説明

インターホンシステム

【課題】居室内で異常が発生した場合、遠隔地にいる第三者に確実に通知することができ、更に双方向の通話を可能とし、確実に異常を通知することが可能なインターホンシステムを提供する。
【解決手段】来訪者が居住者を呼び出すための玄関子機と、前記玄関子機の呼び出しに応答して前記来訪者と通話するための居室親機と、前記居室親機に接続又は一体的に設けられる非常、火災、ガス漏れ等の各種異常を検出するための異常検出部とから構成されるインターホンシステムであって、前記居室親機は、前記異常検出部から異常が検出されたときに携帯端末に異常を通知するため当該携帯端末の識別情報を記憶する携帯情報記憶部を備え、前記携帯端末は、前記居室親機から異常通知を受信したとき、他の端末と通話中であっても強制的に当該居室端末と通話を開始するための強制通話操作部と、前記強制通話操作部を操作したとき、前記居室親機と前記携帯電話間の双方向通話路を形成する制御を行う携帯端末CPUを備えたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インターホンシステムに係わり、特に居室内で異常を検出した場合、複数の携帯端末に通知することで確実に第三者に異常を通知し、さらに双方向の通話を可能とすることができるインターホンシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、居室内で非常、火災、ガス漏れ等の異常状態となると、インターホンの居室親機及び玄関子機で異常通知がおこなわれるとともに、携帯端末にメール等で通知をおこなうことで遠隔地にいる場合でも異常を知ることができるものであった(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000-299740号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のインターホンシステムにあっては、遠隔地への通知がメールでおこなわれており、それを確認するのにタイムラグが生じてしまう虞があり、迅速な対応をおこなうことができないものであった。
また、携帯端末を呼び出して通話することができる場合であっても、その携帯端末が通話中の場合、圏外にある場合や電源が入っていない場合には対応することができない虞があった。
【0005】
本発明はこの点に鑑みて提案されたもので、居室内で異常が発生した場合、遠隔地にいる第三者に確実に通知することができ、更に双方向の通話を可能とし、確実に異常を通知することが可能なインターホンシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の目的を達成するため、本発明の第1の態様であるインターホンシステムは、来訪者が居住者を呼び出すための玄関子機と、前記玄関子機の呼び出しに応答して前記来訪者と通話するための居室親機と、前記居室親機に接続又は一体的に設けられる非常、火災、ガス漏れ等の各種異常を検出するための異常検出部とから構成されるインターホンシステムであって、前記居室親機は、前記異常検出部から異常が検出されたときに携帯端末に異常を通知するため当該携帯端末の識別情報を記憶する携帯情報記憶部を備え、前記携帯端末は、前記居室親機から異常通知を受信したとき、他の端末と通話中であっても強制的に当該居室端末と通話を開始するための強制通話操作部と、前記強制通話操作部を操作したとき、前記居室親機と前記携帯電話間の双方向通話路を形成する制御を行う携帯端末CPUを備えたことを特徴とする。
【0007】
また、本発明の第2の態様であるインターホンシステムは、請求項1において、前記携帯情報記憶部は、前記携帯端末の識別情報を複数記憶するものであることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の第3の態様であるインターホンシステムは、請求項1又は請求項2において、前記携帯端末には、無線LANアクセスポイントを介して通信を行う無線LAN通信部と、移動体通信基地局を介して通信を行う移動体通信部の双方を備える通信手段を備え、前記居室親機は、室内に備えられた前記無線LANアクセスポイントと前記無線LAN通信部との間で通信が可能なときには、前記強制通話操作部の操作を無効とする制御をおこなう居室親機CPUを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の発明によれば、携帯端末が他の端末と通話中であっても強制的に居室親機と通話することができるので異常情報を確実に伝達することができる。請求項2の発明によれば、通話中以外で通知できない場合、例えば、携帯端末が電波の届かない場所にあり圏外となっている場合や電源OFFの場合であっても、同時に他の携帯端末に通知することができるので、より確実に異常情報を伝達することができる。請求項3の発明によれば、室内に通知先である携帯端末があり、当該携帯端末と通信できる場合には、他の携帯端末の強制通話操作部を無効とすることで、遠隔地にいる通知先の人を煩わせる必要がなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係る実施形態であるインターホンシステムのシステム構成図である。
