説明

オゾン微小気泡含有水製造装置、オゾン微小気泡含有水製造方法、物品洗浄装置、物品洗浄方法、水産物の養殖方法及び水耕栽培方法

【課題】 気泡の微細化効果が劇的に向上し、気体を加圧溶解して高濃度の気泡を発生させる場合においても、気泡の微細化を十分に達成できる微細気泡発生機構を提供する。
【解決手段】 増速流ガイド部150から拡大部151へ放出される気泡を含んだ液体の流れは、その一部をなす周囲流FSが流れ反射部154と拡大部151とにまたがる旋回流となり、含有した気泡を激しく撹拌する。特に、粗大な気泡は、浮力と遠心力の影響を受けやすいため旋回流をなす周囲流FSに組み込まれやすい一方、高速の中心流FMには、浮力と遠心力の影響が小さい微細化した気泡を取り込まれやすい傾向がある。その結果、粗大な気泡ほど旋回流の中に長くとどまり、微細化が十分進めば中心流FMに取り込まれる傾向となるので、気泡の微小化を十分かつ均一に進行させることができる

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オゾン微小気泡含有水製造装置、オゾン微小気泡含有水製造方法、物品洗浄装置、物品洗浄方法、水産物の養殖方法及び水耕栽培方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
水中に形成される気泡は、そのサイズによりミリバブルあるいはマイクロバブル(さらには、マイクロ・ナノバブルおよびナノバブル等)に分類されている。ミリバブルはある程度の巨大な気泡であり、水中を急速に上昇して最終的には水面で破裂して消滅する。これに対して、直径が50μm以下の気泡は、微小であるが故に水中での滞在時間が長く、気体の溶解能力にも優れているため水中においてさらに縮小していき、ついには水中で消滅(完全溶解)する特殊な性質を有し、これをマイクロバブルと称することが一般化しつつある(非特許文献1)。本明細書において「微小気泡」とは、上記マイクロバブルのほか、さらに径の小さいマイクロ・ナノバブル(直径10nm以上1μm未満)およびナノバブル(直径10nm未満)を総称する概念を指すものとする。近年、こうした微小気泡の形成媒体としてオゾンを利用し、オゾンの微小気泡を多数含有させた水(以下、「オゾン微小気泡含有水」と称する)の製造方法が種々提案されている(特許文献1〜3)。
【0003】
微小気泡は浮上速度が極度に小さいため液体中の滞在時間が非常に長く、特にナノバブル域では実質的に浮上停止状態となる(たとえば直径100nmの水中気泡の浮上速度は0.008μm/秒であり、1mを浮上するのに約4年を要する)。この性質を利用すれば、大量の気泡を液中に長期間保持させることができるようになり、特に、溶存状態では比較的短時間で分解・揮散してしまうオゾンも、微小な気泡状態であれば長期間安定に液中保持できるようになる。オゾンは空気の約17倍、酸素の約10倍の溶解度を有するので、生成時の気泡サイズが200nm程度であっても水中での気体溶解に伴う気泡径縮小がさらに進行し、最終的な平均気泡サイズは50nm以下に縮小される。気泡表面にはオゾンないし水から分解生成したイオンが集まり、縮小に伴ってその電荷が気泡表面に濃縮される。
【0004】
そして、オゾン気泡は上記のような機構により縮小すると、気泡表面への電荷濃縮により気体の溶解が妨げられ、結果としてさらに微小なナノバブルの状態で気泡の縮小が停止することがある。これにより、多量のオゾンをナノバブル、すなわち溶存オゾンではなく気体の形で長期間液中に保持させることができる。その結果、オゾンが溶存オゾンだけでなくナノバブルの形で存在させることで、液中のオゾン保持時間を大幅に延長することができる。
【0005】
オゾンはきわめて強い殺菌力を有し、これを水に溶解させたオゾン水の形で、除菌、消毒あるいは消臭を目的とした種々の用途に使用されている。しかし、溶存オゾンは不安定であり、特に紫外線(UV)の照射を受けると速やかに分解し、溶解度の低い酸素分子の形で蒸散するので、ある程度高濃度のオゾン水を製造しても、必要な溶存オゾン濃度を高々数時間程度しか保つことができない。従って、オゾン水を使用したい場所にオゾン水製造装置を設置し、その場でオゾン水を製造しながら速やかに使用する必要があるため汎用性に欠け、コストアップが避けがたい。
【0006】
これに対し、オゾン微小気泡含有水は、溶存しない気泡の形でオゾンが水中に浮遊保持されており、しかも水中での気泡浮上速度が非常に小さいので、水中に長時間に渡ってガス状態を保ったままオゾンを滞留させ続けることができる。オゾン気泡の周囲の水にはオゾンが溶け込んでおり、その溶存オゾンが分解・蒸散する点は通常のオゾン水と変わりないが、滞留するオゾン微小気泡から新たに溶け込むオゾンにより、水面からの蒸散により減少したオゾンが補われる。オゾン微小気泡含有水に保持されたオゾンは気泡周囲に配位した水分子によりハイドレートを形成するといわれており、化学的に安定化することにより水中に徐々に溶け出すので、1か月以上の長期間にわたって高濃度のオゾン溶存状態を保つことができる。その結果、一括製造したオゾン微小気泡含有水をタンクに貯留して、そこから各所に分配供給したり、容器等に梱包して遠方へ配送したりすることが可能となり、オゾン水製造装置が設置されていない場所でもオゾン水の効用を安定して享受することができる。また、オゾンの大気中への揮散が少ないので大量に散布しても気中オゾン濃度が上昇せず、従来のオゾン水の1/30以下に低減される利点がある。
【0007】
このようなオゾン微小気泡含有水の製造方法として、特許文献1には、泡の媒体となる水に2%程度の電解質(たとえば食塩)を添加した電解質水溶液を作り、その水溶液に機械的な気液混合や減圧析出などの周知の方法により平均径50μm程度のマイクロバブルを一旦形成し、次いで、そのマイクロバブルに電気的な刺激を与えてマイクロバブルを圧壊することによりオゾンナノバブルを発生させる方法が開示されている。
【0008】
また、特許文献2、3には、ベンチュリ管にオゾンガスの吸引導入部を形成したエジェクタと貯水槽との間で被処理水を循環させ、エジェクタから導入された粗大なオゾン気泡を撹拌しつつ溶解縮小させてナノバブル化する方式が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2005−246293号公報
【特許文献2】特開2004−330050号公報
【特許文献3】特開2007−275893号公報
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】インターネットホームページ(http://unit.aist.go.jp/emtech-ri/26env-fluid/pdf/takahashi.pdfマイクロバブルおよびナノバブルに関する研究')
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかし、特許文献1の方式では、製造されるオゾン微小気泡含有水に多量の電解質が含まれることになる。例えば、消臭や殺菌の目的で散布すれば散布先に塩分が残留し、錆等の塩害を引き起こす問題がある。また、食品に添加すれば味の変化を引き起こすことが避けがたく、蒲鉾など、味付けなどに一定量の塩分添加が見込まれる食品に用途が限定される問題がある。さらに、魚介養殖への適用も、ウナギなどの淡水性の魚介類養殖には適用不可能であるし、塩分が忌避される農業用途には基本的に採用することができないなど、用途が非常に限定される問題があった。
【0012】
他方、特許文献2、3の気泡微小化ノズルはベンチュリ管やオリフィスなどの周囲の閉じた絞り孔を採用しており、絞り孔位置では他に流路部分が存在しない構造になっている。従って、絞り孔通過時の流体抵抗が上昇して期待されるほど流速が増加せず、また絞り孔内では孔内壁面からのラジアル方向の背圧も受けやすいので、キャビテーション(減圧)効果が不十分となり、気泡析出量が不足しやすい難点がある。また、絞り機構通過後の水流中に析出した気泡をさらに微粉砕するための流れ要素として、絞り孔を通過した水流自体の開放・乱流化に伴なう渦発生のみしか期待できず、気泡の微小化レベルも十分でない問題がある。結局のところ、該文献の技術を用いたオゾン気泡微細化においては、一旦粗大な気泡を形成しておいて水流循環中の溶解により縮小する機構が主体的とならざるを得ず、オゾン気泡が十分に縮小するまでに長時間の水流循環ないし撹拌が必要となり、オゾン微小気泡含有水の製造効率が非常に悪い欠点がある。また、最終的に得られる微細気泡の数密度が、最初に導入・形成される粗大気泡の密度にある程度支配されざるを得ないので、オゾン微細気泡を高密度に形成するのが難しい問題がある。
【0013】
本発明の課題は、複雑な気液混合機構を用いずともオゾン微小気泡を極めて効率よく高密度に発生でき、ひいてはオゾン微小気泡の発生量を、従来達成し得なかったレベルにまで高めることができるオゾン微小気泡含有水製造装置と、それを用いたオゾン微小気泡含有水製造方法、さらには、その利用発明としての物品洗浄装置、物品洗浄方法、水産物の養殖方法及び水耕栽培方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0014】
上記の課題を解決するために、本発明のオゾン微小気泡含有水製造装置は、
水流入口と水流出口とを有し、水流入口から水流出口に向かう流路が内部に形成された中空の流路形成部材と、流路内に配置された衝突部材と、流路内にて衝突部材の先端部と対向する絞りギャップ形成部とを備えた気泡微小化ノズルと、該気泡微小化ノズルにオゾン含有水を供給するオゾン含有水供給手段とを備え、
気泡微小化ノズルは、衝突部材の外面と流路の内面との間に水迂回流路部が形成されるとともに、衝突部材と絞りギャップ形成部との間には、水迂回流路部よりも低流量かつ高流速となるようにオゾン含有水の水流を絞りつつ通過させる絞りギャップが形成され、絞りギャップにて生ずる負圧によりオゾン気泡が析出したギャップ通過水流を、衝突部材に衝突し水迂回流路部を経て該衝突部材の下流側に回り込む回り込み乱流に巻き込むことにより、析出オゾン気泡を微小オゾン気泡に粉砕してオゾン微小気泡含有水となすことを特徴とする。
【0015】
また、本発明のオゾン微小気泡含有水製造方法は、上記本発明のオゾン微小気泡含有水製造装置にオゾン含有水を供給することによりオゾン微小気泡含有水を得ることを特徴とする。
【0016】
本明細書において、「オゾン含有水」とは、オゾンが溶解した状態、さらにはそれに加えて、最終的に得るべきオゾン微小気泡よりも粗大な平均径の気泡状態にてオゾンを含有している水をいう。なお、気泡状態にてオゾンを含有する場合、気泡内部の気体の一部がオゾン以外の気体(たとえば、酸素、水素、水蒸気、窒素、アルゴンなど:ただし、これらに限定されるものではない)で置換されていてもよい。
【0017】
上記本発明の構成によると、流路内に衝突部材を設け、また、該流路内にて衝突部材の突出方向先端部と対向する絞りギャップ形成部を設ける。そして、衝突部材の外面と流路内面との間に水迂回流路部を形成するとともに、衝突部材と絞りギャップ形成部との間には、水迂回流路部よりも低流量かつ高流速となるようにオゾン含有水を絞りつつ通過させる絞りギャップを形成する。このような構造の気泡微小化ノズルにオゾン含有水の水流を供給すると、水流は絞りギャップにて絞られ流速が増加する。ギャップを通過する高速水流はギャップ出口から解放され、ベルヌーイの原理に従いギャップ及びその下流側に負圧域を形成するので、そのキャビテーション(減圧)効果により水流中の溶存オゾンが析出してオゾン気泡が発生する。
【0018】
例えば特許文献1、2のようなベンチュリ管などの周知の絞り機構を用いる方式では、微細な渦流を生ずるための乱流の発生効率が低く、気泡の相互衝突確率は増大しても微小気泡への粉砕自体は進みにくい傾向にある。水中の気泡は固体粒子と異なり、相互衝突しても気泡の合体が生じやすい。特許文献1、2に開示された機構では渦流の発生効率が低いため、水流中の気泡に対しては比較的マクロな撹拌効果が主体的となる。また、通過水流の流速が不十分なため、絞り孔下流側の減圧レベルも小さく渦流の発生程度も小さい。従って、キャビテーションによる気泡析出量も少ないし、渦流に巻き込むことによる気泡粉砕も進みにくいので、オゾン微小気泡を十分に形成することができなかった。結局のところ、十分に縮小したオゾン微小気泡を得るには、絞り機構通過時に生じている比較的粒径の大きいオゾン気泡を長時間循環させてオゾン自体の溶解により気泡を縮小させる方法に頼らざるを得ない。その結果、微小気泡を高濃度に含んだ水を得るには気体オゾンを導入しながらの長時間の循環が必要となり、オゾン微小気泡含有水の製造能率が悪い欠点があった。
【0019】
しかし、本発明では、従来のベンチュリ管やオリフィスなどの絞り孔以外の流路部分が存在しない構造ではなく、絞りギャップを形成する衝突部材と流路との間に、衝突部材にぶつけた水流を迂回させる水迂回流路部を形成したので、ギャップ通過時に流体抵抗が過度に増加せず、結果として該絞りギャップは従来よりもはるかに高速の水流が通過する。これにより、絞りギャップ及びその下流でのキャビテーション(減圧)効果が大幅に高められ、溶存オゾン濃度が同じ水流であってもより多量のオゾン気泡を析出させることができる。
【0020】
また、絞りギャップの通過流速が高速化することで、その下流側に立体広角的に拡がりながら形成される三次元的な負圧域の全体にわたって微小な渦流が多数形成される。また、これとは別に、衝突部材にぶつかって水迂回流路部を通過した水流が衝突部材の下流側に回りこみ、より大流量で激しい乱流が上記の負圧域に重畳して流れ込む。析出オゾン気泡を含む絞りギャップの通過流束は、これら2系統の乱流により三次元的に激しくランダムに撹拌されるとともに、析出した気泡を取り囲む多数の微小渦流がそれぞれ気泡を自身に引き込もうとする結果、気泡の微粉砕が大幅に促進され、粒径の小さいオゾン微小気泡を高濃度に含んだ水を極めて効率よく製造することができる。
【0021】
以下、本発明に付加することができる種々の要件について説明する。まず、オゾン含有水供給手段は、オゾンを水と混合しつつ加圧して水にオゾンを強制溶解させることによりオゾン濃度を上昇させた加圧濃縮オゾン水を発生させる加圧溶解ユニットを備えるものとして構成できる。このようにすることで、気泡微小化ノズルに供給されるオゾン含有水中の溶存オゾン濃度が加圧溶解により高められ、キャビテーション効果により析出するオゾン気泡の数形成密度を大幅に高めることができる。
【0022】
この場合、加圧溶解ユニットから加圧濃縮オゾン水を減圧しつつ流出させる水流出管を設け、その水流出管上に気泡微小化ノズルを減圧流出側気泡微小化ノズルとして設けることが効果的である。これにより、水流出管内の加圧溶解ユニットからの水流は、高濃度の溶存オゾンが減圧により多量に析出しつつ減圧流出側気泡微小化ノズルに導かれる。そして、このときのキャビテーション効果によりオゾン気泡の析出がさらに促進されるとともに、本発明特有のノズル構造により、析出した気泡は過度に成長する前にその絞りギャップ下流にて乱流に巻き込まれて粉砕されるので、ノズルを通過するときのオゾン微小気泡の形成効率を飛躍的に高めることができる。
【0023】
より具体的には、加圧溶解ユニットに加圧溶解タンクを設け、水流出管の一端を該加圧溶解タンクに接続する一方、該水流出管の他端を加圧溶解タンクよりも内圧が低く設定された主タンクに接続し、減圧流出側気泡微小化ノズルを通過したオゾン微小気泡含有水を主タンク内に噴出させるように構成できる。これにより、ノズル通過により生成されたオゾン微小気泡含有水を主タンクに容易に回収できるとともに、主タンクの内圧調整により、加圧溶解タンクと主タンクとの差圧、ひいては気泡微小化ノズルを設ける水流出管の内部圧力の調整および適正化も容易となり、特に急激な減圧により析出気泡の過剰成長も抑制しやすくなる。
【0024】
次に、本発明のオゾン微小気泡含有水製造装置は、酸素含有物質を原料としてオゾンを発生させるオゾン発生装置と、該オゾン発生装置が発生するオゾンを加圧溶解ユニットへの供給水に導入するオゾン導入部と、オゾン導入部にてオゾン導入された気液混合水中のオゾン気泡を、加圧溶解ユニットに流入させるのに先立って予備粉砕するオゾン気泡予備粉砕部と、を有するものとして構成できる。
【0025】
酸素含有物質は、酸素ガス、オゾンガス、あるいは、酸素ガスないしオゾンガスと、水素、炭酸ガス、アルゴン、窒素などの希釈ガスとの混合ガス(空気を概念として含む)等、気体状の酸素含有物質を採用できるほか、水を酸素含有物質として採用し、電気分解により酸素ガスと水素ガスを発生させるようにしてもよい。酸素ガスは、無声放電を利用した周知のオゾナイザや、低圧水銀ランプあるいはエキシマランプ(特にキセノンエキシマランプ)を用いた紫外線照射によりオゾン化することができる。
【0026】
