説明

エンコーダ及びサーボモータ

【課題】ロータリエンコーダの小型化を実現する。
【解決手段】光学ホイールの径を、磁気ホイールの径と等しくなるように形成する。そして、光学ホイールに形成した光学トラックが、磁気ホイールに形成された磁気トラックと、磁気トラックからの磁束を検出する磁気センサとの間に位置するように、光学ホイールを配置する。これにより、光学ホイールが小径化し、エンコーダユニット60全体が小型化する。また、エンコーダユニット60が小型化するため、このエンコーダユニット60を備えるサーボモータ10が小型化する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンコーダ及びサーボモータに関し、更に詳しくは、回転体の回転を検出するためのエンコーダ及び前記エンコーダを備えるサーボモータに関する。
【背景技術】
【0002】
サーボモータは、制御方法が確立されており、低速域から高速域に至るレンジで、比較的安定してトルクを発生することができる。このため、工作機械や産業用ロボットなどによく用いられている。サーボモータを用いたシステムでは、ロータリエンコーダを用いて回転軸の回転を検出し、検出した結果に基づいて回転軸の回転角度や回転速度を制御するのが一般的である。
【0003】
ロータリエンコーダとしては、回転する符合板からの反射光や、回転する環状磁石の磁束の変化に基づいて、回転体の回転を検出するものが開示されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−24283号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したロータリエンコーダは、回転軸まわりにN極とS極とが交互に形成された磁気ホイールと、回転軸まわりに光学パターンが形成された光学ホイールの双方を必要とする。このため、この種のロータリエンコーダでは、例えば特許文献1に開示されるように、磁気ホイールを囲むように、光学ホイールが配置されるのが一般的である。
【0006】
しかしながら、磁気ホイールを囲むように光学ホイールを配置する場合や、光学ホイールを囲むように磁気ホイールを配置する場合には、いずれかのホイールの直径が他方のホイールの直径よりも大きくならざるを得ない。このため従来の構造では、装置の小型化に対する要求に応えるのが困難であった。
【0007】
本発明は、上述の事情の下になされたもので、ロータリエンコーダの小型化を実現することを目的とする。また、ロータリエンコーダを備えるサーボモータの小型化を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明のエンコーダは、回転体の回転を検出するためのエンコーダであって、前記回転体の回転軸を中心とする第1の円に沿って交互に形成されたN極とS極とからなる磁気トラックを有し、前記回転体とともに回転する磁気ホイールと、前記磁気トラックから、前記回転軸方向に離れて配置され、回転する前記磁気ホイールからの磁束を検出する磁気検出手段と、前記回転軸を中心とする第2の円に沿って形成された光学トラックを有し、前記回転体とともに回転する光学ホイールと、回転する前記光学ホイールの前記光学トラックに光を照射して、前記光学トラックで反射された反射光を検出する光検出手段と、を備え、前記光学ホイールは、前記磁気トラックと前記磁気検出手段との間に配置される。
【0009】
前記光学トラックは、前記第2の円に沿って交互に形成された、前記光を反射する複数の第1反射部と、前記光を吸収又は散乱させる複数の第1非反射部とからなる第1パターンを有し、前記光検出手段は、回転する前記光学ホイールの前記第1パターン上に光を照射して、前記第1反射部によって間欠的に反射される反射光を受光し、前記反射光の強度に応じた信号を出力する第1の光学センサを有していてもよい。
【0010】
前記第1の光学センサは、前記第1反射部が配列される周期の1/4だけ位相が相互に異なる第1の信号と、第2の信号とを出力することとしてもよい。
【0011】
