説明

カメラ

【課題】 本発明は、撮影時に露光量を適正範囲に調整するときに、被写体を観察しながら行うことができるカメラを提供すること。
【解決手段】 本発明のカメラ1は、所定の露光調整により露光量が調整可能になっており、露光調整により露光量が撮影に適正な適正範囲、又は撮影に不適な不適正範囲になった旨の露光情報を、被写体を観察しながら撮影者が感知可能な感知手段を配設している。
そのために、所望のシャッターチャンスを逃がすことなく撮影することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はカメラに係わり、特に、被写体を観察しながら露光量を適正範囲に調整可能なカメラに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のカメラを特許文献1に基づいてフィルム式のカメラで説明すると、従来のカメラ20は、図6、図7に示すように、グリップ部21の上面には、シャッタボタン22とUP/DOWNダイヤル23とが近接して配置されている。
前記UP/DOWNダイヤル23は、正逆回転可能なダイヤルスイッチであり、フイルム装填時、及び絞り量、EV補正、シャッタ速度、フォーカス調整等の撮影条件の設定を行うようになっている。
【0003】
また、UP/DOWNダイヤル23に近接して、AFボタン24と露出補正ボタン25とが配置されている。
前記AFボタン24の操作によって、オートフォーカスモード/マニアルフォーカスモードに切り換え可能になっており、露出補正ボタン25によって、露光量の調整がオート撮影モード/セミオート撮影モード等に切り換え可能になっている。
【0004】
そして、必要によって絞りを可変したい場合には、裏蓋27が閉じられて裏蓋スイッチ26がONになっていることと、セレクトダイヤル28、AFボタン24等の操作の組合せによって、撮影モードがオート撮影モードからセミオート撮影モードになると共に、UP/DOWNダイヤル23の機能が、例えば絞り調整モードに切り換わる。
その後、表示部29に表示される絞り値を観察しながらUP/DOWNダイヤル23を回転操作することで、露光量が適正範囲に調整されたことが表示部29に表示される。そして、UP/DOWNダイヤル23により絞りを、例えば開放側に調整することにより、被写界深度が浅くなって、被写体バックの景色等をピンぼけ状態に撮影することができる。
【0005】
また、乗り物、あるいはスポーツ選手等の動いている被写体を撮影する場合に、シャッタ速度を例えば1/500秒の高速領域で撮影したい場合は、セレクトダイヤル28、露出補正ボタン25等の操作の組合せによって、UP/DOWNダイヤル23がシャッタ速度調整モードとなり、表示部29に表示されるシャッター速度を観察しながらUP/DOWNダイヤル23を回転操作して1/500秒に調整することにより、動きのある被写体をぶれることなく鮮明に撮影することができる。
【特許文献1】特開平09−015697号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、従来のカメラ20は、セミオート撮影モード、又はマニアル撮影モードに切り換えて絞りの調整、またはシャッター速度の調整をするときに、表示部29を観察しながら行わなければいけなかった。
そのために、乗り物あるいはスポーツ選手等のような、動いている被写体を撮影する場合に、シャッターチャンスを逃がすおそれがあった。
また、露光量をマニアル調整するのに、UP/DOWNダイヤル23、AFボタン24、露出補正ボタン25等の複数のボタンを操作しなけれならないので、操作が複雑であり、操作に時間が掛かる問題があった。
そこで本発明は、前述のような課題を解決して、撮影時に露光量を調整するときに、被写体を観察しながら行うことができるカメラを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための第1の解決手段として本発明のカメラは、所定の露光調整により露光量を調整可能なカメラであって、前記露光調整により前記露光量が撮影に適正な適正範囲、又は撮影に不適な不適正範囲になった旨の露光情報を、被写体を観察しながら撮影者が感知可能な感知手段を配設したことを特徴とする。