このようなオゾン導入部にてオゾン導入された気液混合水中のオゾン気泡をオゾン気泡予備粉砕部にて予備粉砕し、加圧溶解ユニットに流入させることにより、加圧溶解ユニットにおけるオゾン溶解効率を高めることができる。例えば、加圧溶解ユニットに加圧溶解タンクを設ける場合、オゾン導入部を加圧溶解タンクに接続された水供給管に設け、オゾン気泡予備粉砕部に兼用される気泡微小化ノズルを加圧流入側気泡微小化ノズルとして該水供給管上に設けることができる。本発明の気泡微小化ノズルを、導入されたオゾン気泡の予備粉砕に使用することにより、加圧溶解前にオゾン気泡より微細に粉砕でき、加圧溶解ユニットにおけるオゾン溶解効率をさらに高めることができる。
【0027】
この場合、加圧流入側気泡微小化ノズルにおいて流路の内面から衝突部材を突出させることができ、該衝突部材を突出方向に貫通する形にて、一端側が該衝突部材の先端側にて気体噴出口を開口し、他端側にオゾン含有気体を取り入れるための気体取入口を開口するノズル通路を形成することができる。これにより加圧流入側気泡微小化ノズルを、絞りギャップ内に発生する水流負圧にてオゾン含有気体を気体取入口からノズル通路を介して絞りギャップ内に吸引・供給することにより、オゾン導入部に兼用することができる。
【0028】
該構造によれば、加圧流入側気泡微小化ノズルにおいてノズル通路から吸引されたオゾンガスが気泡となって水流に混入し、該ノズルにて直ちに粉砕されることによりオゾン気泡の粉砕効率がさらに向上する。具体的には、水迂回流路部による回り込み乱流の気泡微粉効果が大きいので、吸引により取り込まれたオゾン気泡が多少粗大であっても微小気泡への粉砕を十分に進行させることができる。この場合、衝突部材及び絞りギャップ形成部との絞りギャップを形成する各対向面の少なくともいずれかに前述の減圧空洞を形成することができ、衝突部材に形成されるノズル通路を該減圧空洞内に開口させることができる。減圧空洞内は特に大きな負圧が発生するので、ここにノズル通路を開口させることでオゾン吸引量を増やすことができる。また、加圧流入側気泡微小化ノズルがオゾン導入部に兼用されることで部品点数の削減にも寄与する。
【0029】
なお、加圧溶解タンク内に導入されたオゾン気泡の一部は、タンク内の水に溶解せずに浮上分離することがある。この場合、その未溶解のオゾンをオゾン導入部に戻すオゾン戻り管路を設けておくと、導入したオゾンの利用効率をより高めることができる。
【0030】
また、オゾン含有水供給手段は、気泡微小化ノズルを通過することにより生成したオゾン微小気泡含有水を、オゾン含有水として気泡微小化ノズルの上流側に戻すことにより循環させるオゾン微小気泡含有水循環管路を備えるものとして構成できる。オゾン微小気泡を導入したオゾン微小気泡含有水を再び気泡微小化ノズルに戻して循環させることにより、オゾン気泡の更なる微小化と高濃度化を測ることができる。オゾン含有水供給手段が、酸素含有物質を原料としてオゾンを発生させるオゾン発生装置と、オゾンを水と混合しつつ加圧して水にオゾンを強制溶解させることによりオゾン濃度を上昇させた加圧濃縮オゾン水を発生させる加圧溶解ユニットと、オゾン発生装置が発生するオゾンを加圧溶解ユニットへの供給水に導入するオゾン導入部とを有する場合、オゾン導入部の上流側にオゾン微小気泡含有水を戻すものとしてオゾン微小気泡含有水循環管路を設けることで、新たなオゾン導入を行ないつつオゾン微小気泡含有水を循環させることができ、特に高濃度のオゾン微小気泡を含有させた水を製造する上で好都合となる。
【0031】
また、オゾン導入部の上流側において、気泡微小化ノズルを未通過の原料水を導入する原料水導入管路をオゾン微小気泡含有水循環管路と並列に設け、さらに、オゾン導入部への導入水を原料水導入管路からの原料水と、オゾン微小気泡含有水循環管路からの循環水との間で切り替える導入水切替部を設けることができる。気泡微小化ノズルを未通過の原料水を循環水との間で切り替え可能に導入することで、所定濃度のオゾン微小気泡含有水の連続製造が可能となり、また、過度に高濃度化したオゾン微小気泡含有水を原料水により希釈することにより、得るべきオゾン微小気泡含有水の溶存オゾン濃度あるいはオゾン微小気泡の数密度を容易に調整することができる。
【0032】
次に、気泡微小化ノズルにおいて水迂回流路部は、流路内にて水流通方向から見て衝突部材の突出方向に関しその片側だけに形成することもできるが、水流通方向から見て衝突部材の突出方向に関しその両側に水迂回流路部を形成しておけば、気泡析出する下流側の負圧域に向け、衝突部材の両側から回り込み乱流が合流するので気泡粉砕効果が一層高められ、オゾン微小気泡をより効率的に発生することができ、また、より細径のオゾン微小気泡を得る上でも有利となる。
【0033】
水流入口と絞りギャップとの間には、水流入口からの水流を増速して絞りギャップに導く準備絞り機構を設けることができる。このような準備絞り機構を設けることで、絞りギャップ及びその周囲における流速をさらに高めることができ、オゾン気泡の更なる微小化及び高濃度化を図ることができる。
【0034】
次に、衝突部材及び絞りギャップ形成部との絞りギャップを形成する各対向面の少なくともいずれかには減圧空洞を形成することができる。すなわち、衝突部材ないし絞りギャップ形成部の絞りギャップに臨む面に形成された減圧空洞は流速の小さい淀み空間として機能するので絞りギャップ内部との流速差が拡大し、ベルヌーイの原理によるキャビテーション(減圧)効果を著しく高めることができる。その結果、水流中の溶存気体に由来した気泡析出量が増加し、水流中の微小気泡の濃度を高めることができる。負圧域を十分に確保する観点から、減圧空洞の開口径は1mm以上であることが望ましく、深さは開口径よりも大きいことが望ましい。
【0035】
また、減圧空洞を水流中で共振させれば、該共振により超音波帯共鳴波が発生し、気泡析出のためのキャビテーションと、共鳴振動による気泡粉砕をさらに促進できる。円筒形の減圧空洞を形成する場合、共鳴波の帯域を超音波帯(100kHz以上)とする観点においては、その開口径を10mm未満(望ましくは4mm未満)とするのがよく、深さは開口径とほぼ等しいか、それよりも大きく設定する(望ましくは開口径のほぼ整数倍とする)のがよい。
【0036】
次に、衝突部材及び絞りギャップ形成部の絞りギャップを形成する各対向面の少なくともいずれかを、水流入側にて該絞りギャップの間隔を上流側から下流側に向けて漸次縮小させる絞り傾斜面として形成することができる。これにより、絞りギャップの対向間隔が絞りギャップ入口からギャップ奥に向かうほど連続的に縮小するので、ギャップ奥に向けて水流をスムーズに絞ることができ、ギャップ通過時の流量損失を低減して流速を高めることができる。また、衝突部材及び絞りギャップ形成部の絞りギャップを形成する各対向面の少なくともいずれかは、水流出側にて該絞りギャップの間隔を上流側から下流側に向けて漸次拡大させる拡大傾斜面として形成することもできる。
【0037】
衝突部材(あるいは後述の対向衝突部材)の流路内突出部分の外周面には、水流剥離凹凸部を形成することができる。上記のような水流剥離凹凸部を衝突部材の外周面に形成しておくことで、流路の中心軸線方向に流れ込む水流が水流剥離凹凸部を乗り越える際に水流の剥離が生じやすくなり、水流の乱流化をさらに促進することができる。水流剥離凹凸部は、衝突部材の流路内突出部分の外周面に形成されたねじ山とすることができる。ねじ山は衝突部材の軸線を法線とする仮想面に対して一定の傾斜角を有しており、この仮想面と平行な向きにて衝突部材に向け水流が流れ込むと、該水流方向に対して傾斜した複数のねじ山を横切って衝突部材の下流側に回り込む。このとき、水流が一方の谷側から反対の谷側へねじ山の稜線部を乗り越える際に、上記乱流化に貢献する水流剥離が特に生じやすい。
【0038】
オゾン微小気泡を十分なレベルで発生させるには、絞りギャップは、水流入口と水流出口との圧力差が例えば0.2MPaとなるようにオゾン含有水を供給したとき通過する水流の最大流速が8m/秒以上(上限値には制限はないが、圧力差0.2MPaにて可能な上限値として、例えば50m/秒を例示できる)となるように調整されていることが望ましい。また、この場合、絞りギャップに発生する最大負圧は0.02MPa以上(理論上の上限値は0.1MPa)となっていることが望ましい。特に、前述の減圧空洞が形成されている場合は、前記圧力差が0.2MPaとなるようにオゾン含有水を供給したとき、該減圧空洞の全域を0.02MPa以上の負圧状態に容易に維持することができる。また、減圧空洞内の全域が該レベルの負圧状態となることで、回り込み乱流により衝突部材の下流側に隣接形成される負圧域も、0.02MPa以上の負圧状態に維持することが可能となる。いずれも、オゾン気泡析出のためのキャビテーション効果の顕著化に寄与する。
【0039】
絞りギャップや減圧空洞あるいはその下流側に形成される負圧域の負圧レベルは、より望ましくは0.05MPa以上となっているのがよい。このレベルの負圧が発生していることで、溶存オゾンの析出だけでなく、局所的な水の沸騰による水蒸気発生も気泡形成に寄与し、発生可能なオゾン微小気泡の数形成密度を高めることができる。
【0040】
上記のような負圧発生条件で前記圧力差が例えば0.2MPaとなるようにオゾン含有水を供給すれば、本発明特有の気泡微小化ノズルの場合、水流出口から噴射される水流に含まれるオゾン気泡の微細化に大きく貢献する。例えば円状軸断面を有する衝突部材を採用する場合、前記圧力差が0.2MPaとなるように10℃の水を供給したとき、該円状軸断面を有する衝突部材の外径と水迂回流路部の流通断面積とは、水迂回流路部内に配置された衝突部材に関するレイノルズ数が10000以上となるように調整されているとよい。
【0041】
円柱状断面の衝突部材を水流中に配置したとき、衝突部材の外径をD、流速をU及び水の動粘性係数をνとしてレイノルズ数Reは、
Re=UD/ν(無次元数) ‥ (1)
にて表され、該円柱状断面の衝突部材周囲の流れはレイノルズ数Reが1500以上で乱流化することが知られており、特にReが10000以上のとき、回り込み乱流による気泡の微粉砕効果は飛躍的に高められるので、個数平均値レベルでのオゾン気泡粒径をさらに容易に縮小することができる。例えば、平均流速が8m/秒以上となるように水迂回流路部の流通断面積が調整されていれば、円状軸断面を有する衝突部材の外径を1〜5mmに調整することによりレイノルズ数Reの値を10000以上の値に容易に確保できる。
【0042】
特に、水迂回流路部の流通断面積が、水流入口に供給圧力0.55MPaにて10℃の水を供給したときの平均流速が18m/秒以上となるように調整され、円状軸断面を有する衝突部材の外径が1〜5mmに調整されていれば、水迂回流路部内に配置された衝突部材に関するレイノルズ数Reは20000を超える値となる。そして、衝突部材が形成する絞りギャップでの通過水流の最大流速が25m/秒以上となっていれば、噴射される水流に含まれるオゾン微小気泡の数平均粒径を、電解質を積極添加しない淡水では従来実現不能と考えられていた1μm以下の値(例えば、1nm以上500nm以下の値、望ましくは1nm以上100nm以下の値、さらに望ましくは1nm以上50nm以下の値)に縮小することが可能となる。つまり、数平均値レベルにてナノバブル領域となる微小気泡を、複雑で高価なバブル発生装置を用いずとも容易に発生できる。また、上記の流速条件が充足されている状況下では、絞りギャップや減圧空洞あるいは下流側負圧域の負圧レベルは、0.05MPa以上にまで高めることができるので、発生可能なオゾン微小気泡の濃度も大幅に高められる。
【0043】
次に、本発明の気泡微小化ノズルにおいて絞りギャップの間隔を縮小すればギャップ通過流量は減少する一方、水迂回流路部へ流れ込む水量が増大する。従って、絞りギャップの通過流速が過度に減少しない範囲内で絞りギャップ間隔を縮小すれば、絞りギャップで発生した微小気泡の回り込み乱流による微小化効果が高められ、より細径の気泡を発生できる。他方、絞りギャップの間隔を拡大すれば、絞りギャップ内の流通抵抗が減少するので、水迂回流路部も合わせ流路断面全体で得られる噴射流量を増やすことができる(この場合、ギャップ間隔の設定値によっては、絞りギャップ内の流速がやや不足傾向となる場合もあるが、噴射流量の確保が優先される場合には有利となる)。そこで、本発明の気泡微小化ノズルに、絞りギャップの間隔を変更可能に調整する絞りギャップ間隔調整機構を設けておけば、オゾン気泡細径化と噴射流量との要求レベルに応じて絞りギャップの間隔を適宜調整できる。
【0044】
絞りギャップ形成部は、流路の断面中心に関して衝突部材と反対側にて壁部内面から衝突部材に向けて突出する対向衝突部材として形成することができ、絞りギャップを衝突部材の突出方向先端部と対向衝突部材の突出方向先端部との間に形成することができる。例えば、衝突部材の先端面を流路壁部内周面と対向させて絞りギャップを形成してもよく、この場合は流路壁部の衝突部材との対向部分が絞りギャップ形成部を構成することとなる。しかし、この構成では、壁面摩擦による流量損失の大きい流路軸断面の外周縁領域に絞りギャップが位置するので、絞りギャップの通過流速も小さくなりがちである。しかし、対向衝突部材を設けることで絞りギャップの形成位置を流速の大きい断面中心側に近づけることができ、絞りギャップの通過流速が増大してキャビテーション効果が高められ、微小気泡をより効率的に発生させることができる。
【0045】
また、衝突部材と対向衝突部材との少なくとも一方の絞りギャップに臨む先端部分には、先端に向かうほど径小となるテーパ状の周側面を有した縮径部を形成することができる。このような縮径部を設けることにより、次のような効果が達成される。
・衝突部材ないし対向衝突部材の縮径部の外周面先端付近においては、水流の衝突迂回長が外周面基端付近よりも短くなり流速が増大する。また、縮径部外周面の水流方向上流側に位置する部分は前述の絞り傾斜面を形成する。これにより、絞りギャップ付近の乱流発生効果がさらに高められ、オゾン微小気泡の発生効率がさらに向上する。
・衝突部材と対向衝突部材とに対し、水流の衝突迂回による渦流ないし乱流の発生効果が、それらの対向方向と直交する面内だけでなく、対向方向と平行は面内(つまり、縮径部を絞りギャップ側に乗り越える方向)にも生じ、三次元的な気泡の微粉砕効果が一層高められる。
【0046】
対向衝突部材を設ける場合には、衝突部材及び対向衝突部材の一方又は双方に、絞りギャップに臨む先端面にギャップ形成方向に引っ込む前述の減圧空洞を形成できる。特に衝突部材及び対向衝突部材の一方に減圧空洞を形成し、他方には、その先端が減圧空洞の開口に臨む位置関係にて縮径部を形成する構成を採用すると、絞りギャップ内の水流は該縮径部により大幅に速度を高めることができる。そして、その増速された水流が減圧空洞内の淀み部分と接することで極めて大きな流速差が生じる。また、縮径部を乗り越える際に減圧空洞側に水流が屈曲形態で迂回することで、該流速差の生ずる区間長も増大する(この効果は、縮径部の先端側の一部が減圧空洞の内部に入り込むように位置調整されている場合により顕著となる)。さらに、後述のごとく、この縮径部の形成により減圧空洞の共鳴効果をより顕著にできる可能性がある。いずれも、オゾン微小気泡の発生効率向上と、気泡径の更なる微小化に有効に貢献する。
【0047】
具体的には、絞りギャップは、衝突部材の先端面にて減圧空洞の開口周縁部をなす周縁領域と縮径部のテーパ状の周側面とが対向することにより楔状断面を有し、かつ空間外周側が水迂回流路部に開放する円環状のギャップ周縁空間と減圧空洞とが、減圧空洞の開口内周縁と縮径部の周側面との対向位置に形成される円環状のくびれギャップ部を介して互いに連通した構造をなすように構成できる。これにより、縮径部外周面の、水流方向に関し絞りギャップの両側に位置する部分も補助的なギャップとして機能する。従って、絞りギャップを通過しない水流も、該補助的なギャップを通過する際にキャビテーションを生じ、オゾン微小気泡の発生効率向上に寄与する。
【0048】
なお、対向衝突部材を設ける場合、水迂回流路部を衝突部材の外周面と対向衝突部材の外周面とにまたがる形で形成するとよい。これにより、衝突部材と対向衝突部材との双方が回り込み乱流の発生に寄与し、析出オゾン気泡の微粉砕効果が一層向上する。
【0049】
また、絞りギャップの水流入側開口位置におけるギャップ間隔の中心をギャップ中心として定義したとき、流路の断面半径方向にて流路壁部の内面からギャップ中心までの距離が、断面中心からの距離よりも小さくならない範囲にて、該ギャップ中心が断面中心から半径方向に所定長オフセットするように絞りギャップの形成位置を調整しておくと、絞りギャップでのオゾン微小気泡の発生効率をさらに高めることができる。
【0050】
