説明

にじみ限界に基づいて画像システムを制御するためのシステムおよび方法

【課題】異なる画像システム上でも実行可能なワーク画像取得/検査プログラム生成する画像検査システムおよび方法を提供すること。
【解決手段】各システムは、可動ワークステージと、露光時間を制御可能なストロボ照明装置を含む。プログラムは、画像のにじみに関連する機能的限界に基づいてステージ速度,ストロボ光パワー,ストロボ露光時間のような各種の画像取得パラメータを決定する。プログラムは、システムについての最適画像取得パラメータを機能的限界に基づいて決定することによって、どのようなシステムにも自動的に順応する。このように、同一のプログラムが異なるシステム上で使用可能になり、どのようなシステム上で使用されても最大限の処理量を保ちつつ所望レベルの精度を一貫して実現することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数方向に互いに相対移動可能なカメラおよびステージを備える画像検査システムをプログラミングおよび運転し、ステージ上のワークの選択された特徴を走査および検査する方法に関する。より詳細には、本発明は、画像のにじみ(あるいは、画像のブレ)に関連する機能的限界に基づいて1つのコンピュータスクリプトを生成し、当該スクリプトが、互いに異なる動作特性を有する様々な画像検査システムにおいても、高い検査精度および高スピードを実現することができるようなシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
画像検査システム(あるいは、略して、画像システム)は、検査対象の正確な寸法測定や、様々な他の特性の検査に利用されている。このようなシステムは、コンピュータ,カメラおよび光学システム,カメラが検査対象のワーク特徴(ワークの表面形状や粗さ等の性状)を走査できるように複数方向に移動可能な精密ステージを含んでいる。このようなシステムの例として、イリノイ州オーロラのミツトヨアメリカ社(MAC)から市販されているPCベースの画像システムである QUICK VISION(商標)シリーズや、QVPAK(商標)ソフトウェアが挙げられる。画像システムである QUICK VISION シリーズ、および、 QVPAK ソフトウェアの特徴および動作は、例えば、QVPAK 3D CNC Vision Measuring Machine Users Guide(2003年1月発行)や、QVPAK 3D CNC Vision Measuring Machine Operation Guide(1996年9月発行)に記載されている。この製品(例えば、QV-302 Pro model)は、ワークの画像を様々な倍率で提供し、1つのビデオ画像の境界を超えてワーク表面を横切るようにステージを動かすことができる顕微鏡タイプの光学システムを使用することができる。一般に、所望の倍率,測定分解能が設定され,さらに、物理的サイズの制限があるこのようなシステムでは、1つのビデオ画像が、観察あるいは検査対象のワークの一部のみを囲むに過ぎない。
【0003】
画像検査システムは、自動ビデオ検査を行う。米国特許第6,542,180号には、このような自動ビデオ検査の様々な側面についての記載がある。この’180特許に記載されているように、自動ビデオ検査測定指示は、自動検査イベントシーケンスがユーザによって各ワーク形状ごとに設定されることを可能とするプログラミング能力を含んでいる。これは、テキストベースプログラミング、または、ユーザによって実行される検査オペレーションのシーケンスに対応する装置制御指示のシーケンスを記録することによって検査イベントシーケンスを累進的に『学習する』記録モード、あるいは、以上の2つの方法の組合せなどによって実行することが可能である。このような記録モードは、通常、『学習モード』や『訓練モード』などと呼ばれている。一旦、検査イベントシーケンスが学習モードにおいて定義されると、『実行モード』では、このようなシーケンスによって、ワークの画像を自動的に取得する(そして、さらに解析あるいは検査する)ことができる。
【0004】
画像取得パラメータなどを含んだ特定の検査イベントシーケンスを含む装置制御指示は、一般に、特定のワーク形状に固有の『パートプログラム』や『ワークプログラム』として記録される。予め決まった検査オペレーションシーケンスを実行する指示とともにパートプログラムを生成する能力は、いくつかの利点を提供する。ここで、いくつかの利点には、複数時にユーザが所有する1または複数の両立する画像検査システム上で同じパートプログラムを自動的に実行する能力と同様に、検査の反復性を向上させることが含まれる。
【0005】
多様なワークに対して迅速にプログラム化できることが要求される汎用画像検査システム(例えば、先に挙げた QUICK VISION シリーズ)では、画像取得オペレーションが、当該画像取得オペレーション間において(直前に取得された画像について)行われる画像解析オペレーションや特徴検査オペレーションによって中断されるので、当該画像オペレーションは分散的に行われるのが慣習になっている。しかしながら、汎用画像検査システムでは、処理量の増加がますます求められるようになってきている。ここで、カメラとワークステージとを連続的に相対移動させながら画像取得を実行する方法(相対移動を断続的に中断/開始する方法ではなく)によれば、検査処理量を飛躍的に増大させることができる。このようなシステムにとって、連続移動中においてもにじみ(あるいは、ぼけ)のない画像を取得するための支援用にストロボ光照明を設けることは好都合である。
【0006】
高速生産ラインにおいて使用される高速『インライン』画像検査システムは、従来、画像のにじみを最小化するためにストロボ光照明を使用している。しかしながら、このようなインライン画像システムは、1つの生産ライン向けに設置され、例えば、コンベアシステム上を連続的に移送されるワークの『同じ』画像を繰り返し何度も取得するのが通常である。このような場合、各画像について、移動速度およびストロボ照明パラメータなどは同一である。さらに、ワーク形状も互いにほとんど同一である。したがって、このようなシステムについて行われているプログラミング方法では、形状等に制限のない多様なワークについて比較的未熟なユーザに高速プログラミングを可能にすることはできず、また、当該プログラミング方法を動作特性が互いに異なる画像システム間で『移動可能』とすることはできなかった。
【0007】
しかしながら、汎用画像検査システムにとって、形状等に制限のない多様なワークについて比較的未熟なユーザに高速プログラミングを可能にすることは、近年、その重要性を増している。さらに、近年の『弾力的製造』環境では、装置スケジュールの弾力性と一貫した品質管理にとって、修正を加えることなく同一のパートプログラムを異なる画像システム上で実行できるのが望ましい。さらに、有意義な検査および品質管理データを提供するためには、異なる画像検査システムからの検査結果が同等の精度を有し、これらが比較,検証可能であることも重要である。さらに、与えられたパートプログラムを実行する各装置が、前述したような目的に沿った形で、可能な限りの最大の処理量を実現することができるのが望ましい。しかしながら、異なる画像検査システムは、一般に、異なる動作特性(例えば、最大ステージ速度,ステージ軸エンコーダ分解能,ストロボ光の最大パワーまたは最小持続時間など)を有しており、また、同じモデルやクラスの装置であっても、バージョンや世代が異なると動作特性が異なる。したがって、前述したような目的は達成されず、画像検査システムおよび方法には、動作特性が異なる画像システムでも使用可能なパートプログラムを生成し、かつ、一貫して高レベルの検査処理量と所望精度の検査結果とを提供するために各システムの動作特性に順応する必要性が存在する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
画像検査システムおよび方法は、異なる画像検査システム上でも使用可能であり、どの画像検査システム上で使用したとしても、所望の検査精度および最大限の検査処理量を一貫して提供することができるようなパートプログラムを生成するために提供される。
【0009】
大処理量画像検査システムは、連続移動中における画像の取得に役立つストロボ光照明を含んでいてもよい。ストロボ露光時間は、画像検査システムにおけるカメラ本来の最小露光時間よりも大幅に短くすることができ、画像取得中にワークをカメラに対して『フリーズ』することができ、ほとんどにじみのない(あるいは、ぼけのない)、高精度検査に好適な画像を提供することができる。しかしながら、動作特性が互いに異なる各種の画像検査および測定システムにおいてにじみのない画像を提供する1つのパートプログラムを提供するためには、適正な精度とともにいくつかの要素を考慮に入れた斬新な画像検査システムプログラミング方法が必要である。例えば、画像に過度のにじみを生じさせることのないような最大移動速度は、最大パワーレベルやストロボ照明システムの最小露光時間などによって制限される。すなわち、与えられた移動速度が同一であるとした場合に、2つの画像システムが異なる最小ストロボ露光時間を有しており、画像システムに自身の最小ストロボ露光時間を使用させるようにパートプログラムが規定されているとすれば、長いストロボ露光時間を有する画像システムから得られる画像のにじみは、短いストロボ露光時間を有する画像システムから得られる画像のにじみよりも多くなってしまう。このように、結果として得られる画像や検査結果は、互いに異なるものになってしまう。この問題の比較的簡便な解決方法は、全ての画像システムの動作特性範囲内に収まるストロボ露光時間や相対移動速度などをパートプログラムに規定させることである。しかしながら、このアプローチでは、比較的性能が高い画像検査システムにおける短い最小ストロボ露光時間や大きな移動速度を利用することができず、潜在的な処理量を『勝手に』制限してしまうことになる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、画像取得中に連続移動が行われたとしても、検査または測定結果をワークの検査特徴許容度の範囲内に収めることができるワーク画像を提供することができるように、十分な照明を提供し、移動によるにじみ(ぼけ)を低減するために、検査画像のためのストロボパワーレベル,ストロボ露光時間,移動速度が組合せで選択されるシステムおよび方法を提供する。大処理量画像システムの動作や、ストロボパワーレベル,ストロボ露光時間,移動速度の実行可能な組合せの決定などに関する各種の考察は、米国特許出願第10/435,625号や、第10/719,210号に記載されている。
