カラー画像形成装置
【課題】補正制御の処理時間を大幅に短縮することにより、画像形成処理の生産性の低下を招くことなく、補正制御を頻繁に実施して高品位な画像を確保する。
【解決手段】感光体に対する光ビームの走査方向が互いに同一となる色同士で同一のグループにグループ分けして、そのグループごとに選択された代表色である黒及びイエローのレジストパターンPK・PYのみをレジストセンサ32a・32cの各検出位置にそれぞれ形成させ、これにより取得した代表色である黒及びイエローの位置変化状況から同じグループに属する他の色の位置変化状況を予測して、基準色に対する他の各色ごとの主走査方向の位置ずれ情報を取得する。
【解決手段】感光体に対する光ビームの走査方向が互いに同一となる色同士で同一のグループにグループ分けして、そのグループごとに選択された代表色である黒及びイエローのレジストパターンPK・PYのみをレジストセンサ32a・32cの各検出位置にそれぞれ形成させ、これにより取得した代表色である黒及びイエローの位置変化状況から同じグループに属する他の色の位置変化状況を予測して、基準色に対する他の各色ごとの主走査方向の位置ずれ情報を取得する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各色ごとの感光体に対する露光手段による光ビームの走査により各色ごとの前記感光体に個別に像を形成し、それらを中間転写体上で合成してカラー画像を得るカラー画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
イエロー、マゼンタ、シアン、及びブラックの各色ごとのプロセスユニットを中間転写ベルトに沿って配列して中間転写ベルト上で各色ごとのトナー像を重ね合わせるようにした、いわゆるタンデム型のカラー画像形成装置が広く普及している。この種のタンデム型のカラー画像形成装置においては、各色ごとの感光体ドラム上に個別に像が形成された後に、その各色ごとの像が順次、中間転写ベルト上で重ね合わされるため、各色ごとの像に位置ずれがあると、中間転写ベルト上で重ね合わせた像に色ずれが生じ、画像品質を低下させる。
【0003】
このような色ずれは、光源が発する光ビームを感光体に導く光学部品などの位置関係が温度などの環境変化に伴って変化することで発生し、中間転写ベルト上に形成された色ずれ検知用のパターン画像のずれ状態に基づいた補正制御を、適宜なタイミングで実行することにより抑制することでができるが、これに必要となるパターン画像の形成などの動作に時間を要するため、このような補正制御を頻繁に行うと、画像形成処理の生産性の大幅な低下を招き、これとは逆に、補正制御の実行間隔が長くなると、環境変動に制御が追随できずに、高品位な画像を確保することが困難になるという問題が生じる。
【0004】
そこで、画像形成処理の生産性の大幅な低下を招くことなく、補正制御を頻繁に実施して高品位な画像を確保することが可能なように、所要の画像形成処理に影響を及ぼさない領域に位置合わせ用のパターン画像を形成して、画像形成処理と並行して補正制御を実施することができるように構成したものが知られている(特許文献1・2参照)。
【特許文献1】特開平8−6347号公報
【特許文献2】特開2005−4121号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記従来の技術では、所要の画像形成処理に影響を及ぼさない領域に位置合わせ用のパターン画像を形成するために、感光体ドラムや中間転写ベルトの幅を通常よりも大きく設定する必要が生じ、装置の大型化や製造コストの上昇を招く不都合があり、また、位置合わせ用のパターン画像が通常の画像形成領域の外側に形成されることから、十分に高い位置合わせ精度を確保することができないという問題が生じる。このため、通常の画像形成領域内にパターン画像を形成する方式で補正制御の処理時間を短縮する技術が望まれる。
【0006】
本発明は、このような従来技術の問題点を解消するべく案出されたものであり、その主な目的は、補正制御の処理時間を大幅に短縮することにより、画像形成処理の生産性の低下を招くことなく、補正制御を頻繁に実施して高品位な画像を確保することができるように構成されたカラー画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のカラー画像形成装置は、各色ごとの感光体に対する露光手段による光ビームの走査により各色ごとの前記感光体に個別に像を形成し、それらを中間転写体上で合成してカラー画像を得るカラー画像形成装置であって、各色ごとの複数の光源が回転多面鏡に対する位置関係に応じて前記感光体に対する光ビームの走査方向が逆向きとなるように配置された露光手段と、前記中間転写体上に形成された位置合わせ用のパターン画像を、主走査方向に離間した複数の検出位置で検知する画像検出手段と、前記中間転写体上のパターン画像を前記画像検出手段に検出させてその検出結果に基づいて各色ごとの位置ずれ情報を取得して補正処理を行う補正制御手段とを有し、この補正制御手段が、前記感光体に対する光ビームの走査方向が互いに同一となる色同士で同一のグループにグループ分けして、そのグループごとに選択された代表色のパターン画像のみを前記画像検出手段の各検出位置にそれぞれ形成させ、これにより取得した代表色のパターン画像の位置変化状況から同じグループに属する他の色のパターン画像の位置変化状況を予測して、基準色に対する他の各色ごとの主走査方向の位置ずれ情報を取得する構成とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、位置合わせ用のパターン画像数が削減され、また演算負担も軽減されるため、処理時間を大幅に短縮することができることから、画像形成処理の生産性の低下を招くことなく、補正制御を頻繁に実施して高品位な画像を確保することができ、画像形成処理の生産性の向上と画像品質の向上とを両立させる上で顕著な効果が得られる。特にこの位置ずれ補正の処理時間の短縮は、紙間、すなわちページごとの画像の間に挿入するようにパターン画像を形成して位置ずれ補正を行う場合に、画像形成処理の生産性の低下を抑える上で有効である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
上記課題を解決するためになされた第1の発明は、各色ごとの感光体に対する露光手段による光ビームの走査により各色ごとの前記感光体に個別に像を形成し、それらを中間転写体上で合成してカラー画像を得るカラー画像形成装置であって、各色ごとの複数の光源が回転多面鏡に対する位置関係に応じて前記感光体に対する光ビームの走査方向が逆向きとなるように配置された露光手段と、前記中間転写体上に形成された位置合わせ用のパターン画像を、主走査方向に離間した複数の検出位置で検知する画像検出手段と、前記中間転写体上のパターン画像を前記画像検出手段に検出させてその検出結果に基づいて各色ごとの位置ずれ情報を取得して補正処理を行う補正制御手段とを有し、この補正制御手段が、前記感光体に対する光ビームの走査方向が互いに同一となる色同士で同一のグループにグループ分けして、そのグループごとに選択された代表色のパターン画像のみを前記画像検出手段の各検出位置にそれぞれ形成させ、これにより取得した代表色のパターン画像の位置変化状況から同じグループに属する他の色のパターン画像の位置変化状況を予測して、基準色に対する他の各色ごとの主走査方向の位置ずれ情報を取得する構成とする。
