説明

エンジン吸気構造

【課題】エアクリーナからの空気を吸気するエンジンを備えたコンバインに適用されるエンジン吸気構造であって、前記エンジンから前記エアクリーナに伝達する振動を効果的に防止でき、これにより騒音を低減できる構造簡単なエンジン吸気構造を提供する。
【解決手段】エアクリーナ12からの空気を吸気するエンジン73を備えたコンバイン1に適用されるエンジン吸気構造において、一端部211aがエアクリーナ12の排気口12aに流体接続され且つ他端部212aがエンジン73の吸気口73aに流体接続された吸気ホース21aは、少なくとも一部が排気口12a及び吸気口73aの間に画される空間Pの外側に位置するように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバインに適用されるエンジン吸気構造に関する。
【背景技術】
【0002】
コンバインにおいては、従来、エアクリーナからの空気が吸気ホースを介してエンジンに吸気されるように構成されている(下記特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、斯かる従来のコンバインでは、前記吸気ホースを前記エアクリーナと前記エンジンとの間の最短距離で配管していた為に、前記エンジンから前記エアクリーナに振動が伝わり易く、これにより騒音が大きくなるという問題があった。
又、この騒音を防止する為に、前記エアクリーナの取付部の強度を向上させる必要があった。
【特許文献1】特開2002−70677号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、前記従来技術に鑑みなされたものであり、エアクリーナからの空気を吸気するエンジンを備えたコンバインに適用されるエンジン吸気構造であって、前記エンジンから前記エアクリーナに伝達する振動を効果的に防止でき、これにより騒音を低減できる構造簡単なエンジン吸気構造の提供を、一の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は前記目的を達成する為に、次の第1から第3態様のエンジン吸気構造を提供する。
(1)第1態様のエンジン吸気構造
エアクリーナからの空気を吸気するエンジンを備えたコンバインに適用されるエンジン吸気構造であって、一端部が前記エアクリーナの排気口に流体接続され且つ他端部が前記エンジンの吸気口に流体接続された吸気ホースを備え、前記吸気ホースは、少なくとも一部が前記エアクリーナの排気口及び前記エンジンの吸気口の間に画される空間の外側に位置するように構成されていることを特徴とするエンジン吸気構造。
【0006】
(2)第2態様のエンジン吸気構造
エアクリーナからの空気を吸気するエンジンを備えたコンバインに適用されるエンジン吸気構造であって、一端部が前記エアクリーナの排気口に流体接続され且つ他端部が前記エンジンの吸気口に流体接続された吸気ホースを備え、前記吸気ホースは、少なくとも一部が螺旋状とされていることを特徴とするエンジン吸気構造。
【0007】
(3)第3態様のエンジン吸気構造
エアクリーナからの空気を吸気するエンジンを備えたコンバインに適用されるエンジン吸気構造であって、一端部が前記エアクリーナの排気口に流体接続され且つ他端部が前記エンジンの吸気口に流体接続された吸気ホースを備え、前記吸気ホースは、前記エアクリーナの排気口に連結される上流側連結部と前記エンジンの吸気口に連結される下流側連結部との間の少なくとも一部に、U字状の湾曲部を有していることを特徴とするエンジン吸気構造。
【0008】
本発明に係る第2態様において、前記螺旋状とは、所定方向に延びる軸線の回りを空気の吸気方向上流側から下流側に向けて回転するように進む形状をいう。
【0009】