【0011】
本発明の実施形態では、第1(最初の)画像検査システムがワークを検査するためにプログラミングされる。画像検査システムは、少なくともカメラ,最大光パワーを有する光源(例えば、ストロボ光),ワークステージ,制御システム部を有する画像取得システムを含む。ワークステージおよびカメラの少なくとも一方は移動可能であって、両者は最大速度をもって互いに相対移動可能である。カメラまたは光源は、最小有効露光時間を規定する。プログラミングの方法は、以下の5つのステップを含む。
【0012】
ステップ1では、画像のにじみに関連する機能的限界がプログラムのために決定される。このような機能的限界の一例として、有効画像露光時間(例えば、ストロボ露光時間)中にカメラとワークとの間で許容可能な相対移動量である『にじみ限界』が挙げられる。にじみ限界が小さくなれば(すなわち、露光時間中における許容可能な相対移動量が小さくなれば)、画像のにじみは小さくなり、検査結果の精度が向上する。しかしながら、与えられたストロボの強度および持続時間に対して、にじみ限界が小さくなってカメラとワークとの間での許容可能な相対移動速度が小さくなると、検査処理量も小さくなってしまう。検査精度が画像のにじみの量に依存するという観点、および、画像のにじみと速度(あるいは、処理量)との間にトレードオフがあるという観点から、本発明では、にじみ限界を各種の画像取得パラメータ(例えば、光パワーレベル,露光時間,相対移動速度など)を決定するために利用し、所望レベルの精度や、当該所望レベルの精度と両立する可能な限りの大きな速度を実現することができる。言い換えれば、たとえ、各画像システムのハードウェア性能によって許容される最大の速度よりも小さい速度に設定するなどして速度を多少犠牲にしたとしても、所望レベルの精度の確保が最優先される。
【0013】
ステップ2では、最適露光時間がプログラムのために決定される。最適露光時間は、選択あるいは予め決定された光パワーレベルに関連して決定される。通常、光パワーレベルは、使用される光源によって出力可能な最大光パワーレベルに設定され、露光時間が最小に、移動速度が最大になるようにしている。選択された光パワーレベルの下での最適露光時間は、所望の画像特性を実現するために手動,半自動,自動で(例えば、照明レベルやコントラストなどのような所望の画像特性を実現するためのビデオツールを使用することによって)決定されるようにしてもよい。また、最適露光時間は、取得画像において所望のグレイレベル,エッジコントラストなどが実現されるように規定される。『最適』露光時間が手動で決定される場合は、これは単純にマシンオペレータやプログラマーの判断において許容可能な画像に対応する。『最適』露光時間は、数学的に最適化される必要はない。むしろ、与えられたワーク特徴に対して、『最適』露光時間は、性能の高い装置では早くなり、性能の低い装置では遅くなる。
【0014】
ステップ3では、にじみ限界と、ステップ2において決定された最適露光時間とに基づいて、カメラとワークステージとの運転相対速度が決定される。運転相対速度の決定は、4つのサブステップを含む。第1のサブステップでは、にじみ限界および最適露光時間に基づいて相対速度を算出する(相対速度=にじみ限界/最適露光時間)。第2のサブステップでは、算出された相対速度を、ここで使用する画像検査システムにおける最大相対移動速度と比較し、いずれが小さいかを判断する。第3のサブステップでは、算出された相対速度の方が小さい場合には、これを運転相対速度として設定する。一方、第4のサブステップでは、最大相対移動速度の方が小さい場合には、これを運転相対速度として設定する。
【0015】
ステップ4では、運転露光時間および選択された光パワーレベルに基づいて総露光エネルギーが算出される(総露光エネルギー=運転露光時間×選択された光パワーレベル)。あるいは、露光時間を決定または設定するオペレーションが、総露光エネルギーに対応する1または複数のパラメータを『計算』することなしに同時に規定してもよい。例えば、予め決定された一定の光源パワーレベルを利用するストロボ光源とともに動作する画像システムは、各光ストロボ持続時間に対応する各数値照明設定のスケールを含んでいてもよい。このように、各数値照明設定が、総露光エネルギーに対応する。いずれの場合も、総露光エネルギーは、運転露光時間中に画像化されるワーク特徴への照射光子数に関連している。
【0016】
ステップ5では、機能的限界(例えば、にじみ限界)および総露光エネルギー(あるいは、総露光エネルギーを示すパラメータ)が、ワークについての画像取得および検査オペレーションのシーケンスを定義するパートプログラム(あるいは、ワークプログラム)の一部として記憶される。前述したように、画像システムが、予め決定された一定の光源パワーレベルを利用するストロボ光源とともに動作する場合には、各光ストロボ持続時間(すなわち、露光時間)に対応する各照明設定が、総露光エネルギーを示すパラメータを提供する。
【0017】
以上のステップは、ここで使用する画像システムの『学習モード』や『訓練モード』において実行してもよい。また、以上の方法が、ワーク全体の検査に用いられる画像の各セットについて少なくとも部分的に繰り返されるようにしてもよい。結果として得られるワークプログラム(ユーザが設定した精度レベルでワークの検査画像を取得するための機能的限界および総露光エネルギーパラメータのセットを含む)は、それから、異なる画像システムに伝送され、『実行モード』において実行されるようにしてもよい。実行モードでは、前記異なる画像システムが、システム固有の動作特性または制限や、パートプログラムに含まれる機能的限界および総露光エネルギーパラメータに基づいてシステム固有の画像取得パラメータを決定し、検査結果が所望の精度となるようなワーク画像を提供できるようにする。
【0018】
特に、本発明の方法およびシステムにしたがって生成されたパートプログラムは、機能的限界および総露光エネルギーに基づいて、どのような画像システムにも自動的に順応させることができる。ここで、自動順応プロセスは、新たな画像システムにおいて所望レベルの検査精度および大処理量を実現するために、第1(最初の)画像システムにおいて生成されたパートプログラムから伝送された機能的限界および総露光エネルギーに基づいて新たな画像システムについて各種の画像取得オペレーションパラメータを算出するステップを含む。パートプログラムの自動順応は、機能的限界および総露光エネルギーによって略同じ結果を提供し、ワーク全体の検査に用いられる画像の各セットの少なくとも一部分について、新たな画像システムの『実行モード』の始めの部分と並行して行われる。自動順応プロセスは、4つのステップを含んでいる。
【0019】
ステップ1では、パートプログラムが実行される新たな画像システムの最大光パワー,最大相対移動速度,最小有効露光時間を含む動作特性が割り出される。
【0020】
ステップ2では、にじみ限界および総露光エネルギー(あるいは、総露光エネルギーを示すパラメータ)を、ワーク検査イベントシーケンスを制御する移動指示とともに、パートプログラムから受け取る。
【0021】
ステップ3では、新たな画像システムについての最適露光時間が、総露光エネルギー(あるいは、総露光エネルギーを示すパラメータ)、および、選択あるいは予め決定された光パワーレベルに基づいて算出あるいは決定される。最適露光時間の算出は、4つのサブステップを含む。第1のサブステップでは、総露光エネルギーおよび選択された光パワーレベル(例えば、新たな画像システムにおける最大光パワーレベル)に基づいて露光時間が算出あるいは決定される(例えば、露光時間=総露光エネルギー/選択された光パワーレベル)。また、総露光エネルギーを示すパラメータが、予め決定された一定の光源パワーレベルとともに使用される露光時間に対応していてもよいし、適切に較正されたシステムについての最適露光時間を本来的に示すようにしてもよい。第2のサブステップでは、算出あるいは決定された露光時間が、新たなシステムにおける最小露光時間と比較され、いずれが長いかが判断される。第3のサブステップでは、算出された露光時間の方が長い場合には、これを最適露光時間として設定する。第4のサブステップでは、最小露光時間の方が長い場合には、これを最適露光時間として設定し、総露光エネルギーおよび最小露光時間に基づいて光パワーレベルが再計算される(再計算された光パワーレベル=総露光エネルギー/最小露光時間)。
【0022】
ステップ4では、にじみ限界および最適露光時間に基づいて運転相対速度が算出される。新たな画像システムについての運転相対速度の算出は、4つのサブステップを含む。第1のサブステップでは、にじみ限界および最適露光時間に基づいて相対速度が算出される(相対速度=にじみ限界/最適露光時間)。第2のサブステップでは、算出された相対速度が、新たなシステムにおける最大相対移動速度と比較され、いずれが小さいかが判断される。第3のサブステップでは、算出された相対速度の方が小さい場合には、これを運転相対速度として設定する。一方、第4のサブステップでは、新たなシステムにおける最大相対移動速度の方が小さい場合には、これを運転相対速度として設定する。
【0023】
パートプログラムを第1(最初の)画像システムにおいてエンコードする方法は、画像システムの制御システム部にロードされると当該方法を自動的に実行するコンピュータによって実行可能な指示を格納するコンピュータによって読み取り可能な媒体によって実現される。なお、パートプログラムは、それから、異なるハードウェア性能を有する異なる画像システムに自動的に順応できるようになっている。
【0024】
本発明の方法は、検査処理量を増大させるために画像取得オペレーション中においてカメラとワークステージとの連続相対移動を利用するステップを含んでいてもよい。画像検査システムにおける1または複数の光源が、光源ストロボ能力を有していてもよい。
【0025】