【0010】
これによると、位置合わせ用のパターン画像数が削減され、また演算負担も軽減されるため、処理時間を大幅に短縮することができることから、画像形成処理の生産性の低下を招くことなく、補正制御を頻繁に実施して高品位な画像を確保することができる。
【0011】
いわゆるスプレー方式の露光装置では、光源が発する光ビームを、単一の回転多面鏡の異なる角度位置の反射面に入射させて、回転多面鏡を挟んで互いに相反する側に振り分けるようにしており、このような露光装置では、回転多面鏡の同一の角度位置の反射面に光ビームを入射させて概ね同一の方向に反射される色同士では、感光体に対する光ビームの走査方向が互いに同一となり、しかも光源が互いに近接配置され、さらに光ビームが光学要素を共用することから、温度などの環境変化に伴う主走査方向の位置ずれに関して互いに略同一の変動特性を示す。このため、感光体に対する光ビームの走査方向が互いに同一となる色同士で同一のグループにグループ分けして、そのグループごとに選択された代表色のパターン画像のみを形成すれば、これにより取得した代表色の位置変化状況から同じグループに属する他の色の主走査方向の位置変化状況を予測することができる。
【0012】
また、回転多面鏡の異なる角度位置の反射面に光ビームを入射させて回転多面鏡を挟んで互いに相反する側に振り分けられる色同士では、感光体上での光ビームの走査方向が互いに逆向きになるため、各色の光ビームが全て同一方向に走査される構成の露光装置と比較して、主走査方向の色ずれ量が大きくなりやすいため、前記のように主走査方向の色ずれ補正を頻繁に行うことが効果的である。
【0013】
この場合、各色ごとのパターン画像を主走査方向に離間した複数の検出位置にそれぞれ形成しないため、各色ごとの走査線の傾き及び湾曲の状態に関する情報を取得することはできないが、温度などの環境変化に伴う位置ずれは特に主走査方向が顕著であり、この主走査方向の位置ずれに関する補正を頻繁に実施することで、高い画像品質を確保することができる。
【0014】
上記課題を解決するためになされた第2の発明は、前記補正制御手段が、前記代表色のパターン画像を前記画像検出手段の各検出位置にそれぞれ形成させてそのパターン画像を前記画像検出手段に検出させる短縮モードと、各色ごとのパターン画像の全てを前記画像検出手段の各検出位置にそれぞれ形成させてそのパターン画像を前記画像検出手段に検出させる標準モードとを実行可能であり、前記短縮モードを実行した後に、この短縮モードで取得した前記代表色のパターン画像の位置変化状況に基づいて短縮モードによる補正処理の妥当性を判定し、ここで妥当でないものと判定された場合には、改めて前記標準モードを実行して、その標準モードにより取得した位置ずれ情報により補正処理を行う構成とすることができる。
【0015】
これによると、代表色のパターン画像の位置変化状況に基づいて短縮モードに基づいた補正処理が妥当でないものと判定された場合に標準モードが実行されるため、高い位置合わせ精度を確保することができる。
【0016】
この場合、短縮モードに基づいた補正処理の妥当性の判断基準は、代表色のパターン画像の位置変化状況、例えば短縮モードで取得した代表色の実測値と直近の標準モードで取得した前回の代表色の実測値との変動比とすれば良い。このとき、変動比が所定のしきい値を下回る場合には、短縮モードに基づいた補正処理を行い、逆に変動比が所定のしきい値を上回る場合には、改めて標準モードを実施して、その標準モードにより取得した位置ずれ量に基づいて補正処理を行うようにすれば良い。
【0017】
なお、短縮モードによる補正処理の妥当性の判断は、前記のように代表色のパターン画像の位置変化状況にのみ基づいて行わず、要求される画像品質などの他の判断基準を加えて行うようにしても良い。また、短縮モードによる補正処理の妥当性を判断して標準モードに変更する動作を行うか否かを、ユーザの必要に応じて選択設定可能な構成としても良い。
【0018】
上記課題を解決するためになされた第3の発明は、前記補正制御手段が、前記代表色のパターン画像を前記画像検出手段の各検出位置にそれぞれ形成させてそのパターン画像を前記画像検出手段に検出させる短縮モードと、各色ごとのパターン画像の全てを前記画像検出手段の各検出位置にそれぞれ形成させてそのパターン画像を前記画像検出手段に検出させる標準モードとを実行可能であり、前記短縮モード及び標準モードのいずれかを、環境条件の変動状況に応じて選択する構成とすることができる。
【0019】
これによると、環境条件の変動状況により、短縮モードにより取得した位置ずれ情報のみでは、位置ずれ補正に高い精度を確保することが十分にできない場合に、標準モードが実行されるため、高い位置合わせ精度を確保することができる。
【0020】
この場合、短縮モード及び標準モードを選択する際の判断基準となる環境条件は、例えば温度検出手段により検出される装置内部の温度とすれば良く、これによれば、温度変動が色ずれの主要因となることから、短縮モード及び標準モードの選択を適切に行うことができる。このとき、温度検出手段による検出温度を前回の検出温度と比較して温度の変動量を取得し、この温度の変動量が所定のしきい値を下回る場合に短縮モードを選択し、逆に温度の変動量が所定のしきい値を上回る場合に標準モードを選択するようにすれば良い。
【0021】
なお、環境条件の変動状況に応じて短縮モードを実行するか否かを、ユーザの必要に応じて選択設定可能な構成としても良い。
【0022】
上記課題を解決するためになされた第4の発明は、前記補正制御手段が、前記代表色のパターン画像の位置変化状況から同じグループに属する他の色のパターン画像の位置変化状況を予測するにあたり、前記パターン画像に基づく代表色の実測値を、当該代表色の前回の実測値と比較して変動比を取得し、この変動比と、前記代表色と同じグループに属する他の色の前回の実測値とから、当該他の色の予測値を算出する構成とすることができる。
【0023】
これによると、十分に高い精度の予測値を取得することができ、しかも単純な比例計算で済むため、補正制御手段の回路規模を削減することができる。
【0024】
この場合、代表色及びその他の色の前回の実測値は、直近の標準モードで取得したものとすると良い。
【0025】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
【0026】
