説明

オフロードビークル

【課題】スロットルボディと燃料タンクとを接続している燃料供給管の長さを短くし、オフロードビークルの構成をシンプルにする。
【解決手段】オフロードビークルは、燃料タンクと、エンジンと、燃料供給管とを備えている。エンジンは、フューエルインジェクタ及びデリバリパイプを備えている。燃料供給管は、燃料タンクの取り出し口とデリバリパイプとを接続する。平面視において、デリバリパイプは、取り出し口側に向かって延びている。燃料供給管は、デリバリパイプのフューエルインジェクタが接続された部位よりも燃料タンク寄りの部分に接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はオフロードビークルに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、不整地走行用車両としてオフロードビークルが開示されている。従来のオフロードビークルでは、通常、キャブレターを用いたエンジンが採用されている。近年、エンジン性能を向上させる観点から、スロットルボディを有する燃料噴射式のエンジンをオフロードビークルに適用することも提案されている。
【特許文献1】米国特許出願公開第2004/0195019 A1号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、スロットルボディと燃料タンクとを接続している燃料供給管の長さを短くし、オフロードビークルの構成をシンプルにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明に係る第1のオフロードビークルは、燃料タンクと、エンジンと、燃料供給管とを備えている。燃料タンクには、燃料が溜められている。燃料タンクには、燃料の取り出し口が形成されている。エンジンは、フューエルインジェクタ及びデリバリパイプを備えている。デリバリパイプは、燃料タンクに接続されている。デリバリパイプは、燃料をフューエルインジェクタに供給する。燃料供給管は、取り出し口とデリバリパイプとを接続する。平面視において、デリバリパイプは、取り出し口側に向かって延びている。燃料供給管は、デリバリパイプのフューエルインジェクタが接続された部位よりも燃料タンク寄りの部分に接続されている。
【0005】
本発明に係る第2のオフロードビークルは、燃料タンクと、エンジンと、燃料供給管とを備えている。燃料タンクには、燃料が溜められている。燃料タンクには、燃料の取り出し口が形成されている。エンジンは、フューエルインジェクタ及びデリバリパイプを備えている。デリバリパイプは、燃料タンクに接続されている。デリバリパイプは、燃料をフューエルインジェクタに供給する。燃料供給管は、取り出し口とデリバリパイプとを接続する。燃料タンクは、エンジンの側方に配置されている。平面視において、デリバリパイプは車幅方向に延びている。燃料供給管は、デリバリパイプのフューエルインジェクタが接続された部位よりも燃料タンク寄りの部分に接続されている。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、スロットルボディと燃料タンクとを接続している燃料供給管の長さを短くし、オフロードビークルの構成をシンプルにすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明を実施したオフロードビークルの好ましい形態の一例について、図1に示すオフロードビークル1を例に挙げて説明する。但し、図1に示すオフロードビークル1は、本発明のオフロードビークルの単なる一例である。本発明は、図1に示すオフロードビークル1に限定されない。
【0008】
以下の説明において、前後左右の方向は、シート35に座ったライダーから視た方向をいう。
【0009】
図1及び図2に示すように、オフロードビークル1は、車両本体10を備えている。主として図2に示すように、車両本体10は、車体フレーム11を備えている。車体フレーム11は、フレーム本体15と、フロントフレーム13と、リアフレーム14と、ルーフサポート16とを備えている。
【0010】
フレーム本体15は、前後方向において、オフロードビークル1の中央部に位置している。フレーム本体15は、2本のサイドメンバ12を備えている。サイドメンバ12は、前後方向に延びるように配置されている。2本のサイドメンバ12は、車幅方向に配列されている。2本のサイドメンバ12は、図示しないクロスメンバによって相互に固定されている。
【0011】