【図2】本発明に係る実施形態であるインターホンシステムの居室親機のブロック図である。
【図3】本発明に係る実施形態であるインターホンシステムの携帯端末のブロック図である
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明によるインターホンシステムを適用した好ましい形態の実施例について、図を参照して説明する。
図1は、本発明のインターホンシステムのシステム構成図であり、来訪者が居住者を呼び出すため玄関子機1と、来訪者からの呼び出しに応答して通話するための居室親機2と、人体感知センサ、火災感知器、ガス漏れ警報器、生活異変センサ等の異常検知センサ3と、室内若しくは屋外にいる居住者又はその関係者が携行する携帯端末4a、4b、4cと、当該携帯端末と通信するための無線LANアクセスポイント5、通信網6、移動体通信基地局7とから構成されている。
【0012】
また、居室親機2は、玄関子機1又は携帯端末4a、4b、4cと通話をするための居室親機通話部21、玄関子機1のカメラ(図示せず)で撮像した映像を出画するための居室親機表示部22、通話操作や各種設定等の操作をおこなうための居室親機操作部23、携帯端末4a、4b、4cの端末情報を記憶するための携帯情報記憶部24、異常検知センサ3と通信するためのセンサ検出部25、玄関子機1と通信をおこなうための第1の通信IF26、無線LANアクセスポイント5と通信するための第2の通信IF27、居室親機2の各部を制御するための居室親機CPU28から構成されている。
【0013】
更に、携帯端末4(4a、4b、4c)は、玄関子機1又は居室親機3と通話をするための携帯端末通話部41、通話先の情報や電話番号等を表示するための携帯端末表示部42、通話操作や各種設定等の操作をおこなうための携帯端末操作部43、携帯端末が通話中に居室親機3から呼び出しがあったときに強制的に居室親機3と通話を開始するための強制通話ボタン44、携帯端末4の所属するエリア(無線LANアクセスポイント5の通信圏内か移動体通信基地局7の通信圏内か)に応じて無線LAN通信部46、移動体通信部47動体通信部の何れと通話路を形成するかを制御するための通信制御部45、電波を受信するアンテナ48、携帯端末4の各部を制御するための携帯端末CPU49から構成されている。
【0014】
このように構成されたインターホンシステムについて、以下、動作を説明する。なお、来訪者が玄関子機1を操作して居住者を呼び出し、それを確認した居住者が居室親機2で応答して通話する点、呼出時若しくは通話時に玄関子機1で撮像された映像が居室親機2に出画される点については従来と同様であるので説明を省略し、本実施例では異常検知センサ3が異常を検知して携帯端末4(4a、4b、4c)に通知する場合について説明する。人体感知センサ、火災感知器、ガス漏れ警報器、生活異変センサ等の異常検知センサ3が異常を検知するとセンサ検出部25を介して居室親機CPU28に通知する。居室親機CPU28では居室親機通話部21、居室親機表示部22から異常が発生したことを通知する。また、居室親機CPU28は、必要に応じて第1の通信IF26を介して玄関子機1から警報を発報するように制御する。これを確認した居住者又は通行人が異常状況を確認して対処することができる。
【0015】
このような状況において、予め携帯情報記憶部24に複数の端末情報が記憶されている場合には、居室親機CPU28は、上述の異常検知センサ3が異常を検知したことを受信すると携帯情報記憶部24に記憶された端末情報を読み出して全ての携帯端末4(4a、4b、4c)に呼び出し制御をおこなう。具体的には、第2の通信IF27を介して携帯端末4(4a、4b、4c)を呼び出すための呼出信号を無線LANアクセスポイント5に送信する。当該無線LANアクセスポイントは室内にある携帯端末4a及び通信網6及び移動体通信基地局7を介して屋外にある携帯端末4b、4cの呼び出しをおこなう。
【0016】
