説明

インモールドラベル容器および蓋材付きインモールドラベル容器

【課題】薄肉化されたインモールドラベル容器において、とりわけフランジの強度を上昇させることができ、かつ蓋材との密封性に優れたインモールドラベル容器を提供する。
【解決手段】インモールドラベル容器10は胴部1と、胴部1上端に設けられたフランジ4と、胴部1に連結された底部3とを備えている。帯状ラベル5は胴部1外面からフランジ4まで延びている。胴部1の厚さは0.30〜0.50mmとなっており、フランジ4の厚さは胴部の厚さの1.4〜2.1倍となっている。フランジ4上面に、上方へ突出する複数の環状リブ9が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インモールドラベル容器および蓋材付きインモールドラベル容器に関し、更に詳細には、軽量かつ薄肉であっても落下強度に優れ、かつ優れた密封性をもつインモールドラベル容器および蓋材付きインモールドラベル容器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、飲料物や固形物を収容する為の容器としてインモールドラベル容器が広く使用されている。インモールドラベル容器は、他のガラス容器や金属容器に比較して軽量であり成形性に優れるといった多くの利点を有するが、更なる軽量化した容器の希求がある。
【0003】
インモールドラベル容器は、射出成形やブロー成形によって所望の形状に成形される。例えば、射出成形によって截頭錐体形状のプラスチック容器を成形する場合、溶融樹脂を金型に流し込み、樹脂を冷却固化させることにより、所望の形状の容器を形成できる。容器を軽量化するためには、射出成形機の金型に流し込む樹脂量を減らして容器を肉薄化することにより実現できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−315726号公報
【特許文献2】特開2009−227316号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、薄肉化したインモールドラベル容器は機械的強度に劣るという問題があった。とりわけ、インモールドラベル容器内に、内容物を収納した状態では容器重量が増加しているため、内容物を収納した状態で容器が落下すると、容器のうち、とりわけフランジ近傍が破損する場合があった。
【0006】
本発明はこのような点を考慮してなされたものであり、軽量かつ薄肉であっても落下強度に優れたフランジをもち、かつ蓋材との密封性に優れたインモールドラベル容器、および蓋材付きインモールドラベル容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、ラベルと、このラベル表面に射出された射出樹脂とからなるインモールドラベル容器において、胴部と、胴部上端に設けられたフランジと、胴部に連結された底部とを備え、ラベルは胴部外面からフランジまで延び、胴部の厚さは0.30〜0.50mmとなっており、フランジの厚さは胴部の厚さの1.4〜2.1倍となっており、フランジ上面に、上方へ突出する複数の環状リブが設けられていることを特徴とするインモールドラベル容器である。
【0008】
本発明は、フランジ上面に上方へ突出する2〜6本の環状リブが設けられていることを特徴とするインモールドラベル容器である。
【0009】
本発明は、上記記載のインモールドラベル容器と、インモールドラベル容器のフランジ上面に接着された蓋材とを備えたことを特徴とする蓋材付きインモールドラベル容器である。
【発明の効果】
【0010】
以上のように本発明によれば、胴部の厚さは0.30〜0.50mmとなっているので、インモールドラベル容器全体の軽量化を図ることができ、かつフランジの厚さを胴部の厚さの1.4〜2.1倍としたことによりフランジの機械的強度を向上させることができる。さらにフランジ上面に複数の環状リブを設けたことにより、フランジ上面の平面性を向上させ、かつフランジ上面に蓋材を接着した場合に、フランジと蓋材との間の密封性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は本発明によるインモールドラベル容器および蓋材付きインモールドラベル容器の一実施の形態を示す全体側断面図。
【図2】図2はインモールドラベル容器の胴部とフランジを示す拡大側断面図。