また、上記課題を解決するための第2の解決手段として、前記感知手段は、前記カメラを所定の振幅で振動駆動可能な振動発生手段を有し、この振動発生手段によって前記カメラが振動することで、前記露光情報を撮影者が感知できることを特徴とする。
【0008】
また、上記課題を解決するための第3の解決手段として、前記振動発生手段により振動する振動パターンは、複数種類あり、前記振動パターンは、前記露光調整によって前記露光量が適正範囲になると第1の振動パターで振動し、前記露光量が適正範囲から所定範囲外れた場合は、第2の振動パターンで振動することを特徴とする。
また、上記課題を解決するための第4の解決手段として、前記振動パターンは、露光調整中に露光量が前記所定範囲以上外れた場合は、第3の振動パターンで振動することを特徴とする。
【0009】
また、上記課題を解決するための第5の解決手段として、前記感知手段は、所定の大きさの音を発生可能な音発生手段を有し、この音発生手段から発する音と前記振動発生手段による振動とを組み合わせて前記露光情報を感知可能としたことを特徴とする。
また、上記課題を解決するための第6の解決手段として、押圧操作とスライド操作とが可能なスイッチ装置を備え、前記スイッチ装置の押圧操作で少なくとも絞り調整モードに切り換わり、その後、前記スライド操作で前記絞りが調整可能になることを特徴とする。
また、上記課題を解決するための第7の解決手段として、前記絞り調整モードに切り換え後、再度前記押圧操作を行うことで、シャッター速度調整モードに切り換わり、その後、前記スライド操作で前記シャッタ速度が調整可能になることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、所定の露光調整により露光量を調整可能なカメラであって、露光調整により露光量が撮影に適正な適正範囲、又は撮影に不適な不適正範囲になった旨の露光情報を、被写体を観察しながら撮影者が感知可能な感知手段を配設したので、露光量調整が適正範囲、又は不適正範囲になったことを、撮影者が被写体を観察しながら感知して撮影することができる。そのために、被写体を観察しながら最適なシャッターチャンスで撮影することができる。
また、シャッター速度が高速又は低速の露光量適正範囲が狭い領域での撮影においても、露光量が適正範囲になると感知手段が駆動するので、正確な露光調整が可能である。
また、感知手段は、カメラを所定の振幅で振動駆動可能な振動発生手段を有し、この振動発生手段によってカメラが振動することで、露光情報を撮影者が感知できるので、露光量が最適範囲、又は不適範囲にあることを撮影者が確実に感知できる。
【0011】
また、振動発生手段により振動する振動パターンは、複数種類あり、振動パターンは、露光調整によって露光量が適正範囲になると第1の振動パターで振動し、露光量が適正範囲から所定範囲外れた場合は、第2の振動パターンで振動するので、第2の振動パターンで振動開始すると露光量が適正範囲に近づいたことを感知することができ、操作性に優れている。
また、振動パターンは、露光調整中に露光量が所定範囲以上外れた場合は、第3の振動パターンで振動するので、更に操作性に優れている。
【0012】
また、感知手段は、所定の大きさの音を発生可能な音発生手段を有し、この音発生手段から発する音と振動発生手段による振動とを組み合わせて露光情報を感知可能としたので、撮影者が振動発生手段による振動を見逃しても音発生手段による音を感知して露光量が適正範囲になったことを知ることができる。
また、押圧操作とスライド操作とが可能なスイッチ装置を備え、スイッチ装置の押圧操作で少なくとも絞り調整モードに切り換わり、その後、スライド操作で絞りが調整可能になっているので、1個のスイッチ装置の押圧操作とスライド操作とにより、複数の撮影モードの切り換えと、切り換えた撮影モードの階層の絞り込みとを行うことができ、複数の撮影モードの切り換え等を1個のスイッチ装置で行うことができ、部品点数の少ないカメラを提供できる。
また、絞り調整モードに切り換え後、再度押圧操作を行うことで、シャッター速度調整モードに切り換わり、その後、スライド操作でシャッタ速度が調整可能になるので、オート撮影あるいはセミオート撮影だけでなくマニアル撮影もでき、用途の広いカメラを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明のカメラを図面に基づいて説明する。図1は本発明に関するカメラの斜視図であり、図2は図1の要部拡大図であり、図3は本発明に係わる露光量適正範囲を説明するグラフであり、図4はセミオート撮影の操作手順を説明するブロック図であり、図5はマニアル撮影の操作手順を説明するブロック図である。