各携帯端末4(4a、4b、4c)では、当該呼出信号をアンテナ48を介して受信する。各携帯端末4(4a、4b、4c)では、自分の属するエリア(無線LANアクセスポイント5の通信圏内か移動体通信基地局7の通信圏内か)に応じて通信制御部45が通信路を形成しているため携帯端末4aでは無線LAN通信部46、携帯端末4b、4cでは移動体通信部47を介して上記呼出信号を受信することができる。このとき、呼出信号を受信した携帯端末4(4a、4b、4c)が他の端末と通話中である場合には、携帯端末CPU49の制御により強制通話ボタン44を有効にする制御をおこなう。具体的には、通話中に「ピッ、ピッ、ピッ」といった割り込み音を報音させるとともに携帯端末表示部42に強制通話ボタン44が有効であることを表示させる制御をおこなう。
【0017】
これを確認した携帯端末4(4a、4b、4c)を携行している居住者が、強制通話ボタン44を操作すると、これまで通話していた他の端末との通話を終了するとともに居室親機2との通話路を形成する制御がおこなわれる。携帯端末4aにあっては、携帯端末通話部41、携帯端末CPU49、通信制御部45、無線LAN通信部46、アンテナ48を介して無線LANアクセスポイント5と通信し、居室親機2の居室親機通話部21と通話をおこなうことができる。また、携帯端末4b、4cにあっては、携帯端末通話部41、携帯端末CPU49、通信制御部45、移動体通信部47、アンテナ48、移動体通信基地局7、通信網6を介して無線LANアクセスポイント5と通信し、居室親機2の居室親機通話部21と通話をおこなうことができる。
【0018】
このように複数の携帯端末4(4a、4b、4c)に対して呼び出しをおこなうため、携帯端末4(4a、4b、4c)の何れかが電源OFFとなっていたり、電波の届かない圏外にいる場合であっても他の携帯端末と通信することで対応を確実におこなうことができる。
【0019】
なお、携帯端末4aのように1乃至複数の無線LANアクセスポイント5のうち室内に備えられた無線LANアクセスポイント5の通信圏内にいる端末に呼び出しがおこなわれ、通話を開始できる状態であれば、居室親機CPU28の制御により移動体通信基地局7の通信範囲内にある携帯端末4b、4cに表示される強制通話操作部44の操作を無効とする、若しくは表示をおこなわないように制御をおこなうこともできる。これにより、近くにいる人が対応することができるので、遠隔地にいる通知先の人を煩わせる必要がなくなる。
【符号の説明】
【0020】
1・・・ 玄関子機
2・・・ 居室親機
21・・・ 居室親機通話部
22・・・ 居室親機表示部
23・・・ 居室親機操作部
24・・・ 携帯情報記憶部
25・・・ センサ検出部
28・・・ 居室親機CPU
3・・・ 異常検知センサ
4・・・ 携帯端末
41・・・ 携帯端末通話部
42・・・ 携帯端末表示部
43・・・ 携帯端末操作部
44・・・ 強制通話ボタン
45・・・ 通信制御部
46・・・ 無線LAN通信部
47・・・ 移動体通信部
48・・・ アンテナ
49・・・ 携帯端末CPU
5・・・ 無線LANアクセスポイント
6・・・ 通信網
7・・・ 移動体通信基地局



【特許請求の範囲】
【請求項1】
来訪者が居住者を呼び出すための玄関子機と、前記玄関子機の呼び出しに応答して前記来訪者と通話するための居室親機と、前記居室親機に接続又は一体的に設けられる非常、火災、ガス漏れ等の各種異常を検出するための異常検出部とから構成されるインターホンシステムであって、
前記居室親機は、前記異常検出部から異常が検出されたときに携帯端末に異常を通知するため当該携帯端末の識別情報を記憶する携帯情報記憶部を備え、
前記携帯端末は、前記居室親機から異常通知を受信したとき、他の端末と通話中であっても強制的に当該居室端末と通話を開始するための強制通話操作部と、前記強制通話操作部を操作したとき、前記居室親機と前記携帯電話間の双方向通話路を形成する制御を行う携帯端末CPUを備えたことを特徴とするインターホンシステム。
【請求項2】
前記携帯情報記憶部は、前記携帯端末の識別情報を複数記憶するものであることを特徴とする請求項1記載のインターホンシステム。
【請求項3】
前記携帯端末には、無線LANアクセスポイントを介して通信を行う無線LAN通信部と、移動体通信基地局を介して通信を行う移動体通信部の双方を備える通信手段を備え、
前記居室親機は、室内に備えられた前記無線LANアクセスポイントと携帯端末の前記無線LAN通信部との間で通信が可能なときには、移動体通信基地局の通信範囲内にある携帯端末に表示される前記強制通話操作部の操作を無効とする制御をおこなう居室親機CPUを備えたことを特徴とする請求項1または2記載のインターホンシステム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−160801(P2012−160801A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−17500(P2011−17500)
【出願日】平成23年1月31日(2011.1.31)
【出願人】(000100908)アイホン株式会社 (777)
【Fターム(参考)】