説明

アクセス制御装置、無線IP電話システム、及びアクセス制御方法

【課題】無線APのリソース状態に応じた呼制御を行う。
【解決手段】無線IP電話システムにおけるアクセス制御装置において、端末から無線APへの接続を契機として、前記端末の下位レイヤ識別情報と無線AP識別情報とを含む登録要求を受信し、当該無線AP識別情報を前記下位レイヤ識別情報に対応付けて登録する手段と、前記端末の呼制御で用いられる上位レイヤ識別情報と前記下位レイヤ識別情報とを含む登録要求をVoIP呼制御手段から受信し、上位レイヤ識別情報を下位レイヤ識別情報に対応付けて登録する手段と、呼接続要求を受信したVoIP呼制御手段からリソース状態の問い合わせを受信し、当該問い合わせに含まれる上位レイヤ識別情報に基づき前記無線APを検出し、当該無線APが輻輳状態にあるか否かの判定結果を取得し、輻輳状態にある場合に前記無線APが輻輳中であることを通知する手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は無線LAN技術を用いた無線IP電話システムに関し、特に、無線LANアクセスポイント毎に輻輳制御を行う無線IP電話システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
図1に従来の無線IP電話システムの構成例を示す。図1に示すように、この無線IP電話システムは、複数の無線LANアクセスポイント(以下、無線APと呼ぶ)、複数の無線APを管理する無線LANスイッチ、IP電話の呼制御を行うSIPサーバを含む。また、無線APの配下には無線VoIP端末等の端末が存在し、無線APと接続する。このシステムでは、SIPに基づく呼接続処理により、端末間で音声チャネルが確立され、RTPによる音声通信が行われる。
【0003】
無線LANスイッチは、端末と無線APとの間のハンドオーバをサポートする機能、端末から無線APへの接続を分散させる機能等を備えており、これにより高速なハンドオーバや、帯域が不足している無線APを回避して帯域に余裕のある無線APへの接続を行うことなどが可能である(例えば、非特許文献1参照)。
【非特許文献1】日経コミュニケーション、pp.96〜103、日経BP社 2005.7.15
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の無線IP電話システムには次のような問題がある。
【0005】
例えば図1のシステムにおける無線AP10に多数の端末が接続され、無線AP10にて限界に近い無線APリソースが利用されている状態において、無線AP10の配下に存在しているが未だ呼接続がなされていない端末1に対する新たな呼接続要求が端末2から発信されたものとする。
【0006】
一般に無線APにおける各接続端末に対するリソース配分は、サービス品質(QoS)の保証がないベストエフォート型であるため、呼接続処理の中で無線AP10に端末1の呼に対するリソースが割り当てられ、端末1と発信元端末2間で音声チャネルが確立され、音声通信が行われる。
【0007】
しかし、無線AP10は端末1の接続前の時点で限界に近い無線APリソースを利用していたたため、端末1が接続したことにより、無線AP10のリソースは更に消費され、無線AP10は輻輳状態となる。これにより、端末1において良い音声品質が得られないばかりでなく、もともと無線AP10に接続していた全端末における音声品質が低下し、雑音、音抜けの発生、通信断等が発生する。
【0008】
このように従来の無線IP電話システムでは、無線AP配下の端末に対して呼接続要求があった場合、その無線APが混雑状態であっても、その端末に対して呼が確立してしまい、無線AP配下の全端末に対して悪影響を及ぼすという問題があった。
【0009】
また、従来の無線LANスイッチと無線APからなるシステムにおいて、無線APで収容可能な呼数を制限する技術はあるが、アプリケーションレイヤ(例えばSIPによる呼制御を実行するレイヤ)での制御を行うことができないため、発信元端末が呼接続に失敗した場合に、発信元端末は着信先端末もしくは無線APのどちらが原因で呼接続が失敗したか等を把握できない。このように、従来のシステムではアプリケーションレイヤでの柔軟な対応が実現できなかった。
【0010】
更に、従来の無線IP電話システムでは、通話中の端末に対する無線APの輻輳管理・制御を行うことができないので、端末が、接続中の無線APの配下から別の無線APの配下にハンドオーバする際に、別の無線APが限界に近い無線APリソースを利用していた場合であっても、別の無線APはハンドオーバしてきた端末の接続を受け付ける。従って、この端末を受け付けた別の無線APでは、図1に示す端末2からの着信を受け付けた無線APと同様の問題が発生する。つまり、ハンドオーバ先の無線APを利用している端末の呼の通話品質が低下したり、不通状態等が発生する。また、ハンドオーバした端末が不通状態になった場合に、通信相手端末はその端末がどのような状態にあるかを知ることができないため、不通状態となった通話を切断してよいかどうか判断できず、不要な待機状態が発生してしまうという問題もある。
【0011】
また、無線APが隣接して複数配置されている環境では、ある無線APが輻輳していても、隣接する無線APでは輻輳していない場合があり、ある無線APが輻輳中の場合に、それを検知し、隣接する無線APを利用して通信を継続したいという要求がある。
【0012】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、上記従来技術の問題を解消し、無線APのリソース状態に応じた制御を行うための技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の課題は、無線APとVoIP呼制御手段とを有する無線IP電話システムにおけるアクセス制御装置であって、端末から前記無線APへ接続がなされたことを契機として、データリンク層における前記端末の識別情報である下位レイヤ識別情報と無線AP識別情報とを含む端末登録要求を前記無線APから受信し、当該無線AP識別情報を前記下位レイヤ識別情報に対応付けて記憶手段に登録する下位レイヤ登録手段と、前記端末の呼制御で用いられる識別情報である上位レイヤ識別情報と前記下位レイヤ識別情報とを含む端末登録要求を前記VoIP呼制御手段から受信し、当該上位レイヤ識別情報を前記下位レイヤ識別情報に対応付けて前記記憶手段に登録する上位レイヤ登録手段と、前記端末への着信または前記端末からの発信に係る呼接続要求を受信した前記VoIP呼制御手段からリソース状態の問い合わせを受信し、当該問い合わせに含まれる前記端末の上位レイヤ識別情報に基づき前記記憶手段を検索して前記端末を収容する前記無線APを検出し、当該無線APが輻輳状態にあるか否かの判定結果を取得し、輻輳状態にある場合に前記無線APが輻輳中であることを前記VoIP呼制御手段に通知する通知手段とを有することを特徴とするアクセス制御装置により解決できる。なお、上位レイヤ識別情報を下位レイヤ識別情報に対応付けて記憶手段に登録することは、予め記憶手段に格納されている上位レイヤ識別情報と下位レイヤ識別情報とに対応付けて当該上位レイヤ識別情報が登録状態になったことを示す情報を記録することも含むものとする。
【0014】
前記アクセス制御装置の記憶手段は、前記無線AP識別情報と前記無線APのリソース上限値と前記無線APで使用中のリソース量とを対応付けて格納しており、前記通知手段は前記無線APのリソース上限値及び使用中リソース量と、前記リソース状態の問い合わせに含まれる前記端末に対する必要リソース量とに基づき前記無線APが輻輳状態にあるか否かを判定する判定手段を含むこととしてもよい。
【0015】
また、本発明は、前記アクセス制御装置と前記VoIP呼制御手段とを有する無線IP電話システムであって、前記VoIP呼制御手段は、前記リソース状態の問い合わせに対する応答として前記無線APが輻輳中である旨の通知を前記アクセス制御装置から受信した場合に、前記呼接続要求を保留させ、当該呼接続要求を送信した端末に対して通信路が輻輳中であることを通知し、前記無線APが輻輳状態から回復した旨の通知を前記アクセス制御装置から受信したことを契機として、着信先端末への呼接続を行う呼制御手段を有することを特徴とする無線IP電話システムとして構成することもできる。
【0016】
本発明は、無線APとVoIP呼制御手段とアクセス制御装置とを有する無線IP電話システムにおけるアクセス制御方法であって、前記アクセス制御装置が、端末から前記無線APへ接続がなされたことを契機として、データリンク層における前記端末の識別情報である下位レイヤ識別情報と無線AP識別情報とを含む端末登録要求を前記無線APから受信し、当該無線AP識別情報を前記下位レイヤ識別情報に対応付けて記憶手段に登録する下位レイヤ登録ステップと、前記アクセス制御装置が、前記端末の呼制御で用いられる識別情報である上位レイヤ識別情報と前記下位レイヤ識別情報とを含む端末登録要求を前記VoIP呼制御手段から受信し、当該上位レイヤ識別情報を前記下位レイヤ識別情報に対応付けて前記記憶手段に登録する上位レイヤ登録ステップと、前記VoIP呼制御手段が、前記端末への着信または前記端末からの発信に係る呼接続要求を受信し、当該端末の呼に対して必要なリソース状態の問い合わせを前記アクセス制御装置に送信するリソース状態問い合わせステップと、前記アクセス制御装置が、前記問い合わせに含まれる前記端末の上位レイヤ識別情報に基づき前記記憶手段を検索して前記端末を収容する前記無線APを検出し、当該無線APが輻輳状態にあるか否かの判定結果を取得し、輻輳状態にある場合に前記無線APが輻輳中であることを前記VoIP呼制御手段に通知する通知ステップと、前記VoIP呼制御手段が、前記無線APが輻輳中であることに応じた呼制御を実行する呼制御ステップとを有することを特徴とするアクセス制御方法として構成することもできる。
【0017】
また、本発明は、複数の無線APとVoIP呼制御手段とを有する無線IP電話システムにおけるアクセス制御装置であって、端末からある無線APへ接続がなされたことを契機として、データリンク層における前記端末の識別情報である下位レイヤ識別情報と無線AP識別情報とを含む端末登録要求を前記無線APから受信し、当該無線APの識別情報を前記下位レイヤ識別情報に対応付けて記憶手段に登録する下位レイヤ登録手段と、前記端末の呼制御で用いられる識別情報である上位レイヤ識別情報と前記下位レイヤ識別情報とを含む端末登録要求を前記VoIP呼制御手段から受信し、当該上位レイヤ識別情報を下位レイヤ識別情報に対応付けて前記記憶手段に登録する上位レイヤ登録手段と、前記端末への着信または前記端末からの発信に係る呼接続要求を受信した前記VoIP呼制御手段からのリソース予約要求を契機として、当該要求に含まれる前記端末の上位レイヤ識別情報に基づき前記記憶手段を検索して前記端末を収容する前記無線APを検出し、前記無線APにおける前記端末に対する通信リソースの割り当て制御を行うリソース制御手段とを有し、前記VoIP呼制御手段により前記端末と相手端末間での呼接続が行われ、前記端末が前記相手端末と通信中の状態において、前記端末が、接続中の無線APの配下から、他の無線APである移動先無線APの配下に移動した場合に、前記端末から前記移動先無線APへ接続がなされたことを契機として、前記下位レイヤ登録手段は、前記端末の下位レイヤ識別情報と前記移動先無線APの識別情報とを含む端末登録要求を前記移動先無線APから受信し、当該移動先無線APの識別情報を前記下位レイヤ識別情報及び前記上位レイヤ識別情報に対応付けて前記記憶手段に登録し、前記リソース制御手段は、前記VoIP呼制御手段からの要求を受けることなく、前記無線APにおいて前記端末に対して割り当てられていたリソースを解放し、前記移動先無線APが輻輳状態でない場合に、当該移動先無線APにおいて前記端末に対する通信リソースの確保を行うことを特徴とするアクセス制御装置として構成することもできる。
【0018】
前記リソース制御手段は、前記移動先無線APにおけるリソースの確保を行う前に、前記移動先無線APが輻輳状態にあるか否かの判定結果を取得し、当該移動先無線APが輻輳状態にある場合に、前記アクセス制御装置は、前記端末との無線リンク切断要求を前記移動先無線APに送信するようにしてもよい。
【0019】
この構成において、前記無線リンク切断要求を受信した移動先無線APから無線リンク切断指示を受信した前記端末が、他の無線APへの接続を行ったことを契機として、前記下位レイヤ登録手段は、前記他の無線APの識別情報を前記下位レイヤ識別情報及び前記上位レイヤ識別情報に対応付けて前記記憶手段に登録し、前記リソース制御手段は、前記他の無線APが輻輳状態でない場合に、前記他の無線APにおいて前記端末に対するリソースの確保を行うことができる。
【0020】
また、前記アクセス制御装置は、前記端末が接続する無線APが輻輳状態にあるためにリソース確保に失敗した回数を保持し、その回数と所定の回数とを比較し、リソース確保に失敗した回数が前記所定の回数に達していない場合に、リソース確保に失敗した無線APに無線リンク切断要求を送信し、リソース確保に失敗した回数が前記所定の回数に達している場合には、ハンドオーバ失敗通知を前記VoIP呼制御装置に送信するようにしてもよい。
【0021】
上記アクセス制御装置と前記VoIP呼制御手段とを有する無線IP電話システムにおいて、前記VoIP呼制御手段は、前記ハンドオーバ失敗通知を前記アクセス制御装置から受信した場合に、前記相手端末に対する呼制御を行うようにしてもよい。
【0022】