要するに、本発明によれば、移植可能性が高く、異なるハードウェア性能を有する異なる画像システム上でも実行可能であり、かつ、いかなる画像システム上で実行されたとしても、最大限の処理量を保ちながら所望レベルの精度を一貫して実現することができるパートプログラムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
図1は、本発明に基づく画像検査システム10の一例を示すブロック図である。画像検査システム10は、データや制御信号をやり取りするために制御コンピュータシステム14と接続された画像測定装置12を含んでいる。制御コンピュータシステム14は、さらに、データや制御信号をやり取りするためにモニタ16,プリンタ18,ジョイスティック22,キーボード24,マウス26と接続されている。画像測定装置12は、可動ワークステージ32と、拡大レンズや交換可能レンズ群などを含む光学画像システム34とを含んでいる。ズームレンズや交換可能レンズ群によれば、光学画像システム34によって取得される画像の倍率を調整することができる。
【0027】
ジョイスティック22を用いれば、光学画像システム34の焦平面と平行なX方向およびY方向に沿う可動ワークステージ32の移動を制御することができる。また、ジョイスティック22によって、Z方向あるいは焦点方向に沿う光学画像システム34の移動を制御することもできる。ここで、Z方向移動は、ジョイスティック22におけるハンドルやノブの回転要素によって制御されるようになっている。なお、ジョイスティック22の機能を他のものに持たせてもよい。例えば、マウス26などのコンピュータ入力装置によって制御可能な『仮想的な移動制御装置』をモニタ16上に表示させて、ジョイスティック22の代わりに用いてもよい。
【0028】
図2は、本発明に基づく画像検査システム100における制御システム部120と画像コンポーネント部200とを示す図である。詳細については後述するが、制御システム部120は、画像コンポーネント部200を制御するために利用される。画像コンポーネント部200は、光学アセンブリ部205と、光源220,230,240と、中央透明部212を有するワークステージ210とを含んでいる。ワークステージ210は、ワーク20が載置されるステージ面と平行な平面上に設定されるX軸およびY軸に沿って移動可能である。光学アセンブリ部205は、カメラシステム260と、交換可能な対物レンズ250と、タレットレンズアセンブリ280と、同軸光源230とを含んでいる。なお、タレットレンズアセンブリ280の代わりに、固定された、あるいは、手で交換可能な倍率可変レンズや、拡大レンズなどを設けてもよい。後述するように、光学アセンブリ部205は、制御モータ294によって、X軸およびY軸と垂直なZ軸に沿って移動可能である。
【0029】
画像検査システム100によって画像が取得されるワーク20は、ワークステージ210に載置される。光源220,230,240の少なくとも1つが、光源光222,232,242をそれぞれ出射し、ワーク20を照明する。ワーク20を照明した光は、ワーク光255のように反射または透過し、交換可能な対物レンズ250,タレットレンズアセンブリ280を通過した後、カメラシステム260に集められる。カメラシステム260によって取得されたワーク20の画像は、信号線262によって制御システム部120に出力される。
【0030】
ワーク20の照明に利用される光源220,230,240は、ステージ光220,同軸光230,リング光やプログラム制御可能なリング光のような表面光240を出射可能であり、それぞれ、信号線あるいはバス221,231,241を介して制御システム部120に接続されている。光学アセンブリ部205は、画像検査システム100における第1光学アセンブリとして、前記の各構成要素に加えて、レンズ,開口部のような光学素子,ビームスプリッタなどの同軸照明を生成する際に必要な構成要素や、画像検査システムのその他の機能にとって望ましい構成要素などを含んでいてもよい。そして、このような第1光学アセンブリに加え、画像検査システム100における第2の光学アセンブリとして、タレットレンズアセンブリ280は、少なくとも、第1タレットレンズ位置およびレンズ286,第2のタレットレンズ位置およびレンズ288を含んでいる。制御システム部120は、信号線あるいはバス281を介して、タレットレンズアセンブリ280を、少なくとも第1および第2のタレットレンズ位置間において、軸284回りに回転させる。
【0031】
ワークステージ210と光学アセンブリ部205との間の距離は調整可能であり、カメラシステム260によって取得されるワーク20の画像の焦点を変化させることができる。特に、本実施形態では、光学アセンブリ部205は、アクチュエータを駆動する制御モータ294や接続ケーブルなどによって、ワークステージ210に対してZ軸方向に沿った相対移動が可能であり、当該光学アセンブリ部205をZ軸に沿って移動させることができる。ここで、Z軸とは、光学アセンブリ部205によって取得される画像の焦点合わせをする際の移動方向に沿う軸のことである。制御モータ294は、使用時には、信号線296を介して入出力インターフェイス130に接続される。
【0032】
図2に示されるように、本実施形態では、制御システム部120は、コントローラ125と、入出力インターフェイス130と、メモリ140と、ワークプログラム生成手段および実行手段170と、CADファイル特徴抽出手段180と、電源部190とを含んでいる。これらの各構成要素は、以下で述べる追加的な構成要件と同様、データ/制御バスやアプリケーションプログラミングインターフェイスなどによって相互に接続され、あるいは、各種の構成要素と直接接続される。
【0033】
入出力インターフェイス130は、画像制御インターフェイス131と、移動制御インターフェイス132と、照明制御インターフェイス133と、レンズ制御インターフェイス134とを含んでいる。移動制御インターフェイス132は、位置制御要素132aと、速度/加速度制御要素132bとを含んでいる。ここで、これらの要素は一体不可分のものとして構成してもよい。照明制御インターフェイス133は、画像検査システム100における対応する光源(例えば、光源220,230,240)についての、選択,電力,オン/オフスイッチ,ストロボパルスタイミングなどを制御する照明制御要素1331〜133nを含んでいる。
【0034】
メモリ140は、画像ファイルメモリ部141と、パートプログラムなどを格納可能なワークプログラムメモリ部142と、ビデオツール部143とを含んでいる。ビデオツール部143は、対応するツールについてGUI(Graphical User Interface)や画像処理オペレーションなどを決定するツール部1431〜143mを含んでいる。また、ビデオツール部143は、当該ビデオツール部143に含まれる各種のビデオツールにおいてオペレート可能な各種の関心領域を定義する自動,半自動,手動オペレーションをサポートする関心領域生成手段143xも含んでいる。メモリ140は、画像中に所望の画像特徴が含まれるようにワーク20の画像を取得する画像コンポーネント部200のオペレートに利用されるデータを格納する。さらに、メモリ140は、取得された画像に対して各種の検査,測定オペレーションを手動または自動で実行し、結果を入出力インターフェイス130を通じて出力する画像検査システム100のオペレートに利用されるデータも格納する。また、メモリ140は、入出力インターフェイス130を通じてオペレート可能なGUIを定義するデータも格納する。
【0035】
ステージ光220,同軸光230,表面光240の信号線あるいはバス221,231,241は、それぞれ、入出力インターフェイス130に接続される。カメラシステム260からの信号線262、および、制御モータ294からの信号線296も入出力インターフェイス130に接続される。信号線262は、カメラシステム260からの画像データの伝送に加えて、コントローラ125からの画像取得開始信号の伝送も行う。
【0036】
1または複数の表示装置136や、1または複数の入力装置138を入出力インターフェイス130に接続することもできる。表示装置136および入力装置138は、パートプログラムの視認,生成,修正、カメラシステム260によって取得された画像の視認、画像コンポーネント部200の直接制御などに利用することができる。なお、予め設定されたパートプログラム(あるいは、ワークプログラム)を有する完全に自動化されたシステムにおいては、表示装置136や入力装置138は省略することができる。
【0037】
CADファイル特徴抽出手段180に関しては、ワークや、これと実質的に同一のワークについての過去の画像などを表現するCADファイルのような情報が、画像検査システムを産業上の応用する際にしばしば利用可能である。CADファイル表現のケースでは、CADファイル表現におけるエッジや境界の位置は、CADファイル特徴抽出について知られている各種の方法に基づいて、手動/半自動/完全自動でCADファイル表現から決定することができる。
【0038】
本実施形態では、パートプログラムが、協働プログラム,サブプログラム,サブルーチン,混合された指示などとして設定可能な、少なくとも2つのタイプの指示によって構成されている。ここで、2つのタイプの指示とは、画像の取得を制御するワーク画像取得指示と、画像解析/検査を制御するワーク画像解析/検査指示とである。画像検査システムの『大処理量』オペレーションのための各種プログラムの全体構成およびオペレーションは、それぞれ、先に挙げた’625出願の図4および図5に詳細に開示されている。本実施形態では、ユーザがワーク20についてのワーク画像取得プログラムを生成するために画像検査システム100を使用する場合、ユーザは、ワークプログラミング言語を用いて自動,半自動,手動で明示的に指示をコード化するか、あるいは、ワークプログラム指示が訓練シーケンスを取り込めるように、画像検査システム100に画像取得訓練シーケンスを行わせることによって、ワークプログラム指示を生成する。このプロセスは、取得される画像群における複数の画像に対して繰り返し行われる。これらの指示は、実行されると、ワーク20の特定部分が、カメラシステム260の視野内に入っており、かつ、取得される画像群の各画像において所望の焦点状態にあるように、ワークステージ210やカメラシステム260を所定の速度で画像検査システムに操作させる。このようなカメラとワークとの相対移動を制御するプログラム指示に加えて、画像取得時にワーク20を所望の照明状態に置けるように光源220〜240を駆動するプログラム指示も必要であるところ、これを行うワーク画像取得プログラムも必要である。詳細については図4および図5を参照して後述するが、本発明は、検査結果が所望レベルの精度を有することを裏付けるような精度の高いワーク画像を一貫して提供できることを前提として、多数の画像システムにおいて最大限の検査処理量を実現することができるプログラム指示(画像取得時の相対移動速度および照明を制御する指示を含む)を生成することを目的としている。