フロントフレーム13は、フレーム本体15の前半部分に接続されている。フロントフレーム13は、オフロードビークル1の前側部分に配置されている。フロントフレーム13には、図示しないステアリングシステムアッセンブリーを介して、前輪20が回転可能に取り付けられている。前輪20は、図1に示すように、右側前輪20a及び左側前輪20bとを含んでいる。
【0012】
フロントフレーム13の上方には、前部被覆部材30が配置されている。フロントフレーム13の上方は、この前部被覆部材30によって覆われている。前部被覆部材30は、少なくともボンネット31を含んでいる。具体的には、前部被覆部材30は、ダッシュボード32と、ボンネット31とを備えている。ダッシュボード32には、メータバイザが形成されている。このメータバイザによってフロントパネル27に配置された各種メータが保護されている。
【0013】
図2に示すように、前部被覆部材30の後方には、フロントパネル27が配置されている。このフロントパネル27により、車両のフロントパネル27よりも前側の部分と後ろ側の部分とが隔離されている。すなわち、図3に示すように、吸気系部品73が配置された前部とキャビン25とが隔離されている。
【0014】
リアフレーム14は、フレーム本体15の後方部分に取り付けられている。リアフレーム14は、オフロードビークル1の後側部分に配置されている。リアフレーム14には、図示しないリアクッションアッセンブリーを介して、後輪21が回転可能に取り付けられている。後輪21は、図1に示すように、右側後輪21a及び左側後輪21bを含んでいる。図2に示すように、リアフレーム14の上には、荷台22が配置されている。
【0015】
図2に示すように、ルーフサポート16は、側面視ループ状に形成されている。ルーフサポート16は、フロントフレーム13とリアフレーム14との間に配置されている。ルーフサポート16は、図1に示すように、右側ルーフサポート16aと左側ルーフサポート16bとを含んでいる。これらルーフサポート16a及び16bは、フレーム本体15と、フロントフレーム13及びリアフレーム14とに対してそれぞれ固定されている。
【0016】
図2に示すように、フロントフレーム13とリアフレーム14との間には、ライダーが乗車するキャビン25が区画形成されている。キャビン25には、シート35が配置されている。図1に示すように、シート35は、右側シート35aと左側シート35bとを含んでいる。右側シート35aと左側シート35bとは車幅方向に配列されている。
【0017】
キャビン25のシート35よりも前側部分には、足載せ部29が配置されている。足載せ部29は、シート35の座面36よりも低い位置に位置している。
【0018】
主として図1に示すように、右側シート35aと左側シート35bとの間には、トンネル部37が形成されている。図2に示すように、トンネル部37は、足載せ部29から上方に膨出するように形成されている。トンネル部37の頂部は、足載せ部29よりも高い位置に位置している。また、図2に示すように、トンネル部37の頂部はシート35の座面36よりも高い位置に位置している。
【0019】
トンネル部37のシート35よりも前側の部分には、シフトレバー38が配置されている。シフトレバー38は、レバー本体38aと、シフトノブ38bとを備えている。シフトノブ38bは、レバー本体38aの先端に取り付けられている。このシフトレバー38は、オフロードビークル1において、パーキング、ニュートラル、前進及び後進いずれかに切り換え操作するためのものである。
【0020】
キャビン25において、左側シート35bの前方には、ハンドル26が配置されている。
【0021】
図3に示すように、車体フレーム11には、エンジンユニット40が懸架されている。エンジンユニット40は、車体フレーム11に対してラバー部材を介して取り付けられている。言い換えれば、エンジンユニット40は、所謂ラバーマウントされている。
【0022】
エンジンユニット40は、前後方向においてシート35と重なる位置に配置されている。エンジンユニット40は、車幅方向において略中央部に配置されている。具体的には、エンジンユニット40の大部分は、車幅方向略中央部に位置するトンネル部37の下方に配置されている。
【0023】
エンジンユニット40は、図7に示すように、燃料噴射式のエンジン41と、変速機構60と、遠心クラッチ55とを備えている。本実施形態では、エンジン41は水冷式の単気筒エンジンである。但し、本発明において、エンジンは、単気筒エンジンでなくてもよい。エンジンは、例えば並列多気筒エンジン、V型多気筒エンジンまたは水平対向多気筒エンジンであってもよい。また、エンジンは空冷式であってもよい。