また、本発明は、複数の無線APとVoIP呼制御手段とアクセス制御装置とを有する無線IP電話システムにおけるアクセス制御方法であって、前記アクセス制御装置が、端末からある無線APへ接続がなされたことを契機として、データリンク層における前記端末の識別情報である下位レイヤ識別情報と無線AP識別情報とを含む端末登録要求を前記無線APから受信し、当該無線APの識別情報を前記下位レイヤ識別情報に対応付けて記憶手段に登録する下位レイヤ登録ステップと、前記アクセス制御装置が、前記端末の呼制御で用いられる識別情報である上位レイヤ識別情報と前記下位レイヤ識別情報とを含む端末登録要求を前記VoIP呼制御手段から受信し、当該上位レイヤ識別情報を下位レイヤ識別情報に対応付けて前記記憶手段に登録する上位レイヤ登録ステップと、前記VoIP呼制御手段が、前記端末への着信または前記端末からの発信に係る呼接続要求を受信し、リソース予約要求を前記アクセス制御装置に送信するステップと、前記アクセス制御装置が、前記リソース予約要求を受信したことを契機として、当該要求に含まれる前記端末の上位レイヤ識別情報に基づき前記記憶手段を検索して前記端末を収容する前記無線APを検出し、前記無線APにおける前記端末に対する通信リソースの割り当て制御を行うリソース制御ステップとを有し、前記VoIP呼制御手段が前記端末と相手端末間での呼接続処理を行い、前記端末が前記相手端末と通信中の状態において、前記端末が、接続中の無線APの配下から、他の無線APである移動先無線APの配下に移動した場合に、前記端末から前記移動先無線APへ接続がなされたことを契機として、前記移動先無線APは、前記端末の下位レイヤ識別情報と前記移動先無線APの識別情報とを含む端末登録要求を前記アクセス制御装置に送信し、前記端末登録要求を受信した前記アクセス制御装置は、前記移動先無線APの識別情報を前記下位レイヤ識別情報及び前記上位レイヤ識別情報に対応付けて前記記憶手段に登録し、前記VoIP呼制御手段からの要求を受けることなく、前記無線APにおいて前記端末に対して割り当てられていた通信リソースを解放し、前記移動先無線APが輻輳状態でない場合に、前記移動先無線APにおいて前記端末に対する通信リソースの確保を行うことを特徴とするアクセス制御方法として構成することもできる。
【0023】
また、本発明は、複数の無線APとVoIP呼制御手段とを有する無線IP電話システムにおけるアクセス制御装置であって、端末からある無線APへ接続がなされたことを契機として、データリンク層における前記端末の識別情報である下位レイヤ識別情報と無線AP識別情報とを含む端末登録要求を前記無線APから受信し、当該無線APの識別情報を前記下位レイヤ識別情報に対応付けて記憶手段に登録する下位レイヤ登録手段と、前記端末の呼制御で用いられる識別情報である上位レイヤ識別情報と前記下位レイヤ識別情報とを含む端末登録要求を前記VoIP呼制御手段から受信し、当該上位レイヤ識別情報を下位レイヤ識別情報に対応付けて前記記憶手段に登録する上位レイヤ登録手段と、前記端末への着信または前記端末からの発信に係る呼接続要求を受信した前記VoIP呼制御手段から当該端末に対するリソース予約要求を受信し、当該要求に含まれる前記端末の上位レイヤ識別情報に基づき前記記憶手段を検索して前記端末を収容する前記無線APを検出し、当該無線APが輻輳状態にあるか否かの判定結果を取得するリソース判定手段とを有し、前記無線APが輻輳状態である場合に、前記アクセス制御装置は、前記端末との無線リンク切断要求を前記無線APに送信し、前記無線リンク切断要求を受信した前記無線APから無線リンク切断指示を受信した前記端末が他の無線APへの接続を行ったことを契機として、前記下位レイヤ登録手段は、前記他の無線APの識別情報を前記下位レイヤ識別情報及び前記上位レイヤ識別情報に対応付けて前記記憶手段に登録することを特徴とするアクセス制御装置として構成してもよい。
【0024】
前記呼接続要求が、相手端末から前記端末への着信に係るものである場合に、前記リソース判定手段は、前記他の無線APが輻輳状態にあるか否かの判定結果を取得し、前記他の無線APが輻輳状態にない場合に、前記アクセス制御装置は、前記VoIP呼制御手段に、リソース予約に成功したことを示すメッセージを送信するように構成できる。
【0025】
前記アクセス制御装置と前記VoIP呼制御手段とを有する無線IP電話システムにおいて、前記VoIP呼制御手段は、前記リソース予約に成功したことを示すメッセージを受信したことに応じて、前記呼接続要求に基づく呼接続処理を継続することができる。
【0026】
また、前記アクセス制御装置と前記VoIP呼制御手段とを有する無線IP電話において、前記呼接続要求が前記端末から相手端末への発信に係るものである場合に、前記リソース判定手段は、前記他の無線APが輻輳状態にあるか否かの判定結果を取得し、前記他の無線APが輻輳状態にない場合に、前記VoIP呼制御手段は、前記端末から再度受信する呼接続要求に基づき、前記端末と前記相手端末との間の呼接続処理を行うように構成することができる。
また、前記アクセス制御装置は、前記端末が接続した無線APが輻輳状態にあるためにリソース予約に失敗した回数を保持し、その回数と所定の回数とを比較し、リソース予約に失敗した回数が前記所定の回数に達していない場合に、リソース予約に失敗した無線APに無線リンク切断要求を送信し、リソース予約に失敗した回数が前記所定の回数に達している場合には、無線APが輻輳状態にあることを示すメッセージを前記VoIP呼制御装置に送信するように構成してもよい。
【0027】
また、本発明は、複数の無線APとVoIP呼制御手段とアクセス制御装置とを有する無線IP電話システムにおけるアクセス制御方法であって、前記アクセス制御装置が、端末からある無線APへ接続がなされたことを契機として、データリンク層における前記端末の識別情報である下位レイヤ識別情報と無線AP識別情報とを含む端末登録要求を前記無線APから受信し、当該無線APの識別情報を前記下位レイヤ識別情報に対応付けて記憶手段に登録する下位レイヤ登録ステップと、前記アクセス制御装置が、前記端末の呼制御で用いられる識別情報である上位レイヤ識別情報と前記下位レイヤ識別情報とを含む端末登録要求を前記VoIP呼制御手段から受信し、当該上位レイヤ識別情報を下位レイヤ識別情報に対応付けて前記記憶手段に登録する上位レイヤ登録ステップと、前記VoIP呼制御手段が、前記端末への着信または前記端末からの発信に係る呼接続要求を受信するステップと、前記アクセス制御装置が、前記VoIP呼制御手段から前記端末に対するリソース予約要求を受信し、当該要求に含まれる前記端末の上位レイヤ識別情報に基づき前記記憶手段を検索して前記端末を収容する前記無線APを検出し、当該無線APが輻輳状態にあるか否かの判定結果を取得するリソース判定ステップと、前記無線APが輻輳状態である場合に、前記アクセス制御装置が、前記端末との無線リンク切断要求を前記無線APに送信するステップと、前記無線リンク切断要求を受信した前記無線APから無線リンク切断指示を受信した前記端末が他の無線APへの接続を行ったことを契機として、前記アクセス制御装置が、前記他の無線APの識別情報を前記下位レイヤ識別情報及び前記上位レイヤ識別情報に対応付けて前記記憶手段に登録するステップとを有することを特徴とするアクセス制御方法として構成してもよい。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、データリンク層における端末の識別情報である下位レイヤ識別情報に基づき無線AP識別情報と端末の呼制御で用いられる識別情報である上位レイヤ識別情報とを対応付けて登録するので、呼制御で用いられる上位レイヤ識別情報に基づき対象端末を収容する無線APを検出できるので、その無線APのリソース状態に応じて当該上位レイヤ識別情報に対応する端末の呼制御を実現できる。よって、無線AP配下の端末に対して呼接続要求があった場合、その無線APが混雑状態であれば、その端末に対して呼を確立させずに例えば発信端末に対してビジーを送信する等といったアプリケーションレイヤでの柔軟な対応が可能となり、無線AP配下の全端末に対して悪影響を及ぼすという従来技術の問題が解消される。
【0029】
また、アプリケーションレイヤでの柔軟な対応が可能となるため、例えば、呼接続に失敗した発信元端末に対して、呼接続失敗の原因通知、呼の転送、輻輳回復後の呼接続等の様々な対応をとることが可能となる。
【0030】
また、本発明によれば、通話中の端末に対する無線APの輻輳管理・制御を行いながらハンドオーバを実施することが可能となり、ハンドオーバに関する従来技術の問題が解消される。
【0031】
また、本発明によれば、無線APが隣接して複数配置されている環境において、接続した無線APが輻輳していても、隣接する無線APが輻輳していない場合には、隣接する無線APを利用して通信を継続することが可能となる。また、これにより、呼の成功確率を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0033】
<第1の実施の形態>
(システム概要)
図2に、本発明の第1の実施の形態におけるシステムの一例を示す。図2に示すシステムは、図1に示したシステムにアクセスコントローラ30が付加されたものである。なお、アクセスコントローラ30は、図2における無線LANスイッチに替えて、もしくは無線LANスイッチ内に備えることも可能である。
【0034】
図2のシステムにおけるアクセスコントローラ30は、無線AP毎に端末毎のリソースの割り当て状態を管理する機能を有している。SIPサーバ40はVoIP通信の発生に応じてアクセスコントローラにリソース状態を問い合わせ、リソース状態に応じた呼制御を行う機能を有している。
【0035】
図3を用いて本実施の形態のシステムの動作概要を説明する。図3において、無線AP10は輻輳状態であり、端末1が無線AP10配下にあるが未だ呼接続はされていないものとする。このような状態で、発信元の端末2から端末1に対する呼接続要求がSIPサーバ40に送信されると(ステップA)、SIPサーバ40はアクセスコントローラ30に、着信先端末である端末1の呼のためのリソース状態を問い合わせる(ステップB)。アクセスコントローラ30は、無線AP10が輻輳状態であり、無線AP10において端末1に対するリソースの割り当てができないことをSIPサーバ40に通知する(ステップC)。SIPサーバ40はこの通知を受信し、ステップAの呼接続要求に対する応答として、発信元の端末2に対してビジーを送信する(ステップD)。
【0036】
このように本実施形態では、無線APが輻輳状態にある場合には新たな呼接続がなされないため、新規の呼接続によりもたらされる無線APに接続されている端末に対する音声劣化等の悪影響を防止できる。なお、輻輳時におけるSIPサーバ40の処理としてビジー返却を説明したが、これは一例に過ぎず、他にも様々な処理が可能である。
【0037】
(システムの動作詳細)
次に、本実施の形態のシステムの動作をシーケンス図を参照して詳細に説明する。各シーケンス図では、各装置内に保持されるデータの構造を適宜示している。また、シーケンス図中にレジストラとSIPサーバが示されているが、これらは別々の装置であってもよいし、SIPサーバ内にレジストラが含まれる構成でもよい。このレジストラは一般的なSIPに基づくレジストラの機能と同様の機能を有している。また、各シーケンス中、MSIDは端末のMACアドレスを示し、APIDは無線APのIDを示し、URIはSIP−URIを示す。
【0038】
まず、図4を参照してVoIP端末1(以下、端末1と呼ぶ)をアクセスコントローラに登録するためのシーケンスを説明する。図4に示す登録処理は、例えば端末1の電源が入れられたときに自動的に行われるものである。また、図4に示す時点においてSIPサーバにアクセスコントローラが登録されており、アクセスコントローラとSIPサーバ間でSIPに基づくメッセージ送受信が可能となっている。
【0039】
図4のステップ1において、端末1と無線AP間で無線LANにおける無線リンク接続処理及び認証処理等が行われる。ここで、無線APは端末1のMACアドレス(MSID)を取得し、登録する(ステップ2)。無線APは無線APのID(AP01)と端末1のMACアドレス(MS01)とを含む端末登録リクエストをアクセスコントローラに対して送信する(ステップ3)。アクセスコントローラは無線APから受信した無線APのID(AP01)と端末1のMACアドレス(MS01)とを記憶装置に格納することにより登録する(ステップ4)。そして、アクセスコントローラは無線APに対して端末登録レスポンスを返す(ステップ5)。
【0040】
ステップ6において、端末1はレジストラに対してSIPのレジスタメッセージを送信する。送信するメッセージにはMS01と端末1のURI(URI1)が含まれる。レジストラは通常のレジスタ処理を行うとともに、MS01とURI1とを含むURI登録リクエストをアクセスコントローラに送信する(ステップ7)。アクセスコントローラはURI1をAP01及びMS01と対応付けて格納することによりURIの有効化を行い(ステップ8)、URI登録レスポンスをレジストラに送信する(ステップ9)。そして、レジストラはステップ6のレジスタメッセージの応答を端末1に返す(ステップ10)。
【0041】
なお、ここで説明する例では、端末のMACアドレスとURIとをシーケンスの中でアクセスコントローラに格納しているが、予めこれらのデータをアクセスコントローラに格納しておき、状態変化のみを記録することとしてもよい。この場合、例えば、ステップ4において予め登録されているMS01に対応付けてAP01が記録され、ステップ8においてAP01、MS01、URI1に対応付けてURI1が有効になった旨の情報が記録される。他の実施の形態でも同様である。
【0042】
次に、図5を参照してアクセスコントローラから登録された端末1を削除する処理について説明する。図5に示す処理は、例えば端末1の電源を切る際に実行されるものである。
【0043】
図5のステップ1において、端末1は登録削除命令を含むレジスタメッセージをレジストラに送信する。レジストラはアクセスコントローラに対してURI削除リクエストを送信し(ステップ2)、これを受信したアクセスコントローラはデータベースからURI1を削除することによりURIを無効化する(ステップ3)。アクセスコントローラはURI削除レスポンスを返し(ステップ4)、レジストラは端末1に対して応答を返す(ステップ5)。
【0044】
ステップ6において、端末1は無線APから離脱する(無線APとの無線リンクを切断する)場合における無線LANの処理を実行し、これを受けて無線APはMSIDを削除するとともに(ステップ7)、端末削除リクエストをアクセスコントローラに送信し(ステップ8)、これを受信したアクセスコントローラはデータベースからAP01とMS01を削除し(ステップ9)、端末削除レスポンスを無線APに返す(ステップ10)。
【0045】
次に、図6〜図8を参照して、輻輳状態に無い無線AP配下の端末1に端末2から着信要求がなされた場合の動作について説明する。
【0046】
