説明

インドール誘導体の製造方法

【課題】インドール誘導体を製造する方法であって、入手が容易な原料や安価な触媒を用いることができ、ハロゲン化物やカルボン酸塩の生成等の環境上の問題がなく、かつ、大きなスケールでも製造においても、加熱等の反応制御が容易な方法を提供する。
【解決手段】フェニル基を分子内に有するアルコールと、インドール又はその置換体を、3〜5d遷移元素又はインジウムを含有する触媒の存在下、マイクロ波照射により加熱しながら反応させることを特徴とするインドール誘導体の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定構造のアルコール及びインドール又はその置換体を原料としてインドール誘導体を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インドール誘導体は、製薬をはじめ、産業上の種々の分野で利用される重要な有機化合物である。このインドール誘導体を製造する方法としては、例えば非特許文献1に、アリリックな基を有するアルコールとインドールを反応させる方法が開示されている。しかし、この方法は、インドールと等量の塩基を必要とし、製造コストや環境面で問題がある。
【非特許文献1】M. Bandini, A. Melloni, A. Umani-Ronchi、 オーガニック レター、2004年、第6巻、 3199−3202頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、このようなインドール誘導体を製造する方法であって、入手が容易な原料や安価な触媒を用いることができ、ハロゲン化物やカルボン酸塩の生成等の環境上の問題がなく、かつ、大きなスケールでも製造においても、加熱等の反応制御が容易な方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者は、鋭意研究の結果、特定の構造のアルコールとインドール又はその置換体を、3〜5d遷移元素又はインジウムを含有する触媒の存在下、マイクロ波照射しながら反応させることにより、上記の課題が達成できることを見出し、本発明を完成した。
【0005】
即ち、請求項1に記載の発明は、
下記一般式(I):
【0006】
【化1】

(式中、
は、炭素数1〜4のアルキル基、2位が炭素数1〜4のアルキル基もしくはフェニル基で置換されているビニル基、又は、ハロゲン、炭素数1〜4のアルキル基もしくは炭素数1〜4のアルコキシ基で置換されていてもよいフェニル基を表し、
は、ハロゲン、炭素数1〜4のアルキル基もしくは炭素数1〜4のアルコキシ基で置換されていてもよいフェニル基を表し、
は、水素、炭素数1〜4のアルキル基、又は、ハロゲン、炭素数1〜4のアルキル基もしくは炭素数1〜4のアルコキシ基で置換されていてもよいフェニル基を表し、
及びRは、互いに同一又は異なって、水素、炭素数1〜4のアルキル基、又はハロゲン、炭素数1〜4のアルキル基もしくは炭素数1〜4のアルコキシ基で置換されていてもよいフェニル基で表されるインドール誘導体を合成する方法であって、
下記一般式(II):
【0007】
【化2】