本発明に係る第1から第3態様において、前記吸気ホースは、単一のホースとされていてもよいし、複数のホースを連結したものとされていてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る第1態様のエンジン吸気構造によれば、前記吸気ホースは、少なくとも一部が前記エアクリーナの排気口及び前記エンジンの吸気口の間に画される空間の外側に位置するように構成されているので、該吸気ホースの形状によって、前記エンジンから前記エアクリーナへの振動を吸収することができ、これにより該振動による騒音を低減することが可能となる。
【0011】
本発明に係る第2態様のエンジン吸気構造によれば、前記吸気ホースは、少なくとも一部が螺旋状とされているので、該螺旋状の部分において、前記エンジンから前記エアクリーナへの振動を吸収することができ、これにより該振動による騒音を低減することが可能となる。
又、本発明に係る第2態様のエンジン吸気構造において、前記螺旋状の部分の長さを変更することで、該長さに応じて、異なる周波数の振動を吸収する作用が得られ、これにより、特定の周波数の騒音を低減することが可能となる。前記螺旋状の部分の長さの代わりに又は加えて、前記螺旋状の部分のホースの直径及び/又は前記螺旋状の部分の曲率を変更してもよい。この場合においても、該直径及び/又は該曲率に応じて、異なる周波数の振動を吸収する作用が得られ、特定の周波数の騒音を低減することができる。
【0012】
本発明に係る第3態様のエンジン吸気構造によれば、前記吸気ホースは、前記エアクリーナの排気口に連結される前記上流側連結部と前記エンジンの吸気口に連結される前記下流側連結部との間の少なくとも一部に、U字状の湾曲部を有しているので、該湾曲部において、前記エンジンから前記エアクリーナへの振動を吸収することができ、これにより該振動による騒音を低減することが可能となる。
又、本発明に係る第3態様のエンジン吸気構造において、前記湾曲部の長さを変更することで、該長さに応じて異なる周波数の振動を吸収する作用が得られ、これにより、特定の周波数の騒音を低減することが可能となる。前記湾曲部の長さの代わりに又は加えて、前記湾曲部のホースの直径及び/又は前記湾曲部の曲率を変更してもよい。この場合においても、該直径及び/又は該曲率に応じて、異なる周波数の振動を吸収する作用が得られ、特定の周波数の騒音を低減することができる。
【0013】
さらに、本発明に係る第1から3態様のエンジン吸気構造では、前記の如く、前記エンジンから前記エアクリーナへの振動を吸収できるので、それだけ前記エアクリーナの取付部の強度を小さくでき、これにより該エアクリーナの取付作業性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の好ましい実施の形態につき、添付図面を参照しつつ説明する。
図1から図4は、それぞれ、本発明に係るエンジン吸気構造の第1から第3実施形態が適用されたコンバイン1の左側面図,平面図,正面図及び右側面図である。
【0015】
図1から図4に示すように、前記コンバイン1は、本機フレーム2と、前記本機フレーム2における車輌幅方向一方側(ここでは進行方向に向かって右側)の前方に配設された運転部10と、前記本機フレーム2に支持されたエンジン73と、前記本機フレーム2に連結された左右一対のクローラ走行装置9,9と、前記エンジン73からの回転動力を変速して前記左右一対のクローラ走行装置9,9へ出力するトランスミッション(図示せず)と、前記本機フレーム2に昇降可能に支持された刈取・搬送装置60と、前記刈取・搬送装置60を前記本機フレーム2に対して昇降させる油圧昇降装置(図示せず)と、前記刈取・搬送装置60によって刈り取られた穀桿を前記本機フレーム2の車輌幅方向他方側(ここでは進行方向に向かって左側)において後方へ搬送するフィードチェーン装置8と、前記フィードチェーン装置8によって搬送される穀桿に対して脱穀処理を行う脱穀部40と、前記脱穀部40の下方に配設された揺動選別部41と、前記揺動選別部41によって選別された穀粒を収容するグレンタンク3とを備えている。