発信元の端末2が呼接続要求(INVITE)をSIPサーバに送信する(ステップ1)。INVITEを受信したSIPサーバは、発信元端末URI(URI2)と着信先端末URI(URI1)と必要帯域幅とを含むQoS予約リクエストをアクセスコントローラに送信する(ステップ2)。アクセスコントローラは着信先URI1に基づきデータベースを検索し、端末1を配下に持つ無線APを抽出する(ステップ3)。そして、その無線APに対してMS01と必要帯域幅とを含むQoS予約リクエストを送信する(ステップ4)。無線APは端末1に対して帯域を予約し(ステップ5)、QoS予約レスポンスをアクセスコントローラに返し(ステップ6)、アクセスコントローラはQoS予約レスポンスをSIPサーバに返す(ステップ7)。その後、通常のSIPに基づくシーケンスが実行される(ステップ8〜ステップ12)。
【0047】
なお、本例では無線APが帯域を管理し、帯域予約/確保を行うこととしているが、アクセスコントローラに、無線APの帯域を管理し、帯域予約/確保等のリソース制御を行う機能を持たせてもよい。この場合、無線APとアクセスコントローラ間での帯域予約/確保/解放等に関するメッセージの送受信はなされず、アクセスコントローラ内で帯域予約/確保/解放等のリソース管理がなされる。他の実施の形態でも同様である。
【0048】
無線APはタイマ監視をしており、所定の時間内に次のメッセージ(ステップ16)を受信しなければステップで確保した帯域を解放する(図7のステップ13)。
【0049】
ACKの送受信(図6のステップ11、12)を行ったSIPサーバは端末1と端末2間の呼を話中呼として管理している。また、この時点で端末1、2間の帯域幅が決定することから、図7のステップ14において、SIPサーバはQoS確保リクエストをアクセスコントローラに送信する。その後は、QoS予約リクエストのシーケンス(図6のステップ3〜ステップ7)と同じシーケンス(図7のステップ15〜ステップ19)によって無線APでの帯域(リソース)確保がなされ、端末1、2間での音声通信が実行される(ステップ20)。
【0050】
図8は、図7のステップ20の後、端末2から呼切断が行われる場合の処理を示すシーケンス図である。ステップ21〜ステップ24において、通常のSIPによる処理が行われることにより、SIPサーバは呼を切断する。ステップ25において、SIPサーバはQoS解放リクエストをアクセスコントローラに送信する。アクセスコントローラは該当の無線APを抽出し(ステップ26)、QoS解放リクエストを無線APに送信する(ステップ27)。無線APは今までMS01に対して確保していた帯域を解放し(ステップ28)、QoS解放レスポンスをアクセスコントローラに返し(ステップ29)、アクセスコントローラはQoS解放レスポンスをSIPサーバに返す(ステップ30)。
【0051】
図9〜図11は、輻輳状態に無い無線APの配下の端末1が端末2に対して発信する場合のシーケンスを示す図である。発信端末と着信端末が入れ替わったことにより生じるSIPシーケンスの違いを除き図6〜図8と同じ処理が実行され、帯域予約、帯域確保、帯域解放が行われる。
【0052】
次に、輻輳中の無線AP配下にある端末1に端末2から着信要求があった場合の動作例1を図12を参照して説明する。
【0053】
図12におけるステップ1〜ステップ4は図6におけるステップ1〜ステップ4と同じである。無線APがアクセスコントローラからQoS予約リクエストを受信した後のステップ5において、無線APは、現在割り当て可能な帯域をほとんど割り当て済みであり、QoS予約リクエストに含まれる必要帯域幅を予約することができないと判定する。すると無線APは輻輳中であることを示すQoS予約レスポンスをアクセスコントローラに返す(ステップ6)。アクセスコントローラも同様のQoS予約レスポンスをSIPサーバに返し(ステップ7)、SIPサーバはこのQoS予約レスポンスに基づき無線APが輻輳中であると判定し、端末2にビジーを送信する(ステップ8)。
【0054】
次に、輻輳中の無線AP配下にある端末1に端末2から着信要求があった場合の動作例2を図13、14を参照して説明する。図12で説明した動作例1はSIPサーバが発信端末にビジーを返す例であるが、動作例2はSIPサーバが呼の転送を行う例である。この場合、SIPサーバには端末毎にその端末に対応する転送先端末を記録した転送先テーブルが登録されているものとする。また、転送先である端末3(URI3)は有線でネットワーク接続されたVoIP端末であるものとする。
【0055】
図13のステップ1〜ステップ7は図12のステップ1〜ステップ7と同じである。輻輳中であることを示すQoS予約レスポンスをSIPサーバが受信すると、ステップ8において、SIPサーバは転送先テーブルを参照し、着信先である端末1(URI1)に対応する転送先URI3を取得する。そして、SIPサーバは着信先のURI3を指定したQoS予約リクエストをアクセスコントローラに送信する(ステップ9)。アクセスコントローラはURI3の端末3を配下に持つ無線APを探すが(ステップ10)、データベースにそのような無線APが存在せず、その旨を示すQoS予約レスポンスをSIPサーバに返す(ステップ11)。その後、SIPサーバは通常の転送のための呼接続処理を行い(図14のステップ12〜ステップ16)、端末3と端末2間での音声通信が行われる(ステップ17)。ステップ18〜21で呼が切断されると、ステップ22においてSIPサーバはQoS解放リクエストをアクセスコントローラに送信するが(ステップ22)、アクセスコントローラでは該当無線APは見出されず(ステップ23)、その旨のQoS解放レスポンスがSIPサーバに送信される(ステップ24)。
【0056】
次に、輻輳中の無線AP配下にある端末1に端末2から着信要求があった場合の動作例3を図15を参照して説明する。動作例3ではメディアサーバが備えられ、ステップ7において輻輳中であることを示すQoS予約メッセージをSIPサーバが受信した後に、メディアサーバと端末2間が接続され(ステップ8〜ステップ12)、メディアサーバから「輻輳中ですので接続できません」等のガイダンスが端末2に流された後(ステップ13)、呼が切断される(ステップ14〜ステップ17)。
【0057】
次に、輻輳中の無線AP配下にある端末1に端末2から着信要求があった場合の動作例4を図16〜18を参照して説明する。動作例4は、端末1が無線AP輻輳により接続不可能の状態にあり、端末1が通信可能になるまで待ってもらうことを通知するガイダンスを端末2に流し、無線APの輻輳が解消して端末1が通信可能になると端末1と端末2を接続するものである。
【0058】
ステップ7において、輻輳中であることを示すQoS予約レスポンスをSIPサーバが受信すると、SIPサーバは、発/着信URI、必要帯域幅、CallIDを含むQoS予約+通知リクエストをアクセスコントローラに送信する(ステップ8)。QoS予約+通知リクエストは、無線APに対してQoS予約を行おうとしている帯域を通知し、その帯域を確保できるだけの空きができたらその旨を通知するよう要求するためのメッセージである。
【0059】
ステップ9においてアクセスコントローラは該当する無線APにQoS予約+通知リクエストを送信する。QoS予約+通知リクエストを受信した無線APは、MS01に対して帯域予約があったことを認識し、帯域の監視を開始するとともに(ステップ10)、QoS予約+通知リクエストに対するレスポンスを返す(ステップ11、12)。
【0060】
一方、発信元の端末2とメディアサーバとがSIPによる所定の手順で接続され(ステップa〜ステップf)、端末2にガイダンスが流される(ステップ13)。
【0061】
図17において、無線APは帯域幅の空きをチェックし(ステップ14)、要求された帯域以上の帯域が空けばその旨の通知するためのメッセージであるQoS空き通知をアクセスコントローラに送信する(ステップ15)。この通知には呼を識別するためのCallIDが含まれる。アクセスコントローラはQoS空き通知をSIPサーバに送信し(ステップ16)、SIPサーバからQoS空きレスポンスが返される(ステップ17、19)。
【0062】
次に、SIPの所定の手順により、端末2とメディアサーバ間のセッションが終了され(ステップ20)、端末2から端末1に対する接続処理が開始される(ステップ21)。その後の処理(ステップ22〜図18のステップ39)は図6のステップ2〜図7のステップ20の処理と同じである。
【0063】
次に、図19〜図21を参照して、他の動作例として内線グループ一斉呼び出しを行う場合の接続動作を説明する。この例では、SIPサーバが代表番号と子番号集合とを対応付けた内線グループテーブルを保持している。また、URI0を代表番号とする内線グループの端末URI1、URI2、URI3が無線AP配下に存在するものとする。
【0064】
図19において、SIPサーバが端末4から代表番号(URI0)を着信先として含むINVITEを受信すると(ステップ1)、SIPサーバは内線グループテーブルを参照し、URI0に対応する子番号(URI1、URI2、URI3)を抽出し、それぞれを着信先とするQoS予約リクエストをアクセスコントローラに送信する(ステップ2〜ステップ4)。アクセスコントローラは着信先毎に対応する無線APの抽出を行い(ステップ5)、MSID、必要帯域幅、CallIDを含むQoS予約リクエストを無線APに送信するが、この例では全ての着信先が同一の無線APの配下にあるので、QoS予約リクエストは全て1つの無線APに送信される(ステップ6〜ステップ8)。なお、CallIDは全ての着信先で同一である。
【0065】
さて、代表番号での呼び出しによりその代表に属する複数の端末が呼び出されるが、発信元と接続される端末は1つだけである。従って、ステップ9において無線APはCallIDに対応付けて1回線分の帯域を予約する。
【0066】
その後、ステップ6〜ステップ8のそれぞれに対するレスポンス(ステップ10)、及びステップ2〜ステップ4のそれぞれに対するレスポンスが返される(ステップ11)。
【0067】
その後、SIPサーバは内線グループに属するそれぞれの端末に対してINVITEを送信し、各端末を鳴らす(図20のステップ12〜14)。図20の例では端末3が応答し、端末3と端末4とが接続される(ステップ15〜ステップ18)。その後、図7のステップ13〜ステップ19と同様のシーケンスで、端末3に対する無線APにおける帯域確保処理が行われる(ステップ19〜ステップ25)。
【0068】
一方、図21に示すように、端末1にはINVITEをキャンセルするためのメッセージ送受信が実行される(ステップ26〜ステップ29)。そして、端末1を対象とするQoS解放リクエストがSIPサーバからアクセスコントローラに送られ(ステップ30)、アクセスコントローラから無線APに送信される(ステップ31)。無線APは端末1のエントリを削除し(ステップ32)、リクエストに対するレスポンスが返される(ステップ33、34)。端末2に対しても端末1と全く同じ処理が行われる(ステップ35〜ステップ43)。
【0069】
次に、図22〜図25を参照して、コールパークを行う場合の接続動作例を説明する。ここでは、端末1と端末2が通話中の状態において、端末1で保留操作が行われ、メディアサーバから端末2にガイダンスが流され、その後、端末2と端末3が接続される場合の例を示している。
【0070】
図22のステップ2において、端末1におけるパーク保留操作が行われる。これにより、SIPの所定の手順に従ってメディアサーバと端末2とが接続され(ステップ3〜ステップ15)、ガイダンス送出が行われる(図23のステップ16)。その後に接続が切断され(ステップ17〜ステップ20)、無線APにおいて端末1に対して確保されていた帯域の解放が行われれる(ステップ21〜ステップ30)。
【0071】
一方、SIPにおける所定の手順を経て(ステップ27〜ステップ30)、図24のステップ31においてSIPサーバが端末3からINVITEを受信した後、図9のステップ2〜図10のステップ19と同様にして端末3を対象とした無線APにおける帯域予約及び帯域確保を含む呼接続処理が実行され、端末3と端末2間で通話が行われる(図25のステップ50)。
【0072】
次に、コールウェイティングを行う場合の接続動作例について図26〜図28を用いて説明する。
端末1と端末2が接続中の状態において(図26のステップ1)、端末3が端末1への接続要求であるINVITEをSIPサーバに送信する(ステップ2)。そして、SIPサーバからQoS予約リクエストが送信され(ステップ3)、これまでに説明した帯域予約と同じ処理を経て、アクセスコントローラが端末1に対するQoS予約リクエストを該当無線APに送信する(ステップ4、5)。
【0073】
無線APでは端末1に対して1回線分の帯域が既に確保されており、ここではもう1回線分の帯域が予約される(ステップ6〜ステップ8)。
【0074】
端末1が2回線分のセッションを張れる場合、図27に示すように、端末1では端末2との通話を保留し、端末1と端末3との間での接続がなされる(ステップ9〜ステップ20)。端末1が1回線分のセッションのみを張れる場合、端末1がINVITEを受信した後(図28のステップ9)、図22、23のステップ2〜ステップ30で示した処理により端末2をパーク保留し、端末1と端末3との接続が行われる(図28のステップ11〜ステップ21)。
【0075】
(装置構成概要)
次に、上述した動作を実現するためにSIPサーバ、アクセスコントローラ、無線AP、コンソールが備える主要機能について説明する。図29は、SIPサーバ40、アクセスコントローラ30、無線AP10、コンソール50の機能概要例を説明するための図である。
【0076】
SIPサーバ40は、SIPに基づく呼制御を行うための呼制御機能41に加えて、端末のSIPサーバ(レジストラ)への登録/削除をトリガーにして、アクセスコントローラに対してURI登録(有効化)/削除(無効化)のリクエストを行い、SIPメッセージ(INVITE/BYE/レスポンスなど)をトリガーにして、アクセスコントローラに対して、QoS予約/確保/解放のリクエストを行う等の機能を有する対アクセスコントローラインタフェース機能42を有している。
【0077】
アクセスコントローラ30は、SIPサーバ40から受信した上記各リクエストに対応する処理を行い、回答(OK/NG)をSIPサーバに対して送信する対SIPサーバインタフェース機能31、無線APに設定された上限リソースに基づき輻輳判定を行う判定機能32、無線APから受信した端末登録/削除のリクエストに対応する処理を行う対無線APインタフェース機能33、コンソールからの入力に応じて(a)端末MACアドレスとSIP−URIの対、(b)無線APの最大リソース量等をデータベース35に設定する対コンソールインタフェース機能34、及びデータベース35を有している。なお、この例はアクセスコントローラが各無線APの帯域を管理する場合の例である。
