説明

インバータ発電機用電気回路ユニット

【課題】大形のケースを用いることなく、かつ温度センサとパワー素子との間の絶縁距離が不足する状態を生じさせることなく、温度センサをケースに取りつけることができるようにしたインバータ発電機用電気回路ユニットを提供する。
【解決手段】パワー素子2をケース1の底面に絶縁シート4を介して取りつける。ケース1の底面のパワー素子2から一定の距離dを隔てた位置にパワー素子よりも高い位置まで伸びる位置決め突起103が突設されている。温度センサ3は、位置決め突起103の頂部上に1本のネジ5より固定されてパワー素子2よりも高い位置に配置されている。温度センサ3がネジ5を中心に回転したときでも温度センサ3とパワー素子2との間に必要な絶縁距離が確保されるように位置決め突起103の高さが設定されている。ケース1内に絶縁樹脂6を注型し、注型樹脂6によりケース内の部品をモールドする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インバータ発電機の電力変換部を構成する回路部品が、パワー素子の温度を検出する温度センサとともにヒートシンクを兼ねるケース内に収容されて、ケース内に注型された樹脂によりモールドされているインバータ発電機用電気回路ユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
インバータ発電機は、特許文献1に示されているように、交流発電機と、交流発電機の出力を直流出力に変換するコンバータ(整流回路)及びコンバータの直流出力を一定の周波数の交流出力に変換するインバータを有する電力変換部とにより構成される。インバータ発電機の電力変換部を構成する回路部品は、大きな電流が流れるダイオード、パワートランジスタ、MOSFETなどのパワー素子(大きな電流が流れる素子)を有するため、多くの場合、ヒートシンクを兼ねるケース内に収容されて、冷却が必要なパワー素子がケースに熱的に結合される。
【0003】
インバータ発電機用電気回路ユニットの電力変換部に過電流が流れるとパワー素子が焼損するおそれがあるため、この種のユニットでは、パワー素子の温度を検出するために、サーミスタなどの感温素子からなる温度センサを設けて、該温度センサによりパワー素子の温度が許容範囲を超えたことが検出されたときに、電力変換部の動作を停止させたり、パワー素子を流れる電流を制限したりする保護動作を行わせる。
【0004】
温度センサは、電力変換部を構成する回路素子とともにケース内に収容されて、ケースに熱的に結合された状態でネジによりケースに対して固定される。インバータ発電機を車両に搭載する場合のように、ユニットに耐候性を持たせる必要がある場合には、ケース内にエポキシ樹脂等の熱硬化性の絶縁樹脂が注型されて、該樹脂により回路部品及び温度センサがモールドされる。
【0005】
パワー素子の温度を検出するセンサをパワー素子とともにヒートシンクに取りつける場合には、特許文献2に示されているように、ヒートシンクの同一平面上にパワー素子と温度センサとを並べて配置して、両者をヒートシンクに熱的に結合した状態でネジ止めするのが普通である。
【0006】
図4は、特許文献2に記載された発明の示唆に従って、ヒートシンクを兼ねる金属製のケース1′内にダイオード等のパワー素子2及びサーミスタ等の温度センサ3を収容して、両者をケース1′の底面に固定した例を示したものである。パワー素子2はその一面が電極となっていて、該電極を絶縁シート4を介してケース1′の底面1aに当接させた状態で図示しないネジなどによりケースに対して固定されている。温度センサ3はパワー素子2の側方に配置されて、その受熱面をケースの底面1aに当接させた状態で1個のネジ5によりケース1に締結されている。ケース1′内にはエポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂6が注型される。樹脂を注型する場合には、ケース1′として、底が深いものを用いる必要がある。
【特許文献1】特開2001−292577号公報
【特許文献2】特開2002−134305号公報(図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献2に記載された発明の示唆に従って、図4に示したようにパワー素子2及び温度センサ3をケース1′の底面上に並べて取りつけた場合には、温度センサ3がネジ5を中心にして回転した場合に、温度センサがパワー素子2に接触して両者間で短絡が生じたり、温度センサの一部がパワー素子に接近して両者間の絶縁距離が不足したりすることがないようにするために、ケースの横方向(ケースの開口方向に対して直角な方向)に測った温度センサ3とパワー素子2との間の距離d′に余裕を持たせておく必要があり、ケース1′の幅寸法W′が大きくなって、ケースが大形化するという問題があった。
【0008】
