説明

インソールおよび靴

【課題】本願発明の課題は、歩行等に際して足指が的確に使用することができるインソールおよび靴を提供することにある。
【課題手段】本願発明に係るインソールとしての特徴は、靴の底部に装着されるインソール100であって、靴の底部に装着された状態において着用者の足の足指に当接する足指当接部120が、弾性変形可能な部材によって構成されているとともに、前記足指当接部120は、前記着用者の足の触球が当接する靴の底部よりも、表面が高くなるように設けられていることにある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、靴の底部に取付けられるインソール、および、特殊な底部を有する靴に関するものである。
【背景技術】
【0002】
本来、人が歩行する際には、足指およびかかとを用いて歩行を行うのであるが、靴を着用する現代人においては、かかとと触球とのみを用いて歩行を行う者も多く存在する。つまり、靴の内部では足指の可動性がほとんどなく、足指を的確に使用することができずに、歩行がなされている。このため、歩行に際して、足の形状を安定させる靭帯に負担をかけすぎるという問題を有していた。
【0003】
なお、従来のインソールや靴の底部の形状は種々のものが考案されており、主としてクッション性を求めるものであった(たとえば特許文献1)。
【特許文献1】特開2004−313774号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、本願発明は、上記事情に鑑みて創案されたもので、本願発明の課題は、歩行等に際して足指が的確に使用することができるインソールおよび靴を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願発明は、上記課題を解決すべくなされたものであり、本願発明に係るインソールとしての特徴は、靴の底部に装着されるインソールであって、靴の底部に装着された状態において着用者の足の足指に当接する足指当接部が、弾性変形可能な部材によって構成されているとともに、前記足指当接部は、前記着用者の足の触球が当接する靴の底部よりも、表面が高くなるように設けられていることにある。
【0006】
また、本願発明に係る靴にあっては、底部は、着用者の足の足指に当接する足指当接部が、弾性変形可能な部材によって構成されており、該足指当接部が、前記着用者の足の触球が当接する部位よりも、表面が高くなるように設けられていることを特徴とする。
【0007】
上記構成からなる本願発明にあっては、着用者の足の足指が弾性変更可能な部材からなる足指当接部に当接することになり、このため、足指を的確に用いることができるようになる。つまり、着用者の足指が前記足指当接部に当接して、この足指の圧力によって前記足指当接部が変形し、このため、足指を曲げて、足指によって握る・掴むと近似した動作がなされ、今まで足指を的確に使用できなかった者であっても、足指を動かすことができる。また、足指の接地タイミングが早くなるため、足指によって握る・掴む動きを行うことで、接地面を持続的に安定させることができる。また、このような運動がなされるため、たとえばタオルギャザートレーニングと同様に、足底筋を鍛えることができる。これによって、歩行および直立に際しての足裏接地面積の持続的な安定が図られることになり、ひざを曲げた身体の重心を下げた状態とならずに、ひざを伸ばした状態となり、股関節で体重を受けることができ、このため、重心が上部に移動し、上肢・下肢の連結筋の大腰筋がより機能して体幹が安定するという効果が期待される。このため、階段を下りる作業を、ひざを伸ばした状態で行うことができ、ひざに負担をかけない。つまり、たとえば大腰筋があまり機能していない人であっても、接地タイミングを早めることによって、特に階段の下りにも接地面積の持続的な安定が図られる。さらに、西洋人に比べて足のサイズが小さく足幅の広い日本人にあっても、小指から親指への体重移動を適切化することができ、又、同時に膝関節の軸圧があがり股関節に体重が移動することで膝の負担を軽減することができる。これにより、骨盤回旋のバランスの維持、足部・膝関節・股関節・腰部・首への症状(障害)の移行を防止することができる。したがって、これからの老齢社会において、転倒や怪我の予防が可能となるとともに、老人を介護する立場にあっても負担減となる利点が考えられる。
【0008】
なお、本願発明にあっては、足指当接部の頂部の高さを、着用者の足の触球が当接する靴の底部よりも、4mm以上とすることが好ましく、より好ましくは、5mm以上である。また、該足指当接部の頂部の高さを、着用者の足の触球が当接する靴の底部よりも25mm以下とすることが好ましく、より好ましくは20mm以下である。なお、ここで「足指当接部の頂部」とは、足指当接部が平坦面でない場合には、足指当接部のうち最も高い部位を意味する。
【0009】
また、本願発明にあっては、前記足指当接部が、前記着用者の足指のうち、親指に相当する部位が離脱可能に設けられている構成を採用することが好ましい。
【0010】
これによって、外反母趾などの症状を有する者であっても、足指当接部のうち、親指に相当する部位を離脱させることによって、容易に着用することができる。さらに、歩行時において足指当接部の高さを利用し、母指内転筋のはさむ力をおさえる力へと変化させることで、親指への体重移動(あおり)を容易とし、股関節の内・外旋を促進することができ、膝の負担を軽減することができ、また、足底筋を鍛え、大腰筋の強化につながるという効果も期待できる。
【0011】
なお、本願発明にあっては、靴の底部に敷設されるべく靴の底部と略同様の形状に形成されたインソール本体と、該インソール本体のつまさき部分に取付けられた前記足指当接部とからインソールが構成されていることが好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本願発明の実施形態について図1乃至図3を参酌しつつ説明する。
なお、図1は、本願発明の一実施形態のインソールの概略的平面図である。図2は、同実施形態のインソールの概略的側面図である。図3は、同実施形態のインソールの親指当接部位を除去した状態を説明するための概略的平面図である。
【0013】
本実施形態のインソール100は、図1に示すように、靴の底部に敷設されるものであって、靴の底部と略同様の形状に形成されたインソール本体110と、該インソール本体110のつまさき部分に取付けられた足指当接部材120とを備えている。前記足指当接部材120は、5〜20mmの高さ(図2におけるL)を有しており、このため、該足指当接部材120の表面が、前記インソール本体110の表面よりも、5〜20mm高く設けられている。
【0014】
ここで、前記インソール本体110としては、たとえば、天然ゴムや合成ゴム等に表面被覆を施したものを採用することも可能である。
【0015】
また、前記足指当接部材120は、着用者の足の足指に当接する足指当接部材120が、弾性変形可能な部材によって構成されている。具体的には、該足指当接部材120は、たとえばシリコン系素材、ゲル系素材、ウレタン系素材、ポリオレフィン系素材、ポリエチレン系素材等から構成することができる。なお、該足指当接部材120は、一つのシート材から構成することも、複数層のシート材から構成することも適宜設計変更可能な事項である。
【0016】
また、該足指当接部材120は、前記着用者の足指のうち、親指に相当する親指当接部位123と、他の足指(小指等)が当接する足指当接部材本体部位121とに区分けされており、前記親指当接部位123は、前記足指当接部材本体部位121および前記インソール本体110から離脱可能に設けられている。
【0017】
なお、上記実施形態は上記構成からなるものについて説明したが、本願発明はこれに限定されるものではなく、本願発明の意図する範囲内において適宜設計変更可能である。
【0018】
つまり、前記実施形態においては、靴の底部に敷設されるインソール100についてのみ説明したが、たとえば、靴の底部自体が前記実施形態のような構造を有しているものも本願発明の意図する範囲内である。また、前記実施形態のインソール100は、インソール本体110に足指当接部材120が取付けられたものについて説明したが、たとえば足指当接部材120のみからなり靴の底部に取付けることができるものであっても本願発明の意図する範囲内である。また、靴の底部に取付けられるインソールにあっても、運動靴のみならず、たとえばハイヒール等の女性用靴などの種々の靴に適用することも可能である。
【0019】
また、上記実施形態にあっては、足指当接部材120の表面が面一のものについて説明したが、本願発明はこれに限定されない。つまり、たとえば、親指に当接する部位のみ若干低くなった形状となっているものや、また、外側(親指または小指)よりも中央部位(中指)が高くなるようなアーチ状となっているものも本願発明の意図する範囲内である。さらには、側面視において後方(踵側)よりも前方(つま先側)にかけて低くなるような形状の足指当接部も本願発明の意図する範囲内である。
【0020】
また、上記実施形態においては、単一の部材からなる足指当接部材120によって足指当接部を構成するものについて説明したが、本願発明はこれに限定されず、たとえば、複数層からなる足指当接部としたり、別部材を平面的に配したり、複数の部材から足指当接部を構成することも可能である。さらには、弾性を有する足指当接部の剛性が外側よりも中央部位が高く、着用時に前述のようなアーチ状に足指がなるように設けられているものも本願発明の意図する範囲内である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本願発明の一実施形態のインソールの概略的平面図である。
【図2】同実施形態のインソールの概略的側面図である。
【図3】同実施形態のインソールの親指当接部位を除去した状態を説明するための概略的平面図である。
【符号の説明】
【0022】
100 インソール
110 インソール本体
120 足指当接部材
121 足指当接部材本体部位
123 親指当接部位