【図3】図3はインモールドラベル容器のフランジを示す平面図。
【図4】図4は射出樹脂とラベルを示す側断面図。
【図5】図5は側面落下試験を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
【0013】
図1乃至図5は、本発明によるインモールドラベル容器および蓋材付きインモールドラベル容器の一実施の形態を示す図である。
【0014】
図1に示すように、インモールドラベル容器10は胴部1と、胴部1の上端に設けられたフランジ4と、胴部1に連結された底部3と、底部3の周縁3aから下方へ突出する糸尻部2とを備えている。
【0015】
インモールドラベル容器10の胴部1は巻付けてなる帯状ラベル5と、帯状ラベル5の表面に射出された射出樹脂6とからなっている。また帯状ラベル5は、胴部1の外面から上方に向かってフランジ4側へ延びるとともに、糸尻部2側へも延びている。このように糸尻部2およびフランジ4は、帯状ラベル5と、帯状ラベル5上の射出樹脂6とからなっている。
【0016】
すなわち帯状ラベル5として、少なくとも印刷基材層とヒートシール層の2層から構成されるラベルが使用でき、必要に応じてガスバリア層を設けることができる。例えば、以下の層構成のものを用いることができる。数字は各層の厚みを示す。
(1)OPP(延伸ポリプロピレン)20μ/VMPET(アルミ蒸着ポリエチレンテレフタレート)12μ/OPP(延伸ポリプロピレン)20μ、または
(2)OPP 30μ/VMPET 12μ/OPP 30μ
(3)OPP 30μ/OPP 30μ
(4)OPP 30μ/AL(アルミニウム箔)7μ/OPP 30μ
(5)OPP 30μ/PET(ポリエチレンテレフタレート)12μ/OPP 30μ
【0017】
図4に示すように、帯状ラベル5はOPP層5aと、VMPET層5bと、OPP層5cとを有し、このうちOPP層5aはヒートシール層となっており、VMPET層5bおよびOPP層5cは各々ガスバリア層および印刷基材層として機能する非ヒートシール層となっている。
【0018】
また、図1および図2に示すように、フランジ4の上面に上方へ突出する複数、例えば4本の環状リブ9が設けられている。さらに、胴部1の厚さlは、後述のように0.30〜0.50mmとなっていることが好ましい。
【0019】
また図2に示すように、フランジ4の厚さlと、胴部1の厚さlとの関係は、
1.4×l≦l≦2.1×lとなっていることが好ましい。
【0020】
このような構成からなるインモールドラベル容器10内に内容物(図示せず)を充填し、フランジ4の上面に、蓋材11をヒートシールにより接着することによって、蓋材付きインモールドラベル容器10Aが得られる。
【0021】
インモールドラベル容器10は胴部1が大部分の面積を占めており、重量は胴部1の厚さlが支配的である。現在のインモールドラベル容器10では胴部1の厚さlは0.50〜0.80mmが一般的である。上述のように、胴部1の厚さlを0.30〜0.50mmとすることにより、インモールドラベル容器10の成形性を維持した状態で、インモールドラベル容器10の軽量化を図ることができる。
【0022】
すなわち胴部1の厚さlが0.30未満の場合、成形金型内に射出樹脂が十分に行き渡ることができず、インモールドラベル容器10自体を成形することがむずかしい。
【0023】
他方胴部1の厚さlが0.50mm以上の場合、インモールドラベル容器10全体の軽量化を図ることがむずかしい。
【0024】
また、フランジ4の厚さlを胴部1の厚さlに対して、1.4〜2.1倍とすることにより、フランジ4の機械的強度を向上させることができる。
【0025】
すなわち、フランジ4の厚さlが胴部1の厚さlに対して1.4倍未満であると、フランジ4の機械的強度の向上を図ることができない。とりわけインモールドラベル容器10に対して側面落下試験を行った場合、フランジ4のうちとりわけ帯状ラベル5の端面5A近傍において破損が生じてしまう(図5)。これは帯状ラベル5の端面5Aは射出樹脂6と接着しないために、端面5Aと射出樹脂6との境界がノッチのような役割を果たすためである。
【0026】
