2の凹溝3内へ装入し、次に、180°反対の中央部Mを凹溝3へ装入し、その後、一対の残部10,10を装入して、装着完了状態とする。そして、中央部Mには、凹溝3への装入の前に、目印を付設しておく。
【解決手段】Uシールの凹溝3へコイル状バネ1を均等なバネピッチをもって装着するには、バネ1の両端部A,Bを突合せ状態でUシール2の凹溝3内へ装入し、次に、180°反対の中央部Mを凹溝3へ装入し、その後、一対の残部10,10を装入して、装着完了状態とする。そして、中央部Mには、凹溝3への装入の前に、目印を付設しておく。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、Uシールの凹溝内へバネを装着する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、Uシールの凹溝内に、コイルバネ、あるいは横断面U字形でジグザグ状に全体が形成された金属バネが装着された構造のシールが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008− 69863号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、図9に示すように、従来のバネ装着方法は、Uシール30の凹溝31へストレート状の金属製バネ32を一端部33から一方向40に順に装入していく方法が行われていた。Uシール30は、ゴム材又はプラスチック材であって、図9では軸心と平行な一方向へ凹溝31が開口した場合を示すが、ラジアル内方向へ開口している場合等もある。バネ32は、図9ではコイルバネを示すが、これ以外に、横断面U字形でジグザグ状に全体が形成されている場合等もあるが、横断面に於て弾性変形することでUシール30のリップが開脚方向へ弾発的に付勢されると共に、その長手方向には弾性的に大きく伸縮変形する。従って、バネ全長が大小変化して、装入開始の上記一端部33と装入終了の他端部34が(Uシール30装着状態下で)接触せずに、隙間が開いたり、逆に、重なりあうゾーンが発生する。
隙間が開けば(その隙間に対応したUシールリップの開脚方向弾発力が弱くなって)シール性が局部的に低下する。逆に、重なりあうゾーンが発生すると、シール性が局部的に強くなり、周方向に沿ってUシールリップの開脚方向弾発力が不均等となり、望ましくない。
【0005】
そこで、(従来では、)図10に示すように、バネ32の両端部33,34を接触状態として(揃えて)、Uシール30に装入を開始し、矢印にて示すように一方向40へ順次装入していった場合、バネピッチが不均等となるという問題が生じていた。例えば、図11に示すように、両端部33,34は接触して間隙が無いが、周方向にバネピッチが粗である粗ピッチゾーン36と、バネピッチが密である密ピッチゾーン37が生じて、Uシールリップの開脚方向弾発力が、前者では小さく後者では過大となる、といった問題がある。つまり、前者ではシール性が低くなるという虞があり、後者では相手部材に対して過大な接触面圧をもって接触するので、早期摩耗又は過大変形を発生するという虞がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、本発明に係るUシールへのバネ装着方法は、所定長さに切断されたバネをUシールの凹溝へ装着するバネ装着方法に於て、上記バネの両端部を相互に接触した突合せ状態として該両端部を上記凹溝へ装入し、次に、上記所定長さの半分に相当する中央部を上記凹溝へ装入し、その後、上記端部と上記中央部の間に形成される一対の残部を上記凹溝へ装入する方法である。
そして、上記中央部には、上記凹溝への装入の前に、目印を付設しておくのが好ましい。
【0007】
また、所定長さに切断されたバネをUシールの凹溝へ装着するバネ装着方法に於て、上記バネの両端部を相互に接触した突合せ状態として該両端部を上記凹溝へ装入し、次に、上記所定長さの半分に相当する第1中央部を上記凹溝へ装入し、次に、上記端部と上記第1中央部の間に形成される一対の残部の各第2中央部を上記凹溝へ装入し、その後、4個の残りの部位を上記凹溝へ装入する方法である。
そして、上記第1中央部及び上記第2中央部には、上記凹溝への装入の前に、目印を付設しておくのが好ましい。
【0008】
あるいは、継ぎ目をもって閉じられた全体円環状のバネをUシールの凹溝へ装着するバネ装着方法に於て、上記バネの上記継ぎ目を上記凹溝へ装入し、次に、上記継ぎ目に対して 180°反対側の 180°反対部を上記凹溝へ装入し、その後、上記継ぎ目及び 180°反対部の間に形成された一対の残部を上記凹溝へ装入する。
そして、上記 180°反対部には、凹溝への装入前に目印を付設しておくのが好ましい。
【0009】
また、継ぎ目をもって閉じられた全体円環状のバネをUシールの凹溝へ装着するバネ装着方法に於て、上記バネの上記継ぎ目を上記凹溝へ装入し、次に、継ぎ目に対して 180°反対側の 180°反対部を上記凹溝へ装入し、その後、上記継ぎ目に対して90°と 270°を成す90°部位と 270°部位を上記凹溝へ装入する。
そして、上記 180°反対部、及び、上記90°部位と 270°部位には、凹溝への装入前に目印を付設しておくのが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、Uシールの凹溝内にバネをそのピッチを均等に、かつ、バネの両端部に間隙や重なりを生ずることなく、整然と装着可能である。これによって、リップ開脚方向の弾発力が全周に均等化でき、全周にわたって均一なシール性を発揮するシールが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明のバネ装着方法の説明のための図であって、(a)はシールの一例の斜視図、(b)はその拡大横断面図、(c)はシールの他例を示す拡大横断面図である。
