エンジンの回転軸と出力軸との接続分離構造
【課題】同一仕様のエンジンと装置毎に異なる仕様の動力伝達軸との接続分離構造を提供する。
【解決手段】回転軸31が接続されるクラッチインナー11と、前記クラッチインナー11を囲むインナー端面121を有するインナー本体12とからなるインナーアダプタ1と、出力軸32が接続されるクラッチアウター21と、前記クラッチアウター21を囲むアウター端面221を有するアウター本体22とからなるアウターアダプタ2とから構成され、インナーアダプタ1及びアウターアダプタ2は、アウター本体22に、遠心クラッチに同芯の円周上に係合突起23を設け、インナー本体12に、インナー端面121及びアウター端面221を接面させた際、係合突起23を周方向から係合させる係合鉤13を設けたエンジン3の回転軸31と出力軸32との接続分離構造である。
【解決手段】回転軸31が接続されるクラッチインナー11と、前記クラッチインナー11を囲むインナー端面121を有するインナー本体12とからなるインナーアダプタ1と、出力軸32が接続されるクラッチアウター21と、前記クラッチアウター21を囲むアウター端面221を有するアウター本体22とからなるアウターアダプタ2とから構成され、インナーアダプタ1及びアウターアダプタ2は、アウター本体22に、遠心クラッチに同芯の円周上に係合突起23を設け、インナー本体12に、インナー端面121及びアウター端面221を接面させた際、係合突起23を周方向から係合させる係合鉤13を設けたエンジン3の回転軸31と出力軸32との接続分離構造である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クラッチインナー(クラッチシュー、シューアセンブリとも言う)にクラッチアウター(クラッチドラム、クラッチハウジング、アウターハウジングとも言う)を被せて構成される遠心クラッチにより連結及び解除されるエンジンの回転軸と出力軸との接続分離構造に関する。
【背景技術】
【0002】
刈払機は、例えば操作棹に内蔵された動力伝達軸の先端に回転刃を取り付け、前記動力伝達軸の後端をエンジンの出力軸に接続して構成される。この刈払機は、操作棹が備えるハンドルにスロットルレバーが設けられ、スロットルレバーから延びるワイヤをエンジンのスロットルに接続している。また、エンジンの出力軸は、遠心クラッチを介してエンジンの回転軸に接続している。これから、エンジンの出力が一定以上になれば、遠心クラッチにより出力軸とエンジンの回転軸とが連結し、回転伝達軸を通じて回転刃を回転させ、前記出力軸の回転数が一定未満になれば、遠心クラッチにより出力軸とエンジンの回転軸とが連結解除され、回転刃を停止させる。
【0003】
ここで、操作棹とエンジンとの間に接続分離構造を備えていると、工場からの出荷に際して操作棹とエンジンとを分離して梱包、保管又は搬送できる。これは、梱包、保管又は搬送に際して、刈払機としての占有空間より、操作棹とエンジンとの個々の占有空間の合計の方が少なくて済む利点をもたらす。そこで、刈払機において、例えば特許文献1に見られるように、操作棹とエンジンとの間に、動力伝達軸の接続分離手段を備えた接続分離構造を設けて接続分離自在にすることにより、工場からの出荷に際しては操作棹とエンジンとを前記接続分離構造で分離し、梱包、保管又は搬送に際して、必要な収納空間を小さくすることが考えられる。
【0004】
ところで、特許文献1には、スロットルレバーとエンジンとを結ぶスロットルワイヤについて特に記載がない。これは、操作棹とエンジンとを同一梱包とし、両者の配置を一定程度自由にするだけが目的であるためと思われるが、上述したように、接続分離自在とした操作棹とエンジンとは完全に分離し、別梱包にできる方が好ましい。これから、操作棹とエンジンとを接続分離自在にした場合、スロットルワイヤも分割し、スロットルワイヤの接続分離手段を備えた接続分離構造が必要となる。これは、エンジンを停止させるストップスイッチとエンジンのストップ回路とを結ぶリード線についても同様で、リード線の接続分離手段を備えた接続分離構造が必要となる。
【0005】
【特許文献1】特開平11-187738号公報([0014]〜[0018])
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
刈払機の梱包、保管又は搬送に必要な収納空間を小さくする目的から、操作棹とエンジンとを接続分離できることは好ましい。しかし、操作棹とエンジンとの接続分離構造は、出力軸を動力伝達軸の仕様に合わせて設計しなければならなくなる。すなわちエンジンそのものが同じでも、出力軸の仕様の異なる多数のエンジンが必要になる。このため、操作棹とエンジンとの接続分離構造は、多数のエンジンについての在庫管理が負担となり、結果としてコスト増をもたらす虞がある。また、エンジンそのものの仕様が同じであるにも拘わらず、出力軸の仕様の違いで異なるエンジンの数が増えることは、エンジンそのもののコストを増加させる可能性も出てくる。
【0007】
また、動力伝達軸と出力軸とを対にして異なる仕様を設定することは、操作棹とエンジンとの接続分離構造について多数の仕様が必要なことを意味し、各仕様に合わせてスロットルワイヤやリード線の接続分離手段が必要になる。これは、接続分離構造のコスト増を招くほか、接続分離構造毎に異なる接続分離手順が要求され、取り扱いを不便にする。これらの問題は、刈払機のように、遠心クラッチを介して回転軸から出力軸へ回転動力を伝達し、前記出力軸に接続した動力伝達軸の先端から取り出した回転動力を利用する装置一般にも当てはまる。そこで、刈払機に代表される前記装置一般において、梱包、保管又は搬送に便利なように、同一仕様のエンジンと装置毎に異なる仕様の動力伝達軸との接続分離構造について検討し、併せて前記接続分離構造に適したスロットルワイヤやリード線の接続分離手段についても検討した。
【課題を解決するための手段】
【0008】
検討の結果開発したものが、クラッチインナーにクラッチアウターを被せて構成される遠心クラッチにより連結及び解除されるエンジンの回転軸と出力軸との接続分離構造であって、回転軸が接続されるクラッチインナーと、前記クラッチインナーを囲むインナー端面を有するインナー本体とからなるインナーアダプタと、出力軸が接続されるクラッチアウターと、前記クラッチアウターを囲むアウター端面を有するアウター本体とからなるアウターアダプタとから構成され、インナーアダプタ及びアウターアダプタは、インナー本体又はアウター本体の一方に、遠心クラッチに同芯の円周上に係合突起を設け、インナー本体又はアウター本体の他方に、インナー端面及びアウター端面を接面させた際、係合突起を周方向から係合させる係合鉤を設けたエンジンの回転軸と出力軸との接続分離構造である。「遠心クラッチに同芯」とは、クラッチインナー及びクラッチアウターの軸芯と同芯である意味である。
【0009】
本発明の接続分離構造は、遠心クラッチをクラッチインナーとクラッチアウターとに分離し、回転軸が接続されるクラッチインナーと、前記クラッチインナーを囲むインナー端面を有するインナー本体とからなるインナーアダプタと、出力軸が接続されるクラッチアウターと、前記クラッチアウターを囲むアウター端面を有するアウター本体とからなるアウターアダプタとにより構成する。インナーアダプタとアウターアダプタとは、クラッチインナーにクラッチアウターを被せてインナー端面及びアウター端面を接面させた際、遠心クラッチの軸芯を中心として前記インナー本体及びアウター本体のいずれか又は双方を自転させることにより、係合突起を係合鉤に係合させて、接続する。係合突起と係合鉤とは、それぞれがインナー本体及びアウター本体のいずれかに対の関係で設けられればよく、インナー本体及びアウター本体のいずれかを自転させて係合する関係にあればそれぞれの形状を問わない。例えば断面L字状の係合鉤に潜り込ませる係合突起を周方向から接近させ、係合鉤の下に潜り込ませて係合させる構成を示すことができる。
【0010】
係合突起と係合鉤との対応付けを正確にするため、インナーアダプタ及びアウターアダプタは、インナー端面又はアウター端面の一方に、遠心クラッチに同芯かつ面直交方向に突出する円形凸部を設け、インナー端面又はアウター端面の他方に、遠心クラッチに同芯かつ前記円形凸部が嵌合する円形凹部を設けるとよい。この場合、インナー端面又はアウター端面の一方に設けた円形凸部の凸部周面から半径方向外向きに係合突起を張り出し、インナー端面又はアウター端面の他方に設けた円形凹部の凹部周面から半径方向内向きに係合鉤を張り出して構成することができる。これにより、係合突起及び係合鉤をインナー端面又はアウター端面からはみ出さずに設けることができる。
【0011】
このほか、インナーアダプタ及びアウターアダプタの接続状態を維持するため、前記インナーアダプタ及びアウターアダプタは、インナー端面又はアウター端面の一方に、面直交方向へ出没自在に付勢したストッパ突起を設け、インナー端面又はアウター端面の他方に、前記ストッパ突起が嵌合するストッパ穴を設けるとよい。ストッパ突起は、例えばストッパ穴に向けてストッパ押出スプリングで付勢しながら、インナーアダプタを強制的に回せば、嵌合したストッパ穴から外れる程度にしてもよい。すなわち、ストッパ突起とストッパ穴との組み合わせを一種の節度機構として構成する。この場合、例えばアウター端面からストッパ突起を突出させ、インナー端面にストッパ穴を設けた場合、ストッパ突起の先端は、摺接するインナー端面から受ける力をストッパ突起がアウター端面に没する力に転換できるように、扁平な錐台状又は半球状にすることが望ましい。
【0012】
しかし、安全性を鑑みた場合、たとえインナーアダプタを強制的に回しても両者の嵌合が解除されないように、ストッパ突起の前進及び後退を操作する解除ボタンを設けるとよい。解除ボタンは、斜行溝にストッパ突起のリンクピンを係合させ、復帰方向にボタン復帰スプリングで付勢しておく。これにより、例えばアウター端面からストッパ突起を突出させ、インナー端面にストッパ穴を設けた場合、解除ボタンを押すと、斜行溝に沿ってリンクピンが変位し、ストッパ突起をアウター端面に没せしめ、押すことをやめた解除ボタンがボタン復帰スプリングにより初期位置に復帰すると、斜行溝に沿ってリンクピンを変位し、ストッパ突起をアウター端面から突出させる。また、インナーアダプタとアウターアダプタとの接続に際し、摺接するインナー端面から受ける力が転換されて、ストッパ突起をアウター端面に没せしめることができる。この場合、リンクピンの変位に斜行溝が追随し、解除ボタンが押し込まれた格好になる。
【0013】