【特許請求の範囲】
【請求項1】
靴の底部に装着されるインソールであって、
靴の底部に装着された状態において着用者の足の足指に当接する足指当接部が、弾性変形可能な部材によって構成されているとともに、
前記足指当接部は、前記着用者の足の触球が当接する靴の底部よりも、表面が高くなるように設けられていることを特徴とするインソール。
【請求項2】
請求項1記載のインソールであって、
前記足指当接部は、前記着用者の足指のうち、親指に相当する部位が離脱可能に設けられていることを特徴とするインソール。
【請求項3】
請求項1または2記載のインソールであって、
前記靴の底部に敷設されるべく靴の底部と略同様の形状に形成されたインソール本体と、該インソール本体のつまさき部分に取付けられた前記足指当接部とを備えていることを特徴とするインソール。
【請求項4】
底部は、着用者の足の足指に当接する足指当接部が、弾性変形可能な部材によって構成されており、該足指当接部が、前記着用者の足の触球が当接する部位よりも、表面が高くなるように設けられていることを特徴とする靴。
【請求項5】
請求項4記載の靴であって、
前記足指当接部は、前記着用者の足指のうち、親指に相当する部位が離脱可能に設けられていることを特徴とする靴。
【請求項6】
請求項4または5記載の靴であって、
前記靴の底部は、該靴の底部に敷設されるべく靴の底部と略同様の形状に形成されたインソール本体と、該インソール本体のつまさき部分に取付けられた前記足指当接部とを備えたインソールから構成されていることを特徴とする靴。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−244521(P2007−244521A)
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−69840(P2006−69840)
【出願日】平成18年3月14日(2006.3.14)
【出願人】(505216450)有限会社総健創美 (2)
【Fターム(参考)】