図1は、本発明によるカラー画像形成装置の一例を示す模式図である。このカラー画像形成装置は、帯電、露光、現像、転写及び定着の各プロセスを経て記録紙に画像を形成する画像形成部1を備え、この画像形成部1には、給紙部2の給紙カセットに収容された記録紙が給紙経路Aを経て逐次送り込まれ、画像形成部1にて所要の画像が形成された記録紙が排紙経路Bを経て排紙部3のトレー上に排出される。
【0027】
画像形成部1は、イエロー、マゼンタ、シアン、及び黒の各色成分ごとのトナー像を形成する複数のプロセスユニット11〜14と、このプロセスユニット11〜14の各感光体ドラム11a〜14aの作像面に対して露光用の光ビームを走査するLSU(レーザ・スキャニング・ユニット:露光手段)16と、各プロセスユニット11〜14の感光体ドラム11a〜14a上に作像された各色ごとのトナー像が順次転写されて合成される中間転写ベルト(中間転写体)17とを有し、各色ごとの感光体ドラム11a〜14aが中間転写ベルト17に沿って並んで配置されたタンデム型の構成となっている。
【0028】
各プロセスユニット11〜14では、帯電器により均一に帯電させた感光体ドラム11a〜14aの作像面に対してLSU16から露光用の光ビームが走査されることで静電潜像が形成され、この感光体ドラム11a〜14aの静電潜像が、現像器から供給されるトナーで現像されて色成分ごとの単色トナー像が感光体ドラム11a〜14aの作像面に形成される。
【0029】
中間転写ベルト17は、一対の支持ローラ21・22に巻き掛けられて支持され、この中間転写ベルト17の内側には、中間転写ベルト17を押圧して感光体ドラム11a〜14a上のトナー像を中間転写ベルト17に転写する各色ごとの1次転写ローラ24〜27が設けられている。また中間転写ベルト17の側方には、中間転写ベルト17上のトナー像を記録紙に転写する2次転写ローラ28が設けられており、この2次転写ローラ28によりトナー像が転写された記録紙は、定着器19に搬送されて熱及び圧力によりトナー像を記録紙に定着させる処理が行われる。
【0030】
2次転写ローラ28と支持ローラ21とによる2次転写部29の上流側には、中間転写ベルト17上のトナー像と記録紙との間の位置合わせを行うレジストローラ31が設けられており、図示しない記録紙用のレジストセンサの検出結果に基づいて記録紙の給紙タイミングが調整される。
【0031】
また、2次転写部29の近傍には、各プロセスユニット11〜14で作像されて中間転写ベルト17上に転写された各色ごとのトナー像の位置ずれに起因する色ずれを検知するためのレジストパターンを検出するレジストセンサ(画像検出手段)32が配置されている。
【0032】
また、このカラー画像形成装置では、装置内の温度、例えば色ずれに大きな影響を及ぼすLSU16の近傍の雰囲気温度を検出する温度センサ(温度検出手段)34が設けられている。
【0033】
図2は、図1に示したカラー画像形成装置における制御に係る要部の概略構成を示すブロック図である。本画像形成装置は、装置の動作を統括的に制御するホストコントローラ41と、記録紙への画像形成のための各種の動作を制御するエンジンコントローラ42とを有しており、ネットワーク接続されたPC43からの印刷要求に伴って受信した印刷データに基づいてホストコントローラ41で所要の画像処理が行われ、これにより得られた画像データに基づいてエンジンコントローラ42で画像形成処理が行われる。
【0034】
エンジンコントローラ42は、図1に示した画像形成部1における電子写真プロセスを統括的に制御する電子写真プロセス制御部44と、定着器19による定着動作を制御する定着制御部45と、給紙部2及びその他の搬送ローラなどによる給紙及び搬送動作を制御する給紙・搬送制御部46と、LSU16によるレーザー走査等を制御するLSU制御部47と、画像位置ずれ補正を含む一連の補正動作を制御する画像補正コントローラ(補正制御手段)48と、これら各部の動作を統括的に制御するエンジンCPU60とを有している。
【0035】
レジストセンサ32は、主走査方向(幅方向)に離間した合計3箇所に設けられており、中間転写ベルト17の左方の端縁部の近傍位置に配置されたレジストセンサ32aと、中間転写ベルト17の幅方向の中央位置に配置されたレジストセンサ32bと、中間転写ベルト17の右方の端縁部の近傍位置に配置されたレジストセンサ32cとを有しており、これらのレジストセンサ32a・32b・32cの出力信号がAD変換器51を介して画像補正コントローラ48に入力される。
【0036】
また、画像補正コントローラ48には、温度センサ34の出力信号がAD変換器51を介して入力される。
【0037】
図3は、図2に示した画像補正コントローラ48の概略構成を示すブロック図である。画像補正コントローラ48は、レジストセンサ32a・32b・32cの検出結果から補正値を取得する補正値取得部53と、制御部56の指示に基づてレジストパターンの画像データを生成するレジストパターン生成部54と、補正値取得部53で取得した補正値にしたがって色ずれ補正処理を行う補正処理部55と、これらの各部を制御する制御部56とを有している。
【0038】
補正処理部55では、主走査方向の位置ずれに対して、LSU16での書出位置の補正が行われる。また副走査方向の位置ずれに対して、LSU16での書出タイミングの補正が行われる。また走査線の傾きや湾曲に対して、画像データの並び替えによる補正が行われる。
【0039】
図4は、図1に示したLSU16の概略構成を示す模式図である。LSU16は、イエロー、マゼンタ、シアン及び黒の各色ごとの光源61〜64と、ポリゴンミラー(回転多面鏡)65と、fθレンズ66・67とを有し、各色ごとの光源61〜64が発する光ビームが、ポリゴンミラー65で主走査方向に偏向された後、fθレンズ66・67を通過して図1に示した感光体ドラム11a〜14a上に走査される。なお、LSU16には、この他に、各色ごとの光源61〜64が発する光ビームを、互いに干渉することなく各色ごとの感光体ドラム11a〜14aに導くミラーなどの光学素子が適宜に設けられる。
【0040】
特にここでは、イエロー及びマゼンタの光ビームがそれぞれ、ポリゴンミラー65の同一の角度位置の反射面に入射して概ね同一の方向に反射されて、各々の感光体ドラム11a・12aに導かれ、またシアン及び黒の光ビームがそれぞれ、ポリゴンミラー65の同一の角度位置の反射面に入射して概ね同一の方向に反射されて、各々の感光体ドラム13a・14aに導かれるようになっており、イエロー及びマゼンタの光ビームと、シアン及び黒の光ビームとでは、入射するポリゴンミラー65の反射面が異なり、ポリゴンミラー65を挟んで互いに相反する側に振り分けられる。
【0041】
このため、ポリゴンミラー65が矢印Aの向きに回転すると、イエロー及びマゼンタの光ビームは、イエロー及びマゼンタの感光体ドラム11a・12a上で、矢印S1の向きに走査され、他方、シアン及び黒の光ビームは、シアン及び黒の感光体ドラム13a・14a上で、矢印S1とは逆方向の矢印S2の向きに走査される。
【0042】