本発明の接続分離構造に適用されるスロットルワイヤの接続分離手段は、次の構成がよい。すなわち、インナーアダプタは、遠心クラッチに同芯の円周の接線方向に延びるインナー軌道に沿って進退するインナースライダをインナー本体に設け、エンジンのスロットルから延びるインナーワイヤをインナー軌道の始端側からインナースライダに接続し、アウターアダプタは、インナースライダと同じ円周の接線方向に延びるアウター軌道に沿って進退するアウタースライダをアウター本体に設け、スロットルレバーから延びるアウターワイヤをアウター軌道の終端側から接続したスロットルワイヤの接続分離手段で、インナー端面及びアウター端面を接面させ、係合突起を係合鉤に係合させた状態で、インナー軌道とアウター軌道とは一致する位置関係に配置され、終端に向けて移動するアウタースライダをインナースライダに係合させる。
【0014】
本発明におけるスロットルワイヤの接続分離手段は、インナー端面及びアウター端面を接面させ、係合突起を係合鉤に係合させた状態で、インナー軌道及びアウター軌道を一致させ、終端に向けて移動するアウタースライダをインナースライダに係合させる。これにより、スロットルレバーから延びるアウターワイヤが引っ張られるとアウタースライダが始端から終端に向けて移動し、前記アウタースライダに係合するインナースライダも始端から終端に向けて移動して、前記インナースライダがインナーワイヤを引っ張って、エンジンのスロットルを開く。インナースライダは、復帰方向に付勢されたインナーワイヤに引っ張られているため、スロットルレバーを緩めるとインナーワイヤに引っ張られて始端に向けて復帰する。アウタースライダは、前記インナースライダに係合して引っ張られ、始端に向けて復帰する。インナースライダやアウタースライダを確実に始端に向けて復帰させるには、それぞれ始端に向けて付勢するコイルバネ等を装着させるとよい。
【0015】
ここで、インナー端面及びアウター端面を接面させ、係合突起を係合鉤に係合させた状態で、終端に向けて移動するアウタースライダをインナースライダに係合させる関係から、インナー端面及びアウター端面を接面させ、インナー本体及びアウター本体のいずれか又は双方を自転させてインナーアダプタとアウターアダプタとを接続する際、インナースライダはインナー軌道の始端側から、アウタースライダはアウター軌道の終端側から互いに接近させることになる。この場合、仮にアウターワイヤが引っ張られてアウタースライダがアウター軌道の始端から離れていても、アウタースライダはインナースライダに係合し、インナースライダを予めインナー軌道の始端から少し移動させるだけで、両者を必ず係合させることができる。
【0016】
また、本発明の接続分離構造におけるリード線の接続分離手段は、次の構成がよい。すなわち、インナーアダプタは、エンジンのストップ回路から延びるインナーリード線が接続されたインナー端子をインナー本体に設け、アウターアダプタは、ストップスイッチから延びるアウターリード線が接続されたアウター端子をアウター本体に設けたリード線の接続分離手段で、インナー端子は、インナー端面に設けられた開口から一部を出没自在に突出させ、前記一部を開口から突出させた状態で他の一部をエンジンに接地させてストップ回路を働かせることによりエンジンを停止させ、アウター端子は、インナー端面及びアウター端面を接面させ、係合突起を係合鉤に係合させた状態で、インナー端面に設けられた開口から突出していたインナー端子の一部を押し込み、エンジンに対するインナー端子の接地を解除すると共に前記インナー端子とストップスイッチとを導通させることにより、ストップスイッチの入/切に合わせてストップ回路を働かせ、エンジンを停止させる。
【0017】
本発明におけるリード線の接続分離手段は、インナー端子及びアウター端子の接続及び分離のみならず、インナー端子が接地されているとストップ回路が働いてエンジンが停止することを踏まえ、アウターアダプタをインナーアダプタから分離したときは必ずエンジンが停止するようにし、アウターアダプタをインナーアダプタに接続すれば、ストップスイッチの入/切によりエンジンの稼働及び停止を制御できるようにしている。インナー端子は、板バネ状の金属部材で構成し、途中に接地突起、先端に導通突起を設け、エンジンに導通するインナー本体の内側に前記接地突起を押し当てながら後端をインナー本体に固定し、インナー端面に設けられた開口から導通突起を突出させるとよい。これにより、アウター端子が導通突起を押し込むと、アウター端子と導通突起とが接触して導通し、逆に接地突起がインナー本体の内側から離れてエンジンに対する接地が解除される。
【発明の効果】
【0018】
本発明の接続分離構造は、エンジンの回転軸と出力軸とに介在する遠心クラッチをクラッチインナーを有するインナーアダプタとクラッチアウターを有するアウターアダプタに分けたことにより、クラッチインナーまでを含むインナーアダプタを組み付けたエンジンの仕様を共通化しながら、クラッチアウターから出力軸を含むアウターアダプタ、そして動力伝達軸(フレキシブルシャフトを含む)を装置に合わせて仕様変更できるようにする。これにより、エンジンの種類が増えることによる問題を解消できる。これは、例えば刈払機の仕様が異なっても同じ仕様のエンジンを利用できる利点に留まらず、インナーアダプタとアウターアダプタとを規格化すれば、異なる装置に対して同じ仕様のエンジンが利用できることを意味する。このように、本発明は多様な装置に対するエンジンの規格共通化の効果をもたらす。
【0019】
本発明におけるスロットルワイヤやリード線の接続分離手段は、上述のエンジンの規格共通化の効果をもたらす本発明の接続分離構造に適したワイヤの接続分離手段やリード線の接続分離手段を提供する。本発明におけるワイヤの接続分離手段は、インナースライダとアウタースライダとが互いに係合する構成にすることにより、両者を連結することなく、アウタースライダの移動をインナースライダに伝達できるようにする。これは、スロットルワイヤの接続分離作業を別途要しない効果をもたらし、接続分離構造の接続分離作業を簡易にする。また、本発明におけるリード線の接続分離手段は、特にアウターアダプタをインナーアダプタに接続していない段階でエンジンを停止させておくことができ、接続分離構造の取り扱いにおける安全性を高める効果をもたらす。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図を参照しながら説明する。図1は本発明の接続分離構造を適用した刈払機の部分側面図、図2は本例の刈払機を左斜め前から見た部分斜視図、図3はインナーアダプタ1及びアウターアダプタ2を分離した本例の刈払機の図1相当部分側面図であり、そして図4は本例の刈払機の分解斜視図である。本例は、遠心クラッチをクラッチインナー11及びクラッチアウター21で接続分離する接続分離構造に、スロットルワイヤの接続分離手段、そしてリード線の接続分離手段を組み合わせて刈払機に利用する例である。
【0021】
本例の接続分離構造は、図1〜図4に見られるように、クラッチインナー11を同芯に囲むインナー端面121を有するインナー本体12からなるインナーアダプタ1と、同じクラッチアウター21を同芯に囲むアウター端面221(後掲図5参照)を有するアウター本体22からなるアウターアダプタ2とから構成される。本例は、従来見られる刈払機に倣い、アウター本体22にグリップ本体224を取り付けることにより、前記グリップ本体224に解除ボタン29が見えるほかは、接続状態では従来と変らない外観を呈する(図1及び図2参照)。これは、係合突起23及び係合鉤13をインナー端面121又はアウター端面221からはみ出さずに設け、インナーアダプタ1及びアウターアダプタ2の各外観の審美性を高めたことによる効果である。
【0022】
インナーアダプタ1は、回転軸31(図4中クラッチインナー11とエンジン3との隙間を図示)が接続されるクラッチインナー11と、前記クラッチインナー11を囲むインナー端面121を有するインナー本体12とからなる。本例のインナー本体12は、エンジンから連続する外面を一体に形成している。インナー端面121は、インナー本体12の端面外周から僅かな段差で凹ませて形成した外周円形凹部14の内側である。インナー端面121は、遠心クラッチに同芯の内周円形凹部15(本例は貫通孔構造)を設け、前記内周円形凹部15の凹部周面151に、インナー端面121に面一な係合鉤13を半径方向内向きに3基突出させている。本例の係合鉤13は、係合突起23に対応して設けられる係合リブ231を係合させる回転規制段差152を設けてある。また、周方向に隣り合う係合鉤13,13間は、係合突起23を内周円形凹部15に差し込む挿入切欠153となる。
【0023】
インナー端面121は、遠心クラッチに同芯で円弧状のインナー誘導溝123を正面向かって右側に設け、インナー誘導溝123の下端寄り、かつインナー誘導溝123の接線上に、直線状のインナー軌道122を設けている(後掲図5参照)。インナースライダ16は、エンジン3から延びるインナーワイヤ33がインナー軌道122の始端側から接続される方形の金属製ブロックにインナー突起161を設けた構成で、前記インナー軌道122に金属製ブロックを嵌め込み、インナー端面121からインナー突起161を突出させながらインナー軌道122に沿って進退する(後掲図10参照)。インナースライダ16は、インナーワイヤ33を介してスロットルに引っ張られ、始端側に付勢されている。インナー誘導溝123は、インナーアダプタ1及びアウターアダプタ2の接続に際し、インナースライダ16に接近するアウタースライダ26のアウター突起261を通過させる待避路を構成する。
【0024】
また、インナー端面121は、インナー端子17の接地突起171(後掲図14参照)を突出させる開口を正面向かって左上に設け、ストッパ突起28を嵌合させるストッパ穴19を正面向かって左下に設けている(後掲図5参照)。インナー端子17は、エンジン3のストップ回路(図示略)から延びるインナーリード線34が接続される板バネ様の金属板で、先端に湾曲させた接地突起171が形成され、直線部分に導通突起172を設けられている。インナー端子17は、絶縁シート173を介装して樹脂ボルト174でインナー本体12に固定される。このほか、係合鉤13に係合する係合突起23のがたつきを抑える目的から、本例は、係合鉤13と係合突起23との間に板バネ181を介装させている。板バネ181は、3基の係合突起23に対応して3基あり、全て押さえスペーサ18に一体に設けられている。押さえスペーサ18は、スペーサ取付ボルト182により、係合鉤13の内面(インナー端面121の反対側)に取り付けられる。
【0025】
アウターアダプタ2は、出力軸32が接続されるクラッチアウター21と、前記クラッチアウター21を囲むアウター端面221を有するアウター本体22とからなる。本例のアウターアダプタ2は、インナー端面121を有するアウター本体22に、上記インナー本体11の外面に連続する錐台状のグリップ本体224をカバー取付ボルト225により接続している。このように、アウター本体22とグリップ本体224とを分けると、接続分離構造を有しない従来様の刈払機と外観を一致させ、審美性を高めることができるほか、後述する解除ボタン29及び関連部品を組み付ける作業が容易になる利点が得られる。出力軸32は、グリップ本体224に接続される操作ロッド4に内蔵される動力回転軸(図示略)に接続される。