他方、フランジ4の厚さlが胴部1の厚さlに対して1.4倍以上になると、成形金型のフランジ4の部分に射出樹脂6が行き渡りにくくなり、フランジ4内において射出樹脂6の充填密度に不均衝が生じる。射出樹脂6が底部3側から射出されるため、射出樹脂6は胴部1を通過した後フランジ4に到達するためである。これによってフランジ4の充填密度が低い箇所にひけ(窪み)が発生し、フランジ4上面の平面性が悪化する。フランジ4上面の平面性が悪化すると、フランジ4の外観に問題が生じ、かつフランジ4の上面に蓋材11とをヒートシールにより接着させた場合に、フランジ4と蓋材11との密封性に問題が生じることも考えられる。ヒートシールの熱でフランジ4上面が溶けてある程度平坦化されるが、ひけはフランジ4上面にランダムに発生しており、深さもばらばらなため、完全に平坦化されないためである。しかしながら本発明において、後述のようにフランジ4上面に環状リブ9を設けることにより、フランジ4上面におけるひけを抑えることができる。なお、フランジ4の厚さlが胴部1の厚さlに対して2.1倍以上になると、成型金型のフランジ4の部分に射出樹脂6が行き渡る前に固化してしまい、成形することができない。
【0027】
本発明によれば、胴部1の厚さlを0.30〜0.50mmとすることにより、インモールドラベル容器10の軽量化を図ることができ、かつフランジ4の厚さlを胴部1の厚さlに対して1.4〜2.1倍とすることによりフランジ4の機械的強度の向上を図ることができる。
【0028】
さらにフランジ4上面に上方へ突出する複数、例えば4本の環状リブ9が設けられている。この場合、フランジ4上面に4本の環状リブ9を設けたことにより、例えフランジ4の厚さが大きくなっても、フランジ4上面における平坦面の領域面積を抑えることができ、この平坦面における平面性を良好に維持することができる。
【0029】
また各環状リブ9はフランジ4上面において連続して形成されているため、蓋材11をフランジ4上面にヒートシールにより接着した際、この環状リブ9と蓋材11との間を円周方向全周に渡って接着することができる。このためフランジ4上面と蓋材11との間の密封性を向上させることができる。
【0030】
なお、蓋材11をフランジ4上面にヒートシールにより接着した場合、各環状リブ9は一般にヒートシール装置(図示せず)によりつぶされ、フランジ4上において平坦化される。
【0031】
次にインモールドラベル容器10の各部の構造について詳述する。インモールドラベル容器10の形状としては、容器全高が90〜120mm、フランジ4の外径が50〜100mmφ、胴部1の厚さlが0.30〜0.50mmが好ましい。またフランジ4の厚さlは胴部1の厚さlの1.4〜2.1倍となっている。
【0032】
底部3は、図1に示すように、その断面全体が、糸尻部2方向に突出する凸形状を有している。このように、底部3が容器下方に突出する凸形状を有しているため、底部3の下方向(重力方向)に働く力は、胴部1の内側方向に分散され、歪みの発生が抑制される。また、胴部1内側方向の力により、胴部1ないし糸尻部2が底部3に押しつけられることとなるため、落下時の衝撃によっても、底部3の周縁3aが破損することがない。
【0033】
胴部1と底部3との交点部分(底部3の周縁3a)において、胴部1の断面と底部3の断面とのなす角θが鈍角となるように、底部3が形成されている。底部3の周縁3aに容器下向きの曲率を持たせるように底部3を凸形状とすることにより、底部3に働く重力方向の応力が、胴部1の内側方向に分散されて歪みの発生が抑制される。
【0034】
また、糸尻部2は、下端が薄く底部3方向に向かって徐々に厚くなるようにテーパー形状に形成されていることが好ましい。このように、糸尻部2をテーパー形状に形成することにより、インモールドラベル容器10に下向きの曲率を持たせるよう底部3を凸形状としつつ、金型離型性を向上させることができる。すなわち、糸尻部2がテーパー形状に形成されていないと、容器成形時に金型から容器10を離型する際に、金型に糸尻部2が引っ掛かってしまうことがある。テーパーは、糸尻部2の容器10内側の側面の傾斜γが1〜2°となる程度が好ましい。また、糸尻部2は、高さが2.0〜5.0mm、厚みが0.6〜0.8mmとすることが好ましい。
【0035】
さらに、本発明は、前記容器10の胴部1が傾斜を有し、且つ、胴部1下方の内周面に、内側に凸状となる水平方向のスタックリブを設けてもよい。スタックリブは、側部下方の内周面に凸状となる水平方向に設けられているので、胴部1に傾斜を有する空の容器10を積み重ねた時、容器の糸尻部2をスタックリブで受け止めることができ、きつく嵌まり込むことがないので、所謂スタッキング離れがよく、充填機適性をよくすることができる。