【0078】
また、無線AP10は無線AP本来の無線AP機能11に加え、端末の無線APへの接続/切断をトリガーに、アクセスコントローラ30に対して端末登録/削除のリクエストを行う対アクセスコントローラインタフェース機能12を有している。
【0079】
コンソール50は操作者の入力を受け付けるユーザインタフェース機能51と、設定情報をアクセスコントローラに送信する対アクセスコントローラインタフェース機能52を有している。
【0080】
SIPサーバ、アクセスコントローラはそれぞれCPU、記憶装置、通信用装置等を備えたコンピュータに上記各機能を実現するためのプログラムを搭載することにより実現されるものである。
【0081】
次に、アクセスコントローラ30が保持するデータベース35内の端末管理データと無線AP管理データを説明する。
【0082】
図30に端末管理データの例を示す。ここで示す例では端末MACアドレスと端末SIP−URIとを対応付けて予めアクセスコントローラ30のデータベース35に固定値として登録しておく。そして、図6等で説明したシーケンスにより送受信されるデータに基づき、無線状態、呼状態、CallID、接続APを随時記録することにより端末を管理する。
【0083】
図30に示すデータにおける「無線状態」は端末と無線APとの接続状態を示すデータであり、端末と無線APとが接続状態にあるときは"Link Up"が記録され、切断状態にあるときは"Link Down"が記録される。また、接続状態にあるときの無線APのIDが「接続AP」に記録される。
【0084】
「呼状態」は呼の状態を示すデータであり、呼接続無しで登録されている状態では"Register"が記録され、登録が削除された状態では"Unregister"が記録される。また、QoS予約リクエストをSIPサーバから受信し、QoS予約レスポンスをSIPサーバに返すまでのQoS予約中の状態では"QoS予約中"が記録され、QoS予約レスポンスをSIPサーバに返してからQoS確保リクエストを受信するまでは"QoS予約済"が記録され、QoS確保リクエストを受信してから、QoS確保レスポンスをSIPサーバに返すまでのQoS確保中の状態では"QoS確保中"が記録され、QoS確保レスポンスをSIPサーバに返してからQoSが確保されている状態では"QoS確保済"が記録される。
【0085】
「CallID」は、「SIP状態」がQoS予約中/QoS予約済/QoS確保中/QoS確保済の場合にデータが記録されるものであり、呼(SIPセッション)毎のCallIDを設定する。このCallIDは一斉着信時の呼のグループ化及びQoS空きNotify()の呼の特定で利用される。
【0086】
図30に示したデータを参照することにより、アクセスコントローラはどの呼がどの無線APのリソースを消費するか判断できる。
【0087】
図31に無線AP管理データの例を示す。APIDとリソース上限値が予め登録される固定値データであり、利用中リソース量が随時変更されるデータである。
【0088】
図31における「APID」は無線AP毎に一意なIDであり、端末管理データの「接続AP」に登録される情報と同じものである。「リソース上限値」は無線APで利用可能なリソース上限値である。「リソース利用量」は無線APで現在使われているリソース量であり、無線APに接続された端末の呼数に応じて動的に変化するものである。この情報と「リソース上限値」との差分により、空きのリソース量を判定でき、当該無線APが輻輳するか否かを判断できる。
【0089】
なお、無線APが無線AP管理データを保持してもよい。無線APがこの無線AP管理データを保持する場合には、無線APが輻輳判定を行い輻輳判定結果がアクセスコントローラに送信されることになる。一方、アクセスコントローラがこのデータを保持することにより、無線APに輻輳判定等の機能を設ける必要がなくなる。他の実施の形態でも同様である。
【0090】
(アクセスコントローラ詳細機能構成)
次に、アクセスコントローラ30の詳細機能構成を図32を用いて説明する。図32に示す例は輻輳判定等の無線APリソース管理をアクセスコントローラ30が行う場合の例である。図32に示すように、アクセスコントローラ30はデータベース35、SIP連携I/F60、リソース管理機能70、データ管理機能80、無線AP管理機能90、端末管理機能100、無線AP連携I/F110を有している。
【0091】
以下、各機能部の機能についてより詳細に説明する。
【0092】
SIP連携I/F60はSIP要求受付部61、SIP要求返却部62、SIP通知部63を有している。
【0093】
SIP要求受付部61は端末登録要求受付部64とリソース要求受付部65を有している。端末登録要求受付部64はレジストラから端末登録要求を受け付ける。また、端末登録情報を端末登録部(アプリケーション層)101に渡す。リソース要求受付部65はSIPサーバ40からリソース要求を受け付け、リソース要求種別(予約/予約+通知/確保/解放)に応じて、リソース予約/解放部71にリソース操作を要求する。リソース要求種別が"予約+通知"の場合は、リソース状態変化監視部72にリソース監視を要求する。
【0094】
SIP要求返却部62は端末登録要求返却部66とリソース要求返却部67を有しており、端末登録要求返却部66は端末登録要求受付部64へのリクエストの結果をレジストラに返却し、リソース要求返却部67はリソース要求受付部65へのリクエスト結果をSIPサーバ40に返却する。
【0095】
SIP通知部63はリソース状態変化通知部68を有しており、リソース状態変化通知部68はリソース状態変化監視部72からの要求に応じて、SIPサーバ40に対してQoS空きNotify()通知を行う。
【0096】
リソース管理機能70はリソース予約/解放部71とリソース状態変化監視部72を有している。リソース予約/解放部71はリソース要求種別(予約/確保/解放)に応じて、データ更新部81にリソース操作を要求する。また、空きリソース量に応じて、輻輳判断も行う。例えば、上限リソース量から使用中リソース量を減算した値が、要求されたリソース量以下である場合に輻輳中であると判断する。リソース状態変化監視部72は無線APの空きリソースを監視し、空きに状態に遷移した時に、リソース状態変化通知部68に対して空きを通知する。
【0097】
データ管理機能80はデータ更新部81を有している。データ更新部81はデータベース35のデータ読み出し/追加/更新/削除を行う。また、SIP−URIと端末MACアドレスとの相互変換を行う。無線AP管理機能90は無線AP/リソース登録部91を有している。無線AP/リソース登録部91は無線APの登録及び当該無線APに対するリソース上限値をコンソール50からの指示に基づきデータベース35に設定する。
【0098】
端末管理機能100は端末登録部(アプリケーション層)101と端末登録部(データリンク層)102を有している。端末登録部(アプリケーション層)101は端末登録要求受付部64から、リソース管理対象端末のSIP−URIを受け取り、データ更新部81に対してデータ登録を要求する。当該処理により、SIP−URIが本システムで有効化される。また、端末登録部(データリンク層)102は端末MAC登録要求受付部111から、リソース管理対象端末のMACアドレスを受け取り、データ更新部81に対してデータ登録を要求する。当該処理により、端末MACアドレスが本システムで有効化される。
【0099】
無線AP連携I/F110は端末MAC登録要求受付部111を有している。端末MAC登録要求受付部111は無線APで発生する端末イベント(Association/Disassociation/Reassociation)を契機として、イベントを受け付け、当該イベントの種別に応じて、端末登録部(データリンク層)102に対して、端末MACアドレスの登録/削除/再登録を要求する。
【0100】
なお、上述した機能構成は一例に過ぎない。本実施の形態で説明した動作を実現できる構成であればどのような構成でもよい。このことは他の実施の形態についても同様である。
【0101】
<第2の実施の形態>
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。第2の実施の形態では、ハンドオーバ時の問題を解決するための方式について説明する。
【0102】
第1の実施の形態では、無線APにおける呼の帯域確保はSIPシーケンスを契機として行われるが、ハンドオーバ時には呼の開始/終了を伴わないため、SIPシーケンスは発生しない。そこで、第2の実施の形態では、無線リンク再接続要求(Reassociation)を契機として移動先無線APの帯域確保等を行っている。
【0103】
ある無線AP10を介して他の端末2と通話中の端末1が他の無線AP20の配下に移動することによりハンドオーバする際の本実施の形態におけるシステムの全体動作フローを図33を参照して説明する。
【0104】
端末1が他の無線AP20の配下に移動し、移動先の無線AP20が輻輳中でなければ(ステップ1のNo)、ハンドオーバは完了する(ステップ2)。移動先の無線AP20が輻輳中の場合(ステップ1のYes)、当該無線AP20は端末1との無線リンクを切断し、端末に対して隣接無線AP25に接続するよう促し、端末1は隣接無線APへの無線リンク接続を行う(ステップ4)。ただし、無線リンク切断/接続リトライは予め定めたリトライ回数まで行い、リトライ回数が予め定めた規定値に達した場合には(ステップ3のYes)、アクセスコントローラはハンドオーバ失敗であると判定し、通話相手の端末に対し、ガイダンスを送出するなどの呼処理を実施する(ステップ5)。
【0105】
なお、本実施の形態において、輻輳中の無線AP20に隣接する無線APとは、無線AP20の配下に存在する端末から見て、電波到達範囲がVoIP通信時に通信品質が保てる範囲にある無線AP20以外の無線APの他、端末がある程度移動することにより、電波到達範囲がVoIP通信時に通信品質が保てる範囲となる無線APを含むものとする。このことは、第3の実施の形態でも同様である。
【0106】
次に、図34を参照して、移動先の無線AP20が輻輳状態にある場合に、すぐに端末2に対する呼処理を行う場合を例にとり、本実施の形態におけるシステムの動作の概要について説明する。基本的なシステム構成は第1の実施の形態におけるシステム構成と同じであり、図34では、アクセスコントローラ30に無線AP10と無線AP20が接続され、端末1が無線AP10の配下から無線AP20の配下に移動する場合を示している。図34の例では、移動先の無線AP20が輻輳状態にあるものとする。
【0107】
まず、端末1は無線AP10を介して端末2と通話中であるものとする(ステップA)。そして、端末1が無線AP20の配下に移動すると、ハンドオーバの機能により、端末1は無線AP20に対して再接続要求を送信する(ステップB)。この要求を契機として、アクセスコントローラ30は、無線AP10に対して端末1に対して割り当てられていた帯域を解放するための帯域解放要求を送信し、無線AP10は帯域を解放する(ステップC)。
【0108】
また、アクセスコントローラ30は、無線AP20に帯域確保要求を送信するが、図34の状態では無線AP20は輻輳状態にあるため、帯域確保に失敗する(ステップD)。すると、アクセスコントローラ30はハンドオーバ失敗通知をSIPサーバ40に送信し(ステップE)、SIPサーバ40は端末2に対して呼処理を実施する(ステップF)。
【0109】
以下、本実施の形態における処理の詳細を図35〜図48を参照して説明する。なお、図35〜図48において、レジスターはSIPサーバに含まれているものとする。また、アクセスコントローラが保持する端末管理データを、呼状態管理テーブルとして示している。また、動作の前提として、保守端末からアクセスコントローラに、リトライ規定値(上限値)と、再接続要求拒否時間が登録されるものとする。この登録は、端末毎にしてもよいし、全ての端末に共通の値として設定してもよい。また、無線AP毎に設定してもよい。
【0110】
まず、図35〜図37を参照して移動先の無線AP20が輻輳中でない場合について説明する。
【0111】
図35において、端末1と端末2の間で、第1の実施の形態で説明したシーケンス(図6のステップ1〜図7のステップ19等)を実施したことにより通信がなされているものとする(ステップ1)。ここで、端末1が無線AP10の配下から無線AP20の配下に移動する(ステップ2)。端末1は再接続要求(Reassociation)を無線AP20に送信し(ステップ3)、無線AP20は端末1のMACアドレス(MSID)を取得し、登録する(ステップ4)。無線AP20は無線AP20のID(AP02)と端末1のMACアドレス(MS01)とを含む端末登録リクエストをアクセスコントローラに対して送信する(ステップ5)。アクセスコントローラは無線AP20から受信した無線AP20のID(AP02)を端末1のMACアドレス(MS01)と対応付けて記憶装置に格納することにより登録の更新を行う(ステップ6)。なお、現時点での端末1に対する呼状態は"QoS確保済"である。そして、アクセスコントローラは無線AP20に対して端末登録レスポンスを返す(ステップ7)。
【0112】
本実施の形態では、アクセスコントローラは、「QoS確保済」である端末に関する端末登録リクエストを受信した場合は、SIPサーバからのトリガーを受けることなく、ハンドオーバ前の無線AP10に対して、当該端末1に関するQoS解放リクエストを送信する(ステップ8、9)。このリクエストを受けた無線AP10は、端末1に対する帯域を解放し、QoS解放レスポンスをアクセスコントローラに送信する(ステップ10、11)。
【0113】
続いて、アクセスコントローラは、MS01と必要帯域幅を含むQoS確保リクエストを無線AP20に送信する(ステップ12)。なお、端末1と端末2の間で必要な帯域幅は既に確定しているため、QoS予約シーケンスは実施しない。
【0114】
ステップ13にて、無線AP20において端末1に対する帯域確保がなされ、QoS確保レスポンスがアクセスコントローラに送信される(ステップ14)。その後、無線AP20を介して端末1と端末2間での通話が行われる。
【0115】
