説明

アンモニアを貯蔵および送出する方法ならびに化学錯体からのアンモニアの脱離のための電磁放射の使用

アンモニアを貯蔵および送出する方法、ならびに化学錯体からのアンモニアの脱離のための電磁放射の使用。固体の金属アンミン錯体は、排気ガス中のNOの選択的接触還元において還元剤として使用するために放出されるアンモニアの安全で高濃度な貯蔵に利用される。金属アンミン錯体の組成式は、M(NH(式中、Mz+はアンモニアを結合することができる1種または複数の金属イオンを表し、Xは1種または複数の陰イオンを表し、nは配位数(2〜12)であり、zは金属イオンの価数(したがって、電荷補償陰イオンの電荷の総数)である)である。アンモニアは、金属イオンに配位結合しているアンモニア間の錯体結合の電磁波照射を使用した光子による活性化によって非熱的に放出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンモニアを固形で貯蔵するための、および電磁放射を使用した固体貯蔵材料からのアンモニアの放出によるアンモニアの送出のための固体貯蔵材料を利用するシステムのための、金属アンミン錯体の使用に関する。アンモニアは放出されると、燃焼過程からの排気ガス中のNOの選択的接触還元(SCR)における還元剤として使用することができる。
【0002】
可動式もしくは携帯用ユニットにおける、または液体アンモニアの貯蔵が非常に危険である特別の化学合成経路における、アンモニア使用の他の用途もまた本発明の実施形態であると考えられる。
【背景技術】
【0003】
現在の環境規制によって、NO排出の制御のため、自動車両、ボイラーおよび炉からの排気ガスの処理において、触媒の使用が必要とされる。特に、ディーゼルまたは他の希薄燃焼(ガソリン)機関を備えた乗り物は、改良された燃料経済性という利点を提供するが、従来の自動車排気触媒(三元触媒)を使用したNOの接触還元は、排気ガス中の高い酸素含量のために実現可能ではない。その代わりに、選択的接触還元(SCR)は、固定式および可動式ユニットの両方において排気ガス中のNOの要求される低レベルを達成するために有用であると証明された。このようなシステムにおいて、NOの高変換を達成することができるSCR触媒に入る前に、排気ガスに還元剤を注入することによって、NOは排気ガスから連続的に除去される。
【0004】
これまで、最も効率的な還元剤は、アンモニアガス、アンモニア水、または間接的に水に溶解させた尿素として、制御された注入によって通常排気ガス中に導入されるアンモニアであった。全ての場合において、添加される還元剤の量は、非常に正確に制御しなくてはならない。多すぎる量の還元剤を注入すると、排気ガス中のアンモニアスリップをもたらし、一方少なすぎる量の還元剤を注入すると、NOの最適な変換が果たされない。
【0005】
多くの可動式ユニットにおいて、利用可能な技術は、尿素水溶液を還元剤として使用することである。これは、このような方法によって、液体アンモニアの輸送に関連する潜在的な危険または安全性の問題が解消されるためである。しかし、尿素水を還元剤として使用することに関していくつかの不都合がある。まず、尿素溶液を使用するのに、十分な量のアンモニアの輸送を可能にするための比較的大きい貯蔵容量を使用できることが必要となる。典型的なシステムにおいて、約30重量%の尿素溶液が好ましく、これは尿素溶液を保持している容器の約70重量%は水を輸送することだけに使用されることを意味する。操作中に、尿素溶液は排気ガスに噴霧され、液滴が蒸発し、尿素はアンモニアに分解(1つの尿素分子が、NH2分子および1個のCOを形成する)され、これは質量では、尿素分子中のアンモニアのおおよそ50重量%である。アンモニア水溶液を還元剤として使用することによって、同様の濃度のアンモニアを達成することができる。さらに、水溶液を使用した技術のため、a)尿素水が、所望の(および動的変化する)流量で排気システムに送出されること、ならびにb)触媒に入る前に、溶液が微細な液滴として気相中に効率的に分散されることを確実にするために、精密な液体ポンプと組み合わせた特別に設計した噴霧ノズルが必要である。さらに、極端な気象条件で水溶液が凍結する可能性があり、または尿素溶液に単に沈殿物が形成され、それが添加システム、例えばノズルを遮断する可能性がある。したがって、全てのラインを加熱しなくてはならない。さらに、尿素の分解が望まれるほど進行しない場合がある。ポリマー(メラミン)の固体沈着物の形態の副生成物を生じる望ましくない副反応が生じる場合があり、所与の量の尿素から放出された遊離アンモニアの量は分解条件によって変化する場合があるため、このような副反応によって、厳密に一定量のアンモニアを添加することも困難となる。
【0006】
全体的にこれらの困難のために、汚染対策において、特に可動式ユニットに関連して、SCR技術使用の可能性が限定される場合がある。これらの困難を回避するために、本発明は、SCR触媒システムに入る前に、アンモニアを排気ガスに輸送し、添加するための代替方法を案出する。
【0007】
