説明

イヤホンおよびループアンテナ

【課題】 ループアンテナを内蔵したイヤホンおよびループアンテナを提供する。
【解決手段】 ループ形状部分は、ユーザの首に掛けて使用する部分である。ユーザは、多極コネクタ5と多極コネクタ6を外してループ形状部分を広げた状態で首に掛け、その後、多極コネクタ5と多極コネクタ6を接続する。ループアンテナ4は、多極コネクタ5、6を接続することにより、複数回ループしたループアンテナとすることができる。これにより、AM放送用の比較的長い電波波長に対応した所望のアンテナ長とすることができる。また、音響信号線9、10もループアンテナ4に併設し、レシーバ7、8に接続される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ループアンテナを内蔵したイヤホンおよびループアンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
イヤホンマイク接続コードの途中にラジオを内蔵したイヤホンマイクがある(例えば、特許文献1参照。)。この特許文献1のラジオを内蔵したイヤホンマイクは携帯電話に接続される。そして、イヤホンマイクで携帯電話の通話およびラジオ音声の聴取を行うことができる。
【特許文献1】特開2001−308979号公報(第1頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の背景技術に開示されたイヤホンマイクおよび携帯電話には、ラジオ用のアンテナに関する記載がない。特に、AMラジオの場合、AM用アンテナのエレメント長は長いために、その実装をどのように行うかという問題がある。
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたもので、ループアンテナを内蔵したイヤホンおよびループアンテナを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するために、本発明のイヤホンは、少なくとも1回ループするアンテナ線と、前記アンテナ線のループの開始および終了点に位置する分岐部と、前記アンテナ線のループの途中に設けられて当該アンテナ線を電気的に接続する第1接点を有する第1コネクタと、前記第1コネクタの第1接点と勘合して前記アンテナ線を電気的に接続する第2接点を有する第2コネクタと、音声を出力する音響レシーバと、前記分岐部を経由し、前記第2コネクタと前記分岐部との間の前記アンテナ線の少なくとも一部に併設して配線され、前記分岐部側の端部が音響信号源に接続され、他の端部が前記音響レシーバに接続される音響信号線とを具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、ループアンテナを内蔵したイヤホンおよびループアンテナとすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明の実施例を、図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0007】
実施例1は、ループアンテナと一体化してユーザの首に掛けるネックレス型のイヤホンに関する。
図1は、本発明の実施例1に係るイヤホンと携帯電話の外観図である。イヤホン100は携帯電話200に接続して使用される。イヤホン100は、イヤホンプラグ1、AMラジオ2、分岐ブロック3、ループアンテナ4、多極コネクタ5(第2コネクタ)、多極コネクタ6(第1コネクタ)、レシーバ7、レシーバ8などにより構成される。イヤホンプラグ1は、携帯電話200のイヤホンジャック23に接続される。AMラジオ2は、AMラジオ放送の受信機能を有する。分岐ブロック3は、ループアンテナ4で分岐する起点である。ループアンテナ4は、多極コネクタ5と多極コネクタ6が接続された状態でループを形成し、AMラジオ放送の受信アンテナとしてAMラジオ2に接続される。多極コネクタ5と多極コネクタ6は一対のコネクタである。レシーバ7、レシーバ8は、ユーザへの音声出力用であり、レシーバ7はユーザの左耳用、レシーバ8はユーザの右耳用である。レシーバ7、レシーバ8は、イヤホンタイプやヘッドホンタイプであってもよい。
【0008】
携帯電話200は、表示部20、スピーカ21、操作キー22、イヤホンジャック23などを有する。