ステップ16からの処理は呼切断の処理を示している。ステップ16〜ステップ19において、通常のSIPによるシーケンス処理が行われることにより、SIPサーバは呼を切断する。ステップ20において、SIPサーバはQoS解放リクエストをアクセスコントローラに送信する。アクセスコントローラは該当の無線AP20を抽出し(ステップ21)、QoS解放リクエストを無線AP20に送信する(ステップ22)。無線AP20は今までMS01に対して確保していた帯域を解放し(ステップ23)、QoS解放レスポンスをアクセスコントローラに返し(ステップ24)、アクセスコントローラは、端末1に対する「呼状態」を"無し"にするとともに、QoS解放レスポンスをSIPサーバに返す(ステップ25)。
【0116】
次に、最初の移動先の無線AP20が輻輳中であるが、隣接無線AP25に接続することによりハンドオーバが成功する場合の動作例を図38〜図40を参照して説明する。
【0117】
図38のステップ2〜図39のステップ11において、図35のステップ2〜ステップ11と同様にしてアクセスコントローラに無線AP20についての端末登録がなされ、無線AP10に対する帯域解放がなされる。
【0118】
図39のステップ11で、QoS解放レスポンスを受信したアクセスコントローラは、端末1に対する呼状態を"ハンドオーバ中"にする。そして、アクセスコントローラは、QoS確保リクエストを無線AP20に送信する(ステップ12)。ここでは、無線AP20は、現在割り当て可能な帯域をほとんど割り当て済みであり、QoS確保リクエストに含まれる必要帯域幅を予約することができないと判定する(ステップ13)。すると無線AP20は、輻輳中であることを示すQoS確保レスポンスをアクセスコントローラに返す(ステップ14)。
【0119】
アクセスコントローラは、ハンドオーバ後において、無線APが輻輳中であった回数をカウントする。つまり、ステップ15では、"1"をカウントする。この"1"は、1回リトライに失敗したことを示す。なお、この例では、最初のハンドオーバを行って、移動先の無線APに接続することも"リトライ"に入れているが、最初のハンドオーバに失敗した後のリトライからカウントを開始することとしてもよい。そして、この数値と予め定めた数値とを比較し、この数値が予め定めた数値に達していた場合は、後述する呼処理に移る。このような判定処理は、リトライが永久に続くことを防止するために行われる。図39の場合は、予め定めた数値は1より大きい数値であるものとし、1回目のリトライ失敗であるから、呼処理に移行せずに、再接続のための処理に移行する。
【0120】
ステップ16にて、アクセスコントローラは、MS01と再接続要求拒否時間を含む無線リンク切断要求を無線AP20に送信する。無線AP20は、端末1に対する再接続要求拒否時間を設定する(図40のステップ17)。これにより、無線AP20は、端末1から再度接続要求を受けた場合でも、再接続要求拒否時間内であれば、その接続要求を拒否する。つまり、接続要求を受けてもその後の動作を行わない。
【0121】
無線リンク切断要求を受信した無線AP20は、無線リンク切断指示(Disassociation)を端末1に送信することにより無線リンクを切断する(ステップ18)。無線リンクを切断された端末1は、無線AP20に隣接する無線APである無線AP25に接続要求(Association)を送信する。なお、端末1の仕様によっては、再度数回無線AP20への接続を試み、接続に失敗した場合に隣接無線APへの接続を行う場合があるが、再接続要求拒否時間の間は、無線AP20から再度端末登録リクエストが送信されることはない。
無線AP25は端末1のMACアドレス(MSID)を取得し、登録する(ステップ20)。無線AP25は無線AP25のID(AP03)と端末1のMACアドレス(MS01)とを含む端末登録リクエストをアクセスコントローラに対して送信する(ステップ21)。アクセスコントローラは無線AP25から受信した無線AP25のID(AP03)を端末1のMACアドレス(MS01)と対応付けて記憶装置に格納することにより登録の更新を行う(ステップ22)。そして、アクセスコントローラは無線APに対して端末登録レスポンスを返す(ステップ23)。
【0122】
本実施の形態では、アクセスコントローラは、「ハンドオーバ中」である端末に関する端末登録リクエストを受信した場合は、SIPサーバからのトリガーを受けることなく、端末登録リクエストを送信した無線AP25に対して、MS01と必要帯域幅を含むQoS確保リクエストを送信する(ステップ24、25)。
【0123】
ステップ26にて、無線AP25において端末1に対する帯域確保がなされ、QoS確保レスポンスがアクセスコントローラに送信される(ステップ27)。アクセスコントローラは端末1に対する「呼状態」を"QoS確保済"とし、その後、無線AP25を介して端末1と端末2間での通話が行われる。呼切断の処理は図36、37で説明した処理と同様である。
【0124】
次に、図41〜図42を参照して、端末1がハンドオーバに失敗し、通話相手端末に対する呼制御が行われる場合の動作例1を説明する。
【0125】
移動先の無線AP20が輻輳中であることから、図38のステップ2〜図40のステップ25までの処理が行われたものとする。
【0126】
ステップ25において、QoS確保リクエストを受信した無線AP25は、現在割り当て可能な帯域をほとんど割り当て済みであり、QoS確保リクエストに含まれる必要帯域幅を予約することができないと判定する(図41のステップ26)。すると無線AP25は輻輳中であることを示すQoS確保レスポンスをアクセスコントローラに返す(ステップ27)。
【0127】
本動作例1では、リトライ回数の規定値が2と設定されているものとする。図42のステップ28において、アクセスコントローラはリトライ回数のカウント値を"2"とし、規定値と比較し、リトライ回数が規定値に達したと判定したため、呼状態管理テーブルの「呼状態」を"無し"に変更する。
【0128】
そして、アクセスコントローラは、端末1のURLであるURL1と、ハンドオーバの失敗理由である"輻輳"を含むハンドオーバ失敗通知をSIPサーバに送信する。本動作例1では、ハンドオーバ失敗通知を受信したSIPサーバは、Byeにより正常終了処理を行う(ステップ30〜ステップ33)
ハンドオーバ失敗通知を受領した後のSIPサーバの動作には種々のバリエーションがあり、これらのバリエーションのうちどの動作を用いるかは、SIPサーバに予め設定しておくことができる。
次に、ハンドオーバ失敗通知を受領した後のSIPサーバの動作例2を図43、44を参照して説明する。図43、44では、無線AP20が輻輳したときにハンドオーバ失敗と判定する例を示している。ハンドオーバ失敗通知をSIPサーバに送信するまでの処理についてはこれまでに説明したとおりである。
【0129】
動作例2では、端末1から他の端末への転送が行われる。本動作例では、第1の実施の形態における図13で示した場合と同様に、SIPサーバには端末毎にその端末に対応する転送先端末を記録した転送先テーブルが登録されているものとする。また、端末1の転送先である端末3(URI3)は有線でネットワーク接続されたVoIP端末であるものとする。
【0130】
端末1からByeに対する応答を受信した後(図43のステップ3)、SIPサーバは、転送先テーブルを参照し、着信先である端末1(URI1)に対応する転送先URI3を取得する(ステップ4)。そして、SIPサーバは、端末2に対して端末3への接続換えを要求するSIPシーケンスを実行し(ステップ5〜ステップ8)、着信先のURI3を指定したQoS予約リクエストをアクセスコントローラに送信する(ステップ9)。アクセスコントローラはURI3の端末3を配下に持つ無線APを探すが(ステップ10)、データベースにそのような無線APが存在せず、その旨を示すQoS予約レスポンスをSIPサーバに返す(ステップ11)。その後、SIPサーバは通常の転送のための呼接続処理を行い(図44のステップ12〜ステップ16)、端末3と端末2間での音声通信が行われる(ステップ17)。ステップ18〜21で呼が切断されると、ステップ22においてSIPサーバはQoS解放リクエストをアクセスコントローラに送信するが(ステップ22)、アクセスコントローラでは該当無線APは見出されず(ステップ23)、その旨のQoS解放レスポンスがSIPサーバに送信される(ステップ24)。
次に、ハンドオーバ失敗通知を受領した後のSIPサーバの動作例3を図45を参照して説明する。
動作例3ではメディアサーバが備えられ、ステップ3においてByeに対する応答をSIPサーバが受信した後に、メディアサーバと端末2間が接続され(ステップa〜ステップi)、メディアサーバから「輻輳中ですので接続できません」等の終話を促すガイダンスが端末2に流された後(ステップj)、端末2からの終話によって呼が切断される(ステップk〜ステップn)。
次に、ハンドオーバ失敗通知を受領した後のSIPサーバの動作例4を図46〜図48を参照して説明する。
動作例4では、端末1が通信可能になるまで待ってもらうことを通知するガイダンスを端末2に流し、無線AP20の輻輳が解消して端末1が通信可能になったら端末1と端末2を接続するものである。
【0131】
ステップ3において、Bye に対する応答をSIPサーバが受信すると、SIPサーバは、発/着信URI、必要帯域幅、CallIDを含むQoS予約+通知リクエストをアクセスコントローラに送信する(ステップ4)。QoS予約+通知リクエストは、無線APに対してQoS予約を行おうとしている帯域を通知し、その帯域を確保できるだけの空きができたらその旨を通知するよう要求するためのメッセージである。
【0132】
ステップ5においてアクセスコントローラは該当する無線AP20にQoS予約+通知リクエストを送信する。QoS予約+通知リクエストを受信した無線AP20は、MS01に対して帯域予約があったことを認識し、帯域の監視を開始するとともに(ステップ6)、QoS予約+通知リクエストに対するレスポンスを返す(ステップ7、8)。
【0133】
一方、端末2とメディアサーバとがSIPによる所定の手順で接続され(ステップa〜ステップi)、端末2に、無線AP20のリソースが空くまで待機中であることを通知するためのガイダンスが流される(ステップj)。
【0134】
図47において、無線AP20は帯域幅の空きをチェックし(ステップ9)、要求された帯域以上の帯域が空けばその旨の通知するためのメッセージであるQoS空き通知をアクセスコントローラに送信する(ステップ10)。この通知には呼を識別するためのCallIDが含まれる。アクセスコントローラはQoS空き通知をSIPサーバに送信し(ステップ11)、SIPサーバからQoS空きレスポンスが返される(ステップ12〜14)。
【0135】
次に、SIPサーバは、端末2に、端末1への再接続のためのSIPメッセージを送信し、接続替えのためのSIPシーケンスを実行する(ステップ15〜ステップ19)。そして、第1の実施の形態における、端末2から端末1への着信の場合と同様の手順を経て(図47のステップ20〜図48のステップ36)、端末1と端末2間での通話が行われる(ステップ37)。
【0136】
(装置構成について)
第2の実施の形態における装置の機能概要を図49を参照して説明する。第2の実施の形態における装置の基本的な構成は第1の実施の形態における装置構成と同様である。以下、第1の実施の形態の装置と異なる主な点について説明する。
【0137】
SIPサーバ40における呼制御機能41は、ハンドオーバ失敗時の呼制御処理を実行する機能も有している。アクセスコントローラ30は、第1の実施の形態で説明した機能に加えて、無線リンクリトライ判定機能36とハンドオーバ成否判定機能37を有している。無線リンクリトライ判定機能36は、無線リンクリトライの失敗回数をカウントし、予め設定した回数に達したかどうかの判定を行う。ハンドオーバ成否判定機能37は、端末のハンドオーバ時にハンドオーバが成功したかどうかの判定を行う。具体的には、無線リンクリトライ判定機能36により、無線リンクリトライの失敗回数が予め設定した回数に達したと判定された場合に、ハンドオーバに失敗したと判定し、その旨をSIPサーバ40に通知する。また、本実施の形態における判定機能32は、端末の呼接続要求時に無線APの輻輳判定を行う機能も有している。
【0138】
図50に、本実施の形態での端末管理データを示す。本実施の形態では、呼状態として、「ハンドオーバ中」を含む。アクセスコントローラは、ハンドオーバ時において、ハンドオーバ前の無線APにおける帯域が解放されたことに応じて呼状態を「ハンドオーバ中」とする。そして、ハンドオーバ時において、ハンドオーバ先の無線APでの帯域が確保されたことに応じて、呼状態を「ハンドオーバ中」から「QoS確保済」にする。
【0139】
また、本実施の形態における端末管理データは、端末毎の無線リンクリトライ回数(上限値)と、実際の無線リンクリトライ回数を含む。実際の無線リンクリトライ回数が上限値に達した場合にハンドオーバ失敗と判定される。
【0140】
図51に、本実施の形態における再接続要求拒否時間管理用の無線AP管理データを示す。図51に示すように、無線AP毎及び端末毎に、再接続要求拒否時間と、無線リンクを切断してから実際に経過した時間である再接続要求拒否経過時間が記録される。
【0141】
図52に、本実施の形態におけるアクセスコントローラの詳細機能構成図を示す。以下、第1の実施の形態と異なる部分について説明する。
【0142】
SIP要求返却部62は、ハンドオーバ失敗であることをSIPサーバに通知するハンドオーバ失敗通知部69を有する。また、リソース予約/解放部71は、第1の実施の形態の機能に加え、端末のハンドオーバ時に、無線APのリソースを調べ、輻輳状態かどうかを判定する機能を有している。また、リソース管理機能70は、ある端末の無線リンクリトライ回数が、予め定めた上限値に達したかどうかを判定する無線リンクリトライ判定部73を有している。
【0143】
また、データ更新部81は、第1の実施の形態で説明した機能に加え、端末のハンドオーバ時に、移動元無線APのリソース解放後、端末の呼状態を「ハンドオーバ中」とする機能を備えている。また、無線AP連携I/F110は、無線リンク切断要求部112を有している。無線リンク切断要求部112は、ハンドオーバ時に、再接続先の無線APのリソースが確保できなかった際に、端末を他の隣接無線APへ再接続させるために、再接続先の無線APに無線リンク切断要求を送信するものである。
【0144】
<第3の実施の形態>