【0014】
まず、本発明のカメラ1を、例えば近年主流となっているデジタルカメラで説明すると、カメラ1の本体部2には、所定の大きさの液晶等からなるモニター部3が配設されている。このモニター部3と対向する側には所定の焦点距離と明るさの対物レンズ(図示せず)が配設されており、対物レンズの結像部分の本体部2内部には、CCD、あるいはCMOS等の撮像素子が配設されている。
また、本体部2の図示右側には、撮影者が把持可能なグリップ部4が形成され、グリップ部4の上部に、2段操作可能なシャッターボタン5が配設されている。
前記シャッターボタン5は、撮影モードがオート撮影モードになっている時に、軽く半押しすることで露光調整が自動的に行われるようになっている。
【0015】
また、グリップ部4には、上部側にスライド操作可能なスイッチ装置からなるズーミングボタン6と、この下部にスライド操作と押圧操作とが可能なスイッチ装置からなるセレクトボタン7とが配設されている。
そして、例えば搭載しているレンズが焦点距離25mmの場合に、ズーミングボタン6を図示右方向にスライドさせると、例えば3倍にズーミングされて焦点距離が75mmになり、図示左方向にスライドさせると、最初の25mmの焦点距離に戻るようになっている。
【0016】
また、セレクトボタン7は、図2に示すように、操作部7aの中央部に凸部7bが形成され、凸部7bを押圧操作することで、複数の撮影モードに切り換え可能になっており、操作部7aを左右にスライド操作することにより、切り換えた撮影モードの階層を絞り込みできるようになっている。
例えば、電源スイッチ(図示せず)を押圧して電源を立ち上げた初期状態においては、撮影モードがオート撮影モードになる。
【0017】
このオート撮影モードにおいて、セレクトボタン7の凸部7bを押圧する第1の押圧操作で、オート撮影モードからセミオート撮影モードに切り換わり、露光調整モードが、例えば絞り調整モードとなり、モニター部3に後述する露光量適正範囲に対応する絞り目盛りが表示される。
その後、セレクトボタン7を左右にスライド操作することにより、露光量適正範囲に対応する絞りFに調整可能になる。
【0018】
また、露光調整を絞り調整でなくシャッター速度の調整で行うには、セレクトボタン7の第1の押圧操作で絞り調整モードになった後、セレクトボタン7をスライド操作しないで、続けて第2の押圧操作を行うことで、絞り調整モードからシャッター速度調整モードに切り換わり、モニター部3に適正露光量に対応するシャッター速度目盛りが表示される。
その後、セレクトボタン7を左右にスライド操作することにより、露光量適正範囲に対応するシャッター速度に調整可能になる。
【0019】
尚、上記実施の形態では、セレクトボタン7の第1の押圧操作で絞り調整モードに切り換わり、第2の押圧操作で、シャッタ速度調整モードに切り換わることで説明したが、第1の押圧操作でシャッター速度調整モードに切り換わり、第2の押圧操作で、絞り調整モードに切り換わるものでも良い。
また、カメラ1の露光調整は、周知のように絞りFとシャッター速度Sとの調整によって行うことができ、図3の実線で示す範囲が露光量適正範囲で、この露光量適正範囲になるように、絞りFとシャッター速度Sとを調整することにより、適正な明るさの画像撮影が可能になる。
尚、図3に示す実線で囲んだ露光量適正範囲は、説明のために模式的に書いている。
【0020】
前記実線で囲んだ部分の露光量適正範囲は、本体部2内の制御部(図示せず)にテーブルとして入力されている。
そして、図3に示すような露光量適正範囲になるように、例えば、絞りFを「16」又は「11」に調整しシャッター速度Sを「4秒」に調整して撮影した画像と、絞りFを「1.4」又は「2」で調整しシャッター速度Sを「1/250秒」で撮影した画像とは、どちらも同じ明るさで被写体を撮影できる。
【0021】
また、制御部には、セミオート撮影用として、例えば標準絞りとして「4」が入力され、標準シャッター速度して「1/60秒」が事前にテーブルとして入力されている。