【0024】
エンジン41は、図3に示すように、クランクケース42と、シリンダ部材39と、スロットルボディ54と、デリバリパイプ85とを備えている。シリンダ部材39は、シリンダボディ46と、シリンダヘッド48とを備えている。
【0025】
シリンダボディ46は、クランクケース42の後半部分に取り付けられている。シリンダボディ46は、クランクケース42から後方に向かって斜め上方に延びている。
【0026】
図7に示すように、クランクケース42の内部には、クランクシャフト43が配置されている。クランクシャフト43は、車幅方向に延びている。クランクシャフト43には、コンロッド44の基端部が接続されている。コンロッド44の先端部にはピストン45が接続されている。
【0027】
シリンダボディ46の内部には、シリンダ47が形成されている。ピストン45は、このシリンダ47内に配置されている。
【0028】
シリンダヘッド48は、シリンダボディ46の先端部に取り付けられている。このシリンダヘッド48と、シリンダボディ46とにより、燃焼室49が区画形成されている。また、シリンダヘッド48には、それぞれ燃焼室49に開口する吸気ポート50と排気ポート51とが形成されている。吸気ポート50には、吸気弁52が配置されている。この吸気弁52が、吸気カム67により駆動さることによって、吸気ポート50が開閉される。一方、排気ポート51には、排気弁53が配置されている。この排気弁53が、排気カム68により駆動されることにより、排気ポート51が開閉される。
【0029】
吸気ポート50には、スロットルボディ54が接続されている。スロットルボディ54は、シリンダボディ46よりも前側に配置されている。
【0030】
図7に示すように、スロットルボディ54は、フューエルインジェクタ54aと、スロットル弁54bとを備えている。このスロットルボディ54により、後述する吸気系部品73から供給された空気と、フューエルインジェクタ54aから噴射される燃料とが混合され、混合気が形成される。この混合気が、吸気ポート50を介して、燃焼室49に供給される。
【0031】
一方、排気ポート51は、図4及び図6に示すように、シリンダボディ46から後方に向かって延びるエギゾーストパイプ87及びエギゾーストマフラー88に接続されている。これにより、エンジンユニット40からの排気は、エギゾーストパイプ87及びエギゾーストマフラー88を介して車外に排出される。
【0032】
なお、図3に示すように、スロットルボディ54には、圧力センサ54cが取り付けられている。この圧力センサ54cによって、図7に示す吸気ポート50内の圧力が検出される。
【0033】
図5に示すように、フューエルインジェクタ54aは、デリバリパイプ85に接続されている。デリバリパイプ85は、燃料供給管86によって燃料タンク90に接続されている。なお、燃料供給管86は、途中部において、エンジン41に固定されている。具体的には、燃料供給管86は、図示しないゴムフォルダを介してエンジン41に固定されている。
【0034】
燃料タンク90の少なくとも一部は、図1にも示す助手席としての右側シート35aの下方に配置されている。燃料タンク90は、エンジン41の側方に配置されている。また、燃料タンク90は、図6に示すように、エンジン41に対して変速機構60とは反対側に配置されている。
【0035】
なお、燃料タンク90の上方には、プロテクタ95が配置されている。このプロテクタ95によって、燃料タンク90の取り出し口93部分が保護されている。
【0036】
図5に示すように、燃料タンク90には、ガソリンなどの燃料が溜められる。燃料タンク90には、燃料供給口91が形成されている。燃料供給口91は燃料キャップ92によって開閉可能にふさがれている。
【0037】
燃料タンク90には、燃料タンク90に溜められた燃料の取り出し口93が形成されている。取り出し口93は、燃料タンク90の上面に形成されている。
【0038】
取り出し口93には、ポンプ94が配置されている。ポンプ94には、燃料供給管86の一端が接続されている。燃料タンク90に溜められた燃料は、ポンプ94によって吸い上げられて燃料供給管86に供給される。
【0039】
本実施形態では、燃料供給管86は金属製である。但し、本発明において、燃料供給管の材質は金属に限定されない。燃料供給管の材質は、樹脂やゴム等であってもよい。
【0040】
