説明

インバータの制御方法及び制御装置

【課題】キャリア周波数等を一定にしたままで1パルス制御を可能とし、ソフトウェアの処理を容易にする。
【解決手段】一制御周期相当の角度を演算するステップ、力行/回生判別情報と回転子角度と負荷角とから現在の制御角を求めるステップ、現在の制御角がパルス切替角度ごとに6分割したどの領域に属するかを判別するステップ、次回制御周期における制御角が、パルス切替角度よりも小さい場合には各相電圧指令として最大値または最小値を出力し、大きい場合には次回の駆動パルスの切替角度と現在の制御角との角度差を演算するステップ、前記角度差を時間に換算するステップ、出力したい電圧の変化状態に応じて通常/反転キャリアを選択するステップ、前記換算した時間と選択キャリアとから演算した大きさの電圧指令を一相の電圧指令とし、他相については前回制御周期の電圧指令を出力するステップからなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交流電動機を駆動するインバータにおいて、キャリア周波数を一定にしたまま、電圧利用率を最大とする出力電圧を得るために1パルス制御を行うインバータの制御方法及び制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、電気車用の交流電動機は、可変速範囲が広い。インバータにより永久磁石形同期電動機を駆動する場合、電動機の回転数に比例して誘起電圧が上昇するため、インバータの出力電圧が不足する可能性がある。インバータの出力電圧が不足すると、電動機に所望の電流を流すことができなくなり、必要なトルクを発生できなくなる。
そこで、従来より、電動機の高速回転領域では、弱め界磁制御によって電動機の誘起電圧を制御したり、インバータの出力電圧を最大にする1パルス制御を行うことが知られている。ここで、1パルス制御とは、インバータの半導体スイッチを電気角で180度の期間ごとにオン、オフ制御することをいう。
【0003】
例えば、特許文献1には、キャリアが電圧指令と同期しない非同期モードと、キャリアが電圧指令と同期する同期モードとを有し、PWM波形が飽和した1パルス運転を可能としたPWMインバータにおいて、非同期モードから同期モードに遷移する際には、過渡的に不安定とならないように、同期モードに切り替えた後に、変調率の制限値を最大値まで徐々に引き上げて1パルス制御し、同期モードから非同期モードに遷移する際には、変調率の制限値を最大値から徐々に引き下げた後に非同期モードに切り替えるようにした制御装置が開示されている。
【0004】
非同期モードから同期モードへの切り替え時には、非同期モード時のインバータ出力電圧と同期モード時のインバータ出力電圧とが異なるため、電動機に対する印加電圧が急激に変化する。従って、何も対策を施さなければ制御が不安定になったり、電流跳躍が生じたりする。特許文献1に係る発明は、これらの問題を解決するために変調率の制限値を制御している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−220106号公報(段落[0028]〜[0033]、図1等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1に係る従来技術のように、同期モードにてインバータを運転する場合、インバータの出力周波数に応じて、キャリア周波数やキャリア周期に同期する電圧指令の制御周期を調整する必要があり、ソフトウェアの処理が煩雑になると共に、従前の制御装置にキャリア周波数等を変化させる機能を追加できない場合もある。また、非同期モードと同期モードを切り替えるためには、非同期時のキャリアと同期時のキャリアとを作成する必要がある。
ソフトウェアの処理を簡便にするために、非同期モードのまま、すなわちキャリア周波数を固定したまま1パルスの電圧指令を与えると、キャリアと電圧指令とが同期していないため、必ずしも1パルス波形にならない可能性があり、これによって制御が不安定になったり誘導障害を引き起こすおそれがある。
【0007】
なお、特許文献1のごとく変調率が非常に高い電圧指令を与える代わりに、図13に示すように、方形波の電圧指令を与えれば1パルス波形の生成は可能である。しかし、方形波の電圧指令の更新タイミングが、例えば図13に○で示すようにキャリアの山と谷である場合、電圧指令はキャリアの山または谷でしか更新されず、出力したい電圧と実際の出力電圧との周波数が異なってしまう。
【0008】