【0026】
アウター本体22は、円環状の金属製部材である。アウター端面221は、インナー本体12に形成された外周円形凹部14に対応して、前記アウター本体22の端面外周から僅かな段差で突出させた形成した外周円形凸部24の内側である。アウター端面221は、遠心クラッチに同芯の円環状である内周円形凸部25を設け、前記内周円形凸部25の凸部周面251(外周面)に、内周円形凸部25の先端面に面一な係合突起23を半径方向外向きに3基突出させている。本例は、凸部周面251より半径が大きく、係合突起23より半径の小さな係合リブ231を係合突起23と一体に設けてある。係合リブ231は、上述した係合鉤13に設けられた回転規制段差152に係合し、アウター本体22を回転規制する。
【0027】
アウター端面221は、遠心クラッチに同芯で円弧状のアウター誘導溝223を正面に向かって左側に設け、アウター誘導溝223の上端寄り、かつアウター誘導溝223の接線上に、直線状のアウター軌道222を設けている(後掲図5参照)。アウタースライダ26は、上述したインナースライダ16と同じく、スロットルレバー(図示略)から延びるアウターワイヤ41がアウター軌道222の終端側から接続される方形の金属製ブロックにアウター突起261を設けた構成で、前記インナー軌道122に金属製ブロックを嵌め込み、アウター端面221からアウター突起261を突出させながらアウター軌道222に沿って進退する(後掲図10参照)。アウタースライダ26は、アウター軌道222端との間にスライダ復帰スプリング262を介装し、常に始端側に付勢されている。アウター誘導溝223は、インナーアダプタ1及びアウターアダプタ2の接続に際して、アウタースライダ26を接近させると相対的に近づくインナースライダ16のインナー突起161を通過させる待避路を構成する。
【0028】
また、アウター端面221は、アウター端子27を正面向かって右側に設け、ストッパ突起28を正面向かって下側に設けている(後掲図5参照)。アウター端子27は、スロットルレバーに付属するストップスイッチ(図示略)から延びるアウターリード線42が接続される金属製ボルトで、前記アウターリード線42を挟み込むように絶縁ブロック271に捩じ込み、絶縁ブロック271をアウター端面221に埋め込んでいる(後掲図14参照)。ストッパ突起28は、アウター本体22に設けられたストッパ突起軌道孔282に嵌め込まれた金属製のブロックで、解除ボタン29の斜行溝291にリンクピン281を係合させ、解除ボタン29に連動してアウター端面221から出没する。解除ボタン29は、グリップ本体224に設けられた解除ボタン嵌合穴294に嵌め込まれた金属製のブロックで、ボタン復帰スプリング293で常に復帰方向に付勢されており、規制長孔295に差し込んだ規制ボルト292が係合する範囲で、グリップ本体224の外面から押し込むことができる(以上、後掲図16参照)。
【0029】
次に、本例の接続分離構造の接続手順について説明する。図5は接続前のインナー端面(a)及びアウター端面(b)の正面図、図6は接続前のインナー端面に対するアウター端面の位置関係を表す正面図、図7は接続後のインナー端面(a)及びアウター端面(b)の正面図であり、そして図8は接続後のインナー端面に対するアウター端面の位置関係を表す正面図である。便宜上、図5及び図7ではインナー端面121及びアウター端面221をそれぞれの正面から図示し、図6及び図8ではインナー端面121をそのまま正面から図示しながら、アウター端面221を反転させて背面から透過した状態で前記インナー端面121に重ねている。このため、図5と図6、図7と図8とでは、それぞれアウター端面221の回転方向が逆になっている。
【0030】
インナーアダプタ1とアウターアダプタ2との接続は、まずインナーアダプタ1の内周円形凹部15に対して、挿入切欠153を通じてアウターアダプタ2の係合突起23を挿入する挿入手順と、次いでインナーアダプタ1に対してアウターアダプタ2を回転させ、インナーアダプタ1の係合鉤13に係合突起23を係合させる係合手順を経る。挿入手順は、図5及び図6に見られるように、インナーアダプタ1の各挿入切欠153に対応するアウターアダプタ2の係合突起23を対向させる(図5では挿入切欠153の位置関係と係合突起23の位置関係が左右反転している)。この段階では、インナースライダ16はインナー軌道122の上端(始端)に、アウタースライダ26はアウター軌道222の上端(始端)にそれぞれ位置し、インナー端子17の接地突起171がインナー端面121から突出している(後掲図14参照)。
【0031】
係合突起23を挿入切欠153を通じて内周円形凹部15に挿入すると、インナー端面121とアウター端面221とが接面すると共に、アウターアダプタ2の外周円形凸部24がインナーアダプタ1の外周円形凹部14に嵌合する。これにより、インナーアダプタ1に対してアウターアダプタ2をずれなく、かつ円滑に回転させることができる。この段階では、インナースライダ16及びアウタースライダ26は、いずれもインナー軌道122及びアウター軌道222の始端側に位置し、インナー突起161をアウター誘導溝223に、アウター突起261をインナー誘導溝123に突出させた状態にあり、インナースライダ16に対してアウターアダプタ2を回転させる方向(図6中右回転方向、図8参照)の上流側にアウタースライダ26を位置させている。
【0032】
係合手順は、インナーアダプタ1に対してアウターアダプタ2を右回転(図8参照、図7中は左右反転しているので左回転)させ、挿入切欠153から内周円形凹部15に挿入した係合突起23を係合鉤13に係合させる。このとき、アウターアダプタ2を左回転させようとしても、回転規制段差152を経て張り出した係合鉤13の部分が係合突起23の内側に設けられた係合リブ231に係合し、アウターアダプタ2を回転させることができない。また、アウターアダプタ2を右回転させても、前記係合リブ231が回転規制段差152に係合するまでしか回転させることができない。こうして、アウターアダプタ2は回転方向及び回転量が規制された範囲で右回転し、各係合突起23を対応する係合鉤13に係合させる。
【0033】
アウターアダプタ2の回転量が規制されていることにより、インナースライダ16に対するアウタースライダ26の位置関係やインナー端子17に対するアウター端子27の位置関係が特定される。すなわち、アウタースライダ26は、アウター突起261をインナー誘導溝123に沿って移動させ、インナースライダ16のインナー突起161の手前まで接近する(図8参照)。また、アウター端子27は、インナー端面121に摺接しながらインナー端子17に達し、それまでアウター端面221に押されて没していた接地突起171に接触し、ストップスイッチとストップ回路とを接続させる。そして、ストッパ突起28はストッパ穴19に嵌合し、インナーアダプタ1に対するアウターアダプタ2の回転を規制し、両者の接続状態を維持させる。
【0034】
最後に、上記接続手順について各部毎に説明する。図9は押さえスペーサの板バネにより係合突起を押さえている状態を表す部分断面図、図10はスロットルレバーを引いてない状態におけるスロットルワイヤの接続分離手段の接続前を表す部分断面図、図11はスロットルレバーを引いてない状態におけるスロットルワイヤの接続分離手段の接続後を表す部分断面図、図12はスロットルレバーを引いた状態におけるスロットルワイヤの接続分離手段の接続前を表す部分断面図、図13はスロットルレバーを引いた状態におけるスロットルワイヤの接続分離手段の接続後を表す部分断面図、図14はリード線の接続分離手段の接続前を表す部分断面図、図15はリード線の接続分離手段の接続後を表す部分断面図、図16はストッパ突起がストッパ穴に嵌合している状態を表す部分断面図、図17は解除ボタンを押してストッパ突起を後退させている状態を表す部分断面図であり、図18はインナー端面に押されてストッパ突起が後退している状態を表す部分断面図である。
【0035】
アウターアダプタ2の係合突起23は、インナー端面121及びアウター端面221を密に接面させた状態で、インナーアダプタ1の係合鉤13に係合する。このとき、係合突起23が係合鉤13に対して密に係合すれば問題ないが、それでは摩擦抵抗が大きくなりすぎて、アウターアダプタ2を回転させて係合鉤13の内側に係合突起23を潜り込ませることが難しくなる。このため、本例では、図9に見られるように、係合突起23と係合鉤13とは軽く擦れ合う程度にしながら、係合鉤13に対して係合突起23を弾支する板バネ181を両者の間に介装している。板バネ181は、押さえスペーサ18と一体に形成されており、前記押さえスペーサ18をスペーサ取付ボルト182によりインナー本体12に対して一義的に取り付けると、係合手順を終えた段階で板バネ181が係合突起23を弾支できるようになっている。
【0036】
本発明の接続分離構造におけるスロットルワイヤの接続分離手段は、スロットルレバーの引き具合に関係なく、アウタースライダ26がインナースライダ16に必ず係合し、スロットルレバーに引っ張られるアウターワイヤ41の動きをインナーワイヤ33に伝達できるようにしている。通常、インナー端面121とアウター端面221とを接面させ、係合突起23を内周円形凹部15に挿入した段階では、図10に見られるように、インナースライダ16はインナー軌道122の始端に位置し、インナー突起161をアウター誘導溝223に突出させ、アウタースライダ26はアウター軌道222の始端に位置し、前記インナー突起161に対してアウターアダプタ2の回転方向上流側で、アウター突起261をインナー誘導溝123に突出させている。
【0037】
そして、アウターアダプタ2を右回転させてインナーアダプタ1とアウターアダプタ2との接続が完了すると、図11に見られるように、アウター突起261がインナー突起161に係合する直前までアウタースライダ26がインナースライダ16に接近する。スロットルレバーを引くと、アウターワイヤ41を介してアウタースライダ26が終端に向けて移動し、アウター突起261がインナー突起161に係合してインナースライダ16を移動して、インナーワイヤ33を引っ張ることができる。また、引いたスロットルレバーを戻すと、スロットルがインナーワイヤ33を引っ張ってインナースライダ16が始端に復帰させ、アウタースライダ26は復帰するインナースライダ16のインナー突起161にアウター突起261を係合させるほか、スライダ復帰スプリング262の反発を受けて、始端に復帰する。
【0038】