【図2】Uシールへ装着される前の状態のバネを説明するための図であって、(a)は所定長さの直線状のバネの平面図、(b)は継ぎ目をもって閉じられた全体円環状のバネの平面図である。
【図3】本発明の実施の一形態を工程順に示した簡略説明図である。
【図4】本発明の他の実施の形態を工程順に示した簡略説明図である。
【図5】本発明の別の実施の形態を工程順に示した簡略説明図である。
【図6】本発明のさらに他の実施の形態を工程順に示した簡略説明図である。
【図7】本発明に係る装着方法の途中の工程を説明する斜視図である。
【図8】本発明のバネ装着方法の説明のための図であって、(a)はシールの他の例の斜視図、(b)はその拡大横断面図、(c)はシールの別の例の拡大横断面図である。
【図9】従来例を示す斜視図である。
【図10】他の従来例を示す斜視図である。
【図11】従来の問題点を説明するための斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図示の実施の形態に基づき本発明を詳説する。
図1に於て、本発明に係るバネ装着方法が適用されるシールSとして、Uシール2の凹溝3内に金属製バネ1を備えたシールSを例示し、このUシール2はプラスチックやゴムから成り、上記バネ1としてはコイル状バネ(コイルバネ)を例示する。図1(a)(b)は、その軸心L0 と平行な一方向へ開口する凹溝3を有するUシール2の場合を示し、図1(c)はラジアル内方向へ開口する凹溝3を有するUシール2の場合を示す。
【0013】
本発明に係るバネ装着方法が適用されるUシール2としては、いずれであっても良い。なお、ラジアル外方向へ凹溝3が開口しているUシール2であっても良い(図示省略)。
なお、図1に於て、Uシール2は、三角山型のシールリップ4,5,6,7を有し、かつ、凹溝3の開口部3Aは幅狭になるように突部8,8を鈎状に有しており、一旦装入されたバネ1の不意の離脱を阻止する。
【0014】
図2(a)は、Uシール未装着状態の自由状態のコイル状バネ1であって、所定長さL1 に切断された直線状のものであり、まず、このように非環状(線形)のバネ1をUシール2へ(図示省略のロボットアーム)等の機械的装着装置又は手動にて)装着する方法について、図3又は図4に基づき説明する。図3と図4に於て、バネ1を簡略化して実線の一本線をもって図示し、さらに、Uシール2は2点鎖線の同心二重円をもって簡略に図示している。
【0015】
図3に本発明の実施の一形態を工程(a)〜(e)順に示し、図2(a)と図3(a)に示すように、所定長さL1 に予め切断されたバネ1の両端部A,Bを、図3(b)に示すように、相互に接触した突合せ状態(閉円環状)として、図3(c)に示すように、突合せ状態の両端部A,Bを(同時に揃えつつ)凹溝3へ装入する。次に、図3(c)から(d)及び図7に示すように、所定長さL1 の半分に相当する中央部M(図3(a)参照)を矢印Kのように凹溝3へ装入する。なお、図3(a)に示すように、中央部Mには、予め―――凹溝3への装入の前に―――油性インキ又は小さな打痕等にて目印を付設しておくのが望ましい。
【0016】
次に、図3(d)及び図7に示すように、前記端部A,Bと中央部Mの間に形成される一対の残部(未装着部)10,10を、矢印Nのように凹溝3へ装入すると、図3(e)のようにUシール2へのバネ装着完了状態となる(図1(a)参照)。
図3の装着方法では、図3(d)(及び図7)に示した状態にて、右半分と左半分の残部10,10の長さが相等しいので、その後、図3(e)のバネ装着完了状態でのバネピッチが右半分と左半分が相等しくなる。
【0017】
次に、図4に示した他の実施の形態について説明すれば、図2(a)と図4(a)に示した所定長さL1 に予め切断されたバネ1の両端部A,Bを、相互に突合せ状として揃えて、図4(b)から図4(c)のようにUシール2の凹溝3へ装入する。次に、図4(c)から(d)のように、所定長さL1 の半分に相当する第1中央部M1 を矢印Kのように凹溝3へ装入する。
次に、図4(b)にしめすように、端部A,Bと第1中央部M1 の間に形成される一対の残部(未装着部)10,10の各中央部―――これを第2中央部E,Fと呼ぶ―――を、凹溝3へ矢印N,Nのように装入(図7参照)して、図4(e)の状態とし、その後、図4(e)に矢印Pにて示す方向に、4個の(短い)残りの部位12,12,12,12を凹溝3へ装入して、図4(f)及び図1(a)に示した、Uシール2へのバネ装着完了状態とする。
【0018】
なお、図4(a)に示すように、第1中央部M1 と第2中央部E,Fには、(凹溝3への装入前に)油性インキや小さな打痕等によって目印を付設しておくのが好ましい。
図4にて説明した装着方法では、図4(d)及び図7に示した状態下で、右半分と左半分の残部10,10の長さが相等しくなり、さらに、図4(e)に示した、その後の状態下では、4個の残りの部位12の長さが相等しくなって、全周にわたってバネピッチが均一化した(図4(f)の)バネ装着状態が得られる(図1(a)参照)。
【0019】
次に、図5及び図6に示した各々別の実施の形態に於て、図2(b)、及び、図5(a)又は図6(a)に示すように、継ぎ目Gをもって閉じられた全体円環状のバネ1をUシール2の凹溝3へ装着する方法を示している。
【0020】