(式中、R、R及びRは前記と同じ意味を表す。)
で表されるアルコールと、下記一般式(III):
【0008】
【化3】

(式中、R及びRは前記と同じ意味を表す。)
で表されるインドール又はその置換体を、
3〜5d遷移元素又はインジウムを含有する触媒の存在下、マイクロ波照射により加熱しながら反応させることを特徴とするインドール誘導体の製造方法である。
【0009】
この製造方法では、一般式(II)で表されるアルコール及び一般式(III)で表されるインドール又はその置換体を、塩やハロゲン化物、エステル等の活性種に変換することなく、そのまま反応させる。従って、塩やハロゲン化物、エステル等の活性種に変換する工程が不要であり、この点原料の入手が容易になる。この反応においては、反応物と等量の塩基等は不要であり、従って製造コスト面でも有利であり、環境上の問題も小さい。又、水のみを生成し、ハロゲン化物やカルボン酸塩等の環境上の問題がある化合物を生成しない。
【0010】
又、この製造方法で使用される触媒、3〜5d遷移元素又はインジウムを含有する触媒であり、鉄化合物等の安価な触媒が含まれる。従って、この点からも、製造コストの低減を達成することができる。
【0011】
この製造方法は、反応系の加熱をマイクロ波照射により行うことを特徴とする。本発明者は、鋭意検討の結果、前記の特定の構造のアルコールとインドール又はその置換体の反応を、3〜5d遷移元素又はインジウムを含有する触媒の存在下に行う場合でも、マイクロ波照射による加熱及び反応の促進が可能であることを見出した。マイクロ波照射によれば、反応系は直接加熱されるので、熱伝導や対流による通常の加熱方法を採用した場合と比べ、反応系を短時間で均一に加熱でき、特に反応を大スケールで行う場合その効果が大きく、産業上の意義が大きい。
【0012】
さらに、本発明者は、マイクロ波によれば、磁場成分と相互作用する触媒、例えば、鉄を含む触媒が選択的に直接加熱されること、従って、このような触媒を用いることにより、短時間で均一的に触媒を活性にでき反応が促進される場合があり、製造効率の向上により寄与できることを見出した。マイクロ波照射は、工業用、家庭用として用いられている公知のマイクロ波照射装置を使用して行うことができる。
【0013】
この製造方法に使用する原料である式(II)で表される化合物としては、式(II)におけるRが、炭素数1〜4のアルキル基、2位がフェニル基で置換されたビニル基、又は、ハロゲン、炭素数1〜4のアルキル基もしくは炭素数1〜4のアルコキシ基で置換されていてもよいフェニル基であり、Rが、ハロゲン、炭素数1〜4のアルキル基もしくは炭素数1〜4のアルコキシ基で置換されていてもよいフェニル基であり、かつRが、水素、炭素数1〜4のアルキル基、又は、ハロゲン、炭素数1〜4のアルキル基もしくは炭素数1〜4のアルコキシ基で置換されていてもよいフェニル基であるものが好ましい。式(II)の好ましいこの化合物を用いることにより、式(I)におけるRが、炭素数1〜4のアルキル基、2位がフェニル基で置換されたビニル基、又は、ハロゲン、炭素数1〜4のアルキル基もしくは炭素数1〜4のアルコキシ基で置換されていてもよいフェニル基であり、Rが、ハロゲン、炭素数1〜4のアルキル基もしくは炭素数1〜4のアルコキシ基で置換されていてもよいフェニル基であり、かつRが、水素、炭素数1〜4のアルキル基、又は、ハロゲン、炭素数1〜4のアルキル基もしくは炭素数1〜4のアルコキシ基で置換されていてもよいフェニル基であるインドール誘導体が製造される(請求項2)。
【0014】
中でもRとしては、特に、メチル、エチル、2位がフェニル基で置換されたビニル基、無置換のフェニル基、又は、ハロゲン、メチル、エチルもしくはメトキシで置換されたフェニル基が例示される。なお、2位がフェニル基で置換されたビニル基としては、フェニル基上に置換基を有するものも含まれる。Rとしては、無置換のフェニル基、又は、ハロゲン、メチル、エチルもしくはメトキシで置換されたフェニル基(即ち、フェニル基上に、ハロゲン、メチル、エチル又はメトキシが置換されたもの)が例示される。Rとしては、水素、メチル、エチル、無置換のフェニル基、又は、ハロゲン、メチル、エチルもしくはメトキシで置換されたフェニル基が例示される。