インナースライダ16とアウタースライダ26とは、仮にスロットルレバーを引いた状態でも変らず、インナー突起161にアウター突起261を確実に係合させることができる。すなわち、スロットルレバーを引いたまま、インナー端面121とアウター端面221とを接面させ、係合突起23を内周円形凹部15に挿入した段階では、図12に見られるように、アウターアダプタ2を右回転させてインナーアダプタ1とアウターアダプタ2との接続が完了する前に、アウター突起261がインナー突起161に係合する。そして、図13に見られるように、アウター突起261がインナー突起161を押し、インナースライダ16とアウタースライダ26とはそれぞれ終端に向けて移動する。スロットルレバーは、引き具合を維持するタイプもある。本発明のスロットルワイヤの接続手段は、こうした引く具合が維持されてスロットルレバーが引かれたままであっても、インナースライダ16及びアウタースライダ26を確実に接続することができる。
【0039】
本発明の接続分離構造におけるリード線の接続分離手段は、アウター端子27がインナー端子17に接触するまで、ストップ回路をエンジン3に対して接地することにより、不用意にエンジンが始動しないようにしている。まず、インナーアダプタ1とアウターアダプタ2との接続前は、図14に見られるように、インナー端子17はインナー端面121の開口124から先端の接地突起171を突出させ、直線部分の途中に設けた導通突起172を金属製のインナー本体12に接触させて、ストップ回路を接地させている。インナー端子17は、前記導通突起172以外に接地しないように、導通突起172を避けて絶縁シート173を介装し、樹脂ボルト174によりインナー本体12に取り付けている。アウター端子27も、インナー端子17同様、金属製のアウター本体22との接触を避けるため、絶縁ブロック271に包まれた状態で前記アウター本体22に取り付けている。
【0040】
インナーアダプタ1とアウターアダプタ2とを接続する途中は、アウター端面221に接地突起171が押し込まれ、導通突起172がインナー本体12から離れるが、アウター端面221をインナー端面121に接面させた金属製のアウター本体22が接地突起171に接触することから、前記アウター本体22を介してストップ回路はエンジン3に接地される。そして、インナーアダプタ1とアウターアダプタ2とが接続を完了すると、図15に見られるように、インナー端子17は接地突起171をアウター端子27のみに接触させ、ストップスイッチとストップ回路とを接続する。このように、インナー端子17はアウター端子27に接地突起171を接触させるまで、インナー本体12又はアウター本体22に接触して接地されることにより、インナーアダプタ1とアウターアダプタ2との接続作業の間にエンジン3が不要に始動しないようにしている。
【0041】
このほか、本例は、インナーアダプタ1及びアウターアダプタ2の接続状態を維持するストッパ穴19及びストッパ突起28と、前記ストッパ突起28の出没を操作する解除ボタン29を設けている。ストッパ突起28は、図16に見られるように、多段円筒の外観を有する金属製のブロックで、アウター本体22に設けられたストッパ突起軌道孔282から上段の小径円筒部分のみをアウター端面221から出没させる。下段の大径円筒部分は、スリ割りを設けてリンクピン281を架設している。解除ボタン29は、グリップ本体224の外面に倣う表面を有する金属製のブロックで、前記リンクピン281を係合させる斜行溝291と、グリップ本体224に固着した規制ボルト292を係合させる規制長孔295とを有し、ボタン復帰スプリング293を介在させて解除ボタン嵌合穴294に嵌め込んでいる。規制ボルト292は、解除ボタン29の押込をぐらつかせない働きと、規制長孔295を係合させることにより、解除ボタン29が解除ボタン嵌合穴294から逸脱させない働きとを有する。
【0042】
ストッパ突起28と解除ボタン29とは連動している。例えばインナーアダプタ1とアウターアダプタ2との接続を解除する場合、図17に見られるように、解除ボタン29を押し込むと、グリップ本体224の半径方向内向き(図17中上方)に変位する斜行溝291によりリンクピン281を変位させ、ストッパ突起28をアウター端面221から没せしめる。これにより、アウターアダプタ2を再び回転できるようになるため、インナーアダプタ1とアウターアダプタ2との接続を解除できる。同様に、例えばインナーアダプタ1とアウターアダプタ2とを接続する場合、図18に見られるように、インナー端面121も先端が摺接するストッパ突起28は押し込まれ、リンクピン281を変位させる。これにより、リンクピン281を係合させる斜行溝291をグリップ本体224の半径方向内向き(図17中上方)に変位させ、解除ボタン29をグリップ本体224の外面から没せしめる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の接続分離構造を適用した刈払機の部分側面図である。
【図2】本例の刈払機を左斜め前から見た部分斜視図である。
【図3】インナーアダプタ及びアウターアダプタを分離した本例の刈払機の図1相当部分側面図である。
【図4】本例の刈払機の分解斜視図である。
【図5】接続前のインナー端面(a)及びアウター端面(b)の正面図である。
【図6】接続前のインナー端面に対するアウター端面の位置関係を表す正面図である。
【図7】接続後のインナー端面(a)及びアウター端面(b)の正面図である。
【図8】接続後のインナー端面に対するアウター端面の位置関係を表す正面図である。
【図9】押さえスペーサの板バネにより係合突起を押さえている状態を表す部分断面図である。
【図10】スロットルレバーを引いてない状態におけるスロットルワイヤの接続分離手段の接続前を表す部分断面図である。
【図11】スロットルレバーを引いてない状態におけるスロットルワイヤの接続分離手段の接続後を表す部分断面図である。
【図12】スロットルレバーを引いた状態におけるスロットルワイヤの接続分離手段の接続前を表す部分断面図である。
【図13】スロットルレバーを引いた状態におけるスロットルワイヤの接続分離手段の接続後を表す部分断面図である。
【図14】リード線の接続分離手段の接続前を表す部分断面図である。
【図15】リード線の接続分離手段の接続後を表す部分断面図である。
【図16】ストッパ突起がストッパ穴に嵌合している状態を表す部分断面図である。
【図17】解除ボタンを押してストッパ突起を後退させている状態を表す部分断面図である。
【図18】インナー端面に押されてストッパ突起が後退している状態を表す部分断面図である。
【符号の説明】
【0044】
1 インナーアダプタ
11 クラッチインナー
12 インナー本体
13 係合鉤
14 外周円形凹部
15 内周円形凹部
16 インナースライダ
17 インナー端子
18 押さえスペーサ
19 ストッパ穴
2 アウターアダプタ
21 クラッチアウター
22 アウター本体
23 係合突起
24 外周円形凸部
25 内周円形凸部
26 アウタースライダ
27 アウター端子
28 ストッパ突起
29 解除ボタン
3 エンジン
31 回転軸
32 出力軸
33 インナーワイヤ
34 インナーリード線
4 操作ロッド
41 アウターワイヤ
42 アウターリード線
【技術分野】
【0001】
本発明は、クラッチインナー(クラッチシュー、シューアセンブリとも言う)にクラッチアウター(クラッチドラム、クラッチハウジング、アウターハウジングとも言う)を被せて構成される遠心クラッチにより連結及び解除されるエンジンの回転軸と出力軸との接続分離構造に関する。
【背景技術】
【0002】
刈払機は、例えば操作棹に内蔵された動力伝達軸の先端に回転刃を取り付け、前記動力伝達軸の後端をエンジンの出力軸に接続して構成される。この刈払機は、操作棹が備えるハンドルにスロットルレバーが設けられ、スロットルレバーから延びるワイヤをエンジンのスロットルに接続している。また、エンジンの出力軸は、遠心クラッチを介してエンジンの回転軸に接続している。これから、エンジンの出力が一定以上になれば、遠心クラッチにより出力軸とエンジンの回転軸とが連結し、回転伝達軸を通じて回転刃を回転させ、前記出力軸の回転数が一定未満になれば、遠心クラッチにより出力軸とエンジンの回転軸とが連結解除され、回転刃を停止させる。
【0003】
ここで、操作棹とエンジンとの間に接続分離構造を備えていると、工場からの出荷に際して操作棹とエンジンとを分離して梱包、保管又は搬送できる。これは、梱包、保管又は搬送に際して、刈払機としての占有空間より、操作棹とエンジンとの個々の占有空間の合計の方が少なくて済む利点をもたらす。そこで、刈払機において、例えば特許文献1に見られるように、操作棹とエンジンとの間に、動力伝達軸の接続分離手段を備えた接続分離構造を設けて接続分離自在にすることにより、工場からの出荷に際しては操作棹とエンジンとを前記接続分離構造で分離し、梱包、保管又は搬送に際して、必要な収納空間を小さくすることが考えられる。
【0004】
ところで、特許文献1には、スロットルレバーとエンジンとを結ぶスロットルワイヤについて特に記載がない。これは、操作棹とエンジンとを同一梱包とし、両者の配置を一定程度自由にするだけが目的であるためと思われるが、上述したように、接続分離自在とした操作棹とエンジンとは完全に分離し、別梱包にできる方が好ましい。これから、操作棹とエンジンとを接続分離自在にした場合、スロットルワイヤも分割し、スロットルワイヤの接続分離手段を備えた接続分離構造が必要となる。これは、エンジンを停止させるストップスイッチとエンジンのストップ回路とを結ぶリード線についても同様で、リード線の接続分離手段を備えた接続分離構造が必要となる。
【0005】
【特許文献1】特開平11-187738号公報([0014]〜[0018])
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
刈払機の梱包、保管又は搬送に必要な収納空間を小さくする目的から、操作棹とエンジンとを接続分離できることは好ましい。しかし、操作棹とエンジンとの接続分離構造は、出力軸を動力伝達軸の仕様に合わせて設計しなければならなくなる。すなわちエンジンそのものが同じでも、出力軸の仕様の異なる多数のエンジンが必要になる。このため、操作棹とエンジンとの接続分離構造は、多数のエンジンについての在庫管理が負担となり、結果としてコスト増をもたらす虞がある。また、エンジンそのものの仕様が同じであるにも拘わらず、出力軸の仕様の違いで異なるエンジンの数が増えることは、エンジンそのもののコストを増加させる可能性も出てくる。
【0007】