燃料供給管86は、少なくともひとつの屈曲部を有する。具体的には、燃料供給管86は、複数の屈曲部86a、86b、86c、86d、86eを有している。燃料供給管86は、取り出し口93から後方に向かって延びている。燃料供給管86は、屈曲部86aにおいて左側に屈曲している。燃料供給管86は、屈曲部86aから車幅方向に延びている。燃料供給管86は、屈曲部86bにおいて左斜め前方に向かって屈曲している。燃料供給管86は、屈曲部86cにおいてほぼ上方に向かって屈曲している。燃料供給管86は、屈曲部86dにおいて左斜め後方に向かって屈曲している。燃料供給管86は、屈曲部86eにおいて左斜め前方に向かって屈曲している。
【0041】
燃料供給管86の他端部は、デリバリパイプ85のフューエルインジェクタ54aが接続された部位よりも燃料タンク90寄りの部分に接続されている。具体的には、燃料供給管86の他端部は、デリバリパイプ85の左側端部85aに、後方から接続されている。
【0042】
デリバリパイプ85は、図3に示すように、シリンダボディ46よりも前方に配置されている。デリバリパイプ85は、フューエルインジェクタ54aと共にクランクケース42の上方に配置されている。
【0043】
図5に示すように、平面視において、デリバリパイプ85は、車幅方向に延びている。デリバリパイプ85は、取り出し口93に向かって延びている。
【0044】
図3に示すように、シリンダヘッド48の内部には、ブリーザ室56が形成されている。このブリーザ室56は、ブリーザホース57によってアキュムレーター65aに接続されている。これにより、エンジンユニット40内のブリーザーガスは、ブリーザ室56において気液分離される。気液分離後のブリーザーガスは、アキュムレーター65aを経由して燃焼室49に供給され、燃焼室49において再燃焼される。
【0045】
図3に示すクランクケース42の内部には、図7に示すように、遠心クラッチ55が配置されている。遠心クラッチ55は、クランクシャフト43の左側端部に接続されている。具体的には、遠心クラッチ55は、インナ55aと、アウタ55bとを備えている。インナ55aは、クランクシャフト43に対して回転不能に接続されている。一方、アウタ55bはクランクシャフト43に対して回転可能である。クランクシャフト43の回転速度が大きくなると、インナ55aに加わる遠心力もそれだけ大きくなる。これにより、インナ55aとアウタ55bとが接続され、遠心クラッチ55がつながる。一方、クランクシャフト43の回転速度が遅くなると、インナ55aに働く遠心力も小さくなる。これにより、インナ55aとアウタ55bとが離れ、遠心クラッチ55が切断される。
【0046】
図7に示すように、図3に示すクランクケース42の内部には、変速機構60が配置されている。本実施形態において、変速機構60は、ベルト式の無段変速機構(CVT:Continuously Variable Transmission)である。但し、本発明において、変速機構は、ベルト式の無段変速機構でなくてもよい。変速機構は、ベルト式以外の無段変速機構であってもよい。例えば、変速機構は、トロコイダル式の無段変速機構であってもよい。また、変速機構は複数の変速ギア対を有する有段式の変速機構であってもよい。
【0047】
図7に示すように、変速機構60は、プライマリシーブ61と、セカンダリシーブ62とを備えている。プライマリシーブ61は、クランクシャフト43の左側端部に配置されている。プライマリシーブ61は、遠心クラッチ55のアウタ55bに対して回転不能である。一方、プライマリシーブ61は、クランクシャフト43に対して回転可能である。このため、クランクシャフト43の回転が遅く、遠心クラッチ55が繋がっていないときは、プライマリシーブ61は回転しない。それに対して、クランクシャフト43の回転速度が速く、遠心クラッチ55が接続されているときは、プライマリシーブ61は、クランクシャフト43とともに回転する。
【0048】
セカンダリシーブ62は、プライマリシーブ61の前方に配置さ
れている。セカンダリシーブ62は、セカンダリ軸64に対して回転不能に取り付けられている。プライマリシーブ61とセカンダリシーブ62との間には、断面略V字状のベルト63が巻き掛けられている。このベルト63により、プライマリシーブ61の回転が、セカンダリシーブ62及びセカンダリ軸64に伝達される。セカンダリ軸64は、図示しない動力伝達機構を介して、前輪20及び後輪21に接続されている。これにより、セカンダリ軸64の回転が前輪20及び後輪21に伝達される。
【0049】