【0015】
又、この製造方法に使用する原料である式(III)で表される化合物としては、式(III)におけるR及びRが、互いに同一又は異なって、水素、メチル基又はフェニル基であるものが好ましい。式(III)の好ましいこの化合物を用いることにより、式(I)におけるR及びRが、互いに同一又は異なって、水素、メチル基又はフェニル基であるインドール誘導体が製造される(請求項3)。なおここで、互いに同一又は異なって、とは、R及びRが同一の基であってもよいし、R及びRが互いに異なる基であってもよいことを意味する。
【0016】
この製造方法での反応は、反応溶媒を用いずに行ってもよいし、反応溶媒を使用して行ってもよい。反応溶媒としては、トルエン等の芳香族炭化水素、クロロベンゼン、ジクロロエタン、アセトニトリル等を挙げることができる。
【0017】
反応温度の好ましい範囲は、原料や溶媒の種類、所望の反応時間、所望の収率により変動し、特に限定されないが、反応温度が高い程反応速度が大きいので、溶媒の沸点以下の範囲で、なるべく高い方が好ましい。なお、反応温度や原料や溶媒の種類等の条件が同じ場合は、熱伝導や対流による従来に加熱方法を採用した場合と比べて、マイクロ波により加熱する本発明の場合は、所望の収率をより短時間で達成することができ、特に大スケールの場合この効果が大きい。
【0018】
反応触媒に用いられる3〜5d遷移元素とは、元素の周期表の、第3〜5周期に含まれる、3〜12族の元素である。特に、スカンジウム、銅、亜鉛及びクロム等の3d遷移元素(第3周期)、ルテニウム、モリブデン及び銀等の4d遷移元素(第4周期)、白金及びタンタル等の5d遷移元素(第5周期)を挙げることができる。又、第4周期に含まれるインジウムは、遷移元素ではないが、これを含む触媒も、本発明において好ましく用いられる。
【0019】
これらの触媒の中では、鉄、スカンジウム、銅、インジウム、亜鉛、ルテニウム又はタンタルを含有する触媒を特に挙げることができる(請求項4)。又、鉄、スカンジウム、銅、インジウム、亜鉛、ルテニウム又はタンタルを含有する触媒としては、これらの元素のハロゲン化物を特に挙げることができる(請求項5)。より具体的には、塩化第2鉄(FeCl)、臭化インジウム(InBr)、塩化インジウム(InCl)等のハロゲン化インジウム、TaI、RuCl、ZnBr等を挙げることができる。
【0020】
さらに、鉄、スカンジウム、銅、インジウム、亜鉛、ルテニウム又はタンタルを含有する触媒としては、Zn(OTf)、Sc(OTf)、Cu(OTf)及びIn(OTf)(式中Tfは、−SO−CFを表す。)も特に挙げることができる(請求項6)。
【発明の効果】
【0021】
本発明の製造方法によれば、入手が容易な原料や安価な触媒を用いてインドール誘導体を製造することができ、ハロゲン化物やカルボン酸塩の生成等の環境上の問題がなく、かつ、大きなスケールでも製造においても、加熱等の反応制御が容易である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、実施例に基づき説明する。なお、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。本発明と同一および均等の範囲において、種々の変更を加えることが可能である。
【実施例】
【0023】
実施例1
下記式(1)で表される2級アルコール1.0mmol、下記式(2)で表されるNメチルインドール1.0mmol、及び塩化第2鉄0.03mmol(Nメチルインドールに対して3mol%)を、反応容器に入れた2.5mlのトルエン中に溶解し、マイクロ波をマイクロ波照射装置(バイオタージ社製:バイオタージ イニシエーター、以下の実施例においても、同じ装置を使用した。)により照射し、110℃に加熱して、15分間、下記式で表される反応を行ったところ、下記式(3)で表されるインドール誘導体を収率98%で得た。
【0024】
なお、収率の測定は、所定の反応時間後、室温まで急冷して得られた試料について、ガスクロマトグラフィーやNMR等の測定を行い、定量することにより行った。以下の実施例においても同様である。
【0025】
【化4】