【0039】
一旦、ワーク画像取得指示のセットが規定されると、制御システム部120は、指示を実行し、当該指示に従ってワーク20の1または複数の画像を取得するようにカメラシステム260に指令する。そして、制御システム部120は、コントローラ125による制御の下、取得された画像を入出力インターフェイス130を通じて入力し、当該画像をメモリ140に記憶する。コントローラ125は、取得された画像を表示装置136に表示させることもできる。
【0040】
制御システム部120は、さらに、取得,記憶されたワーク検査画像を読み出したり、このようなワーク検査画像においてワーク特徴を検査,解析したり、検査結果を記録,出力したりすることもできる。このような方法は、メモリ140におけるビデオツール部143に含まれる各種ビデオツールにおいて実現される。このようなツールとしては、例えば、形状またはパターンマッチングツール,エッジあるいは境界検出ツール,円および寸法測定ツール,座標マッチングツールなどが挙げられる。このようなツールは、画像システムであるQUICK VISION(商標)シリーズや、これと関連する前記のQVPAK(商標)ソフトウェアなどのような市販されている各種の画像検査システムにおけるワークのエッジ(または境界)位置の検査に、慣習的に使用されているものである。
【0041】
図3は、このようなビデオツールの一例、すなわち、ワーク検査画像におけるエッジまたは境界位置を決定するための特徴解析/検査ツール(米国特許出願第09/987,986号に開示)、を示している。境界ツール400は、位置検出対象のエッジまたは境界を選択するために使用される。図3に示されるように、640×480画素のワーク検査画像450は、当該画像中を略水平方向に沿って延びる境界405の拡大画像を含んでいる。境界405は、性質が異なる2領域406,407を画している。図3に示されるように、ユーザは、検出対象の特定境界位置に境界ツール400を配置するためのGUIを利用することによって、関心領域を境界405上に設定することができる。
【0042】
関心領域は、配置された境界ツール400に対応するデータに基づいて、関心領域生成手段143xによって設定される。境界ツール400は、ユーザによって設定可能な、関心領域をさらに高精度に設定するためのボックスを含んでいる。ボックスは、例えば、弧状または円状、あるいは、図3に示されるような矩形状に設定することができる。境界ツール400は、ワーク検査画像450上にその他の追加的なツール要素を配置するようなものであってもよい。例えば、関心点P0や、重複する同一の矩形412(図3においては、4つの矩形412が示されている)として示される関心領域インジケータ412などが、自動的に生成されて画像上に配置され、その後はマニュアルで編集できるようにしてもよい。関心点P0は、境界405上の一点を指し示すだけのものとすることができる。さらに、ユーザは、関心領域中の境界405を横切って延びる走査線409間の間隔を設定することができる。なお、この間隔は自動的に設定されるようにしてもよい。こうして、境界ツール400に関するオペレーションを、ユーザの入力操作や、予め設定されている境界ツール400用のデフォルト特性を利用する自動化されたプロセスによって、マニュアルで設定することができる。ユーザが予め設定されている特性を有する境界ツール400を選択することができるので、境界検出オペレーションの基礎としての数学や画像処理オペレーションに関する知識をほとんど、あるいは、全く有しないオペレータも、当該境界検出オペレーションを実行することができる。
【0043】
それから、境界ツール400は、互いに対向する関心領域412の各対の各種のセットにおける各種の画像特性を比較する一連の複雑な画像解析や画像処理オペレーションを実行して、ワーク検査画像450における境界405の位置を最も効果的に示すことができる画像フィルタリング特性のセットを決定する。
【0044】
先に概説したように、本実施形態では、画像検査システム100が、ワークプログラム指示からなるワーク画像取得プログラムを生成するために利用される。これらの指示によって、ワークステージ210やカメラシステム260の動作が制御され、ワーク20の画像セットが取得されるとともに、画像取得時におけるワーク20を所望の照明状態に置くために1または複数の光源220〜240が駆動される。ワーク画像取得プログラム(あるいは『移動経路および画像取得ルーチン』)を生成し、ストロボパワーレベル,ストロボ露光時間,移動速度の実行可能な組合せを決定するための方法のいくつかの例が、’625および’210出願に記載されている。本発明は、’625および’210出願に記載されている方法のような『連続移動』方法を、『サブメソッド』を設けることによって改良することを目的としている。ここで、『サブメソッド』とは、ワーク画像取得パラメータ(例えば、ワークステージ速度,ストロボパワーレベル,ストロボ露光時間など)を、画像のにじみに関連する機能的な限界に基づいて決定し、結果として得られるワーク画像取得プログラムが、異なるハードウェア動作特性や制限を有する多数の画像システムによって共用可能となるようにするために利用される方法である。例えば、本発明の方法は、’625出願の図4に示されるブロック530や540に含まれる各種のオペレーションを改良し、あるいは、置換することができる。
【0045】
図4は、第1画像システムにおいて取得される画像のセットのそれぞれについて、画像のにじみに関する機能的な限界に関連して相対移動速度および照明制御パラメータ(例えば、光パワーレベル,露光時間など)を設定する方法(あるいはルーチン)500の一例を示すフローチャートである。本発明の発明者は、連続移動ワーク画像取得プログラムを有効にエンコードするためには、『にじみ限界』、すなわち、ストロボ露光時間(ストロボ照明が発生している間の時間)中にカメラとワーク(あるいは、ワークの特徴)との間で許容される移動量、を設定すればよいことを発見した。このような『にじみ限界』を設定すれば、検査結果が所望レベルの精度を有することを裏付けるような精度の高いワーク画像を一貫して提供できるのはもちろんのこと、結果として得られるプログラムを異なる画像システムによっても利用可能なものとすることができるとともに、これらの各画像システムにおいて最大限の検査処理量を実現することができる。一例として、ストロボ照明システムのストロボ露光時間が16.6μsであり、ユーザが露光時間中におけるカメラに対するワークの相対移動量をわずか0.25μmまでに限定した場合には、この0.25μmがにじみ限界である。そして、カメラとワークとの相対移動速度(例えば、ワークステージの速度)の上限が、0.25μm/16.6μs=15mm/s、と算出される。この例では、にじみ限界が距離の単位を有している。にじみ限界が大きくなると、カメラとワークとの相対移動速度(すなわち、処理量)が大きくなるが、取得画像におけるにじみが大きくなるので、エッジなどの位置検出精度に悪影響が及ぶ。一方、にじみ限界が小さくなると(すなわち、ストロボ露光時間中におけるワークとカメラとの間で許容される移動量が小さくなると)、許容される相対移動速度が小さくなり、エッジなどの位置検出精度が良くなるが、検査処理量に悪影響が及ぶ。このように、どんなに処理量の大きな画像システムにおいても、検出精度と相対移動速度(あるいは処理量)との間には本質的にトレードオフが存在している。本実施形態では、本発明に基づく方法によって、にじみ(例えば、にじみ限界)に関連する機能的な限界に関してワーク画像取得指示における相対移動速度および各種の照明制御パラメータが決定されるので、プログラムを多数の異なる画像システムによっても利用可能なものとすることができるとともに、検出精度と相対移動速度との最適な、あるいは、略最適なバランスを各画像システムについて実現することができる。言い換えれば、プログラムが異なる画像システムにおいて実行されたとしても、所望レベルの精度を有する検査結果を一貫して提供し続けることができ、かつ、当該所望レベルの精度と両立する最大限の速度で運転されるように、機能的な限界が、ワーク画像取得指示における各種の画像取得パラメータを決定するために利用されるようになっている。このようなアプローチによれば、性能の高い画像システムにおいて生成されたプログラムが性能の低い画像システムに移された場合には、同程度の精度を実現するために必要なプログラム実行速度を遅くすることができる。ここで、プログラム実行速度を遅くすることは、一般に、精度をロスすることよりも好ましい。精度のロスは、検査結果の信頼性を危うくし、予想,検出,特徴づけを困難にしてしまうからである。
【0046】
ブロック502では、にじみ限界に関する機能的限界変数(または、略して機能的限界)あるいはにじみ限界変数が決定される。ここで、機能的限界変数あるいはにじみ限界変数は、前述したような距離に関するにじみ限界であってもよいし、検査や測定に用いられるワーク画像において許容できる最大限のにじみに直接的あるいは間接的に関連するような他の変数であってもよい。例えば、機能的限界変数を、ストロボ露光時間中におけるワークステージに対するカメラの変位に対応する位置エンコーダのカウント数についての限界としてもよい。このような機能的限界は、測定精度を維持する上で有益である。他の例として、機能的限界変数を、カメラ視野の大きさに対するパーセンテージや、カメラ画素に関する変位などのような画像許容度として規定してもよい。このような機能的限界は、エッジ位置などの決定時におけるサブピクセルレベルでの補間精度を所望レベルに維持する上で有益である。
【0047】
