説明

エンジン

【課題】従来のエンジンは、カウンター軸や左右一対のカウンタープーリを配置するスペースや、このカウンタープーリを介してクランクプーリおよび入力プーリにベルトを巻回するスペースを確保する必要があるため、車両の小型化を図る上で制約になるという問題があった。また、エンジンを車両への取付後に、ベルトを各プーリに巻回する必要があるため、作業効率が悪いという問題があった。
【解決手段】クランク軸24の下方で、クランク軸24に対して平行に配置し、ベルト機構33を介してクランク軸24から動力を受ける入力軸34と、入力軸34からの動力を出力し、クランク軸24に対して垂直に配置する第一出力軸35と、第一出力軸35に入力軸34の動力を伝達するベベルギヤ36と、を内装するギヤボックス41を備え、ギヤボックス41をエンジン5のギヤケース32側に配置し、ギヤケース32にブラケット151を介して取り付ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、略水平方向にクランク軸を有するエンジンの技術に関し、より詳細には、クランク軸に対して垂直方向に配置された軸にクランク軸の動力を伝達する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、クランク軸に対して垂直方向に配置された軸にクランク軸の動力を伝達するエンジンの技術は公知となっている(例えば、特許文献1参照)。
ここで、従来例に係るエンジンを備える車両について、図11により説明する。
図11に示すようように、車両900は、アッカーマン操舵式芝刈機であって、前後水平方向にクランク軸924を有するエンジン905と、このクランク軸924に対して垂直方向に配置された入力軸906を有するモア907と、を備えている。そして、エンジン905のクランク軸924には、クランクプーリ924aが固設されているとともに、モア907の入力軸906には、入力プーリ906aが固設されている。また、エンジン905の下方には、左右水平方向にカウンター軸980が配置されており、このカウンター軸980に左右一対のカウンタープーリ980aが固設されている。そして、クランクプーリ924a、左右一対のカウンタープーリ980a、入力プーリ906aにベルト981が巻回され、エンジン905のクランク軸924の動力が、クランクプーリ924a、ベルト981、カウンタープーリ980a、ベルト981、入力プーリ906a、入力軸906に伝達されてモア907の回転刃907aが駆動される。
【特許文献1】実開昭60−10427号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、前記従来のエンジン905は、カウンター軸980および左右一対のカウンタープーリ980aを配置するスペースや、このカウンタープーリ980aを介してクランクプーリ924aおよび入力プーリ906aにベルト981を巻回するスペースを確保する必要があるため、車両の小型化を図る上で制約になるという問題があった。また、エンジン905を車両への取付後に、ベルト981を各プーリ924a・980a・906aに巻回する必要があるため、作業効率が悪いという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の解決しようとする課題は以上のとおりであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0005】
すなわち、請求項1においては、略水平方向に配置するクランク軸と、エンジンの一側に配置し、ギヤ群を内装するギヤケースと、を備えるエンジンであって、前記クランク軸の下方で、該クランク軸に対して平行に配置し、第一動力伝達手段を介して前記クランク軸から動力を受ける入力軸と、該入力軸からの動力を出力し、前記クランク軸に対して垂直に配置する出力軸と、該出力軸に前記入力軸の動力を伝達する第二動力伝達手段と、を内装する動力伝達ケースを備え、該動力伝達ケースを前記エンジンのギヤケース側に配置し、該ギヤケースにブラケットを介して取り付けるものである。
【0006】
請求項2においては、前記出力軸からの動力を断接するクラッチを備え、該クラッチを前記ブラケットに取付可能であるものである。
【0007】
請求項3においては、略水平方向に配置するクランク軸と、エンジンの一側に配置し、ギヤ群を内装するギヤケースと、を備えるエンジンであって、前記クランク軸の下方で、該クランク軸に対して平行に配置し、第一動力伝達手段を介して前記クランク軸から動力を受ける入力軸と、該入力軸からの動力を出力し、前記クランク軸に対して垂直に配置する出力軸と、該出力軸に前記入力軸の動力を伝達する第二動力伝達手段と、を内装する動力伝達ケースを備え、該動力伝達ケースを前記エンジンのギヤケース側に配置し、該ギヤケースを下方に延出して、該延出部に前記動力伝達ケースを取り付けるものである。