図3に示すように、スロットルボディ54は、第2の吸気管65に接続されている。第2の吸気管65は、スロットルボディ54と吸気系部品73との間に配置されている。スロットルボディ54と第2の吸気管65とは、第1の吸気管58により接続されている。第1の吸気管58の前側端部58aは、第2の吸気管65の内部にまで延びている。これにより、後述するアキュムレーター65aとスロットルボディ54との間の距離が調節されている。
【0050】
第2の吸気管65の後ろ側部分は、第2の吸気管65の前側部分よりも太く形成されている。この第2の吸気管65の後ろ側部分は、アキュムレーター65aを構成している。一方、第2の吸気管65の前側部分は、接続部65bを構成している。接続部65bの先端部は、第3の吸気管66を介して、吸気系部品73に接続されている。
【0051】
アキュムレーター65aの少なくとも一部は、エンジン41の上方に配置されている。
【0052】
本実施形態のように、吸気系部品73とエンジンユニット40との間にアキュムレーター65aを配置することにより、吸気系部品73から供給される空気の吸気効率を向上させることができる。これにより、エンジンユニット40の性能を向上させることができる。具体的には、エンジンユニット40の高速域におけるレスポンスを向上させることができる。
【0053】
なお、アキュムレーター65aのエンジンユニット40側端部には、吸気温センサ79が配置されている。この吸気温センサ79によって、エンジンユニット40への吸気の温度が検出される。具体的には、吸気温センサ79は、アキュムレーター65a内の温度を検出する。吸気温センサ79は、検出した温度を吸気の温度として、後述するECU80に出力する。
【0054】
第2の吸気管65は、ブロー成形により一体に形成されている。図3に示すように、第2の吸気管65の接続部65bの前方端部には、固定部65dが形成されている。この固定部65dにおいて、第2の吸気管65は、フロントフレーム13に対して固定されている。一方、第2の吸気管65の後方端部は、リアフレーム14に対して、懸架部材69によってつり下げられている。このため、エンジンユニット40が多少揺動または振動しても、第2の吸気管65や第1の吸気管58に大きな力が加わらないようになっている。特に、本実施形態のように、エンジンユニット40が所謂ラバーマウントされている場合には、エンジンユニット40が揺動または振動しやすい。このため、この構成は、特に有用である。
【0055】
なお、懸架部材69の材料は、特に限定されない。懸架部材69は、弾性部材により構成されていてもよい。具体的には、懸架部材69は、ゴムにより形成されていてもよい。
【0056】
吸気系部品73は、前部被覆部材30の下方に配置されている。詳細には、吸気系部品73は、前部被覆部材30の後端部の下方に配置されている。より詳細には、吸気系部品73は、ボンネット31の下方に配置されている。
【0057】
吸気系部品73は、エアクリーナー70と、吸気ダクト72bとを備えている。エアクリーナー70は、下方端部において第3の吸気管66と接続されている。エアクリーナー70には、空気を吸入するための吸入口70aが形成されている。吸入口70aは、エアクリーナー70の上部に形成されている。吸入口70aは、後方に向かって開口している。
【0058】
図3に示すように、エアクリーナー70は、エアチャンバ74と、エアフィルタ73aとを備えている。
【0059】
吸気ダクト72bは、吸入口70aに取り付けられている。吸気ダクト72bは、吸入口70aから後方に向かって斜め下方に延びている。吸気ダクト72bの吸入口72aは、後方に向かって開口している。詳細には、吸入口72aは、後方に向かって斜め下方に向かって開口している。吸入口72aは、シート35の座面36の最下点よりも高い位置に配置されている。
【0060】
以上説明したように、本実施形態では、図6に示すように、燃料供給管86が取り出し口93側に向かって延びている。具体的には、燃料タンク90がエンジン41の側方に配置されている。デリバリパイプ85が車幅方向に向かって延びている。そして、デリバリパイプ85は、デリバリパイプ85のフューエルインジェクタ54aが接続された部位よりも燃料タンク90寄りの部分に接続されている。このため、燃料供給管86の長さを短くすることができる。従って、オフロードビークル1の構成をシンプルにすることができる。
【0061】
特に、本実施形態では、燃料供給管86がデリバリパイプ85の左側端部85aに接続されている。このため、燃料供給管86の長さをより短くすることができる。
【0062】