衝突部材と対向衝突部材とは各々、該流路形成部材の流路壁部に対し先端側が流路内に突出し、後端側が流路形成部材の外周面に露出するように、該流路壁部を貫通する形態にて配置することができる。そして、対向衝突部材は、外周面に雄ねじ部が形成されるとともに流路壁部に貫通形成された雌ねじ孔にねじ込まれる構成とすることができる。これにより、該雌ねじ孔内における該対向衝突部材の螺進量に応じて絞りギャップの間隔を調整することができる。また、衝突部材も同様のねじ部材として構成することで、流路断面内の絞りギャップの位置(特に、半径方向における断面中心からのオフセット量)を調整することも可能となる。この対向衝突部材の雄ねじ部も前述の水流剥離凹凸部として活用することができる。
【0051】
前述のごとく、本発明の方法によると、気泡の析出効率と微粉砕効率が大幅に促進されるので、淡水を用いても粒径の小さいオゾン微小気泡を高濃度に含んだ水を極めて効率よく製造することができる。具体的にはオゾン含有水の原料水として、総溶解固形分の含有量が1000ppm未満のものを使用できる。総溶解固形分の含有量が1000ppmを超えた場合、例えば、消臭や殺菌の目的で散布すれば散布先に塩分が残留し、錆等の塩害を引き起こす問題がある。また、食品に添加すれば味の変化を引き起こすことが避けがたく、蒲鉾など、味付けなどに一定量の塩分添加が見込まれる食品に用途が限定される問題がある。また、魚介養殖への適用も、ウナギなどの淡水性の魚介類養殖には適用不可能であるし、塩分が忌避される農業用途には基本的に採用することができないなど、用途が非常に限定される問題があった。オゾン含有水の原料水として、総溶解固形分の含有量が100ppm未満の精製水を使用する。
【0052】
ただし、本発明の適用対象は淡水に限定されるものではなく、電解質を含有した水、例えば海水や汽水に対してももちろん適用可能である。電解質を含有したオゾン含有水は淡水よりも気泡の微小化が進みやすく、オゾン微小気泡を高濃度に含有した水をより効率的に製造することが可能となる。例えば、塩分を含有する水を原料として使用する食品(たとえば、かまぼこやうどん、パンなどであるが、これらに限定されない)の原料水として使用することにより、該原料水が防腐剤の役割も果たし、合成保存料(ソルビン酸など)などの食品添加物の使用量を削減でき、味や風味の向上にも寄与する。使用する水の電解質含有量は、用途に応じて異なるが、例えば0.1質量以上3質量%以下(たとえば海水であれば約2質量%)の範囲である。
【0053】
また、淡水ベースのものも海水(あるいは汽水)ベースのものも、本発明の方法により製造したオゾン微小気泡含有水は、水揚げ後の魚介類の消毒液として使用することが可能である。具体的には、鮮魚をオゾン微小気泡含有水中で養生するか、あるいはスプレー等で噴霧して鮮魚に吹きかけることにより、あるいは、氷詰め輸送用の発泡スチロール容器の内部に鮮魚及び氷とともにオゾン微小気泡含有水を適量封入することにより、魚体表面の腐敗菌が死滅し、ぬめりや生臭みの発生も大幅に低減することができる。
【0054】
塩水ベースのオゾン微小気泡含有水にも、上記のように種々の利用分野が見込まれるが、塩分を嫌う農産物(野菜、果物類)や淡水魚(うなぎなど)、さらには味や風味の変化が忌避される分野には適用することができない。従って、淡水ベースのオゾン微小気泡含有水を利用できるようになると、塩水ベースのオゾン微小気泡含有水が適用不可能であった上記の用途への展開が一挙に可能になり、利用分野を飛躍的に拡大することができる。食品原料水としてオゾン微小気泡含有水を利用することの効用はすでに説明したが、当然、塩分が含有されている水の場合、その使用量に比例して食品中に混入する塩分濃度も高くなり、味の変化が避けがたくなる。また、甘味が主体の菓子類など、塩味がつくこと自体が許されない食品には原理的に適用不可能である。しかしながら、淡水ベースのオゾン微小気泡含有水が使用できれば、こうした制限は全てなくなり、食品全般の安全性向上に大きく貢献する。
【0055】
また、魚介類に適用する場合について考えてみても、水揚げされた海産魚を海水程度の濃度の塩水に丸ごと浸漬することはそれほど問題にはならないが、素材自体の風味が重視される刺身用の切り身やむき身、あるいはネギトロなどのすき身などは、塩分濃度の高いオゾン微小気泡含有水に浸漬すると取り返しのつかない味の変化を引き起こし、商品価値が激減する。しかしながら、淡水ベースのオゾン微小気泡含有水であれば安心して使用することができ、上記の刺身用の切り身やむき身、すき身などにも好適に使用できる。
【0056】
また、本発明は、被洗浄物の収容部と、該収容部に、上記本発明のオゾン微小気泡含有水製造装置にて製造されたオゾン微小気泡含有水を供給するオゾン微小気泡含有水供給部とを備え、収容部内にて被洗浄物にオゾン微小気泡含有水を噴射又は噴霧することにより、又は被洗浄物をオゾン微小気泡含有水に浸漬するか、又は該オゾン微小気泡含有水中にて撹拌することにより被洗浄物を洗浄するようにした物品洗浄装置を提供する。さらに、当該物品洗浄装置にて被洗浄物を洗浄する物品洗浄方法も提供する。
【0057】
被洗浄物たる物品の種別は特に限定されないが、人や動物に摂食され、有害物質や病原性微生物による摂食者への影響が直接的となる食品の洗浄に適用した場合に、その波及効果は特に大きい。食品は具体的には野菜、果物等の農産物、及び魚、貝類、海草などの水産物である。
【0058】
洗浄水となるオゾン微小気泡含有水として、電解質を含有した水、例えば海水や汽水をベースとしたものを使用した場合は、海産物(魚類、貝類、甲殻類、海藻類の収穫後の洗浄(ひいては消毒)用に好適に使用できる。例えば二枚貝やそのむき身、特に、生食されることの多いカキやホタテ等において、食中毒の要因となるノロウィルスの死滅や不活性化に著しい効果を発揮する。
【0059】
一方、洗浄水として淡水ベースのオゾン微小気泡含有水を使用すれば、野菜や果物の出荷前洗浄にも活用できる。大規模な洗浄槽は洗浄水の流入量も多く、従来のオゾン水を利用した場合は液面からのオゾン蒸散量が大きいために、作業環境上の問題を生じることが多い。その結果、溶存オゾン濃度も低く抑えざるを得ない背景があり、当該分野では次亜塩素酸水などによる洗浄処理が依然主流であって、オゾン水はそれほど普及するには至っていない。しかし、淡水ベースのオゾン微小気泡含有水が安価に利用できるようになれば、洗浄水中のオゾン濃度を高めても槽周辺へのオゾン揮散が大幅に抑えられ、こうした問題はほとんど生じなくなる。その結果、オゾン本来の殺菌能力が発揮されるとともに、洗浄水に含まれる多量の微細な気泡が、被処理物の表面の起伏の細部にまで浸透するので、非常に高レベルの洗浄効果を享受することができるようになる。
【0060】
また、オゾン微小気泡含有水の殺菌能力が高いため、洗浄時間の短縮が可能であり、また、流水中への浸漬ではなくシャワー噴霧による洗浄でも十分な殺菌効果が期待できる。これをカット野菜などの洗浄に適用すれば、水溶性の栄養分(例えばビタミンCなど)が洗浄時に流出することを抑制できる利点も生ずる。
【0061】
上記本発明の物品洗浄装置には、本発明のオゾン微小気泡含有水製造装置をオゾン微小気泡含有水供給部として設けることができる。これにより、該オゾン微小気泡含有水製造装置からのオゾン微小気泡含有水を被洗浄物保持部に洗浄水として直接供給することができ、大量の物品を連続洗浄する場合の処理効率を向上することができる。
【0062】
また、本発明の物品洗浄装置には、被洗浄物保持部から供給されたオゾン微小気泡含有水を回収し、これをオゾン微小気泡含有水製造装置の原料水の少なくとも一部として該オゾン微小気泡含有水製造装置に戻すオゾン微小気泡含有水循環機構を設けることができる。オゾン微小気泡含有水は、含有オゾン(溶存オゾン及び微小気泡オゾン)の一部が洗浄時に消耗するが、これを原料水の少なくとも一部として戻すことにより洗浄水中の含有オゾン量を必要レベルに維持することができ、洗浄効果(殺菌、汚れ分解等)を高レベルに維持できるとともに、洗浄水を循環して使用することにより節水効果を高めることができる。
【0063】
一方、洗浄に伴う洗浄水の汚染進行が大きい場合や、汚染成分の残留を特に高レベルにて排除したい場合は、オゾン微小気泡含有水製造装置から供給されるオゾン微小気泡含有水を被洗浄物保持部に対してかけ流し形態で供給することももちろん可能である。この場合、被洗浄物保持部に供給されたオゾン微小気泡含有水を、該被洗浄物保持部からかけ流し形態で排出するかけ流し排水部を設ければよい。
【0064】
この場合、オゾン微小気泡含有水製造装置から供給されるオゾン微小気泡含有水が濃厚である場合は、該オゾン微小気泡含有水を洗浄原水として、該洗浄原水に希釈水を添加した希釈オゾン微小気泡含有水を洗浄水として被洗浄物保持部に供給するオゾン微小気泡含有水希釈供給部を設けておくと、製造されるオゾン微小気泡含有水のさらなる有効活用を図ることができる。
【0065】
被洗浄物保持部には、オゾン微小気泡含有水製造装置から供給されたオゾン微小気泡含有水を収容保持する洗浄槽を設けることができる。これにより、該洗浄槽内にてオゾン微小気泡含有水に被洗浄物を浸漬しつつこれを洗浄することができ、洗浄効率を高めることができる。前記のオゾン微小気泡含有水循環機構を設ける場合は、該洗浄槽とオゾン微小気泡含有水製造装置とを連通接続する循環管路を設けることによりこれを実現できる。
【0066】
また、本発明は、水産物の養殖槽に、上記本発明のオゾン微小気泡含有水製造装置にて製造されたオゾン微小気泡含有水を供給し、当該オゾン微小気泡含有水中にて水産物を養殖することを特徴とする水産物の養殖方法も提供する。貝類(カキ、ホタテ、あわび等)、魚類(海水魚及び淡水魚)、甲殻類(かに、えび等)、海藻類(海苔等)の養殖において、上記本発明のオゾン微小気泡含有水製造装置にて製造されたオゾン微小気泡含有水(または、その希釈水)を使用することにより、養殖物の成長促進や死亡率低減を図ることができ、生産効率ならびに品質向上に貢献することができる。
【0067】
さらに、本発明は、植物の水耕栽培槽に、上記本発明のオゾン微小気泡含有水製造装置にて製造されたオゾン微小気泡含有水を供給し、当該オゾン微小気泡含有水中にて植物を水耕栽培する水耕栽培方法も提供する。対象となる植物は、例えば野菜であるが、これに限定されるものではなく、例えば花卉類や樹木の苗、観賞植物等に適用することももちろん可能である。
【0068】
オゾン微小気泡含有水を水耕栽培用の栽培液として使用することにより、根腐れを生じにくくなり、また、被栽培植物の根による酸素や養分の吸収効率を大幅に上昇させることができる。さらに、栽培液中でのアオコ発生抑制に画期的な効果を発揮する。その結果、被栽培植物の健全な生育が維持されて収穫率の向上に貢献する。さらに被栽培植物の生育速度が著しく改善され、生産性の向上にも寄与する。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明のオゾン微小気泡含有水製造装置の一構成例を示す模式図。
【図2】減圧流出側気泡微小化ノズルの内部構造を示す断面図。
【図3】減圧流出側気泡微小化ノズルの絞りギャップ位置における拡大軸断面図。
【図4】減圧流出側気泡微小化ノズルの要部を拡大して示す横断面図。
【図5】加圧流入側気泡微小化ノズルの要部を拡大して示す横断面図。
【図6】図2の各部の寸法関係を拡大して示す横断面図。
【図7】対向衝突部材の位置により絞りギャップを調整する概念を説明する図。
【図8】減圧流出側気泡微小化ノズルにて絞りギャップ間隔を0.07mmに設定した場合と0.57mmに設定した場合における絞りギャップ内の流速分布を平面視にて示すシミュレーション画像。
【図9】減圧流出側気泡微小化ノズルにて絞りギャップ間隔を0.07mmに設定した場合の内部流速分布に係るシミュレーション結果を示す画像。
【図10】同じく絞りギャップ間隔を0.57mmに設定した場合の内部流速分布に係るシミュレーション画像。
【図11】同じく絞りギャップ間隔を1.07mmに設定した場合の内部流速分布に係るシミュレーション画像。
【図12】同じく絞りギャップ間隔を0.57mmに設定した場合の内部圧力分布に係るシミュレーション画像。
【図13】図12の圧力分布を、絞りギャップを通る流路軸線を含む横断面にて示す図。
【図14】衝突部材及び対向衝突部材の作用説明図。
【図15】衝突部材による乱流形成作用を模式的に示す説明図。
【図16】複数の渦流により気泡が引き裂かれて微小化する概念を説明する図。
【図17】衝突により気泡が合体する概念を説明する図。
【図18】ギャップ周縁空間の作用説明図。
【図19】水流に及ぼすねじ山の作用説明図。
【図20】水流剥離凹凸部をセレーション状に形成した衝突部材の一例を示す斜視図。
【図21】図1のオゾン微小気泡含有水製造装置の動作の流れを示すフローチャート。
【図22】製造されたオゾン微小気泡含有水を、ホースから水流の形で供給する実施形態を説明する図。
【図23】本発明の物品洗浄装置の一実施形態を示す模式図。
【図24】洗浄槽を野菜洗浄槽として構成した例を示す模式図。
【図25】野菜洗浄における本発明の効果を説明する図。
【図26】果物洗浄における本発明の効果を説明する図。
【図27】洗浄槽をカット野菜洗浄槽として構成した第一の変形例を示す模式図。
【図28】洗浄槽をカット野菜洗浄槽として構成した第二の変形例を示す模式図。
【図29】洗浄槽をカット野菜洗浄槽として構成した第三の変形例を示す模式図。
【図30】洗浄槽に退避容器を組み合わせた構成を示す模式図。
【図31】かけ流し型洗浄槽の一例を示す模式図。
【図32】本発明の物品洗浄装置を洗濯機として構成した例を示す模式図。
【図33】本発明の物品洗浄装置を食器洗浄機として構成した例を示す模式図。
【図34】洗浄槽を水産物洗浄槽として構成した例を示す模式図。
【図35】本発明をエビの養殖に適用した例を示す模式図。
【図36】本発明をカニの養殖に適用した例を示す模式図。
【図37】本発明を水耕栽培に適用した例を示す模式図。
【図38】本発明の気泡微小化ノズルの要部に係る第一の変形例を示す図。
【図39】同じく第二の変形例を示す図。
【図40】同じく第三の変形例を示す図。
【図41】同じく第四の変形例を示す図。
【図42】同じく第五の変形例を示す図。
【図43】同じく第六の変形例を示す図。
【図44】同じく第七の変形例を示す図。
【図45】同じく第八の変形例を示す図。
【図46】同じく第九の変形例を示す図。
【図47】同じく第十の変形例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0070】
以下、本発明を実施するための形態を添付の図面を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るオゾン微小気泡含有水製造装置の一構成例を示す模式図である。オゾン微小気泡含有水製造装置1は、原料水として水道水と純水(精製水)のいずれかを原料水切替バルブ102にて切り替えて使用できるようになっており、供給水切替部としての供給水切替バルブ15を介して原料水導入管路372に原料水が供給されるようになっている。原料水導入管路372には水供給管311,311Bが接続され、その末端に加圧溶解ユニットを構成する加圧溶解タンク310が接続されている(この実施形態では、加圧溶解タンク310は1個であるが、複数個の加圧溶解タンクを配管により連通接続したものを加圧溶解ユニットとして使用してもよい)。
【0071】
次に、オゾン微小気泡含有水製造装置1には、酸素含有物質を原料としてオゾンを発生させるオゾン発生装置16と、該オゾン発生装置16が発生するオゾン(O)を加圧溶解タンク310への供給水に導入するオゾン導入部16Jと、オゾン導入部16Jにてオゾン導入された気液混合水中のオゾン気泡を、加圧溶解タンク310に流入させるのに先立って予備粉砕するオゾン気泡予備粉砕部315とが設けられている。
【0072】
具体的には、オゾン気泡予備粉砕部に兼用される加圧流入側気泡微小化ノズル315が水供給管311上に設けられ、オゾン導入部16Jは該加圧流入側気泡微小化ノズル315にオゾン発生装置(オゾナイザ)16からのオゾンを導入する。水供給管311には流入側マニホルド3と流出側マニホルド4とが設けられ、これらマニホルド3,4間で水供給管311は複数(ここでは3本)の中間配管311Bに分岐するとともに、それら中間配管311Bのそれぞれに加圧流入側気泡微小化ノズル315が設けられている。
【0073】
オゾン発生装置16は、酸素ボンベや酸素濃縮装置などの外部酸素供給源から供給される酸素ガス(O)を、無声放電等の周知のオゾン化原理によりオゾン化するものである。なお、オゾン発生装置16を通過した酸素ガスは、一部がオゾンとなって、残部が酸素のまま残留することが多い。そして、オゾン発生装置16からのオゾン(ないしオゾンと酸素の混合ガス)は、オゾンチャンバ10内を満たしたのちオゾン供給配管16Lを介して加圧流入側気泡微小化ノズル315に供給される。また、オゾン供給配管16L上にはオゾン供給流量を調整するためのオゾン供給流量調整バルブ11が設けられている。