なお、前記運転部10は運転席10aを備えている。前記エンジン73は、前記運転席10aの下方に配設されている。又、前記グレンタンク3は、前記運転部10の後方に配設されている。
【0016】
前記刈取・搬送装置60は、穀桿を刈り取る刈取部61と、該刈取部61によって刈り取られた穀桿を前記フィードチェーン装置8へ搬送する搬送部65とを備えている。
前記搬送部65は、前記運転部10の車輌幅方向他方側(ここでは進行方向に向かって左側)に配設されている。前記搬送部65は、下部搬送機構,上部搬送機構及び縦搬送機構を含み、刈り取られた穀桿の株元を前記フィードチェーン装置8へ受け継ぐように構成されている。
前記刈取部61は、前記運転部10及び前記搬送部65の前方に設けられている。前記刈取部61は、引起ケース及び引起タインを含む引起機構62と、前記引起ケースの下方部から前方へ突出された分草板63と、前記引起ケースの後方に配設された刈刃64とを有している。
【0017】
前記脱穀部40は、前記搬送部65の後方に設けられている。前記脱穀部40は、脱穀機枠によって画される扱室と、該扱室内に配設された扱胴とを有している。
前記フィードチェーン装置8は、穀桿の穂先が前記扱胴によって脱穀される状態で、該穀桿を後方へ搬送するように構成されている。
前記揺動選別部41は、駆動機構によって揺動されることで穀粒の比重選別を行う揺動選別機構と、前記揺動選別機構に対して選別風を送出する風選別機構とを有している。
【0018】
前記グレンタンク3は、前記脱穀部40によって脱穀され、その後に、前記揺動選別機構によって選別されて一番樋に集約された一番穀粒を貯留するように構成されている。
詳しくは、前記一番樋に集約された一番穀粒は、一番搬送コンベア及び揚穀コンベア3aを介して、前記グレンタンク3に搬入される。
【0019】
該グレンタンク3には、貯留された穀粒を外部に搬出させる穀粒排出機構51が備えられている。
該穀粒排出機構51は、前記グレンタンク3の底部に設けられた排出コンベア51aと、該排出コンベア51aからの穀粒を上方へ搬送する縦排出オーガ52と、基端部が前記縦排出オーガ52の上端部に連通された横排出オーガ53とを備えており、前記横排出オーガ53の先端部に設けられた排出口53aを介して前記グレンタンク3内の穀粒を外部に排出させるように構成されている。
【0020】
図5及び図6は、前記コンバイン1における前記エンジン73及び吸気経路35部分を示す図であって、図5は、その正面図であり、図6は、その左側面図である。
図5及び図6に示すように、前記運転席10aの後方には、エアクリーナ12からの空気を吸気する前記エンジン73に連結連通された吸気経路35が形成されている。
前記コンバイン1は、前記吸気経路35を経由して取り込まれた外気が、前記エンジン73内で燃焼に使用された後、排気ガスとして、排気管34を通って排出されるようになっている。
なお、図5及び図6におけるエンジン吸気構造は、後述する第2実施形態に係るものを示している。
【0021】
次に、第1から第3実施形態に係るエンジン吸気構造について詳述する。
図7は、第1実施形態に係るエンジン吸気構造部分を示す左側面図であり、図8は、第2実施形態に係るエンジン吸気構造部分を示す左側面図であり、図9は、第3実施形態に係るエンジン吸気構造部分を示す左側面図である。
【0022】
図7から図9に示すように、第1から第3実施形態に係るエンジン吸気構造は、吸気ホース21(21a,21b,21c)を備えている。
前記吸気ホース21a,21b,21cは、一端部211(211a,211b,211c)が前記エアクリーナ12の排気口12aに流体接続され且つ他端部212(212a,212b,212c)が前記エンジン73の吸気口73aに流体接続されている。
【0023】
(第1実施形態)
図7に示す第1実施形態の吸気ホース21aは、少なくとも一部が前記エアクリーナ12の排気口12a及び前記エンジン73の吸気口73aの間に画される空間Pの外側に位置するように構成されている。