また、本実施形態では、燃料タンク90がエンジン41の側方に配置されている。このため、燃料タンク90をエンジン41に対して前後方向に配置する場合と比較して燃料供給管86の長さをより短くすることができる。
【0063】
さらに、本実施形態では、燃料タンク90は、エンジン41に対して変速機構60とは反対側に配置されている。このため、エンジン41に対して変速機構60と同じ側に燃料タンク90を配置する場合と比較して、燃料タンク90とデリバリパイプ85との間の距離が短くなる。従って、燃料供給管86の長さをさらに短くすることができる。
【0064】
例えば、図7に示すように、シリンダボディ46をクランクケース42の前半部分に取り付けると共にエギゾーストパイプ87をシリンダ部材39から前側に引き出すことも考えられる。この場合、エギゾーストパイプ87との位置的干渉を避けるため、燃料供給管86をシリンダボディ46の前側に引き回す必要が生じる。このため、燃料供給管86の長さが長くなると共に、オフロードビークルの構成が複雑化してしまう。また、この場合、スロットルボディ54がシリンダボディ46の後方に配置されるため、接続部65bの長さも長くなる。従って、オフロードビークルの構成が特に複雑化することとなる。
【0065】
また、シリンダボディ46がクランクケース42の前半部分に取り付けられたオフロードビークルの構成をシンプルにするため、図8に示すように、スロットルボディ54をシリンダボディ46の前方に配置することも考えられる。しかしながら、この場合、エンジンユニット40の前後長L3が長くなってしまう。
【0066】
それに対して本実施形態では、図6に示すように、シリンダボディ46は、クランクケース42の後半部分に取り付けられている。そして、エギゾーストパイプ87がシリンダ部材39から後方に向かって延びている。このため、エギゾーストパイプ87と燃料供給管86との交差や位置的干渉を抑制することができる。
【0067】
また、デリバリパイプ85及びスロットルボディ54をシリンダボディ46の前方であって、クランクケース42の上方に配置することができる。また、アキュムレーター65aの少なくともクランクケース42の上方に配置することができる。このため、エンジンユニット40の前後長L1を、図8に示すL3よりも短くすることができる。すなわち、エンジンユニット40を前後方向においてコンパクト化することが可能となる。
【0068】
さらに、スロットルボディ54がシリンダボディ46の前方に配置されていると共に、エアクリーナー70がエンジン41よりも前方に配置されている。このため、エアクリーナー70とスロットルボディ54との接続が容易である。
【0069】
また、アキュムレーター65aの大型化が可能となり、エンジン41をさらに高性能化することが可能となる。具体的には、エンジン41の高速域のレスポンスをより高めることができる。
【0070】
ところで、図7に示す場合では、エンジン41とエギゾーストパイプ87と接続部65aとが車幅方向に配列されることになる。このため、エンジンユニット40の幅W2が大きくなる。
【0071】
それに対して、本実施形態では、図6に示すように、エンジン41とエギゾーストパイプ87と接続部65aとが車幅方向に配列されない。従って、エンジンユニット40の幅W1が小さくなる。すなわち、エンジンユニット40を車幅方向にコンパクト化することができる。
【0072】
本実施形態では、燃料供給管86に少なくともひとつの屈曲部が形成されている。このため、エンジン41の振動や揺動に起因して、エンジン41と燃料タンク90との位置関係の相対的な変動による燃料供給管86の長さ変動を効果的に吸収させることができる。従って、燃料供給管86に要求される強度が低くなる。その結果、燃料供給管86を軽量化することも可能となる。
【0073】
燃料供給管86に2つ以上の屈曲部が形成されていることが好ましい。これによれば、エンジン41と燃料タンク90との位置関係が相対的に変動したときの燃料供給管86にかかる力をより効果的に低減することができる。
【0074】
本実施形態では、取り出し口93は燃料タンク90の上面に形成されている。このため、燃料漏れを抑制することができる。また、燃料タンク90のメンテナンスが容易となる。
【0075】
本実施形態では、燃料タンク90の少なくとも一部が助手席としての右側シート35aの下方に配置されている。このため、ライダーのみがシート35bに座ったときのオフロードビークル1の車体重量バランスを向上することができる。
【0076】