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。第1の実施の形態では、輻輳中の無線APに接続された端末に対して他の端末から着信があった場合に、当該他の端末に対してガイダンスを流す等の呼制御を行う例を説明した。
【0145】
ある無線APが輻輳していても、隣接する無線APは輻輳中でない場合があるが、第1の実施の形態では隣接する無線APを有効に活用できていない。そこで、本実施の形態では、輻輳中の無線APに隣接する無線APを用いて通信を継続する例について説明する。
【0146】
まず、図53を参照して、輻輳中の無線AP10に接続された端末1に端末2から着信があった場合のシステムの動作概要について説明する。
【0147】
まず、端末1は無線AP10と無線リンクで接続中であるものとする。端末2が端末1に対する接続要求を送信すると(ステップA)、SIPサーバ40は帯域予約要求をアクセスコントローラ30に送信する(ステップB)。アクセスコントローラ30は、無線AP10に対して帯域予約要求を送信するが、無線AP10は輻輳中であるため帯域予約に失敗する(ステップC)。そして、アクセスコントローラ30は、端末1が隣接無線APへ切替中である旨をSIPサーバ40に通知する(ステップD)。その後、アクセスコントローラ30は端末1に対する無線リンク切断要求を無線AP10に送信し、無線AP10は端末1との無線リンクを切断する(ステップE)。
【0148】
無線AP10との無線リンクを切断された端末1は、隣接無線AP20と無線リンク接続する(ステップF)。すると、アクセスコントローラ30は、無線AP20からの端末登録要求に応じて無線AP20に対する帯域予約を行い、帯域予約に成功すると(ステップG)、SIPサーバ40にその旨を通知し(ステップH)、SIPサーバ40は呼接続シーケンスを再開し、端末1と端末2が接続される(ステップI)。
【0149】
次に、図54を参照して、輻輳中の無線AP10に接続された端末1が端末2に発信する場合におけるシステムの動作概要を説明する。
【0150】
まず、端末1は無線AP10と無線リンクで接続中であるものとする。端末1が端末2に対する接続要求を送信すると(ステップA)、帯域予約要求が送信されるが(ステップB)、無線AP10は輻輳中であるため帯域予約に失敗する(ステップC)。また、アクセスコントローラ30は、SIPサーバ40に対して、端末1が隣接無線APへ切替中である旨を通知する(ステップD)。
【0151】
すると、SIPサーバ40は、端末1に対して呼接続のキャンセル通知を行うとともに(ステップE)、アクセスコントローラ30は、無線AP10に、端末1に対する無線リンク切断要求を送信し、無線AP10が端末1との無線リンクを切断する(ステップF)。
【0152】
無線リンクを切断された端末1は、隣接無線AP20と無線リンク接続する(ステップG)。そして、端末1に対してユーザによる操作がなされることにより、端末1は端末2に対する接続要求を送信する(ステップH)。そして、帯域確保が行われて(ステップI)、端末1と端末間の呼が確立される(ステップJ)。なお、上記の方式では、一度呼を切断しているが、端末1の機能により、呼の切断を行わずに呼を継続することも可能である。
【0153】
以下、本実施の形態におけるシステムの動作を詳細に説明する。
【0154】
本実施の形態において、無線APが輻輳中でない場合において、端末2から端末1に着信があった場合の動作は第1の実施の形態において図6〜図8に示したとおりである。
【0155】
また、無線APが輻輳中でない場合において、端末1から端末2に発信がなされた場合における動作は第1の実施の形態において図9〜図11に示したとおりである。
【0156】
輻輳中の無線AP10に隣接して、輻輳中でない無線AP20が存在する環境の下で、無線AP10に接続された端末1に端末2から着信があった場合のシステムの動作について図55〜図57を参照して詳細に説明する。
図55におけるステップ1〜ステップ4は図6におけるステップ1〜ステップ4と同じである。無線AP10がアクセスコントローラからQoS予約リクエストを受信した後のステップ5において、無線AP10は、現在割り当て可能な帯域をほとんど割り当て済みであり、QoS予約リクエストに含まれる必要帯域幅を予約することができないと判定する。すると無線AP10は輻輳中であることを示すQoS予約レスポンスをアクセスコントローラに返す(ステップ6)。アクセスコントローラは、呼状態管理テーブルにおける端末1の呼状態を「隣接無線APへ切替中」とし、端末1が隣接無線APへ切替中であることを示す情報を含むQoS予約レスポンスをSIPサーバに返す(ステップ7)。
【0157】
アクセスコントローラは、端末が無線APに接続後、無線APが輻輳中であった回数をカウントする。つまり、ステップ8では、"1"をカウントする。この"1"は、1回リトライに失敗したことを示す。なお、この例では、最初の接続を行うことも"リトライ"に入れているが、最初の接続に失敗した後のリトライからカウントを開始することとしてもよい。そして、この数値と予め定めた数値とを比較し、この数値が予め定めた数値に達していた場合は、後述する呼処理に移る。このような判定処理は、リトライが永久に続くことを防止するために行われる。図55の場合は、予め定めた数値は1より大きい数値であるものとし、1回目のリトライ失敗であるから、再接続のための処理に移行する。
【0158】
図56のステップ9にて、アクセスコントローラは、MS01と再接続要求拒否時間を含む無線リンク切断要求(隣接無線AP移動指示に相当する)を無線AP10に送信する。無線AP10は、端末1に対する再接続要求拒否時間を設定する(ステップ10)。これにより、無線AP10は、端末1から再度接続要求を受けた場合に、再接続要求拒否時間内であれば、その接続要求を拒否する。つまり、接続要求を受けても接続動作を行わない。
【0159】
無線リンク切断要求を受信した無線AP10は、無線リンク切断指示(Disassociation)を端末1に送信することにより無線リンクを切断する。無線リンクを切断された端末1は、隣接する無線APである無線AP20に接続要求(Association)を送信する(ステップ12)。なお、端末1の仕様によっては、無線AP10への接続を再度試みる場合があるが、その場合でも、再接続要求拒否時間の間は、無線AP10から再度端末登録リクエストが送信されることはない。
【0160】
無線AP20は、端末1のMSIDであるMS01を登録する(ステップ13)。そして、無線AP20は無線AP20のID(AP02)と端末1のMACアドレス(MS01)とを含む端末登録リクエストをアクセスコントローラに対して送信する(ステップ14)。アクセスコントローラは無線AP20から受信した無線APのID(AP02)と端末1のMACアドレス(MS01)とを記憶装置に格納することにより、MSIDとAPIDの更新を行う。(ステップ15)。そして、アクセスコントローラは無線AP20に対して端末登録レスポンスを返す(ステップ16)。アクセスコントローラは、端末1に対する呼状態を"無し"にする(ステップ17)。
【0161】
その後、無線AP20に関し、帯域予約が行われ(図57のステップ18〜21)、図6のステップ8〜図7のステップ19と同様の処理が実行されて、端末1と端末2間での呼接続が行われる。
【0162】
次に、無線AP10が輻輳中であるとともに、隣接無線AP20も輻輳中であり、呼の中断を行う場合の動作を図58を参照して説明する。
【0163】
端末2からのINVITE送信から、無線AP20及びアクセスコントローラに対する端末再登録までの処理は図55、図56に示した処理と同じである。
【0164】
図58において、アクセスコントローラは、無線AP20に対してQoS予約リクエストを送信する(ステップ18)。無線AP20は輻輳中なので、輻輳中であることを示すQoS予約レスポンスをアクセスコントローラに返す(ステップ19、20)。アクセスコントローラは、現在のリトライ回数と、リトライ回数の上限値とを比較し、現在のリトライ回数(=2)が予め規定したリトライ回数(=2)に達したと判定し、リトライを失敗したと判定する(ステップ21)。そこで、アクセスコントローラは、SIPサーバに対して輻輳中であることを示す情報を含むQoS予約レスポンスを返す(ステップ22)。当該QoS予約レスポンスを受信したSIPサーバは、「呼の中断」を示すメッセージを端末に送信する(ステップ23)。
【0165】
なお、当該QoS予約レスポンスを受信したSIPサーバは、第1の実施の形態と同様の呼制御を端末2に対して行ってもよい。
【0166】
次に、輻輳中の無線AP10に隣接して、輻輳中でない無線AP20が存在する環境の下で、無線AP10に接続された端末1が端末2に発信を行う場合のシステムの動作について図59、60を参照して詳細に説明する。
【0167】
図59におけるステップ1〜ステップ4は図6におけるステップ1〜ステップ4と同じである。無線AP10がアクセスコントローラからQoS予約リクエストを受信した後のステップ5において、無線AP10は、輻輳中であり、QoS予約リクエストに含まれる必要帯域幅を予約することができないと判定する(ステップ5)。すると無線AP10は輻輳中であることを示すQoS予約レスポンスをアクセスコントローラに返す(ステップ6)。
【0168】
アクセスコントローラは、呼状態管理テーブルにおける端末1の呼状態を「隣接無線APへ切替中」とし、端末1が隣接無線APへ切替中であることを示す情報を含むQoS予約レスポンスをSIPサーバに返す(ステップ7)。このQoS予約レスポンスを受信したSIPサーバは、呼の中断を行うためのメッセージを端末1に送信する(ステップ8)。また、アクセスコントローラは、MS01と再接続要求拒否時間を含む無線リンク切断要求(隣接無線AP移動指示に相当する)を無線AP10に送信する(ステップ10)。無線AP10は、端末1に対する再接続要求拒否時間を設定する(ステップ11)。これにより、無線AP20は、端末1から再度接続要求を受けた場合に、再接続要求拒否時間内であれば、その接続要求を拒否する。つまり、接続要求を受けても接続動作を行わない。
【0169】
無線リンク切断要求を受信した無線AP10は、無線リンク切断指示(Disassociation)を端末1に送信することにより無線リンクを切断する(ステップ12)。無線リンクを切断された端末1は、隣接する無線APである無線AP20に接続要求(Association)を送信する(ステップ13)。
【0170】
無線AP20は、端末1のMSIDであるMS01を登録する(ステップ14)。そして、無線AP20は無線APのID(AP02)と端末1のMACアドレス(MS01)とを含む端末登録リクエストをアクセスコントローラに対して送信する(ステップ15)。アクセスコントローラは無線AP20から受信した無線APのID(AP02)と端末1のMACアドレス(MS01)とを記憶装置に格納することにより、MSIDとAPIDの更新を行う。(ステップ16)。そして、アクセスコントローラは無線APに対して端末登録レスポンスを返す(ステップ17)。アクセスコントローラは、端末1に対する呼状態を"無し"にする。
【0171】
そして、端末1でユーザによる再操作がなされることにより、端末1からINVITEメッセージがSIPサーバに対して送信される(ステップ19)。その後は、無線AP20に関し、図9のステップ1〜図10のステップ19と同様の処理が実行されて、端末1と端末2間での呼接続が行われる。
【0172】
上記の場合において、無線AP20も輻輳中である場合は、無線AP20に対して図59のステップ1〜図60のステップ8の処理が実行され、端末1の接続が切断されることになる。その後、図60のステップ12が実行され、それ以降の処理が、隣接無線APに対してなされることになる。なお、発信の場合も、輻輳中であることを示すQoS予約レスポンスを受信したアクセスコントローラがリトライ回数をカウントし、それが上限値に達している場合には、無線リンク切断要求(隣接無線AP移動指示)を送信しないこととすることができる。
【0173】
(装置構成について)
第3の実施の形態における装置の機能概要を図61を参照して説明する。第3の実施の形態における装置の基本的な構成は第1の実施の形態における装置構成と同様である。以下、第1の実施の形態の装置と異なる主な点について説明する。
【0174】
アクセスコントローラ30は、第1の実施の形態で説明した機能に加えて、呼接続制御機能38と端末制御機能39を有している。呼接続制御機能38は、無線APの輻輳を検出した場合に、SIPサーバからのQoS予約リクエストに対する応答として"隣接無線APへ切替中"を示す応答メッセージを返す機能を含む。また、端末制御機能39は、無線APの輻輳検出時に無線リンク切断要求を送信する機能、及び無線リンクリトライの失敗回数をカウントし、予め設定した回数に達したかどうかの判定を行う。ハンドオーバ成否判定機能37は、端末のハンドオーバ時にハンドオーバが成功したかどうかの判定を行う。
【0175】
図62に、本実施の形態での端末管理データを示す。本実施の形態では、呼状態として、「隣接無線APへ切替中」を含む。アクセスコントローラは、端末が接続する無線APが輻輳中であることを検知したことに応じて呼状態を「隣接無線APへ切替中」とする。ただし、リトライ回数が上限値に達していた場合は、切替のための動作を行わないので、呼状態は無しとする。そして、隣接無線APに対する端末の登録が済んだことを契機として、呼状態を「隣接無線APへ切替中」から「無し」にする。
【0176】
また、本実施の形態における端末管理データは、端末毎の無線リンクリトライ回数(上限値)と、実際の無線リンクリトライ回数を含む。実際の無線リンクリトライ回数が上限値に達した場合に呼接続失敗と判定される。
【0177】
図63に、本実施の形態における再接続要求拒否時間管理用の無線AP管理データを示す。図63に示すように、無線AP毎及び端末毎に、再接続要求拒否時間と、無線リンクを切断してから実際に経過した時間である再接続要求拒否経過時間が記録される。
【0178】
図64に、本実施の形態におけるアクセスコントローラの詳細機能構成図を示す。以下、第1の実施の形態と異なる部分について主に説明する。
【0179】
SIP要求返却部62におけるリソース要求返却部67は、無線APが輻輳中である場合に、SIPサーバに"隣接無線APへ切替中"である旨を通知する機能を含む。また、リソース予約/解放部71は、無線APのリソースを調べ、輻輳状態かどうかを判定し、服装状態である場合に、無線リンク切断を要求する機能を有している。また、リソース管理機能70は、ある端末の無線リンクリトライ回数が、予め定めた上限値に達したかどうかを判定する無線リンクリトライ判定部73を有している。