前記第1実施形態のエンジン吸気構造によれば、前記吸気ホース21aは、少なくとも一部が前記空間Pの外側に位置するように構成されているので、例えば、該吸気ホース21aを、前記エンジン73から前記エアクリーナ12への振動を吸収するような形状にすることができる。
従って、前記エンジン73から前記エアクリーナ12への振動を吸収することができ、これにより該振動による騒音を低減することができる。
【0024】
斯かる第1実施形態のエンジン吸気構造は、前記排気口12a及び前記吸気口73aが互いに逆方向のベクトル成分を含む方向に配置されている構成や、前記排気口12a及び前記吸気口73aが互いに直交するように配置されている構成、及び前記排気口12a及び前記吸気口73aが互いに同一方向のベクトル成分を含む方向に配置されている種々の構成に適用できる。
【0025】
図10から図12は、前記排気口12a及び前記吸気口73aが互いに逆方向のベクトル成分を含む方向に配置されているエンジン吸気構造の例を示す模式図であって、図10(a)から図12(a)は、それぞれ、その斜視図を示しており、図10(b)から図12(a)は、それぞれ、その平面図を示している。
【0026】
図10に示すエンジン吸気構造では、前記排気口12a及び前記吸気口73aは、前記排気口12aの軸線Lxと前記吸気口73aの軸線Lyとがずれた位置に位置する状態で互いに反対方向を向くように平行に配置されている例を示している。
図11に示すエンジン吸気構造では、前記排気口12a及び前記吸気口73aは、平行でない方向を向くように配置されている例を示している。
図12に示すエンジン吸気構造では、前記排気口12a及び前記吸気口73aは、前記排気口12aの軸線Lxと前記吸気口73aの軸線Lyとが同軸上に位置する状態で互いに向き合うように配置されている例を示している。
【0027】
又、図13は、前記排気口12a及び前記吸気口73aが互いに直交するように配置されているエンジン吸気構造の例を示す模式図であって、図13(a)は、その斜視図を示しており、図13(b)は、その平面図を示している。
【0028】
なお、図10から図13に示すエンジン吸気構造において、前記空間Pは、互いに直交するように前記排気口12a及び前記吸気口73aを囲繞する第1から第6の面F1〜F6で囲まれる直方体の空間Pとされている。
さらに、図10,図11及び図13に示すエンジン吸気構造においては、前記空間Pは、前記エアクリーナ12の排気口12a側及び前記エンジン73の吸気口73a側を結ぶ直線Eを対角線とする直方体の空間Pとされている。
【0029】
又、図14は、前記排気口12a及び前記吸気口73aが互いに同一方向のベクトル成分を含む方向に配置されているエンジン吸気構造の例を示す模式図であって、図14(a)は、その斜視図を示しており、図14(b)は、その平面図を示している。
図14に示すエンジン吸気構造では、前記排気口12a及び前記吸気口73aは、前記排気口12aの軸線Lxと前記吸気口73aの軸線Lyとがずれた位置に位置する状態で互いに同一方向を向くように平行に配置されている例を示している。
【0030】
なお、図14に示すエンジン吸気構造においては、前記空間Pは、前記排気口12aと、前記吸気口73aと、前記吸気ホース21aを前記排気口12a及び前記吸気口73aの間の最短距離で配管した場合の該吸気ホース21aの折り返し点Rとを囲繞する第1から第6の面F1〜F6で囲まれる直方体の空間Pとされている。
【0031】
(第2実施形態)
図8に示す第2実施形態の前記吸気ホース21bは、少なくとも一部が螺旋状とされている。
図8に示すエンジン吸気構造においては、前記吸気ホース21bに流体接続されている前記排気口12a及び前記吸気口73aは、互いに逆方向のベクトル成分を含む平行でない方向を向くように配置されている例を示している。
【0032】
ここで、前記螺旋状の部分は、所定方向に延びる回転軸線Lzの回りを前記吸気口73aへの空気の吸気方向Y上流側から下流側に向けて回転するように進む形状とされている。