本実施形態では、エアクリーナー70とキャビン25とが、フロントパネル27によって隔離されている。このため、キャビン25において、エアクリーナー70の吸気騒音が聴こえにくくなっている。すなわち、キャビン25における吸気騒音が低減されている。
【0077】
(変形例)
上記実施形態では、シリンダボディ46がクランクケース42の後半部分に接続されている例について説明した。但し、本発明は、この構成に限定されない。例えば、図9及び図10に示すように、シリンダボディ46はクランクケース42の前半部分に接続されていてもよい。
【0078】
この場合、スロットルボディ54は、シリンダボディ46の前方に配置されていてもよいし、後方に配置されていてもよい。スロットルボディ54をシリンダボディ46の前方に配置することで、スロットルボディ54とエアクリーナー70との接続が容易となる。スロットルボディ54をシリンダボディ46の前方に配置する場合は、図10に示すように、エギゾーストパイプ87をシリンダ部材39から後方に向かって引き回すことが好ましい。これにより、エギゾーストパイプ87と燃料供給管86との位置的干渉を抑制することができる。
【0079】
一方、スロットルボディ54をシリンダボディ46の後方に配置することで、エンジンユニット40を前後方向においてコンパクト化することができる。スロットルボディ54をシリンダボディ46の後方に配置する場合は、図9に示すように、エギゾーストパイプ87をシリンダ部材39から前方に向かって引き回すことが好ましい。これにより、エギゾーストパイプ87と燃料供給管86との位置的干渉を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】実施形態に係るオフロードビークルの平面図である。
【図2】オフロードビークルの左側面図である。
【図3】オフロードビークルの一部を拡大した左側面図である。
【図4】エンジンユニットの構成を表す概念図である。
【図5】燃料タンクとエンジンとの位置関係を表す部分平面図である。
【図6】実施形態に係る燃料タンクとエンジンとの位置関係を表す模式平面図である。
【図7】シリンダを前方に配置し、スロットルボディをシリンダボディの後方に配置した場合の燃料タンクとエンジンとの位置関係を表す模式平面図である。
【図8】シリンダを前方に配置し、スロットルボディをシリンダボディの前方に配置した場合の燃料タンクとエンジンとの位置関係を表す模式平面図である。
【図9】変形例1におけるエンジンと燃料タンクとの位置関係を表す模式平面図である。
【図10】変形例2におけるエンジンと燃料タンクとの位置関係を表す模式平面図である。
【符号の説明】
【0081】
1 オフロードビークル
25 キャビン
27 フロントパネル
35 シート
35a 右側シート(第1のシート)
35b 左側シート(第2のシート)
39 シリンダ部材
41 エンジン
42 クランクケース
54a フューエルインジェクタ
60 変速機構
65a アキュムレーター
70 エアクリーナー
85 デリバリパイプ
86 燃料供給管
87 エギゾーストパイプ(排気管)
90 燃料タンク
93 燃料の取り出し口
94 ポンプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料が溜められ、前記燃料の取り出し口が形成された燃料タンクと、
フューエルインジェクタ、及び前記燃料タンクに接続され、前記燃料を前記フューエルインジェクタに供給するデリバリパイプを備えたエンジンと、
前記取り出し口と前記デリバリパイプとを接続する燃料供給管と、
を備え、
平面視において、前記デリバリパイプは、前記取り出し口側に向かって延びており、
前記燃料供給管は、前記デリバリパイプの前記フューエルインジェクタが接続された部位よりも前記燃料タンク寄りの部分に接続されているオフロードビークル。
【請求項2】
請求項1に記載されたオフロードビークルにおいて、
前記燃料供給管は、前記デリバリパイプの前記燃料タンク側の端部に接続されているオフロードビークル。
【請求項3】
請求項1に記載されたオフロードビークルにおいて、
前記エンジンに接続された排気管をさらに備え、
前記エンジンは、
クランクケースと、
前記クランクケースの後半部分に取り付けられたシリンダ部材と、
を有し、
前記フューエルインジェクタ及び前記デリバリパイプは、前記シリンダ部材の前方に配置されており、
前記排気管は、前記シリンダ部材から後方に延びているオフロードビークル。
【請求項4】
請求項3に記載されたオフロードビークルにおいて、