前記光学トラックは、前記回転軸を中心とする第3の円に沿って形成された、第2反射部及び第2非反射部からなる第2パターンを有し、前記光検出手段は、回転する前記光学ホールの前記第2パターン上に光を照射して、前記第2反射部によって周期的に反射される反射光を受光し、前記反射光の強度に応じた信号を出力する第2の光学センサを有していてもよい。
【0012】
前記磁気ホイール及び前記光学ホイールは、前記回転軸に直交する方向の大きさが等しくてもよい。
【0013】
本発明のエンコーダは、前記磁気検出手段がスペーサを介して固定される回路基板を更に備えていてもよい。
【0014】
上記目的を達成するために、本発明のサーボモータは、シャフトと、前記シャフトに設けられたロータと、前記ロータとの間の電磁相互作用により、前記ロータとともに前記シャフトを回転するステータと、前記シャフトの回転を検出する本発明のエンコーダと、を備える。
【0015】
前記ロータの磁極の数と、前記磁気ホイールに形成された前記磁気トラックの磁極の数とは等しくてもよい。
【0016】
前記ロータの磁極を構成するN極及びS極と、前記磁気トラックの磁極を構成するN極及びS極とは、前記シャフト周りの位相が同じになるように配置されていることとしてもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、光学ホイールが、磁気ホイールの磁気トラックと磁気検出手段との間に配置される。これにより、光学ホイールを小さくすることができる。したがって、エンコーダの小型化、及びこのエンコーダを備えるサーボモータの小型化を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態に係るサーボモータの斜視図である。
【図2】サーボモータの断面図である。
【図3】ロータ、シャフト、ホイールユニットを示す斜視図である。
【図4】ホイールユニットの展開斜視図である。
【図5】光学ホイールの平面図である。
【図6】基板の断面をシャフト等とともに示す図である。
【図7】光学センサを、光学ホイール等とともに示す図である。
【図8】磁気センサを、磁気ホイール等とともに示す図である。
【図9】(A)及び(B)は、A相信号、B相信号、及びZ相信号の時間的な変化を示す図である。
【図10】CS信号1〜3の時間的な変化を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照しつつ説明する。図1は本実施形態に係るサーボモータ10の斜視図である。サーボモータ10は、8つの極を有するロータと、9つの極を有するステータを有するモータである。このサーボモータ10は、図1に示されるように、Y軸方向を長手方向とする円柱状のシャフト20と、シャフト20をY軸に平行な軸周りに回転させるモータユニット30と、シャフト20の回転を検出するためのエンコーダユニット60とを備えている。
【0020】
図2は、サーボモータ10のZY断面を示す図である。この図2及び図1を参照するとわかるように、モータユニット30は、シャフト20をY軸に平行となるように支持する一組の軸受け33A,33Bと、シャフト20に固定されたロータ34と、ロータ34を包囲するように配置されたステータ32と、上記各部を収容するケース31を有している。
【0021】
ケース31は、長手方向をY軸方向とする直方体状の中空部材である。このケース31の−Y側と+Y側には、Y軸方向に貫通する円形の開口31dがそれぞれ形成されている。シャフト20は、Y軸方向の両端部が、開口31dから外部へ突出した状態で、一組の軸受け33A,33Bによって回転可能に支持されている。
【0022】
図1に示されるように、ケース31の、Y軸に平行な軸周りの側面によって形成される4つのコーナー部分には、Y軸に沿った切り欠き部31aがそれぞれ形成されている。また、ケース31の−Y側の面には、開口31dを囲むように−Y方向へ突出した環状の凸部31cが形成され、4つのコーナーには、切り欠き部31aに至る貫通孔31bがそれぞれ形成されている。ケース31は、例えば貫通孔31bに挿入されたボルトやネジによって、ロボットアームなどの駆動対象機器のボディに固定される。
【0023】