【0074】
次に、流出側マニホルド4の下流側にて水供給管311上にはポンプ301が設けられ、加圧流入側気泡微小化ノズル315にてオゾンが混合された原料水が該ポンプ301により加圧溶解タンク310に圧送されるようになっている。加圧溶解タンク310では、オゾンと水とが混合しつつ加圧され、水にオゾンが強制溶解してオゾン濃度が上昇することにより加圧濃縮オゾン水が発生する。
【0075】
加圧溶解タンク310には、該加圧溶解タンク310内の加圧濃縮オゾン水を減圧しつつ流出させる水流出管312が設けられ、該水流出管312上に減圧流出側気泡微小化ノズル21が設けられている(減圧流出側気泡微小化ノズル21は、主タンク319の水流入口に設けてもよい)。加圧濃縮オゾン水は減圧流出側気泡微小化ノズル21を通過することによりオゾン微小気泡含有水となる。つまり、オゾン導入部16J、加圧流入側気泡微小化ノズル315、加圧溶解タンク310が、減圧流出側気泡微小化ノズル21に加圧濃縮オゾン水をオゾン含有水として供給するオゾン含有水供給手段を構成している。
【0076】
具体的には、水流出管312の一端が該加圧溶解タンク310に接続される一方、該水流出管312の他端が加圧溶解タンク310よりも内圧が低く設定された主タンク319に接続され、減圧流出側気泡微小化ノズル21を通過したオゾン微小気泡含有水が主タンク319内に噴出し貯留されるようになっている。なお、水流出管312上にて減圧流出側気泡微小化ノズル21の上流側には、該減圧流出側気泡微小化ノズル21への加圧濃縮オゾン水の送液圧力を調整する圧力バルブ316が設けられている。
【0077】
また、加圧溶解タンク310内には、タンク内の圧力を検出する圧力センサ330が設けられている。また、タンク上部には、タンク内の加圧濃縮オゾン水中を浮上した未溶解のオゾンを、オゾンチャンバ10を経てオゾン導入部16Jに戻すオゾン戻り管路310Lが設けられている。オゾン戻り管路310L上には、オゾン導入部16Jへ向けてのオゾン戻り圧力を調整する圧力バルブ13と、同じくオゾン戻り流量を調整する流量調整バルブ(ニードルバルブで構成している)12とが設けられている。
【0078】
次に、主タンク319には液面センサ6が設けられている。また、主タンク319には内部のオゾン微小気泡含有水を流出させる流出管路320が接続されるとともに、その末端には、そのオゾン微小気泡含有水をオゾン含有水として加圧流入側気泡微小化ノズル315の上流側に戻すことにより循環させるオゾン微小気泡含有水循環管路313(以下、単に循環管路313ともいう)が接続されている。該、循環管路313上には、該循環管路313内を流れるオゾン微小気泡含有水中のオゾン濃度を測定するオゾン濃度計16が設けられている。また、流出管路320と循環管路313との接続位置からは排水管路321が分岐するとともに、該位置に設けられた切替バルブ9により、流出管路320からのオゾン微小気泡含有水の流出方向が循環管路313側と排水管路321側との間で切り替え可能となっている。
【0079】
循環管路313の末端は、水供給管311の原料水供給端側に接続され、該接続位置には、水供給管311への供給水(Q)を、原料水(J)と流出管路320からのオゾン微小気泡含有水(J)との間で切り替える供給水切替バルブ15が設けられている。また、循環管路313上にて供給水切替バルブ15の上流側からは、供給水切替バルブ15をバイパスして循環管路313と水供給管311とを接続するバイパス管路314が分岐するとともに、その分岐位置には、循環管路313からの循環水の流れを、供給水切替バルブ15側とバイパス管路314側とで切り替えるバイパス切替バルブ8が設けられている。
【0080】
また、オゾン微小気泡含有水製造装置1にはマイコンやハードウェアロジック等で構成された制御部2が設けられている。オゾン濃度計16の出力が該制御部2に入力されるとともに、該オゾン濃度計16の溶存オゾン濃度を参照しつつ、比例制御バルブ等で構成された圧力バルブ316や、オゾン供給配管16L上のオゾン供給流量調整バルブ11、オゾン戻り管路310L上の流量調整バルブ12、あるいは電磁三方弁等で構成された供給水切替バルブ15及びバイパス切替バルブ8の動作を制御する。
【0081】
図2は、減圧流出側気泡微小化ノズル21の構造の一例を示すものである。また、図4は、その要部を拡大して示すものである。該ノズル21は水流入口31と水流出口106を備えた流路形成部材20、流路形成部材20内にて流路壁部25よりも半径方向内側に配置された衝突部材22と、流路FP内にて衝突部材22の突出方向先端部と対向する絞りギャップ形成部23とを有する。図3に示すように、気泡微小化ノズル21において衝突部材22の外周面と流路壁部25の内面との間には水迂回流路部251が形成される。また、衝突部材22と絞りギャップ形成部23との間には、水迂回流路部251よりも低流量かつ高流速となるように水流を絞りつつ通過させる絞りギャップ21Gが形成されている。
【0082】
減圧流出側気泡微小化ノズル21においては、加圧溶解タンク310(図1)の加圧濃縮オゾン水が水流入口31から流路FPに供給されると、図14(B,C)に示すように、絞りギャップ21Gには水流負圧が発生し、そのキャビテーション効果により溶存オゾンが析出してギャップ通過水流WFにはオゾン析出気泡BMが生じる。一方、図3において、水流はその全てが絞りギャップ21Gに供給されるわけではなく、相当部分が衝突部材22に衝突し水迂回流路部251側へ迂回する。図15に示すように、この迂回する水流は、多数の小渦流SWEを三次元的に発生させつつ該衝突部材22の下流側に回り込む回り込み乱流CFを形成する。ギャップ通過水流WFに形成されたオゾン析出気泡BMは、該回り込み乱流CFに巻き込まれてオゾン微小気泡BFに粉砕される。
【0083】
次に、図5は、加圧流入側気泡微小化ノズル315の同様の断面図である。衝突部材22にノズル通路226が形成されている点を除き、基本的な構造は減圧流出側気泡微小化ノズル21と全く同一である。ノズル通路226は、接続部25の壁部(流路壁部)とともに該衝突部材22を、その流路内への突出方向に貫通する形で、一端側が該衝突部材22の先端側にて絞りギャップ21G内に気体噴出口226dを開口し、他端側が流路壁部25を貫通して壁部外面に気体取入口226eを開口する形で形成されている(前述の工具係合孔226eと減圧空洞221がノズル通路の一部を構成している)。オゾナイザ16からのオゾンガスは、オゾンチャンバ10及びオゾン供給配管16Lを経てノズル通路226の気体取入口226eに供給されると、絞りギャップ21G内に発生する水流負圧により、オゾンガスは該ノズル通路226を経て吸引取り込みされ、絞りギャップ21G内に噴出する。
【0084】
加圧流入側気泡微小化ノズル315においては、原料水もしくは循環管路313を経て主タンク319から戻されるオゾン微小気泡含有水が通過することにより、絞りギャップ21G内に新たなオゾンが供給され、回り込み乱流CFに巻き込まれて粉砕される。これにより、供給されたオゾンは微細化した状態で加圧溶解タンク310内に供給され、溶解効率が飛躍的に向上する。
【0085】
以下、さらに詳細に説明する。
減圧流出側気泡微小化ノズル21と加圧流入側気泡微小化ノズル315とは、前述のごとく、衝突部材22にノズル通路226が形成されている点を除き共通の構造を有しているので、まず、その共通部につき減圧流出側気泡微小化ノズル21で代表させて説明する。図2に示すように、(減圧流出側)気泡微小化ノズル21は、金属、セラミックあるいは樹脂にて構成されるとともに、水流入口31から水流出口106に向かう流路FPが内部に形成された中空の流路形成部材20と、流路形成部材20の流路壁部25の内面から突出する衝突部材22と、流路FP内にて衝突部材22の突出方向先端部と対向する絞りギャップ形成部23とを備える。図4及び図5に示すように、絞りギャップ形成部23は、流路FPの断面中心Oに関して衝突部材22と反対側にて壁部内面から衝突部材22に向けて突出する対向衝突部材(以下、対向衝突部材23ともいう)として形成され、絞りギャップ21Gは衝突部材22の突出方向先端部と対向衝突部材23の突出方向先端部との間に形成されている。
【0086】
図2に示すように、流路形成部材20の下流側外周面には接続用雄ねじ部274が形成され、その基端部外周にOリング273が嵌着されている。また、上流側内周面には接続用雌ねじ部278uが形成され、その基端部外周にOリング279が嵌着されている。これら接続用雄ねじ部274及び接続用雌ねじ部278uにて、流路形成部材20は配管に対し螺合により接続される。なお、流通経路接続部はねじ部に限らず、必要な耐圧を確保できるものであれば、例えばワンタッチ継手など、周知の他の配管接続構造を採用してもよい。
【0087】
次に、流路形成部材20には、水流入口31と絞りギャップ21Gとの間に、水流入口31からの水流を増速して絞りギャップ21Gに導く準備絞り機構30が形成されている。該準備絞り機構30は、具体的には水流入口31を形成する円筒状の導入部31Aと、その導入部31Aの下流側にテーパ状に縮径する形で連通一体化された円筒状の径小部30Sとを有する。
【0088】
図4に示すように、径小部30Sの内径は、流路形成部材20の、衝突部材22が実装される流路本体部26の内径よりも小さく設定されている(例えば、流路本体部26の内径をdとし、径小部30Sの内径をdとして、{(d−d)/d}×100(%)の値にて=5〜50%程度)。また、縮径部32にて絞られた水流の、流路壁部25側に流れ込む際の流路拡大による乱流化(ひいては、それによる流速減少)の影響が気泡微小化ノズル21の絞りギャップ21Gに大きく及ばないように、流れ方向にて絞りギャップ21Gの形成位置(衝突部材22の中心軸線Pの位置とする)から縮径部32の後端位置までの距離αは、内径dよりも小さく(望ましくは、α/dが0.8以下)設定されている。
【0089】
衝突部材22及び対向衝突部材23はいずれも金属製(例えばステンレス鋼製:例えば、SUS316材)のねじ部材として構成され、いずれも流路壁部25に対し先端側が流路FP内に突出し、後端側が流路壁部25の外周面に露出するように該流路壁部25を貫通する形態にて配置されている。衝突部材22の外周面には雄ねじ部22tが形成され、流路壁部25に貫通形成された雌ねじ孔22uにねじ込まれている。該雌ねじ孔22u内における該衝突部材22の螺進量に応じて絞りギャップ21Gの間隔が調整可能である。また、対向衝突部材23の外周面にも雄ねじ部23tが形成され、流路壁部25に貫通形成された雌ねじ孔23uにねじ込まれている。該雌ねじ孔23u内における該対向衝突部材23の螺進量に応じて絞りギャップ21Gの間隔が調整可能である。以上、絞りギャップ21Gの間隔を変更可能に調整する絞りギャップ間隔調整機構が実現されていることが明らかである。なお、衝突部材22と対向衝突部材23との双方を同一方向に螺進させれば、絞りギャップ21Gの、流路FPの軸断面半径方向における位置を変更することも可能である。これらの部材の螺進調整を容易にするために、流路壁部25外に突出する衝突部材22と対向衝突部材23との各頭部端面には六角レンチなどの工具を係合させる工具係合孔222,232がそれぞれ形成されている。なお、絞りギャップ21Gの間隔ないし位置を固定として調整を特に行なわない場合には、衝突部材22及び対向衝突部材23を流路壁部25に対し、インサート成型等により螺進不能に固定・一体化する構成も可能である。さらに、衝突部材22及び対向衝突部材23の一方のみを螺進操作可能として、他方を流路壁部25に螺進不能に固定一体化することもできる。
【0090】
次に、図3に示すように、衝突部材22には、絞りギャップ21Gに臨む先端面にギャップ形成方向に引っ込む減圧空洞221が形成されている。また、対向衝突部材23には先端が減圧空洞221の開口に臨む位置関係にて縮径部23kが形成されている(ただし、対向衝突部材23に減圧空洞を形成し、衝突部材22に縮径部を形成してもよい)。対向衝突部材23に形成された縮径部23kは、先端に向かうほど径小となるテーパ状の周側面231(具体的には円錐面)を有している。該テーパ状の周側面231の水流入側(流れ上流側)に位置する部分は、該絞りギャップ21Gの間隔を上流側から下流側に向けて漸次縮小させる絞り傾斜面を構成する。また、水流出側(流れ下流側)に位置する部分は、絞りギャップ21Gの間隔を上流側から下流側に向けて漸次拡大させる拡大傾斜面を構成する。
【0091】
衝突部材22と対向衝突部材23とは同心的に配置されている。また、減圧空洞221は衝突部材22の外周面と同心的な位置関係にある円筒面状の内周面を有する。そして、図6に示すように、衝突部材22の中心軸線を含む断面において、減圧空洞221の開口内周縁位置から対向衝突部材23の縮径部23kの外周面までの距離をギャップ流通間隔βとして、減圧空洞221の内径dは該ギャップ流通間隔βよりも大きくなるように設定されている。本実施形態では、減圧空洞221の内径dは2mmであり、調整可能なギャップ流通間隔βの上限値1.5mmよりも大きくなっている。また、減圧空洞221の深さHは、内径dの0.5〜5倍、望ましくは1〜4倍程度の値となるように設定される。なお、図6において、縮径部23kは先端側の一部が減圧空洞221の内部に入り込むように軸線方向の位置が調整されている。
【0092】
図3に示すように、絞りギャップ21Gは、衝突部材22の先端面にて減圧空洞221の開口周縁部をなす周縁領域224と縮径部23kのテーパ状の周側面231とが対向することにより楔状断面を有する円環状のギャップ周縁空間251nが形成されている。該ギャップ周縁空間251nの空間外周側は水迂回流路部251に開放するとともに、減圧空洞221の開口内周縁と縮径部23kの周側面との対向位置に形成される円環状のくびれギャップ部21nを介して減圧空洞221と互いに連通した構造をなす。水迂回流路部251は、流路FP内にて水流通方向から見て衝突部材22の突出方向に関しその両側に、それぞれ衝突部材22の外周面と対向衝突部材23の外周面とにまたがる形で形成されている。
【0093】
また、図6に示すように、絞りギャップ21Gの水流入側開口位置におけるギャップ間隔の中心位置をギャップ中心Qとして定義したとき、流路FPの断面半径方向にて流路壁部の内面からギャップ中心Qまでの距離ηが、断面中心Oからギャップ中心Qまでの距離λよりも小さくならない範囲にて、該ギャップ中心Qが断面中心Oから半径方向にオフセットするように絞りギャップ21Gの形成位置が調整されている。
【0094】
本実施形態において、絞りギャップ21Gと水迂回流路部251とは、水流入口31に供給圧力を例えば0.2MPaにて水を供給したとき、水流出口106からの噴射流量が6〜12リットル/分となるように各々寸法調整されている。例えば、図6により開示した主要部各部の具体的寸法を、例えば次のように定めることができる。
(図4)
・流路本体部26: 内径d=8.6mm
・準備絞り機構30の縮径部32: 内径d2=3mm、長さ=16mm
・準備絞り機構30の導入部31A: 内径d=25.4mm
(図6)
・衝突部材22: ねじ外径:M4.8、流路内突出高さ:3.1mm
・減圧空洞221: 内径d:2mm、深さH:4.5mm(H/d=2.5)
・対向衝突部材23: ねじ外径:M3.8、流路内突出高さ:2.2mm
先端縮径部:底角θが45゜の円錐形
減圧空洞221に対する侵入深さk:約0.2mm
・絞りギャップ21Gのギャップ中心Qのオフセット距離λ:約0.6mm
・ギャップ流通間隔β:0.57mm
【0095】
上記の寸法関係において、水流入口31に供給圧力0.2MPaにて37℃の温水を供給したとき、水流出口106からの噴射流量は約9リットル/分である。以下、上記の寸法条件及び供給圧力条件にて、市販の熱流体解析ソフトウェア(EFD.Lab、株式会社構造計画研究所製)により、気泡微小化ノズル21内の流速及び圧力分布に関するシミュレーションを行なった。なお、絞りギャップ21Gについては、上記の寸法条件の他、衝突部材22の流路内への突出高さを上記寸法に固定し、対向衝突部材23の突出高さを変更することで、ギャップ流通間隔βを0.07mm及び1.07mmとした場合の流速分布シミュレーションも同様に行なっている。図7は、左から順に、ギャップ流通間隔βを0.07mm、0.57mm及び1.07mmとした場合の衝突部材22と対向衝突部材23との相対位置関係を示している。
【0096】
図8の下は、ギャップ流通間隔βを0.57mmとした場合の絞りギャップ21G内部及びその周辺の流速分布のシミュレーション結果を示すものである。対向衝突部材23の縮径部先端付近にて流速は32m/秒に達しており、絞りギャップ21G内部も多数の流跡線が通過していることがわかる。さらに、縮径部の外周縁付近を回りこむ流れも顕著に生じており、流速は24〜30m/秒の値となっている。さらに、衝突部材22及び対向衝突部材23の下流側にも15〜21m/秒の高流速域(回り込み乱流:後述の負圧域に対応)が顕著に生じている。