図5の実施の形態から説明すれば、図5(a)から(b)に示すように全体円環状のバネ1の継ぎ目Gを凹溝3へ装入する。次に、図5(b)から(c)に示すように、継ぎ目Gに対して 180°反対側の 180°反対部M3 を(矢印Kにて示すように)凹溝3へ装入する。
なお、図5(a)に示すように、 180°反対部M3 には、予め―――凹溝3への装入前に―――油性インキや小さな打痕等にて目印を付設しておくのも好ましい。
その後、図5(c)及び図7に示すように、継ぎ目G及び 180°反対部M3 の間に形成された一対の残部10,10を、矢印Nのように凹溝3へ装入すると、図5(e)のようにUシール2へのバネの装着完了状態となる。
【0021】
図5の上述の装着方法では、バネ1の全周長の内で唯一不均等な強度と伸びを示す点である継ぎ目Gを、まず、Uシール2の凹溝3へ装入して、その後の伸縮に影響を与えないので、全周が均等な周方向の伸縮状態(バネピッチ)を示すことができる。しかも、図5(c)に示した状態にて、右半分と左半分の残部10,10の長さが相等しいので、その後、図5(d)のバネ装着完了状態でのバネピッチが右半分と左半分で相等しくなって、全周均一なバネピッチとできる(図1(a)参照)。
【0022】
次に、図6に示した、さらに別の実施の形態について説明すれば、図6(a)から(b)に示すように全体円環状のバネ1の継ぎ目Gを、まず、凹溝3へ装入する。次に、継ぎ目Gに対して 180°反対側の 180°反対部M3 を凹溝3へ図6(b)の矢印Kのように装入する。
その後、図6(c)から(d)に示すように、継ぎ目Gに対して、中心角度が90°と 270°を成す90°部位E4 と 270°部位F4 を、矢印Nにて示すように、凹溝3へ装入する。次に、図6(d)の矢印Pのように、残りの残部12を凹溝3へ装入すれば、図6(e)に示したバネ装着完了状態となる。
なお、図6(a)に示すように、 180°反対部M3 と90°部位E4 と 270°部位F4 に、油性インキや小さな打痕等によって目印を付設しておくのが好ましい。
【0023】
この図6の実施形態の場合は、(図5と同様に、)継ぎ目Gを、まず、Uシール2の凹溝3へ装入する方法であるので、バネ1の全周長の内で不均等な特性を示す点である継ぎ目Gの影響が避けられる利点があり、全周にわたって均等な周方向の伸縮状態(バネピッチ)を、バネ装着完了状態にて示すこと寄与している。
そして、図6(c)(及び図7)にて示した状態にて、右半分と左半分の残部10,10の長さが相等しくなり、さらに、図6(e)に示した、その後の状態では、4個の残り部位12の長さが相等しくなって、全周にわたってバネピッチが均一化したバネ装着状態(図6(e)及び図1(a)参照)が得られる。
【0024】
ところで、図1(a)(b)と図7に於ては、軸心L0 と平行な一方向に凹溝3が開口したUシール2の場合を図示しているが、図3〜図6のいずれの実施の形態であっても、図1(c)に示すように、ラジアル内方向に凹溝3が開口するUシール2にも勿論適用可能である。また、上述のバネ装入作業は、ロボットアーム等による自動機械や半自動機械を用いるのが好適であるが、手動にて行うのも好ましい。
また、上述のように、バネ1側に目印を付設する場合、さらに、Uシール2側にも、各々に対応した正確な位置に、シール性能に悪影響を及ぼさないように、目印を付設することも、望ましい。
【0025】
次に、図8は図1に代わる図であって、本発明に係る前述のバネ装着方法を、図8に例示するような形状と構成のシールSに適用可能であることを示す。即ち、図8に於て、このシールSは、プラスチック又はゴム製のUシール2と、その凹溝3に装着された、横断面U字乃至V字形のバネ1とを、有し、このバネ1は、薄い金属板から成り、全体はジグザグ状円環形状に構成されている。図8(a)(b)に示すシールSのUシール2は、その軸心L0 と平行な一方向に開口するように凹溝3が形成され、または、図8(c)に示すように、凹溝3がラジアル内方向へ開口する。なお、凹溝3の開口部3Aは幅狭になるように、鈎状に突部8,8が設けられている。三角山型のシールリップ4,5,6,7を有する点は、図1と同様である。
なお、図示省略するが、上述以外の形状のバネ1であっても本発明に係るバネ装着方法を適用することは可能であると共に、Uシール2としては、シールリップ4,5,6,7の個数の増加、及び、その断面形状は、図1や図8以外にも設計変更自由である。さらに、凹溝3にバネ1と共に、Oリングや別のシール材を装着した構成のシールSとするも、自由である(図示省略)。
【0026】
本発明は、上述のように、所定長さL1 に切断されたバネ1をUシール2の凹溝3へ装着するバネ装着方法に於て、上記バネ1の両端部A,Bを相互に接触した突合せ状態として該両端部A,Bを上記凹溝3へ装入し、次に、上記所定長さL1 の半分に相当する中央部Mを上記凹溝3へ装入し、その後、上記端部A,Bと上記中央部Mの間に形成される一対の残部10,10を上記凹溝3へ装入するバネ装着方法であるので、バネピッチを均一化して装着可能であり、かつ、両端部A,B相互間に隙間が空かず、逆に、重なり合わず、 360°全周に均等なバネピッチに装着され、Uシールリップの開脚方向弾発力が 360°にわたって均一化して、シールとして優れた密封性能を発揮し、局部的摩耗による早期漏れも発生しない。
また、上記中央部Mには、上記凹溝3への装入の前に、目印を付設しておくことによって、 180°反対側を正確な周方向位置に挿入可能となる。
【0027】