このようにイエロー及びマゼンタの色同士では、各々の感光体ドラム11a・12aに対する光ビームの走査方向が互いに同一となり、しかもイエロー及びマゼンタの光源61・62が互いに近接配置され、さらに光ビームがfθレンズ66などの光学要素を共用することから、温度などの環境変化に伴う主走査方向の位置ずれに関して互いに略同一の変動特性を示す。またこれと同様に、シアン及び黒の色同士でも、温度などの環境変化に伴う主走査方向の位置ずれに関して互いに略同一の変動特性を示す。
【0043】
このため、感光体11a〜14aに対する光ビームの走査方向が互いに同一となる色同士、すなわちイエロー及びマゼンタ、並びにシアン及び黒の組合せでグループ分けして、そのグループごとに選択された代表色のパターン画像のみを形成すれば、これにより取得した代表色の位置変化状況から同じグループに属する他の色の主走査方向の位置変化状況を予測することができる。
【0044】
なお、この例では、イエロー及びマゼンタの光源61・62とシアン及び黒の光源63・64とが、上面視でポリゴンミラー65の中心軸を中心にした点対称位置に配置されているが、本発明による露光装置はこのような構成に限定されるものではない。例えば、イエロー及びマゼンタの光源61・62とシアン及び黒の光源63・64とが、上面視でポリゴンミラー65の中心軸を通る直線を挟んで線対称位置に配置された構成なども可能である。
【0045】
図5は、図1に示したカラー画像形成装置における標準モードでのレジストパターンの作像状況を示す模式図である。各色ごとのトナー像の位置ずれは、図1に示したイエロー、マゼンタ、シアン、及び黒の各色ごとのプロセスユニット11〜14で作像されて中間転写ベルト17上に転写された各色ごとのレジストパターン(位置合わせ用のパターン画像)PY・PM・PC・PKをレジストセンサ32a・32b・32cに読み取らせることで行われる。各レジストパターンPY・PM・PC・PKは、互いに傾斜方向が逆となる帯状部分を前後に組み合わせたV字形状をなしている。
【0046】
ここでは、左側のレジストセンサ32a、中央のレジストセンサ32b及び右側のレジストセンサ32cの各検出位置に、イエロー、マゼンタ、シアン、及び黒の各色ごとのレジストパターンPY・PM・PC・PKからなるパターン群GYMCKがそれぞれ形成される。
【0047】
これらのレジストパターンは、待機時(非印刷時)の他に連続印刷時でも、色ずれ補正の実行指示があると、ページごとの画像の間に挿入するようにプロセスユニット11〜14にて作像されて中間転写ベルト17上に転写される。これは、以下に示すレジストパターンについても同様である。
【0048】
図6は、図5に示した標準モードでのレジストパターンによる位置ずれ量取得の要領を示す模式図である。ここでは、イエローのレジストパターンPYの前部PYaと後部PYbとの距離LY、マゼンタのレジストパターンPMの前部PMaと後部PMbとの距離LM、シアンのレジストパターンPCの前部PCaと後部PCbとの距離LC、及び黒のレジストパターンPKの前部PKaと後部PKbとの距離LKがそれぞれ計測され、これらの距離LY・LM・LC・LKを各々の理論値と比較した差分に基づいて、黒を基準にしたイエロー、マゼンタ、及びシアンの各色ごとの相対的な主走査方向の位置ずれ量が求められる。
【0049】
また、黒のレジストパターンPKの前部PKaに対するイエローのレジストパターンPYの前部PYa、マゼンタのレジストパターンPMの前部PMa、並びにシアンのレジストパターンPCの前部PCaの各距離LKC・LKM・LKYがそれぞれ計測され、これらの距離LKC・LKM・LKYを各々の理論値と比較した差分により、黒を基準にしたイエロー、マゼンタ、及びシアンの各色ごとの相対的な副走査方向の位置ずれ量が求められる。
【0050】
このようにして黒を基準にしたイエロー、マゼンタ、及びシアンの各色ごとの主走査方向及び副走査方向の位置ずれ量が取得され、これに基づいてLSU16での主走査方向の書出位置及び副走査方向の書出位置の補正が画像補正コントローラ48の補正処理部55で行われる。
【0051】
図7は、図1に示したカラー画像形成装置における走査線の傾き及び湾曲の状態に関する情報の取得の要領を示す模式図である。前記のように標準モードでは、左側のレジストセンサ32a、中央のレジストセンサ32b及び右側のレジストセンサ32cの各検出位置での副走査方向の位置ずれ量SL・SC・SRが取得され、(A)に示すように、各検出位置での副走査方向の位置ずれ量SL・SC・SRが、主走査方向に次第に大きくなる、あるいは次第に小さくなっていれば、走査線の傾き(走査線の平行度のずれ)があることが分かる。また、(B)に示すように、両側の副走査方向の位置ずれ量SL・SRと、中央の副走査方向の位置ずれ量SCとの間に大きな差があれば、走査線の湾曲があることが分かる。
【0052】
前記の図5に示した標準モード時では、黒を基準にしたイエロー、マゼンタ、及びシアンの各色ごとの副走査方向の位置ずれ量が求められ、これらの各色ごとの副走査方向の位置ずれ量に基づいて、黒の走査線に対する各色ごとの走査線の傾き(走査線の平行度のずれ)の状態に関する情報を取得することができる。また、これと同様にして、黒の走査線を基準とした各色ごとの走査線の湾曲の状態に関する情報を取得することができる。
【0053】
このようにして走査線の傾き及び湾曲の状態に関する情報が取得され、これに基づいて画像データの並び替えによる補正が画像補正コントローラ48の補正処理部55で行われる。
【0054】
図8は、図1に示したカラー画像形成装置における短縮モードでのレジストパターンの作像状況を示す模式図である。ここでは、図4に示したように光ビームの走査方向が互いに同一で光ビームの位置ずれが略同一の変動特性を示す色のグループ、すなわちシアン及び黒のグループ、並びにイエロー及びマゼンタのグループからそれぞれ、グループの代表色として黒及びイエローが選択され、この黒及びイエローのレジストパターンPK・PYが、左側のレジストセンサ32a及び右側のレジストセンサ32cの各検出位置にそれぞれ形成される。
【0055】
この黒及びイエローのレジストパターンPK・PYにより、後述するように、黒及びイエローの位置ずれ量を取得し、その他の色、すなわちシアン及びマゼンタの位置ずれ量は、同じグループの代表色のレジストパターンの位置変化状況から予測する。すなわちシアンの位置ずれ量は、黒の位置変化状況から予測されるシアンの位置変化状況に基づいて取得し、またマゼンタの位置ずれ量は、イエローの位置変化状況から予測されるマゼンタの位置変化状況に基づいて取得する。
【0056】
図9は、図8に示した短縮モードでのレジストパターンによる位置ずれ量取得の要領を示す模式図である。ここでは、黒のレジストパターンPKの前部PKaと後部PKbとの距離LKが計測される。
【0057】
こここで、距離LKは、レジストセンサ32aが出力する信号のオンエッジ(立ち上がりエッジ)及びオフエッジ(立ち下がりエッジ)の検知タイミングを、読み取り開始時にスタートするカウンタの計数値により取得することで計測される。