好ましくは、前記螺旋状の部分は、前記回転軸線Lzの回りを前記吸気方向Y上流側から下流側に向けて一回転以上回転するように進む形状とされ得る。
【0033】
そして、前記螺旋状の部分は、前記回転軸線Lzと、前記排気口12aの軸線Lx及び前記吸気口73aの軸線Lyの何れか一方(ここでは軸線Ly)とが略平行になるような形状とされている。
なお、前記吸気ホース21bは、ここでは、複数のホース(具体的には、二つのホース211,212)を連結部Sで連結部材S1によって連結したものとされている。
【0034】
図15は、第2実施形態に係るエンジン吸気構造の他の例を示す図であって、図15(a)は、該エンジン吸気構造を平面から視た図であり、図15(b)は、該エンジン吸気構造を左側面から視た図であり、図15(c)は、該エンジン吸気構造の斜視図である。
図15に示すエンジン吸気構造においては、前記吸気ホース21bに流体接続されている前記排気口12a及び前記吸気口73aは、前記排気口12aの軸線Lxと前記吸気口73aの軸線Lyとがずれた位置に位置する状態で互いに反対方向を向くように平行に配置されている例を示している。
【0035】
図15に示すエンジン吸気構造においては、前記螺旋状の部分は、前記回転軸線Lzと、前記排気口12aの軸線Lx及び前記吸気口73aの軸線Lyの双方とが略平行になるような形状とされている。
【0036】
又、図16は、第2実施形態に係るエンジン吸気構造のさらに他の例を左側面から視た図である。
図16に示すエンジン吸気構造においては、前記吸気ホース21bに流体接続されている前記排気口12a及び前記吸気口73aは、前記排気口12aの軸線Lxと前記吸気口73aの軸線Lyとがずれた位置に位置する状態で互いに反対方向を向くように平行に配置されている例を示している。
【0037】
図16に示すエンジン吸気構造においては、前記螺旋状の部分は、前記回転軸線Lzと、前記排気口12aの軸線Lx及び前記吸気口73aの軸線Lyとが該軸線の側方から視て交差するような形状とされている。
【0038】
なお、前記螺旋状の部分は、ここでは、前記回転軸線Lzの回りを前記吸気方向Y上流側から下流側に向けて回転するように該回転軸線Lzの方向に沿って前記エンジン73側に進むコイル形状とされていてもよいし、図17に示すように、前記回転軸線Lzの回りを前記吸気方向Y上流側から下流側に向けて回転するように該回転軸線Lzを横切る面に沿って内方又は外方(図示の例では外方)に進む渦巻き形状とされていてもよい。
【0039】
前記第2実施形態のエンジン吸気構造によれば、前記吸気ホース21bは、少なくとも一部が螺旋状とされているので、該螺旋状の部分において、前記エンジン73から前記エアクリーナ12への振動を吸収することができ、これにより該振動による騒音を低減することができる。
又、前記螺旋状の部分のホース長(ホースの長さ)を変更することで(例えば、500mm以上確保することで)、該長さに対応する周波数の振動を吸収することができ、これにより、特定の周波数(例えば、800Hz付近周波数)に対する騒音を低減することが可能となる。
又、図16に示すエンジン吸気構造においては、限られた空間内で可及的に長い前記吸気ホース21bのホース長を確保することができ、これにより、省スペースを維持しつつ騒音の低減を図ることが可能となる。
【0040】
(第3実施形態)
図18は、図9に示すエンジン吸気構造を平面から視た模式図である。
図9及び図18に示す第3実施形態の前記吸気ホース21cは、前記エアクリーナ12の排気口12aに連結される上流側連結部211cと前記エンジン73の吸気口73aに連結される下流側連結部212cとの間の少なくとも一部に、U字状の湾曲部21c’を有している。
前記吸気ホース21cは、ここでは、単一のホースとされており、ホース全体に亘って一体形成されている。
【0041】
前記第3実施形態のエンジン吸気構造によれば、前記湾曲部21c’において、前記エンジン73から前記エアクリーナ12への振動を吸収することができ、これにより該振動による騒音を低減することができる。