また、所定長さL1 に切断されたバネ1をUシール2の凹溝3へ装着するバネ装着方法に於て、上記バネ1の両端部A,Bを相互に接触した突合せ状態として該両端部A,Bを上記凹溝3へ装入し、次に、上記所定長さL1 の半分に相当する第1中央部M1 を上記凹溝3へ装入し、次に、上記端部A,Bと上記第1中央部M1 の間に形成される一対の残部10,10の各第2中央部E,Fを上記凹溝3へ装入し、その後、4個の残りの部位12,12,12,12を上記凹溝3へ装入する方法であれば、90°毎に正確な位置に、まず、凹溝3に対して装入してから、残りの部位12,12,12,12を装入するので、一層均一なバネピッチをもって装着でき、シールとしての密封性能と耐摩耗性に優れる。
また、上記第1中央部M1 及び上記第2中央部E,Fには、上記凹溝3への装入の前に、目印を付設しておくことによって、90°毎に一層正確な周方向位置へ装入できることとなる。
【0028】
また、継ぎ目Gをもって閉じられた全体円環状のバネ1をUシール2の凹溝3へ装着するバネ装着方法に於て、上記バネ1の上記継ぎ目Gを上記凹溝3へ装入し、次に、上記継ぎ目Gに対して 180°反対側の 180°反対部M3 を上記凹溝3へ装入し、その後、上記継ぎ目G及び 180°反対部M3 の間に形成された一対の残部10,10を上記凹溝3へ装入する方法であるので、バネピッチを均一化でき、シールとして優れた密封性能を発揮し、局部的なシールリップの異常摩耗を防止できる。
また、上記 180°反対部M3 には、凹溝3への装入前に目印を付設しておくことにより、 180°反対側を正確な周方向位置に装入できることとなる。
【0029】
また、継ぎ目Gをもって閉じられた全体円環状のバネ1をUシール2の凹溝3へ装着するバネ装着方法に於て、上記バネ1の上記継ぎ目Gを上記凹溝3へ装入し、次に、継ぎ目Gに対して 180°反対側の 180°反対部M3 を上記凹溝3へ装入し、その後、上記継ぎ目Gに対して90°と 270°を成す90°部位E4 と 270°部位F4 を上記凹溝3へ装入する方法であるので、90°毎に正確な位置に、まず、凹溝3に対して装入してから、残りの部位12,12,12,12を装入するので、一層均一なバネピッチをもって装着でき、シールとしての密封性能と耐摩耗性に優れる。
また、上記 180°反対部M3 、及び、上記90°部位E4 と 270°部位F4 には、凹溝3への装入前に目印を付設しておくことで、90°毎に一層正確な周方向位置へ装入することができて、バネ装着完了状態において一層ネジピッチが高精度に均等化できる。
【符号の説明】
【0030】
1 バネ
2 Uシール
3 凹溝
10 残部(未装着部)
12 残りの部位
A,B 端部
L1 所定長さ
M 中央部
M1 第1中央部
E,F 第2中央部
M3 180°反対部
E4 90°部位
F4 270°部位
【技術分野】
【0001】
本発明は、Uシールの凹溝内へバネを装着する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、Uシールの凹溝内に、コイルバネ、あるいは横断面U字形でジグザグ状に全体が形成された金属バネが装着された構造のシールが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008− 69863号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、図9に示すように、従来のバネ装着方法は、Uシール30の凹溝31へストレート状の金属製バネ32を一端部33から一方向40に順に装入していく方法が行われていた。Uシール30は、ゴム材又はプラスチック材であって、図9では軸心と平行な一方向へ凹溝31が開口した場合を示すが、ラジアル内方向へ開口している場合等もある。バネ32は、図9ではコイルバネを示すが、これ以外に、横断面U字形でジグザグ状に全体が形成されている場合等もあるが、横断面に於て弾性変形することでUシール30のリップが開脚方向へ弾発的に付勢されると共に、その長手方向には弾性的に大きく伸縮変形する。従って、バネ全長が大小変化して、装入開始の上記一端部33と装入終了の他端部34が(Uシール30装着状態下で)接触せずに、隙間が開いたり、逆に、重なりあうゾーンが発生する。
隙間が開けば(その隙間に対応したUシールリップの開脚方向弾発力が弱くなって)シール性が局部的に低下する。逆に、重なりあうゾーンが発生すると、シール性が局部的に強くなり、周方向に沿ってUシールリップの開脚方向弾発力が不均等となり、望ましくない。
【0005】
そこで、(従来では、)図10に示すように、バネ32の両端部33,34を接触状態として(揃えて)、Uシール30に装入を開始し、矢印にて示すように一方向40へ順次装入していった場合、バネピッチが不均等となるという問題が生じていた。例えば、図11に示すように、両端部33,34は接触して間隙が無いが、周方向にバネピッチが粗である粗ピッチゾーン36と、バネピッチが密である密ピッチゾーン37が生じて、Uシールリップの開脚方向弾発力が、前者では小さく後者では過大となる、といった問題がある。つまり、前者ではシール性が低くなるという虞があり、後者では相手部材に対して過大な接触面圧をもって接触するので、早期摩耗又は過大変形を発生するという虞がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、本発明に係るUシールへのバネ装着方法は、所定長さに切断されたバネをUシールの凹溝へ装着するバネ装着方法に於て、上記バネの両端部を相互に接触した突合せ状態として該両端部を上記凹溝へ装入し、次に、上記所定長さの半分に相当する中央部を上記凹溝へ装入し、その後、上記端部と上記中央部の間に形成される一対の残部を上記凹溝へ装入する方法である。
そして、上記中央部には、上記凹溝への装入の前に、目印を付設しておくのが好ましい。