【0097】
他方、図8の上は、ギャップ流通間隔βを0.07mmとした場合の同様のシミュレーション結果を示すものである。ギャップ流通間隔βが小さいため、絞りギャップ21G(図3)内部への流跡線通過数は減少しており、また、絞りギャップ21Gを通過する水流の最大流速も12m/秒程度である。他方、縮径部の外周縁付近を回りこむ流れはより顕著となり、くびれギャップ部21nに近い位置で流速は30m/秒を超えるほか、縮径部の外周縁付近での流速は24〜27m/秒程度である。
【0098】
図9は、ギャップ流通間隔βを0.07mmとした場合のシミュレーション結果を三次元的に示すものである。衝突部材22及び対向衝突部材23の下流側に大きな渦流(第一の渦流SW1)が表れているが、レイノルズ数による後述の解析結果から、実際には乱流化していることが確実である。絞りギャップ内にて縮径部先端付近の流速は9〜12m/秒である。第二の渦流SW2は、絞りギャップを挟み衝突部材22と対向衝突部材23との双方にまたがって、高さ方向に広がる形で形成されている。
【0099】
図10は、ギャップ流通間隔βを0.57mmとした場合のシミュレーション結果を三次元的に示すものである。絞りギャップ内及びその直下流領域の流速が大幅に増大し、減圧空洞221内の第一の渦流SW1がより顕著化している。絞りギャップ内にて縮径部先端付近の流速は23〜30m/秒である。
【0100】
図11は、ギャップ流通間隔βを1.07mmとした場合のシミュレーション結果を三次元的に示すものである。絞りギャップ直下流側の高流速領域が衝突部材22及び対向衝突部材23の対向方向にさらに広がり、減圧空洞221内の第一の渦流SW1はさらに流量を増している。絞りギャップ内にて縮径部先端付近の流速は23〜28m/秒である。
【0101】
図9〜図11のいずれのケースにおいても、衝突部材22に到達する直前の流速は、上記シミュレーション結果から少なくとも15m/秒前後に達していることがわかっており、衝突部材22の外径Dを4.8×10−3m、流速Uを15m/秒、水温10℃を想定した水の動粘性係数νを1.31×10−6/秒として、衝突部材22に関するレイノルズ数Re(=D・U/ν)を算出すると、
Re=(4.8×10−3)×15/(1.31×10−6)=54961
となる。これは、衝突部材22の周囲の水流が乱流化するためのレイノルズ数Reの目安(約1500)をはるかに超えた値であり、衝突部材22ひいては対向衝突部材23の直下流域では、上記レイノルズ数に対応した極めて激しい回り込み乱流が三次元的に生じていることを意味する。
【0102】
衝突部材22(及び対向衝突部材23)の外径は1〜5mm程度の範囲で調整が可能であり、その下限値を採用した場合のレイノルズ数Reは11450程度である。また、水流入口31への供給圧力は、通常の水道水圧力を考慮した場合0.1MPa〜0.8MPa程度の広がりを有し、衝突部材22に到達する直前の流速Uも上記値(15m/秒)の0.5倍〜4倍程度(7.5〜60m/秒)の範囲で変動しうるので、衝突部材22の周囲におけるレイノルズ数Reも5000〜200000の間の種々の値となりうる。いずれにしろ、衝突部材22の周囲の水流が乱流化するための条件Re>1500を充足していることには変わりがない。
【0103】
また、図12は、ギャップ流通間隔βを0.57mmとした場合の、絞りギャップ21G内部及びその周辺の圧力分布のシミュレーション結果を示すものである。この結果から判明することは以下の通りである。
・減圧空洞内の負圧レベルはほぼ全域に渡って0.05MPa超である。
・絞りギャップ内の負圧レベルは0.07MPa以上であり、特に対向衝突部材の縮径部の先端付近から下流側に向けて0.09MPa超(ひいては、理論上限値である0.1MPa(1気圧))の領域が顕著に形成されている。
・絞りギャップ及び衝突部材の下流側には、流路断面に渡る負圧域が、衝突部材22の外径の2〜3倍程度の区間に渡って形成されており、特に、絞りギャップ及び衝突部材22の直下流域には0.05MPa超の顕著な負圧域が衝突部材22の外径の1〜1.5倍程度の区間に渡って形成されている。つまり、流路FP内にて回り込み乱流CFの発生空間の大部分が負圧状態になっていると考えられる。図13は、流路中心軸線に沿った圧力変化をグラフ化して示すものであり、絞りギャップ位置にて0.1MPa付近の最低負圧レベルを示し、その後も相当長にわたって負圧状態が継続していることがわかる。
【0104】
従来の技術では、ベンチュリ等の単純な絞り機構の採用により、キャビテーションに必要な流速を得ることに主眼が置かれていた。そして、流速が一定以上に大きければ、析出発生した気泡同士の衝突確率も高まり、微小気泡への粉砕も自然に進むであろうとの考え方が根底にあるように思われる。一方、特許文献1ではさらに、翼体により流れをガイドしてマクロな旋回流を発生させる技術が採用されているが、これも、旋回流化することで流速を増加させ、さらに流れを回転させることで、つまるところ気泡衝突確率を増加させることを狙った技術である点に何ら変わりはない。しかし、中空で実態のない気泡の場合は、固体粒子同士を衝突させて微粉砕するのと異なり、衝突を起こしたからといってより微小な気泡への粉砕が促進されるとは限らず、むしろ、図17に示すように、衝突した気泡BM同士が合体して粗い気泡BCに成長してしまう可能性の方が高くなる。ここに、技術上の1つの落とし穴が存在する。
【0105】
本発明では、衝突部材22を用いて絞りギャップ21Gを形成することにより、絞りギャップ21Gにて負圧を発生させるにとどまらず、衝突部材22に高速で衝突させ下流側に回り込ませることで激しい乱流を三次元的に発生させ、それによって絞りギャップ21Gの直下流域に多数の小渦流を密集して形成することによりこの問題を解決した。具体的には、上記のシミュレーション結果から、気泡微小化ノズル21内にてどのような現象が起こっているかを、凡そ次のように推定できる。すなわち、準備絞り機構30(図2)の通過により、図14のAに示すように、水流WFは、10〜20m/秒前後に増速された形で絞りギャップ21Gに向けて流れ込む。他方、図3に示すように、絞りギャップ21Gを形成する衝突部材22及び対向衝突部材23は、流路壁部25との間に、ぶつかった水流WFを迂回させる水迂回流路部251を形成している。つまり、絞りギャップ21Gの外周縁が水迂回流路部251に開放していることで、ギャップ通過時の流体抵抗が過度に増加せず、結果として図8に示すように、該絞りギャップ21Gを水流WFは25m/秒を超える高速で通過することができる。これにより、絞りギャップ21G内及びその下流の広い領域にわたって0.05MPaを超える強い負圧域が発生し、水流中の溶存気体が析出して気泡BMが多量に発生する。
【0106】
一方、図15に示すように、衝突部材22にぶつかって水迂回流路部251を通過した水流WFは衝突部材22の下流側に回りこみ、前述のレイノルズ数Reのレベルから想定される大流量で激しい乱流CFを形成する。これにより、衝突部材22の下流側では、その全域にわたって微小な渦流SWE(乱流)が極めて高密度に形成される。また、渦流SWEの発生密度が高くなることで、負圧域は、絞りギャップ21G内部のみでなくその下流側にも立体広角的に大きく拡がって形成される。従って、図14のCに示すように、析出気泡BMを含む絞りギャップ21Gの通過流は、ギャップ下流側の負圧域にてさらに気泡析出を継続しながら多数の渦流により撹拌を受けることとなる。また、絞りギャップ21Gの周縁領域は、図18(図15のJ−J断面)に示すように楔状断面を有し、かつ図3に示すように空間外周側が水迂回流路部251に開放する円環状のギャップ周縁空間251nを形成し、特に、縮径部23kの外周面の、水流方向に関し絞りギャップ21Gの両側に位置する部分も補助的なギャップとして機能する。従って、この補助的なギャップを通過する水流にもキャビテーションを生じ、発生した気泡BMが出口側で渦流SWEに巻き込まれ粉砕されるので、微小気泡の発生効率がさらに向上する。
【0107】
乱流化により発生する個々の渦流SWEは、渦外周よりも中心のほうが圧力が低いので、渦流SWEの周囲の流れを渦中心に引き込むように作用する。乱流下では上記のごとく、細かい多数の渦流SWEが三次元的に密集して形成されるので、図16の上に示すように、絞りギャップ通過時のキャビテーション効果により析出・成長した気泡BMは、複数の渦流SWEによる立体的な配位を常に受けた状態となる。各渦流SWEは気泡BMに対し、それぞれ自身の中心に向けて吸引力を作用させるので、図16の下に示すように、気泡BMはそれら周囲の渦流SWEにより四方八方に吸い込まれていわば「八つ裂き」状態となり、微小気泡BFへの粉砕が促進されるとともに気泡径の平均化が進行する。つまり、析出した気泡BM同士を衝突させて粉砕するというよりは、各々吸引力を有した多数の小渦流SWEにより取り囲み、互いに異なる複数方向に引きちぎるイメージである。また、負圧域がギャップ下流側にも大きく広がっていることで、一定レベル以上に成長した気泡粒子がこの負圧によって膨張し、破裂して微小化する効果も期待できる。
【0108】
また、図19に示すごとく、衝突部材22(あるいは対向衝突部材23)の外周面は、本実施形態では雄ねじ部22t(23t)となっているが、個々の部材の外周面が平滑な円筒面ではなくねじ面となっていることも、乱流の発生効率を高める上で貢献している。すなわち、衝突部材22ないし対向衝突部材23は中心軸線が水流方向にほぼ直角となる位置関係で立設されているので、その外周面に形成されたねじ山(水流剥離凹凸部)22mは、衝突部材の軸線を法線とする仮想面VPに対して一定の傾斜角φ(例えば2゜以上15゜以下)を有している。この仮想面VPと平行な向きにて衝突部材に向け水流WFが流れ込むと、該水流方向に対して傾斜した複数のねじ山22mを横切って衝突部材の下流側に回り込む。このとき、水流WFが一方の谷側から反対の谷側へねじ山の稜線部22bを乗り越える際に、乱流化に貢献する水流剥離が生じやすい。なお、図20に示すように、水流剥離凹凸部を衝突部材22(ないし対向衝突部材23)の軸線方向に沿うセレーション部22Sとして形成することも可能である。
【0109】
また、この実施形態において重要な点は、衝突部材22の先端に絞りギャップ21Gに面する形で減圧空洞221が形成されている点である。該減圧空洞221により次のような作用・効果が期待できる。
・上述のシミュレーション結果からも明らかな通り、減圧空洞221内は全域が0.05MPaを超える高負圧域となっており、キャビテーションのよる気泡析出が促進されるとともに、析出した気泡の膨張による破裂も起こりやすいので、気泡の微小化に寄与する。
【0110】
・減圧空洞221が水流中で共振することにより超音波帯共鳴波が発生し、気泡析出のためのキャビテーションと、共鳴振動による気泡粉砕が促進される。要因としては、次のような機構が考えられる。図6に示すように、減圧空洞221に臨む対向衝突部材23の先端部が縮径していることで、該先端部に沿って乗り上げる水流は、前述のシミュレーション結果からも明らかな通り、30m/秒を超える高速で減圧空洞221内に進入し、減圧空洞221の内壁面間で多重反射を繰り返す。この水流の多重反射により、減圧空洞221の形状から定まる固有周波数にて超音波帯共鳴波が励起こされる。例えば、減圧空洞221の内径dを2mm、水中での音速cを1500m/秒と仮定すれば、空洞半径方向の振動の固有周波数は、多少粗い近似ではあるがc/2dのほぼ整数倍とみなすことができる(音響工学原論(伊藤毅著、昭和30年)p.270〜271、コロナ社)。これにより、その最低次振動の周波数は約375kHzと計算でき、超音波帯振動となることがわかる。
【0111】
また、使用する衝突部材22の外径Dと流速Vのレベルから、レイノルズ数Reの範囲は前述のごとく5000〜5000〜200000程度であり、カルマン渦振動の周波数fを推定するためのストローハル数Stはほぼ0.2程度で一定していると考えられる。この場合、流速を15m/秒、外径Dを4.8mmとして、
f=St・U/D ‥ (2)
から周波数fを算出すると625Hzとなり、超音波帯振動からは程遠いとなる。しかし、衝突部材22が形成する構造体は、減圧空洞221の開口位置で絞りギャップ21Gの形成により途切れており、対向衝突部材23の先端部の外径は減圧空洞221に近づくにつれ無限小の極限値に向けて縮小していると見ることができる。また、絞りギャップ21Gでの流速は、前述のシミュレーション結果によると30m/秒前後であるが、対向衝突部材23の先端部近傍では実際の流速はさらに大きくなっている可能性が高い。
【0112】
つまり、対向衝突部材23の先端部近傍つまり減圧空洞221の開口付近ではDが大きく縮小し、他方、Uは大幅に増大するので、式(2)にて計算されるカルマン渦振動の周波数fが超音波帯レベルにまで高められるものと考えられる。他方、絞りギャップ21Gの位置では実態的な障害物そのものは存在しないので、絞りギャップ21G近傍の流れの状態に応じて、超音波帯の種々の周波数にてカルマン渦振動が発生していると考えられ、このうち、減圧空洞221の固有振動数に近いものが選ばれて共鳴振動が発生すると考えられる。
【0113】
次に、加圧流入側気泡微小化ノズル315においては、ノズル通路226から吸引されたオゾンが気泡となって水流に混入し、これが絞りギャップ21G内にて、上記した減圧流出側気泡微小化ノズル21と全く同様の機構、すなわち、回り込み乱流CFと減圧空洞221の作用により速やかに微粉砕される。また、ノズル通路226を該減圧空洞221内に開口させることで、減圧空洞221内の大きな負圧により外気吸引力が増強される効果もある。こうして、供給されたオゾンは効率よく微細化されて加圧溶解タンク310内に供給されるので、加圧溶解タンク310内でのオゾン溶解効率が飛躍的に向上する。このとき、供給されたオゾンの一部が粒径1μm未満のオゾン微小気泡に粉砕されることもありえる。また、オゾン微小気泡含有水が循環供給される場合のように、絞りギャップ21Gに到達する水が溶存オゾンを含有している場合は、減圧流出側気泡微小化ノズル21と全く同様に、溶存オゾンが析出してオゾン気泡BMが生じ、これが回り込み乱流CFに巻き込まれてオゾン微小気泡に粉砕される。粒径1μm未満のオゾン微小気泡BFは、加圧溶解タンク310内で加圧されたとき、微小気泡状態(もしくは水和物を形成した状態)、すなわち非溶解状態を保持している可能性もあり得る。この場合は、非溶解のオゾン微小気泡は加圧溶解タンク310を通過するにも関わらず、気泡状態を維持した状態で循環継続する可能性がある。
【0114】
以下、図1のオゾン微小気泡含有水製造装置1の動作について説明する。制御部2は、図21のフローチャートが示す流れに従い、オゾン濃度計16が検出するオゾン濃度と、加圧溶解タンク310内の圧力センサ330の圧力検出値を参照して、圧力バルブ316、オゾン供給流量調整バルブ11、流量調整バルブ12、供給水切替バルブ15及びバイパス切替バルブ8等の動作を以下のように制御する。まず、水流出間12上の圧力バルブ316を閉状態とし、加圧溶解タンク310の出口側を塞ぐ。続いて、供給水切替バルブ15を原料水の供給側(J)とし、循環管路313上のバイパス切替バルブ8を供給水切替バルブ15側(Q)とし、切替バルブ9を循環管路313側(Q)とする(S1)。また、加圧溶解タンク310の上部から未溶解オゾンをオゾンチャンバ10に回収するオゾン戻り管路310L上の戻り流量調整バルブ12も閉状態とされている。
【0115】
次に、S2ではポンプ301とオゾナイザ16の動作を開始する。これにより、原料水が水供給管311,311Bを経てポンプ301の吸引側へ流入する。そして、原料水が水供給管311B上の加圧流入側気泡微小化ノズル315を通過する際に、オゾナイザ16で発生したオゾンが、オゾンチャンバ10及びオゾン供給配管16Lを経て該ノズル315に供給される。図5に示す加圧流入側気泡微小化ノズル315においては、衝突部材22にノズル通路226が形成されており、オゾナイザ16からのオゾンガスがノズル通路226を経て絞りギャップ21Gに吸引・供給され、前述のごとく微粉砕されてオゾン微小気泡含有水となってポンプ301により加圧溶解タンク310へ圧送される。なお、図1のシステム構成では、流入側マニホルド3と流出側マニホルド4とにより水供給管311が複数の中間配管311Bに分岐され、それら中間配管311Bのそれぞれに加圧流入側気泡微小化ノズル315が設けられているので、同様に分配形成されたオゾン供給配管16Lによりオゾンが各加圧流入側気泡微小化ノズル315に個別に供給され、オゾン溶解効率がさらに高められている。なお、各オゾン供給配管16L上のオゾン流量は、この時点ではオゾン供給流量調整バルブ11の開度を、あらかじめ定められた初期値(例えば全開でもよい)に維持することで、一定値に保持されている。