図3は、ロータ34を、シャフト20及びホイールユニット70とともに示す斜視図である。図3に示されるように、ロータ34は、シャフト20が貫通する貫通孔を有する円筒状の部材である。このロータ34は、シャフト20を中心とする円周に沿って4つのN極と4つのS極が周期的かつ交互に現れるように着磁されている。なお、本実施形態では、着色された部分が、ロータ34のN極となっている。このロータ34は、貫通孔に挿入されたシャフト20に固定されている。
【0024】
図2に戻り、ステータ32は、長手方向をY軸方向とする円筒状の部材である。このステータ32は、シャフト20を中心とする円周に沿って、ロータ34に対向する9つの極を有している。本実施形態では、9つの極は、3つのグループに区分され、各グループを構成する極のコイルは直列に接続されている。
【0025】
エンコーダユニット60は、シャフト20に固定されたホイールユニット70と、ホイールユニット70の+Y側に配置された基板62と、これらを収容するケーシング61とを有している。
【0026】
図4は、ホイールユニット70の展開斜視図である。図4に示されるように、ホイールユニット70は、ベース71と、このベース71に固定される磁気ホイール75及び光学ホイール77とを有している。
【0027】
ベース71は、円形の大径部71bと、この大径部71bの+Y側に形成された円形の小径部71cと、大径部71bの−Y側から突出する円筒状の円筒部71aと、小径部71cの+Y側から突出する環状の環状凸部71dとから構成されている。また、ベース71には、Y軸方向に貫通する貫通孔71eが形成されている。
【0028】
磁気ホイール75は、外径が、ベース71の大径部71bの外径と等しく、内径が、小径部71cの外径とほぼ等しくなるように整形された環状の部材である。この磁気ホイール75は、磁性材料を素材とし、+Y側の面は外縁に沿って、4つのN極と4つのS極とが周期的かつ交互に現れるように着磁されている。これにより磁気ホイール75の+Y側の面は、磁気ホイール75の中心を中心とする円C1に沿って、周期的かつ交互にN極とS極とが現れる磁気トラックとなっている。
【0029】
光学ホイール77は、厚さが0.1mmで、ニッケルを主成分とする素材からなる円板状の部材である。この光学ホイール77の表面は、反射率が0.5以上になるように加工されている。図5は、光学ホイール77の平面図である。図5に示されるように、光学ホイール77の中央部には、ベース71を構成する環状凸部71dの外径とほぼ等しい径の開口77aが形成されている。そして、光学ホイール77の−Y側の面には、光学ホイール77の中心を中心とする円C2に沿って、円C2の半径方向を長手方向とする扇形のマークM1が、等間隔に複数形成されている。また、円C2と中心を共通にし、半径が円C2よりも大きい円C3の周上には、円C3の半径方向を長手方向とする扇形のマークM2が1つ形成されている。
【0030】
各マークM1,M2は、周囲の領域よりも反射率が低く、例えばその反射率は0.5より小さくなっている。そして、マークM1,M2は、マークM1同士に挟まれた領域とともに光学トラックTRを形成する。つまり、この光学トラックTRは、マークM1が形成された反射率が低い部分と、マークM1に挟まれる反射率が高い部分とが、円C2に沿って交互に配列されたインクリメンタルパターンと、インクリメンタルパターンの基準位置を示すマークM2とから構成される。
【0031】
図3及び図4を参照するとわかるように、上述したベース71、磁気ホイール75、及び光学ホイール77は、ベース71の小径部71cに磁気ホイール75が嵌め込まれ、環状凸部71dに、光学ホイール77が嵌め込まれることで一体化されている。このとき、光学トラックTRのほぼ全体が、磁気ホイール75の+Y側に位置した状態となっている。
【0032】
そして、ベース71は、磁気ホイール75のN極及びS極のシャフト20まわりの位相が、ロータ34のN極及びS極のシャフト20まわりの位相と一致するように位置決めされた状態で、貫通孔71eに挿入されたシャフト20に固定されている。
【0033】
図6は、基板62の断面をシャフト20等とともに示す図である。基板62は、正方形板状の部材であり、中心部にシャフト20が貫通する円形の開口62aが形成されている。そして、基板62の−Y側の面には、2つの光学センサPS1,PS2が実装されるとともに、3つの磁気センサMS1,MS2,MS3がスペーサ62bを介して実装されている。