【0036】
従って、前記のような構成を採ることにより、耐衝撃性に一層優れると共に、成形性や耐熱性、耐水性、更には食品に対する安全性の面でも一層優れた透明インモールドラベル容器10を生産性よく且つ経済性よく提供することができる。
【0037】
本発明のインモールドラベル容器10に用いる射出樹脂6は、成形性の点から、そのメルトフローレート(MFR)(JIS K7210に準拠した試験方法により、測定した値を意味する)が、45〜120g/10分の範囲であることが好ましい。本発明によるインモールドラベル容器10においては、このような溶融時粘度の低い樹脂を使用することにより、肉薄の容器10を容易に射出成形できる。MFRが45g/10分未満の場合は、容器10を肉薄化するために隙間を狭くした射出成形機の金型に流し込む際、熱流動性が低いため成形適性に劣り、射出成形の際、所謂ショートを発生しやすくなるため好ましくない。また、MFRが120g/10分を超える場合は、低粘度の樹脂は高粘度の樹脂に比べ、一般的に樹脂の分子量が小さいため、低粘度樹脂を用いた容器10は機械的強度に劣る。また、熱流動性が高く、射出成形の際、例えばフランジ部などにバリが発生しやすくなるため好ましくない。
【0038】
また、樹脂の曲げ弾性率(JIS K7171に準拠した試験方法により、測定した値を意味する)は、200〜2000MPaの範囲が好ましく、200MPa未満の場合は、樹脂流動性が低下し薄肉成形できない、また、2000MPaを超える場合は、容器を成形した際に硬くなりすぎ、逆に耐衝撃性が低下する。
【0039】
本発明においては、肉薄化した際の金型に対して流動性が良好であり、成形性に優れ、さらに機械的強度に優れる射出樹脂6として、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、などのオレフィン系樹脂や、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂を好適に使用することができ、これらの中から容器に収納される内容物や、収納、密封後の加熱処理の有無など使用条件に応じて適するものを適宜選択して使用することができる。これらの中でも、薄肉化しても成形性に優れるとともに強度を維持でき、また耐熱性にも優れるポリプロピレンからなる樹脂を用いることが好ましい。
【0040】
ポリプロピレン系樹脂としては、プロピレン単独のポリマーの他、例えばプロピレンとエチレンもしくはエチレンとブテン−1とのランダム共重合体や、エチレンをブロック状に共重合させたプロピレン−エチレンのブロック共重合体、更には、ポリプロピレンに他のポリマーやエラストマーなどをブレンドしたポリプロピレン系ブレンド樹脂などを使用することができる。
【0041】
ポリプロピレン系樹脂は、その曲げ弾性率を前記の範囲内に調整することも比較的容易であり、また、メルトフローレート(MFR)を45〜120g/10分の範囲とすることも容易である。このようなポリプロピレン系樹脂には、必要な場合、ソルビトール系などの透明核剤を添加して透明性を向上させることもできる。
【0042】
また、上記ポリプロピレン系樹脂は、剛性、耐熱性、耐水性などにも優れており、内容物が各種飲料、その他デザート食品などの場合でも、これらの食品に対する安全性の面でも優れている。且つ低温時の耐衝撃性も共重合などにより改質できることから各種の内容物や使用条件に対して汎用することができる。
【0043】
本発明に用いる樹脂は、射出成形が可能な樹脂であれば特に限定はされず、例えば、ポロプロピレン樹脂として、日本ポリポロ社製のBC10HRF、メルトフローレート(MFR)100g/10分等を好適に使用できる。
【0044】
本発明のインモールドラベル容器10を製造する場合、射出成形時に金型に帯状ラベル5をセットしておき、成形時の樹脂のもつ熱で帯状ラベル5、ヒートシール層を成形品上面に融着させることにより、成形と同時にラベリングを行う。
【0045】
インモールドラベル容器10の製造方法としては、従来からのインモールドラベル方式の製造方法をそのまま用いることができ、射出成形法を用いたインモールドラベル方式で製造することができる。
