説明

オレフィン系難燃床材

【課題】 オレフィン系樹脂を用いて表面層の透明性を維持しながら、オレフィン系の難燃床材を提供することである。
【解決手段】 エチレンと炭素数6〜10のα-オレフィンとの共重合樹脂を主成分とし、密度が9.05×10−4g/mm以上である透明な表面層と基材とを少なくとも有するオレフィン系難燃床材であって、上記表面層の厚さが0.3mm以上で床材全体の厚さが0.8mmであり、難燃剤の添加を必要としないオレフィン系難燃床材としたことであり、上記表面層が、オレフィン系樹脂100重量部に対して造核剤を0.1〜1.0重量部含有するオレフィン系難燃床材としたことである。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は地下鉄、鉄道、バス等の車両、航空機、船舶、学校、病院等の公共施設、その他難燃性が要求される分野に使用する床材に関するもので、更に詳しくは塩素等のハロゲンを含まない樹脂を主体としてなり、意匠性に優れるオレフィン系難燃床材に関するものである。
【0002】
従来、地下鉄、鉄道、バス等の車両、航空機、船舶、或いは公共施設等の床材には、塩化ビニル樹脂製のものが多用されている。これは、塩化ビニル樹脂製の床材は、ハンドリング性、機能性が良く、比較的安価であることによるものである。さらに、印刷模様等の装飾を付与した場合、塩化ビニル樹脂製の表層は透明性に優れているため意匠性が向上する。一方、塩化ビニル樹脂は燃焼時に塩化水素ガス等の腐食性ガスを含む煙を多量発生するため、火災時に問題が残る。また、廃材は焼却処理や埋立処理以外は殆どマテリアルリサイクルであるが建築廃材のリサイクル率は依然として低い。近年では油化、ガス化等の技術が開発されケミカルリサイクルも進められているが、塩化ビニルによる設備の腐食やコスト面での問題がある。そこで塩化ビニル製床材の代替としてオレフィン系樹脂等の床材が提案されている。
【0003】
オレフィン系樹脂を構成成分とした難燃床材としては、オレフィン系樹脂に無機充填剤もしくは無機難燃剤を含有したもの(A法)(特許文献1参照)、オレフィン系樹脂を表面層とし、その下面に無機難燃剤を添加した中間層を積層したもの(B法)(特許文献2、3参照)があり、また、無機難燃剤を含有しないが有機充填剤および難燃剤を含有したオレフィン系樹脂から構成されるもの(C法)(特許文献4参照)がある。しかし、A法及びC法では表面層が透明にはならないため、印刷などによる意匠の付与は不可能であり意匠面での制限を受ける。また、B法では燃焼時に中間層の難燃剤が機能できる範囲に表面層の厚みが限定されてしまう(200〜1000μm)。
【0004】
【特許文献1】特開2005−163534号公報
【特許文献2】特開平07−89014号公報
【特許文献3】特開2004−232334号公報
【特許文献4】特開平11−512470号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これまでオレフィン系樹脂を構成成分とした難燃床材のうち、オレフィン系樹脂に無機充填剤もしくは無機難燃剤を含有したもの、無機難燃剤を含有しないが有機充填剤および有機難燃剤を含有したオレフィン系樹脂から構成されるものは、表面層が透明にはならないため、表面層裏面に印刷などによる意匠の付与は不可能であり意匠面での制限を受けていた。また、オレフィン系樹脂を表面層とし、その下面に無機難燃剤を添加した中間層を積層したものは、燃焼時に中間層の難燃剤が機能できる範囲に厚みが限定されるといった課題があった。例えば、表面層の表面に深い凹凸がついた形状の床の場合、凹凸の高さの差以上の厚みの表面層が必要であり、このような構造では表面層の厚みを厚くし透明性を維持したまま難燃性を得ることが困難となっていた。
【0006】
本発明の目的は、上記従来技術の問題点を解決し、塩化ビニル樹脂或は加硫ゴムを使用することなく、表面層の厚みに制限がほとんどなく意匠性を維持したまま、オレフィン系難燃床材を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、オレフィン系樹脂を用いて透明性を維持しながら難燃性が得られるオレフィン系床材を研究している中で、無機系または有機系難燃剤を含有する必要がなく難燃性が得られることを見出した。すなわち、エチレンと炭素数6〜10のα−オレフィンとの共重合樹脂を主成分とし、密度が9.05×10−4g/mm以上である透明な表面層と基材とを少なくとも有するオレフィン系難燃床材であって、該表面層の厚さが0.3mm以上で床材全体の厚さが0.8mm以上であるオレフィン系難燃床材としたことであり(請求項1)、上記表面層が、オレフィン系樹脂100重量部に対して造核剤を0.1〜1.0重量部含有するオレフィン系難燃床材としたことである(請求項2)。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、表面層の密度が9.05×10−4g/mm以上であるオレフィン系樹脂を用い、難燃剤を添加する必要がないため、透明性を維持しながら難燃性を得るオレフィン系床材を提供することができる。さらに、表面層に難燃剤を添加する必要がないため、表面の耐傷付き性、耐摩耗性に優れ、しかも、低コスト化を可能にした。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明のオレフィン系難燃床材は、表面層、中間層、裏層、基材などを積層して得られるが、表面層と基材だけが必須の層で、表面層と基材のみからなる構成でもよい。