(式中、Meはメチル基を表す。又Phは無置換のフェニル基を表す。以下、本明細書中において同じである。)
【0026】
実施例2〜6
触媒を塩化第2鉄から、表1に示すものに変えた以外は、実施例1と同じ反応を行い、式(3)で表されるインドール誘導体を得た。その収率を表1に示す。
【0027】
【表1】

【0028】
実施例7〜13
下記式(4)で表される2級アルコール1.0mmol、式(2)で表されるNメチルインドール1.0mmol、及び表2に示す触媒0.03mmol(Nメチルインドールに対して3mol%)を、反応容器に入れた2.5mlのトルエン中に溶解し、マイクロ波をマイクロ波照射装置により照射し、110℃に加熱して、15分間、下記式で表される反応を行ったところ、下記式(5)で表されるインドール誘導体を得た。その収率を表2に示す。
【0029】
【化5】

【0030】
【表2】

【0031】
実施例14〜15
式(1)で表される2級アルコール1.0mmol、下記式(6)で表されるインドール1.0mmol、及び表3に示す触媒0.03mmol(インドールに対して3mol%)を、反応容器に入れた2.5mlのトルエン中に溶解し、マイクロ波をマイクロ波照射装置により照射し、110℃に加熱して、15分間、下記式で表される反応を行ったところ、下記式(7)で表されるインドール誘導体を得た。その収率を表3に示す。
【0032】
【化6】

【0033】
【表3】

【0034】
実施例16〜17
下記式(8)で表される2級アルコール1.0mmol、式(6)で表されるインドール1.0mmol、及び表4に示す触媒0.03mmol(インドールに対して3mol%)を、反応容器に入れた2.5mlのトルエン中に溶解し、マイクロ波をマイクロ波照射装置により照射し、110℃に加熱して、15分間、下記式で表される反応を行ったところ、下記式(9)で表されるインドール誘導体を得た。その収率を表4に示す。
【0035】
【化7】

【0036】
【表4】

【0037】
実施例18〜19
下記式(10)で表される2級アルコール1.0mmol、式(6)で表されるインドール1.0mmol、及び表5に示す触媒0.03mmol(インドールに対して3mol%)を、反応容器に入れた2.5mlのトルエン中に溶解し、マイクロ波をマイクロ波照射装置により照射し、110℃に加熱して、15分間、下記式で表される反応を行ったところ、下記式(11)で表されるインドール誘導体を得た。その収率を表5に示す。
【0038】
【化8】

【0039】
【表5】

【0040】
実施例20〜21
下記式(12)で表される3級アルコール1.0mmol、式(6)で表されるインドール1.0mmol、及び表6に示す触媒0.03mmol(インドールに対して3mol%)を、反応容器に入れた2.5mlのトルエン中に溶解し、マイクロ波をマイクロ波照射装置により照射し、110℃に加熱して、15分間、下記式で表される反応を行ったところ、下記式(13)で表されるインドール誘導体を得た。その収率を表6に示す。
【0041】
【化9】

【0042】
【表6】

【0043】
実施例22〜23
式(12)で表される3級アルコール1.0mmol、式(2)で表されるNメチルインドール1.0mmol、及び表7に示す触媒0.03mmol(Nメチルインドールに対して3mol%)を、反応容器に入れた2.5mlのトルエン中に溶解し、マイクロ波をマイクロ波照射装置により照射し、110℃に加熱して、15分間、下記式で表される反応を行ったところ、下記式(14)で表されるインドール誘導体を得た。その収率を表7に示す。
【0044】
【化10】

【0045】
【表7】

【0046】
実施例24
式(15)で表される3級アルコール1.0mmol、式(6)で表されるインドール1.0mmol、及びInBr(触媒)0.03mmol(Nメチルインドールに対して3mol%)を、反応容器に入れた2.5mlのトルエン中に溶解し、マイクロ波をマイクロ波照射装置により照射し、110℃に加熱して、20分間、下記式で表される反応を行ったところ、下記式(16)で表されるインドール誘導体を収率95%で得た。
【0047】
【化11】

【0048】
実施例25〜26
式(12)で表される3級アルコール1.0mmol、式(2)で表されるNメチルインドール1.1mmol、及び表8に示す触媒0.05mmol(Nメチルインドールに対して5mol%)を、反応容器に入れ、溶媒を用いずに混合し、マイクロ波をマイクロ波照射装置により照射し、110℃に加熱して、表8に示す時間、実施例22〜23の場合と同じ反応式で表される反応を行ったところ、式(14)で表されるインドール誘導体を得た。その収率を表8に示す。
【0049】
【表8】