【0008】
請求項4においては、前記動力伝達ケースと前記ギヤケースを一体的に成型するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0010】
請求項1においては、動力伝達ケースをコンパクトに構成して、エンジンがコンパクトになるため、車両の小型化が容易である。そして、動力伝達ケースを予めエンジンに取り付けて、モジュール化できるため、取付作業の効率性が向上する。また、ギヤケースを利用することにより、簡易な構成で動力伝達ケースをエンジンに取り付けることができる。
【0011】
請求項2においては、出力軸から駆動対象への動力の伝達・遮断が切替可能となるため、エンジンの利便性が向上する。そして、クラッチを予めエンジンに取り付けて、モジュール化できるため、取付作業の効率性が向上する。また、ブラケットを利用することにより、簡易な構成でクラッチをエンジンに取り付けることができる。
【0012】
請求項3においては、動力伝達ケースをコンパクトに構成して、エンジンがコンパクトになるため、車両の小型化が容易である。そして、動力伝達ケースを予めエンジンに取り付けて、モジュール化できるため、取付作業の効率性が向上する。また、ギヤケースを利用して簡易な構成で動力伝達ケースをエンジンに取り付けることができる。
【0013】
請求項4においては、動力伝達ケースとギヤケースとが一体となることにより、動力伝達ケースのギヤケースへの取付作業を省略できるため、取付作業の効率性が向上するとともに、部品点数が少なくなるため、コストダウンが容易である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
次に、発明を実施するための最良の形態を説明する。
図1は本発明の第一実施例に係るエンジンを備える車両を示した側面図、図2は本発明の第一実施例に係るエンジンを示した側面図、図3はギヤボックスを示した側面断面図、図4は本発明の第一実施例に係るブラケットを示した側面図、図5は同じく正面図、図6は本発明の第一実施例に係るブラケットに電磁クラッチを取り付けた状態を示した側面図、図7は本発明の第二実施例に係るブラケットを示した側面図、図8は同じく正面図、図9は本発明の第三実施例に係るブラケットを示した側面図、図10は同じく正面図、図11は従来例に係るエンジンを備える車両を示した側面図である。
【0015】
まず、本発明の第一実施例に係るエンジン5を備える車両100の全体構成について、図1により説明する。
図1に示すように、車両100は、アッカーマン操舵式芝刈機であって、車両フレーム2と、車両フレーム2の後部に支持される後車軸駆動装置3と、車両フレーム2の前部に支持される前車軸支持装置4と、後車軸駆動装置3・前車軸支持装置4間にて車両フレーム2によって支持されるエンジン5と、車両フレーム2の下方に昇降可能に吊設されるモア7とを備えている。
【0016】
そして、後車軸駆動装置3には油圧モータ8が収納されており、油圧モータ8は、油圧ポンプ(図示省略)によって駆動可能に流体接続されている。後車軸駆動装置3からは、前記油圧ポンプの入力軸83が上方に突出している。この入力軸83には、プーリ83aが固定されている。
【0017】
エンジン5は、ボンネット11内に収納され、ボンネット11直後のダッシュボードから後上方にハンドル12が延設されているとともに、エンジン5の直前の車両フレーム2には、ラジエータ14が搭載されている。そして、ボンネット11内では、油圧シリンダなどに作動油を補給するためのリザーバタンク17がエンジン5後方に配設されている。
【0018】
さらに、車両フレーム2の後部にはリアカバー15が搭載され、リアカバー15の上面には運転席16が搭載されている。そして、リアカバー15内には、後車軸駆動装置3が配設されている。
【0019】
モア7は、後車軸駆動装置3によって駆動される後輪18と、前車軸支持装置4によって支持される前輪19との間にて、車両フレーム2の下方に配設されている。そして、車両フレーム2の左右側板前端部には、左右のモアハンガー20がそれぞれ連結され、モアハンガー20は各リンクロッド20aを介してモア7の前端に連結されており、これによりモア7が昇降可能に吊設されるようにしている。モア7からは、入力軸6が上方に突出している。この入力軸6の下端部には、回転刃7aが固定されているとともに、入力軸6の上端部には、プーリ6aが固定されている。