また、動力伝達軸と出力軸とを対にして異なる仕様を設定することは、操作棹とエンジンとの接続分離構造について多数の仕様が必要なことを意味し、各仕様に合わせてスロットルワイヤやリード線の接続分離手段が必要になる。これは、接続分離構造のコスト増を招くほか、接続分離構造毎に異なる接続分離手順が要求され、取り扱いを不便にする。これらの問題は、刈払機のように、遠心クラッチを介して回転軸から出力軸へ回転動力を伝達し、前記出力軸に接続した動力伝達軸の先端から取り出した回転動力を利用する装置一般にも当てはまる。そこで、刈払機に代表される前記装置一般において、梱包、保管又は搬送に便利なように、同一仕様のエンジンと装置毎に異なる仕様の動力伝達軸との接続分離構造について検討し、併せて前記接続分離構造に適したスロットルワイヤやリード線の接続分離手段についても検討した。
【課題を解決するための手段】
【0008】
検討の結果開発したものが、クラッチインナーにクラッチアウターを被せて構成される遠心クラッチにより連結及び解除されるエンジンの回転軸と出力軸との接続分離構造であって、回転軸が接続されるクラッチインナーと、前記クラッチインナーを囲むインナー端面を有するインナー本体とからなるインナーアダプタと、出力軸が接続されるクラッチアウターと、前記クラッチアウターを囲むアウター端面を有するアウター本体とからなるアウターアダプタとから構成され、インナーアダプタ及びアウターアダプタは、インナー本体又はアウター本体の一方に、遠心クラッチに同芯の円周上に係合突起を設け、インナー本体又はアウター本体の他方に、インナー端面及びアウター端面を接面させた際、係合突起を周方向から係合させる係合鉤を設けたエンジンの回転軸と出力軸との接続分離構造である。「遠心クラッチに同芯」とは、クラッチインナー及びクラッチアウターの軸芯と同芯である意味である。
【0009】
本発明の接続分離構造は、遠心クラッチをクラッチインナーとクラッチアウターとに分離し、回転軸が接続されるクラッチインナーと、前記クラッチインナーを囲むインナー端面を有するインナー本体とからなるインナーアダプタと、出力軸が接続されるクラッチアウターと、前記クラッチアウターを囲むアウター端面を有するアウター本体とからなるアウターアダプタとにより構成する。インナーアダプタとアウターアダプタとは、クラッチインナーにクラッチアウターを被せてインナー端面及びアウター端面を接面させた際、遠心クラッチの軸芯を中心として前記インナー本体及びアウター本体のいずれか又は双方を自転させることにより、係合突起を係合鉤に係合させて、接続する。係合突起と係合鉤とは、それぞれがインナー本体及びアウター本体のいずれかに対の関係で設けられればよく、インナー本体及びアウター本体のいずれかを自転させて係合する関係にあればそれぞれの形状を問わない。例えば断面L字状の係合鉤に潜り込ませる係合突起を周方向から接近させ、係合鉤の下に潜り込ませて係合させる構成を示すことができる。
【0010】
係合突起と係合鉤との対応付けを正確にするため、インナーアダプタ及びアウターアダプタは、インナー端面又はアウター端面の一方に、遠心クラッチに同芯かつ面直交方向に突出する円形凸部を設け、インナー端面又はアウター端面の他方に、遠心クラッチに同芯かつ前記円形凸部が嵌合する円形凹部を設けるとよい。この場合、インナー端面又はアウター端面の一方に設けた円形凸部の凸部周面から半径方向外向きに係合突起を張り出し、インナー端面又はアウター端面の他方に設けた円形凹部の凹部周面から半径方向内向きに係合鉤を張り出して構成することができる。これにより、係合突起及び係合鉤をインナー端面又はアウター端面からはみ出さずに設けることができる。
【0011】
このほか、インナーアダプタ及びアウターアダプタの接続状態を維持するため、前記インナーアダプタ及びアウターアダプタは、インナー端面又はアウター端面の一方に、面直交方向へ出没自在に付勢したストッパ突起を設け、インナー端面又はアウター端面の他方に、前記ストッパ突起が嵌合するストッパ穴を設けるとよい。ストッパ突起は、例えばストッパ穴に向けてストッパ押出スプリングで付勢しながら、インナーアダプタを強制的に回せば、嵌合したストッパ穴から外れる程度にしてもよい。すなわち、ストッパ突起とストッパ穴との組み合わせを一種の節度機構として構成する。この場合、例えばアウター端面からストッパ突起を突出させ、インナー端面にストッパ穴を設けた場合、ストッパ突起の先端は、摺接するインナー端面から受ける力をストッパ突起がアウター端面に没する力に転換できるように、扁平な錐台状又は半球状にすることが望ましい。
【0012】
しかし、安全性を鑑みた場合、たとえインナーアダプタを強制的に回しても両者の嵌合が解除されないように、ストッパ突起の前進及び後退を操作する解除ボタンを設けるとよい。解除ボタンは、斜行溝にストッパ突起のリンクピンを係合させ、復帰方向にボタン復帰スプリングで付勢しておく。これにより、例えばアウター端面からストッパ突起を突出させ、インナー端面にストッパ穴を設けた場合、解除ボタンを押すと、斜行溝に沿ってリンクピンが変位し、ストッパ突起をアウター端面に没せしめ、押すことをやめた解除ボタンがボタン復帰スプリングにより初期位置に復帰すると、斜行溝に沿ってリンクピンを変位し、ストッパ突起をアウター端面から突出させる。また、インナーアダプタとアウターアダプタとの接続に際し、摺接するインナー端面から受ける力が転換されて、ストッパ突起をアウター端面に没せしめることができる。この場合、リンクピンの変位に斜行溝が追随し、解除ボタンが押し込まれた格好になる。
【0013】
本発明の接続分離構造に適用されるスロットルワイヤの接続分離手段は、次の構成がよい。すなわち、インナーアダプタは、遠心クラッチに同芯の円周の接線方向に延びるインナー軌道に沿って進退するインナースライダをインナー本体に設け、エンジンのスロットルから延びるインナーワイヤをインナー軌道の始端側からインナースライダに接続し、アウターアダプタは、インナースライダと同じ円周の接線方向に延びるアウター軌道に沿って進退するアウタースライダをアウター本体に設け、スロットルレバーから延びるアウターワイヤをアウター軌道の終端側から接続したスロットルワイヤの接続分離手段で、インナー端面及びアウター端面を接面させ、係合突起を係合鉤に係合させた状態で、インナー軌道とアウター軌道とは一致する位置関係に配置され、終端に向けて移動するアウタースライダをインナースライダに係合させる。
【0014】
本発明におけるスロットルワイヤの接続分離手段は、インナー端面及びアウター端面を接面させ、係合突起を係合鉤に係合させた状態で、インナー軌道及びアウター軌道を一致させ、終端に向けて移動するアウタースライダをインナースライダに係合させる。これにより、スロットルレバーから延びるアウターワイヤが引っ張られるとアウタースライダが始端から終端に向けて移動し、前記アウタースライダに係合するインナースライダも始端から終端に向けて移動して、前記インナースライダがインナーワイヤを引っ張って、エンジンのスロットルを開く。インナースライダは、復帰方向に付勢されたインナーワイヤに引っ張られているため、スロットルレバーを緩めるとインナーワイヤに引っ張られて始端に向けて復帰する。アウタースライダは、前記インナースライダに係合して引っ張られ、始端に向けて復帰する。インナースライダやアウタースライダを確実に始端に向けて復帰させるには、それぞれ始端に向けて付勢するコイルバネ等を装着させるとよい。
【0015】
ここで、インナー端面及びアウター端面を接面させ、係合突起を係合鉤に係合させた状態で、終端に向けて移動するアウタースライダをインナースライダに係合させる関係から、インナー端面及びアウター端面を接面させ、インナー本体及びアウター本体のいずれか又は双方を自転させてインナーアダプタとアウターアダプタとを接続する際、インナースライダはインナー軌道の始端側から、アウタースライダはアウター軌道の終端側から互いに接近させることになる。この場合、仮にアウターワイヤが引っ張られてアウタースライダがアウター軌道の始端から離れていても、アウタースライダはインナースライダに係合し、インナースライダを予めインナー軌道の始端から少し移動させるだけで、両者を必ず係合させることができる。
【0016】
また、本発明の接続分離構造におけるリード線の接続分離手段は、次の構成がよい。すなわち、インナーアダプタは、エンジンのストップ回路から延びるインナーリード線が接続されたインナー端子をインナー本体に設け、アウターアダプタは、ストップスイッチから延びるアウターリード線が接続されたアウター端子をアウター本体に設けたリード線の接続分離手段で、インナー端子は、インナー端面に設けられた開口から一部を出没自在に突出させ、前記一部を開口から突出させた状態で他の一部をエンジンに接地させてストップ回路を働かせることによりエンジンを停止させ、アウター端子は、インナー端面及びアウター端面を接面させ、係合突起を係合鉤に係合させた状態で、インナー端面に設けられた開口から突出していたインナー端子の一部を押し込み、エンジンに対するインナー端子の接地を解除すると共に前記インナー端子とストップスイッチとを導通させることにより、ストップスイッチの入/切に合わせてストップ回路を働かせ、エンジンを停止させる。
【0017】
本発明におけるリード線の接続分離手段は、インナー端子及びアウター端子の接続及び分離のみならず、インナー端子が接地されているとストップ回路が働いてエンジンが停止することを踏まえ、アウターアダプタをインナーアダプタから分離したときは必ずエンジンが停止するようにし、アウターアダプタをインナーアダプタに接続すれば、ストップスイッチの入/切によりエンジンの稼働及び停止を制御できるようにしている。インナー端子は、板バネ状の金属部材で構成し、途中に接地突起、先端に導通突起を設け、エンジンに導通するインナー本体の内側に前記接地突起を押し当てながら後端をインナー本体に固定し、インナー端面に設けられた開口から導通突起を突出させるとよい。これにより、アウター端子が導通突起を押し込むと、アウター端子と導通突起とが接触して導通し、逆に接地突起がインナー本体の内側から離れてエンジンに対する接地が解除される。
【発明の効果】
【0018】
本発明の接続分離構造は、エンジンの回転軸と出力軸とに介在する遠心クラッチをクラッチインナーを有するインナーアダプタとクラッチアウターを有するアウターアダプタに分けたことにより、クラッチインナーまでを含むインナーアダプタを組み付けたエンジンの仕様を共通化しながら、クラッチアウターから出力軸を含むアウターアダプタ、そして動力伝達軸(フレキシブルシャフトを含む)を装置に合わせて仕様変更できるようにする。これにより、エンジンの種類が増えることによる問題を解消できる。これは、例えば刈払機の仕様が異なっても同じ仕様のエンジンを利用できる利点に留まらず、インナーアダプタとアウターアダプタとを規格化すれば、異なる装置に対して同じ仕様のエンジンが利用できることを意味する。このように、本発明は多様な装置に対するエンジンの規格共通化の効果をもたらす。