他の例として、機能的限界変数を、画像において検査あるいは測定される特徴の大きさ許容度のパーセンテージとして規定してもよい。例えば、第1特徴の位置がX±20μmと設定され、第2の特徴の位置がX±5μmと想定される場合には、これらの情報を、要求される検査精度に関連して測定精度に大きな悪影響を与えることがない許容可能なにじみの量がどれくらいかを決定するために利用することができる。このような情報がCADファイル,デフォルト設定,ユーザの入力などを通じて取得できる場合には、にじみ限界を、例えば、設定された特徴の許容度の10%、すなわち、第1特徴について2μm、第2の特徴について0.5μmと設定することができる。このような機能的な限界は、個々の特徴測定について機能的な限界を最大限に緩和する上で有益であり、関連するワーク画像取得において許容可能な移動速度を最大限に大きくし、個々の測定における精度を所望レベルに維持しつつ検査処理量を最大限に大きくすることができる。
【0048】
以下では、機能的限界変数としてにじみ限界を採用した方法について主として述べるが、以上の通り、機能的限界変数としては、ワーク画像におけるにじみの制限に関連する他の変数も採用することができる。にじみ限界あるいは機能的限界は、ユーザによって入力されるようにしてもよいし、予め設定されているデフォルト値に合わせて自動的に設定されるようにしてもよいし、各種のシステム特性(ステージ位置の測定分解能,現在の倍率設定を考慮した、あるいは、考慮しない画素間隔など)から算出されるようにしてもよい。
【0049】
ブロック504では、画像システムの最大光パワー(例えば、最大ストロボパワー),最大ステージ速度,最小(有効)露光時間(最小ストロボ持続時間など)がロードされる。これら3つの値の全ては、画像システムにおいて設定されたハードウェア動作特性である。本実施形態では、これらの動作特性は、例えば、マシン設定ファイルやデータ,リソースファイルやデータ,プラグ・アンド・プレイコンポーネントファイルやデータなどとして、1または複数のメモリ部に記憶され、プログラム制御の下で読み出されるようになっている。画像システムの最小露光時間は、カメラまたは照明システム(例えば、ストロボ照明性能)によって規定される。例えば、連続的な照明の下、電気的または機械的なシャッターを有するカメラを露光制御用に使用してもよい。しかしながら、ストロボ露光時間は、一般に、カメラの最小露光時間よりも大幅に小さくすることができるところ、ストロボ照明の最小露光時間に比べて短い露光時間を達成できる物理的または電気的なシャッターを提供することは難しく、または、コストがかかる。さらに、連続的な照明を使用すると、余計な熱が発生するため、冷却システムを画像システムに追加的に設ける必要もある。そこで、本実施形態では、LEDストロボ照明のようなストロボ照明が露光制御用に使用することとしている。こうして、画像システムの最小露光時間は、当該画像システムにおいて使用される特定のストロボ照明システムの最小ストロボ露光時間によって規定されるようになっている。
【0050】
ブロック506では、前述した訓練モード(あるいは学習モード)において、取得される画像の各セットに対して、所望の光パワーの下で所望のエッジコントラスト,平均画像強度,グレイレベルなどを得るための十分長い適切な露光時間が決定される。通常、光パワーは最大値に設定される。これによれば、所望の画像強度レベルに対応するストロボ露光時間を最小にすることができ、定められた連続移動速度において取得される検査画像のにじみ量を最小にすることができる。そこで、本実施形態では、光パワーは、画像システムに含まれる光源の最大光パワーに設定される。適切な露光時間の決定は、手動,半自動,自動で行うことができる。例えば、所望のエッジ(境界)コントラストレベルを実現する最適な露光時間を自動で決定するためには、所望の光パワーが設定され、米国特許第6,542,180号に記載されている2領域コントラストツールが、エッジの両側を所望のコントラスト差にする露光レベルを実現するような、あるいは、その他の所望の画像特性を満足するような補完的なストロボ露光時間を割り出すためのオペレーションにおいて使用される。また、米国特許第6,627,863号に記載されている光設定方法を、所望の画像特性を実現する補完的なストロボ露光時間を割り出すためのオペレーションにおいて使用してもよい。他の例として、表示画像の観察や調整、あるいは、他の実験的手法によって、所望のグレイレベルを実現する露光時間をユーザが見出すようにしてもよい。所望のグレイレベル,エッジコントラストなどは、ユーザによって設定されてもよいし、予め規定されたデフォルトによって自動的に設定されてもよい。ともかく、理想的な状況下では、所望のエッジコントラスト,グレイレベルなどを実現するための最適な露光時間は、にじみを最小限にし、処理量を増大させるために、できる限り短く設定されることが好ましい(すなわち、ワークの各特徴を画像化する際の露光時間が短くなればなるほど、許容可能な移動速度が大きくなり、ワークの画像化を早く行うことができる)。
【0051】
ブロック508では、先に決まったにじみ限界と最適露光時間とに基づいて、カメラとワークとの運転相対速度が決定される。本実施形態では、運転相対速度の決定は、3つのステップによって行われる。第1ステップでは、にじみ限界と最適露光時間とに基づいて、相対速度が算出される(相対速度=にじみ限界/最適露光時間)。第2のステップでは、算出された相対速度が、ブロック504においてロードされた画像システムの最大ステージ速度と比較され、いずれが小さいか判断される。第3のステップでは、算出された相対速度の方が小さい場合には、これが運転相対速度に設定される。一方、最大ステージ速度の方が小さい場合には、当該最大ステージ速度が運転相対速度に設定される。この場合、例えば、算出された相対速度と最大ステージ速度との比に基づいて、光パワー設定を小さくしたり、あるいは、最適露光時間を大きくしたりしてもよい。
【0052】
ブロック510(任意)では、決定された運転相対速度および最適露光時間が、実際の運転中におけるにじみ限界変数の値の計算に用いられ、これらの両値がブロック502において決定されたにじみ限界変数の最大許容値を満足するか否かが確認される(実際のにじみ限界=運転相対速度×最適露光時間)。もしも、算出された実際のにじみ限界が、先にロードされたにじみ限界から所定量以上ずれている場合は、例えば、エラーであることがユーザに報告され、あるいは、ルーチン500が自動的にブロック502まで戻って、にじみ限界がわずかに変更され、運転相対速度および最適露光時間が再計算される。
【0053】
ブロック512では、決定された最適露光時間およびブロック506にて選択された既知/所望の光パワーレベルから、総露光エネルギーが算出される(総露光エネルギー=最適露光時間×既知の光パワー)。総露光エネルギーは、有効露光時間中に画像化されるワークの関連する部分あるいは特徴にぶつかる照明ソース(例えば、ストロボ照明)からの光子の数に関連している。この後、総露光エネルギーおよびにじみ限界は、ワーク画像取得プログラムの一部として記憶される。
【0054】
本実施形態では、特に、検査されるワークの特徴が非類似のときに、ブロック506,508,510,512が、取得される検査画像のセットの各画像(すなわち、ワークにおいて検査される特徴/部分のセットの各々)について繰り返し行われる。また、同一のにじみ限界を、同一セットにおける全ての画像について用いてもよい。また、同一セット内であっても、異なるにじみ限界を、例えば、前述した個々の特徴の許容度に基づいて、異なる検査対象特徴の画像について用いてもよい。この場合は、ブロック502が、画像のセットのそれぞれについて繰り返し行われる。
【0055】
所望のグレイレベル,エッジコントラストなど(すなわち、所望の検査精度)を実現する第1画像システムにおける画像のセットについて以上で規定された総露光エネルギーおよびにじみ限界のセットは、十分に信頼できる検査結果を提供するワーク検査画像のセットを取得するための各種の他の画像システムによっても使用可能な機械制御指示の実行可能なセットを形作っている。特に、総露光エネルギーおよびにじみ限界のセットは、運転相対速度、および、各画像システムに特有の照明制御パラメータの所望のセットを決定するために、異なる画像システムによっても使用することができ、検査精度が所望レベルにあることを裏付けるような精度の検査画像のセットを一貫して提供することができる。ここでは、高速度ということと、精度が所望レベルであるということとが両立している。前述したように、図4を参照して説明した方法は、最初のワーク画像取得プログラムまたはパートプログラムを生成する方法の一部である。その後は、プログラムに含まれる総露光エネルギーおよびにじみ限界のセットは、画像取得および検査を実行するために必要な検査イベントシーケンスのような各種の他の指示も含むワーク画像取得プログラムまたはパートプログラムの一部として異なる画像システムに伝送される。より正確には、パートプログラムがワーク画像取得指示およびワーク画像解析/検査指示の両方を含んでいるので、本実施形態では、総露光エネルギーおよびにじみ限界のセットが、ワーク画像取得指示を含むパートプログラムの一部として伝送され、当該パートプログラムが総露光エネルギーおよびにじみ限界のセットを含んでいることになる。
【0056】
図5は、最初の画像検査システム、あるいは、前述したようなパートプログラムを規定するために使用される第1(最初の)画像システムとは異なる他の(または次の)画像システムの『実行モード』において実行される方法あるいはルーチン600の一例を示すフローチャートである。詳細については後述するが、パートプログラム、あるいは、より具体的には、第1画像システムにおいて規定されたパートプログラムにおけるワーク画像取得プログラム指示は、いかなる画像システムにも自動的に順応することができる。ここで、自動順応の際には、要求されるレベルの精度と両立しうる最高速度で移動を行わせたとしても、検査精度を所望レベルに維持することができるような最適ワーク画像取得パラメータが与えられた画像システムについて算出される。
【0057】
ブロック602では、ワーク画像取得指示、すなわち、第1画像システムにおいて定義された総露光エネルギーおよびにじみ限界のセットを含む、先に定義されたパートプログラムが入力される。
【0058】