【0034】
基板62は、光学センサPS1,PS2、及び磁気センサMS1〜MS3が実装された面が、光学ホイール77に対向するように、不図示の支持部材によって支持されている。これにより、光学センサPS1,PS2は、光学ホイール77の光学トラックTRに対向し、磁気センサMS1〜MS3は、光学トラックTRを介して、磁気ホイール75の磁気トラックに対向した状態となっている。また、光学ホイール77と磁気センサMS1〜MS3とのギャップは、例えば基板62と同じ素材からなるスペーサ62bによって、調整されている。
【0035】
図7は、光学センサPS1,PS2を、光学ホイール77等とともに示す図である。図7に示されるように、光学センサPS1は、光学ホイール77の中心を通りX軸に平行な直線L1と円C2とが交わる点に対応する位置に配置されている。この光学センサPS1は、光学ホイール77上の円C2上の位置に、照明光を射出する。そして、光学ホイール77に反射された照明光を受光し、受光した照明光の強度に応じた2系統の電圧信号を出力する。
【0036】
光学センサPS2は、光学ホイール77の中心を通りZ軸に平行な直線L2と円C3とが交わる点に対応する位置に配置されている。この光学センサPS2は、光学ホイール77上の円C3上の位置に、照明光を射出する。そして、光学ホイール77に反射された照明光を受光し、受光した照明光の強度に応じた1系統の電圧信号を出力する。
【0037】
以下説明の便宜上、光学センサPS1から出力される2系統の電圧信号をそれぞれA相信号、B相信号とする。また、光学センサPS2から出力される電圧信号をZ相信号とする。
【0038】
図8は、磁気センサMS1〜MS3を、磁気ホイール75等とともに示す図である。図8に示されるように、磁気センサMS1は、磁気ホイール75の中心を通りZ軸と平行な直線L3と、円C1とが交わる点に対応する位置に配置されている。また、磁気センサMS2は、磁気ホイール75の中心を通り直線L3と30度の角度をなす直線L4と、円C1とが交わる点に対応する位置に配置されている。また、磁気センサMS3は、磁気ホイール75の中心を通り直線L4と30度の角度をなす直線L5と、円C1とが交わる点に対応する位置に配置されている。これらの磁気センサMS1〜MS3は、ホール素子を含んで構成され、磁気ホイール75からの磁束を、光学ホイール77を介して検出し、検出した磁束に応じた電圧信号を出力する。
【0039】
以下説明の便宜上、磁気センサMS1,MS2,MS3それぞれから出力される電圧信号を、CS信号1、CS信号2、CS信号3とする。
【0040】
以上の説明からわかるように、本実施形態では、磁気ホイール75と、光学ホイール77と、2つの光学センサPS1,PS2と、3つの磁気センサMS1,MS2,MS3とを含んで、シャフト20の回転を検出するエンコーダが構成されている。そして、このエンコーダは、モータユニット30のケース31に取り付けられたケーシング61に収容されている。
【0041】
上述のように構成されたサーボモータ10では、3つのグループに区分された各極に、例えばグループ毎に位相が120度異なる交流電圧が印加されると、ステータ32とロータ34との間の電磁相互作用により、シャフト20がホイールユニット70とともに回転する。
【0042】
図9(A)は、シャフト20が等速回転しているときに、光学センサPS1から出力されるA相信号及びB相信号と、光学センサPS2から出力されるZ相信号との時間的な変化を示す図である。なお、このときのシャフト20の回転を正転とする。
【0043】
シャフト20が等速で正転すると、光学センサPS1から射出された照明光は、光学トラックTRによって間欠的に反射される。光学センサPS1は、光学トラックTRによって間欠的に反射された照明光の強度に応じたA相信号とB相信号とを出力する。図9(A)に示されるように、A相信号の値は、周期Tが経過する毎にローレベルからハイレベルに変化する。また、B相信号は、A相信号に対して、T/4周期遅れて、周期Tが経過するごとにローレベルからハイレベルに変化する。
【0044】