【0019】
本発明におけるスロットルワイヤやリード線の接続分離手段は、上述のエンジンの規格共通化の効果をもたらす本発明の接続分離構造に適したワイヤの接続分離手段やリード線の接続分離手段を提供する。本発明におけるワイヤの接続分離手段は、インナースライダとアウタースライダとが互いに係合する構成にすることにより、両者を連結することなく、アウタースライダの移動をインナースライダに伝達できるようにする。これは、スロットルワイヤの接続分離作業を別途要しない効果をもたらし、接続分離構造の接続分離作業を簡易にする。また、本発明におけるリード線の接続分離手段は、特にアウターアダプタをインナーアダプタに接続していない段階でエンジンを停止させておくことができ、接続分離構造の取り扱いにおける安全性を高める効果をもたらす。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図を参照しながら説明する。図1は本発明の接続分離構造を適用した刈払機の部分側面図、図2は本例の刈払機を左斜め前から見た部分斜視図、図3はインナーアダプタ1及びアウターアダプタ2を分離した本例の刈払機の図1相当部分側面図であり、そして図4は本例の刈払機の分解斜視図である。本例は、遠心クラッチをクラッチインナー11及びクラッチアウター21で接続分離する接続分離構造に、スロットルワイヤの接続分離手段、そしてリード線の接続分離手段を組み合わせて刈払機に利用する例である。
【0021】
本例の接続分離構造は、図1〜図4に見られるように、クラッチインナー11を同芯に囲むインナー端面121を有するインナー本体12からなるインナーアダプタ1と、同じクラッチアウター21を同芯に囲むアウター端面221(後掲図5参照)を有するアウター本体22からなるアウターアダプタ2とから構成される。本例は、従来見られる刈払機に倣い、アウター本体22にグリップ本体224を取り付けることにより、前記グリップ本体224に解除ボタン29が見えるほかは、接続状態では従来と変らない外観を呈する(図1及び図2参照)。これは、係合突起23及び係合鉤13をインナー端面121又はアウター端面221からはみ出さずに設け、インナーアダプタ1及びアウターアダプタ2の各外観の審美性を高めたことによる効果である。
【0022】
インナーアダプタ1は、回転軸31(図4中クラッチインナー11とエンジン3との隙間を図示)が接続されるクラッチインナー11と、前記クラッチインナー11を囲むインナー端面121を有するインナー本体12とからなる。本例のインナー本体12は、エンジンから連続する外面を一体に形成している。インナー端面121は、インナー本体12の端面外周から僅かな段差で凹ませて形成した外周円形凹部14の内側である。インナー端面121は、遠心クラッチに同芯の内周円形凹部15(本例は貫通孔構造)を設け、前記内周円形凹部15の凹部周面151に、インナー端面121に面一な係合鉤13を半径方向内向きに3基突出させている。本例の係合鉤13は、係合突起23に対応して設けられる係合リブ231を係合させる回転規制段差152を設けてある。また、周方向に隣り合う係合鉤13,13間は、係合突起23を内周円形凹部15に差し込む挿入切欠153となる。
【0023】
インナー端面121は、遠心クラッチに同芯で円弧状のインナー誘導溝123を正面向かって右側に設け、インナー誘導溝123の下端寄り、かつインナー誘導溝123の接線上に、直線状のインナー軌道122を設けている(後掲図5参照)。インナースライダ16は、エンジン3から延びるインナーワイヤ33がインナー軌道122の始端側から接続される方形の金属製ブロックにインナー突起161を設けた構成で、前記インナー軌道122に金属製ブロックを嵌め込み、インナー端面121からインナー突起161を突出させながらインナー軌道122に沿って進退する(後掲図10参照)。インナースライダ16は、インナーワイヤ33を介してスロットルに引っ張られ、始端側に付勢されている。インナー誘導溝123は、インナーアダプタ1及びアウターアダプタ2の接続に際し、インナースライダ16に接近するアウタースライダ26のアウター突起261を通過させる待避路を構成する。
【0024】
また、インナー端面121は、インナー端子17の接地突起171(後掲図14参照)を突出させる開口を正面向かって左上に設け、ストッパ突起28を嵌合させるストッパ穴19を正面向かって左下に設けている(後掲図5参照)。インナー端子17は、エンジン3のストップ回路(図示略)から延びるインナーリード線34が接続される板バネ様の金属板で、先端に湾曲させた接地突起171が形成され、直線部分に導通突起172を設けられている。インナー端子17は、絶縁シート173を介装して樹脂ボルト174でインナー本体12に固定される。このほか、係合鉤13に係合する係合突起23のがたつきを抑える目的から、本例は、係合鉤13と係合突起23との間に板バネ181を介装させている。板バネ181は、3基の係合突起23に対応して3基あり、全て押さえスペーサ18に一体に設けられている。押さえスペーサ18は、スペーサ取付ボルト182により、係合鉤13の内面(インナー端面121の反対側)に取り付けられる。
【0025】
アウターアダプタ2は、出力軸32が接続されるクラッチアウター21と、前記クラッチアウター21を囲むアウター端面221を有するアウター本体22とからなる。本例のアウターアダプタ2は、インナー端面121を有するアウター本体22に、上記インナー本体11の外面に連続する錐台状のグリップ本体224をカバー取付ボルト225により接続している。このように、アウター本体22とグリップ本体224とを分けると、接続分離構造を有しない従来様の刈払機と外観を一致させ、審美性を高めることができるほか、後述する解除ボタン29及び関連部品を組み付ける作業が容易になる利点が得られる。出力軸32は、グリップ本体224に接続される操作ロッド4に内蔵される動力回転軸(図示略)に接続される。
【0026】
アウター本体22は、円環状の金属製部材である。アウター端面221は、インナー本体12に形成された外周円形凹部14に対応して、前記アウター本体22の端面外周から僅かな段差で突出させた形成した外周円形凸部24の内側である。アウター端面221は、遠心クラッチに同芯の円環状である内周円形凸部25を設け、前記内周円形凸部25の凸部周面251(外周面)に、内周円形凸部25の先端面に面一な係合突起23を半径方向外向きに3基突出させている。本例は、凸部周面251より半径が大きく、係合突起23より半径の小さな係合リブ231を係合突起23と一体に設けてある。係合リブ231は、上述した係合鉤13に設けられた回転規制段差152に係合し、アウター本体22を回転規制する。
【0027】
アウター端面221は、遠心クラッチに同芯で円弧状のアウター誘導溝223を正面に向かって左側に設け、アウター誘導溝223の上端寄り、かつアウター誘導溝223の接線上に、直線状のアウター軌道222を設けている(後掲図5参照)。アウタースライダ26は、上述したインナースライダ16と同じく、スロットルレバー(図示略)から延びるアウターワイヤ41がアウター軌道222の終端側から接続される方形の金属製ブロックにアウター突起261を設けた構成で、前記インナー軌道122に金属製ブロックを嵌め込み、アウター端面221からアウター突起261を突出させながらアウター軌道222に沿って進退する(後掲図10参照)。アウタースライダ26は、アウター軌道222端との間にスライダ復帰スプリング262を介装し、常に始端側に付勢されている。アウター誘導溝223は、インナーアダプタ1及びアウターアダプタ2の接続に際して、アウタースライダ26を接近させると相対的に近づくインナースライダ16のインナー突起161を通過させる待避路を構成する。
【0028】
また、アウター端面221は、アウター端子27を正面向かって右側に設け、ストッパ突起28を正面向かって下側に設けている(後掲図5参照)。アウター端子27は、スロットルレバーに付属するストップスイッチ(図示略)から延びるアウターリード線42が接続される金属製ボルトで、前記アウターリード線42を挟み込むように絶縁ブロック271に捩じ込み、絶縁ブロック271をアウター端面221に埋め込んでいる(後掲図14参照)。ストッパ突起28は、アウター本体22に設けられたストッパ突起軌道孔282に嵌め込まれた金属製のブロックで、解除ボタン29の斜行溝291にリンクピン281を係合させ、解除ボタン29に連動してアウター端面221から出没する。解除ボタン29は、グリップ本体224に設けられた解除ボタン嵌合穴294に嵌め込まれた金属製のブロックで、ボタン復帰スプリング293で常に復帰方向に付勢されており、規制長孔295に差し込んだ規制ボルト292が係合する範囲で、グリップ本体224の外面から押し込むことができる(以上、後掲図16参照)。
【0029】
次に、本例の接続分離構造の接続手順について説明する。図5は接続前のインナー端面(a)及びアウター端面(b)の正面図、図6は接続前のインナー端面に対するアウター端面の位置関係を表す正面図、図7は接続後のインナー端面(a)及びアウター端面(b)の正面図であり、そして図8は接続後のインナー端面に対するアウター端面の位置関係を表す正面図である。便宜上、図5及び図7ではインナー端面121及びアウター端面221をそれぞれの正面から図示し、図6及び図8ではインナー端面121をそのまま正面から図示しながら、アウター端面221を反転させて背面から透過した状態で前記インナー端面121に重ねている。このため、図5と図6、図7と図8とでは、それぞれアウター端面221の回転方向が逆になっている。
【0030】
インナーアダプタ1とアウターアダプタ2との接続は、まずインナーアダプタ1の内周円形凹部15に対して、挿入切欠153を通じてアウターアダプタ2の係合突起23を挿入する挿入手順と、次いでインナーアダプタ1に対してアウターアダプタ2を回転させ、インナーアダプタ1の係合鉤13に係合突起23を係合させる係合手順を経る。挿入手順は、図5及び図6に見られるように、インナーアダプタ1の各挿入切欠153に対応するアウターアダプタ2の係合突起23を対向させる(図5では挿入切欠153の位置関係と係合突起23の位置関係が左右反転している)。この段階では、インナースライダ16はインナー軌道122の上端(始端)に、アウタースライダ26はアウター軌道222の上端(始端)にそれぞれ位置し、インナー端子17の接地突起171がインナー端面121から突出している(後掲図14参照)。
【0031】