【0007】
また、所定長さに切断されたバネをUシールの凹溝へ装着するバネ装着方法に於て、上記バネの両端部を相互に接触した突合せ状態として該両端部を上記凹溝へ装入し、次に、上記所定長さの半分に相当する第1中央部を上記凹溝へ装入し、次に、上記端部と上記第1中央部の間に形成される一対の残部の各第2中央部を上記凹溝へ装入し、その後、4個の残りの部位を上記凹溝へ装入する方法である。
そして、上記第1中央部及び上記第2中央部には、上記凹溝への装入の前に、目印を付設しておくのが好ましい。
【0008】
あるいは、継ぎ目をもって閉じられた全体円環状のバネをUシールの凹溝へ装着するバネ装着方法に於て、上記バネの上記継ぎ目を上記凹溝へ装入し、次に、上記継ぎ目に対して 180°反対側の 180°反対部を上記凹溝へ装入し、その後、上記継ぎ目及び 180°反対部の間に形成された一対の残部を上記凹溝へ装入する。
そして、上記 180°反対部には、凹溝への装入前に目印を付設しておくのが好ましい。
【0009】
また、継ぎ目をもって閉じられた全体円環状のバネをUシールの凹溝へ装着するバネ装着方法に於て、上記バネの上記継ぎ目を上記凹溝へ装入し、次に、継ぎ目に対して 180°反対側の 180°反対部を上記凹溝へ装入し、その後、上記継ぎ目に対して90°と 270°を成す90°部位と 270°部位を上記凹溝へ装入する。
そして、上記 180°反対部、及び、上記90°部位と 270°部位には、凹溝への装入前に目印を付設しておくのが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、Uシールの凹溝内にバネをそのピッチを均等に、かつ、バネの両端部に間隙や重なりを生ずることなく、整然と装着可能である。これによって、リップ開脚方向の弾発力が全周に均等化でき、全周にわたって均一なシール性を発揮するシールが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明のバネ装着方法の説明のための図であって、(a)はシールの一例の斜視図、(b)はその拡大横断面図、(c)はシールの他例を示す拡大横断面図である。
【図2】Uシールへ装着される前の状態のバネを説明するための図であって、(a)は所定長さの直線状のバネの平面図、(b)は継ぎ目をもって閉じられた全体円環状のバネの平面図である。
【図3】本発明の実施の一形態を工程順に示した簡略説明図である。
【図4】本発明の他の実施の形態を工程順に示した簡略説明図である。
【図5】本発明の別の実施の形態を工程順に示した簡略説明図である。
【図6】本発明のさらに他の実施の形態を工程順に示した簡略説明図である。
【図7】本発明に係る装着方法の途中の工程を説明する斜視図である。
【図8】本発明のバネ装着方法の説明のための図であって、(a)はシールの他の例の斜視図、(b)はその拡大横断面図、(c)はシールの別の例の拡大横断面図である。
【図9】従来例を示す斜視図である。
【図10】他の従来例を示す斜視図である。
【図11】従来の問題点を説明するための斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図示の実施の形態に基づき本発明を詳説する。
図1に於て、本発明に係るバネ装着方法が適用されるシールSとして、Uシール2の凹溝3内に金属製バネ1を備えたシールSを例示し、このUシール2はプラスチックやゴムから成り、上記バネ1としてはコイル状バネ(コイルバネ)を例示する。図1(a)(b)は、その軸心L0 と平行な一方向へ開口する凹溝3を有するUシール2の場合を示し、図1(c)はラジアル内方向へ開口する凹溝3を有するUシール2の場合を示す。
【0013】
本発明に係るバネ装着方法が適用されるUシール2としては、いずれであっても良い。なお、ラジアル外方向へ凹溝3が開口しているUシール2であっても良い(図示省略)。
なお、図1に於て、Uシール2は、三角山型のシールリップ4,5,6,7を有し、かつ、凹溝3の開口部3Aは幅狭になるように突部8,8を鈎状に有しており、一旦装入されたバネ1の不意の離脱を阻止する。
【0014】
図2(a)は、Uシール未装着状態の自由状態のコイル状バネ1であって、所定長さL1 に切断された直線状のものであり、まず、このように非環状(線形)のバネ1をUシール2へ(図示省略のロボットアーム)等の機械的装着装置又は手動にて)装着する方法について、図3又は図4に基づき説明する。図3と図4に於て、バネ1を簡略化して実線の一本線をもって図示し、さらに、Uシール2は2点鎖線の同心二重円をもって簡略に図示している。
【0015】
図3に本発明の実施の一形態を工程(a)〜(e)順に示し、図2(a)と図3(a)に示すように、所定長さL1 に予め切断されたバネ1の両端部A,Bを、図3(b)に示すように、相互に接触した突合せ状態(閉円環状)として、図3(c)に示すように、突合せ状態の両端部A,Bを(同時に揃えつつ)凹溝3へ装入する。次に、図3(c)から(d)及び図7に示すように、所定長さL1 の半分に相当する中央部M(図3(a)参照)を矢印Kのように凹溝3へ装入する。なお、図3(a)に示すように、中央部Mには、予め―――凹溝3への装入の前に―――油性インキ又は小さな打痕等にて目印を付設しておくのが望ましい。
【0016】
次に、図3(d)及び図7に示すように、前記端部A,Bと中央部Mの間に形成される一対の残部(未装着部)10,10を、矢印Nのように凹溝3へ装入すると、図3(e)のようにUシール2へのバネ装着完了状態となる(図1(a)参照)。