本出願人の同時係属の国際出願第PCT/DK2005/00516号に開示されているように、金属アンミン塩は、アンモニアの固体貯蔵媒体として使用することができ、そしてまたアンモニアは選択的接触還元における還元剤として使用され、自動車両、ボイラーおよび炉からのNO排出を減少させることができる。したがって、金属アンミン塩は、アンモニアのための固体貯蔵媒体を構成し、これはアンモニアの貯蔵および輸送のための安全で実用的な選択肢となる。通常アンモニアは、外部加熱によって好ましい金属アンミン塩から熱的に放出される(例えば、欧州特許第EP0932440(B1)号を参照されたい)。金属アンミン塩は容器中に保持され、そこから放出されたアンモニアは、制御可能なバルブを通って所望の割合で排気ガスに直接添加される。容器とバルブとの間に、システムの制御性を増すために小さい緩衝液容量があってもよい。有用な金属アンミン塩は、一般式M(NH(式中、Mz+は、アンモニアに結合することができる1つまたは複数の金属イオン(例えば、Mは、Li、Mg、Ca、Sr、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Znなどでよい)であり、nは配位数(2〜12)であり、Xは1つまたは複数の陰イオンであり、Xの代表例は、F、Cl、Br、I、SO、MoO、POなどである)を有する。
【0008】
アンモニア放出の間に、当初の金属アンミン塩M(NHは、M(NH(m<nである)に徐々に転換される。全ての所望のアンモニアが放出された場合、結果として生じたM(NHは通常、アンモニアを含有するガス流による吸収処理によって、M(NHに戻すことができる。
【0009】
金属アンミン錯体の典型的なアンモニア含量は、20〜60重量%、好ましくは30重量%超の範囲である。一例として、Mg(NHClなどの典型的で高価でない化合物は、51.7重量%のアンモニアを含有する。本出願人の同時係属の国際出願第PCT/DK2006/00059号に開示されている方法などの圧縮方法を使用して、液体アンモニアの単位体積当たりのアンモニア濃度の90%超のアンモニア濃度を得ることが可能である。
【0010】
本出願人の技術を使用することによって、アンモニア水および尿素水溶液の両方よりも、(容積基準および重量基準の両方で)有意に高い濃度のアンモニアの貯蔵が可能となる。いくつかの金属アンミン塩では、全てのアンモニアを放出して、次いで結果として生じた材料を多くのサイクルにおいて当初の金属アンミン塩に転換することが可能である。これは明らかに好ましい実施形態を構成する。さらに、アンモニアはガスの形態で直接送出される(これは、流量制御システムの単純性のため、および還元剤であるアンモニアと排気ガスとの効率的混合のための両方に、それ自体が利点である)が、液体をベースとしたシステムにおける沈殿または不純物による添加システムの遮断に関連する潜在的な困難をまた排除する。
【0011】
可動式ユニットのためには、可動式ユニットから容易に分離され、新しい金属アンミンの容器と置き換えることができる容器中に、金属アンミンを保持することが特に有用である。好ましい実施形態では、金属アンミン容器は、再利用され、別の再充填ユニットまたは再充填設備においてアンモニアが再充填される。
【0012】
通常、発熱体の電気抵抗によって生じる通常の加熱によって、または排気ガスからの熱を使用することによって、アンモニアが放出される。それは簡単であるが、いくつかの不利な点が生じる。熱は外部の源から供給されるため、発熱体に近いアンモニアが枯渇した塩と容器自体の両方、ならびに飽和塩もまた加熱される。単に飽和塩の加熱は、アンモニアのさらなる放出をもたらし、容器および不飽和塩に吸収された熱は概ね無駄になる。特に、非定常状態の操作では、このエネルギーは各開始および停止サイクルの間に失われる。さらに、熱を、通常の熱伝導によって、発熱体から不飽和(枯渇した)塩を通って飽和塩に伝えなくてはならないため、システムの応答時間が限定される。この時間応答は長い場合があり、それによってアンモニア放出の制御がより困難となり、起動時間を長引かせる。機関を起動させた後最初の5〜10分において、排出制御のためにこれは非常に重要である。したがって、容器中の固体材料からのアンモニアの効率的な放出のための新規な方法および装置は、この技術分野において魅力的である。
【特許文献1】国際出願第PCT/DK2005/00516号
【特許文献2】欧州特許第EP0932440(B1)号
【特許文献3】国際出願第PCT/DK2006/00059号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、アンモニアを貯蔵および送出する方法に関し、前記方法は、
(a)容器を提供するステップと、
(b)前記容器中にアンモニア吸収材料を入れるステップと、
(c)アンモニアの気相への光子活性化(非熱的)放出のための、電磁放射による前記アンモニア吸収材料を照射するための手段を提供するステップと
を含む。
【0014】
第2の態様では、本発明は、燃焼機関または燃焼過程の酸素含有排気ガスからNOを除去するためのシステムに関し、このシステムは、
− 固体アンモニア貯蔵材料を有する容器と、
− 電磁放射による材料の照射によって、固体から気相にアンモニアを放出するための手段と、