【0058】
具体的には、まず、黒のレジストパターンPKの前部PKa及び後部PKbが、レジストセンサにより順次検出され、このときのレジストセンサ信号のオンエッジ及びオフエッジを示すカウンタ値K1・K2・K3・K4を取得する。
【0059】
次に、カウンタ値K1・K2・K3・K4から、黒のレジストパターンPKの前部PKa及び後部PKbの各中心位置に基づいて距離LKが次式にように算出される。
LK=(K3+K4)/2−(K1+K2)/2
【0060】
なお、カウンタは、1ラインの記録周期の1/n(nは整数)を計数する。nは、要求される位置ずれ量の精度に応じて設定される値であり、大きくとるほど精度が向上する。
【0061】
このようにして左側のレジストセンサ32aの検出位置に形成された黒のレジストパターンPKの主走査方向の位置を規定する距離LKが計測され、これと同様にして、右側のレジストセンサ32cの検出位置に形成されたイエローのレジストパターンPYの主走査方向の位置を規定する距離LYが計測される。
【0062】
他方、代表色でないシアン及びマゼンタの距離LC・LMは、前記のように代表色としてレジストパターンの実測により取得した黒及びイエローの距離LK・LYから予測する。
【0063】
具体的には、シアンの距離LCは同じグループの代表色である黒の距離LKに比例して変動することから、今回の短縮モードで取得した黒の実測値LK及び直近の標準モードで取得した黒の実測値LK’から求められる黒の変動比LK/LK’と、直近の標準モードで取得したシアンの実測値LC’とにより、シアンの予測値LCが次式により近似的に算出される。
LC=LC’×LK/LK’。
【0064】
またマゼンタの距離LMは同じグループの代表色であるイエローの距離LYに比例して変動することから、今回の短縮モードで取得したイエローの実測値LY及び直近の標準モードで取得したイエローの実測値LY’から求められるイエローの変動比LY/LY’と、直近の標準モードで取得したマゼンタの実測値LM’とにより、マゼンタの予測値LMが次式により近似的に算出される。
LM=LM’×LY/LY’。
【0065】
このようにしてイエロー、マゼンタ、シアン及び黒の各色ごとの距離LY・LM・LC・LKを取得し、これに基づいて黒を基準にしたイエロー、マゼンタ、及びシアンの各色ごとの主走査方向の位置ずれ量が求められる。そしてこれらの主走査方向の位置ずれ量に基づいてLSU16での主走査方向の書出位置の補正が行われる。
【0066】
図10は、図8に示した短縮モードでの位置ずれ量取得の手順を示すフロー図である。レジストパターンの読み取りを開始すると、まずレジストパターンの位置を計数するためのカウンタがスタートする(ステップ101)。そして副走査方向に移動する中間転写ベルト上の黒のレジストパターンPKの前部PKaがレジストセンサの検出位置に到達すると、レジストセンサ信号がオンとなり(ステップ102)、このときのカウンタ値K1がメモリに記憶される(ステップ103)。さらに黒のレジストパターンPKが副走査方向に移動して、その前部PKaがレジストセンサの検出位置から外れると、レジストセンサ信号がオフとなり(ステップ104)、このときのカウンタ値K2がメモリに記憶される(ステップ105)。
【0067】
ついで、これと同様にして、黒のレジストパターンPKの後部PKbがレジストセンサにより検出され、そのときのカウンタ値K3・K4がメモリに記憶され(ステップ106〜109)、全てのレジストパターンの検出が終わるとカウンタが停止する(ステップ110)。
【0068】
次にメモリに記憶されたカウンタ値K1・K2・K3・K4に基づいて、図9に示した黒の距離LKが算出され(ステップ111)、ついで、ここで算出された黒の距離LK、及び同様の手順で算出されたイエローの距離LYと、直近の標準モードで取得したイエロー、マゼンタ、シアン及び黒の各色ごとの距離LY’・LM’・LC’・LK’とに基づいて、シアン及びマゼンタの距離LC・LMが予測され、これに基づいて黒を基準にしたイエロー、マゼンタ、及びシアンの各色ごとの主走査方向の位置ずれ量が算出される(ステップ112)。
【0069】
以上のようにして算出された主走査方向の位置ずれ量に基づいて、画像補正コントローラ48の補正処理部73において、画像の位置ずれ補正が実行される。すなわち、主走査方向の位置ずれに対して、LSU16での書出位置の補正が行われる。
【0070】
図11は、図1に示したカラー画像形成装置における動作手順を示すフロー図である。まず温度センサにより検出された現在の温度が取得され(ステップ201)、また前回の補正時に取得した温度が読み出され(ステップ202)、ついで現在の温度と前回の温度とを比較して温度の変動量を求めてその温度の変動量が所定のしきい値を超えるか否かが判定される(ステップ203)。そして、温度の変動量が所定のしきい値を超えていれば、図5に示した標準モードが実行され(ステップ204)、ついで標準モードで取得した位置ずれ量に基づいて主走査方向及び副走査方向の位置ずれ並びに走査線の傾き及び湾曲に関する補正が実行される(ステップ205)。
【0071】
他方、温度の変動量が所定のしきい値を超えるか否かの判定(ステップ203)で、温度の変動量が所定のしきい値を超えていなければ、図8に示した短縮モードによる代表色のレジストパターンの形成及び距離LK・LYの計測が実行される(ステップ206)。
【0072】
次に、前回の標準モードで取得した黒の実測値LK’が読み出され(ステップ207)、ついで短縮モード(ステップ206)で取得した黒の実測値LKを前回の実測値LK’と比較して、黒の変動比LK/LK’が算出され、その黒の変動比が所定のしきい値を超えるか否かが判定される(ステップ208)。ここで黒の変動比が所定のしきい値を超えていれば、標準モードが実行され(ステップ204)、ついで標準モードで取得した位置ずれ量に基づいた補正が実行される(ステップ205)。
【0073】
他方、黒の変動比が所定のしきい値を超えるか否かの判定(ステップ208)で、黒の変動比が所定のしきい値を超えていなければ、短縮モード(ステップ206)で取得した位置ずれ量に基づいて主走査方向の位置ずれに関する補正が実行される(ステップ209)。
【0074】
このように事前に前回の補正時からの温度の変動状況に基づいて短縮モード及び及び標準モードのいずれが適切かの判定が行われ、ここで、前回の補正時からの温度の変動量が小さく、短縮モードによる主走査方向の位置ずれ補正のみで十分に高い精度を確保することができる場合には短縮モードが選択されるが、前回の補正時からの温度の変動量が大きく、短縮モードで十分に高い精度を確保することが難しいものと判定されると、標準モードが選択され、主走査方向の位置ずれ補正と共に副走査方向の位置ずれ補正並びに走査線の傾き及び湾曲に関する補正が行われる。
【0075】