係合突起23を挿入切欠153を通じて内周円形凹部15に挿入すると、インナー端面121とアウター端面221とが接面すると共に、アウターアダプタ2の外周円形凸部24がインナーアダプタ1の外周円形凹部14に嵌合する。これにより、インナーアダプタ1に対してアウターアダプタ2をずれなく、かつ円滑に回転させることができる。この段階では、インナースライダ16及びアウタースライダ26は、いずれもインナー軌道122及びアウター軌道222の始端側に位置し、インナー突起161をアウター誘導溝223に、アウター突起261をインナー誘導溝123に突出させた状態にあり、インナースライダ16に対してアウターアダプタ2を回転させる方向(図6中右回転方向、図8参照)の上流側にアウタースライダ26を位置させている。
【0032】
係合手順は、インナーアダプタ1に対してアウターアダプタ2を右回転(図8参照、図7中は左右反転しているので左回転)させ、挿入切欠153から内周円形凹部15に挿入した係合突起23を係合鉤13に係合させる。このとき、アウターアダプタ2を左回転させようとしても、回転規制段差152を経て張り出した係合鉤13の部分が係合突起23の内側に設けられた係合リブ231に係合し、アウターアダプタ2を回転させることができない。また、アウターアダプタ2を右回転させても、前記係合リブ231が回転規制段差152に係合するまでしか回転させることができない。こうして、アウターアダプタ2は回転方向及び回転量が規制された範囲で右回転し、各係合突起23を対応する係合鉤13に係合させる。
【0033】
アウターアダプタ2の回転量が規制されていることにより、インナースライダ16に対するアウタースライダ26の位置関係やインナー端子17に対するアウター端子27の位置関係が特定される。すなわち、アウタースライダ26は、アウター突起261をインナー誘導溝123に沿って移動させ、インナースライダ16のインナー突起161の手前まで接近する(図8参照)。また、アウター端子27は、インナー端面121に摺接しながらインナー端子17に達し、それまでアウター端面221に押されて没していた接地突起171に接触し、ストップスイッチとストップ回路とを接続させる。そして、ストッパ突起28はストッパ穴19に嵌合し、インナーアダプタ1に対するアウターアダプタ2の回転を規制し、両者の接続状態を維持させる。
【0034】
最後に、上記接続手順について各部毎に説明する。図9は押さえスペーサの板バネにより係合突起を押さえている状態を表す部分断面図、図10はスロットルレバーを引いてない状態におけるスロットルワイヤの接続分離手段の接続前を表す部分断面図、図11はスロットルレバーを引いてない状態におけるスロットルワイヤの接続分離手段の接続後を表す部分断面図、図12はスロットルレバーを引いた状態におけるスロットルワイヤの接続分離手段の接続前を表す部分断面図、図13はスロットルレバーを引いた状態におけるスロットルワイヤの接続分離手段の接続後を表す部分断面図、図14はリード線の接続分離手段の接続前を表す部分断面図、図15はリード線の接続分離手段の接続後を表す部分断面図、図16はストッパ突起がストッパ穴に嵌合している状態を表す部分断面図、図17は解除ボタンを押してストッパ突起を後退させている状態を表す部分断面図であり、図18はインナー端面に押されてストッパ突起が後退している状態を表す部分断面図である。
【0035】
アウターアダプタ2の係合突起23は、インナー端面121及びアウター端面221を密に接面させた状態で、インナーアダプタ1の係合鉤13に係合する。このとき、係合突起23が係合鉤13に対して密に係合すれば問題ないが、それでは摩擦抵抗が大きくなりすぎて、アウターアダプタ2を回転させて係合鉤13の内側に係合突起23を潜り込ませることが難しくなる。このため、本例では、図9に見られるように、係合突起23と係合鉤13とは軽く擦れ合う程度にしながら、係合鉤13に対して係合突起23を弾支する板バネ181を両者の間に介装している。板バネ181は、押さえスペーサ18と一体に形成されており、前記押さえスペーサ18をスペーサ取付ボルト182によりインナー本体12に対して一義的に取り付けると、係合手順を終えた段階で板バネ181が係合突起23を弾支できるようになっている。
【0036】
本発明の接続分離構造におけるスロットルワイヤの接続分離手段は、スロットルレバーの引き具合に関係なく、アウタースライダ26がインナースライダ16に必ず係合し、スロットルレバーに引っ張られるアウターワイヤ41の動きをインナーワイヤ33に伝達できるようにしている。通常、インナー端面121とアウター端面221とを接面させ、係合突起23を内周円形凹部15に挿入した段階では、図10に見られるように、インナースライダ16はインナー軌道122の始端に位置し、インナー突起161をアウター誘導溝223に突出させ、アウタースライダ26はアウター軌道222の始端に位置し、前記インナー突起161に対してアウターアダプタ2の回転方向上流側で、アウター突起261をインナー誘導溝123に突出させている。
【0037】
そして、アウターアダプタ2を右回転させてインナーアダプタ1とアウターアダプタ2との接続が完了すると、図11に見られるように、アウター突起261がインナー突起161に係合する直前までアウタースライダ26がインナースライダ16に接近する。スロットルレバーを引くと、アウターワイヤ41を介してアウタースライダ26が終端に向けて移動し、アウター突起261がインナー突起161に係合してインナースライダ16を移動して、インナーワイヤ33を引っ張ることができる。また、引いたスロットルレバーを戻すと、スロットルがインナーワイヤ33を引っ張ってインナースライダ16が始端に復帰させ、アウタースライダ26は復帰するインナースライダ16のインナー突起161にアウター突起261を係合させるほか、スライダ復帰スプリング262の反発を受けて、始端に復帰する。
【0038】
インナースライダ16とアウタースライダ26とは、仮にスロットルレバーを引いた状態でも変らず、インナー突起161にアウター突起261を確実に係合させることができる。すなわち、スロットルレバーを引いたまま、インナー端面121とアウター端面221とを接面させ、係合突起23を内周円形凹部15に挿入した段階では、図12に見られるように、アウターアダプタ2を右回転させてインナーアダプタ1とアウターアダプタ2との接続が完了する前に、アウター突起261がインナー突起161に係合する。そして、図13に見られるように、アウター突起261がインナー突起161を押し、インナースライダ16とアウタースライダ26とはそれぞれ終端に向けて移動する。スロットルレバーは、引き具合を維持するタイプもある。本発明のスロットルワイヤの接続手段は、こうした引く具合が維持されてスロットルレバーが引かれたままであっても、インナースライダ16及びアウタースライダ26を確実に接続することができる。
【0039】
本発明の接続分離構造におけるリード線の接続分離手段は、アウター端子27がインナー端子17に接触するまで、ストップ回路をエンジン3に対して接地することにより、不用意にエンジンが始動しないようにしている。まず、インナーアダプタ1とアウターアダプタ2との接続前は、図14に見られるように、インナー端子17はインナー端面121の開口124から先端の接地突起171を突出させ、直線部分の途中に設けた導通突起172を金属製のインナー本体12に接触させて、ストップ回路を接地させている。インナー端子17は、前記導通突起172以外に接地しないように、導通突起172を避けて絶縁シート173を介装し、樹脂ボルト174によりインナー本体12に取り付けている。アウター端子27も、インナー端子17同様、金属製のアウター本体22との接触を避けるため、絶縁ブロック271に包まれた状態で前記アウター本体22に取り付けている。
【0040】
インナーアダプタ1とアウターアダプタ2とを接続する途中は、アウター端面221に接地突起171が押し込まれ、導通突起172がインナー本体12から離れるが、アウター端面221をインナー端面121に接面させた金属製のアウター本体22が接地突起171に接触することから、前記アウター本体22を介してストップ回路はエンジン3に接地される。そして、インナーアダプタ1とアウターアダプタ2とが接続を完了すると、図15に見られるように、インナー端子17は接地突起171をアウター端子27のみに接触させ、ストップスイッチとストップ回路とを接続する。このように、インナー端子17はアウター端子27に接地突起171を接触させるまで、インナー本体12又はアウター本体22に接触して接地されることにより、インナーアダプタ1とアウターアダプタ2との接続作業の間にエンジン3が不要に始動しないようにしている。
【0041】
このほか、本例は、インナーアダプタ1及びアウターアダプタ2の接続状態を維持するストッパ穴19及びストッパ突起28と、前記ストッパ突起28の出没を操作する解除ボタン29を設けている。ストッパ突起28は、図16に見られるように、多段円筒の外観を有する金属製のブロックで、アウター本体22に設けられたストッパ突起軌道孔282から上段の小径円筒部分のみをアウター端面221から出没させる。下段の大径円筒部分は、スリ割りを設けてリンクピン281を架設している。解除ボタン29は、グリップ本体224の外面に倣う表面を有する金属製のブロックで、前記リンクピン281を係合させる斜行溝291と、グリップ本体224に固着した規制ボルト292を係合させる規制長孔295とを有し、ボタン復帰スプリング293を介在させて解除ボタン嵌合穴294に嵌め込んでいる。規制ボルト292は、解除ボタン29の押込をぐらつかせない働きと、規制長孔295を係合させることにより、解除ボタン29が解除ボタン嵌合穴294から逸脱させない働きとを有する。
【0042】
ストッパ突起28と解除ボタン29とは連動している。例えばインナーアダプタ1とアウターアダプタ2との接続を解除する場合、図17に見られるように、解除ボタン29を押し込むと、グリップ本体224の半径方向内向き(図17中上方)に変位する斜行溝291によりリンクピン281を変位させ、ストッパ突起28をアウター端面221から没せしめる。これにより、アウターアダプタ2を再び回転できるようになるため、インナーアダプタ1とアウターアダプタ2との接続を解除できる。同様に、例えばインナーアダプタ1とアウターアダプタ2とを接続する場合、図18に見られるように、インナー端面121も先端が摺接するストッパ突起28は押し込まれ、リンクピン281を変位させる。これにより、リンクピン281を係合させる斜行溝291をグリップ本体224の半径方向内向き(図17中上方)に変位させ、解除ボタン29をグリップ本体224の外面から没せしめる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の接続分離構造を適用した刈払機の部分側面図である。
【図2】本例の刈払機を左斜め前から見た部分斜視図である。
【図3】インナーアダプタ及びアウターアダプタを分離した本例の刈払機の図1相当部分側面図である。
【図4】本例の刈払機の分解斜視図である。