【0046】
次に図2によりフランジ4上面に設けられた4本の環状リブ9の構造について詳述する。
【0047】
図2に示すように、フランジ4の幅は4.4mmとなっており、4本の環状リブ9はこのフランジ4の上面に設けられている。各環状リブ9の高さは0.4mm、その幅は底部において0.3mmとなっている。
【0048】
各環状リブ9の断面は、金型からインモールドラベル容器10を剥離しやすくするため上方に向かって先細となるテーパ形状をもち、環状リブ9のテーパ角は20°となっているが、金型からインモールドラベル容器10を剥離できるのであれば、必ずしもテーパ形状を設ける必要はない。
【0049】
また各環状リブ9は、1.4mm間隔で配置されている。
【0050】
さらにフランジ4の上面はその両端においてR状の面取りが施され、フランジ4の上面両端は、半径R=0.2mmの面取りが施されている。
【0051】
なお、フランジ4上面の環状リブ9の本数は4本に限る必要はないが、2〜6本設けることが好ましい。1本の環状リブ9を設けた場合は、フランジ4上面の平坦面の面積を抑えることができず、フランジ4上面の平面性向上が図れない。7本の環状リブ9を設けた場合は、金型からの離型性に問題が生じる。
【実施例】
【0052】
次に本発明の具体的実施例について、以下説明する。
【0053】
本発明の実施例において、インモールドラベル容器として以下のものを準備し、各々のインモールドラベル容器10について側面落下試験を施した。
【0054】
(実施例1)
実施例1におけるインモールドラベル容器10は、射出樹脂6としてメルトフローレート(MFR)が100g/10分の日本ポリポロ社製のBC10HRFを使用し、帯状ラベル5としてOPP20μ/VMPET12μ/OPP20μを使用して成型し、全高110mm、フランジ4の外径71mmφ、首下径63mm、底部の外径49mmφ、満注容量250cc、胴部1の厚さl=0.40mm、フランジ4の厚さl=0.70mmを有している。またフランジ4の上面には2本の環状リブ9が設けられ、環状リブ9の高さは0.4mmとなっている。
【0055】
このような構成からなるインモールドラベル容器10に対して、フランジ4上面の平面性(ひけの状態)を観察し、蓋材付きインモールドラベル容器10Aをフランジ4から床面に落下させる側面落下試験を行った。図5により落下試験方法を以下に記す。インモールドラベル容器10に水を200cc充填し、蓋材11をフランジ4にヒートシールして蓋材付きインモールドラベル容器10Aを製造し、この蓋材付きインモールドラベル容器10Aを5℃冷蔵庫にて24時間以上保管した。冷蔵保管したサンプルを落下試験機にて、胴部1の帯状ラベル5の端面5Aが下側になるよう蓋材付きインモールドラベル容器10Aを横向きにして(胴部およびフランジがコンクリート面Gにあたるように)、コンクリート面G上に落下させた。このときフランジ4には帯状ラベル5の端面5Aから亀裂や欠損等の割れCが生じた。落下高さは10cmから始め、フランジ4に亀裂や欠損等の割れCが発生するまで10cmずつ落下高さを上げて落下させ、割れが発生したときの高さを記録した。最低割れ高さはn=10回の試験で、一番低い高さで破損したサンプルの記録、平均割れ高さはn=10回の平均値とした。
【0056】
(実施例2)
環状リブ9の本数を4本とした以外は、実施例1と同様のインモールドラベル容器10を準備した。
【0057】
このインモールドラベル容器10に対してフランジ4上面の平面性を観察し、蓋材付きインモールドラベル容器10Aに対して側面落下試験を施した。
【0058】
(実施例3)
環状リブ9の本数を4本とし、フランジ4の厚さlを0.9mmとした以外は実施例1と同様のインモールドラベル容器10を準備した。
【0059】
このインモールドラベル容器10に対してフランジ4上面の平面性を観察し、蓋材付きインモールドラベル容器10Aに対して側面落下試験を施した。
【0060】
(比較例1)
胴部1の厚さlを0.40mmとし、フランジ4の厚さlを0.5mmとし、環状リブを設けない以外は実施例1と同様のインモールドラベル容器を準備した。
【0061】
このインモールドラベル容器10に対してフランジ上面の平面性を観察し、蓋材付きインモールドラベル容器に対して側面落下試験を施した。
【0062】