又、この湾曲部21c’においても、例えば、前記湾曲部のホース長を変更することで、該長さに対応する周波数の振動を吸収することができ、これにより、特定の周波数に対する騒音を低減することが可能となる。
【0042】
このように前記第1から3実施形態のエンジン吸気構造では、前記の如く、前記エンジン73から前記エアクリーナ12への振動を吸収できるので、それだけ前記エアクリーナ12の取付部の強度を小さくでき、これにより該エアクリーナ12の取付作業性を向上させることができる。
【0043】
なお、前記吸気経路35には、図5及び図6に示すように、プレクリーナ11が設けられていてもよい。
詳しくは、前記エアクリーナ12の前記吸気方向Y上流側に前記プレクリーナ11が設けられていてもよい。
前記プレクリーナ11は、前記エアクリーナ12の吸気口12bに流体接続されるプレクリーナパイプ11aを備えている。
前記プレクリーナパイプ11aは、図6に示すように、本機に固定された支持部材27(ここでは運転席10a後方のリアコラム)に支持されている。
【0044】
又、前記吸気経路35に吸気サイレンサー14が介挿されていてもよい。
詳しくは、前記エアクリーナ12の前記吸気方向Y上流側に前記吸気サイレンサ14が設けられていてもよい。
ここでは、前記エアクリーナ12の前記吸気方向Y上流側且つ前記プレクリーナ11の前記吸気方向Y下流側に前記吸気サイレンサ14が設けられている。
【0045】
斯かる構成を備えた前記コンバイン1は、前記プレクリーナ11から吸い込まれた外気が、該プレクリーナ11において空気中の大きな塵や埃が除去され、前記吸気サイレンサ14により消音された後、前記エアクリーナ12に吸い込まれ、該エアクリーナ12においてより一層細かな塵等も除去されることで清浄化処理され、その後、該清浄化された空気が、前記第1から第3実施形態のエンジン吸気構造を介して、前記エンジン73に吸い込まれ、エンジン駆動のための燃焼に使用されるようになっている。
【0046】
なお、前記吸気サイレンサ14は、前記エアクリーナ12の前記吸気方向Y下流側に設けられていてもよい。
即ち、前記吸気サイレンサ14は、前記エアクリーナ12の前記吸気方向Y下流側且つ前記吸気ホース21の前記吸気方向Y上流側に設けられていてもよいし、前記吸気ホース21の前記吸気方向Y下流側且つ前記エンジン73の前記吸気方向Y上流側に設けられていてもよい。
【0047】
なお、前記コンバイン1は、次のように構成されている。
即ち、前記コンバイン1においては、図1から図4に示すように、前記運転部10の下方にエンジンルーム731が設けられており、該エンジンルーム731内に前記エンジン73が配設されている。
前記エンジンルーム731の車輌幅方向内端面(前記搬送部65に向く面)731aには、前記エンジン73から前記トランスミッションや前記刈取・搬送装置60に動力を伝達する駆動伝達手段の為の開口Tが設けられている。
【0048】
ところで、前記運転部10の車輌幅方向内端部(車輌幅方向他方側端部)と前記搬送部65の車輌幅方向内端部(車輌幅方向一方側端部)との間には、前記刈取・搬送装置60を前記本機フレーム2に対して昇降させる為に、隙間Qが設けられている。
この為、前記隙間Qから前記エンジンルーム731に前記開口Tを介して穀桿、ほこり等のダストが侵入するという不都合があった。
従来のコンバインでは、運転部の車輌幅方向内端部から搬送部の方へ延びる部材が設けられていたが、該部材と搬送部との間に隙間があった為に、前記エンジンルーム731内にダストが溜まりやすい構造になっていた。
【0049】
斯かる観点から、前記コンバイン1においては、前記運転部10の車輌幅方向内端部に設けられた運転部側部材10bと前記搬送部65の車輌幅方向内端部に設けられた搬送部側部材65aとの間に、少なくとも前記開口Tに対応する部分の上方を覆うように延びるゴムシート90が架設されている構成としている。