図3の装着方法では、図3(d)(及び図7)に示した状態にて、右半分と左半分の残部10,10の長さが相等しいので、その後、図3(e)のバネ装着完了状態でのバネピッチが右半分と左半分が相等しくなる。
【0017】
次に、図4に示した他の実施の形態について説明すれば、図2(a)と図4(a)に示した所定長さL1 に予め切断されたバネ1の両端部A,Bを、相互に突合せ状として揃えて、図4(b)から図4(c)のようにUシール2の凹溝3へ装入する。次に、図4(c)から(d)のように、所定長さL1 の半分に相当する第1中央部M1 を矢印Kのように凹溝3へ装入する。
次に、図4(b)にしめすように、端部A,Bと第1中央部M1 の間に形成される一対の残部(未装着部)10,10の各中央部―――これを第2中央部E,Fと呼ぶ―――を、凹溝3へ矢印N,Nのように装入(図7参照)して、図4(e)の状態とし、その後、図4(e)に矢印Pにて示す方向に、4個の(短い)残りの部位12,12,12,12を凹溝3へ装入して、図4(f)及び図1(a)に示した、Uシール2へのバネ装着完了状態とする。
【0018】
なお、図4(a)に示すように、第1中央部M1 と第2中央部E,Fには、(凹溝3への装入前に)油性インキや小さな打痕等によって目印を付設しておくのが好ましい。
図4にて説明した装着方法では、図4(d)及び図7に示した状態下で、右半分と左半分の残部10,10の長さが相等しくなり、さらに、図4(e)に示した、その後の状態下では、4個の残りの部位12の長さが相等しくなって、全周にわたってバネピッチが均一化した(図4(f)の)バネ装着状態が得られる(図1(a)参照)。
【0019】
次に、図5及び図6に示した各々別の実施の形態に於て、図2(b)、及び、図5(a)又は図6(a)に示すように、継ぎ目Gをもって閉じられた全体円環状のバネ1をUシール2の凹溝3へ装着する方法を示している。
【0020】
図5の実施の形態から説明すれば、図5(a)から(b)に示すように全体円環状のバネ1の継ぎ目Gを凹溝3へ装入する。次に、図5(b)から(c)に示すように、継ぎ目Gに対して 180°反対側の 180°反対部M3 を(矢印Kにて示すように)凹溝3へ装入する。
なお、図5(a)に示すように、 180°反対部M3 には、予め―――凹溝3への装入前に―――油性インキや小さな打痕等にて目印を付設しておくのも好ましい。
その後、図5(c)及び図7に示すように、継ぎ目G及び 180°反対部M3 の間に形成された一対の残部10,10を、矢印Nのように凹溝3へ装入すると、図5(e)のようにUシール2へのバネの装着完了状態となる。
【0021】
図5の上述の装着方法では、バネ1の全周長の内で唯一不均等な強度と伸びを示す点である継ぎ目Gを、まず、Uシール2の凹溝3へ装入して、その後の伸縮に影響を与えないので、全周が均等な周方向の伸縮状態(バネピッチ)を示すことができる。しかも、図5(c)に示した状態にて、右半分と左半分の残部10,10の長さが相等しいので、その後、図5(d)のバネ装着完了状態でのバネピッチが右半分と左半分で相等しくなって、全周均一なバネピッチとできる(図1(a)参照)。
【0022】
次に、図6に示した、さらに別の実施の形態について説明すれば、図6(a)から(b)に示すように全体円環状のバネ1の継ぎ目Gを、まず、凹溝3へ装入する。次に、継ぎ目Gに対して 180°反対側の 180°反対部M3 を凹溝3へ図6(b)の矢印Kのように装入する。
その後、図6(c)から(d)に示すように、継ぎ目Gに対して、中心角度が90°と 270°を成す90°部位E4 と 270°部位F4 を、矢印Nにて示すように、凹溝3へ装入する。次に、図6(d)の矢印Pのように、残りの残部12を凹溝3へ装入すれば、図6(e)に示したバネ装着完了状態となる。
なお、図6(a)に示すように、 180°反対部M3 と90°部位E4 と 270°部位F4 に、油性インキや小さな打痕等によって目印を付設しておくのが好ましい。
【0023】
この図6の実施形態の場合は、(図5と同様に、)継ぎ目Gを、まず、Uシール2の凹溝3へ装入する方法であるので、バネ1の全周長の内で不均等な特性を示す点である継ぎ目Gの影響が避けられる利点があり、全周にわたって均等な周方向の伸縮状態(バネピッチ)を、バネ装着完了状態にて示すこと寄与している。
そして、図6(c)(及び図7)にて示した状態にて、右半分と左半分の残部10,10の長さが相等しくなり、さらに、図6(e)に示した、その後の状態では、4個の残り部位12の長さが相等しくなって、全周にわたってバネピッチが均一化したバネ装着状態(図6(e)及び図1(a)参照)が得られる。
【0024】
ところで、図1(a)(b)と図7に於ては、軸心L0 と平行な一方向に凹溝3が開口したUシール2の場合を図示しているが、図3〜図6のいずれの実施の形態であっても、図1(c)に示すように、ラジアル内方向に凹溝3が開口するUシール2にも勿論適用可能である。また、上述のバネ装入作業は、ロボットアーム等による自動機械や半自動機械を用いるのが好適であるが、手動にて行うのも好ましい。
また、上述のように、バネ1側に目印を付設する場合、さらに、Uシール2側にも、各々に対応した正確な位置に、シール性能に悪影響を及ぼさないように、目印を付設することも、望ましい。
【0025】
次に、図8は図1に代わる図であって、本発明に係る前述のバネ装着方法を、図8に例示するような形状と構成のシールSに適用可能であることを示す。即ち、図8に於て、このシールSは、プラスチック又はゴム製のUシール2と、その凹溝3に装着された、横断面U字乃至V字形のバネ1とを、有し、このバネ1は、薄い金属板から成り、全体はジグザグ状円環形状に構成されている。図8(a)(b)に示すシールSのUシール2は、その軸心L0 と平行な一方向に開口するように凹溝3が形成され、または、図8(c)に示すように、凹溝3がラジアル内方向へ開口する。なお、凹溝3の開口部3Aは幅狭になるように、鈎状に突部8,8が設けられている。三角山型のシールリップ4,5,6,7を有する点は、図1と同様である。