また図4に示したように、温度センサ3を1本のネジ5によりケースに取りつける場合には、ネジ5を締め付ける際に、ケース1′内の狭いスペースに手または治具を挿入して、温度センサ3がネジ5と共回りすることがないように、温度センサを押さえながらネジ5の締めつけ作業を行う必要があるため、温度センサの取りつけ作業が面倒になるのを避けられなかった。
【0009】
本発明の目的は、大形のケースを用いることなく、かつ温度センサとパワー素子との間の絶縁距離が不足する状態を生じさせることなく、温度センサをケースに取りつけることができるようにしたインバータ発電機用電気回路ユニットを提供することにある。
【0010】
本発明の他の目的は、温度センサがネジと共回りして、温度センサとパワー素子との間の絶縁距離が不足する状態を生じさせることなく、温度センサを1本のネジによりケースに簡単に固定することができるようにしたインバータ発電機用電気回路ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、交流発電機と、交流発電機の出力を直流出力に変換するコンバータ及びコンバータの直流出力を一定の周波数の交流出力に変換するインバータを有する電力変換部とを備えたインバータ発電機の電力変換部を構成する回路部品がヒートシンクを兼ねるケース内に収容されてユニット化されたインバータ発電機用電気回路ユニットを対象とする。
【0012】
本発明が対象とするインバータ発電機用電気回路ユニットにおいては、回路部品のうち冷却が必要なパワー素子がケースに熱的に結合され、パワー素子の温度を検出する温度センサがケース内に収容されて該温度センサがケースに熱的に結合された状態でケースに対して固定される。またケース内に収容された回路部品及び温度センサがケース内に注型された樹脂によりモールドされる。
【0013】
本発明においては、温度センサに当接して該温度センサをパワー素子から一定の距離を隔てた位置に位置決めする位置決め突起がケースの内面に設けられ、温度センサは、位置決め突起により位置決めされた状態でネジによりケースに固定されている。
【0014】
上記のように構成すると、温度センサをケースに取りつけた状態で、必ず温度センサとパワー素子との間に所定の絶縁距離を確保することができるため、温度センサがパワー素子に接触して短絡が生じたり、温度センサとパワー素子との間の絶縁距離が不足して両者間で絶縁破壊が生じたりするのを防ぐことができる。
【0015】
本発明の好ましい態様では、上記パワー素子が、ケースの底面に直接または絶縁シートを介して接触させられた状態で取りつけられる。この場合位置決め突起は、ケースの底面のパワー素子から一定の距離を隔てた位置に突設される。温度センサは、位置決め突起の頂部上に1本のネジにより固定されて、パワー素子よりも高い位置に配置され、温度センサがネジを中心に回転したときでも温度センサとパワー素子との間に必要な絶縁距離が確保されるように位置決め突起の高さが設定される。
【0016】
上記のように構成すると、温度センサを1本のネジにより固定する場合に、温度センサがネジと共回りしたとしても、温度センサとパワー素子との間に必要な絶縁距離を確保することができるため、温度センサを固定するネジを締め付ける際に、ケース内の狭いスペースに手または治具を挿入して、温度センサがネジと共回りすることがないようにする必要がなく、ネジの締めつけ作業を簡単にすることができる。
【0017】
また上記のように構成すると、温度センサがネジを中心にして回転しても、温度センサがパワー素子に接触して両者間で短絡が生じたり、温度センサの一部がパワー素子に接近して両者間の絶縁距離が不足したりすることがないため、ケースの横方向に測った温度センサとパワー素子との間の距離は必要最小限に設定すればよい。
【0018】
本発明の他の態様では、パワー素子がケースの底面に直接または絶縁シートを介して接触させられた状態で取りつけられる場合に、位置決め突起が、ケースの底面のパワー素子から一定の距離を隔てた位置に突設され、温度センサは、位置決め突起の側面に当接されて、該位置決め突起によりネジを締める方向への温度センサの回転が阻止された状態でケースの底面にネジ止めされる。
【0019】
上記のように構成すると、温度センサを固定するネジを締める際に温度センサがネジと共回りすることがないため、温度センサがネジと共回りすることにより、温度センサとパワー素子との間の絶縁距離が不足する状態が生じるのを防ぐことができる。
【0020】
また上記のように構成すると、温度センサが回転してパワー素子に接触したり、温度センサの一部がパワー素子に接近して両者間の絶縁距離が不足したりすることがないため、ケースの横方向に測った温度センサとパワー素子との間の距離は必要最小限に設定すればよい。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、温度センサに当接して該温度センサをパワー素子から一定の距離を隔てた位置に位置決めする位置決め突起をケースの内面に設けて、温度センサを位置決め突起により位置決した状態でネジによりケースに固定するようにしたので、温度センサとパワー素子との間に所定の絶縁距離を確実に確保することができ、温度センサがパワー素子に接触して短絡が生じたり、温度センサとパワー素子との間の絶縁距離が不足して両者間で絶縁破壊が生じたりするのを防ぐことができる。