前記フューエルインジェクタ及び前記デリバリパイプは、前記クランクケースの上方に配置されているオフロードビークル。
【請求項5】
請求項3に記載されたオフロードビークルにおいて、
前記エンジンよりも前方に配置されたエアクリーナーをさらに備えているオフロードビークル。
【請求項6】
請求項1に記載されたオフロードビークルにおいて、
前記燃料タンクは、前記エンジンの側方に配置されているオフロードビークル。
【請求項7】
請求項5に記載されたオフロードビークルにおいて、
前記エンジンに対して前記燃料タンクとは反対側に配置された変速機構をさらに備えているオフロードビークル。
【請求項8】
請求項1に記載されたオフロードビークルにおいて、
前後方向に関して、前記エンジンの少なくとも一部と重なるように配置されたシートと、
前記エンジンよりも前方に配置されたエアクリーナーと、
前記シートよりも前方であって、前記エアクリーナーよりも後方に配置されたフロントパネルと、
をさらに備えているオフロードビークル。
【請求項9】
請求項8に記載されたオフロードビークルにおいて、
前記シートが配置されたキャビンをさらに備え、
前記エアクリーナーは、前記フロントパネルによって前記キャビンから隔離されているオフロードビークル。
【請求項10】
請求項8に記載されたオフロードビークルにおいて、
前記エアクリーナーと前記エンジンとの間に配置されたアキュムレーターをさらに備えているオフロードビークル。
【請求項11】
請求項10に記載されたオフロードビークルにおいて、
前記アキュムレーターの少なくとも一部は前記エンジンの上方に配置されているオフロードビークル。
【請求項12】
請求項1に記載されたオフロードビークルにおいて、
前記燃料供給管は、金属製であり、少なくともひとつの屈曲部を有するオフロードビークル。
【請求項13】
請求項1に記載されたオフロードビークルにおいて、
前記取り出し口は、前記燃料タンクの上面に形成されているオフロードビークル。
【請求項14】
請求項13に記載されたオフロードビークルにおいて、
前記取り出し口に配置され、前記燃料を前記燃料供給管に供給するポンプをさらに備えているオフロードビークル。
【請求項15】
請求項1に記載されたオフロードビークルにおいて、
運転者用の第1のシートと、
前記第1のシートに対して車幅方向に配置された第2のシートと、
をさらに備え、
車幅方向において、前記エンジンの少なくとも一部は、前記第1のシートの中心と前記第2のシートの中心との間に配置されており、
車幅方向において、前記燃料タンクの少なくとも一部は、前記第2のシートの下方に配置されているオフロードビークル。
【請求項16】
請求項1に記載されたオフロードビークルにおいて、
前記エンジンは、
クランクケースと、
前記クランクケースの前半部分に取り付けられたシリンダ部材と、
を有するオフロードビークル。
【請求項17】
請求項16に記載されたオフロードビークルにおいて、
前記フューエルインジェクタ及び前記デリバリパイプは、前記シリンダ部材の前方に位置し、
前記排気管は、前記シリンダ部材から後方に延びているオフロードビークル。
【請求項18】
請求項16に記載されたオフロードビークルにおいて、
前記フューエルインジェクタ及び前記デリバリパイプは、前記シリンダ部材の後方に位置し、
前記排気管は、前記シリンダ部材から前方に延びているオフロードビークル。
【請求項19】
燃料が溜められ、前記燃料の取り出し口が形成された燃料タンクと、
フューエルインジェクタ、及び前記燃料タンクに接続され、前記燃料を前記フューエルインジェクタに供給するデリバリパイプを備えたエンジンと、
前記取り出し口と前記デリバリパイプとを接続する燃料供給管と、
を備え、
前記燃料タンクは、前記エンジンの側方に配置されており、
平面視において、前記デリバリパイプは車幅方向に延びており、
燃料供給管は、デリバリパイプのフューエルインジェクタが接続された部位よりも燃料タンク寄りの部分に接続されているオフロードビークル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−14007(P2010−14007A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−174205(P2008−174205)
【出願日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【出願人】(000010076)ヤマハ発動機株式会社 (3,045)
【Fターム(参考)】