【0050】
斯かる構成を備えることにより、前記コンバイン1は、前記運転部10の車輌幅方向内端部と前記搬送部65の車輌幅方向内端部との隙間Qのダスト溜まりを有効に防止することができ、これにより前記エンジンルーム731内へのダストの侵入を効果的に防止することができる。例えば、前記エンジンルーム731内のマフラー等の高温部材へのダストの侵入、接触を効果的に防ぐことが可能となる。
又、前記ゴムシート90にダストが溜まった場合でも、該溜まったダストを該ゴムシート90の車輌前後方向の一方側又は他方側(例えば前記脱穀部40の入口の方)へ集めることで、容易に取り除くことができる。
【0051】
なお、図1から図4に示す例では、前記運転部側部材10bは、前記運転部10の側面部材を構成するサイドコラムとされており、前記搬送部側部材65aは、穀桿の穂先をガイドする為のサブパネルとされている。
【0052】
前記コンバイン1において、前記ゴムシート90は、柔軟性を有するものとされており、該ゴムシート90は、前記刈取・搬送装置60が前記本機フレーム2に対して昇降されても、前記搬送部65の昇降位置に応じて変形できるようになっている。
前記ゴムシート90は、車輌前後方向の一方側が高く且つ他方側が低くなるように設けられていてもよい。又、前記ゴムシート90は、後端部が前記脱穀部40の前端部まで延びていてもよい。
【0053】
又、従来のコンバインでは、エンジンルームにおけるエンジンで熱せられた該エンジン周辺の空気が該エンジンルームの車輌幅方向内端面に設けられた開口を介して運転部の車輌幅方向内端部と搬送部の車輌幅方向内端部との間の隙間から運転席側へ回り込み、作業者が熱による影響を受けることがあった。
しかし、前記コンバイン1では、前記運転部10の車輌幅方向内端部と前記搬送部65の車輌幅方向内端部との間に架設された前記ゴムシート90は、少なくとも前記開口Tに対応する部分の上方を覆うように延びているので、前記エンジンルーム731からの熱気の前記運転席10a側への回り込みを効果的に防止でき、それだけ作業者への熱による影響を軽減することができる。
【0054】
又、前記ゴムシート90は、前記運転部側部材10a及び前記搬送部側部材65aにスクリベットMによって固定されていてもよい。こうすることで、プロジェクションボルト等のボルト部材で用いていたゴム押さえ等の押さえ部材を用いることなく固定することができ、それだけ部品点数を削減できると共に、組み立て作業性を向上させることができる。
なお、前記ボルト部材を用いた場合、該ボルト部材を取り付ける側の取付側部材を塗装した後に該取付側部材にボルト部材を取り付けると、該ボルト部材と螺合する雌ねじ部のネジ山が塗装によって大きくなることがある。この状態で、該ボルト部材を該雌ねじ部に螺合すると該ボルト部材が破損してしまうことがある。しかし、ここでは前記ボルト部材ではなく、スクリベットMを使用するので、斯かる不都合を解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】図1は、本発明に係るエンジン吸気構造の第1実施形態が適用されたコンバインの左側面図である。
【図2】図2は、図1に示すコンバインの平面図である。
【図3】図3は、図1に示すコンバインの正面図である。
【図4】図4は、図1に示すコンバイン右側面図である。
【図5】図5は、コンバインにおけるエンジン及び吸気経路部分を示す正面図である。
【図6】図6は、コンバインにおけるエンジン及び吸気経路部分を示す左側面図である。
【図7】図7は、第1実施形態に係るエンジン吸気構造部分を示す左側面図である。
【図8】図8は、第2実施形態に係るエンジン吸気構造部分を示す左側面図である。
【図9】図9は、第3実施形態に係るエンジン吸気構造部分を示す左側面図である。
【図10】図10は、排気口及び吸気口が互いに逆方向のベクトル成分を含む方向に配置されているエンジン吸気構造の例を示す模式図であって、図10(a)は、その斜視図であり、図10(b)は、その平面図である。