【0020】
次に、本発明の第一実施例に係るエンジン5について、図1から図6により説明する。
図2に示すように、エンジン5は、下部にオイルパン21を備え、このオイルパン21の上部にシリンダブロック22を備え、このシリンダブロック22の上部にシリンダヘッド23を備えている。
【0021】
シリンダブロック22内には、クランク軸24が前後水平方向に架設され、このクランク軸24の前後端部は、シリンダブロック22の前後面からそれぞれ突出している。クランク軸24の後端部には、フライホイル25が固設されているとともに、クランク軸24の前端部には、前方から順に第一クランクプーリ24a、第二クランクプーリ24bが固設されている。
【0022】
そして、クランク軸24の上方には、冷却ファン13が配置され、この冷却ファン13のファン軸26には、プーリ26aが固設されているとともに、冷却水ポンプ27が取り付けられている。冷却ファン13の右方には、オルタネータ(図示省略)が配置され、このオルタネータ軸には、プーリ(図示省略)が固設されている。
【0023】
そして、クランク軸24の第二クランクプーリ24b、ファン軸26のプーリ26a、前記オルタネータ軸のプーリに、一本のベルト30が巻回されて補機駆動用ベルト機構53が構成されており、このベルト30を介してクランク軸24からの動力が伝達されて、冷却ファン13、冷却水ポンプ27、オルタネータが駆動される。
【0024】
また、シリンダヘッド23の前面側には、燃料噴射ポンプ31やカム軸(図示省略)を駆動するギヤ群(図示省略)を内装するギヤケース32が配置されている。
【0025】
また、オイルパン21の前部下側には、切欠き部21aが形成されている。切欠き部21aは、オイルパン21の前下角部が側面視略矩形状に切り欠かれて形成される空間であり、この切欠き部21a内に動力伝達ケースとなるギヤボックス41が配置されている。
【0026】
ギヤボックス41は、オイルパン21の切欠き部21a内の左右略中央部に配置されている。つまり、ギヤボックス41は、エンジン5の左右略中央部に配置されている。ギヤボックス41は、クランク軸24からの動力がベルト機構33を介して入力される入力軸34と、この入力軸34からの動力を出力する第一出力軸35と、この第一出力軸35に入力軸34の動力を伝達するベベルギヤ36(図3参照)と、を内装している。ギヤボックス41は、ギヤケース32下部の前面にブラケット162を介して取り付けられている。
【0027】
入力軸34は、クランク軸24の下方で、クランク軸24に対して平行(前後水平方向)に配置されている。入力軸34は、ギヤボックス41前部から突出するようにギヤボックス41に内装され、ギヤボックス41に軸受けを介して回動可能に支持されている(図3参照)。
【0028】
入力軸34の前端部には、入力プーリ34aが固設されている。入力プーリ34aの後側には、冷却ファン42(図3参照)が取り付けられており、後方に向かって冷却風を送風して、オイルパン21などを効率良く冷却できる。
【0029】
入力軸34の入力プーリ34aとクランク軸24の第一クランクプーリ24aに、ベルト39が巻回されてベルト機構33が構成されている。ベルト39の内周側には、ベルト39に張力を付与するテンション部材となるテンションプーリ(図示省略)が当接されている。テンションプーリは、バネなどの弾性部材によって右方に付勢されて、ベルト39に張力を付与している。
【0030】
第一出力軸35は、クランク軸24に対して垂直(上下方向)に配置されている。つまり、第一出力軸35は、入力軸34に対しても垂直に配置されている。第一出力軸35は、ギヤボックス41の左右略中央部に配置されているとともに、エンジン5の前後範囲内に配置されている。つまり、第一出力軸35は、平面視においてエンジン5の投影範囲内に配置されている。第一出力軸35は、ギヤボックス41下部から突出するようにギヤボックス41に内装され、ギヤボックス41に軸受けを介して回動可能に支持されている(図3参照)。
【0031】
図3に示すように、ベベルギヤ36は、入力軸34の動力を第一出力軸35に伝達するためのものである。ギヤボックス41内では、入力軸34の端部(後端部)に一方のベベルギヤ36が固設され、このベベルギヤ36に噛合する他方のベベルギヤ36が第一出力軸35の端部(上端部)に固設されている。
【0032】
第一出力軸35の下端部には、第一出力部材となる第一出力プーリ35aがキー嵌合により固定されているとともに、第一出力軸35の同軸上に第二出力軸37が着脱可能に連結されている。第一出力プーリ35aと、後車軸駆動装置3のプーリ83aとには、ベルト82が巻回されている。