また、短縮モードを実行した後に、前回の補正時からのレジストパターンの位置変化状況に基づいて、短縮モードで取得した主走査方向の位置ずれ情報に基づく補正処理の妥当性、すなわち短縮モードによる主走査方向の位置ずれ補正のみで十分に高い精度を確保することができる否かの判定が事前に行われ、ここで、前回の補正時からのレジストパターンの位置変化が小さく、短縮モードで十分に高い精度を確保することができる場合には、短縮モードに基づく補正が行われるが、前回の補正時からのレジストパターンの位置変化が大きく、短縮モードで十分に高い精度を確保することが難しいものと判定されると、短縮モードに基づく補正は行わず、改めて標準モードで位置ずれ情報を取得する処理が行われ、このとき、短縮モードで取得した位置ずれ情報は破棄され、標準モードで取得した位置ずれ情報に基づいて補正が行われる。
【0076】
なお、短縮モードによる補正処理の妥当性の判定(ステップ208)は、イエローの変動比LY/LY’に基づいて行うことも可能である。さらに、この短縮モードの妥当性の判断は、レジストパターンの位置変化状況にのみ基づいて行わず、要求される画像品質などの他の判断基準を加えて行うようにしても良い。
【0077】
また、前回の補正時からの温度の変動状況に基づいて短縮モード及び標準モードを選択する処理(ステップ201〜203)を事前に行わずに、最初から短縮モードを実行する構成も可能である。また、これとは逆に、短縮モードで取得した代表色のレジストパターンの位置変化状況に基づいて短縮モードの妥当性を判定する処理(ステップ207・208)を行わず、前回の補正時からの温度の変動状況に基づいて短縮モード及び標準モードを選択するのみの構成も可能である。
【0078】
また、以上の例では、黒を基準にしたイエロー、マゼンタ、及びシアンの各色ごとの位置ずれ量を取得するようにしたが、他の色を基準した位置ずれ量を取得して、画像の位置ずれ補正を実行することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明にかかるカラー画像形成装置は、補正制御の処理時間を大幅に短縮することにより、画像形成処理の生産性の低下を招くことなく、補正制御を頻繁に実施して高品位な画像を確保することができる効果を有し、各色ごとの感光体に対する露光手段による光ビームの走査により各色ごとの前記感光体に個別に像を形成し、それらを中間転写体上で合成してカラー画像を得るカラー画像形成装置、例えばプリンタ、ファクシミリ装置、複写機、複合機などとして有用である。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明によるカラー画像形成装置の一例を示す模式図
【図2】図1に示したカラー画像形成装置における制御に係る要部の概略構成を示すブロック図
【図3】図2に示した画像補正コントローラの概略構成を示すブロック図
【図4】図1に示したLSUの概略構成を示す模式図
【図5】図1に示したカラー画像形成装置における標準モードでのレジストパターンの作像状況を示す模式図
【図6】図5に示した標準モードでのレジストパターンによる位置ずれ量取得の要領を示す模式図
【図7】図1に示したカラー画像形成装置における走査線の傾き及び湾曲の状態に関する情報の取得の要領を示す模式図
【図8】図1に示したカラー画像形成装置における短縮モードでのレジストパターンの作像状況を示す模式図
【図9】図8に示した短縮モードでのレジストパターンによる位置ずれ量取得の要領を示す模式図
【図10】図8に示した短縮モードでの位置ずれ量取得の手順を示すフロー図
【図11】図1に示したカラー画像形成装置における動作手順を示すフロー図
【符号の説明】
【0081】
1 画像形成部
11〜14 プロセスユニット
11a〜14a 感光体ドラム
16 LSU(露光手段)
17 中間転写ベルト
32a〜32c レジストセンサ(画像検出手段)
48 画像補正コントローラ(補正制御手段)
61〜64 光源
65 ポリゴンミラー(回転多面鏡)
GYMCK パターン群
PK・PC・PM・PY レジストパターン(位置合わせ用のパターン画像)
【技術分野】
【0001】
本発明は、各色ごとの感光体に対する露光手段による光ビームの走査により各色ごとの前記感光体に個別に像を形成し、それらを中間転写体上で合成してカラー画像を得るカラー画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
イエロー、マゼンタ、シアン、及びブラックの各色ごとのプロセスユニットを中間転写ベルトに沿って配列して中間転写ベルト上で各色ごとのトナー像を重ね合わせるようにした、いわゆるタンデム型のカラー画像形成装置が広く普及している。この種のタンデム型のカラー画像形成装置においては、各色ごとの感光体ドラム上に個別に像が形成された後に、その各色ごとの像が順次、中間転写ベルト上で重ね合わされるため、各色ごとの像に位置ずれがあると、中間転写ベルト上で重ね合わせた像に色ずれが生じ、画像品質を低下させる。
【0003】
このような色ずれは、光源が発する光ビームを感光体に導く光学部品などの位置関係が温度などの環境変化に伴って変化することで発生し、中間転写ベルト上に形成された色ずれ検知用のパターン画像のずれ状態に基づいた補正制御を、適宜なタイミングで実行することにより抑制することでができるが、これに必要となるパターン画像の形成などの動作に時間を要するため、このような補正制御を頻繁に行うと、画像形成処理の生産性の大幅な低下を招き、これとは逆に、補正制御の実行間隔が長くなると、環境変動に制御が追随できずに、高品位な画像を確保することが困難になるという問題が生じる。
【0004】
そこで、画像形成処理の生産性の大幅な低下を招くことなく、補正制御を頻繁に実施して高品位な画像を確保することが可能なように、所要の画像形成処理に影響を及ぼさない領域に位置合わせ用のパターン画像を形成して、画像形成処理と並行して補正制御を実施することができるように構成したものが知られている(特許文献1・2参照)。
【特許文献1】特開平8−6347号公報
【特許文献2】特開2005−4121号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記従来の技術では、所要の画像形成処理に影響を及ぼさない領域に位置合わせ用のパターン画像を形成するために、感光体ドラムや中間転写ベルトの幅を通常よりも大きく設定する必要が生じ、装置の大型化や製造コストの上昇を招く不都合があり、また、位置合わせ用のパターン画像が通常の画像形成領域の外側に形成されることから、十分に高い位置合わせ精度を確保することができないという問題が生じる。このため、通常の画像形成領域内にパターン画像を形成する方式で補正制御の処理時間を短縮する技術が望まれる。
【0006】