− 容器から排気ガス中にアンモニアガスを導入するための手段と、
− 添加されたアンモニアとの反応によってNOを減少させるための触媒と、
− 触媒の下流のガスからのアンモニアスリップを最小化する一方で、高いNO変換を得るために、NOとアンモニアとの最適な割合をもたらすためのアンモニアの量を制御するための手段と
を含む。
【0015】
第3の態様では、本発明は、アンモニアガスおよび還元触媒を使用することによって、燃焼機関または燃焼過程の酸素含有排気ガス中のNOの選択的接触還元のためにアンモニアを提供するための装置に関し、この装置は、
− 固体アンモニア貯蔵材料を含有するための容器と、
− アンモニアの気相への光子活性化(非熱的)放出のための、電磁放射による前記アンモニア貯蔵材料を照射するための手段と、
− NO還元触媒の前に、容器から排気ライン中にアンモニアガスを導入するための手段と、
− 機関の操作条件に応じて、排気ラインに導入されるアンモニアの量を制御するための手段と
を含む。
【0016】
第4の態様では、本発明は、イオン性塩の形態の化学錯体からのアンモニアの脱離のための電磁放射の使用に関する。
【0017】
図面を参照しながら、本発明をより詳細に開示する。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明において、アンミン錯体中に貯蔵されたアンモニア分子の活性化は、通常の熱脱離とは対照的に、電磁放射の形態で行われる。化学物質は、分子または化学錯体中の異なるエネルギー準位またはエネルギー帯の間の遷移に対応する特定の波長で電磁放射を吸収する。吸収事象において、エネルギーは、電磁放射の光子から化学物質における特定の自由度に対して送出され、熱平衡からかけ離れている局在励起をもたらす。したがって、正しい放射周波数を選択することによって、特定の自由度を選択的に励起することができる。例えば、吸収する塩におけるアンモニアと金属イオンとの錯体結合である。このようにして、直接的で非熱的な脱離を実現することができる。本発明によると、いくつかの材料では、結合したアンモニアが放射の吸収をもたらす波長は、対応する不飽和材料の吸収領域外であることが見出された。これによって、不飽和(枯渇した)塩が実質的に放射に対し透過性であり、エネルギーが、不飽和塩を加熱することなく塩の飽和した部分の反応フロントで光子として直接供給されるという理想的状態をもたらす。
【0019】
これは、単に外部加熱するよりもいくつかの利点をもたらす。システムの他の部分を不必要に加熱することなく、必要な場所に正確に活性化エネルギーが供給され、したがって効率性が向上する。したがって、システムの応答時間は有意に減少する。さらに、このシステムは一般に、アンモニア圧力と材料の温度との平衡状態より低い温度で作動するため、容器の偶発的な破裂の場合に、放射を止めることによってアンモニアの放出をほぼ直ちに止めることができる。これによって安全性が向上する。
【0020】
好ましい実施形態では、アンモニア貯蔵/添加システムは、下記の構成要素を含む。容器中の貯蔵材料は、(例えば、IR透過性ガラスの窓を通して)IRエミッターのフラットパネルに露出しており、このIRエミッターは一方の側から全貯蔵量を照射する。貯蔵容器は、所与の量の(当初は)飽和金属アンミン塩を保持し、枯渇した材料を通して透過されたIR放射を反射するために、容器の壁は大体において磨き面である。次いで、容器からのアンモニアの流れは、任意選択の緩衝液容量に移動し、次いでアンモニア消費プロセス、例えば排気システムにおけるDeNOxプロセスに添加されるアンモニアの量を正確に制御する添加バルブに送られる。
【0021】
他の好ましい実施形態では、IRエミッターは、貯蔵材料で周りを囲んだ容器中に置かれる棒状型、例えば円柱の形状である。
【0022】
さらに他の好ましい実施形態では、非常に多い量の枯渇した材料を通して照射する必要性を回避することができるように、必要とされる貯蔵材料の全塊が、いくつかの(ある程度)同一の送出モジュールに再分割されている。
【0023】
好ましい実施形態では、材料の取り扱いを安全なものとし、(容器中のアンモニア圧力が例えば5バールを決して超えないであろうため)貯蔵容器に厚い壁を設ける必要性を減らすために、貯蔵材料はアンモニアの蒸気圧が室温で非常に低い物質である。
【0024】
さらに他の好ましい実施形態では、この材料はMgClであり、これは完全飽和形態ではMg(NHClである。
【0025】
好ましい用途において、この概念はアンモニア添加装置に適用され、この装置ではアンモニアはIR放射によって放出され、次いでNOの選択的接触還元によってNO排出を減少させるためにDeNOx触媒の上流の排気ガスに添加される。
【0026】
他の好ましい用途は、アンモニアを消費する様々な種類の用途への、アンモニアを貯蔵し、提供するための方法の使用である。これらの用途には、安全上の理由によって液体アンモニアとしてのアンモニアの貯蔵が許容されない場合の、アンモニアが関与する化学合成経路が含まれる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