ブロック604では、ここで使用する(新たな)画像システムの最大光パワー,最大ステージ速度,最小露光時間がロードされる。図4におけるブロック504に関して説明したように、これら3つの値の全ては、画像システムのハードウェア動作特性である。本実施形態では、これらの動作特性は、例えば、マシン設定ファイルやデータ,リソースファイルやデータ,プラグ・アンド・プレイコンポーネントファイルやデータなどとして、当該画像システムにおける1または複数のメモリ部に記憶され、プログラム制御の下で読み出されるようになっている。
【0059】
ブロック606では、取得される検査画像のセットから第1、あるいは、次の画像を取得することに関連して、続くブロック608,610,612,614,616の実行指令が出される。
【0060】
ブロック608では、にじみ限界変数,総露光エネルギー,画像の取得に関連するその他の画像取得コマンドあるいはプログラム指示(例えば、移動経路指示,検査オペレーション指示)が、読み出され、あるいは、ここで決定される。これらは、全てブロック602において入力されたパートプログラムにおいて定義されている。
【0061】
ブロック610では、総露光エネルギー,既知の光パワーレベルに基づいて、ここで使用する画像システムでの画像取得のための最適露光時間が算出され、あるいは、ここで決定される(例えば、ルックアップテーブルなどを用いて)。先に概説したように、本実施形態では、ストロボ露光時間を最短にし、与えられた相対移動速度において取得される検査画像におけるにじみ量を最小にするために、光パワーレベルは最大光パワーレベルに設定される。なお、光パワーレベルは、ユーザによって所望レベルに設定されてもよいし、デフォルトによって予め設定された通りに自動的に設定されてもよい。本実施形態では、最適露光時間の算出は、3つのステップによって行われる。第1ステップでは、総露光エネルギーおよび既知の光パワーに基づいて、露光時間が算出される(露光時間=総露光エネルギー/既知の光パワー)。第2のステップでは、算出された露光時間が、ブロック604においてロードされた最小露光時間と比較され、いずれが長いか判断される。第3のステップでは、算出された露光時間の方が長い場合には、これが最適露光時間に設定される。一方、最小露光時間の方が長い場合(すなわち、算出された露光時間が、ここで使用する画像システムにおいては実現不可能な場合)には、ここで使用する画像システムの最小露光時間が最適露光時間として設定され、光パワーが、ブロック608においてロードされた総露光エネルギーを実現できるような値に調節される(再計算された光パワー=総露光エネルギー/最小露光時間)。
【0062】
ブロック612では、ここで使用する画像システムについて、ブロック608においてロードされたにじみ限界変数、および、ブロック610において決定された最適露光時間に基づいて、運転相対速度が計算され、あるいは、ここで決定される(例えば、ルックアップテーブルなどを用いて)。運転相対速度の計算は、4つのステップによって行われる。第1ステップでは、にじみ限界および最適露光時間に基づいて、相対速度が算出される(相対速度=にじみ限界/最適露光時間)。第2のステップでは、算出された相対速度が、ブロック604においてロードされた最大ステージ速度と比較され、いずれが小さいか判断される。第3のステップでは、算出された相対速度の方が小さい場合は、これが、ここで使用する画像システムの運転相対速度に設定される。一方、第4のステップでは、最大ステージ速度の方が小さい場合は、当該最大ステージ速度が運転相対速度に設定される。
【0063】
ブロック614(任意)では、ここで使用する画像システムについて決定された運転相対速度および最適露光時間から、実際の運転中におけるにじみ限界変数の値が計算され、この値がブロック608においてロードされたにじみ限界変数の最大許容値を満足するか否かが確認される(実際の運転中におけるにじみ限界変数=運転相対速度×最適露光時間)。もしも、算出された実際の運転中におけるにじみ限界変数の値が、先にロードされた許容可能なにじみ限界変数の値から所定量以上ずれている場合は、エラーであることがユーザに報告される。
【0064】
ブロック616では、画像の取得に関連する画像取得パラメータ(運転相対速度,最適露光時間,選択された光パワーレベルを含む)が、ワーク画像取得プログラム指示の一部としてメモリに記憶される。
【0065】
ブロック618では、さらなる画像取得の定義を行うか否かが決定される。YESの場合は、次の画像取得のためにブロック606に戻り、ブロック608〜616が繰り返し行われ、次の画像について画像取得パラメータが決定され、記憶される。
【0066】
ブロック618において全ての画像取得が定義されたと判定された場合(NO)は、ブロック620において、オペレーションが実行され、移動経路に沿った移動が行われるとともに、先に定義したワーク画像取得指示が画像のセット全体について実行され、検査対象のワークの画像の定義されたセットが取得されて記憶される。
【0067】
ブロック622では、取得され記憶された画像が、読み出されて解析あるいは検査される。このオペレーションは、ワークについてのパートプログラムの一部であるワーク画像解析/検査指示によって制御される。なお、ブロック620における画像の記憶と、ブロック622における画像の読み出しは、省略してもよいし、一体不可分のものとしてまとめてもよい。さらに、取得画像の解析や検査は、画像の全部のセットの取得が完了する前に始めてもよい。言い換えれば、画像を取得した直後にそのまま解析または検査するのであれば、当該画像を一旦記憶して後で読み出すという必要がなく、また、画像のセット全体の取得が完了するよりも先に、コンピュータの処理時間が利用可能なときに先に取得された画像が随時読み出されて、解析または検査されるようにしてもよい。これらの、あるいは、他のオペレーションや処理シーケンスの詳細は、先に挙げた’625出願に記載されている。
【0068】
ブロック624では、画像解析/検査の結果が、出力されて記憶される。このブロック624によってルーチン600は終了する。
【0069】
図5に示されるルーチン600は、本発明(例えば、図4に関連して概説したオペレーション)にしたがって生成されたパートプログラムを使用するどのような画像システムの『実行モード』においても行うことができる。この『実行モード』は、2種類の指示を含んでいる。すなわち、ブロック602〜618に含まれる画像取得パラメータ適合指示(あるいは、装置特有の画像取得最適化指示)と、ブロック620〜624に含まれる経路移動および解析/検査指示とである。画像取得パラメータ適合指示のおかげで、最初の画像システムにおいて生成されパートプログラムの画像取得オペレーションを左右する機能的変数が、検査される個々のワーク特徴の画像についてのにじみに関連する機能的限界に主として基づいて、使用する画像システムにおいて用いられる画像取得パラメータ指示を自動的に決定し、あるいは、適合させるために使用される。画像取得パラメータ適合指示に関連するオペレーションの後、パートプログラムによって定義される画像取得オペレーションがここで使用する画像システムについて最適化され、画像取得中の相対移動速度を要求されるレベルの精度と両立しうる最高速度としても最初の画像システムにおいて達成された精度と同レベルの検査結果が得られるような精度の高い検査画像が提供され、検査処理量を最大化することができる。それから、経路移動および解析/検査指示は、先に定義された最適化された画像取得オペレーション/パラメータを実行させ、実際に画像を取得させて解析/検査を行わせる。
【0070】
例えばストロボ持続時間によって決定された画像の有効露光時間中における動作可能な移動速度は、対応する検査画像における移動にじみ(ぼけ)の量を決定する。相対移動速度および露光時間の値を『絶対的に』パートプログラム中に定義することもできる(前述したような、これらの値を、にじみに関する機能的な限界に関連して定義するのとは反対である)。しかしながら、このようなパートプログラムは、異なる画像システムを寄せ集めてしまうと、当該寄せ集めにおける最も性能の低い画像システムの動作限界に合わせて相対移動速度および露光時間を設定するのでなければ、うまく実行されない。このため、このようなパートプログラムがどんなに性能の高い画像システムにおいて実行されたとしても、処理量は最も性能の低い画像システムのレベルに制限されてしまう。このことは、運転相対速度および最適露光時間の両方が画像のにじみに関する機能的な限界に関連して定義され、所望レベルの検査,測定精度を確保できる画像の取得をすることができるとともに、パートプログラムを使用する各画像システムの検査処理量を最適化できる本発明にしたがって生成されるパートプログラムとは対照的である。
【0071】
図6は、受け入れ可能なワーク画像を提供する第1画像システムについての各画像取得露光パラメータを決定し、ワーク検査指示のセット中の先に決定された画像取得露光パラメータに対応する画像にじみパラメータおよび露光エネルギーインジケータを記録し、ワーク検査指示において記録された画像にじみパラメータおよび露光エネルギーインジケータに基づいて、画像検査システムを用いて受け入れ可能なにじみを有する個々のワーク特徴の画像を提供する方法あるいはルーチン700の一例を示すフローチャートである。詳細については後述するが、ルーチンは、与えられた画像システムに自動的に順応することができる。自動順応は、第1画像検査システムにおいて決定されワーク画像指示に記録された画像にじみパラメータおよび露光エネルギーインジケータの変更を伴い、『ここで使用する』画像検査システムにおいて使用可能な画像露光パラメータおよび相対移動速度の組合せを提供し、受け入れ可能な画像にじみ量を有する適切に露光された画像を提供する。
【0072】
ブロック702では、第1画像システムを使用して、受け入れ可能な画像取得露光パラメータを各ワーク特徴について決定する。露光パラメータは、各ワーク特徴の適切に露光された画像を提供するための総露光エネルギーを決定する露光時間および光源パワー設定の組合せを含んでいるか、あるいは、これに対応している。これらの露光パラメータは、例えば、画像検査システムにおける学習モードにおいて決定される。総露光エネルギーを提供するパラメータの特定の組合せは、とりわけ重要なものではなく、装置特有のものである必要もない。なぜなら、これは総露光エネルギー(あるいは、総露光エネルギーを示す、または、これに対応するパラメータ)であって、特定の組合せではなく、ルーチン700における他のオペレーションにおいて使用されるパラメータとして、各ワーク特徴の画像を提供する特定の画像検査システムによって使用される画像取得露光パラメータの装置特有の組合せを決定するからである。