即ち、セミオート撮影モードの時の露光調整は、図3において、実線の露光量適正範囲に囲まれた標準シャッター速度1/60秒の縦軸に対応して絞りFの調整範囲が略1.3〜4になっている。
あるいは、実線の露光量適正範囲に囲まれた標準絞り「4」の横軸に対応してシャッター速度Sの調整範囲が略1〜1/60秒になっている。
【0022】
また、カメラ1には、露光調整によって露光量が適正範囲になった旨の露光情報を、撮影者が感知可能な感知手段(図示せず)が配設されている。
前記感知手段は、例えばカメラ1を所定の振幅で振動駆動可能な振動発生手段からなり、絞り、又はシャッター速度の調整による所定の露光調整により、露光量が撮影に適正な適正範囲になると、振動発生手段によりカメラ1が所定の振幅で振動するようになっている。
このことにより、撮影者が露光量適正範囲になったことを確実に感知できる。
【0023】
また、振動発生手段は、振動パターンが複数種類あり、絞り、あるいはシャッター速度の調整による露光調整が、露光量適正範囲になると、露光量適正範囲になった旨の露光情報に対応して、カメラ1が例えば「ブルルルル」のような連続した第1の振動パターンで振動するようになっている。
また、露光調整中の絞りFが、図3に示す露光量適正範囲に近づく(あるいは露光量が適正範囲から所定範囲外れる)と、この露光情報に対応して、カメラ1が例えば「ブルッ・ブルッ・ブルッ」のような断続的な第2の振動パターンで振動するようにしても良い。
【0024】
更に、露光調整中に露光量が所定範囲以上外れると、この露光情報に対応して、カメラ1が例えば「ブルル・ブルル・ブルル」のような第3の振動パターンで振動するようにしても良い。
即ち、所定の露光調整により露光量が撮影に適正な適正範囲又は不適正範囲になった旨の露光情報を、撮影者が被写体を観察しながら感知可能になっている。
そのために、振動発生手段は、露光調整中の露光量が適正範囲内になったときだけでなく、露光調整中の露光量が適正範囲に近づいたとき、あるいは適正範囲から大きく外れた場合も、第2、第3の振動パターンの振動により、撮影者に知らせることができる。
前記第1、第2、第3の振動パターンを停止させるには、シャッターボタン5を軽く半押しすることで可能になっている。
そのために、シャッターを切る時のカメラ1は、振動しないので撮影画像にブレが発生する心配はない。
【0025】
このような本発明のカメラ1の露光調整方法を図4、図5のブロック図で説明すると、まず、セミオート撮影を行う場合は、電源スイッチ(図示せず)を操作してカメラ1の電源を立ち上げる。
すると、撮影モードは、オート撮影モードになり、このオート撮影モードの時にシャッターボタン5を軽く半押しすると、露光調整が自動的に行われて露光量適正範囲になると共にオートフォーカスが行われる。
【0026】
その後、シャッターボタンを強く押し込むことで、シャターが切れて被写体を適正な明るさで撮影できる。通常、昼間の明るい環境で撮影する場合は、オート撮影で被写体を適正な明るさで撮影できるが、例えば、周囲の明るさが暗くてオート撮影に適さない状況の場合は、必要に応じて絞り、あるいはシャッター速度のいずれか一方を調整するセミオート撮影モードに切り換えて撮影可能になっている。
このような、撮影モードをセミオート撮影モードに切り換えるには、オート撮影モードになっている状態から、セレクトボタン7の第1の押圧操作でセミオート撮影モードに切り換わると共に、露光調整モードが絞り調整モードになる。
【0027】
前記露光調整モードが絞り調整モードになると、セレクトボタン7をスライド操作させて、事前に入力している標準シャッタ速度「1/60秒」に対応する絞りFが、露光量適正範囲である「略1.4〜4」の範囲近傍になると、カメラ1が第2の振動パターンで振動して、撮影者がモニター部3を見なくても、露光調整中の露光量が適正範囲に近づいたことを感知できる。
前記第2の振動パターンでカメラ1が振動中に、シャッターボタン5を誤って押圧しても、シャッターは切れないようになっている。
【0028】
そして、第2の振動パターンで振動中にセレクトボタン7を更にスライドさせて、絞りFが露光量適正範囲である「略1.4〜4」の範囲内になると、カメラ1が第1の振動パターンで振動する。