【0116】
この時点で、加圧溶解タンク310の出口側、つまり、水流出管312上に設けられた圧力バルブ316は閉状態になっており、また、オゾン戻り管路310L上の流量調整バルブ12も閉状態になっている。つまり、タンク内の液体と、液面上方空間を満たす気体(水供給前にタンク内を満たしていた空気及び供給されたタンク内液体中を浮上する未溶解ガス)とは、いずれも出口が塞がれた状態になっていることから、加圧溶解タンク310内にオゾン気泡が導入された原料水が圧送されれば液面上昇に伴いタンク内の圧力は上昇し、気泡状態で供給されたオゾンの溶解が進行する。オゾン溶解量はタンク内の圧力が上昇するほど増加する。
【0117】
なお、オゾナイザ16では、供給された酸素の全てがオゾン化されるわけではなく、供給酸素総量に対しオゾン化効率が重量比にて0.5%以上15%以下程度であるのが通常である。従って、加圧流入側気泡微小化ノズル315にて原料水に導入されるガスは0.5重量%以上15重量%程度がオゾンであり、残部が酸素の混合ガスとなる。他方、常温での水に対するオゾンの溶解量は重量比にて酸素の17倍もあり(例えば、0℃の水では、常圧での飽和オゾン濃度が1400ppmであるのに対し、酸素は85ppm程度)、導入された混合ガスはオゾンが優先的に溶解する。加圧流入側気泡微小化ノズル315では気泡の微小化が著しいためオゾンの溶解効率が高く、溶存オゾン濃度が飽和に到達するまでは、供給したオゾンのほとんどがタンク内の水に溶解するとともに、液面に浮上する未溶解ガスは大半が酸素になるものと推測される。
【0118】
加圧溶解タンク310内の水位が上昇し、圧力センサ330が検出するタンク内圧が設定値(2kg/cm以上20kg/cm以下の範囲内で適宜設定される(例えば、10kg/cm))に接近すると、水流出管312上の圧力バルブ316を徐々に開き、また、オゾン戻り管路310L上の流量調整バルブ12を徐々に開くとともに、タンク内圧が上記設定値を維持するように、各バルブ316,12の開度を調整する。これにより、オゾンが溶解した加圧溶解タンク310内の水(つまり、オゾン含有水)は、減圧しつつ水流出管312及び減圧流出側気泡微小化ノズル21を通過して主タンク319内に噴出する。主タンク319は大気開放されており、減圧流出側気泡微小化ノズル21では溶解していたオゾンが気泡形態に減圧析出しつつ、すでに説明した機構によりオゾン微小気泡に粉砕され、オゾン微小気泡含有水となって主タンク319に貯留される。オゾン微小気泡の平均粒径は1μm以下(例えば5nm以上700nm以下、望ましくは5nm以上400nm以下:レーザー散乱式粒度分布計、あるいは動的レーザー散乱式粒度分布計により測定可能)とすることができる。
【0119】
主タンク319内に流入したオゾン微小気泡含有水は流出管路320及び循環管路313に流れ込む。しかし、この段階ではバイパス切替バルブ8は供給水切替バルブ15(Q)側となっており、供給水切替バルブ15は原料水受け入れ側になっているので、オゾン微小気泡含有水の循環はこの位置で遮断される。その間、新たな原料水に基づく主タンク319へのオゾン微小気泡含有水の流入は継続するので、主タンク319内の水位は上昇する。そして、図21のS3にて、主タンク319内の液面センサ6が水位の上限を検知するとS4に進み、供給水切替バルブ15が循環管路313側(J)に、また、バイパス切替バルブ8がバイパス管路314側(Q)側に切り替える。これにより、水供給管311への原料水の流入が遮断され、主タンク319からのオゾン微小気泡含有水は循環管路313からバイパス切替バルブ8及びバイパス管路314を経て、すなわち、供給水切替バルブ15をバイパスする形で水供給管311に流入する。これにより、オゾン微小気泡含有水はオゾン導入部16Jに戻される形で循環を開始する。
【0120】
循環に際しては、オゾン微小気泡含有水は加圧流入側気泡微小化ノズル315にて新たなオゾンが気泡の形で導入され、粉砕されるとともに、オゾン微小気泡含有水に既に存在している微小気泡も該ノズル315にてさらなる粉砕を受ける。そして、加圧溶解タンク310に流入することで、粉砕された気泡(オゾン、又はオゾン+酸素)は再度溶解する。他方、オゾン微小気泡の一部は、前述のごとく加圧溶解タンク310内で加圧を受けても溶解せず、気泡状態を保持する可能性がある。
【0121】
このようにオゾン微小気泡含有水の循環を継続すると、新たなオゾンが導入されている分だけ水中に含まれるオゾン量は上昇するので、オゾン濃度計16が検出するオゾン濃度も増加する。図21のS5では、そのオゾン濃度Cをモニタリングし、設定値Cと比較を行なう。C≦CであればS6に進み、供給水切替バルブ15を循環管路313側(J)に、バイパス切替バルブ8をバイパス管路314側(Q)側に維持する。そして、オゾン供給流量調整バルブ11(さらには、流量調整バルブ12)の開度をCが設定値Cを維持するように調整する。一方、C>CであればS7に進み、切替バルブ9を排水管路321側(Q)とし、供給水切替バルブ15をJ側、バイパス切替バルブ8をQ側として、オゾン濃度が過剰となったオゾン微小気泡含有水を排水管路321側へ排出しつつ、新たな原料水を導入することにより循環中のオゾン微小気泡含有水を希釈して、オゾン濃度が設定値Cに近づくように制御を行なう。なお、製造されたオゾン微小気泡含有水は、主タンク319に設けられた取出口373から取り出すことができるようにしてある。
【0122】
S8では、ふたたび主タンク319内の液面センサ6の検知状態を確認し、排水ないしオゾン微小気泡含有水の取り出しにより液面が低下していた場合はS1に戻り、原料水供給段階から以下の処理を繰り返す。また、液面が低下していない場合はS5に戻り、循環運転にかかる以下の処理を繰り返す。
【0123】
このようにして製造されたオゾン微小気泡含有水は、水道水や純水など、淡水(総溶解固形分の含有量が1000ppm未満:一般水道水であれば100ppm未満)を原料水として用いても、粒径の小さいオゾン微小気泡を高濃度に含んだものとなる。図22は、製造されたオゾン微小気泡含有水を、ホースTBの先端に取り付けた噴霧ノズル421から水流WJの形で、飲食店の厨房フロアFLに向け噴射して使用する例を示している。これにより、床汚れの除去、除菌あるいは消臭に著しい効果が達成され、かつ、床面や、厨房器具類に塩分が残留すること、ひいては錆等の塩害が引き起こされる問題も皆無である。なお、食品工場、青果市場、魚市場あるいは鮮魚販売店など生鮮食料品取り扱い場の床洗浄等にも全く同様にして使用することができる。
【0124】
また、上記のオゾン微小気泡含有水は、水揚げ後の魚介類の消毒液として使用することが可能である。具体的には、鮮魚をオゾン微小気泡含有水中で養生するか、あるいはスプレー等で噴霧して鮮魚に吹きかけることにより、あるいは、氷詰め輸送用の発泡スチロール容器の内部に鮮魚及び氷とともにオゾン微小気泡含有水を適量封入することにより、魚体表面の腐敗菌が死滅し、ぬめりや生臭みの発生も大幅に低減することができる。これにより、鮮魚類の消費期限を延長することができる。また、鮮度保持期間内に輸送できる距離が長くなり、空輸手段に頼らずとも新鮮な魚介類を比較的遠方まで届けることができるようになる。
【0125】
なお、オゾン微小気泡含有水は、含有オゾンの高濃度化が可能であり、かつオゾン濃度の持続時間が長いので、噴霧して使用することも可能である。溶存型の通常オゾン水は噴霧すると、液滴中の溶存オゾンが直ちに分離・揮散し、殺菌や消臭の効果を発揮する前にオゾンが消失しやすいが、オゾン微小気泡含有水は気泡径が非常に小さく、また、気泡中のオゾンが安定化しているので、液滴内に多数のオゾンナノバブルを封じ込めることができる。そのため、通常のオゾン水では噴霧時にすぐ分離してしまうオゾンも、ナノバブルであれば噴霧しても酸化能力換算で80%を維持できるとの言及もある。オゾン微小気泡含有水の液滴は、溶存オゾンと水との反応に伴うヒドロキシラジカルの発生と、ナノバブルからの気体オゾンの直接放出との2つのメカニズムにより、より強力な殺菌・消臭能力を発揮できると考えられる。
【0126】
例えば、魚介等の生鮮食料品に適用する場合、洗浄水の形で食品をこれに浸漬して使用するのではなく、ノズル等からスプレー状に噴霧して、食品表面を軽くぬらす程度であっても相当の殺菌効果を挙げることができる。当然、淡水ベースのオゾン微小気泡含有水であれば味の変化を引き起こさないので、精肉類(ブロック、角切り、薄切り等)に使用することも可能である。例えば、魚介や肉などの生鮮食料品は、食品ないしその容器にオゾン微小気泡含有水を噴霧してからパック詰めを行えば、容器や食品をぬらしているオゾン微小気泡含有水から密閉容器内にオゾンが徐々に放出され、長時間にわたって容器内をオゾンで満たされた状態で殺菌状態に保つことができるので、消費期限の延長等に寄与する。また、魚の切り身などをオゾン水に直接浸漬すればうまみ成分等の流出が問題になるケースがあるが、噴霧であればそのような流出は最小限にとどめることができる。
【0127】
また、魚介、精肉さらには生鮮野菜などの食品輸送に使用するトラックやコンテナの庫内に、オゾン微小気泡含有水をドライミスト化して噴霧すれば、庫内を常に清潔な状態に保つことができ、衛星管理上の信頼性を大幅に高めることができる。また、庫内の食品の鮮度が落ちにくくなるので、輸送距離(日数)を延ばすことができ、また、冷凍輸送でなければ対応できなかった地域にも、冷蔵便で十分な鮮度を保ちつつ食品を配送できるようになる。この場合、輸送手段には、オゾン微小気泡含有水のタンクと噴霧装置を搭載すればこと足り、大掛かりなオゾン発生器を設ける必要はまったくない。さらに、オゾン微小気泡含有水特有の温和なオゾン放出挙動により、庫内のオゾン濃度が急激に上昇したりオゾン臭が濃密に充満する、といった心配も発生しにくくなる。
【0128】
次に、図1の構成のオゾン微小気泡含有水製造装置1において、オゾン微小気泡含有水を回収する主タンク319を被洗浄物保持部に置き換えれば、物品洗浄装置を容易に構成できる。その被洗浄物保持部にて被洗浄物にオゾン微小気泡含有水NBWを噴射又は噴霧することにより、又は被洗浄物をオゾン微小気泡含有水NBWに浸漬するか、あるいは該オゾン微小気泡含有水NBW中にて撹拌することにより被洗浄物を洗浄することができる。図23は、その一例を示す物品洗浄装置100であり、図1の主タンク319を、オゾン微小気泡含有水を収容保持する洗浄槽301に置き換えたものに相当する。該洗浄槽301内にてオゾン微小気泡含有水NBWに被洗浄物を浸漬しつつこれを洗浄することができ、洗浄効率を高めることができる。循環管路313は、該洗浄槽301とオゾン微小気泡含有水製造装置1とを連通接続する形で設けられ、オゾン微小気泡含有水循環機構を構成する。該物品洗浄装置100の要部の構成及び動作は、図1のオゾン微小気泡含有水製造装置1とほぼ同様であるので、以下に、その相違点を中心に説明する。
【0129】
主タンク319に代えて設けられた洗浄槽301には、槽内にオゾン微小気泡を偏りなく供給するために、加圧溶解タンク310からの水流出管312の末端が複数の分岐流出管312Bに分岐し、各々その途上に減圧流出側気泡微小化ノズル21が設けられるとともに、それらの各末端が洗浄槽301内部の各所に挿入され、各々オゾン微小気泡含有水NBWを槽内に洗浄水として噴出するようになっている。該槽内にて被洗浄物が洗浄されるとともに、槽内の洗浄水をオゾン導入部16Jとの間で循環させる循環管路313上には、被洗浄物からの脱落物や破片など、洗浄に伴い発生する異物をろ過するためのフィルタ318が設けられている。
【0130】
オゾン濃度計16は洗浄槽301に取り付けられ、槽内のオゾン微小気泡含有水のオゾン濃度を検出するようになっている。また、供給水切替バルブ15及びバイパス切替バルブ8をバイパスする形で、循環管路313と水供給管311とにまたがるリーク管路374が設けられており、その途上にリークバルブ14が設けられている。両バルブ15及び8の切り替え動作時等において、リークバルブ14の閾圧を超える衝撃流が発生した場合は、リーク管路374側に水圧がリークして流れ、バルブ15及び8が保護されるようになっている。なお、槽底部からは排水管319が設けられ、その途上に設けられた排水バルブ320を開放することにより内部の洗浄水が全排出されるようになっている。
【0131】
図24は、その洗浄槽301を野菜洗浄槽として構成した例を示す(つまり、図23に該野菜洗浄槽301を組み込むことで、全体として野菜洗浄機が構成されることとなる)。該野菜洗浄槽301は横長に形成され、深さ方向の途中位置には、網やパンチングメタル等で構成されたフィルタ板350が設けられ、槽内が上下に二分されている。そして、そのフィルタ板350の下方には、槽長辺方向の側壁部を貫通する形で分岐流出管312Bが、各々槽短辺方向に延出する形で、槽長辺方向に所定の間隔で配列している。各分岐流出管312Bの上面にはオゾン微小気泡含有水NBWの水流を噴出させるためのノズル孔351nが所定の間隔で複数形成されている。また、槽の側壁部(この実施形態では後端側の側壁部)上方には循環管路313が連通し(その排水開口部は、防護ネット313Nにより覆われている)、槽内の洗浄水(オゾン微小気泡含有水NBW)をオーバーフロー形態で流出させるようになっている。
【0132】
他方、槽内の長辺方向後部にはモータ354により駆動される排出コンベア352が設けられ、その前端側がフィルタ板350の上面に対向する形で槽内を満たす洗浄水の液面下に没する一方、後端側は上り勾配形態で水面上に伸び、水平な回収部がこれに続く形で形成されている。水面に浮かぶ洗浄済みの被処理物(野菜)VBは、水流あるいは手作業により排出コンベア352側に誘導することで上り勾配形態のコンベア前端部上面に乗り上げ、その後、後端側の水平部まで搬送される。
【0133】
洗浄槽301内を、淡水ベースのオゾン微小気泡含有水NBWからなる洗浄水で満たし、ここに被洗浄物VB(野菜又は果物)を投入する。被洗浄物フィルタ板350の下側に配置された分岐流出管312Bのノズル孔351nからはオゾン微小気泡含有水NBWが噴出する。すると、多量のオゾン微小気泡を含有した水流WJが水面に浮かぶ被洗浄物に向けて吹きつけられる。水面上の被洗浄物VBは噴出する水流WJにより水面上で回転しながら、これに含まれるオゾン微小気泡のアタックを受ける。被洗浄物VBの表面に付着した汚れや微生物は、微小気泡の界面に蓄積された電荷による静電的な吸引力に引き寄せられ、また、強固に付着した汚れも、気泡消滅時の衝撃力や電荷解放に伴う熱発生により被洗浄物表面からのひきはがしや、化学的な分解が進行する。また、引きはがされた汚れは、微細気泡に取り囲まれて速やかに水面に浮上し、オーバーフローする洗浄水とともに排水開口部へ流し出される。
【0134】
また、微生物は、被洗浄物VBの表面に付着した状態であれ、また、該表面からひきはがされた状態であれ、洗浄水中の溶存オゾンないし気泡中のオゾン、さらには、そのオゾンに基づいて発生する活性種(たとえば、ヒドロキシラジカル:特に、気泡消滅時の電荷解放に伴い、気泡周囲で多量に発生するといわれている)のアタックを受けて速やかに死滅する。
【0135】
例えば、図25に示すように、被洗浄物VBがキャベツや白菜などの場合、重なり合った葉LFの隙間にも洗浄水に含まれる多量のオゾン微細気泡は水流WJとともに万遍なく速やかに浸透する。また、図26に示すように、表面が微毛SHに覆われた被処理物VB(例えば、モモ、オクラ、枝豆など)の場合も、微毛SHの隙間を含め表面の起伏の細部にまで浸透するので、非常に高レベルの洗浄効果を享受することができるようになる。
【0136】
上記の物品洗浄装置100は、いわば図1のオゾン微小気泡含有水製造装置1がオゾン微小気泡含有水供給部として機能し、該オゾン微小気泡含有水製造装置1からのオゾン微小気泡含有水NBWが被洗浄物保持部をなす洗浄槽301に直接供給されているとみることができる。また、洗浄槽301(被洗浄物保持部)に供給されたオゾン微小気泡含有水NBWは循環管路313を介してオゾン導入部16Jに戻される(つまり、オゾン微小気泡含有水製造装置1の原料水として該オゾン微小気泡含有水製造装置1に戻すオゾン微小気泡含有水循環機構が実現している)。なお、洗浄水の清浄度を保つため、オゾン導入部16J側に新たな原料水を供給しつつ、洗浄槽301からのオゾン微小気泡含有水NBWは、その一部を排水しつつ、残余の部分のみをオゾン導入部16J側に戻すように構成してもよい。
【0137】