【0073】
一例として、ストロボ光源の光源パワー設定を、予め設定されたデフォルトパワーレベルに設定し、当該デフォルトパワーレベルと併せて各ワーク特徴の露光に用いられる露光時間を、受け入れ可能な画像結果が得られるまで露光時間を調節するユーザ(ユーザにとっては、照明レベルのコントロールと同様に簡単である)によってマニュアルで決定する。また、デフォルトパワーレベルに対する露光時間、あるいは、可変パワーレベルおよび露光時間の組合せは、米国特許第6,627,863号に開示されているプロセスと同様の半自動あるいは自動照明決定プロセスによって、自動的に決定してもよい。
【0074】
ブロック704では、ブロック702のオペレーションにおいて決定される画像取得露光パラメータに対応する総露光エネルギー(または、露光エネルギーを表すパラメータである露光エネルギーインジケータ)が、パートプログラムなどのワーク検査指示のセットに記録される。加えて、にじみパラメータ、または、画像にじみの最高レベルあるいは各特徴の検査画像における画像にじみの受け入れ可能なレベルを示す機能的変数が指示中に記録される。にじみパラメータは、総露光エネルギーまたは対応する露光エネルギーインジケータパラメータを記録するオペレーション中に記録されてもよい。また、にじみパラメータは、ブロック702の外のオペレーションによって、例えば、にじみパラメータが複数の特徴について定義された時などに記録されてもよい。にじみパラメータはオペレータによってマニュアルで決定,入力されてもよいし、半自動,自動で決定,入力されてもよい。にじみパラメータは、距離に関するにじみ限界であってもよいし、検査や測定に用いられるワーク画像における許容可能なにじみ量を関連する他の変数であってもよい。例えば、カメラの視野の大きさのパーセンテージ,カメラ画素に関する変位のような画像許容度としてにじみパラメータを設定してもよいし、画像において検査あるいは測定される特徴の大きさ許容度のパーセンテージとして設定してもよい。受け入れ可能な画像にじみの限界を規定する各種の限界を決定する方法は、前述した通り様々なものがある。
【0075】
ブロック706では、個々のワーク特徴について記録された露光エネルギーインジケータおよびにじみパラメータを含むワーク検査指示のセットが、ここで使用する画像検査システム(第1画像検査システムと異なるものでもよい)に入力され、記録された露光エネルギーインジケータおよびにじみパラメータが、ここで使用する画像検査システムにおける続くオペレーションで使用するために読み出される。
【0076】
ブロック708では、ここで使用する画像検査システムが、入力され読み出された露光エネルギーインジケータおよびにじみパラメータに基づいて、移動中において各ワーク特徴の検査画像を取得するための画像取得露光パラメータおよび画像取得速度の組合せを決定する。画像取得露光パラメータおよび画像取得速度の使用可能な組合せを決定するための原則や方法は、先に記述した通りである。一例だけ挙げれば、第1画像検査システムが、比較的高い光源パワーレベルと比較的短い露光時間の組合せから生じる各露光エネルギーを提供するように較正された値のセットを含んでいてもよい。このような値は、適切に露光された各ワークの画像を提供するように選択されてもよいし、ブロック704において記録される露光エネルギーインジケータとして用いられてもよい。さらに、ここで使用する画像検査システムは、第1画像検査システムと同様の方法で各露光エネルギーを提供できるように較正された値のセットを含んでいてもよい。このような場合、ブロック708での画像取得露光パラメータの決定は、ブロック704において記録される露光エネルギーインジケータとして使用される較正された値に対応する光源パワーレベルおよび露光時間の使用を含んでいてもよい。これらの露光パラメータとの組合せで用いられる相対移動速度は、にじみが許容可能レベルである各ワーク特徴の画像を提供できるように、露光時間パラメータに基づいて選択される。このような相対移動速度を画像露光時間に基づいて決定する上での原則は、先に記述した通りである。
【0077】
ブロック710では、ここで使用する画像検査システムが、画像取得露光パラメータおよび相対移動速度の組合せを用いて各ワーク特徴の検査画像を取得する。ここで、検査画像のにじみ量が許容可能な範囲内であるようにする。ブロック710によって、各ワーク特徴についてのルーチン700は終了する。
【0078】
当然ながら、ブロック702および704のオペレーションは、各ワーク特徴について繰り返し行われてもよいし、その間にその他の装置制御,画像解析または検査指示を(例えば、学習モードにおいて第1画像検査システムにおいてワークのためのパートプログラムを生成するために)実行してもよい。それから、パートプログラムが、ここで使用する画像検査システムにおいて実行され、ブロック706〜710のオペレーションが各ワーク特徴について繰り返し行われ、あるいは、その間にその他の装置制御,画像解析または検査指示が(例えば、実行モードにおいて、パートプログラム指示にしたがって1または複数のワークを検査するために)実行される。
【0079】
前述したように、本実施形態では、光パワーレベルが最大レベルに設定される。しかしながら、この光パワー設定は、例示に過ぎない。一般に、光パワーレベルは、画像上で実行される画像検査オペレーションの質を最大限に高めることができるレベル、あるいは、受け入れ可能な照明ソースサービスライフを提供できるレベルに、他の重要な運転上の要素も考慮した上で設定される。本実施形態では、ストロボに使用される光源は、キセノンフラッシュランプ,高輝度LED(例えば、カリフォルニア州サンノゼのLumileds Lighting(LLC)から発売されているLuxeon(商標)生産ラインにおけるLEDのいずれかや、他の適切なストロボ光源)を含んでいてもよい。また、本実施形態では、ストロボに使用される光源は、波長が略470nmである青色LEDを含んでいてもよい。しかしながら、カメラの感応範囲内の波長であれば、本実施形態で利用することができる。前述した光源220〜240は、いずれも、前述したタイプのストロボ光を使用することによって、実現することができる。
【0080】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明の思想および範囲から外れなければ、各種の変更を加えることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】本発明に基づく画像検査システムの一例を示すブロック図である。
【図2】本発明に基づく画像検査システムにおける制御システム部と画像コンポーネント部とを示す図である。
【図3】ビデオツールの一例を示す図である。
【図4】第1画像システムにおいて取得される画像のセットのそれぞれについて、画像のにじみに関する機能的な限界に関連して相対移動速度および照明制御パラメータを設定する方法の一例を示すフローチャートである。
【図5】第1画像検査システム、あるいは、パートプログラムを規定するために使用される当該第1画像システムとは異なる画像システムの『実行モード』において実行される方法の一例を示すフローチャートである。
【図6】受け入れ可能なワーク画像を提供する第1画像システムについての各画像取得露光パラメータを決定し、ワーク検査指示のセット中の先に決定された画像取得露光パラメータに対応する画像にじみパラメータおよび露光エネルギーインジケータを記録し、ワーク検査指示において記録された画像にじみパラメータおよび露光エネルギーインジケータに基づいて、画像検査システムを用いて受け入れ可能なにじみを有する個々のワーク特徴の画像を提供する方法の一例を示すフローチャートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1画像検査システムについてのワーク検査プログラムをプログラミングする方法であって、
前記画像検査システムは、少なくともカメラ,光源,ワークステージ,制御システム部を有する画像取得システムを備え、
前記ワークステージおよび前記カメラの少なくとも一方は移動可能であって、両者は互いに相対移動可能であり、
前記カメラおよび前記光源の少なくとも一方は、前記画像検査システムの最小有効露光時間を規定し、
前記方法は、
(a)各ワーク特徴の画像についての画像取得露光パラメータを決定するステップと、
(b)前記画像取得露光パラメータに対応する露光エネルギーを示す少なくとも1つのパラメータを、ワーク検査プログラムへ記録するステップと、
(c)各ワーク特徴の画像における許容可能なにじみを示す少なくとも1つのパラメータを、ワーク検査プログラムに記録するステップと
を備えることを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、
露光エネルギーを示す少なくとも1つのパラメータが、光源パワー設定および露光時間の組合せを規定する
ことを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法において、
前記第1画像検査システムは、各露光エネルギーの提供に用いられる各値のセットを備え、
前記画像取得露光パラメータを決定するステップは、各値のセットの1つを選択するステップを含み、
前記露光エネルギーを示す少なくとも1つのパラメータを記録するステップは、選択された各値のセットの1つを記録するステップを含む
ことを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項2に記載の方法において、
前記ワーク検査プログラムに記録され、許容可能な画像のにじみを示す前記少なくとも1つのパラメータは、
a)許容可能な画像のにじみを提供するために露光時間とともに使用される相対移動速度
b)露光時間中における許容可能な相対移動変位を規定する画像にじみパラメータ
のいずれか一方を含む
ことを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法において、
a)前記第1画像検査システム、および、b)前記第1画像検査システムとは異なる画像検査システム、のいずれか一方の現用画像検査システム上で前記ワーク検査プログラムを実行するステップを備え、