このことにより、撮影者がモニター部3を見なくても、絞りFが露光量適正範囲内になったことを感知でき、第1の振動パターンで振動が開始すると、シャッタボタン5を強く押し込むことでシャッターが切れて、被写体を適正な明るさで撮影することができる。
【0029】
また、セミオート撮影モードの時の露光調整を、絞りFの調整に換えてシャッタ速度Sの調整で行う場合には、第1の押圧操作で露光調整モードが絞り調整モードになると、絞り調整を行わないで続けてセレクトボタン7を押圧する第2の押圧操作で、露光調整モードがシャッター速度調整モードに切り換わる。
そして、シャッター速度調整モードに切り換わると、セレクトボタン7をスライド操作して、事前に入力している標準絞りF「4」の値に対応するシャッター速度Sを「略1〜1/60秒」の範囲に調整することで、露光量が適正範囲に調整されて、適正な明るさの画像を撮影することができる。
前記シャッター速度の調整時も、絞り調整と同様に、「略1〜1/60秒」の露光量適正範囲近傍になると、カメラ1が第2の振動パターンで振動し、調整するシャッター速度が露光量適正範囲内になると、第1の振動パターンで振動するようになっている。
【0030】
また、動いている被写体等をブレなく鮮明に撮影したい場合は、必要に応じて絞りとシャッター速度の両方を調整可能なマニアル撮影モードに切り換えて撮影することができる。
前記マニアル撮影モードに切り換えるには、図5のブロック図に示すように、電源を立ち上げてオート撮影モードになると、セレクトボタン7の第1の押圧操作で、絞り調整モードになりセレクトボタン7をスライド操作して所望の絞りFに合わせる。
その後、セレクトボタン7の第2の押圧操作で、撮影モードがマニアル撮影モードになると共に、シャッター速度調整モードになる。そして、セレクトボタン7をスライド操作して所望のシャッター速度Sに合わせる。
前記絞り調整モードで合わせた絞りFとシャッター速度調整モードで合わせたシャッター速度Sとの露光量が、図3に示す露光量適正範囲にある時は、カメラ1が第1の振動パターンで振動する。
【0031】
このようなマニアル撮影モードでも撮影例を、例えば乗り物、あるいはスポーツ選手等の動いている被写体をシャープ(鮮明)に撮影する場合で説明すると、動いている被写体をシャープに撮影するにはシャッター速度Sを高速領域で撮影しなければならないので、絞りFは、例えば開放気味の「2」に調整する。
すると、モニター部3に絞りF「2」に対応する露光量適正範囲のシャッター速度Sが「略1/8〜1/250秒」であることが表示される。
そして、シャッター速度Sは、高速領域の1/250秒に調整することで、被写体をシャープに撮影できる。
前記マニアル撮影モードで調整した絞りF「2」とシャッター速度S1/250秒との露光量は、図3に示す露光量適正範囲内なので、カメラ1は第1の振動パターンで振動する。
【0032】
そのために、適正露光範囲になったことを動いている被写体を観察しながら撮影者が感知できる。
尚、絞りFを「2」に調整した状態で、シャッター速度Sを1/500秒に調整した場合は、露光量が適正範囲から若干外れるので、カメラ1は第2の振動パターンで振動する。このことで、撮影者は、調整した露光量が適正範囲から外れていることを感知できる。
前述のようなマニアル撮影モードで絞りFを開放側に調整することで、撮影する画像の被写界深度を浅くすることができる。そのために、フォーカス調整が適正であれば、撮影した被写体はシャープに、バックの景色等はぼかして撮影でき、遠近感のある画像を得ることができる。
【0033】
また、逆に、被写界深度を深くしたい場合には、露出不足になるのを承知して絞りFを例えば8に絞って調整し、シャッター速度は1/250秒のままで撮影することで、露出不足になるがバックの景色等を絞りFが「2」の時よりシャープに撮影することができる。
また、マニアル撮影モードでは、オート撮影、あるいはセミオート撮影に適さない夜景等の暗い被写体も撮影することができる。
このような夜景等を撮影する場合は、絞りFを開放に近い側の例えば「2〜1.4」に調整し、シャッター速度Sを2〜1秒に調整することで、夜景等を撮影可能な露光量となる。
【0034】
また、本発明のカメラ1の感知手段は、ブザー等の音発生手段(図示せず)を有し、この音発生手段から発する音と振動発生手段による所定の振幅の振動とを組み合わせて、露光量が適正範囲か不適正範囲かの露光情報を感知可能としたものでも良い。