次に、図27は洗浄槽301をカット野菜洗浄槽として構成した例を示す。カット野菜洗浄槽301は横長に形成され、槽の上部は開放形態であるが、その上面開口内側には被洗浄物であるカット野菜CUを搬送するための洗浄コンベア352(モータ354により搬送駆動される)が配置されている。この実施形態では、加圧溶解タンク310(図23)からの水流出管312上において、分岐流出管312Bへの分岐点より上流側前に単一の減圧流出側気泡微小化ノズル21が設けられている。水流出管312は洗浄槽301の上方にてその長手方向に沿って延びる延長部312Eを有し、該延長部312Eに沿って、槽幅方向(短辺方向)にそれぞれ伸びる複数の分岐流出管312Bが所定間隔で分岐形成されている。各分岐流出管312Bは下面が洗浄コンベア352の上面(ひいては、該コンベア上に載置されるカット野菜CU)に対向するとともに、該下面にオゾン微小気泡含有水NBWの水流WJを噴出させるためのノズル孔351nが所定の間隔で複数形成されている。また、槽の側壁部には循環管路313が連通し(その排水開口部は、防護ネット313Nにより覆われている)、槽内の洗浄水(オゾン微小気泡含有水NBW)を流出させるようになっている。
【0138】
洗浄コンベア352上に被洗浄物をなすカット野菜CUを載せて搬送しつつ、オゾン微小気泡含有水NBWを水流出管312に供給すると、オゾン微小気泡含有水NBWは分岐流出管312Bのノズル孔312nからはオゾン微小気泡含有水NBWが水流WJとなって噴霧され、コンベア上のカット野菜CUを洗浄する。オゾン微小気泡含有水NBWは、その殺菌能力が高いため洗浄時間の短縮が可能であり、また、流水中への浸漬ではなくシャワー噴霧による洗浄でも十分な殺菌効果が期待できる。従って、上記のようなカット野菜CUの洗浄に用いても、水溶性の栄養分(例えばビタミンCなど)が洗浄時に流出することを抑制できる。
【0139】
図28は、カット野菜用の洗浄槽301の別の構成例を示す図である。該構成では、カット野菜CVを収容する洗浄バスケット360が槽内に封入されている。該洗浄バスケット360は、金網など、バスケット内部への水流の侵入を許容する透液性構造を有する壁部に囲まれた筒状に形成され、筒軸線周りに回転可能に支持されている。また、水流出管312から分岐するとともにノズル孔312nを有した分岐流出管312Bが、洗浄バスケット360の回転軌跡と干渉しない位置にて槽内に配置され、洗浄バスケット360の周側面に向けてオゾン微小気泡含有水NBWの水流WJを噴射するようになっている。モータ361により洗浄バスケット360を回転させながらオゾン微小気泡含有水を噴射することにより、バスケット内のカット野菜CVは回転により撹拌されながらオゾン微小気泡含有水により洗浄される。
【0140】
また、図29は、図28の洗浄槽構造の変形例を示すものである。この態様では、減圧流出側気泡微小化ノズル21から供給されるオゾン微小気泡含有水NBWを、洗浄バスケット360の下部が水没する水位まで槽内に滞留させ、その状態で洗浄バスケット360を回転させて内部のカット野菜CVを洗浄するようにしている。
【0141】
以上の洗浄装置のいずれの実施形態においても、洗浄運転を停止する場合は、洗浄槽301内のオゾン微小気泡含有水NBWを大気に開放したままの状態にすると洗浄水中の含有オゾンのうち、特に溶存オゾンが蒸散しやすくなる。この場合、長時間の停止を経て運転を再開しようとした場合、オゾン微小気泡の形成源となる溶存オゾンを必要濃度に復帰させるのに余分なオゾン供給が必要となり、運転再開に要する時間も長くなる。そこで、図30に示すように、洗浄槽301内のオゾン微小気泡含有水NBWを密閉状態にて一時的に退避させる退避容器329と、洗浄槽301から退避容器329にオゾン微小気泡含有水NBWを移送するオゾン微小気泡含有水移送機構380と、退避容器329から洗浄槽301にオゾン微小気泡含有水を復帰させるオゾン微小気泡含有水復帰機構380とを設けることができる。
【0142】
図30の構成では、オゾン微小気泡含有水移送機構(及び復帰機構)380を次のように構成している。すなわち、洗浄槽301内のオゾン微小気泡含有水NBWを排出する洗浄槽側排水管331と、退避容器329内のオゾン微小気泡含有水NBWを排出する退避容器側排水管322とが設けられる一方、洗浄槽301にオゾン微小気泡含有水NBWを供給する洗浄槽側給水管324と、退避容器329にオゾン微小気泡含有水NBWを供給する退避容器側給水管323とが設けられている。そして、両排水管331,322と給水管323,329との結節点にそれぞれ配置された第一の三方弁325及び第二の三方弁326とを接続する形で主配管330が設けられ、該主配管330の途上に、第一の三方弁325側から第二の三方弁326側に送液するポンプ321が設けられている。第一の三方弁325及び第二の三方弁326はいずれも主配管330との接続側が共通側である。
【0143】
オゾン微小気泡含有水NBWを洗浄槽301から退避容器329へ移送する場合は、第一の三方弁325をQ(洗浄槽側排水管331)とし、第二の三方弁326をQ(退避容器側給水管323)としてポンプ321を動作させる。すると、洗浄槽301内のオゾン微小気泡含有水NBWは、洗浄槽側排水管319→第一の三方弁325→主配管330→第二の三方弁326→退避容器側給水管323の経路により退避容器329に移送される。他方、オゾン微小気泡含有水NBWを退避容器329から洗浄槽301へ移送する場合は、第一の三方弁325をQ(退避容器排水管322)とし、第二の三方弁326をQ(洗浄槽側給水管324)としてポンプ321を動作させる。すると、退避容器329内のオゾン微小気泡含有水NBWは、退避容器排水管322→第一の三方弁325→主配管330→第二の三方弁326→洗浄槽側給水管324の経路によりに洗浄槽301に移送される。なお、退避容器329には、外部からオゾン微小気泡含有水や希釈水などを給水する補助給水管327がバルブ328とともに設けられている。
【0144】
上記の構成により、運転停止時に洗浄槽301内に残留しているオゾン微小気泡含有水NBWを、溶存オゾン濃度を保持したまま退避・保管することでき、運転再開時にはその退避したオゾン微小気泡含有水NBWを洗浄槽301に戻すことにより、溶存オゾンを必要濃度に短時間で復帰させることができるので、運転再開時の立ち上がり時間を短縮することができる。また、運転停止時に洗浄槽301内に残留している水(及び含有されているオゾン)が運転再開時に無駄なく使用でき、使用する水及びオゾンの更なる削減にも寄与する。
【0145】
なお、洗浄に伴う洗浄水の汚染進行が大きい場合や、汚染成分の残留を特に高レベルにて排除したい場合は、オゾン微小気泡含有水製造装置から供給されるオゾン微小気泡含有水を被洗浄物保持部に対してかけ流し形態で供給することももちろん可能である。この場合、被洗浄物保持部に供給されたオゾン微小気泡含有水NBWを、該被洗浄物保持部からかけ流し形態で排出するかけ流し排水部を設けることができる。図31にその具体例を示している。すなわち、被洗浄物保持部をなす洗浄槽301へは、ポンプ380により給水管1312を経てオゾン微小気泡含有水NBWが供給されるようになっているが、洗浄槽301には循環管路が接続されておらず、該洗浄槽301内のオゾン微小気泡含有水NBWはオーバーフロー管1313からかけ流し形態で排水される。
【0146】
なお、オゾン微小気泡含有水製造装置から供給されるオゾン微小気泡含有水が濃厚である場合は、該オゾン微小気泡含有水を洗浄原水として、該洗浄原水に希釈水を添加した希釈オゾン微小気泡含有水を洗浄水として被洗浄物保持部に供給するオゾン微小気泡含有水希釈供給部を設けておくと、製造されるオゾン微小気泡含有水のさらなる有効活用を図ることができる。図31の構成では、希釈水の供給配管1314が給水管1312に合流する形で設けられている。
【0147】
図32は、物品洗浄機を洗濯機として構成した一例を示す模式図である。該洗濯機600は渦流式洗濯機として構成され、水道水を供給する給水管601の途上には、図1の構成と同様に、加圧流入側気泡微小化ノズル315、ポンプ301、加圧溶解タンク310、圧力バルブ316及び、減圧流出側気泡微小化ノズル21がこの順に配置されている。加圧流入側気泡微小化ノズル315にはオゾナイザ16からオゾンが供給されるようになっており、図5に示すごとく、オゾンはノズル通路226を経て絞りギャップ21G内に吸引され、粉砕される。オゾナイザは、この実施形態では大気を原料ガスとしてオゾンを発生するようにしているが、PSAなどの酸素濃縮装置や、酸素ボンベから酸素を供給してオゾンを発生させるようにしてもよい。こうしてオゾンが混合された水は加圧溶解タンク310に送り込まれることによりオゾンが溶解し、さらに、圧力バルブ316にて圧力調整された後、減圧流出側気泡微小化ノズル21からオゾン微小気泡含有水NBWとなって洗濯水槽605内に噴出される。
【0148】
洗濯機600は、オゾン微小気泡含有水を洗濯水として利用する点を除けば、残余の構成は周知の洗濯機と同様である。具体的には、筐体602内に洗濯水槽605を回転不能に配し、その内側に多数の脱水孔を周方向に形成した脱水槽604を回転可能に配している。バルブ610を閉、バルブ609を開としてオゾナイザ16を動作させれば、洗濯水槽605内にオゾン微小気泡含有水NBWが洗濯水として供給される。脱水槽604の底部にはパルセータ607が配置され、モータ606により回転駆動されることで、槽内に渦流を発生させる。他方、バルブ609を閉、バルブ610を開とすれば洗濯水槽605内の水が排水管608より排出される。そして、モータ606の回転伝達をパルセータ607から脱水槽604に切り替えることで脱水槽604が回転駆動され、洗濯物が遠心脱水処理される。なお、洗濯水槽605と脱水槽604との軸線を側方に傾斜させ、脱水槽604を、モータにより周方向に回転駆動される回転ドラムとして構成したドラム式洗濯機にも本発明を同様に適用可能である。
【0149】
洗濯機600は、オゾン微小気泡含有水を洗濯水として利用するので、衣類に対する洗浄効果が著しく向上し、また、オゾン殺菌による黄ばみ発生防止や消臭,漂白効果が著しい。そして、水あるいは洗剤の使用量を大幅に削減でき、さらに進んでは、洗剤を使用しない洗濯も十分に可能とする。
【0150】
図33は、物品洗浄機を食器洗浄機として構成した一例を示す模式図である。該食器洗浄機700において、洗浄水としてのオゾン微小気泡含有水NBWを発生させる部分と、使用済みの洗浄水を排水する部分の構成は、図32の洗濯機600と全く同一であるので、図32と同一の符号を付与して詳細な説明は省略する。そして、該食器洗浄機700も、オゾン微小気泡含有水を洗濯水として利用する点を除けば、残余の構成は周知の食器洗浄機と同様である。具体的には、筐体内に網あるいはパンチングメタル等で構成された透液支持部703を配置し、洗浄対象となる食器PHを収容した食器トレー(カゴ、網あるいはパンチンメタル等で透液性に構成される)704が該透液支持部703上に載置される。そして、給水管601を食器トレー704の上下に分岐させ、それぞれ出口側に減圧流出側気泡微小化ノズル21が取り付けられている。各減圧流出側気泡微小化ノズル21にはパイプ状の噴射ノズル702が接続され、オゾン微小気泡含有水NBWが、各噴射ノズル702のノズル孔702nから洗浄水流WJとして食器トレー704内の食器PHに向け、上下から噴射されて洗浄がなされる。特にオゾン微細気泡を多量に含んだ水で食器洗浄を行なうことで、油分などに対する分解・洗浄効果、さらには除菌効果が著しく向上し、さらに、水あるいは洗剤の使用量を大幅に削減できる利点も生ずる(さらに進んでは、洗剤を使用しない洗浄も十分に可能とする)。
【0151】
図34は、収穫後の水産物の洗浄装置に本発明を適用した例を示す。洗浄槽401の底部には、底面から所定高さ位置に、被洗浄物(ここでは、例えば殻付き牡蠣)OYを載せる網403が配置され、その下にパイプ状の噴射ノズル402が配置されている。該噴射ノズル402には、図23の加圧溶解タンク310から延びる水流出管312が圧力バルブ316及び減圧流出側気泡微小化ノズル21を介して接続されており、該減圧流出側気泡微小化ノズル21にて形成されるオゾン微小気泡含有水NBWは、噴射ノズル402の長手方向に沿って複数形成されたノズル孔402nから洗浄槽401内に洗浄水として噴射される。また、洗浄槽401内の洗浄水は、気泡とともに浮上した汚れを排水管414からかけ流し形態で排出する。
【0152】
例えば、オゾン微小気泡含有水NBWにて殻付き牡蠣を洗浄すれば、牡蠣の殻表面に付着した汚れや細菌の洗浄効率が大幅に向上する。また、洗浄水中の溶存酸素濃度が上昇することにより、牡蠣の開口が著しく促進される。そして、牡蠣自身がオゾン微小気泡含有水NBWを多量に含んだ清浄な洗浄水を活発に吸い込んで体内の水交換を活発に行なう結果、内部の汚れや細菌は速やかに排出されるとともに、オゾンによる殺菌も急速に進行する。また、オゾン微小気泡は牡蠣体内の内臓(特に腸)にも浸透し、食中毒の要因となるノロウィルス等に対しても極めて顕著な不活性化効果を示す。そして、体外に排出された汚れや細菌は微細気泡に捕捉され水面に浮上するとともに、かけ流し排水により速やかに運び去られるので、洗浄槽401内は常に清浄・清潔に保つことが可能となる。その結果、例えば、中毒等が問題となる夏季においても安全で美味な牡蠣を安定して供給することが可能となり、また、牡蠣の開口が不活発となる冬季においても洗浄中の牡蠣の水交換が活発に進むことから、この時期に発生しやすいといわれているノロウィルス中毒等への懸念も著しく低減することができる。牡蠣養殖用の水は海水が使用されるが、電解質を多量に含んだ海水の場合は気泡の微細化が著しく、洗浄・滅菌に効果のあるオゾン微小気泡の発生もより容易である。
【0153】
また、洗浄槽401では殻付き牡蠣だけでなく、むき身牡蠣の洗浄を行うこともできる。例えば、むき身牡蠣をかご等に集積し、該かごとともに洗浄槽401内に浸漬すれば洗浄が可能である。むき身の場合、オゾン微小気泡含有水が牡蠣の体に直接当たることで洗浄は一層速やかに進行することになる。また、オゾン微小気泡を含有することにより溶存酸素濃度が上昇した洗浄水中では、牡蠣はむき身であっても体内への水の取り込みと吐き出しを継続するので、体内の微生物(細菌やウィルス類)の駆逐も問題なく実施できる。
【0154】
なお、同様の効果はホタテ貝の洗浄に対しても有効に発揮される。ホタテ貝の場合、汚れ除去や滅菌効果に加え、生玉(貝柱)の硬化抑制といった新たな効果も達成可能である。
【0155】
図1の構成のオゾン微小気泡含有水製造装置1が製造するオゾン微小気泡含有水は、図35(被養殖物がエビRBの場合を例示している)あるいは図36(被養殖物がカニCBの場合を例示している)に示す養殖槽501に供給することにより、水産物の養殖を行なうことができる。養殖槽内にはパイプ状の噴射ノズル402が配置されている。該噴射ノズル402には、図23の加圧溶解タンク310から延びる水流出管312が圧力バルブ316及び減圧流出側気泡微小化ノズル21を介して接続されており、該減圧流出側気泡微小化ノズル21にて形成されるオゾン微小気泡含有水NBWは、噴射ノズル402の長手方向に沿って複数形成されたノズル孔402nから養殖槽501内に噴射される。
【0156】
この場合、図31に示す洗浄槽301を養殖槽501で置き換えた構成にすれば、オゾン微小気泡含有水を被養殖槽に対してかけ流し形態で供給することができる。また、図1の構成のオゾン微小気泡含有水製造装置1において、主タンク319を養殖槽で置き換えれば、養殖水を循環させる循環型の養殖システムを構築できる。後者の構成は、魚類の陸上養殖を行う上で有効である。
【0157】
養殖の対象となる水産物は、図35及び図36のようなエビやカニなどの甲殻類の場合、特にその成長促進(及び、品質の向上)の向上に顕著な効果がある。この効果は、養殖初期の幼生段階で特に著しく、生存率も大幅に向上する。また、甲殻類に限らず、アワビ、牡蠣、ホタテ、タイラギ等の貝類、鯛、はまち、マグロなどの海産魚類、鰻や鮎などの淡水魚類などにも種々適用が可能である。
【0158】
また、図1の構成のオゾン微小気泡含有水製造装置1において、主タンク319を水耕栽培槽601に置き換えれば、植物の水耕栽培を実施できる。図37に示すように、水耕栽培槽601内には被栽培植物の支持部、本実施形態では、植物挿入孔602hを形成した支持プレート602が配置されており、被栽培植物VBの根VBRが植物挿入孔602h内に挿入される。水耕栽培槽601内にはオゾン微小気泡含有水NBWが供給されるとともに、槽上部に設けられた養分液供給タンク605からは、一定の供給量にて被栽培植物VBの生育に必要な養分を含有した養分液が供給される。循環管路313は、該水耕栽培槽601とオゾン微小気泡含有水製造装置(図1参照)とを連通接続する形で設けられ、養分液を含有したオゾン微小気泡含有水NBWが栽培液となってオゾン微小気泡含有水製造装置1との間で循環機構を構成する。
【0159】