なお、図示省略するが、上述以外の形状のバネ1であっても本発明に係るバネ装着方法を適用することは可能であると共に、Uシール2としては、シールリップ4,5,6,7の個数の増加、及び、その断面形状は、図1や図8以外にも設計変更自由である。さらに、凹溝3にバネ1と共に、Oリングや別のシール材を装着した構成のシールSとするも、自由である(図示省略)。
【0026】
本発明は、上述のように、所定長さL1 に切断されたバネ1をUシール2の凹溝3へ装着するバネ装着方法に於て、上記バネ1の両端部A,Bを相互に接触した突合せ状態として該両端部A,Bを上記凹溝3へ装入し、次に、上記所定長さL1 の半分に相当する中央部Mを上記凹溝3へ装入し、その後、上記端部A,Bと上記中央部Mの間に形成される一対の残部10,10を上記凹溝3へ装入するバネ装着方法であるので、バネピッチを均一化して装着可能であり、かつ、両端部A,B相互間に隙間が空かず、逆に、重なり合わず、 360°全周に均等なバネピッチに装着され、Uシールリップの開脚方向弾発力が 360°にわたって均一化して、シールとして優れた密封性能を発揮し、局部的摩耗による早期漏れも発生しない。
また、上記中央部Mには、上記凹溝3への装入の前に、目印を付設しておくことによって、 180°反対側を正確な周方向位置に挿入可能となる。
【0027】
また、所定長さL1 に切断されたバネ1をUシール2の凹溝3へ装着するバネ装着方法に於て、上記バネ1の両端部A,Bを相互に接触した突合せ状態として該両端部A,Bを上記凹溝3へ装入し、次に、上記所定長さL1 の半分に相当する第1中央部M1 を上記凹溝3へ装入し、次に、上記端部A,Bと上記第1中央部M1 の間に形成される一対の残部10,10の各第2中央部E,Fを上記凹溝3へ装入し、その後、4個の残りの部位12,12,12,12を上記凹溝3へ装入する方法であれば、90°毎に正確な位置に、まず、凹溝3に対して装入してから、残りの部位12,12,12,12を装入するので、一層均一なバネピッチをもって装着でき、シールとしての密封性能と耐摩耗性に優れる。
また、上記第1中央部M1 及び上記第2中央部E,Fには、上記凹溝3への装入の前に、目印を付設しておくことによって、90°毎に一層正確な周方向位置へ装入できることとなる。
【0028】
また、継ぎ目Gをもって閉じられた全体円環状のバネ1をUシール2の凹溝3へ装着するバネ装着方法に於て、上記バネ1の上記継ぎ目Gを上記凹溝3へ装入し、次に、上記継ぎ目Gに対して 180°反対側の 180°反対部M3 を上記凹溝3へ装入し、その後、上記継ぎ目G及び 180°反対部M3 の間に形成された一対の残部10,10を上記凹溝3へ装入する方法であるので、バネピッチを均一化でき、シールとして優れた密封性能を発揮し、局部的なシールリップの異常摩耗を防止できる。
また、上記 180°反対部M3 には、凹溝3への装入前に目印を付設しておくことにより、 180°反対側を正確な周方向位置に装入できることとなる。
【0029】
また、継ぎ目Gをもって閉じられた全体円環状のバネ1をUシール2の凹溝3へ装着するバネ装着方法に於て、上記バネ1の上記継ぎ目Gを上記凹溝3へ装入し、次に、継ぎ目Gに対して 180°反対側の 180°反対部M3 を上記凹溝3へ装入し、その後、上記継ぎ目Gに対して90°と 270°を成す90°部位E4 と 270°部位F4 を上記凹溝3へ装入する方法であるので、90°毎に正確な位置に、まず、凹溝3に対して装入してから、残りの部位12,12,12,12を装入するので、一層均一なバネピッチをもって装着でき、シールとしての密封性能と耐摩耗性に優れる。
また、上記 180°反対部M3 、及び、上記90°部位E4 と 270°部位F4 には、凹溝3への装入前に目印を付設しておくことで、90°毎に一層正確な周方向位置へ装入することができて、バネ装着完了状態において一層ネジピッチが高精度に均等化できる。
【符号の説明】
【0030】
1 バネ
2 Uシール
3 凹溝
10 残部(未装着部)
12 残りの部位
A,B 端部
L1 所定長さ
M 中央部
M1 第1中央部
E,F 第2中央部
M3 180°反対部
E4 90°部位
F4 270°部位
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定長さ(L1 )に切断されたバネ(1)をUシール(2)の凹溝(3)へ装着するバネ装着方法に於て、上記バネ(1)の両端部(A)(B)を相互に接触した突合せ状態として該両端部(A)(B)を上記凹溝(3)へ装入し、次に、上記所定長さ(L1 )の半分に相当する中央部(M)を上記凹溝(3)へ装入し、その後、上記端部(A)(B)と上記中央部(M)の間に形成される一対の残部(10)(10)を上記凹溝(3)へ装入することを特徴とするUシールへのバネ装着方法。
【請求項2】
上記中央部(M)には、上記凹溝(3)への装入の前に、目印を付設しておく請求項1記載のUシールへのバネ装着方法。
【請求項3】