本発明のオレフィン系難燃床材は、表面層、中間層、裏層等に難燃剤を添加する必要がなく難燃剤を添加しなくても、国土交通省「鉄道車両用材料の燃焼性試験及び規格」の試験法で難燃性が向上することを見出したものであるが、本発明は、難燃剤の添加を排除するものではなく、より難燃性を向上するために難燃剤を添加することも可能である。
本発明に係る床材の形態としては、長尺状床材、タイル状、マット状など特に制限はない。
【0010】
床材を、表面層と裏層と基材とを有する3層以上で構成した床材とする場合、全体の厚みを0.8mm以上、表面層の厚みを0.3mm以上にする必要があり、全体の厚みが1.0mm以上で、表面層の厚みが0.4以上であることが好ましく、全体の厚みが1.7mm以上で、表面層の厚みが0.9以上であることがより好ましい。また表面層の表面に凹凸を形成する場合、絞の高さは通常0.1〜1.5mm程度であり、表面層の厚みはこの絞の高さに0.1mm以上加えた厚みのものが好ましい。
【0011】
本発明の表面層は、エチレンと炭素数6〜10のα−オレフィンとの共重合樹脂を主成分としたオレフィン系樹脂からなり、難燃性を考慮するとエチレンと炭素数8〜10のα−オレフィンとの共重合樹脂が好ましい。また、表面層には他の樹脂をブレンドすることができ、そのブレンドする樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン−1、エチレンと炭素数3以上のα−オレフィンとの共重合樹脂、プロピレンと炭素数3以上のα−オレフィンとの共重合樹脂、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム、エチレン−ブテンゴム、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン−アクリル酸エステル共重合樹脂、エチレン−メタクリル酸共重合樹脂、オレフィン系熱可塑性エラストマー、非結晶α−オレフィン樹脂等が挙げられる。これらのブレンドする樹脂は、1種単独でも2種以上併用して使用してもよい。
【0012】
本発明の表面層は、密度が9.05×10−4g/mm以上あることが必要で、密度が9.05×10−4g/mmより低いと、難燃性が悪くなる。本発明の表面層のメルトフローレイト(MFR)は、難燃性を考慮すると2g/10分以下が好ましく、1g/10分以下がより好ましい。
【0013】
本発明では表面層のオレフィン系樹脂に、透明性を向上させるために造核剤を添加することが好ましい。その造核剤としては、ソルビトール系造核剤、有機リン酸塩系造核剤、カルボン酸の金属塩造核剤、ロジン系造核剤、ポリマー造核剤、無機化合物などが挙げられる。これらの造核剤を使用することにより、結晶サイズを小さくすることで透明性の向上効果がある。透明性の向上効果の点で、造核剤のなかでもソルビトール系造核剤が好ましい。
【0014】
ソルビトール系造核剤としては、例えば、ジベンジリデンソルビトール、1,3−ジ(メチルベンジリデン)ソルビトール、2,4−ジ(メチルベンジリデン)ソルビトール、1,3−ジ(エチルベンジリデン)ソルビトール、2,4−ジ(エチルベンジリデン)ソルビトール、1,3−ジ(ブチルベンジリデン)ソルビトール、2,4−ジ(ブチルベンジリデン)ソルビトール、1,3−ジ(メトキシベンジリデン)ソルビトール、2,4−ジ(メトキシベンジリデン)ソルビトール、1,3−ジ(エトキシベンジリデン)ソルビトール、2,4−ジ(エトキシベンジリデン)ソルビトール、1.3−クロルベンジリデン,2.4−メチルベンジリデンソルビトール、モノ(メチル)ジベンジリデンソルビトール等が挙げられる。
【0015】