【0022】
特に請求項2に記載された発明によれば、パワー素子をケースの底面に直接または絶縁シートを介して接触させた状態で取りつけるとともに、ケースの底面のパワー素子から一定の距離を隔てた位置に突設した位置決め突起の頂部上に温度センサを1本のネジにより固定する構造として、温度センサがネジを中心に回転したときでも温度センサとパワー素子との間に必要な絶縁距離が確保されるように位置決め突起の高さを設定したので、温度センサを取付ける際に温度センサがネジと共回りしたとしても、温度センサとパワー素子との間に必要な絶縁距離を確保することができる。そのため、温度センサを固定するネジを締め付ける際に、ケース内の狭いスペースに手または治具を挿入して、温度センサがネジと共回りすることがないようにする必要がなく、ネジの締めつけ作業を簡単にすることができる。
【0023】
また本発明によれば、温度センサがネジを中心にして回転したとしても、温度センサがパワー素子に接触して両者間で短絡が生じたり、温度センサの一部がパワー素子に接近して両者間の絶縁距離が不足したりすることがないため、ケースの横方向に測った温度センサとパワー素子との間の距離を必要最小限に設定してケースの幅寸法の縮小を図ることができ、ケースの小形化を図ることができる。
【0024】
請求項3に記載された発明によれば、ケースの底面のパワー素子から一定の距離を隔てた位置に位置決め突起を突設して、該位置決め突起により、ネジを締める方向への温度センサの回転を阻止するようにしたので、温度センサを固定するネジを締める際に温度センサがネジと共回りするのを防ぐことができる。そのため、温度センサがネジと共回りすることにより、温度センサとパワー素子との間の絶縁距離が不足する状態が生じるのを防ぐことができ、温度センサの取付けを簡単にすることができる。
【0025】
また本発明によれば、温度センサが回転してパワー素子に接触したり、温度センサの一部がパワー素子に接近して両者間の絶縁距離が不足したりすることがないため、ケースの横方向に測った温度センサとパワー素子との間の距離を必要最小限に設定して、ケースの小形化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下図面を参照して、本発明の好ましい実施形態を詳細に説明する。
図1は本発明の第1の実施形態に係わるインバータ発電機用電気回路ユニットの構成例を概略的に示したものである。インバータ発電機は、エンジン等の原動機により駆動される交流発電機(例えば磁石発電機)と、交流発電機の出力を直流出力に変換するコンバータ及び該コンバータの直流出力を一定の周波数の交流出力に変換するインバータを有する電力変換部とを備えたもので、エンジンの回転数の如何に関わりなく(交流発電機の出力周波数の如何に関わりなく)、電力変換部から一定の周波数(例えば商用周波数)の交流出力を発生する。このようなインバータ発電機は、特許文献1に示されているようにすでに公知である。
【0027】
インバータ発電機においては、電力変換部を構成する回路部品がケース内に収容されて、インバータ発電機用電気回路ユニットが構成される。ケースはヒートシンクを兼ねていて、ケース内に収容された回路部品のうち冷却が必要なパワー素子がケースに熱的に結合される。また電力変換部に過電流が流れるとパワー素子が焼損するおそれがあるため、この種のユニットでは、パワー素子の温度を検出するために、サーミスタなどの感温素子からなる温度センサを設けて、該温度センサによりパワー素子の温度が許容範囲を超えたことが検出されたときに、電力変換部の動作を停止させたり、パワー素子を流れる電流を制限したりする保護動作を行わせるようにしている。パワー素子の温度を検出する温度センサはケース内に収容されてケースに熱的に結合された状態でケースに対して固定される。ケース内に収容された回路部品及び温度センサは、ケース内に注型された樹脂によりモールドされる。
【0028】
図1において、1は、銅やアルミニウムなどの熱伝導率が高い金属材料からなる直方体状のケースである。ケース1は、4つの側面を有する側壁部101と、底壁部102とを有し、上端は開口部となっている。ケース1の底面(底壁部の内面)1aは平坦に形成され,底面1aにインバータ発電機の電力変換部を構成する回路部品が取りつけられる。電力変換部を構成する回路部品のうち、マイクロプロセッサなどの制御部品や、コンデンサなどの発熱が少ない素子は、回路基板に取りつけられてケース内に収容されるが、コンバータを構成する整流素子、インバータを構成するトランジスタ、MOSFETなどのパワー素子(大きい電流が流れる素子)は、ケース1に熱的に結合された状態で取りつけられる。