また、光学センサPS2から射出された照明光は、光学トラックTRのマークM2に入射したときには散乱或いは吸収され、それ以外の部分に入射したときには反射される。つまり、光学センサPS2から射出された照明光は、シャフト20が一回転する毎に、マークM2によって散乱或いは吸収される。光学センサPS2は、光学トラックTRに反射された照明光の強度に応じたZ相信号を出力する。図9(A)に示されるように、Z相信号の値は、シャフト20が一回転するのに要する時間T毎にハイレベルからローレベルに変化する。
【0045】
このZ相信号は、シャフト20の基準角度の検出に用いられる。例えば、Z相信号の立ち上がりから、A相信号及びB相信号が変化する回数をカウントすることで、分解能を360度/(T/(T/4))として、シャフト20の基準角度からの回転角を検出することができる。
【0046】
図9(B)は、シャフト20が正転とは逆方向に回転(逆転)しているときに、光学センサPS1から出力されるA相信号及びB相信号と、光学センサPS2から出力されるZ相信号との時間的な変化を示す図である。図9(A)及び図9(B)を参照するとわかるように、シャフト20が正転しているときは、A相信号が立ち上がった後に、B相信号が立ち上がり、A相信号が立ち下がった後に、B送信号が立ち下がる。一方、シャフト20が逆転しているときは、A相信号が立ち上がった後に、B相信号が立ち下がり、A相信号が立ち下がった後に、B相信号が立ち上がる。したがって、A相信号とB相信号が変化するタイミングパターンから、シャフト20が正転しているか逆転しているかを判断することができる。
【0047】
図10は、シャフト20が等速で正転しているときに、磁気センサMS1〜MS3からそれぞれ出力されるCS信号1、CS信号2、及びCS信号3の時間的な変化を示す図である。
【0048】
シャフト20が正転すると、図8を参照するとわかるように、磁気センサMS1〜MS3それぞれの−Y側を、磁気ホイール75のN極とS極とが交互に通過する。磁気センサMS1〜MS3それぞれは、交互に通過するN極とS極からの磁束を、N極からの磁束を正としS極からの磁束を負として検出し、検出した磁束に応じたCS信号1〜3を出力する。図10に示されるように、CS信号1は、概ね周期T毎にローレベルからハイレベルに変化する。また、CS信号2及びCS信号3は、CS信号1に対して、それぞれT/3周期或いは2T/3周期ずつ遅れて、概ね周期T毎にローレベルからハイレベルに変化する。なお、周期Tは、時間Tを4(=8極/2)で除した値と等価である。
【0049】
これらのCS信号1〜3は、ステータ32の各極と、ロータ34の磁極との相対位置関係を検出するために用いることができる。
【0050】
以上説明したように、本実施形態では、光学ホイール77に形成された光学トラックTRが、磁気ホイール75の磁気トラックと、磁気センサMS1〜MS3との間に配置されている。このため、光学ホイール77の径を小さくすることができる。これにより、エンコーダユニット60全体を小型化することができる。また、エンコーダユニット60が小型化するため、サーボモータ10の小型化を実現することができる。
【0051】
また、エンコーダユニット60では、磁気センサMS1〜MS3それぞれが、光学ホイール77を介して、磁気ホイール75からの磁気(磁束)を検出する。そこで、本実施形態では、基板62に設けられたスペーサ62bによって、磁気センサMS1〜MS3と光学ホイール77とのギャップが調整されている。これにより、磁気センサMS1〜MS3は、光学ホイール77が存在することによって、磁気ホイール75からの磁気が減衰したとしても、良好に磁束を検出することができる。
【0052】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態によって限定されるものではない。
【0053】
例えば、本実施形態では、光学ホイール77にはA相信号及びB相信号を出力するための光学トラックが形成され、磁気ホイール75には、CS信号を出力するための磁気トラックが形成されている。これに限らず、光学ホイール77に、CS信号を出力するための光学トラックを形成し、磁気ホイール75に、A相信号及びB相信号を出力するための磁気トラックを形成してもよい。
【0054】