そこで、本発明の解決課題は、キャリア周波数や制御周期を一定にしたままで1パルス制御を可能とし、ソフトウェアの処理を容易にしたインバータの制御方法及び制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、請求項1に係るインバータの制御方法は、インバータを1パルス制御して交流電動機を駆動するための制御方法であって、インバータの各相の出力電圧指令とキャリアとを比較してインバータの半導体スイッチをスイッチングするための駆動パルスを生成するインバータの制御方法において、
インバータの一制御周期に相当する角度を演算する第1ステップと、
電動機の力行/回生運転の判別情報と、回転子位置情報から求めた回転子角度と、トルク指令値に基づく負荷角と、を用いてインバータの現在の制御角を演算する第2ステップと、
前記現在の制御角が、電気角360度を前記駆動パルスの切替角度ごとに6分割した角度領域のどの領域に属するかを判別する第3ステップと、
次回の制御周期における制御角が、前記駆動パルスの切替角度よりも大きくなるか否かを判別する第4ステップと、
次回の制御周期における制御角が、前記駆動パルスの切替角度よりも小さい場合には、各相電圧指令として最大値または最小値を出力し、次回の制御周期における制御角が、前記駆動パルスの切替角度よりも大きい場合には、次回の駆動パルスの切替角度と現在の制御角との角度差を演算する第5ステップと、
第5ステップにより演算した角度差を時間に換算する第6ステップと、
出力したい電圧の変化状態に応じて通常キャリアまたはこの通常キャリアを反転させた反転キャリアのいずれかを選択する第7ステップと、
第6ステップにより換算した時間と第7ステップにより選択したキャリアとを用いて演算した大きさを持つ電圧指令を一相の電圧指令として出力し、かつ、他相の電圧指令として前回の制御周期における電圧指令をそのまま出力する第8ステップと、
を有するものである。
【0010】
また、請求項2に係るインバータの制御装置は、インバータを1パルス制御して交流電動機を駆動するための制御装置であって、インバータの各相の出力電圧指令とキャリアとを比較してインバータの半導体スイッチをスイッチングするための駆動パルスを生成するインバータの制御装置において、
電動機のトルク指令値を演算する速度制御手段と、
前記トルク指令値から演算した電動機の負荷角、力行/回生運転の判別情報、及び、回転子位置情報から求めた回転子角度に基づいて、インバータの出力電圧指令を演算する電圧指令生成手段と、を備え、
前記電圧指令生成手段は、
インバータの一制御周期に相当する角度を演算する手段と、
前記力行/回生運転の判別情報、前記回転子角度及び前記負荷角を用いてインバータの現在の制御角を演算する手段と、
前記現在の制御角が、電気角360度を前記駆動パルスの切替角度ごとに6分割した角度領域のどの領域に属するかを判別する手段と、
次回の制御周期における制御角が、前記駆動パルスの切替角度よりも大きくなるか否かを判別する手段と、
次回の制御周期における制御角が、前記駆動パルスの切替角度よりも小さい場合には、各相電圧指令として最大値または最小値を出力し、次回の制御周期における制御角が、前記駆動パルスの切替角度よりも大きい場合には、次回の駆動パルスの切替角度と現在の制御角との角度差を演算してこの角度差を時間に換算する手段と、
出力したい電圧の変化状態に応じて通常キャリアまたはこの通常キャリアを反転させた反転キャリアのいずれかを選択する手段と、
前記角度差を換算した時間と前記通常キャリアまたは反転キャリアから選択したキャリアとを用いて演算した大きさを持つ電圧指令を一相の電圧指令として出力し、かつ、他相の電圧指令として前回の制御周期における電圧指令をそのまま出力する手段と、
を備えたものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、キャリア周波数や制御周期を一定にしたままキャリアと電圧指令とを同期させてインバータを1パルス制御することができ、従来技術に比べてソフトウェアの処理を容易化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態に係る制御装置の機能を示すブロック図である。
【図2】実施形態における電動機の負荷角及びトルクの計算例を示す図である。
【図3】電動機の力行運転時における各相出力電圧及びU相誘起電圧の説明図である。
【図4】図3の各領域におけるインバータの制御角と各相出力電圧との関係を示す図である。