イヤホン100と携帯電話200が接続された状態で、ラジオ機能、電話機能について説明する。AMラジオ2用の電源は、携帯電話200から供給される。表示部20は、AMラジオ2の選局情報やボリューム情報、又は電話機能についての情報などが表示される。スピーカ21又はレシーバ7、8には、AMラジオ2の音声や電話音声が出力される。操作キー22は、AMラジオ2の選局やボリューム調整、又は電話機能用として使われる。
【0009】
図2は、本発明の実施例1に係るイヤホンのループアンテナ部分の接続図と断面図である。(a)は接続図、(b)、(c)はループ形状部分の断面図である。
(a)において、ループ形状部分は、ユーザの首に掛けて使用する部分である。ユーザは、多極コネクタ5と多極コネクタ6を外してループ形状部分を広げた状態で首に掛け、その後、多極コネクタ5と多極コネクタ6を接続する。そして、レシーバ7とレシーバ8を耳に装着する。
【0010】
多極コネクタ5と多極コネクタ6が接続されると、それぞれの接点5a(第2接点)と接点6a(第1接点)が電気的に接続される。AMラジオ2からのループアンテナ4の2本の線材の内の1本は、分岐ブロック3からループ形状の図示した右側を経由し、接点6a、接点5aを経由し、ループ形状の図示した左側を経由して、分岐ブロック3へ戻り、1回転目のループとなる。更に、ループ形状の右側、接点6a、接点5a、ループ形状の左側を経由することを繰り返し、1本の連続した3回転分のループアンテナとなる。
【0011】
AMラジオ放送の電波波長は比較的長いが、このループ形状により、所望のアンテナ長さを確保することができる。また、ループ形状の大きさに合わせて、ループ回転数を適宜選ぶことにより、所望のアンテナ長とすることができる。その場合、ループ回転数に合わせた接点数の多極コネクタを用いればよい。ループ形状が小さい場合でも、多極コネクタを開いてユーザの首に掛けた後、多極コネクタを接続することにより、ユーザの首に掛けることができる。
【0012】
太線で示した音響信号線9、10は、携帯電話200からの音声信号や、ラジオ2の音声信号が伝達される。音響信号線9は、音声信号のリターン線を含む2本の線からなるペア線であり、分岐ブロック3からループ形状の左側を経由し、多極コネクタ5を経由してレシーバ7に接続される。この音響信号線9を構成する2本は、配線を分離することはしない。すなわち、音響信号線9の内の1本をループ形状の左側を通し、音響信号線9の内の他の1本をループ形状の右側を通すことはしない。左側と右側をそれぞれ通すと、音響信号線9自体がループアンテナ4と同様にループ形状となってしまい、ループアンテナ4の性能に悪影響を及ぼしてしまう。
【0013】
音響信号線10も、音声信号のリターン線を含む2本の線からなるペア線であり、分岐ブロック3からループ形状の右側を経由し、多極コネクタ6を経由してレシーバ8に接続される。この音響信号線10を構成する2本は、音響信号線9と同様の理由で、配線を分離することはしない。
ループ形状部分は、点線で示した被覆11により覆われて保護される。
【0014】
(b)は、(a)接続図のA−A方向から見た断面図の1例である。平型の構造とし、ループ形状の内側、すなわち、人体に接する側を磁性体12とし、ループ形状の外側にループアンテナ4の線材を配置した構造である。この平型の構造は、また、ある程度の剛性を持ち、捩れない構造とし、常に磁性体12がループ形状の内側に向くものとする。
【0015】
人体は電波の吸収体であり、人体とループアンテナ4の線材との距離が近いと受信電波感度を低下させてしまうが、人体とループアンテナ4の線材との間に磁性体12を配置することにより、受信電波感度の低下を防ぐことができる。
【0016】
(c)は、(a)接続図のA−A方向から見た断面図の他の例である。丸型の構造とし、中心部にループアンテナ4の線材を配置する。また、断面の直径を5mm程度以上の大きさとする。これにより、人体とループアンテナ4の線材との距離を数mm以上確保することができ、受信電波感度の低下を防ぐことができる。
【0017】
なお、断面構造は、平型や丸型に限らず、他の形状であってもよい。
また、図1、図2において、レシーバ7とレシーバ8への配線は、多極コネクタ5と多極コネクタ6の部分を経由して配線したが、多極コネクタ5と多極コネクタ6の部分を経由せずに、被覆11の途中部分から引き出して配線してもよい。
また、レシーバ7とレシーバ8は、どちらか一方のみを設けてもよい。
