説明

アンテナ装置

【課題】受信回路が外部からのノイズによる悪影響を受けにくい構造のアンテナ装置を得る。
【解決手段】平面部10を有する親基板20上に、「逆F型」の平面アンテナであるUHFアンテナ1を、平面部10が平面視して受信回路21の全面を覆うように設ける。UHFアンテナ1は平面部10の所定のエッジから下方に向けて延設される給電端部11、短絡端部12及びシールド端部13a〜13daを備え、シールド端部13a〜13dはそれぞれGND部25に接続され、シールド端部13a〜13dと給電端部11とのそれぞれ給電・シールド間距離は、給電端部11,短絡端部12間の給電・短絡間距離の2倍以上に設定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、受信回路を有する基板上に平面アンテナを有するアンテナ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話等の受信回路を有する機器が用いる平面アンテナとして例えば特許文献1に開示された「逆L型」の平面アンテナがある。特許文献1で開示された平面アンテナは基板上から離隔して設けられており、使用者によるアンテナの同調ずれの問題を軽減している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4611299号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
受信回路は、外部より悪影響を及ぼすノイズを受けると受信感度が劣化する性質を有している。しかしながら、特許文献1で開示されたような従来の平面アンテナでは、基板に設けられた受信回路が外部からのノイズに受ける受信性能の劣化に対する対策は何ら施していないというという問題点があった。
【0005】
この発明は上記問題点を解決するためになされたもので、受信回路が外部からのノイズによる悪影響を受けにくい構造のアンテナ装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る請求項1記載のアンテナ装置は、受信回路、所定長の配線を介して接地するスタブ部及び接地部を表面に有する基板と、前記基板に設けられ、前記受信回路の上方に配置される平面部を有する逆F字型の平面アンテナとを備え、前記平面部は平面視して前記受信回路の全面を覆い、前記平面アンテナは、各々が前記平面部から下方に向けて延設される給電部及び短絡部を含み、前記給電部は前記受信回路に接続され、前記短絡部は前記スタブ部に接続され、前記給電部と前記短絡部とは所定の距離を呈し、前記平面アンテナは、前記平面部から下方に向けて延設される少なくとも一つのシールド部をさらに備え、前記少なくとも一つのシールド部はそれぞれ前記接地部に接続され、前記少なくとも一つのシールド部それぞれと前記給電部との距離は、前記所定の距離の2倍以上に設定される。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1記載のアンテナ装置であって、前記平面部は少なくとも一つの開口部を有する。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1あるいは請求項2記載のアンテナ装置であって、前記少なくとも一つのシールド部はそれぞれコンデンサを介して前記接地部に接続される。
【発明の効果】
【0009】
この発明における請求項1記載のアンテナ装置において、平面アンテナは、平面部から下方に向けて延設される少なくとも一つのシールド部をさらに備えている。
【0010】
このため、外部から受けるノイズを平面部及び少なくとも一つのシールド部を介して接地部に逃がすことにより、平面部下方の受信回路をノイズから効果的に保護することができる。
【0011】
また、給電部,少なくとも一つのシールド部間の距離は、給電部,短絡部間の所定の距離の2倍以上に設定されているため、シールド部の存在がアンテナ機能に影響を及ぼすこともない。
【0012】
その結果、請求項1記載の本願発明であるアンテナ装置は、受信回路が外部からのノイズによる悪影響を受けにくい構造を呈することができる効果を奏する。
【0013】
請求項2記載の本願発明において、平面アンテナの平面部に少なくとも一つの開口部を設けることによって、平面アンテナによる同調周波数の微調整を行うことができ、同調周波数精度の向上を図ることができる。
【0014】
請求項3記載の本願発明において、少なくとも一つのシールド部をコンデンサを介して接地部に接続することにより、少なくとも一つのシールド部が各々特定の周波数に対するノイズ除去機能が優れたフィルタ的働きを発揮することができる。
【0015】
その結果、少なくとも一つのコンデンサの容量値を適切に設定して、受信回路に影響を与えるノイズのみ選択的に除去するようにすることにより、平面アンテナのアンテナ機能にほとんど影響を与えることなく、平面部下方の受信回路をノイズから効果的に保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】この発明の実施の形態1であるのアンテナ装置における「逆F字」の平面アンテナであるUHFアンテナの構成を模式的に示す斜視図である。