【図5】U相電圧を最大値から最小値に切り替える際の出力電圧、電圧指令及びキャリアの説明図である。
【図6】一制御周期内の時間と電圧指令の大きさとの関係を示す図である。
【図7】U相電圧を最小値から最大値に切り替える際の出力電圧、電圧指令及びキャリアの説明図である。
【図8】一制御周期内の時間と電圧指令の大きさとの関係を示す図である。
【図9】実施形態において、各相電圧指令を演算する一連の処理手順を示すフローチャートである。
【図10】実施形態において、各相電圧指令を演算する一連の処理手順を示すフローチャートである。
【図11】実施形態において、各相電圧指令を演算する一連の処理手順を示すフローチャートである。
【図12】実施形態において、各相電圧指令を演算する一連の処理手順を示すフローチャートである。
【図13】方形波の電圧指令、キャリア及び出力電圧の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図に沿って本発明の実施形態を説明する。
図1はこの実施形態に係るインバータの制御装置の機能を示すブロック図である。ここでは、埋込磁石形回転電機としての永久磁石形同期電動機をインバータにより駆動する場合について説明する。
【0014】
図1において、インバータにより駆動される電動機の速度指令値ωと速度検出値ωとの偏差が減算手段30により演算され、速度制御手段ASRに入力される。
速度制御手段ASRはトルク指令値Tを演算し、このトルク指令値Tは電圧指令生成手段20に入力されている。
電圧指令生成手段20は、トルク指令値Tから求めた負荷角δ、電動機の力行回生判別情報、及び、回転子位置情報から求まる回転子電気角θに基づいて、インバータに与える各相の出力電圧指令v,v,vを演算する。
【0015】
以下、電圧指令v,v,vの演算方法について詳述する。
まず、埋込磁石形回転電機としての永久磁石形同期電動機のトルクTは、数式1によって表される。
【数1】


数式1において、第1項は永久磁石が作る磁束によるトルク、第2項はリラクタンストルクである。
【0016】
次に、定常状態におけるd軸電圧v及びq軸電圧vは、数式2及び数式3によって表される。
【数2】


【数3】


数式2、数式3において、Rは電動機の巻線抵抗、ωは角周波数(角速度)である。
【0017】
ここで、巻線抵抗Rが十分に小さい(R=0)と仮定してv=−Vsinδ,v=Vcosδを数式2、数式3に代入し、これらの数式2、数式3をi,iについて解き、求めたi,iを数式1に代入すると、数式4を得る。ただし、Vはインバータ出力電圧の振幅、δは電動機の負荷角である。
【数4】

【0018】
インバータの1パルス制御時において、出力電圧の振幅Vは一定であり、インバータの直流電圧をedcとすれば、Vは数式5で表される。
【数5】

【0019】
図2は、数式4を用いて負荷角δ及びトルクTを計算した例を示している。図2によれば、電動機の運転状態(力行または回生)及び負荷角δに応じてトルクTが変化することが明らかであり、言い換えれば、図1の電圧指令生成手段20により、トルク指令値T及び力行回生判別情報から負荷角δを求めることができる。
【0020】
図3は、電動機の力行運転時における各相の出力電圧v,v,v及びU相誘起電圧(EMF)を、回転子位置情報から求まる電気角θに対して示したものである。
図3より、インバータの制御角θ’は、力行時にはθ’=θ−δ、回生時にはθ’=θ+δによって求めれば良い。また、出力電圧v,v,vは、電気角360度を6等分した領域I〜VIをインバータの制御角θ’の範囲に対応させて最大値maxまたは最小値minを出力させれば良い。図4に、各領域I〜VIにおけるインバータの制御角θ’及び各相出力電圧v,v,vの関係を示す。
【0021】
次に、キャリア周波数を一定として、任意のタイミングにて各相出力電圧を最大値または最小値に切り替えるための、電圧指令生成手段20による電圧指令v,v,vの演算方法について述べる。
なお、図9〜図12は、電圧指令v,v,vを演算する一連の処理手順を示しており、以下では、必要に応じて図9〜図12を参照する。
【0022】
例えば、インバータの出力周波数を400[Hz](周期2.5[ms])、キャリア周波数を5[kHz](周期200[μs])とし、キャリアの山と谷で電圧指令を更新する場合、すなわち一制御周期が100[μs]である場合について考える。この場合、一制御周期に相当する角度(電気角)θは、360度÷2.5[ms]×100[μs]=14.4度(図9のステップS1)である。