【0033】
第二出力軸37には、第二出力部材となる第二出力プーリ37aが電磁クラッチ38を介して設けられている。第二出力プーリ37aと、モア7のプーリ6aとには、ベルト81が巻回されている。電磁クラッチ38は、第二出力軸37から第二出力プーリ37aへの動力の伝達・遮断を切り替えるクラッチとなるものである。なお、クラッチは、電磁クラッチに限定するものではなく、例えば、油圧クラッチなどでもよい。
【0034】
このような構成で、エンジン5のクランク軸24の動力は、図1から図2に示すように、第一クランクプーリ24a、ベルト39、入力プーリ34a、入力軸34、ベベルギヤ36、第一出力軸35に伝達される。そして、第一出力軸35の動力は、第一出力プーリ35a、ベルト82、プーリ83a、入力軸83に伝達されて前記油圧ポンプ(図示省略)が駆動される。また、第一出力軸35の動力は、第二出力軸37、第二出力プーリ37a、ベルト81、入力プーリ6a、入力軸6に伝達されてモア7の回転刃7aが駆動される。
【0035】
図4から図6に示すように、ブラケット162は、ギヤボックス41をギヤケース32に取り付けるための板状部材である。ブラケット162は、側面視においてギヤボックス41(入力軸34)を挟んで上下略対称なクランク部を有し、このクランク部の下部は、略L字状に折曲されて電磁クラッチ38を取り付けるための取付座74となっている。
【0036】
具体的には、ブラケット162の形状は、側面視においてギヤケース32の前面に沿って下方(垂直方向)に延出し、その後、ギヤケース32の下面に沿って略垂直に折曲して後方(水平方向)に延出し、その後、略垂直に折曲して下方(垂直方向)に延出し、その後、第一出力プーリ35aの角部に沿って折曲して前方(水平方向)に延出し、その後、下方(垂直方向)に折曲して延出し、その後、電磁クラッチ38に向かって略垂直に折曲して後方(水平方向)に延出している。そして、正面視においてブラケット162の幅(左右方向)は、ギヤケース32下部からギヤボックス41に近づくにつれて細くなる(ギヤボックス41の幅と同程度になる)ように形成されている。これにより、コンパクトな構成でギヤボックス41を取り付けることができる。
【0037】
ブラケット162は、複数(本実施例では3本)のボルト75によってシリンダブロック22の前面(図2参照)に、ギヤケース32の下部と共締めして取り付けられている。これにより、ブラケット162とギヤケース32とを一度にシリンダブロック22に取り付けることができるため、取付作業の効率性が向上する。そして、ギヤケース32を剛性の高いシリンダブロック22に取り付けるため、取り付けの確実性が向上する。
【0038】
そして、ブラケット162には、ギヤボックス41を取り付けるための取付孔162aが開口されている。取付孔162aは、前記クランク部の凹部(エンジン5内方に凹む部分)に開口されている。これにより、ギヤボックス41をできるだけエンジン5から外方に突出しないように配置(つまり、ギヤボックス41をできるだけエンジン5の内方に配置)してエンジン5をコンパクトに構成できるようにしている。取付孔162aからは、ギヤボックス41前部(入力軸34)が前方に突出している。ギヤボックス41は、取付孔162aに取り付けられた状態で、複数(本実施例では4本)のボルト61によってブラケット162の後面に、確実かつ着脱可能に取り付けられている。
【0039】
取付座74は、ブラケット162と一体的に成型されている。これにより、取付座74のブラケット162への取付作業が不要であるため、取付作業の効率性が向上する。また、一体的に成型することにより、部品点数が少なくなるため、コストダウンが容易である。なお、取付座74をブラケット162と別体に成型して、ブラケット151の下部に取り付けることも可能である。
【0040】
そして、取付座74(水平部分)の左右両側には、複数(本実施例では2つ)のボルト孔74aが穿設されている。一方、電磁クラッチ38には、平面視においてボルト孔74aと重なる位置にボルト孔38aが穿設されている。このような構成で、電磁クラッチ38の左右両側を取付座74の水平部分に載置して、取付座74のボルト孔74aと電磁クラッチ38のボルト孔38aとを平面視において一致させた状態で、ボルト孔38aの下方からボルト44を螺挿することにより、電磁クラッチ38を取付座74に取り付けることができる。
【0041】