また、図1、図2において、AMラジオ2と分岐ブロック3は、別々の構成としたが、まとめて1つの構成であってもよい。
【0018】
図1、図2の実施例によれば、多極コネクタを用いて、ループ回転数を増やして、AMラジオ放送の所望のアンテナ長を確保することができる。また、多極コネクタ5、6を着脱することにより、ループ形状部分をユーザの首へ装着することが容易に行うことができる。また、音響信号線も実装したループアンテナとすることが可能となる。
【0019】
図3は、本発明の実施例1の他の例に係るイヤホンのループアンテナ部分の接続図である。図2との相違点は、レシーバ7とレシーバ8部分を取り外せる構造にした点である。図2と同一部分については同じ番号を付して、相違点を主に説明する。
【0020】
イヤホン14は、市販されている汎用製品であり、レシーバ7、レシーバ8、イヤホンプラグ13、線材などで構成される。イヤホンプラグ13は、端子数4個であり、レシーバ7の信号線2本とレシーバ8の信号線2本が接続される。多極コネクタ5は、接点5aとは別に、端子数4個のイヤホンジャック5b(第3接点)を備える。そして、イヤホン14のイヤホンプラグ13と多極コネクタ5のイヤホンジャック5bが着脱自在に接続される。
【0021】
AMラジオ2からの音響信号線9(2本)は、ループ形状部分の左側を経由して、イヤホンジャック5bの端子2本に接続される。AMラジオ2からの音響信号線10(2本)は、同様に、ループ形状部分の左側を経由して、イヤホンジャック5bの端子2本に接続される。音響信号線9を構成する2本は、まとめて、ループ形状部分の左側を通る。音響信号線10を構成する2本も、まとめて、ループ形状部分の左側を通る。
なお、レシーバ7とレシーバ8を取り外した場合でも、AMラジオ2の音声は、携帯電話200のスピーカ21から音声を出力できる。
【0022】
図3の実施例によれば、図2の効果に加えて、イヤホン14が着脱自在に接続可能であるため、ユーザは、市販の好みのイヤホンを使用することができるようになる。
【0023】
図4は、本発明の実施例1の他の例に係るイヤホンのループアンテナ部分の接続図である。図2との相違点は、多極コネクタ5と多極コネクタ6を分岐ブロック3の近傍に設けた点である。
【0024】
分岐ブロック3は、多極コネクタ5及びその接点5a(第4接点)を内蔵する構造である。この多極コネクタ5に、多極コネクタ6が着脱自在に接続される。レシーバ7とレシーバ8への音響信号線9、10の配線は、被覆11の途中部分から引き出して配線される。
【0025】
図4の実施例によれば、ループ形状が小さい場合でも、多極コネクタを開いてユーザの首に掛けた後、多極コネクタを接続することにより、ユーザの首に掛けることができる。その他の効果も図2と同様である。
【実施例2】
【0026】
実施例2は、ユーザの手首に掛けるブレスレット型のループアンテナに関する。用途は、部屋の入出場管理などに用いられる。
図5は、本発明の実施例2に係るブレスレット型のループアンテナの接続図と断面図である。(a)は接続図、(b)はループ形状部分の断面図である。実施例1の図2と同じ機能部分については同じ番号を付している。実施例1との相違点は、イヤホン部分がないこと、ICブロックにICチップを内蔵している点などである。
【0027】
無線通信を行うICカードなどの周波数帯は、各種の周波数帯があり、比較的低い周波数帯も規格化されている。低い周波数帯の場合、アンテナ長が長いため、通常のICカードではアンテナの搭載がむずかしい。長いアンテナ長を確保し、携帯性も良くするために、ブレスレット型を提案する。
【0028】
ループアンテナ4のループ部分は、ユーザの手首に掛ける部分である。アンテナ長を確保するために、ループ回数を適宜増やすことで対応する。また、手首への装着性を良くするために、多極コネクタ5、6を着脱する。ICブロック15は、ICチップ16を搭載し、ループアンテナ4の端部が接続される。ICチップ16は、ICカードなどと同様の通信処理、信号処理、受信電波による発電処理などを有する。
【0029】
(b)は、(a)接続図のA−A方向から見た断面図の1例である。ループアンテナ4のループ部分には、ユーザの手首が挿入されるため、電波が吸収されて電波感度が低下してしまうが、ユーザの手首とループアンテナ4の線材との間に磁性体12を配置することにより、受信電波感度の低下を防ぐことができる。
【0030】