【0023】
図5は、例えば図3、図4の領域III〜IVのように、U相電圧vを最大値から最小値に切り替える際のU相の出力電圧、電圧指令及びキャリアの関係を示している。
図5において、キャリアと比較される電圧指令の大きさ(高さ)を調節すれば、出力電圧を最大値から最小値に切り替えるタイミングを調整可能であり、言い換えれば、上記タイミングに基づいて、キャリアと比較するべき電圧指令の大きさを求めることができる。なお、キャリア(通常キャリアと反転キャリア)の意義については後述する。ここで、U相電圧vは、図3から明らかなように、最大値から最小値に180度にて切り替わるものである。
【0024】
図5の時刻A(現在の時刻とする)における電圧指令生成手段20の処理は、次のようになる。
(1)前述したように、一制御周期に相当する角度θを求めておき、力行回生判別情報から電動機の運転モード(力行または回生)を判別して、その結果に応じてインバータの制御角θ’を計算する(図9のステップS1〜S4)。
【0025】
(2)いま、図5の時刻Aにおける制御角θ’が176.4度であることが判明すると、この制御角は図3、図4における領域IIIに属するため、図9のステップS5a、図10のステップS6aを経て、同じく図10のステップS7aにジャンプする。
(3)そして、次の制御周期における制御角(=θ’+θ)を求めると、この制御角は、176.4+14.4=190.8度であり、半導体スイッチの駆動パルスの切替角度である180度より大きいため、次の制御周期にてスイッチングすると判断する(ステップS7b YES)。
【0026】
(4)時刻Aから次のパルスを切り替えるタイミングまでの角度差θ(次のパルス切替角度までの角度差)を計算すると、θ=180−176.4=3.6度となる(ステップS7c)。
(5)上記の角度差θを時間(時刻Aを基準としたパルス切替時間Tpls)に換算すると、Tpls=100[μs]÷14.4度×3.6度=25[μs](ステップS7d)となる。
【0027】
電圧指令のレベルがキャリアよりも大きい時に半導体スイッチがオン、小さい時に半導体スイッチがオフする論理のもとでは、図5に示すように出力したい電圧が最大値から最小値に切り替わる際には、切替前には電圧指令より小さく、切替後に電圧指令より大きくなるキャリア(このキャリアを便宜的に通常キャリアといい、これを反転させたキャリアを反転キャリアという)と電圧指令とを比較することにより、出力電圧を最大値から最小値に変化させることができる。従って、図5の例では、実線にて示された通常キャリアを選択する必要がある。
通常キャリアと反転キャリアとは、キャリアのアップカウント、ダウンカウントに基づいて容易に判別可能であり、ここでは通常キャリアが選択される(ステップS7e,S7f)。
【0028】
次に、時刻Aから時間Tplsを経過した時刻において通常キャリアと交差する電圧指令の大きさを、図6に基づいて求める。図6は、一制御周期内の時間xと電圧指令の大きさyとの関係を示しており、両者の関係はy=20000x−1によって表すことができる。このxを25[μs]とすると、y=20000×25[μs]−1=−0.5となり、この値をU相電圧指令vtmpとして求める(ステップS7g)。同時に、V相電圧指令v、W相電圧指令vは、図3、図4から明らかなように、前回の制御周期における電圧指令をそのまま出力する(ステップS7j)。
【0029】
なお、図7は、図3、図4における領域VI〜Iのように、U相電圧vを最小値から最大値に切り替える際のU相の出力電圧、電圧指令及びキャリアの関係を示し、図8は、一制御周期内の時間xと電圧指令の大きさyとの関係を示している。この場合は、電圧指令と比較されるキャリアとして破線にて示された反転キャリアが選択され、ステップS7h,S7i,S7jに示す動作となる。
また、図10のステップS7bにおいて、次の制御周期における制御角が180度より小さい場合には(ステップS7b No)、電圧指令v,v,vとして領域IIIの状態、つまり電圧指令の最大値または最小値を出力する(ステップS7k)。
【0030】
図9のステップS5b〜S5j、図10のステップS6b〜S6j、図11のステップS8a〜S8j,S9a〜S9j、図12のステップS10b〜S10jは、インバータの制御角θ’が領域III以外にある場合の処理であり、いずれも、実質的に前述した図10のステップS7b〜S7jと同様であるため、説明を省略する。