また、本実施形態では、光学ホイール77の光学トラックTRは、Z相信号を出力するためのマークM2を含んで構成されている。これに限らず、光学トラックTRは、マークM1を含んで構成されるインクリメンタルパターンのみを有していてもよい。また、マークM2は、インクリメンタルパターンの内側に形成されていてもよい。
【0055】
また、本実施形態では、スペーサ62bは、基板62の素材と同等の素材で構成されている。これに限らず、スペーサ62bは、光学ホイール77と磁気センサMS1〜MS3とのギャップを適宜調整するための機構を有していてもよい。
【0056】
また、本実施形態では、光学ホイール77の光学トラックTRは、磁気ホイール75の磁気トラックと、磁気センサMS1〜MS3との間に配置されている。このため、光学トラックTRは、磁気トラックとY軸方向に重なる。このとき光学トラックTRは、磁気トラックと少なくとも一部が重なっていてもよいし、全部が磁気トラックと重なっていてもよい。
【0057】
また、本実施形態では、光学ホイール77は、厚さが0.1mmで、ニッケルを主成分とする素材からなる円形板状の部材であることとした。これに限らず、光学ホイール77は、例えば、ステンレス鋼板からなる部材であってもよい。また、光学ホイール77は、可能な限り薄く整形するのが好ましく、例えば非磁性材料からなるフィルムなどを、光学ホイールとして用いてもよい。
【0058】
また、本実施形態では、一例としてサーボモータ10が、8極のロータ34と、9極のステータ32とを有するサーボモータであることとした。これに限らず、ロータ34及びステータ32の極数は任意に選択することができる。また、サーボモータ10は、交流モータではなく、直流モータであってもよい。
【0059】
また、上記実施形態では、磁気センサMS1〜MS3は、ホール素子を含んで構成されている。これに限らず、磁気センサMS1〜MS3として、磁気抵抗素子を用いてもよい。
【0060】
また、図8に示される磁気センサMS1〜MS3の位置は一例であり、磁気センサMS1〜MS3は、その中心のXZ面における位置が、必ずしも円C1上にある必要はない。要は、磁気センサMS1〜MS3は、磁気ホイール75からの磁束を検出することができる位置に配置されていればよく、例えば、その中心のXZ面における位置が、磁気ホイール77に重なっていればよい。
【0061】
また、上記実施形態では、マークM1,M2が形成された部分が、光学センサPS1,PS2からの照明光を散乱或いは吸収する部分であることとした。これに限らず、マークM1,M2が形成された部分の反射率が高くなり、それ以外の部分の反射率が低くなるように、光学ホイール77を形成してもよい。
【0062】
また、上記実施形態では、磁気ホイール75は環状の磁性材料からなる部材である。これに限らず、磁気ホイール75は、例えば、複数の磁石を、円C1に沿って、N極とS極とが交互に位置するように配列して形成してもよい。
【0063】
また、上記実施形態では、基板62は、正方形板状に整形されているが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0064】
また、上記実施形態では、磁気センサMS1〜MS3は、シャフト20まわりの位相が30度ずつ異なる位置に配置されている。これに限らず、磁気センサMS1〜MS3は、位相が60度ずつ異なる位置に配置されていてもよい。また、位相が120度ずつ異なる位置に配置されていてもよい。また、磁気センサMS1が配置された位置から、位相が150度異なる位置に磁気センサMS2を配置し、磁気センサMS2が配置された位置から、位相が60度異なる位置に磁気センサMS3を配置してもよい。
【0065】
また、上記実施形態では、光学センサPS1,PS2は、シャフトまわりの位相が90度異なる位置に配置されている。これに限らず、光学センサPS1,PS2それぞれは、XZ面に関する位置が、円C2及び円C3上にあればよい。
【0066】
また、本発明は、本発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施形態及び変形が可能とされるものである。上述した実施形態は、本発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明のエンコーダは、回転体の回転を検出するのに適している。また、本発明のサーボモータは、駆動対象物を回転するのに適している。