【0180】
また、データ更新部81は、無線APが輻輳中である場合に、端末の呼状態を「隣接無線APへ切替中」とする機能を備えている。また、無線AP連携I/F110は、無線リンク切断要求部112を有している。無線リンク切断要求部112は、無線APが輻輳状態にあるときに、端末を他の隣接無線APへ再接続させるために、無線APに無線リンク切断要求を送信するものである。
【0181】
なお、本発明は、上記の実施の形態に限定されることなく、特許請求の範囲内において、種々変更・応用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0182】
【図1】従来の無線IP電話システムの構成例を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態におけるシステムの一例を示す図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態におけるシステムの動作概要を説明するための図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態において、端末1をアクセスコントローラに登録するためのシーケンス図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態において、アクセスコントローラから登録された端末1を削除するためのシーケンス図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態において、輻輳状態に無い無線AP配下の端末1に端末2から着信要求がなされた場合のシーケンス図である。
【図7】本発明の第1の実施の形態において、輻輳状態に無い無線AP配下の端末1に端末2から着信要求がなされた場合のシーケンス図である。
【図8】本発明の第1の実施の形態において、輻輳状態に無い無線AP配下の端末1に端末2から着信要求がなされた場合のシーケンス図である。
【図9】本発明の第1の実施の形態において、輻輳状態に無い無線APの配下の端末1が端末2に対して発信する場合のシーケンス図である。
【図10】本発明の第1の実施の形態において、輻輳状態に無い無線APの配下の端末1が端末2に対して発信する場合のシーケンス図である。
【図11】本発明の第1の実施の形態において、輻輳状態に無い無線APの配下の端末1が端末2に対して発信する場合のシーケンス図である。
【図12】本発明の第1の実施の形態において、輻輳中の無線AP配下にある端末1に端末2から着信要求があった場合の動作例1を示すシーケンス図である。
【図13】本発明の第1の実施の形態において、輻輳中の無線AP配下にある端末1に端末2から着信要求があった場合の動作例2を示すシーケンス図である。
【図14】本発明の第1の実施の形態において、輻輳中の無線AP配下にある端末1に端末2から着信要求があった場合の動作例2を示すシーケンス図である。
【図15】本発明の第1の実施の形態において、輻輳中の無線AP配下にある端末1に端末2から着信要求があった場合の動作例3を示すシーケンス図である。
【図16】本発明の第1の実施の形態において、輻輳中の無線AP配下にある端末1に端末2から着信要求があった場合の動作例4を示すシーケンス図である。
【図17】本発明の第1の実施の形態において、輻輳中の無線AP配下にある端末1に端末2から着信要求があった場合の動作例4を示すシーケンス図である。
【図18】本発明の第1の実施の形態において、輻輳中の無線AP配下にある端末1に端末2から着信要求があった場合の動作例4を示すシーケンス図である。
【図19】本発明の第1の実施の形態において、内線グループ一斉呼び出しを行う場合の接続動作を示すシーケンス図である。
【図20】本発明の第1の実施の形態において、内線グループ一斉呼び出しを行う場合の接続動作を示すシーケンス図である。
【図21】本発明の第1の実施の形態において、内線グループ一斉呼び出しを行う場合の接続動作を示すシーケンス図である。
【図22】本発明の第1の実施の形態において、コールパークを行う場合の接続動作を示すシーケンス図である。
【図23】本発明の第1の実施の形態において、コールパークを行う場合の接続動作を示すシーケンス図である。
【図24】本発明の第1の実施の形態において、コールパークを行う場合の接続動作を示すシーケンス図である。
【図25】本発明の第1の実施の形態において、コールパークを行う場合の接続動作を示すシーケンス図である。
【図26】本発明の第1の実施の形態において、コールウェイティングを行う場合の接続動作を示すシーケンス図である。
【図27】本発明の第1の実施の形態において、コールウェイティングを行う場合の接続動作を示すシーケンス図である。
【図28】本発明の第1の実施の形態において、コールウェイティングを行う場合の接続動作を示すシーケンス図である。
【図29】本発明の第1の実施の形態において、装置の機能概要を説明するための図である。
【図30】本発明の第1の実施の形態において、端末管理データの例を示す図である。
【図31】本発明の第1の実施の形態において、無線AP管理データの例を示す図である。
【図32】本発明の第1の実施の形態において、アクセスコントローラ30の詳細機能構成図である。
【図33】本発明の第2の実施の形態におけるシステムの全体動作フローである。
【図34】本発明の第2の実施の形態におけるシステムの動作の概要を説明するための図である。
【図35】本発明の第2の実施の形態において、移動先の無線AP20が輻輳中でない場合の動作を示すシーケンス図である。
【図36】本発明の第2の実施の形態において、移動先の無線AP20が輻輳中でない場合の動作を示すシーケンス図である。
【図37】本発明の第2の実施の形態において、移動先の無線AP20が輻輳中でない場合の動作を示すシーケンス図である。
【図38】本発明の第2の実施の形態において、最初の移動先の無線AP20が輻輳中であるが、隣接無線AP25に接続することによりハンドオーバが成功する場合の動作例を示すシーケンス図である。
【図39】本発明の第2の実施の形態において、最初の移動先の無線AP20が輻輳中であるが、隣接無線AP25に接続することによりハンドオーバが成功する場合の動作例を示すシーケンス図である。
【図40】本発明の第2の実施の形態において、最初の移動先の無線AP20が輻輳中であるが、隣接無線AP25に接続することによりハンドオーバが成功する場合の動作例を示すシーケンス図である。
【図41】本発明の第2の実施の形態において、ハンドオーバに失敗し、通話相手端末に対する呼制御が行われる場合の動作例1を示すシーケンス図である。
【図42】本発明の第2の実施の形態において、ハンドオーバに失敗し、通話相手端末に対する呼制御が行われる場合の動作例1を示すシーケンス図である。
【図43】本発明の第2の実施の形態において、ハンドオーバに失敗した場合の動作例2を示すシーケンス図である。
【図44】本発明の第2の実施の形態において、ハンドオーバに失敗した場合の動作例2を示すシーケンス図である。
【図45】本発明の第2の実施の形態において、ハンドオーバに失敗した場合の動作例3を示すシーケンス図である。
【図46】本発明の第2の実施の形態において、ハンドオーバに失敗した場合の動作例4を示すシーケンス図である。
【図47】本発明の第2の実施の形態において、ハンドオーバに失敗した場合の動作例4を示すシーケンス図である。
【図48】本発明の第2の実施の形態において、ハンドオーバに失敗した場合の動作例4を示すシーケンス図である。
【図49】本発明の第2の実施の形態において、装置の機能概要を説明するための図である。
【図50】本発明の第2の実施の形態において、端末管理データの例を示す図である。
【図51】本発明の第2の実施の形態において、再接続要求拒否時間管理用の無線AP管理データの例を示す図である。
【図52】本発明の第2の実施の形態において、アクセスコントローラ30の詳細機能構成図である。
【図53】本発明の第3の実施の形態において、輻輳中の無線APに接続された端末1に端末2から着信があった場合のシステムの動作概要について説明するための図である。
【図54】本発明の第3の実施の形態において、輻輳中の無線AP10に接続された端末1が端末2に発信する場合におけるシステムの動作概要を説明するための図である。
【図55】本発明の第3の実施の形態において、輻輳中でない無線AP20が存在する環境の下で、輻輳中の無線AP10に接続された端末1に端末2から着信があった場合のシステムの動作を示すシーケンス図である。
【図56】本発明の第3の実施の形態において、輻輳中でない無線AP20が存在する環境の下で、輻輳中の無線AP10に接続された端末1に端末2から着信があった場合のシステムの動作を示すシーケンス図である。
【図57】本発明の第3の実施の形態において、輻輳中でない無線AP20が存在する環境の下で、輻輳中の無線AP10に接続された端末1に端末2から着信があった場合のシステムの動作を示すシーケンス図である。
【図58】本発明の第3の実施の形態において、無線AP10が輻輳中であるとともに、隣接無線AP20も輻輳中であり、呼の中断を行う場合の動作を示すシーケンス図である。
【図59】本発明の第3の実施の形態において、輻輳中の無線AP10に隣接して、輻輳中でない無線AP20が存在する環境の下で、無線AP10に接続された端末1が端末2に発信を行う場合のシステムの動作を示すシーケンス図である。
【図60】本発明の第3の実施の形態において、輻輳中の無線AP10に隣接して、輻輳中でない無線AP20が存在する環境の下で、無線AP10に接続された端末1が端末2に発信を行う場合のシステムの動作を示すシーケンス図である。
【図61】本発明の第3の実施の形態において、装置の機能概要を説明するための図である。
【図62】本発明の第3の実施の形態において、端末管理データの例を示す図である。
【図63】本発明の第3の実施の形態において、再接続要求拒否時間管理用の無線AP管理データの例を示す図である。
【図64】本発明の第3の実施の形態において、アクセスコントローラ30の詳細機能構成図である。
【符号の説明】
【0183】
1、2 端末
10、20、25 無線AP
11 無線AP機能
12 対アクセスコントローラインタフェース機能
30 アクセスコントローラ
31 対SIPサーバインタフェース機能
32 判定機能
33 対無線APインタフェース機能
34 対コンソールインタフェース機能
35 データベース
36 無線リンクリトライ判定機能
37 ハンドオーバ成否判定機能
38 呼接続制御機能
39 端末制御機能
40 SIPサーバ
41 呼制御機能
42 対アクセスコントローラインタフェース機能
50 コンソール
51 ユーザインタフェース機能
52 対アクセスコントローラインタフェース機能
60 SIP連携I/F
70 リソース管理機能
80 データ管理機能
90 無線AP管理機能
100 端末管理機能
110 無線AP連携I/F

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線APとVoIP呼制御手段とを有する無線IP電話システムにおけるアクセス制御装置であって、
端末から前記無線APへ接続がなされたことを契機として、データリンク層における前記端末の識別情報である下位レイヤ識別情報と無線AP識別情報とを含む端末登録要求を前記無線APから受信し、当該無線AP識別情報を前記下位レイヤ識別情報に対応付けて記憶手段に登録する下位レイヤ登録手段と、
前記端末の呼制御で用いられる識別情報である上位レイヤ識別情報と前記下位レイヤ識別情報とを含む端末登録要求を前記VoIP呼制御手段から受信し、当該上位レイヤ識別情報を下位レイヤ識別情報に対応付けて前記記憶手段に登録する上位レイヤ登録手段と、
前記端末への着信または前記端末からの発信に係る呼接続要求を受信した前記VoIP呼制御手段からリソース状態の問い合わせを受信し、当該問い合わせに含まれる前記端末の上位レイヤ識別情報に基づき前記記憶手段を検索して前記端末を収容する前記無線APを検出し、当該無線APが輻輳状態にあるか否かの判定結果を取得し、輻輳状態にある場合に前記無線APが輻輳中であることを前記VoIP呼制御手段に通知する通知手段と
を有することを特徴とするアクセス制御装置。
【請求項2】
前記アクセス制御装置の記憶手段は、前記無線AP識別情報と前記無線APのリソース上限値と前記無線APで使用中のリソース量とを対応付けて格納しており、
前記通知手段は前記無線APのリソース上限値及び使用中リソース量と、前記リソース状態の問い合わせに含まれる前記端末に対する必要リソース量とに基づき前記無線APが輻輳状態にあるか否かを判定する判定手段を含むことを特徴とする請求項1に記載のアクセス制御装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のアクセス制御装置と前記VoIP呼制御手段とを有する無線IP電話システムであって、前記VoIP呼制御手段は、
前記リソース状態の問い合わせに対する応答として前記無線APが輻輳中である旨の通知を前記アクセス制御装置から受信した場合に、前記呼接続要求を保留させ、当該呼接続要求を送信した端末に対して通信路が輻輳中であることを通知し、前記無線APが輻輳状態から回復した旨の通知を前記アクセス制御装置から受信したことを契機として、着信先端末への呼接続を行う呼制御手段を有することを特徴とする無線IP電話システム。
【請求項4】
無線APとVoIP呼制御手段とアクセス制御装置とを有する無線IP電話システムにおけるアクセス制御方法であって、
前記アクセス制御装置が、端末から前記無線APへ接続がなされたことを契機として、データリンク層における前記端末の識別情報である下位レイヤ識別情報と無線AP識別情報とを含む端末登録要求を前記無線APから受信し、当該無線AP識別情報を前記下位レイヤ識別情報に対応付けて記憶手段に登録する下位レイヤ登録ステップと、
前記アクセス制御装置が、前記端末の呼制御で用いられる識別情報である上位レイヤ識別情報と前記下位レイヤ識別情報とを含む端末登録要求を前記VoIP呼制御手段から受信し、当該上位レイヤ識別情報を下位レイヤ識別情報に対応付けて前記記憶手段に登録する上位レイヤ登録ステップと、