【図2】実施の形態1のアンテナ装置の全体構成を模式的に示す斜視図である。
【図3】実施の形態1のアンテナ装置におけるUHFアンテナと平面部との平面視位置関係及び電気的接続関係を模式的に示す平面図である。
【図4】この発明の実施の形態2のアンテナ装置で用いられるUHFアンテナの構造を模式的に示す斜視図である。
【図5】この発明の実施の形態3で用いられるUHFアンテナの電気的接続関係を模式的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<実施の形態1>
(UHFアンテナ1)
図1はこの発明の実施の形態1であるのアンテナ装置における「逆F字」の平面アンテナであるUHFアンテナの構成を模式的に示す斜視図である。
【0018】
同図に示すように、UHFアンテナ1は平面部10、給電端部11、短絡端部12及びシールド端部13a〜13dから構成される。
【0019】
平面部10は矩形状の平面形状を呈しており、後述する受信回路を平面視して完全に覆う広さを有している。平面部10の図中前方のエッジ10fから直角に折れ曲がり、下方に延在して給電端部11が設けられる。同様にエッジ10fから直角に折れ曲がり、下方に延在して短絡端部12が設けられる。
【0020】
給電端部11,短絡端部12間は例えば20mm以下の比較的近接した給電・短絡間距離D1(所定の距離)で配置される。給電端部11は後述する受信回路21に電気的に接続され、短絡端部12は後述するGND接続用スタブ22(枝のように分岐する短い配線)に電気的に接続される。
【0021】
一方、エッジ10fに対し図中右側に位置するエッジ10rから直角に折れ曲がり、下方延在してシールド端部13aが設けられる。さらに、エッジ10fに対向するエッジ10bから、各々が直角に折れ曲がり下方に延在してシールド端部13b〜13dが設けられる。そして、シールド端部13a〜13dの先端は親基板20の表面に接する。
【0022】
シールド端部13a〜13dは後述するGND(グラウンド)部25に電気的に接続される。また、詳述するが、給電端部11からシールド端部13a〜13dまでの給電・シールド間距離D2a〜D2dは給電・短絡間距離D1の2倍以上の長さに設定される。
【0023】
(全体構成)
図2は実施の形態1のアンテナ装置の全体構成を模式的に示す斜視図である。同図に示すように、親基板20の表面に受信回路21、GND接続用スタブ22、IC部23、電源回路24及びGND部25が設けられる。さらに、給電端部11、短絡端部12及びシールド端部13a〜13dの先端を親基板20の表面上に密着させ、受信回路21の上方に平面部10が配置されるようにUHFアンテナ1が親基板20上に設けられる。
【0024】
図3はUHFアンテナ1と平面部10との平面視位置関係及び電気的接続関係を模式的に示す平面図である。
【0025】
同図に示すように、UHFアンテナ1の平面部10は平面視して受信回路21の全面を覆うように設けられる。また、給電端部11は受信回路21に電気的に接続され、短絡端部12はGND接続用スタブ22を介して接地される。なお、接地される部分を含めてGND接続用スタブ22を単に「スタブ部」と称する。
【0026】
一方、シールド端部13dはそれぞれGND部25に電気的に接続される。なお、説明の都合上、GND部25を一つのまとまった領域として示したが、GND部25として一般的なGND配線等を用いることは勿論可能である。
【0027】
このようにUHFアンテナ1を設けることにより、主として平面部10の形状、給電・短絡間距離D1及びスタブ部におけるGND接続用スタブ22の配線長によって、UHFアンテナ1の同調周波数は決定され、アンテナとして必要な利得を得ることができる。また、比較的広い形状の平面部10を有することによってUHFアンテナ1は高利得でアンテナの周波数帯域を広くとることができる。
【0028】
図2において、給電端部11,シールド端部13a〜13d間の給電・シールド間距離D2a〜D2dは、前述したように、給電端部11,短絡端部12間の給電・短絡間距離D1の2倍以上の長さに設定されているため、シールド端部13a〜13dはUHFアンテナ1によるアンテナ機能にはほとんど関与しない。
【0029】
シールド端部13a〜13dは外部からノイズを平面部10、シールド端部13a〜13dを介してGND部25に逃がすことができるため、平面部10下方の受信回路21をノイズから効果的に保護することができる。すなわち、UHFアンテナ1は、平面部10、シールド端部13a〜13dによって、受信回路21をノイズから保護するシールド機能を発揮することができる。この際、比較的広い形状の平面部10を有することによってUHFアンテナ1はシールド効果をより高くすることができる。
【0030】
このように、実施の形態1のアンテナ装置において、UHFアンテナ1は平面部10から下方に向けて延設されるシールド端部13a〜13dを備え、シールド端部13a〜13dはそれぞれGND部25に接続されている。
【0031】
このため、外部から受けるノイズを平面部10及びシールド端部13a〜13dを介してGND部25に逃がすことにより、平面部10下方の受信回路21をノイズから効果的に保護することができる。