被栽培植物VBの種別は特に限定はされないが、例えば野菜の場合は、ケール、ホウレンソウ、小松菜、サラダ菜、春菊、サニーレタス、菜の花などの葉菜類のほか、もやしやカイワレダイコンなどへの適用も可能である。また、野菜以外ではイチゴ等の果物、花卉類、樹木の苗、鑑賞植物などへも適用できる。
【0160】
水耕栽培槽601内では、支持プレート602よりも下側に、養分液が添加されたオゾン微小気泡含有水NBWからなる栽培水が供給され、被栽培植物VBは、植物挿入孔602h内にて支持プレート602よりも下側に延びる根VBRのみが栽培水中に浸漬される。オゾン微小気泡の含有により溶存酸素濃度の上昇した栽培水中では、被栽培植物VBの根VBRの生育が著しく促進されるとともに栄養分の吸収効率も上昇する。また、栽培液中の有害微生物はオゾンの作用により速やかに死滅し、アオコの発生も大幅に抑制できる。なお、植物の生育に伴い減少する栽培液中の栄養分は、養分液供給タンク605から適宜補われる。
【0161】
以下、本発明にて使用した気泡微小化ノズルの種々の変形例について説明する(すでに説明済みの部分と共通する要素には同一の符号を付与して詳細な説明は省略する)。図38は、衝突部材22に形成する減圧空洞221内の水流をより滑らかにするために、空洞底部を湾曲面状に形成した例を示す。また、図39は、減圧空洞221の開口内周縁面を、対向衝突部材23の先端部のテーパ状周側面231に対応する座ぐり状のテーパ面1224とした例を示す。このテーパ面1224の形成により、対向衝突部材23の先端側に水流を導く効果が高められる。
【0162】
図40は、衝突部材22から減圧空洞221を省略し、先端面を平坦に形成した例を示す。対向衝突部材23の先端部にはテーパ状周側面231が形成されているが、衝突部材22と対向する先端面は平坦に形成されている。図41は、対向衝突部材23の先端面に浅い減圧空洞1232を形成した例を示す。衝突部材22には減圧空洞が形成されず、その先端部外周縁がテーパ状周側面225とされている。図42は、衝突部材22と対向衝突部材23とをくびれ連結部21Cにより軸線方向に一体結合し、そのくびれ連結部に絞りギャップ21G’を貫通形成した例を示す。
【0163】
図43は、ノズル通路226を形成する場合の減圧空洞221の形成形態に係る変形例を示すものであり、該減圧空洞221の内周面を、対向衝突部材23の先端部のテーパ状周側面231に対応する座ぐり状のテーパ面1224とした例を示す。一方、図44は、減圧空洞を省略した構成を示すものである。
【0164】
図45は、衝突部材22及び対向衝突部材23のいずれにも減圧空洞を形成せず、その平坦な対向面間に絞りギャップ21Gを形成するとともに、両部材の軸線を流路形成部材20の断面中心に対して片側に寄せて配置することで、水迂回流路部251を衝突部材22(及び対向衝突部材23)の片側にのみ形成した例を示すものである。
【0165】
さらに、図46は、対向衝突部材を廃止し、衝突部材22を流路形成部材20の壁部内面を絞りギャップ形成部20cとして、これに対向させる形で絞りギャップ21Gを形成した例である。衝突部材22の先端面は、流路形成部材20の壁部内面に対応する凸湾曲面状とされている。また、図47は、対向衝突部材123を衝突部材22よりも広幅に形成することで、対向衝突部材123の側方に水迂回流路部251が生じないように構成した例を示すものである。
【符号の説明】
【0166】
1 オゾン微小気泡含有水製造装置
16 オゾナイザ(オゾン発生装置)
16J オゾン導入部
21 減圧流出側気泡微小化ノズル
21G 絞りギャップ
21n くびれギャップ部
22 衝突部材
22t,23t 雄ねじ部
22m ねじ山(水流剥離凹凸部)
22u,23u 雌ねじ孔
23 対向衝突部材(絞りギャップ形成部)
23k 縮径部
25 流路壁部
30 準備絞り機構
FP 流路
31 水流入口
106 水流出口
221 減圧空洞
226 ノズル通路
226d 気体噴出口
226e 気体取入口
231 テーパ状周側面(絞り傾斜面、拡大傾斜面)
251 水迂回流路部
251n ギャップ周縁空間
NBW オゾン微小気泡含有水
301 洗浄槽
310 加圧溶解タンク(加圧溶解ユニット)
310L オゾン戻り管路
311B 水供給管
312 水流出管
313 循環管路
315 加圧流入側気泡微小化ノズル(オゾン気泡予備粉砕部)
319 主タンク
329 退避容器
372 原料水導入管路
501 養殖槽
601 水耕栽培槽


【特許請求の範囲】
【請求項1】
水流入口と水流出口とを有し、前記水流入口から前記水流出口に向かう流路が内部に形成された中空の流路形成部材と、前記流路内に配置された衝突部材と、前記流路内にて前記衝突部材の先端部と対向する絞りギャップ形成部とを備えた気泡微小化ノズルと、該気泡微小化ノズルにオゾン含有水を供給するオゾン含有水供給手段とを備え、
前記気泡微小化ノズルは、前記衝突部材の外面と前記流路の内面との間に水迂回流路部が形成されるとともに、前記衝突部材と前記絞りギャップ形成部との間には、前記水迂回流路部よりも低流量かつ高流速となるように前記オゾン含有水の水流を絞りつつ通過させる絞りギャップが形成され、
前記絞りギャップにて生ずる負圧によりオゾン気泡が析出したギャップ通過水流を、前記衝突部材に衝突し前記水迂回流路部を経て該衝突部材の下流側に回り込む回り込み乱流に巻き込むことにより、析出オゾン気泡を微小オゾン気泡に粉砕してオゾン微小気泡含有水となすことを特徴とするオゾン微小気泡含有水製造装置。
【請求項2】
前記オゾン含有水供給手段は、オゾンを水と混合しつつ加圧して前記水にオゾンを強制溶解させることによりオゾン濃度を上昇させた加圧濃縮オゾン水を発生させる加圧溶解ユニットを備える請求項1記載のオゾン微小気泡含有水製造装置。
【請求項3】
前記加圧溶解ユニットから前記加圧濃縮オゾン水を減圧しつつ流出させる水流出管を備え、該水流出管上に前記気泡微小化ノズルが減圧流出側気泡微小化ノズルとして設けられている請求項2記載のオゾン微小気泡含有水製造装置。
【請求項4】
前記加圧溶解ユニットは加圧溶解タンクを備え、前記水流出管の一端が該加圧溶解タンクに接続される一方、該水流出管の他端が前記加圧溶解タンクよりも内圧が低く設定された主タンクに接続され、前記減圧流出側気泡微小化ノズルを通過した前記オゾン微小気泡含有水を前記主タンク内に噴出させるようにした請求項3記載のオゾン微小気泡含有水製造装置。
【請求項5】
酸素含有物質を原料としてオゾンを発生させるオゾン発生装置と、
該オゾン発生装置が発生するオゾンを前記加圧溶解ユニットへの供給水に導入するオゾン導入部と、
前記オゾン導入部にてオゾン導入された気液混合水中のオゾン気泡を、前記加圧溶解ユニットに流入させるのに先立って予備粉砕するオゾン気泡予備粉砕部と、を有する請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のオゾン微小気泡含有水製造装置。
【請求項6】
前記加圧溶解ユニットは加圧溶解タンクを備え、前記オゾン導入部が前記加圧溶解タンクに接続された水供給管に設けられるとともに、前記オゾン気泡予備粉砕部に兼用される前記気泡微小化ノズルが加圧流入側気泡微小化ノズルとして前記水供給管上に設けられている請求項5記載のオゾン微小気泡含有水製造装置。
【請求項7】
前記加圧流入側気泡微小化ノズルにおいて前記流路の内面から突出する前記衝突部材には、該衝突部材を突出方向に貫通する形にて、一端側が該衝突部材の先端側にて気体噴出口を開口し、他端側にオゾン含有気体を取り入れるための気体取入口を開口するノズル通路が形成され、前記絞りギャップ内に発生する水流負圧にて前記オゾン含有気体を前記気体取入口から前記ノズル通路を介して前記絞りギャップ内に吸引・供給することにより、前記オゾン導入部に兼用されている請求項6記載のオゾン微小気泡含有水製造装置。
【請求項8】
前記加圧溶解タンク内の未溶解のオゾンを前記オゾン導入部に戻すオゾン戻り管路が設けられている請求項7記載のオゾン微小気泡含有水製造装置。
【請求項9】
前記オゾン含有水供給手段は、前記気泡微小化ノズルを通過することにより生成した前記オゾン微小気泡含有水を、前記オゾン含有水として前記気泡微小化ノズルの上流側に戻すことにより循環させるオゾン微小気泡含有水循環管路を備える請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載のオゾン微小気泡含有水製造装置。
【請求項10】
前記オゾン含有水供給手段は、酸素含有物質を原料としてオゾンを発生させるオゾン発生装置と、オゾンを水と混合しつつ加圧して前記水にオゾンを強制溶解させることによりオゾン濃度を上昇させた加圧濃縮オゾン水を発生させる加圧溶解ユニットと、
前記オゾン発生装置が発生するオゾンを前記加圧溶解ユニットへの供給水に導入するオゾン導入部とを備え、前記オゾン微小気泡含有水循環管路は前記オゾン導入部の上流側に前記オゾン微小気泡含有水を戻すものである請求項9記載のオゾン微小気泡含有水製造装置。
【請求項11】
前記オゾン導入部の上流側に、前記気泡微小化ノズルを未通過の原料水を導入する原料水導入管路が前記オゾン微小気泡含有水循環管路と並列に設けられるとともに、前記オゾン導入部への導入水を前記原料水導入管路からの前記原料水と、前記オゾン微小気泡含有水循環管路からの循環水との間で切り替える導入水切替部が設けられている請求項10記載のオゾン微小気泡含有水製造装置。
【請求項12】
前記気泡微小化ノズルにおいて前記水迂回流路部は、前記流路内にて水流通方向から見て前記衝突部材の突出方向に関しその両側に形成されている請求項1ないし請求項11のいずれか1項に記載のオゾン微小気泡含有水製造装置。
【請求項13】
前記気泡微小化ノズルにおいて前記衝突部材及び前記絞りギャップ形成部との前記絞りギャップを形成する各対向面の少なくともいずれかに減圧空洞が形成されている請求項1ないし請求項12のいずれか1項に記載のオゾン微小気泡含有水製造装置。
【請求項14】
前記気泡微小化ノズルにおいて前記衝突部材及び前記絞りギャップ形成部の前記絞りギャップを形成する各対向面の少なくともいずれかが、水流入側にて該絞りギャップの間隔を上流側から下流側に向けて漸次縮小させる絞り傾斜面として形成されている請求項1ないし請求項13のいずれか1項に記載のオゾン微小気泡含有水製造装置。
【請求項15】
前記気泡微小化ノズルにおいて前記衝突部材及び前記絞りギャップ形成部の前記絞りギャップを形成する各対向面の少なくともいずれかが、水流出側にて該絞りギャップの間隔を上流側から下流側に向けて漸次拡大させる拡大傾斜面として形成されている請求項1ないし請求項14のいずれか1項に記載のオゾン微小気泡含有水製造装置。
【請求項16】
前記気泡微小化ノズルにおいて前記絞りギャップ形成部は、前記流路の断面中心に関して前記衝突部材と反対側にて前記壁部内面から前記衝突部材に向けて突出する対向衝突部材として形成され、前記絞りギャップが前記衝突部材の突出方向先端部と前記対向衝突部材の突出方向先端部との間に形成されている請求項1ないし請求項15のいずれか1項に記載のオゾン微小気泡含有水製造装置。
【請求項17】
前記気泡微小化ノズルにおいて前記衝突部材と前記対向衝突部材との少なくとも一方の前記絞りギャップに臨む先端部分が、先端に向かうほど径小となるテーパ状の周側面を有した縮径部が形成されてなる請求項16記載のオゾン微小気泡含有水製造装置。
【請求項18】
前記気泡微小化ノズルにおいて前記衝突部材及び前記対向衝突部材の一方には、前記絞りギャップに臨む先端面にギャップ形成方向に引っ込む減圧空洞が形成され、他方には先端が前記減圧空洞の開口に臨む位置関係にて前記縮径部が形成されている請求項17記載のオゾン微小気泡含有水製造装置。
【請求項19】
前記気泡微小化ノズルにおいて前記絞りギャップは、前記衝突部材の先端面にて前記減圧空洞の開口周縁部をなす周縁領域と前記縮径部のテーパ状の周側面の外周縁領域とが対向することにより楔状断面を有し、かつ空間外周側が前記水迂回流路部に開放する円環状のギャップ周縁空間と前記減圧空洞とが、前記減圧空洞の開口内周縁と前記縮径部の前記周側面との対向位置に形成される円環状のくびれギャップ部を介して互いに連通した構造をなす請求項18記載のオゾン微小気泡含有水製造装置。
【請求項20】
前記水迂回流路部が、前記衝突部材の外周面と前記対向衝突部材の外周面とにまたがる形で形成されている請求項16ないし請求項19のいずれか1項に記載のオゾン微小気泡含有水製造装置。
【請求項21】
請求項1ないし請求項20のいずれか1項に記載のオゾン微小気泡含有水製造装置に前記オゾン含有水を供給することにより前記オゾン微小気泡含有水を得ることを特徴とするオゾン微小気泡含有水製造方法。
【請求項22】
前記オゾン含有水の原料水として、総溶解固形分の含有量が1000ppm未満のものが使用される請求項21に記載のオゾン微小気泡含有水製造方法。
【請求項23】
前記オゾン含有水の原料水として、総溶解固形分の含有量が100ppm未満の精製水を使用する請求項22記載のオゾン微小気泡含有水製造方法。
【請求項24】
前記オゾン含有水の原料水として0.1質量%以上3質量%以下の電解質を溶解した電解質溶解水が使用される請求項21記載のオゾン微小気泡含有水製造方法。
【請求項25】
前記電解質溶解水として海水もしくは汽水が使用される請求項24記載のオゾン微小気泡含有水製造方法。
【請求項26】
被洗浄物を保持する被洗浄物保持部と、
前記被洗浄物保持部に、請求項1ないし請求項20のいずれか1項に記載のオゾン微小気泡含有水製造装置にて製造されたオゾン微小気泡含有水を供給するオゾン微小気泡含有水供給部とを備え、
前記被洗浄物保持部にて前記被洗浄物に前記オゾン微小気泡含有水を噴射又は噴霧することにより、又は前記被洗浄物を前記オゾン微小気泡含有水に浸漬するか、又は該オゾン微小気泡含有水中にて撹拌することにより前記被洗浄物を洗浄するようにしたことを特徴とする物品洗浄装置。
【請求項27】
前記オゾン微小気泡含有水製造装置が前記オゾン微小気泡含有水供給部として設けられ、該オゾン微小気泡含有水製造装置からの前記オゾン微小気泡含有水が前記被洗浄物保持部に洗浄水として直接供給される請求項26記載の物品洗浄装置。
【請求項28】
前記被洗浄物保持部から、供給された前記オゾン微小気泡含有水を回収し、これを前記オゾン微小気泡含有水製造装置の原料水の少なくとも一部として該オゾン微小気泡含有水製造装置に戻すオゾン微小気泡含有水循環機構を備える請求項27記載の物品洗浄装置。
【請求項29】
前記被洗浄物保持部に供給された前記オゾン微小気泡含有水を、該被洗浄物保持部からかけ流し形態で排出するかけ流し排水部が設けられている請求項27に記載の物品洗浄装置。
【請求項30】
前記オゾン微小気泡含有水製造装置から供給される前記オゾン微小気泡含有水を洗浄原水とし、該洗浄原水に希釈水を添加した希釈オゾン微小気泡含有水を前記洗浄水として前記被洗浄物保持部に供給するオゾン微小気泡含有水希釈供給部が設けられている請求項29記載の物品洗浄装置。
【請求項31】
前記被洗浄物保持部は、前記オゾン微小気泡含有水製造装置から供給された前記オゾン微小気泡含有水を収容保持する洗浄槽を備え、該洗浄槽内にて前記オゾン微小気泡含有水に前記被洗浄物を浸漬しつつこれを洗浄する請求項27ないし請求項29のいずれか1項に記載の物品洗浄装置。
【請求項32】
請求項26ないし請求項31のいずれかに記載の物品洗浄装置により被洗浄物を洗浄することを特徴とする物品洗浄方法。
【請求項33】
前記被洗浄物が食品である請求項32に記載の物品洗浄方法。
【請求項34】
前記食品が野菜又は果物である請求項33記載の物品洗浄方法。
【請求項35】
前記食品が水産物である請求項33記載の物品洗浄方法。
【請求項36】
前記水産物が二枚貝またはそのむき身である請求項35記載の物品洗浄方法。
【請求項37】
水産物の養殖槽に、請求項1ないし請求項20のいずれか1項に記載のオゾン微小気泡含有水製造装置にて製造されたオゾン微小気泡含有水を供給し、当該オゾン微小気泡含有水中にて前記水産物を養殖することを特徴とする水産物の養殖方法。
【請求項38】
植物の水耕栽培槽に、請求項1ないし請求項20のいずれか1項に記載のオゾン微小気泡含有水製造装置にて製造されたオゾン微小気泡含有水を供給し、当該オゾン微小気泡含有水中にて前記植物を水耕栽培することを特徴とする水耕栽培方法。
【請求項39】
前記植物が野菜である請求項38記載の水耕栽培方法。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−240206(P2011−240206A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−111706(P2010−111706)
【出願日】平成22年5月14日(2010.5.14)
【出願人】(709004293)株式会社マインドレイ技術科学研究所 (8)
【Fターム(参考)】