前記VoIP呼制御手段が、前記端末への着信または前記端末からの発信に係る呼接続要求を受信し、当該端末の呼に対して必要なリソース状態の問い合わせを前記アクセス制御装置に送信するリソース状態問い合わせステップと、
前記アクセス制御装置が、前記問い合わせに含まれる前記端末の上位レイヤ識別情報に基づき前記記憶手段を検索して前記端末を収容する前記無線APを検出し、当該無線APが輻輳状態にあるか否かの判定結果を取得し、輻輳状態にある場合に前記無線APが輻輳中であることを前記VoIP呼制御手段に通知する通知ステップと、
前記VoIP呼制御手段が、前記無線APが輻輳中であることに応じた呼制御を実行する呼制御ステップと
を有することを特徴とするアクセス制御方法。
【請求項5】
複数の無線APとVoIP呼制御手段とを有する無線IP電話システムにおけるアクセス制御装置であって、
端末からある無線APへ接続がなされたことを契機として、データリンク層における前記端末の識別情報である下位レイヤ識別情報と無線AP識別情報とを含む端末登録要求を前記無線APから受信し、当該無線APの識別情報を前記下位レイヤ識別情報に対応付けて記憶手段に登録する下位レイヤ登録手段と、
前記端末の呼制御で用いられる識別情報である上位レイヤ識別情報と前記下位レイヤ識別情報とを含む端末登録要求を前記VoIP呼制御手段から受信し、当該上位レイヤ識別情報を下位レイヤ識別情報に対応付けて前記記憶手段に登録する上位レイヤ登録手段と、
前記端末への着信または前記端末からの発信に係る呼接続要求を受信した前記VoIP呼制御手段からのリソース予約要求を契機として、当該要求に含まれる前記端末の上位レイヤ識別情報に基づき前記記憶手段を検索して前記端末を収容する前記無線APを検出し、前記無線APにおける前記端末に対する通信リソースの割り当て制御を行うリソース制御手段とを有し、
前記VoIP呼制御手段により前記端末と相手端末間での呼接続が行われ、前記端末が前記相手端末と通信中の状態において、前記端末が、接続中の無線APの配下から、他の無線APである移動先無線APの配下に移動した場合に、
前記端末から前記移動先無線APへ接続がなされたことを契機として、前記下位レイヤ登録手段は、前記端末の下位レイヤ識別情報と前記移動先無線APの識別情報とを含む端末登録要求を前記移動先無線APから受信し、当該移動先無線APの識別情報を前記下位レイヤ識別情報及び前記上位レイヤ識別情報に対応付けて前記記憶手段に登録し、
前記リソース制御手段は、前記VoIP呼制御手段からの要求を受けることなく、前記無線APにおいて前記端末に対して割り当てられていたリソースを解放し、前記移動先無線APが輻輳状態でない場合に、当該移動先無線APにおいて前記端末に対する通信リソースの確保を行うことを特徴とするアクセス制御装置。
【請求項6】
前記端末が、接続中の無線APの配下から、前記移動先無線APの配下に移動した場合において、前記リソース制御手段は、前記移動先無線APにおけるリソースの確保を行う前に、前記移動先無線APが輻輳状態にあるか否かの判定結果を取得し、
当該移動先無線APが輻輳状態にある場合に、前記アクセス制御装置は、前記端末との無線リンク切断要求を前記移動先無線APに送信することを特徴とする請求項5にアクセス制御装置。
【請求項7】
前記無線リンク切断要求を受信した移動先無線APから無線リンク切断指示を受信した前記端末が、他の無線APへの接続を行ったことを契機として、前記下位レイヤ登録手段は、前記他の無線APの識別情報を前記下位レイヤ識別情報及び前記上位レイヤ識別情報に対応付けて前記記憶手段に登録し、前記リソース制御手段は、前記他の無線APが輻輳状態でない場合に、前記他の無線APにおいて前記端末に対するリソースの確保を行うことを特徴とする請求項6に記載のアクセス制御装置。
【請求項8】
前記アクセス制御装置は、前記端末が接続する無線APが輻輳状態にあるためにリソース確保に失敗した回数を保持し、その回数と所定の回数とを比較し、リソース確保に失敗した回数が前記所定の回数に達していない場合に、リソース確保に失敗した無線APに無線リンク切断要求を送信し、リソース確保に失敗した回数が前記所定の回数に達している場合には、ハンドオーバ失敗通知を前記VoIP呼制御装置に送信することを特徴とする請求項6に記載のアクセス制御装置。
【請求項9】
請求項8に記載のアクセス制御装置と前記VoIP呼制御手段とを有する無線IP電話システムであって、前記VoIP呼制御手段は、前記ハンドオーバ失敗通知を前記アクセス制御装置から受信した場合に、前記相手端末に対する呼制御を行うことを特徴とする無線IP電話システム。
【請求項10】
複数の無線APとVoIP呼制御手段とアクセス制御装置とを有する無線IP電話システムにおけるアクセス制御方法であって、
前記アクセス制御装置が、端末からある無線APへ接続がなされたことを契機として、データリンク層における前記端末の識別情報である下位レイヤ識別情報と無線AP識別情報とを含む端末登録要求を前記無線APから受信し、当該無線APの識別情報を前記下位レイヤ識別情報に対応付けて記憶手段に登録する下位レイヤ登録ステップと、
前記アクセス制御装置が、前記端末の呼制御で用いられる識別情報である上位レイヤ識別情報と前記下位レイヤ識別情報とを含む端末登録要求を前記VoIP呼制御手段から受信し、当該上位レイヤ識別情報を下位レイヤ識別情報に対応付けて前記記憶手段に登録する上位レイヤ登録ステップと、
前記VoIP呼制御手段が、前記端末への着信または前記端末からの発信に係る呼接続要求を受信し、リソース予約要求を前記アクセス制御装置に送信するステップと、
前記アクセス制御装置が、前記リソース予約要求を受信したことを契機として、当該要求に含まれる前記端末の上位レイヤ識別情報に基づき前記記憶手段を検索して前記端末を収容する前記無線APを検出し、前記無線APにおける前記端末に対する通信リソースの割り当て制御を行うリソース制御ステップとを有し、
前記VoIP呼制御手段が前記端末と相手端末間での呼接続処理を行い、前記端末が前記相手端末と通信中の状態において、前記端末が、接続中の無線APの配下から、他の無線APである移動先無線APの配下に移動した場合に、
前記端末から前記移動先無線APへ接続がなされたことを契機として、前記移動先無線APは、前記端末の下位レイヤ識別情報と前記移動先無線APの識別情報とを含む端末登録要求を前記アクセス制御装置に送信し、
前記端末登録要求を受信した前記アクセス制御装置は、前記移動先無線APの識別情報を前記下位レイヤ識別情報及び前記上位レイヤ識別情報に対応付けて前記記憶手段に登録し、前記VoIP呼制御手段からの要求を受けることなく、前記無線APにおいて前記端末に対して割り当てられていた通信リソースを解放し、前記移動先無線APが輻輳状態でない場合に、前記移動先無線APにおいて前記端末に対する通信リソースの確保を行うことを特徴とするアクセス制御方法。
【請求項11】
複数の無線APとVoIP呼制御手段とを有する無線IP電話システムにおけるアクセス制御装置であって、
端末からある無線APへ接続がなされたことを契機として、データリンク層における前記端末の識別情報である下位レイヤ識別情報と無線AP識別情報とを含む端末登録要求を前記無線APから受信し、当該無線APの識別情報を前記下位レイヤ識別情報に対応付けて記憶手段に登録する下位レイヤ登録手段と、
前記端末の呼制御で用いられる識別情報である上位レイヤ識別情報と前記下位レイヤ識別情報とを含む端末登録要求を前記VoIP呼制御手段から受信し、当該上位レイヤ識別情報を下位レイヤ識別情報に対応付けて前記記憶手段に登録する上位レイヤ登録手段と、
前記端末への着信または前記端末からの発信に係る呼接続要求を受信した前記VoIP呼制御手段から当該端末に対するリソース予約要求を受信し、当該要求に含まれる前記端末の上位レイヤ識別情報に基づき前記記憶手段を検索して前記端末を収容する前記無線APを検出し、当該無線APが輻輳状態にあるか否かの判定結果を取得するリソース判定手段とを有し、
前記無線APが輻輳状態である場合に、前記アクセス制御装置は、前記端末との無線リンク切断要求を前記無線APに送信し、前記無線リンク切断要求を受信した前記無線APから無線リンク切断指示を受信した前記端末が他の無線APへの接続を行ったことを契機として、前記下位レイヤ登録手段は、前記他の無線APの識別情報を前記下位レイヤ識別情報及び前記上位レイヤ識別情報に対応付けて前記記憶手段に登録することを特徴とするアクセス制御装置。
【請求項12】
前記呼接続要求は、相手端末から前記端末への着信に係るものであり、前記リソース判定手段は、前記他の無線APが輻輳状態にあるか否かの判定結果を取得し、
前記他の無線APが輻輳状態にない場合に、前記アクセス制御装置は、前記他の無線APに対するリソース予約を行い、前記VoIP呼制御手段に、リソース予約に成功したことを示すメッセージを送信することを特徴とする請求項11に記載のアクセス制御装置。
【請求項13】
請求項12に記載のアクセス制御装置と前記VoIP呼制御手段とを有する無線IP電話システムであって、前記VoIP呼制御手段は、前記リソース予約に成功したことを示すメッセージを受信したことに応じて、前記呼接続要求に基づく呼接続処理を継続することを特徴とする無線IP電話システム。
【請求項14】
請求項11に記載のアクセス制御装置と前記VoIP呼制御手段とを有する無線IP電話システムであって、
前記呼接続要求は、前記端末から相手端末への発信に係るものであり、前記リソース判定手段は、前記他の無線APが輻輳状態にあるか否かの判定結果を取得し、前記他の無線APが輻輳状態にない場合に、前記VoIP呼制御手段は、前記端末から再度受信する呼接続要求に基づき、前記端末と前記相手端末との間の呼接続処理を行うことを特徴とする無線IP電話システム。
【請求項15】
前記アクセス制御装置は、前記端末が接続した無線APが輻輳状態にあるためにリソース予約に失敗した回数を保持し、その回数と所定の回数とを比較し、リソース予約に失敗した回数が前記所定の回数に達していない場合に、リソース予約に失敗した無線APに無線リンク切断要求を送信し、リソース予約に失敗した回数が前記所定の回数に達している場合には、無線APが輻輳状態にあることを示すメッセージを前記VoIP呼制御装置に送信することを特徴とする請求項11に記載のアクセス制御装置。
【請求項16】
複数の無線APとVoIP呼制御手段とアクセス制御装置とを有する無線IP電話システムにおけるアクセス制御方法であって、
前記アクセス制御装置が、端末からある無線APへ接続がなされたことを契機として、データリンク層における前記端末の識別情報である下位レイヤ識別情報と無線AP識別情報とを含む端末登録要求を前記無線APから受信し、当該無線APの識別情報を前記下位レイヤ識別情報に対応付けて記憶手段に登録する下位レイヤ登録ステップと、
前記アクセス制御装置が、前記端末の呼制御で用いられる識別情報である上位レイヤ識別情報と前記下位レイヤ識別情報とを含む端末登録要求を前記VoIP呼制御手段から受信し、当該上位レイヤ識別情報を下位レイヤ識別情報に対応付けて前記記憶手段に登録する上位レイヤ登録ステップと、
前記VoIP呼制御手段が、前記端末への着信または前記端末からの発信に係る呼接続要求を受信するステップと、
前記アクセス制御装置が、前記VoIP呼制御手段から前記端末に対するリソース予約要求を受信し、当該要求に含まれる前記端末の上位レイヤ識別情報に基づき前記記憶手段を検索して前記端末を収容する前記無線APを検出し、当該無線APが輻輳状態にあるか否かの判定結果を取得するリソース判定ステップと、
前記無線APが輻輳状態である場合に、前記アクセス制御装置が、前記端末との無線リンク切断要求を前記無線APに送信するステップと、
前記無線リンク切断要求を受信した前記無線APから無線リンク切断指示を受信した前記端末が他の無線APへの接続を行ったことを契機として、前記アクセス制御装置が、前記他の無線APの識別情報を前記下位レイヤ識別情報及び前記上位レイヤ識別情報に対応付けて前記記憶手段に登録するステップとを有することを特徴とするアクセス制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【図51】
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【図52】
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【図53】
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【図54】
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【図55】
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【図56】
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【図57】
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【図58】
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【図59】
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【図60】
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【図61】
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【図62】
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【図63】
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【図64】
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【公開番号】特開2007−135194(P2007−135194A)
【公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−264774(P2006−264774)
【出願日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【出願人】(000102717)エヌ・ティ・ティ・ソフトウェア株式会社 (43)
【Fターム(参考)】