【0032】
また、給電端部11,シールド端部13a〜13d間の給電・シールド間距離D2a〜D2dは、給電端部11,短絡端部12間の給電・短絡間距離D1の2倍以上に設定されているため、シールド端部13a〜13dの存在がアンテナ機能に影響を及ぼすこともない。
【0033】
その結果、実施の形態1のアンテナ装置は、受信回路21が外部からのノイズによる悪影響を受けにくい構造を呈することができる。
【0034】
<実施の形態2>
図4はこの発明の実施の形態2であるアンテナ装置で用いられるUHFアンテナ2の構造を模式的に示す斜視図である。同図に示すように、平面部10に複数の開口部14を設けたことを特徴としている。UHFアンテナ2の他の構造及びアンテナ装置内におけるUHFアンテナ2の配置及び電気的に接続関係は、図1〜図3で示した実施の形態1と同様である。
【0035】
このように、実施の形態2のアンテナ装置において、UHFアンテナ2の平面部10に複数の開口部14を設けることによって、UHFアンテナ2による同調周波数の微調整を行うことができ、同調周波数精度の向上を図ることができる。
【0036】
<実施の形態3>
図5はこの発明の実施の形態3で用いられるUHFアンテナ3の電気的接続関係を模式的に示す斜視図である。同図に示すように、シールド端部13a〜13dとGND部25との間にコンデンサC13a〜C13dを介挿している。そして、コンデンサC13a〜C13d間で各々の容量値を変えている。なお、UHFアンテナ3の構造、アンテナ装置内における配置及び他の電気的に接続関係は、図1〜図3で示した実施の形態1と同様である。
【0037】
このように、実施の形態3のアンテナ装置において、シールド端部13a〜13dをコンデンサC13a〜C13dを介してGND部25に接続することにより、シールド端部13a〜13d及びコンデンサC13a〜C13dが各々特定の周波数に対するノイズをGND部25に逃がすことができる。
【0038】
その結果、コンデンサC13a〜C13dの容量値を適切に設定して、受信回路21に影響を与えるノイズのみ選択的に除去するようにすることにより、UHFアンテナ3のアンテナ機能にほとんど影響を与えることなく、平面部10下方の受信回路21をノイズから効果的に保護することができる。
【0039】
なお、図4で示した実施の形態2のアンテナ装置において、実施の形態3のように、シールド端部13a〜13dをコンデンサC13a〜C13dを介してGND部25に接続する態様を行うことも勿論可能である。この場合、実施の形態3の効果に加え、実施の形態3のアンテナ装置の効果をさらに発揮することができる。
【0040】
<その他>
本実施の形態で示した、UHFアンテナ1〜3によって平面視して全面を覆われる受信回路21は、フィルタ、増幅器、発信器、混合器、検波器、信号変換器等からなる一般的に理解可能な全ての受信回路を含み、少なくともフィルタを除く、増幅器、発信器、混合器、検波器及び信号変換器を有する受信回路を意味する。
【0041】
また、本実施の形態では、アンテナとしてUHFアンテナ1〜3を示したが「UHF」以外のアンテナにも採用できることは勿論である。
【符号の説明】
【0042】
1〜3 UHFアンテナ
10 平面部
11 給電端部
12 短絡端部
13a〜13d シールド端部
14 開口部
20 親基板
21 受信回路
22 GND接続用スタブ
25 GND部
C13a〜C13d コンデンサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
受信回路、所定長の配線を介して接地するスタブ部及び接地部を表面に有する基板と、
前記基板に設けられ、前記受信回路の上方に配置される平面部を有する逆F字型の平面アンテナとを備え、前記平面部は平面視して前記受信回路の全面を覆い、
前記平面アンテナは、各々が前記平面部から下方に向けて延設される給電部及び短絡部を含み、前記給電部は前記受信回路に接続され、前記短絡部は前記スタブ部に接続され、前記給電部と前記短絡部とは所定の距離を呈し、
前記平面アンテナは、前記平面部から下方に向けて延設される少なくとも一つのシールド部をさらに備え、前記少なくとも一つのシールド部はそれぞれ前記接地部に接続され、前記少なくとも一つのシールド部それぞれと前記給電部との距離は、前記所定の距離の2倍以上に設定される、
アンテナ装置。
【請求項2】
請求項1記載のアンテナ装置であって、
前記平面部は少なくとも一つの開口部を有することを特徴とする、
アンテナ装置。
【請求項3】
請求項1あるいは請求項2記載のアンテナ装置であって、
前記少なくとも一つのシールド部はそれぞれコンデンサを介して前記接地部に接続されることを特徴とする、
アンテナ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−235337(P2012−235337A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−102970(P2011−102970)
【出願日】平成23年5月2日(2011.5.2)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】