【0029】
図1において、2はチップ部品からなるダイオード等のパワー素子で、その一面に設けられた電極が絶縁シート4を介してケースの底面1aに熱的に結合された状態で、ネジ止め、接着等の適宜の手段によりケース1に固定されている。ケース1内には、多くのパワー素子が収容されるが、図1においては、簡単にするために1つのパワー素子2のみを示している。
【0030】
ケース内に収容された電力変換分での発熱を検出する場合、電力変換部の保護を図る上で検出対象とするのに適した素子、例えば、電力変換部に過電流が流れた際に最も発熱量が多いパワー素子を検出対象として、検出対象とするパワー素子の近傍にサーミスタなどの温度センサ3を配置し、この温度センサから得られる検出信号を制御部に入力する。
【0031】
本実施形態においては、ケース1の底面に取り付けられたパワー素子のうち、温度を検出しようとするパワー素子2から一定の距離を隔てた位置にケースの底面から開口部側に向かって、パワー素子2の上面よりも高い位置まで伸びる柱状の位置決め突起103が突設され、この位置決め突起103の頂部上に温度センサ3が取りつけられている。温度センサ3は、その一面が受熱面となっていて、該受熱面を位置決め突起103の頂面に当接させた状態で配置されて、1本のネジ5により位置決め突起103に締結されている。温度センサ3は、位置決め突起103とケースの底壁部とを通してパワー素子2に熱的に結合されている。位置決め突起103の高さは、温度センサ3がネジ5を中心に回転してパワー素子2側に変位したときでも温度センサ3とパワー素子2との間に必要な絶縁距離が確保されるように、十分高く設定されている。
【0032】
電力変換部の構成要素が収容されたケース1内には、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂6が注型され、この注型樹脂によりケース内の部品がモールドされる。温度センサ3は、注型樹脂6を通してもパワー素子に熱的に結合される。
【0033】
上記のように、パワー素子2をケースの底面1aに直接または絶縁シートを介して接触させた状態で取りつけるとともに、ケース1の底面のパワー素子2から一定の距離を隔てた位置に突設した位置決め突起103の頂部上に温度センサ3を1本のネジ5により固定する構造として、温度センサ3がネジ5を中心に回転したときでも温度センサ3とパワー素子2との間に必要な絶縁距離が確保されるように位置決め突起の高さを設定しおくと、温度センサ3を取り付ける際に温度センサ3がネジ5と共回りしたとしても、温度センサ3とパワー素子2との間に必要な絶縁距離を確保することができる。そのため、温度センサ3を固定するネジ5を締め付ける際に、ケース内の狭いスペースに手または治具を挿入して、温度センサ3がネジ5と共回りすることがないようにする必要がなく、ネジの締めつけ作業を簡単にすることができる。
【0034】
また上記のように構成すると、温度センサ3がネジ5を中心にして回転したとしても、温度センサ3がパワー素子2に接触して両者間で短絡が生じたり、温度センサ3の一部がパワー素子に接近して両者間の絶縁距離が不足したりすることがないため、ケース1の横方向に測った温度センサとパワー素子との間の距離dを必要最小限の大きさに設定してケース1の幅寸法Wの縮小を図ることができ、ケース1の小形化を図ることができる。
【0035】
図2は、本発明の第2の実施形態を示したもので、この実施形態においても、パワー素子2は、ケースの底面1aに絶縁シート4を介して接触させられた状態で取りつけられている。また検出対象とするパワー素子2から一定の距離dを隔てた位置に板状の位置決め突起104が、その板面をパワー素子のチップの側面に対向させた状態で突設されている。温度センサ3は、位置決め突起104の側面に当接されて、該位置決め突起により、ネジ5を締める方向への温度センサの回転が阻止された状態で、ケース1の底面1aにネジ5により締結されている。温度センサ3は、ケースの底壁部と絶縁シート4とを通してパワー素子2に熱的に結合されている。ケース1内には、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂6が注型されて、この注型樹脂によりケース内の部品がモールドされている。
【0036】
上記のように、ケース1の底面のパワー素子2から一定の距離を隔てた位置に位置決め突起104を突設して、この位置決め突起により、ネジ5を締める方向への温度センサ3の回転を阻止するようにすると、温度センサ3を固定するネジ5を締める際に温度センサがネジと共回りするのを防ぐことができ、温度センサがネジと共回りすることにより、温度センサとパワー素子との間の絶縁距離が不足する状態が生じるのを防ぐことができる。
【0037】
また上記のように構成した場合も、温度センサ3が回転してパワー素子に接触したり、温度センサの一部がパワー素子に接近して両者間の絶縁距離が不足したりすることがないため、ケースの横方向に測った温度センサとパワー素子との間の距離dを必要最小限に設定して、ケースの小形化を図ることができる。