本発明は、このような従来技術の問題点を解消するべく案出されたものであり、その主な目的は、補正制御の処理時間を大幅に短縮することにより、画像形成処理の生産性の低下を招くことなく、補正制御を頻繁に実施して高品位な画像を確保することができるように構成されたカラー画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のカラー画像形成装置は、各色ごとの感光体に対する露光手段による光ビームの走査により各色ごとの前記感光体に個別に像を形成し、それらを中間転写体上で合成してカラー画像を得るカラー画像形成装置であって、各色ごとの複数の光源が回転多面鏡に対する位置関係に応じて前記感光体に対する光ビームの走査方向が逆向きとなるように配置された露光手段と、前記中間転写体上に形成された位置合わせ用のパターン画像を、主走査方向に離間した複数の検出位置で検知する画像検出手段と、前記中間転写体上のパターン画像を前記画像検出手段に検出させてその検出結果に基づいて各色ごとの位置ずれ情報を取得して補正処理を行う補正制御手段とを有し、この補正制御手段が、前記感光体に対する光ビームの走査方向が互いに同一となる色同士で同一のグループにグループ分けして、そのグループごとに選択された代表色のパターン画像のみを前記画像検出手段の各検出位置にそれぞれ形成させ、これにより取得した代表色のパターン画像の位置変化状況から同じグループに属する他の色のパターン画像の位置変化状況を予測して、基準色に対する他の各色ごとの主走査方向の位置ずれ情報を取得する構成とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、位置合わせ用のパターン画像数が削減され、また演算負担も軽減されるため、処理時間を大幅に短縮することができることから、画像形成処理の生産性の低下を招くことなく、補正制御を頻繁に実施して高品位な画像を確保することができ、画像形成処理の生産性の向上と画像品質の向上とを両立させる上で顕著な効果が得られる。特にこの位置ずれ補正の処理時間の短縮は、紙間、すなわちページごとの画像の間に挿入するようにパターン画像を形成して位置ずれ補正を行う場合に、画像形成処理の生産性の低下を抑える上で有効である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
上記課題を解決するためになされた第1の発明は、各色ごとの感光体に対する露光手段による光ビームの走査により各色ごとの前記感光体に個別に像を形成し、それらを中間転写体上で合成してカラー画像を得るカラー画像形成装置であって、各色ごとの複数の光源が回転多面鏡に対する位置関係に応じて前記感光体に対する光ビームの走査方向が逆向きとなるように配置された露光手段と、前記中間転写体上に形成された位置合わせ用のパターン画像を、主走査方向に離間した複数の検出位置で検知する画像検出手段と、前記中間転写体上のパターン画像を前記画像検出手段に検出させてその検出結果に基づいて各色ごとの位置ずれ情報を取得して補正処理を行う補正制御手段とを有し、この補正制御手段が、前記感光体に対する光ビームの走査方向が互いに同一となる色同士で同一のグループにグループ分けして、そのグループごとに選択された代表色のパターン画像のみを前記画像検出手段の各検出位置にそれぞれ形成させ、これにより取得した代表色のパターン画像の位置変化状況から同じグループに属する他の色のパターン画像の位置変化状況を予測して、基準色に対する他の各色ごとの主走査方向の位置ずれ情報を取得する構成とする。
【0010】
これによると、位置合わせ用のパターン画像数が削減され、また演算負担も軽減されるため、処理時間を大幅に短縮することができることから、画像形成処理の生産性の低下を招くことなく、補正制御を頻繁に実施して高品位な画像を確保することができる。
【0011】
いわゆるスプレー方式の露光装置では、光源が発する光ビームを、単一の回転多面鏡の異なる角度位置の反射面に入射させて、回転多面鏡を挟んで互いに相反する側に振り分けるようにしており、このような露光装置では、回転多面鏡の同一の角度位置の反射面に光ビームを入射させて概ね同一の方向に反射される色同士では、感光体に対する光ビームの走査方向が互いに同一となり、しかも光源が互いに近接配置され、さらに光ビームが光学要素を共用することから、温度などの環境変化に伴う主走査方向の位置ずれに関して互いに略同一の変動特性を示す。このため、感光体に対する光ビームの走査方向が互いに同一となる色同士で同一のグループにグループ分けして、そのグループごとに選択された代表色のパターン画像のみを形成すれば、これにより取得した代表色の位置変化状況から同じグループに属する他の色の主走査方向の位置変化状況を予測することができる。
【0012】
また、回転多面鏡の異なる角度位置の反射面に光ビームを入射させて回転多面鏡を挟んで互いに相反する側に振り分けられる色同士では、感光体上での光ビームの走査方向が互いに逆向きになるため、各色の光ビームが全て同一方向に走査される構成の露光装置と比較して、主走査方向の色ずれ量が大きくなりやすいため、前記のように主走査方向の色ずれ補正を頻繁に行うことが効果的である。
【0013】
この場合、各色ごとのパターン画像を主走査方向に離間した複数の検出位置にそれぞれ形成しないため、各色ごとの走査線の傾き及び湾曲の状態に関する情報を取得することはできないが、温度などの環境変化に伴う位置ずれは特に主走査方向が顕著であり、この主走査方向の位置ずれに関する補正を頻繁に実施することで、高い画像品質を確保することができる。
【0014】
上記課題を解決するためになされた第2の発明は、前記補正制御手段が、前記代表色のパターン画像を前記画像検出手段の各検出位置にそれぞれ形成させてそのパターン画像を前記画像検出手段に検出させる短縮モードと、各色ごとのパターン画像の全てを前記画像検出手段の各検出位置にそれぞれ形成させてそのパターン画像を前記画像検出手段に検出させる標準モードとを実行可能であり、前記短縮モードを実行した後に、この短縮モードで取得した前記代表色のパターン画像の位置変化状況に基づいて短縮モードによる補正処理の妥当性を判定し、ここで妥当でないものと判定された場合には、改めて前記標準モードを実行して、その標準モードにより取得した位置ずれ情報により補正処理を行う構成とすることができる。
【0015】
これによると、代表色のパターン画像の位置変化状況に基づいて短縮モードに基づいた補正処理が妥当でないものと判定された場合に標準モードが実行されるため、高い位置合わせ精度を確保することができる。
【0016】
この場合、短縮モードに基づいた補正処理の妥当性の判断基準は、代表色のパターン画像の位置変化状況、例えば短縮モードで取得した代表色の実測値と直近の標準モードで取得した前回の代表色の実測値との変動比とすれば良い。このとき、変動比が所定のしきい値を下回る場合には、短縮モードに基づいた補正処理を行い、逆に変動比が所定のしきい値を上回る場合には、改めて標準モードを実施して、その標準モードにより取得した位置ずれ量に基づいて補正処理を行うようにすれば良い。
【0017】
なお、短縮モードによる補正処理の妥当性の判断は、前記のように代表色のパターン画像の位置変化状況にのみ基づいて行わず、要求される画像品質などの他の判断基準を加えて行うようにしても良い。また、短縮モードによる補正処理の妥当性を判断して標準モードに変更する動作を行うか否かを、ユーザの必要に応じて選択設定可能な構成としても良い。