【符号の説明】
【0068】
10 サーボモータ
20 シャフト
30 モータユニット
31 ケース
31a 切り欠き部
31b 貫通孔
31c 凸部
31d 開口
32 ステータ
33A,33B 軸受け
34 ロータ
60 エンコーダユニット
61 ケーシング
62 基板
62a 開口
62b スペーサ
70 ホイールユニット
71 ベース
71a 円筒部
71b 大径部
71c 小径部
71d 環状凸部
71e 貫通孔
75 磁気ホイール
77 光学ホイール
77a 開口
C1〜C3 円
L1〜L5 直線
M1,M2 マーク
MS1〜MS3 磁気センサ
PS1,PS2 光学センサ
TR 光学トラック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転体の回転を検出するためのエンコーダであって、
前記回転体の回転軸を中心とする第1の円に沿って交互に形成されたN極とS極とからなる磁気トラックを有し、前記回転体とともに回転する磁気ホイールと、
前記磁気トラックから、前記回転軸方向に離れて配置され、回転する前記磁気ホイールからの磁束を検出する磁気検出手段と、
前記回転軸を中心とする第2の円に沿って形成された光学トラックを有し、前記回転体とともに回転する光学ホイールと、
回転する前記光学ホイールの前記光学トラックに光を照射して、前記光学トラックで反射された反射光を検出する光検出手段と、
を備え、
前記光学ホイールは、前記磁気トラックと前記磁気検出手段との間に配置されるエンコーダ。
【請求項2】
前記光学トラックは、前記第2の円に沿って交互に形成された、前記光を反射する複数の第1反射部と、前記光を吸収又は散乱させる複数の第1非反射部とからなる第1パターンを有し、
前記光検出手段は、回転する前記光学ホイールの前記第1パターン上に光を照射して、前記第1反射部によって間欠的に反射される反射光を受光し、前記反射光の強度に応じた信号を出力する第1の光学センサを有する請求項1に記載のエンコーダ。
【請求項3】
前記第1の光学センサは、前記第1反射部が配列される周期の1/4だけ位相が相互に異なる第1の信号と、第2の信号とを出力する請求項2に記載のエンコーダ。
【請求項4】
前記光学トラックは、前記回転軸を中心とする第3の円に沿って形成された、第2反射部及び第2非反射部からなる第2パターンを有し、
前記光検出手段は、回転する前記光学ホールの前記第2パターン上に光を照射して、前記第2反射部によって周期的に反射される反射光を受光し、前記反射光の強度に応じた信号を出力する第2の光学センサを有する請求項1乃至3のいずれか一項に記載のエンコーダ。
【請求項5】
前記磁気ホイール及び前記光学ホイールは、前記回転軸に直交する方向の大きさが等しい請求項1乃至4のいずれか一項に記載のエンコーダ。
【請求項6】
前記磁気検出手段がスペーサを介して固定される回路基板を更に備える請求項1乃至5のいずれか一項に記載のエンコーダ。
【請求項7】
シャフトと、
前記シャフトに設けられたロータと、
前記ロータとの間の電磁相互作用により、前記ロータとともに前記シャフトを回転するステータと、
前記シャフトの回転を検出する請求項1乃至6のいずれか一項に記載のエンコーダと、
を備えるサーボモータ。
【請求項8】
前記ロータの磁極の数と、前記磁気ホイールに形成された前記磁気トラックの磁極の数とが等しい請求項7に記載のサーボモータ。
【請求項9】
前記ロータの磁極を構成するN極及びS極と、前記磁気トラックの磁極を構成するN極及びS極とは、前記シャフト周りの位相が同じになるように配置されている請求項8に記載のサーボモータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−95180(P2011−95180A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−251372(P2009−251372)
【出願日】平成21年10月30日(2009.10.30)
【出願人】(391008515)株式会社アイエイアイ (107)
【Fターム(参考)】