このような音発生手段から発生する音と、振動発生発生手段から発生する振動とを組み合わせることで、撮影者が何らかの理由、例えばカメラ1を三脚等に取り付けていて振動が感知できなくても、音で感知することができ、更に確実に露光量が適正範囲になったことを感知してシャッターチャンスを逃がすことがない。
【0035】
尚、本発明の実施の形態では、露光量が適正範囲から所定範囲外れると第2の振動パターンで振動し、露光量が適正範囲から所定範囲以上外れると第3の振動パターンで振動することで説明したが、露光量が適正範囲内になった時のみ所定の振動パターンで振動し、露光量が不適正範囲の場合は、振動しないようにしたものでも良い。
また、逆に、露光量が不適正範囲の時のみ所定の振動パターンで振動し、露光量が適正範囲内になると振動しないようにしたものでも良い。
また、本発明のカメラ1は、デジタルカメラに限定されずフィルム式のカメラにも適用は可能である。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明に関するカメラの斜視図である。
【図2】図1の要部拡大図である。
【図3】本発明に係わる露光量適正範囲を説明するグラフである。
【図4】セミオート撮影の操作手順を説明するブロック図である。
【図5】マニアル撮影の操作手順を説明するブロック図である。
【図6】従来のカメラの正面図である。
【図7】従来のカメラの上面図である。
【符号の説明】
【0037】
1 本発明のカメラ
2 本体部
3 モニター部
4 グリップ部
5 シャッターボタン
6 ズーミングボタン
7 セレクトボタン
7a 操作部
7b 凸部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の露光調整により露光量を調整可能なカメラであって、前記露光調整により前記露光量が撮影に適正な適正範囲、又は撮影に不適な不適正範囲になった旨の露光情報を、被写体を観察しながら撮影者が感知可能な感知手段を配設したことを特徴とするカメラ。
【請求項2】
前記感知手段は、前記カメラを所定の振幅で振動駆動可能な振動発生手段を有し、この振動発生手段によって前記カメラが振動することで、前記露光情報を撮影者が感知できることを特徴とする請求項1記載のカメラ。
【請求項3】
前記振動発生手段により振動する振動パターンは、複数種類あり、前記振動パターンは、前記露光調整によって前記露光量が適正範囲になると第1の振動パターで振動し、前記露光量が適正範囲から所定範囲外れた場合は、第2の振動パターンで振動することを特徴とする請求項2記載のカメラ。
【請求項4】
前記振動パターンは、露光調整中に露光量が前記所定範囲以上外れた場合は、第3の振動パターンで振動することを特徴とする請求項3記載のカメラ。
【請求項5】
前記感知手段は、所定の大きさの音を発生可能な音発生手段を有し、この音発生手段から発する音と前記振動発生手段による振動とを組み合わせて前記露光情報を感知可能としたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のカメラ。
【請求項6】
押圧操作とスライド操作とが可能なスイッチ装置を備え、前記スイッチ装置の押圧操作で少なくとも絞り調整モードに切り換わり、その後、前記スライド操作で前記絞りが調整可能になることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のカメラ。
【請求項7】
前記絞り調整モードに切り換え後、再度前記押圧操作を行うことで、シャッター速度調整モードに切り換わり、その後、前記スライド操作で前記シャッタ速度が調整可能になることを特徴とする請求項6記載のカメラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−243091(P2006−243091A)
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−55389(P2005−55389)
【出願日】平成17年3月1日(2005.3.1)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】