【0031】
なお、この実施形態は制御周期が100[μs]の場合のものであるが、制御周期やキャリア周波数が変更になった場合には、その値を変更するだけで対応可能である。
【符号の説明】
【0032】
10:速度制御手段
20:電圧指令生成手段
30:減算手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インバータを1パルス制御して交流電動機を駆動するための制御方法であって、インバータの各相の出力電圧指令とキャリアとを比較してインバータの半導体スイッチをスイッチングするための駆動パルスを生成するインバータの制御方法において、
インバータの一制御周期に相当する角度を演算する第1ステップと、
電動機の力行/回生運転の判別情報と、回転子位置情報から求めた回転子角度と、トルク指令値に基づく負荷角と、を用いてインバータの現在の制御角を演算する第2ステップと、
前記現在の制御角が、電気角360度を前記駆動パルスの切替角度ごとに6分割した角度領域のどの領域に属するかを判別する第3ステップと、
次回の制御周期における制御角が、前記駆動パルスの切替角度よりも大きくなるか否かを判別する第4ステップと、
次回の制御周期における制御角が、前記駆動パルスの切替角度よりも小さい場合には、各相電圧指令として最大値または最小値を出力し、次回の制御周期における制御角が、前記駆動パルスの切替角度よりも大きい場合には、次回の駆動パルスの切替角度と現在の制御角との角度差を演算する第5ステップと、
第5ステップにより演算した角度差を時間に換算する第6ステップと、
出力したい電圧の変化状態に応じて通常キャリアまたはこの通常キャリアを反転させた反転キャリアのいずれかを選択する第7ステップと、
第6ステップにより換算した時間と第7ステップにより選択したキャリアとを用いて演算した大きさを持つ電圧指令を一相の電圧指令として出力し、かつ、他相の電圧指令として前回の制御周期における電圧指令をそのまま出力する第8ステップと、
を有することを特徴とするインバータの制御方法。
【請求項2】
インバータを1パルス制御して交流電動機を駆動するための制御装置であって、インバータの各相の出力電圧指令とキャリアとを比較してインバータの半導体スイッチをスイッチングするための駆動パルスを生成するインバータの制御装置において、
電動機のトルク指令値を演算する速度制御手段と、
前記トルク指令値から演算した電動機の負荷角、力行/回生運転の判別情報、及び、回転子位置情報から求めた回転子角度に基づいて、インバータの出力電圧指令を演算する電圧指令生成手段と、を備え、
前記電圧指令生成手段は、
インバータの一制御周期に相当する角度を演算する手段と、
前記力行/回生運転の判別情報、前記回転子角度及び前記負荷角を用いてインバータの現在の制御角を演算する手段と、
前記現在の制御角が、電気角360度を前記駆動パルスの切替角度ごとに6分割した角度領域のどの領域に属するかを判別する手段と、
次回の制御周期における制御角が、前記駆動パルスの切替角度よりも大きくなるか否かを判別する手段と、
次回の制御周期における制御角が、前記駆動パルスの切替角度よりも小さい場合には、各相電圧指令として最大値または最小値を出力し、次回の制御周期における制御角が、前記駆動パルスの切替角度よりも大きい場合には、次回の駆動パルスの切替角度と現在の制御角との角度差を演算してこの角度差を時間に換算する手段と、
出力したい電圧の変化状態に応じて通常キャリアまたはこの通常キャリアを反転させた反転キャリアのいずれかを選択する手段と、
前記角度差を換算した時間と前記通常キャリアまたは反転キャリアから選択したキャリアとを用いて演算した大きさを持つ電圧指令を一相の電圧指令として出力し、かつ、他相の電圧指令として前回の制御周期における電圧指令をそのまま出力する手段と、
を備えたことを特徴とするインバータの制御装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公開番号】特開2012−110140(P2012−110140A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−257462(P2010−257462)
【出願日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【出願人】(000005234)富士電機株式会社 (3,146)
【Fターム(参考)】