(比較例2)
フランジ4の厚さlを0.6mmとした以外は、比較例1と同様のインモールドラベル容器を準備した。
【0063】
このインモールドラベル容器に対してフランジ上面の平面性を観察し、蓋材付きインモールドラベル容器に対して側面落下試験を施した。
【0064】
(比較例3)
フランジ4の厚さl=0.70mmとした以外は、比較例1と同様のインモールドラベル容器を準備した。
【0065】
このインモールドラベル容器10に対してフランジ上面の平面性を観察し、蓋材付きインモールドラベル容器に対して側面落下試験を施した。
【0066】
(比較例4)
フランジ4の厚さl=0.90mmとした以外は、比較例1と同様のインモールドラベル容器を準備した。
【0067】
このインモールドラベル容器10に対してフランジ上面の平面性を観察し、蓋材付きインモールドラベル容器に対して側面落下試験を施した。
【0068】
(比較例5)
胴部1の厚さlを0.50mmとし、フランジ4の厚さlを0.70mmとし、環状リブを設けない以外は実施例1と同様のインモールドラベル容器を準備した。
【0069】
このインモールドラベル容器10に対してフランジ上面の平面性を観察し、蓋材付きインモールドラベル容器に対して側面落下試験を施した。
【0070】
以下、実施例1−3および比較例1−5に対するフランジの平面性(ひけの状態)および側面落下試験の結果を表−1に示す。
判定結果は、下記3つの項目を全て満たす場合を○とした。
1.インモールドラベル容器10の重量が12g以下
2.平均割れ高さが50cmより高い
3.目視にてフランジ4上面にヒケが確認できない(確認できない場合を○とした)
【表1】

【0071】
上記表−1からわかるように、実施例1−3においては軽量化を図ることができ、フランジの平面性が良好であり、かつ側面落下試験を行った場合、フランジの破損がはじまる最低割れ高さが向上する。また実施例1−3においては、側面落下試験を行った場合、フランジが破損する平均割れ高さも大きくなる。また、実施例1−3において、水200ccを充填し、フランジ上面に蓋材をヒートシールして液漏れが発生しないか確認したところ、液漏れが発生しないことが確認できた。
【0072】
他方、比較例1−5において、比較例1ではフランジの平面性は良好であるが、側面落下試験時においてフランジが破損する最低割れ高さおよび平均割れ高さは低くなっている。また比較例2−4では最低割れ高さおよび平均割れ高さは良好であるが、フランジの平面性は不良となっている。また、比較例5では軽量化が図れない。
【符号の説明】
【0073】
1 胴部
2 糸尻部
3 底部
3a 底部周縁
4 フランジ
5 帯状ラベル
5a ヒートシール層
5b、5c 非ヒートシール層
6 射出樹脂
9 環状リブ
10 インモールドラベル容器
10A 蓋材付きインモールドラベル容器
11 蓋材
G コンクリート面
C 割れ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラベルと、このラベル表面に射出された射出樹脂とからなるインモールドラベル容器において、
胴部と、
胴部上端に設けられたフランジと、
胴部に連結された底部とを備え、
ラベルは胴部外面からフランジまで延び、
胴部の厚さは0.30〜0.50mmとなっており、
フランジの厚さは胴部の厚さの1.4〜2.1倍となっており、
フランジ上面に、上方へ突出する複数の環状リブが設けられていることを特徴とするインモールドラベル容器。
【請求項2】
フランジ上面に上方へ突出する2〜6本の環状リブが設けられていることを特徴とする請求項1記載のインモールドラベル容器。
【請求項3】
請求項1記載のインモールドラベル容器と、
インモールドラベル容器のフランジ上面に接着された蓋材とを備えたことを特徴とする蓋材付きインモールドラベル容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−66834(P2012−66834A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−212439(P2010−212439)
【出願日】平成22年9月22日(2010.9.22)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】