以上のように、第一実施例に係るエンジン5は、略水平方向に配置するクランク軸24と、エンジン5の一側に配置し、ギヤ群を内装するギヤケース32と、を備えるエンジン5であって、前記クランク軸24の下方で、該クランク軸24に対して平行に配置し、ベルト機構33を介して前記クランク軸24から動力を受ける入力軸34と、該入力軸34からの動力を出力し、前記クランク軸24に対して垂直に配置する第一出力軸35と、該第一出力軸35に前記入力軸34の動力を伝達するベベルギヤ36と、を内装するギヤボックス41を備え、該ギヤボックス41を前記エンジン5のギヤケース32側に配置し、該ギヤケース32にブラケット151を介して取り付けるものである。このような構成により、ギヤボックス41をコンパクトに構成して、エンジン5がコンパクトになるため、車両の小型化が容易である。そして、ギヤボックス41を予めエンジン5に取り付けて、モジュール化できるため、取付作業の効率性が向上する。また、ギヤケース32を利用することにより、簡易な構成でギヤボックス41をエンジン5に取り付けることができる。
【0042】
そして、前記第一出力軸35からの動力を断接する電磁クラッチ38を備え、該電磁クラッチ38を前記ブラケット151に取付可能であるものである。このような構成により、第一出力軸35から駆動対象への動力の伝達・遮断が切替可能となるため、エンジン5の利便性が向上する。そして、電磁クラッチ38を予めエンジン5に取り付けて、モジュール化できるため、取付作業の効率性が向上する。また、ブラケット151を利用することにより、簡易な構成で電磁クラッチ38をエンジン5に取り付けることができる。さらに、電磁クラッチ38がエンジン5と同一振動系となることにより、防振対策を簡素化できるため、コストダウンが容易である。
【0043】
次に、本発明の第二実施例に係るエンジン5について、図7、図8により説明する。なお、図7、図8において、第一実施例と同一符号の部材は第一実施例と同一構成であるため詳細な説明は省略する。
【0044】
第二実施例に係るエンジン5は、第一実施例に係るエンジン5に対して以下の点で相違する。すなわち、図7、8に示すように、第二実施例に係るエンジン5では、ギヤケース232下部が下方(垂直方向)に延出されて延出部232aが形成され、この延出部232aにギヤボックス41が取り付けられている。
【0045】
延出部232aは、ギヤケース232下部に一体的に成型されている。これにより、延出部232aのギヤケース232への取付作業が不要であるため、取付作業の効率性が向上する。また、一体的に成型することにより、部品点数が少なくなるため、コストダウンが容易である。なお、延出部232aをギヤケース232と別体に成型して、ギヤケース232の下部に取り付けることも可能である。そして、正面視において延出部232aの幅(左右方向)は、ギヤケース232下部からギヤボックス41に近づくにつれて細くなる(ギヤボックス41の幅と同程度になる)ように形成されている。これにより、コンパクトな構成でギヤボックス41を取り付けることができる。
【0046】
そして、延出部232aには、ギヤボックス41を取り付けるための取付孔232bが開口されている。取付孔232bからは、ギヤボックス41の入力軸34が前方に突出している。ギヤボックス41は、取付孔232bに取り付けられた状態で、複数(本実施例では4本)のボルト61によって延出部232aの後面に、確実かつ着脱可能に取り付けられている。
【0047】
以上のように、第二実施例に係るエンジン5は、略水平方向に配置するクランク軸24と、エンジン5の一側に配置し、ギヤ群を内装するギヤケース232と、を備えるエンジン5であって、前記クランク軸24の下方で、該クランク軸24に対して平行に配置し、ベルト機構33を介して前記クランク軸24から動力を受ける入力軸34と、該入力軸34からの動力を出力し、前記クランク軸24に対して垂直に配置する第一出力軸35と、該第一出力軸35に前記入力軸34の動力を伝達するベベルギヤ36と、を内装するギヤボックス41を備え、該ギヤボックス41を前記エンジン5のギヤケース232側に配置し、該ギヤケース232を下方に延出して、該延出部232aに前記ギヤボックス41を取り付けるものである。このような構成により、ギヤボックス41をコンパクトに構成して、エンジン5がコンパクトになるため、車両の小型化が容易である。そして、ギヤボックス41を予めエンジン5に取り付けて、モジュール化できるため、取付作業の効率性が向上する。また、ギヤケース232を利用して簡易な構成でギヤボックス41をエンジン5に取り付けることができる。さらに、ギヤボックス41がエンジン5と同一振動系となることにより、防振対策を簡素化できるため、コストダウンが容易である。
【0048】
次に、本発明の第三実施例に係るエンジン5について、図9、図10により説明する。なお、図9、図10において、第一実施例と同一符号の部材は第一実施例と同一構成であるため詳細な説明は省略する。