【図11】図11は、排気口及び吸気口が互いに逆方向のベクトル成分を含む方向に配置されているエンジン吸気構造の他の例を示す模式図であって、図11(a)は、その斜視図であり、図11(b)は、その平面図である。
【図12】図12は、排気口及び吸気口が互いに逆方向のベクトル成分を含む方向に配置されているエンジン吸気構造のさらに他の例を示す模式図であって、図12(a)は、その斜視図であり、図12(b)は、その平面図である。
【図13】図13は、排気口及び吸気口が互いに直交するように配置されているエンジン吸気構造の例を示す模式図であって、図13(a)は、その斜視図であり、図13(b)は、その平面図である。
【図14】図14は、排気口及び吸気口が互いに同一方向のベクトル成分を含む方向に配置されているエンジン吸気構造の例を示す模式図であって、図14(a)は、その斜視図であり、図14(b)は、その平面図である。
【図15】図15は、第2実施形態に係るエンジン吸気構造の他の例を示す図であって、図15(a)は、該エンジン吸気構造を平面から視た図であり、図15(b)は、該エンジン吸気構造を左側面から視た図であり、図15(c)は、該エンジン吸気構造の斜視図である。
【図16】図16は、第2実施形態に係るエンジン吸気構造のさらに他の例を左側面から視た図である。
【図17】図17は、第2実施形態に係るエンジン吸気構造のさらに他の例の斜視図である。
【図18】図18は、図9に示すエンジン吸気構造を平面から視た模式図である。
【符号の説明】
【0056】
1 コンバイン
12 エアクリーナ
12a エアクリーナの排気口
21a 吸気ホース
211a 吸気ホースの一端部
212a 吸気ホースの他端部
21b 吸気ホース
211b 吸気ホースの一端部
212b 吸気ホースの他端部
21b’ 螺旋状の部分
21c 吸気ホース
211c 吸気ホースの一端部(上流側連結部)
212c 吸気ホースの他端部(下流側連結部)
21c’ U字状の湾曲部
73 エンジン
73a エンジンの吸気口
P 空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアクリーナからの空気を吸気するエンジンを備えたコンバインに適用されるエンジン吸気構造であって、
一端部が前記エアクリーナの排気口に流体接続され且つ他端部が前記エンジンの吸気口に流体接続された吸気ホースを備え、
前記吸気ホースは、少なくとも一部が前記エアクリーナの排気口及び前記エンジンの吸気口の間に画される空間の外側に位置するように構成されていることを特徴とするエンジン吸気構造。
【請求項2】
エアクリーナからの空気を吸気するエンジンを備えたコンバインに適用されるエンジン吸気構造であって、
一端部が前記エアクリーナの排気口に流体接続され且つ他端部が前記エンジンの吸気口に流体接続された吸気ホースを備え、
前記吸気ホースは、少なくとも一部が螺旋状とされていることを特徴とするエンジン吸気構造。
【請求項3】
エアクリーナからの空気を吸気するエンジンを備えたコンバインに適用されるエンジン吸気構造であって、
一端部が前記エアクリーナの排気口に流体接続され且つ他端部が前記エンジンの吸気口に流体接続された吸気ホースを備え、
前記吸気ホースは、前記エアクリーナの排気口に連結される上流側連結部と前記エンジンの吸気口に連結される下流側連結部との間の少なくとも一部に、U字状の湾曲部を有していることを特徴とするエンジン吸気構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2008−72927(P2008−72927A)
【公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−253843(P2006−253843)
【出願日】平成18年9月20日(2006.9.20)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】