【図5】接続前のインナー端面(a)及びアウター端面(b)の正面図である。
【図6】接続前のインナー端面に対するアウター端面の位置関係を表す正面図である。
【図7】接続後のインナー端面(a)及びアウター端面(b)の正面図である。
【図8】接続後のインナー端面に対するアウター端面の位置関係を表す正面図である。
【図9】押さえスペーサの板バネにより係合突起を押さえている状態を表す部分断面図である。
【図10】スロットルレバーを引いてない状態におけるスロットルワイヤの接続分離手段の接続前を表す部分断面図である。
【図11】スロットルレバーを引いてない状態におけるスロットルワイヤの接続分離手段の接続後を表す部分断面図である。
【図12】スロットルレバーを引いた状態におけるスロットルワイヤの接続分離手段の接続前を表す部分断面図である。
【図13】スロットルレバーを引いた状態におけるスロットルワイヤの接続分離手段の接続後を表す部分断面図である。
【図14】リード線の接続分離手段の接続前を表す部分断面図である。
【図15】リード線の接続分離手段の接続後を表す部分断面図である。
【図16】ストッパ突起がストッパ穴に嵌合している状態を表す部分断面図である。
【図17】解除ボタンを押してストッパ突起を後退させている状態を表す部分断面図である。
【図18】インナー端面に押されてストッパ突起が後退している状態を表す部分断面図である。
【符号の説明】
【0044】
1 インナーアダプタ
11 クラッチインナー
12 インナー本体
13 係合鉤
14 外周円形凹部
15 内周円形凹部
16 インナースライダ
17 インナー端子
18 押さえスペーサ
19 ストッパ穴
2 アウターアダプタ
21 クラッチアウター
22 アウター本体
23 係合突起
24 外周円形凸部
25 内周円形凸部
26 アウタースライダ
27 アウター端子
28 ストッパ突起
29 解除ボタン
3 エンジン
31 回転軸
32 出力軸
33 インナーワイヤ
34 インナーリード線
4 操作ロッド
41 アウターワイヤ
42 アウターリード線
【特許請求の範囲】
【請求項1】
クラッチインナーにクラッチアウターを被せて構成される遠心クラッチにより連結及び解除されるエンジンの回転軸と出力軸との接続分離構造であって、回転軸が接続されるクラッチインナーと、前記クラッチインナーを囲むインナー端面を有するインナー本体とからなるインナーアダプタと、出力軸が接続されるクラッチアウターと、前記クラッチアウターを囲むアウター端面を有するアウター本体とからなるアウターアダプタとから構成され、インナーアダプタ及びアウターアダプタは、インナー本体又はアウター本体の一方に、遠心クラッチに同芯の円周上に係合突起を設け、インナー本体又はアウター本体の他方に、インナー端面及びアウター端面を接面させた際、係合突起を周方向から係合させる係合鉤を設けてなるエンジンの回転軸と出力軸との接続分離構造。
【請求項2】
インナーアダプタ及びアウターアダプタは、インナー端面又はアウター端面の一方に、遠心クラッチに同芯かつ面直交方向に突出する円形凸部を設け、インナー端面又はアウター端面の他方に、遠心クラッチに同芯かつ前記円形凸部が嵌合する円形凹部を設けてなる請求項1記載のエンジンの回転軸と出力軸との接続分離構造。
【請求項3】
インナーアダプタ及びアウターアダプタは、インナー端面又はアウター端面の一方に設けた円形凸部の凸部周面から半径方向外向きに係合突起を張り出し、インナー端面又はアウター端面の他方に設けた円形凹部の凹部周面から半径方向内向きに係合鉤を張り出してなる請求項2記載のエンジンの回転軸と出力軸との接続分離構造。
【請求項4】
インナーアダプタ及びアウターアダプタは、インナー端面又はアウター端面の一方に、面直交方向へ出没自在に付勢したストッパ突起を設け、インナー端面又はアウター端面の他方に、前記ストッパ突起が嵌合するストッパ穴を設けてなる請求項1〜3いずれか記載のエンジンの回転軸と出力軸との接続分離構造。
【請求項5】
インナーアダプタは、
遠心クラッチに同芯の円周の接線方向に延びるインナー軌道に沿って進退するインナースライダをインナー本体に設け、エンジンのスロットルから延びるインナーワイヤをインナー軌道の始端側からインナースライダに接続し、アウターアダプタは、インナースライダと同じ円周の接線方向に延びるアウター軌道に沿って進退するアウタースライダをアウター本体に設け、スロットルレバーから延びるアウターワイヤをアウター軌道の終端側から接続してなり、インナー端面及びアウター端面を接面させ、係合突起を係合鉤に係合させた状態で、インナー軌道とアウター軌道とは一致する位置関係に配置され、終端に向けて移動するアウタースライダをインナースライダに係合させてなる請求項1〜4いずれか記載のエンジンの回転軸と出力軸との接続分離構造。
【請求項6】
インナーアダプタは、エンジンのストップ回路から延びるインナーリード線が接続されたインナー端子をインナー本体に設け、アウターアダプタは、ストップスイッチから延びるアウターリード線が接続されたアウター端子をアウター本体に設けてなり、インナー端子は、インナー端面に設けられた開口から一部を出没自在に突出させ、前記一部を開口から突出させた状態で他の一部をエンジンに接地させてストップ回路を働かせることによりエンジンを停止させ、アウター端子は、インナー端面及びアウター端面を接面させ、係合突起を係合鉤に係合させた状態で、インナー端面に設けられた開口から突出していたインナー端子の一部を押し込み、エンジンに対するインナー端子の接地を解除すると共に前記インナー端子とストップスイッチとを導通させることにより、ストップスイッチの入/切に合わせてストップ回路を働かせ、エンジンを停止させてなる請求項1〜5いずれか記載のエンジンの回転軸と出力軸との接続分離構造。
【請求項1】
クラッチインナーにクラッチアウターを被せて構成される遠心クラッチにより連結及び解除されるエンジンの回転軸と出力軸との接続分離構造であって、回転軸が接続されるクラッチインナーと、前記クラッチインナーを囲むインナー端面を有するインナー本体とからなるインナーアダプタと、出力軸が接続されるクラッチアウターと、前記クラッチアウターを囲むアウター端面を有するアウター本体とからなるアウターアダプタとから構成され、インナーアダプタ及びアウターアダプタは、インナー本体又はアウター本体の一方に、遠心クラッチに同芯の円周上に係合突起を設け、インナー本体又はアウター本体の他方に、インナー端面及びアウター端面を接面させた際、係合突起を周方向から係合させる係合鉤を設けてなるエンジンの回転軸と出力軸との接続分離構造。
【請求項2】
インナーアダプタ及びアウターアダプタは、インナー端面又はアウター端面の一方に、遠心クラッチに同芯かつ面直交方向に突出する円形凸部を設け、インナー端面又はアウター端面の他方に、遠心クラッチに同芯かつ前記円形凸部が嵌合する円形凹部を設けてなる請求項1記載のエンジンの回転軸と出力軸との接続分離構造。
【請求項3】
インナーアダプタ及びアウターアダプタは、インナー端面又はアウター端面の一方に設けた円形凸部の凸部周面から半径方向外向きに係合突起を張り出し、インナー端面又はアウター端面の他方に設けた円形凹部の凹部周面から半径方向内向きに係合鉤を張り出してなる請求項2記載のエンジンの回転軸と出力軸との接続分離構造。
【請求項4】
インナーアダプタ及びアウターアダプタは、インナー端面又はアウター端面の一方に、面直交方向へ出没自在に付勢したストッパ突起を設け、インナー端面又はアウター端面の他方に、前記ストッパ突起が嵌合するストッパ穴を設けてなる請求項1〜3いずれか記載のエンジンの回転軸と出力軸との接続分離構造。
【請求項5】
インナーアダプタは、
遠心クラッチに同芯の円周の接線方向に延びるインナー軌道に沿って進退するインナースライダをインナー本体に設け、エンジンのスロットルから延びるインナーワイヤをインナー軌道の始端側からインナースライダに接続し、アウターアダプタは、インナースライダと同じ円周の接線方向に延びるアウター軌道に沿って進退するアウタースライダをアウター本体に設け、スロットルレバーから延びるアウターワイヤをアウター軌道の終端側から接続してなり、インナー端面及びアウター端面を接面させ、係合突起を係合鉤に係合させた状態で、インナー軌道とアウター軌道とは一致する位置関係に配置され、終端に向けて移動するアウタースライダをインナースライダに係合させてなる請求項1〜4いずれか記載のエンジンの回転軸と出力軸との接続分離構造。
【請求項6】
インナーアダプタは、エンジンのストップ回路から延びるインナーリード線が接続されたインナー端子をインナー本体に設け、アウターアダプタは、ストップスイッチから延びるアウターリード線が接続されたアウター端子をアウター本体に設けてなり、インナー端子は、インナー端面に設けられた開口から一部を出没自在に突出させ、前記一部を開口から突出させた状態で他の一部をエンジンに接地させてストップ回路を働かせることによりエンジンを停止させ、アウター端子は、インナー端面及びアウター端面を接面させ、係合突起を係合鉤に係合させた状態で、インナー端面に設けられた開口から突出していたインナー端子の一部を押し込み、エンジンに対するインナー端子の接地を解除すると共に前記インナー端子とストップスイッチとを導通させることにより、ストップスイッチの入/切に合わせてストップ回路を働かせ、エンジンを停止させてなる請求項1〜5いずれか記載のエンジンの回転軸と出力軸との接続分離構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
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【図4】
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【図11】
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【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2010−19375(P2010−19375A)
【公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−181662(P2008−181662)
【出願日】平成20年7月11日(2008.7.11)
【出願人】(000104065)カーツ株式会社 (14)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年7月11日(2008.7.11)
【出願人】(000104065)カーツ株式会社 (14)
【Fターム(参考)】
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