【0050】
実施例27
式(4)で表される3級アルコール1.0mmol、式(2)で表されるNメチルインドール1.1mmol、及び塩化第2鉄(触媒)0.05mmol(Nメチルインドールに対して5mol%)を、反応容器に入れ、溶媒を用いずに混合し、マイクロ波をマイクロ波照射装置により照射し、110℃に20分間加熱して、実施例7〜13の場合と同じ反応式で表される反応を行ったところ、式(5)で表されるインドール誘導体を収率82%で得た。
【0051】
実施例28〜29
式(1)で表される2級アルコール1.1mmol、式(6)で表されるインドール1.0mmol、及び表9に示す触媒を表9に示す量(表中では、インドールに対するmol%で示す。)を、反応容器に入れた2.5mlのトルエン中に溶解し、マイクロ波をマイクロ波照射装置により照射し、110℃に加熱して、表9に示す時間、実施例14〜15の場合と同じ反応式で表される反応を行ったところ、式(7)で表されるインドール誘導体を得た。その収率を表9に示す。
【0052】
【表9】

【0053】
実施例30〜34
式(4)で表される2級アルコール1.0mmol、式(6)で表されるインドール1.0mmol、及び表10に示す触媒を表10に示す量(表中では、インドールに対するmol%で示す。)、反応容器に入れた2.5mlのトルエン中に溶解し、マイクロ波をマイクロ波照射装置により照射し、表10に示す温度に加熱して、表10に示す時間、下記式で表される反応を行ったところ、下記式(17)で表されるインドール誘導体を得た。その収率を表10に示す。
【0054】
【化12】

【0055】
【表10】

【0056】
実施例35
下記式(18)で表される2級アルコール1.0mmol、式(6)で表されるインドール1.1mmol、及びInBr(触媒)0.03mmol(インドールに対して3mol%)を、反応容器に入れた3mlのトルエン中に溶解し、マイクロ波をマイクロ波照射装置により照射し、100℃に加熱して、10分間、下記式で表される反応を行ったところ、下記式(19)で表されるインドール誘導体を、収率95%以上で得た。
【0057】
【化13】

【0058】
実施例36
下記式(20)で表される2級アルコール1.0mmol、式(6)で表されるインドール1.1mmol、及びInBr(触媒)0.03mmol(インドールに対して3mol%)を、反応容器に入れた3mlのトルエン中に溶解し、マイクロ波をマイクロ波照射装置により照射し、100℃に加熱して、10分間、下記式で表される反応を行ったところ、下記式(21)で表されるインドール誘導体を、収率95%以上で得た。
【0059】
【化14】

【0060】
実施例37
式(20)で表される2級アルコール1.0mmol、式(2)で表されるNメチルインドール1.1mmol、及びInBr(触媒)0.03mmol(Nメチルインドールに対して3mol%)を、反応容器に入れた3mlのトルエン中に溶解し、マイクロ波をマイクロ波照射装置により照射し、100℃に加熱して、10分間、下記式で表される反応を行ったところ、下記式(22)で表されるインドール誘導体を、収率95%以上で得た。
【0061】
【化15】

【0062】
実施例38〜40
式(4)で表される2級アルコール1.0mmol、下記式(23)で表されるインドール化合物1.0mmol、及び表11に示す量(インドール化合物に対するmol%で示す。)のInBr(触媒)を、反応容器中で、表11に示す溶媒の3mlに溶解し、マイクロ波をマイクロ波照射装置により照射し、表11に示す温度に加熱して、20分間、下記式で表される反応を行ったところ、下記式(24)で表されるインドール誘導体を得た。その収率を表11に示す。
【0063】
【化16】