当該ステップは、
(i)各ワーク特徴について、前記ワーク検査プログラムに記録された露光エネルギーを示す前記少なくとも1つのパラメータを受け取るステップと、
(ii)各ワーク特徴について、前記ワーク検査プログラムに記録された許容可能な画像のにじみを示す前記少なくとも1つのパラメータを受け取るステップと、
(iii)前記許容可能な画像のにじみ以下の画像のにじみを提供するために前記現用画像検査システムについて露光時間とともに使用される光源パワー設定,露光時間,相対移動速度の実施可能な組合せを決定するステップと
のサブステップを備える
ことを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項5に記載の方法において、
光源パワー設定,露光時間,相対移動速度の前記実施可能な組合せを使用して各ワーク特徴の画像を取得するサブステップを備える
ことを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項5に記載の方法において、
前記第1画像検査システムは、画像の露光制御に使用可能な各値の第1セットを備え、当該各値は対応する較正された露光エネルギーを提供するために使用可能であり、
前記現用画像検査システムは、画像の露光制御に使用可能な各値の現用セットを備え、当該各値は対応する較正された露光エネルギーを提供するために使用可能であり、
前記第1および現用画像検査システムについての前記第1および現用セットにおいて互いに類似する値は、類似する露光エネルギーを提供するために使用可能であり、
前記ワーク検査プログラムに記録された露光エネルギーを示す前記少なくとも1つのパラメータを受け取るステップは、前記第1セットの各値のうち1つの値を受け取るステップを含み、
光源パワー設定,露光時間,相対移動速度の前記実施可能な組合せを決定するステップは、
前記現用画像検査システムにおける光源パワー設定および露光時間の組合せを決定するために、前記現用セットの各値のうち、前記第1セットから受け取った前記1つの値に最も近い1つの値を使用するステップと、
前記許容可能な画像のにじみ以下の画像のにじみを提供するために、決定された露光時間に関連して相対移動速度を決定するステップと
を含むことを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項2に記載の方法において、
前記露光時間は、a)前記カメラの集光持続時間、b)前記カメラの電気的シャッターによる露光持続時間、c)前記光源のストロボ光持続時間、のいずれか1つによって決定される
ことを特徴とする方法。
【請求項9】
第1画像検査システムについてのワークパートプログラムをプログラミングする方法であって、
前記画像検査システムは、少なくともカメラ,光源,ワークステージ,制御システム部を有する画像取得システムを備え、
前記ワークステージおよび前記カメラの少なくとも一方は移動可能であって、両者は互いに相対移動可能であり、
前記カメラおよび前記光源の少なくとも一方は、前記画像検査システムの最小有効露光時間を規定し、
前記方法は、
(a)各ワーク特徴の画像についての許容可能なにじみと関連する機能的限界を決定するステップと、
(b)設定された光パワーレベルの下で前記各ワーク特徴の画像を取得するための最適露光時間を決定するステップと、
(c)前記機能的限界および前記最適露光時間に基づいて前記カメラと前記ワークステージとの運転相対速度を算出するステップと、
(d)前記各ワーク特徴の画像を取得するために、前記機能的限界、および、前記露光時間と前記光パワーレベルとの積を示す少なくとも1つのパラメータを、ワークパートプログラムに記録するステップと
を備えることを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法において、
前記機能的限界は、にじみ限界である
ことを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項9に記載の方法において、
前記ステップ(b)では、所望のグレイレベルおよび所望のエッジコントラストの少なくとも一方が実現されるように最適露光時間が決定される
ことを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項9に記載の方法において、
前記パートプログラムは、当該パートプログラムの実行時間の少なくとも一部において前記カメラと前記ワークステージとの連続相対移動を制御する移動指示を含む
ことを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項9に記載の方法において、
前記第1画像検査システムとは異なる第2画像検査システム上で前記パートプログラムを実行するステップを備え、
当該ステップは、
(i)最大光パワー,最大相対移動速度,前記第2画像検査システムにおける光源の最小有効露光時間を受け取るステップと、
(ii)前記パートプログラムから、前記機能的限界、および、前記露光時間と前記光パワーレベルとの積を示す少なくとも1つのパラメータを受け取るステップと、
(iii)前記露光時間と前記光パワーレベルとの積を示す少なくとも1つのパラメータ、および、前記第2画像検査システムについて選択された光パワーレベルに基づいて、前記第2画像検査システムを使用して前記各ワーク特徴の画像を取得するための最適露光時間を算出するステップと、
(iv)前記第2画像検査システムにおける前記機能的限界および前記最適露光時間に基づいて、前記第2画像検査システムを使用して前記各ワーク特徴の画像を取得するための運転相対速度を算出するステップと
のサブステップを備える
ことを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法において、
前記サブステップ(iii)では、前記第2画像検査システムの前記最大光パワーが、前記光パワーレベルとして設定される
ことを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項13に記載の方法において、
前記第2画像検査システムについての最適露光時間を算出する前記サブステップ(iii)は、
(1)前記露光時間と前記光パワーレベルとの積を示す少なくとも1つのパラメータ、および、前記第2画像検査システムについて選択された光パワーレベルに基づいて、露光時間を算出するステップと、
(2)算出された露光時間を、前記第2画像検査システムにおける前記光源の前記最小有効露光時間と比較し、いずれが長いかを判断するステップと、
(3)算出された露光時間の方が長い場合には、これを前記最適露光時間として設定するステップと、
(4)前記最小有効露光時間の方が長い場合には、これを前記最適露光時間として設定し、a)前記露光時間と前記光パワーレベルとの積を示す前記少なくとも1つのパラメータ、および、前記最小有効露光時間に基づいて前記光パワーレベルを算出するステップ、および、b)前記機能的限界および前記最小有効露光時間に基づいて前記運転相対速度を再度算出するステップ、の少なくとも一方を実行するステップと
のサブステップを含む
ことを特徴とする方法。
【請求項16】
請求項13に記載の方法において、
運転相対速度を算出する前記サブステップ(iv)は、
(1)前記機能的限界および前記最適露光時間に基づいて相対速度を算出するステップと、
(2)算出された相対速度を、前記第2画像検査システムにおける前記最大相対移動速度と比較し、いずれが小さいかを判断するステップと、
(3)算出された相対速度の方が小さい場合には、これを前記運転相対速度として設定するステップと、
(4)前記最大相対移動速度の方が小さい場合には、これを前記運転相対速度として設定し、前記機能的限界および前記最大相対移動速度に基づいて前記最適露光時間を再度算出し、前記露光時間と前記光パワーレベルとの積を示す前記少なくとも1つのパラメータ、および、再度算出された最適露光時間に基づいて前記光パワーレベルを算出するステップと
のサブステップを含む
ことを特徴とする方法。
【請求項17】
請求項9に記載の方法において、
少なくとも前記ステップ(b)から(d)は、各ワーク特徴に対応するワーク検査画像の各セットについて繰り返し行われる
ことを特徴とする方法。
【請求項18】
ワーク検査用の画像検査システムにおける制御システム部にロードされるコンピュータによって実行可能な指示を格納しているコンピュータによって読み取り可能な媒体であって、
前記画像検査システムは、少なくともカメラ,光源,ワークステージ,制御システム部を有する画像取得システムを備え、
前記ワークステージおよび前記カメラの少なくとも一方は移動可能であって、両者は互いに相対移動可能であり、
前記カメラおよび前記光源の少なくとも一方の制御によって、前記画像検査システムの有効露光時間が規定され、
前記コンピュータによって実行可能な指示は、各ワーク特徴の画像についての許容可能な画像取得露光パラメータに対応する露光エネルギーを示す少なくとも1つのパラメータと、各ワーク特徴の画像における許容可能なにじみを示す少なくとも1つのパラメータとを含み、
前記コンピュータによって実行可能な指示が、前記制御システム部において実行するオペレーションは、
(i)各ワーク特徴について、前記コンピュータによって実行可能な指示に記録された露光エネルギーを示す前記少なくとも1つのパラメータを受け取るステップと、
(ii)各ワーク特徴について、前記コンピュータによって実行可能な指示に記録された許容可能な画像のにじみを示す前記少なくとも1つのパラメータを受け取るステップと、
(iii)前記許容可能な画像のにじみ以下の画像のにじみを有する各ワーク特徴の画像を提供するために前記画像検査システムについて露光時間とともに使用される光源パワー設定,露光時間,相対移動速度の実施可能な組合せを決定するステップと
を含むことを特徴とする媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−133224(P2006−133224A)
【公開日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−306886(P2005−306886)
【出願日】平成17年10月21日(2005.10.21)
【出願人】(000137694)株式会社ミツトヨ (979)
【Fターム(参考)】