本発明の好ましい実施形態を示す図面を参照しながら、本発明をここでさらに詳細に説明する。
【0028】
アンモニア耐性の合金鋼またはアンモニア耐性のポリマーから適切に作られたタンク(1)(このタンクは、当初はアンモニア飽和材料を含有する)を有する本発明の装置の実施形態を示す図1を参照する。導管によって、アンモニアはタンク(1)からバルブ(2)を通って緩衝液タンク(3)に導かれ、そこからバルブ(4)によって制御される導管によって、アンモニア流は排気ライン(5)に流れ込む。タンク(1)の一面は、アンモニアをIRエミッターのパネル(6)から分離しているIR放射に対し透過性である材料で作った窓または蓋(7)である。材料が、透過性窓または蓋(7)を通してIRエミッターのパネル(6)からの光子で照射された場合、アンモニアが材料から放出される。タンク、緩衝液、バルブおよび接続管は、それ自体公知の方法でアンモニアに耐性の材料から作られている。
【0029】
図2は、本発明の装置の他の実施形態を示し、ここでは、当初アンモニア飽和材料を含有するタンク(1)が、例えば円柱として容器内に置かれたIRエミッターのパネル(6)からの光子で照射され、光子は、エミッターをアンモニアから分離するための透過性ガラスまたは材料(7)を通して透過される。図1の実施形態におけるように、緩衝液(3)およびバルブ(2、4)は、貯蔵容器から排気ライン(5)へのアンモニアの流れを制御する。
【0030】
図3は、新鮮な(アンモニアが飽和した)および枯渇したMgClの吸収スペクトルを示す。枯渇した試料は、枯渇した塩の試料(数ミリグラム)が使用された貯蔵ユニットからIR装置に取られた場合に、乾燥MgClにおける吸湿のためのOH帯に相当する吸収ピークを示している。材料が実ユニット中に含有されている場合は、枯渇した材料が湿った空気に曝されないであろうため、これらの吸収バンドは現れないであろう。飽和材料と枯渇した材料との500〜4000cm−1の範囲のIR吸収の差は非常に大きい。乾燥した枯渇した塩はIR透過性に近く、一方NH含有材料は、同じ範囲においてかなりの光子吸収を有する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の装置の実施形態を示す図である。
【図2】本発明の装置の他の実施形態を示す図である。
【図3】アンモニアが飽和したMgCl、およびアンモニアが枯渇したMgClの吸収スペクトルを示す図である。
【符号の説明】
【0032】
1 タンク
2 バルブ
3 緩衝液
4 バルブ
5 排気ライン
6 IRエミッターのパネル
7 透過性窓または蓋

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)容器を提供するステップと、
(b)前記容器中にアンモニア含有材料を入れるステップと、
(c)アンモニアの気相への光子活性化(非熱的)放出のための、電磁放射による前記アンモニア含有材料を照射するための手段を提供するステップと
を含む、アンモニアを貯蔵および送出する方法。
【請求項2】
前記アンモニア含有材料がアンモニアで飽和している、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記放射の波長スペクトルが、前記アンモニア含有材料の1つまたは複数の吸収ピークに適合するように選択される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記放射の波長スペクトルが、不飽和(または枯渇した)前記アンモニア吸収材料の吸収ピークの特に外側であるように選択される、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記放射の1つまたは複数の波長が、マイクロ波領域、赤外領域、可視領域または紫外領域内である、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記アンモニア吸収材料が、一般式M(NH(式中、Mは、Li、Na、KまたはCsなどのアルカリ金属、Mg、Ca、SrまたはAlなどのアルカリ土類金属、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、CuまたはZnなどの遷移金属、あるいはNaAl、KAl、KZn、CsCuまたはKFeなどのこれらの組合せから選択される1つまたは複数の陽イオンであり、Xは、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、硝酸イオン、チオシアン酸イオン、硫酸イオン、モリブデン酸イオンおよびリン酸イオンから選択される1つまたは複数の陰イオンであり、aは、塩1分子当たりの陽イオンの数であり、zは、塩1分子当たりの陰イオンの数であり、nは、2〜12の配位数である)のイオン性塩の形態の化学錯体である、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記イオン性塩が、MgCl、CaCl、SrClまたはそれらの混合物である