【0064】
【表11】

【0065】
実施例41〜43
式(8)で表される2級アルコール1.0mmol、下記式(25)で表されるインドール化合物1.0mmol、及び表12に示す量(インドール化合物に対するmol%で示す。)のInBr(触媒)を、反応容器に入れた3mlのトルエン中に溶解し、マイクロ波をマイクロ波照射装置により照射し、表12に示す温度に加熱して、表12に示す時間、下記式で表される反応を行ったところ、下記式(26)で表されるインドール誘導体を得た。その収率を表12に示す。
【0066】
【化17】

【0067】
【表12】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(I):
【化1】

(式中、
は、炭素数1〜4のアルキル基、2位が炭素数1〜4のアルキル基もしくはフェニル基で置換されているビニル基、又は、ハロゲン、炭素数1〜4のアルキル基もしくは炭素数1〜4のアルコキシ基で置換されていてもよいフェニル基を表し、
は、ハロゲン、炭素数1〜4のアルキル基もしくは炭素数1〜4のアルコキシ基で置換されていてもよいフェニル基を表し、
は、水素、炭素数1〜4のアルキル基、又は、ハロゲン、炭素数1〜4のアルキル基もしくは炭素数1〜4のアルコキシ基で置換されていてもよいフェニル基を表し、
及びRは、互いに同一又は異なって、水素、炭素数1〜4のアルキル基、又はハロゲン、炭素数1〜4のアルキル基もしくは炭素数1〜4のアルコキシ基で置換されてもよいフェニル基で表されるインドール誘導体を合成する方法であって、
下記一般式(II):
【化2】

(式中、R、R及びRは前記と同じ意味を表す。)
で表されるアルコールと、下記一般式(III):
【化3】

(式中、R及びRは前記と同じ意味を表す。)
で表されるインドール又はその置換体を、
3〜5d遷移元素又はインジウムを含有する触媒の存在下、マイクロ波照射により加熱しながら反応させることを特徴とするインドール誘導体の製造方法。
【請求項2】
は、炭素数1〜4のアルキル基、2位がフェニル基で置換されたビニル基、又は、ハロゲン、炭素数1〜4のアルキル基もしくは炭素数1〜4のアルコキシ基で置換されていてもよいフェニル基を表し、
は、ハロゲン、炭素数1〜4のアルキル基もしくは炭素数1〜4のアルコキシ基で置換されていてもよいフェニル基を表し、かつ
は、水素、炭素数1〜4のアルキル基、又は、ハロゲン、炭素数1〜4のアルキル基もしくは炭素数1〜4のアルコキシ基で置換されていてもよいフェニル基を表すことを特徴とする請求項1に記載のインドール誘導体の製造方法。
【請求項3】
及びRは、互いに同一又は異なって、水素、メチル基又はフェニル基を表すことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のインドール誘導体の製造方法。
【請求項4】
3〜5d遷移元素又はインジウムを含有する前記触媒が、鉄、スカンジウム、銅、インジウム、亜鉛、ルテニウム又はタンタルを含有する触媒であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のインドール誘導体の製造方法。
【請求項5】
鉄、スカンジウム、銅、インジウム、亜鉛、ルテニウム又はタンタルを含有する触媒が、これらの元素のハロゲン化物であることを特徴とする請求項4に記載のインドール誘導体の製造方法。
【請求項6】
鉄、スカンジウム、銅、インジウム、亜鉛、ルテニウム又はタンタルを含有する触媒がが、Zn(OTf)、Sc(OTf)、Cu(OTf)及びIn(OTf)(式中Tfは、−SO−CFを表す。)からなる群より選ばれる触媒であることを特徴とする請求項4に記載のインドール誘導体の製造方法。

【公開番号】特開2009−215223(P2009−215223A)
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−60437(P2008−60437)
【出願日】平成20年3月11日(2008.3.11)
【出願人】(000006644)新日鐵化学株式会社 (747)
【Fターム(参考)】