【0038】
図3は本発明の第3の実施形態を示したもので、この実施形態においても、パワー素子2が、ケースの底面1aに絶縁シート4を介して接触させられた状態で取りつけられている。また検出対象とするパワー素子2から一定の距離dを隔てた位置に板状の位置決め突起104がその板面をパワー素子のチップの側面に対向させた状態で突設され、更に、位置決め突起104から所定の距離tを隔てた位置に、板状の位置決め突起105がその板面を位置決め突起104の板面に対向させた状態で突設されている。一対の位置決め突起104,105の間隔tは、両突起間に温度センサ3を隙間なく挿入するのに適した大きさに設定されている。温度センサ3は、位置決め突起104,105の間に挟み込まれた状態で、1本のネジ5によりケース1の底面に固定されている。その他の点は、図2に示した実施形態と同様である。
【0039】
図3に示したように構成すると、温度センサの位置決めを更に確実にすることができ、時計方向及び反時計方向の双方向に温度センサの回り止めを図ることができる。
【0040】
上記の各実施形態では、パワー素子2の電極面を絶縁シート4を介してケースの底面に接触させているが、パワー素子の一面に設けられた電極面がケースを通して他のパワー素子や接地電位部に電気的に接続される場合には、該パワー素子の電極面がケースの底面1aに半田付けされる。またパワー素子の電極面をケースに熱的に結合して取り付ける場合だけでなく、パワー素子の絶縁外装の一面をケースの底面に接着するような場合にも本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の第1の実施形態の構成を概略的に示した縦断面図である。
【図2】本発明の第2の実施形態の構成を概略的に示した平面図である。
【図3】本発明の第3の実施形態の構成を概略的に示した平面図である。
【図4】従来例を示した縦断面図である。
【符号の説明】
【0042】
1 ケース
1a ケースの底面
2 パワー素子
3 温度センサ
4 絶縁シート
5 ネジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流発電機と、前記交流発電機の出力を直流出力に変換するコンバータ及び前記コンバータの直流出力を一定の周波数の交流出力に変換するインバータを有する電力変換部とを備えたインバータ発電機の前記電力変換部を構成する回路部品がヒートシンクを兼ねるケース内に収容され、前記回路部品のうち冷却が必要なパワー素子が前記ケースに熱的に結合され、前記パワー素子の温度を検出する温度センサが前記ケース内に収容されて該温度センサが前記ケースに熱的に結合された状態で前記ケースに対して固定され、前記ケース内に収容された回路部品及び温度センサが前記ケース内に注型された樹脂によりモールドされているインバータ発電機用電気回路ユニットにおいて、
前記温度センサに当接して該温度センサをパワー素子から一定の距離を隔てた位置に位置決めする位置決め突起が前記ケースの内面に設けられ、
前記温度センサは、前記位置決め突起により位置決めされた状態でネジにより前記ケースに固定されていること、
を特徴とするインバータ発電機用電気回路ユニット。
【請求項2】
前記パワー素子は、前記ケースの底面に直接または絶縁シートを介して接触させられた状態で取りつけられ、
前記位置決め突起は前記ケースの底面の前記パワー素子から一定の距離を隔てた位置に突設され、
前記温度センサは、前記位置決め突起の頂部上に1本のネジにより固定されて、前記パワー素子よりも高い位置に配置され、
温度センサがネジを中心に回転したときでも前記温度センサとパワー素子との間に必要な絶縁距離が確保されるように前記位置決め突起の高さが設定されていること、
を特徴とする請求項1に記載のインバータ発電機用電気回路ユニット。
【請求項3】
前記パワー素子は、前記ケースの底面に直接または絶縁シートを介して接触させられた状態で取りつけられ、
前記位置決め突起は、前記ケースの底面の前記パワー素子から一定の距離を隔てた位置に突設され、
前記温度センサは、前記位置決め突起の側面に当接されて、該位置決め突起により前記ネジを締める方向への前記温度センサの回転が阻止された状態で前記ケースの底面にネジ止めされていることを特徴とする請求項1に記載のインバータ発電機用電気回路ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−206324(P2008−206324A)
【公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−40332(P2007−40332)
【出願日】平成19年2月21日(2007.2.21)
【出願人】(000001340)国産電機株式会社 (191)
【Fターム(参考)】