本発明の実施例2によれば、多極コネクタを用いて、ループ回転数を増やして、低周波数帯の所望のアンテナ長を確保することができる。また、多極コネクタ5、6を着脱することにより、ループ形状部分をユーザの手首へ装着することが容易に行えるようになる。そして、小型で携帯性の良い入出場管理などに使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の実施例1に係るイヤホンと携帯電話の外観図。
【図2】本発明の実施例1に係るイヤホンのループアンテナ部分の接続図と断面図。
【図3】本発明の実施例1の他の例に係るイヤホンのループアンテナ部分の接続図。
【図4】本発明の実施例1の他の例に係るイヤホンのループアンテナ部分の接続図。
【図5】本発明の実施例2に係るブレスレット型のループアンテナの接続図と断面図。
【符号の説明】
【0032】
1 イヤホンプラグ
2 AMラジオ
3 分岐ブロック
4 ループアンテナ
5 多極コネクタ
5a 接点
5b イヤホンジャック
6 多極コネクタ
6a 接点
7、8 レシーバ
9、10 音響信号線
11 被覆
12 磁性体
13 イヤホンプラグ
14 イヤホン
15 ICブロック
16 ICチップ
20 表示部
21 スピーカ
22 操作キー
23 イヤホンジャック
100 イヤホン
200 携帯電話

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1回ループするアンテナ線と、
前記アンテナ線のループの開始および終了点に位置する分岐部と、
前記アンテナ線のループの途中に設けられて当該アンテナ線を電気的に接続する第1接点を有する第1コネクタと、
前記第1コネクタの第1接点と勘合して前記アンテナ線を電気的に接続する第2接点を有する第2コネクタと、
音声を出力する音響レシーバと、
前記分岐部を経由し、前記第2コネクタと前記分岐部との間の前記アンテナ線の少なくとも一部に併設して配線され、前記分岐部側の端部が音響信号源に接続され、他の端部が前記音響レシーバに接続される音響信号線とを
具備することを特徴とするイヤホン。
【請求項2】
少なくとも1回ループするアンテナ線と、
前記アンテナ線のループの開始および終了点に位置する分岐部と、
前記アンテナ線のループの途中に設けられて当該アンテナ線を電気的に接続する第1接点を有する第1コネクタと、
前記第1コネクタの第1接点と勘合して前記アンテナ線を電気的に接続する第2接点および音響信号線を電気的に接続する第3接点を有する第2コネクタと、
前記分岐部を経由し、前記第2コネクタと前記分岐部との間の前記アンテナ線に併設して配線され、前記分岐部側の端部が音響信号源に接続され、他の端部が前記第2コネクタの第3接点に接続される音響信号線とを
具備することを特徴とするイヤホン。
【請求項3】
少なくとも1回ループするアンテナ線と、
前記アンテナ線のループの途中に設けられて当該アンテナ線を電気的に接続する第1接点を有する第1コネクタと、
前記アンテナ線のループの開始および終了点に位置し、前記第1コネクタの第1接点と勘合して前記アンテナ線を電気的に接続する第4接点を有する分岐部と、
音声を出力する音響レシーバと、
前記分岐部を経由し、前記アンテナ線の少なくとも一部に併設して配線され、前記分岐部側の端部が音響信号源に接続され、他の端部が前記音響レシーバに接続される音響信号線とを
具備することを特徴とするイヤホン。
【請求項4】
少なくとも1回ループするアンテナ線と、
前記アンテナ線のループの開始および終了点に位置し、ICチップを搭載するICブロック部と、
前記アンテナ線のループの途中に設けられて当該アンテナ線を電気的に接続する第1接点を有する第1コネクタと、
前記第1コネクタの第1接点と勘合して前記アンテナ線を電気的に接続する第2接点を有する第2コネクタとを
具備することを特徴とするループアンテナ。
【請求項5】
前記ループ形状の前記アンテナ線よりも内心側に磁性体を設けたことを特徴とする請求項4に記載のループアンテナ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−61011(P2008−61011A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−236804(P2006−236804)
【出願日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】