所定長さ(L1 )に切断されたバネ(1)をUシール(2)の凹溝(3)へ装着するバネ装着方法に於て、上記バネ(1)の両端部(A)(B)を相互に接触した突合せ状態として該両端部(A)(B)を上記凹溝(3)へ装入し、次に、上記所定長さ(L1 )の半分に相当する第1中央部(M1 )を上記凹溝(3)へ装入し、次に、上記端部(A)(B)と上記第1中央部(M1 )の間に形成される一対の残部(10)(10)の各第2中央部(E)(F)を上記凹溝(3)へ装入し、その後、4個の残りの部位(12)(12)(12)(12)を上記凹溝(3)へ装入することを特徴とするバネ装着方法。
【請求項4】
上記第1中央部(M1 )及び上記第2中央部(E)(F)には、上記凹溝(3)への装入の前に、目印を付設しておく請求項3記載のバネ装着方法。
【請求項5】
継ぎ目(G)をもって閉じられた全体円環状のバネ(1)をUシール(2)の凹溝(3)へ装着するバネ装着方法に於て、上記バネ(1)の上記継ぎ目(G)を上記凹溝(3)へ装入し、次に、上記継ぎ目(G)に対して 180°反対側の 180°反対部(M3 )を上記凹溝(3)へ装入し、その後、上記継ぎ目(G)及び 180°反対部(M3 )の間に形成された一対の残部(10)(10)を上記凹溝(3)へ装入することを特徴とするUシールへのバネ装着方法。
【請求項6】
上記 180°反対部(M3 )には、凹溝(3)への装入前に目印を付設しておく請求項5記載のUシールへのバネ装着方法。
【請求項7】
継ぎ目(G)をもって閉じられた全体円環状のバネ(1)をUシール(2)の凹溝(3)へ装着するバネ装着方法に於て、上記バネ(1)の上記継ぎ目(G)を上記凹溝(3)へ装入し、次に、継ぎ目(G)に対して 180°反対側の 180°反対部(M3 )を上記凹溝(3)へ装入し、その後、上記継ぎ目(G)に対して90°と 270°を成す90°部位(E4 )と 270°部位(F4 )を上記凹溝(3)へ装入することを特徴とするUシールへのバネ装着方法。
【請求項8】
上記 180°反対部(M3 )、及び、上記90°部位(E4 )と 270°部位(F4 )には、凹溝(3)への装入前に目印を付設しておく請求項7記載のUシールへのバネ装着方法。
【請求項1】
所定長さ(L1 )に切断されたバネ(1)をUシール(2)の凹溝(3)へ装着するバネ装着方法に於て、上記バネ(1)の両端部(A)(B)を相互に接触した突合せ状態として該両端部(A)(B)を上記凹溝(3)へ装入し、次に、上記所定長さ(L1 )の半分に相当する中央部(M)を上記凹溝(3)へ装入し、その後、上記端部(A)(B)と上記中央部(M)の間に形成される一対の残部(10)(10)を上記凹溝(3)へ装入することを特徴とするUシールへのバネ装着方法。
【請求項2】
上記中央部(M)には、上記凹溝(3)への装入の前に、目印を付設しておく請求項1記載のUシールへのバネ装着方法。
【請求項3】
所定長さ(L1 )に切断されたバネ(1)をUシール(2)の凹溝(3)へ装着するバネ装着方法に於て、上記バネ(1)の両端部(A)(B)を相互に接触した突合せ状態として該両端部(A)(B)を上記凹溝(3)へ装入し、次に、上記所定長さ(L1 )の半分に相当する第1中央部(M1 )を上記凹溝(3)へ装入し、次に、上記端部(A)(B)と上記第1中央部(M1 )の間に形成される一対の残部(10)(10)の各第2中央部(E)(F)を上記凹溝(3)へ装入し、その後、4個の残りの部位(12)(12)(12)(12)を上記凹溝(3)へ装入することを特徴とするバネ装着方法。
【請求項4】
上記第1中央部(M1 )及び上記第2中央部(E)(F)には、上記凹溝(3)への装入の前に、目印を付設しておく請求項3記載のバネ装着方法。
【請求項5】
継ぎ目(G)をもって閉じられた全体円環状のバネ(1)をUシール(2)の凹溝(3)へ装着するバネ装着方法に於て、上記バネ(1)の上記継ぎ目(G)を上記凹溝(3)へ装入し、次に、上記継ぎ目(G)に対して 180°反対側の 180°反対部(M3 )を上記凹溝(3)へ装入し、その後、上記継ぎ目(G)及び 180°反対部(M3 )の間に形成された一対の残部(10)(10)を上記凹溝(3)へ装入することを特徴とするUシールへのバネ装着方法。
【請求項6】
上記 180°反対部(M3 )には、凹溝(3)への装入前に目印を付設しておく請求項5記載のUシールへのバネ装着方法。
【請求項7】
継ぎ目(G)をもって閉じられた全体円環状のバネ(1)をUシール(2)の凹溝(3)へ装着するバネ装着方法に於て、上記バネ(1)の上記継ぎ目(G)を上記凹溝(3)へ装入し、次に、継ぎ目(G)に対して 180°反対側の 180°反対部(M3 )を上記凹溝(3)へ装入し、その後、上記継ぎ目(G)に対して90°と 270°を成す90°部位(E4 )と 270°部位(F4 )を上記凹溝(3)へ装入することを特徴とするUシールへのバネ装着方法。
【請求項8】
上記 180°反対部(M3 )、及び、上記90°部位(E4 )と 270°部位(F4 )には、凹溝(3)への装入前に目印を付設しておく請求項7記載のUシールへのバネ装着方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−179629(P2011−179629A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−46202(P2010−46202)
【出願日】平成22年3月3日(2010.3.3)
【出願人】(000003263)三菱電線工業株式会社 (734)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月3日(2010.3.3)
【出願人】(000003263)三菱電線工業株式会社 (734)
【Fターム(参考)】
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