有機リン酸塩系造核剤としては、例えば、ビス(4−t−ブチルフェニル)リン酸ナトリウム塩、ビス(4−t−ブチルフェニル)リン酸リチウム塩、ビス(4−t−ブチルフェニル)リン酸アルミニウム塩、2,2'−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)リン酸ナトリウム塩、2,2'−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)リン酸リチウム塩、2,2'−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)リン酸アルミニウム塩、2,2'−メチリデン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)リン酸カルシウム塩、2,2'−エチリデン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)リン酸ナトリウム塩、2,2'−エチリデン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)リン酸塩リチウム、2,2'−エチリデン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)リン酸アルミニウム塩、ビス−(4−t−ブチルフェニル)リン酸カルシウム塩等が挙げられる。
【0016】
カルボン酸の金属塩造核剤としては、例えば、安息香酸アルミニウム、安息香酸カリウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸リチウム、ジ−パラ−t−ブチル安息香酸アルミニウム、ジ−パラ−t−ブチル安息香酸チタン、ジ−パラ−t−ブチル安息香酸クロム、ヒドロキシ−ジ−t−ブチル安息香酸アルミニウム、Al−p−ブチルベンゾエート、β−ナフトエ酸ナトリウム、シクロヘキサンカルボン酸ナトリウム、シクロペンタンカルボン酸ナトリウム、アジピン酸アルミニウム、セバシン酸ナトリウム、セバシン酸カリウム、セバシン酸アルミニウム等が挙げられる。
【0017】
ロジン系造核剤としては、ロジン酸金属塩が挙げられ、ロジン酸金属塩としては、例えば、ロジン酸ナトリウム塩、ロジン酸カリウム塩、ロジン酸マグネシウム塩等が挙げられる。
【0018】
ポリマー造核剤としては、例えば、高密度ポリエチレン、3,3−ジメチルブテン−1、3−メチルブテン−1、3−メチルペンテン−1、3−メチルヘキセン−1、および3,5,5−トリメチルヘキセン−1等の炭素数5以上の3位分岐オレフィン、ビニルシクロペンタン、ビニルシクロヘキサン、ビニルノルボルネン等のビニルシクロアルカンの重合体等が挙げられる。
【0019】
無機化合物の造核材としては、例えば、シリカ、マイカ、二酸化チタン、タルク、ミョウバン等が挙げられる。
【0020】
これらの造核剤は単独で用いても良く、同種、異種の造核剤に拘わらず2種類以上を併用しても良い。造核剤の添加量はオレフィン系樹脂100重量部に対して0.1〜1.0重量部であり、好ましくは0.2〜0.5重量部である。1.0重量部以上添加しても透明性の向上効果は期待できない。また、ソルビトール系造核剤と無機化合物とを併用することにより透明性が一段と向上する。また、造核剤はマスターバッチを作製して添加することが好ましいが、樹脂配合物の混練時に十分混ぜて分散性をあげることが望ましい。
【0021】
透明性は、日本電色工業社製のNDH2000で測定しヘーズ値で評価した。表面層の裏側に印刷等の意匠がある場合は、ヘーズ値が60%を超えるものは、裏面の印刷がぼやけて実用上問題となり、60%以下にする必要がある。50%以下が好ましく、40%以下がさらに好ましい。40%以下にすると裏層の印刷が鮮明に見える様になる。
【0022】
また、表面層のオレフィン系樹脂には、透明性を損なわない範囲で必要に応じて着色剤、滑剤、フェノール系,亜リン酸エスエル系,チオエーテル系等の各種酸化防止剤、ハイドロタルサイト等の中和剤、ベンゾフェノン系,ベンゾトリアゾール系,サリシレート系等の紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系の光安定剤、抗菌剤、殺菌剤、分散剤、帯電防止剤などを添加することができる。
【0023】
本発明に使用する裏層は、オレフィン系樹脂組成物からなり、オレフィン系樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテンー1、エチレンと炭素数3以上のα−オレフィンとの共重合樹脂、プロピレンと炭素数3以上のα−オレフィンとの共重合樹脂、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム、エチレン−ブテンゴム、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン−アクリル酸エステル共重合樹脂、エチレン−メタクリル酸共重合樹脂、オレフィン系熱可塑性エラストマー、非結晶α―オレフィン樹脂等が挙げられる。これらを1種単独或いは2種以上組み合わせて使用してもよい。
【0024】