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記アンモニア含有材料が、密なブロック、棒、円柱リング、または立方体などの縁のあるユニットに圧縮された、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記放射の波長が、1〜15マイクロメートルである、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記放射が細長い容器の一端から放出される、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記放射が、アンモニア貯蔵材料で周りを取り囲んだ前記容器内部の円柱状の源から放出される、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記放射が前記容器のいくつかの表面から放出される、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
アンモニアの放出速度が前記放射の正確な制御によって決定される、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
アンモニアの放出が、低減バルブ、流量調整器、バルブまたは同様のタイプの装置によってさらに制御される、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
放出されたアンモニアが、燃焼過程からの排気ガス中のNOの選択的接触還元において使用される、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
放出されたアンモニアが、ディーゼル、ガソリン、天然ガスまたは任意の他の化石燃料によって燃料を供給される固定式および可動式燃焼機関からのNO排出削減において使用される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
放出されたアンモニアが、メタノール、エタノール、水素、メタン、エタンまたは任意の他の合成燃料によって燃料を供給される固定式および可動式燃焼機関からのNO排出削減において使用される、請求項15に記載のアンモニア貯蔵/送出方法。
【請求項18】
放出されたアンモニアが、石炭、天然ガス油または任意の他の化石燃料によって燃料を供給される固定式および可動式発電装置からのNO排出削減において使用される、請求項15に記載のアンモニア貯蔵/送出方法。
【請求項19】
放出されたアンモニアが、メタノール、エタノール、水素、メタン、エタンまたは任意の他の合成燃料によって燃料を供給される固定式および可動式発電装置からのNO排出削減において使用される、請求項15に記載のアンモニア貯蔵/送出方法。
【請求項20】
固体アンモニア貯蔵材料を有する容器と、
電磁放射による前記材料の照射によって、前記固体から気相にアンモニアを放出するための手段と、
前記容器から排気ガス中にアンモニアガスを導入するための手段と、
添加されたアンモニアとの反応によってNOを減少させるための触媒と、
触媒の下流のガスからのアンモニアスリップを最小化する一方で、高いNO変換を得るために、NOとアンモニアとの最適な割合をもたらすためのアンモニアの量を制御するための手段と
を含む、燃焼機関または燃焼過程の酸素含有排気ガスからのNO除去のためのシステム。
【請求項21】
固体アンモニア貯蔵材料を含有するための容器と、
アンモニアの気相への光子活性化(非熱的)放出のための、電磁放射による前記アンモニア貯蔵材料を照射するための手段と、
NO還元触媒の前に、前記容器から排気ラインにアンモニアガスを導入するための手段と、
前記機関の操作条件に応じて、前記排気ラインに導入されるアンモニアの量を制御するための手段と
を含む、アンモニアガスおよび還元触媒を使用することによって、燃焼機関または燃焼過程の酸素含有排気ガスにおけるNOの選択的接触還元のためにアンモニアを提供するための装置。
【請求項22】
自動車、トラック、列車、船舶または任意の他のモーター付機械に適用される、請求項15に記載のNOの還元のために使用するための請求項21に記載の装置。
【請求項23】
電気を発生させる発電装置に適用される、請求項15に記載のNOの還元のために使用するための請求項21に記載の装置。
【請求項24】
イオン性塩の形態の化学錯体からのアンモニアの脱離のための電磁放射の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2009−528482(P2009−528482A)
【公表日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−555626(P2008−555626)
【出願日】平成19年2月27日(2007.2.27)
【国際出願番号】PCT/DK2007/000092
【国際公開番号】WO2007/095955
【国際公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【出願人】(506320842)
【Fターム(参考)】