【0049】
第三実施例に係るエンジン5は、第一実施例に係るエンジン5に対して以下の点で相違する。すなわち、図9、図10に示すように、第三実施例に係るエンジン5では、ギヤケース332下部が下方(垂直方向)に延出されて延出部332aが形成され、この延出部332aにギヤボックス41が一体的に成型されている。そして、正面視において延出部332aの幅(左右方向)は、ギヤケース332下部からギヤボックス41に近づくにつれて細くなる(ギヤボックス41の幅と同程度になる)ように形成されている。これにより、コンパクトな構成でギヤボックス41を一体的に成型している。延出部332aの前面からは、ギヤボックス41の入力軸34が前方に突出している。
【0050】
以上のように、第三実施例に係るエンジン5は、前記ギヤボックス41と前記ギヤケース332を一体的に成型するものである。このような構成により、ギヤボックス41とギヤケース332とが一体となることにより、ギヤボックス41のギヤケース332への取付作業を省略できるため、取付作業の効率性が向上するとともに、部品点数が少なくなるため、コストダウンが容易である。そして、ギヤボックス41がエンジン5と同一振動系となることにより、防振対策を簡素化できるため、コストダウンが容易である。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の第一実施例に係るエンジンを備える車両を示した側面図。
【図2】本発明の第一実施例に係るエンジンを示した側面図。
【図3】ギヤボックスを示した側面断面図。
【図4】本発明の第一実施例に係るブラケットを示した側面図。
【図5】同じく正面図。
【図6】本発明の第一実施例に係るブラケットに電磁クラッチを取り付けた状態を示した側面図。
【図7】本発明の第二実施例に係るブラケットを示した側面図。
【図8】同じく正面図。
【図9】本発明の第三実施例に係るブラケットを示した側面図。
【図10】同じく正面図。
【図11】従来例に係るエンジンを備える車両を示した側面図。
【符号の説明】
【0052】
5 エンジン
24 クランク軸
32 ギヤケース
33 ベルト機構(第一動力伝達手段)
34 入力軸
35 第一出力軸(出力軸)
36 ベベルギヤ(第二動力伝達手段)
38 電磁クラッチ(クラッチ)
41 ギヤボックス(動力伝達ケース)
151 ブラケット
232 ギヤケース
232a 延出部
332 ギヤケース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
略水平方向に配置するクランク軸と、エンジンの一側に配置し、ギヤ群を内装するギヤケースと、を備えるエンジンであって、前記クランク軸の下方で、該クランク軸に対して平行に配置し、第一動力伝達手段を介して前記クランク軸から動力を受ける入力軸と、該入力軸からの動力を出力し、前記クランク軸に対して垂直に配置する出力軸と、該出力軸に前記入力軸の動力を伝達する第二動力伝達手段と、を内装する動力伝達ケースを備え、該動力伝達ケースを前記エンジンのギヤケース側に配置し、該ギヤケースにブラケットを介して取り付けることを特徴とするエンジン。
【請求項2】
前記出力軸からの動力を断接するクラッチを備え、該クラッチを前記ブラケットに取付可能であることを特徴とする請求項1に記載のエンジン。
【請求項3】
略水平方向に配置するクランク軸と、エンジンの一側に配置し、ギヤ群を内装するギヤケースと、を備えるエンジンであって、前記クランク軸の下方で、該クランク軸に対して平行に配置し、第一動力伝達手段を介して前記クランク軸から動力を受ける入力軸と、該入力軸からの動力を出力し、前記クランク軸に対して垂直に配置する出力軸と、該出力軸に前記入力軸の動力を伝達する第二動力伝達手段と、を内装する動力伝達ケースを備え、該動力伝達ケースを前記エンジンのギヤケース側に配置し、該ギヤケースを下方に延出して、該延出部に前記動力伝達ケースを取り付けることを特徴とするエンジン。
【請求項4】
前記動力伝達ケースと前記ギヤケースを一体的に成型することを特徴とする請求項3に記載のエンジン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−19163(P2010−19163A)
【公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−180409(P2008−180409)
【出願日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】