裏層は、透明である必要が無いために、更に従来公知の各種充填材を添加することが出来る。例えば、炭酸カルシウム、マイカ、タルク、シリカ、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、カオリン、クレー、ゼオライト、フェライト、ケイ酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化チタン、酸化鉄、石こう、ガラスビーズ、ガラスパウダー、ガラスバルーン、ガラスファイバー、石英、石英ガラス、ガラス繊維、チタン酸カリウム繊維などが挙げられる。これらを1種単独或いは2種以上組み合わせて使用してもよい。
【0025】
また、裏層には必要に応じて着色剤、滑剤、フェノール系,亜リン酸エスエル系,チオエーテル系等の各種酸化防止剤、ハイドロタルサイト等の中和剤、ベンゾフェノン系,ベンゾトリアゾール系,サリシレート系等の紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系の光安定剤、抗菌剤、防錆剤、分散剤、帯電防止剤などを添加することができる。
【0026】
本発明のオレフィン系難燃床材は、各層の層間および/または最裏面の少なくとも1箇所に基材を設ける必要があり、このことにより難燃性に加えて寸法安定性を向上させることができる。使用する基材としては、合成繊維、天然繊維、ガラス繊維、カーボン繊維などの織布或いは不織布、若しくは紙、金属箔等が挙げられる。
【0027】
更に本発明のオレフィン系難燃床材は、表面または表面層の裏面若しくは表面層と接する層の表面に印刷模様、マーブル模様を付与することにより、意匠性に優れた床材とすることができる。印刷面が表面層の裏面若しくは表面層と接する層の表面の場合、表面層は模様が認識可能な透明または半透明な層であることが必要である。印刷インキは特に制限はないが、例えば、ポリエステルイソシアネート、ポリエーテルイソシアネート、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、セルロース誘導体等のワニスを単独若しくは混合して各種着色剤を添加して着色したもの等を例示できる。また、印刷する面に他の層を積層する場合には、コロナ放電処理、電子線処理、プラズマ処理等を行うことにより層間の密着性を向上させることができる。また、コロナ放電処理、電子線処理、プラズマ処理等を施した後、プライマー層を設けることも可能である。プライマーは公知のものが使用可能であり、例えばウレタン系、エポキシ系、アクリル系、ハロゲン樹脂系のものが一般的である。
【0028】
本発明のオレフィン系難燃床材は、ロール、カレンダー装置、押出機、ラミネート装置等の公知の設備で成形することができる。さらにはマーブル調の模様を付与したり、エンボスにより表面に凹凸を付与することも可能である。
【0029】
本発明のオレフィン系難燃床材を下地に施工する接着剤としては、溶剤型、エマルジョン型のどちらのタイプでもよく、通常、エポキシ系接着剤、ウレタン系接着剤、アクリル系接着剤、酢酸ビニル系接着剤、SBR系接着剤、クロロプレン系接着剤などが使用でき、なかでも、接着強度を考慮するとエポキシ系接着剤、ウレタン系接着剤が好ましい。
【実施例】
【0030】
本発明を実施例によって更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。実施例、比較例で使用する材料を表1に、表面層配合を表2、3に、裏層配合を表4に、それぞれの実施例、比較例の評価結果を表5、6、7に示す。
後述する実施例、比較例で得られた試料を以下の評価方法及び評価基準で評価した。
[評価方法及び評価基準]
<透明性>
それぞれの実施例、比較例の表面層のみを1.0mmにシート出しし、カラーコンピュータによりヘイズを測定して以下の基準で評価した。
◎:ヘイズ値が40%以下(裏面の印刷が鮮明に見える)
○:ヘイズ値が40%を超え50%以下(裏面の印刷が鮮明ではないが見える)
△:ヘイズ値が50%を超え60%以下(裏面の印刷がややぼやけるが、実用上問題
は無い)
×:ヘイズ値が60%を超える(裏面の印刷がぼやけて、実用上問題がある)
<難燃性>
燃焼試験は、国土交通省「鉄道車両用材料の燃焼性試験及び規格」に準じて行い、それぞれの実施例、比較例で得られた床材について5点づつ燃焼試験を実施し、以下の基準で評価した。
○:5点とも難燃性となるもの。
△:1〜4点難燃性となるもの。
×:5点とも難燃性とならないもの。
【0031】
<実施例1〜3、比較例1>
実施例1〜3と比較例1は裏層のない床材であり、表5、7の表面層該当配合Noの樹脂組成物を190℃のロールで混練して、ポリエステル(75%)/レーヨン(25%)混紡糸からなる編物の基材上に積層しオレフィン系床材を得た。
【0032】
<実施例4〜19、比較例2〜6>
先ず、表4の裏層配合(配合No18)の樹脂組成物を165℃のロールで混練して後、ポリエステル(75%)/レーヨン(25%)混紡糸からなる編物の基材上に積層した。続いて、表5、6、7の該当配合Noの樹脂組成物を190℃のロールで混練して、裏層を積層した基材上に、表面層として重ねて積層してオレフィン系床材を得た。


【0033】
【表1】

【0034】
【表2】



【0035】
【表3】

【0036】
【表4】

【0037】
【表5】







【0038】
【表6】

【0039】
【表7】

【0040】
表から明らかなように、請求項1の範囲にあるものは、難燃性、透明性があることがわかる。また、エチレンと炭素数6〜10のα−オレフィンとの共重合樹脂については、実施例7、11の比較により、エチレンと炭素数6のα-オレフィンとの共重合樹脂より、エチレンと炭素数8のα-オレフィンとの共重合樹脂のほうが、難燃性がよいことがわかり、さらに、実施例8、9の比較により、エチレンと炭素数8のα−オレフィンとの共重合樹脂の密度は9.05×10−4g/mmより、9.08×10−4g/mmほうがよく、共重合樹脂が同じ炭素数のα−オレフィンの場合、密度が大きいほうがよいことがわかる。
【0041】
実施例6、9の比較から、造核剤添加により透明性がよくなることが分かり、さらに、実施例6、11〜19の比較からソルビトール系造核剤の効果が大きいことが分かる。また、比較例4、5からエチレンと炭素数8のα−オレフィンとの共重合樹脂に、LDPE、HDPEを少量部数添加しても透明性は改善されないことが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明の難燃床材は、塩素等のハロゲンを含まない樹脂を主体としており、難燃剤を含むことなく難燃性および意匠性に優れているため、地下鉄、鉄道、バス等の車両、航空機、船舶、学校、病院等の公共施設などの難燃性が要求される分野に広く利用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エチレンと炭素数6〜10のα−オレフィンとの共重合樹脂を主成分とし、密度が9.05×10−4g/mm以上である透明な表面層と基材とを少なくとも有するオレフィン系難燃床材であって、上記表面層の厚さが0.3mm以上で床材全体の厚さが0.8mm以上であることを特徴とするオレフィン系難燃床材。
【請求項2】
上記表面層が、オレフィン系樹脂100重量部に対して造核剤を0.1〜1.0重量部含有することを特徴とする請求項1に記載のオレフィン系難燃床材。

【公開番号】特開2009−19401(P2009−19401A)
【公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−182288(P2007−182288)
【出願日】平成19年7月11日(2007.7.11)
【出願人】(000010010)ロンシール工業株式会社 (84)
【Fターム(参考)】