【0018】
上記課題を解決するためになされた第3の発明は、前記補正制御手段が、前記代表色のパターン画像を前記画像検出手段の各検出位置にそれぞれ形成させてそのパターン画像を前記画像検出手段に検出させる短縮モードと、各色ごとのパターン画像の全てを前記画像検出手段の各検出位置にそれぞれ形成させてそのパターン画像を前記画像検出手段に検出させる標準モードとを実行可能であり、前記短縮モード及び標準モードのいずれかを、環境条件の変動状況に応じて選択する構成とすることができる。
【0019】
これによると、環境条件の変動状況により、短縮モードにより取得した位置ずれ情報のみでは、位置ずれ補正に高い精度を確保することが十分にできない場合に、標準モードが実行されるため、高い位置合わせ精度を確保することができる。
【0020】
この場合、短縮モード及び標準モードを選択する際の判断基準となる環境条件は、例えば温度検出手段により検出される装置内部の温度とすれば良く、これによれば、温度変動が色ずれの主要因となることから、短縮モード及び標準モードの選択を適切に行うことができる。このとき、温度検出手段による検出温度を前回の検出温度と比較して温度の変動量を取得し、この温度の変動量が所定のしきい値を下回る場合に短縮モードを選択し、逆に温度の変動量が所定のしきい値を上回る場合に標準モードを選択するようにすれば良い。
【0021】
なお、環境条件の変動状況に応じて短縮モードを実行するか否かを、ユーザの必要に応じて選択設定可能な構成としても良い。
【0022】
上記課題を解決するためになされた第4の発明は、前記補正制御手段が、前記代表色のパターン画像の位置変化状況から同じグループに属する他の色のパターン画像の位置変化状況を予測するにあたり、前記パターン画像に基づく代表色の実測値を、当該代表色の前回の実測値と比較して変動比を取得し、この変動比と、前記代表色と同じグループに属する他の色の前回の実測値とから、当該他の色の予測値を算出する構成とすることができる。
【0023】
これによると、十分に高い精度の予測値を取得することができ、しかも単純な比例計算で済むため、補正制御手段の回路規模を削減することができる。
【0024】
この場合、代表色及びその他の色の前回の実測値は、直近の標準モードで取得したものとすると良い。
【0025】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
【0026】
図1は、本発明によるカラー画像形成装置の一例を示す模式図である。このカラー画像形成装置は、帯電、露光、現像、転写及び定着の各プロセスを経て記録紙に画像を形成する画像形成部1を備え、この画像形成部1には、給紙部2の給紙カセットに収容された記録紙が給紙経路Aを経て逐次送り込まれ、画像形成部1にて所要の画像が形成された記録紙が排紙経路Bを経て排紙部3のトレー上に排出される。
【0027】
画像形成部1は、イエロー、マゼンタ、シアン、及び黒の各色成分ごとのトナー像を形成する複数のプロセスユニット11〜14と、このプロセスユニット11〜14の各感光体ドラム11a〜14aの作像面に対して露光用の光ビームを走査するLSU(レーザ・スキャニング・ユニット:露光手段)16と、各プロセスユニット11〜14の感光体ドラム11a〜14a上に作像された各色ごとのトナー像が順次転写されて合成される中間転写ベルト(中間転写体)17とを有し、各色ごとの感光体ドラム11a〜14aが中間転写ベルト17に沿って並んで配置されたタンデム型の構成となっている。
【0028】
各プロセスユニット11〜14では、帯電器により均一に帯電させた感光体ドラム11a〜14aの作像面に対してLSU16から露光用の光ビームが走査されることで静電潜像が形成され、この感光体ドラム11a〜14aの静電潜像が、現像器から供給されるトナーで現像されて色成分ごとの単色トナー像が感光体ドラム11a〜14aの作像面に形成される。
【0029】
中間転写ベルト17は、一対の支持ローラ21・22に巻き掛けられて支持され、この中間転写ベルト17の内側には、中間転写ベルト17を押圧して感光体ドラム11a〜14a上のトナー像を中間転写ベルト17に転写する各色ごとの1次転写ローラ24〜27が設けられている。また中間転写ベルト17の側方には、中間転写ベルト17上のトナー像を記録紙に転写する2次転写ローラ28が設けられており、この2次転写ローラ28によりトナー像が転写された記録紙は、定着器19に搬送されて熱及び圧力によりトナー像を記録紙に定着させる処理が行われる。
【0030】
2次転写ローラ28と支持ローラ21とによる2次転写部29の上流側には、中間転写ベルト17上のトナー像と記録紙との間の位置合わせを行うレジストローラ31が設けられており、図示しない記録紙用のレジストセンサの検出結果に基づいて記録紙の給紙タイミングが調整される。
【0031】
また、2次転写部29の近傍には、各プロセスユニット11〜14で作像されて中間転写ベルト17上に転写された各色ごとのトナー像の位置ずれに起因する色ずれを検知するためのレジストパターンを検出するレジストセンサ(画像検出手段)32が配置されている。
【0032】
また、このカラー画像形成装置では、装置内の温度、例えば色ずれに大きな影響を及ぼすLSU16の近傍の雰囲気温度を検出する温度センサ(温度検出手段)34が設けられている。
【0033】
図2は、図1に示したカラー画像形成装置における制御に係る要部の概略構成を示すブロック図である。本画像形成装置は、装置の動作を統括的に制御するホストコントローラ41と、記録紙への画像形成のための各種の動作を制御するエンジンコントローラ42とを有しており、ネットワーク接続されたPC43からの印刷要求に伴って受信した印刷データに基づいてホストコントローラ41で所要の画像処理が行われ、これにより得られた画像データに基づいてエンジンコントローラ42で画像形成処理が行われる。
【0034】
エンジンコントローラ42は、図1に示した画像形成部1における電子写真プロセスを統括的に制御する電子写真プロセス制御部44と、定着器19による定着動作を制御する定着制御部45と、給紙部2及びその他の搬送ローラなどによる給紙及び搬送動作を制御する給紙・搬送制御部46と、LSU16によるレーザー走査等を制御するLSU制御部47と、画像位置ずれ補正を含む一連の補正動作を制御する画像補正コントローラ(補正制御手段)48と、これら各部の動作を統括的に制御するエンジンCPU60とを有している。
【0035】
レジストセンサ32は、主走査方向(幅方向)に離間した合計3箇所に設けられており、中間転写ベルト17の左方の端縁部の近傍位置に配置されたレジストセンサ32aと、中間転写ベルト17の幅方向の中央位置に配置されたレジストセンサ32bと、中間転写ベルト17の右方の端縁部の近傍位置に配置されたレジストセンサ32cとを有しており、これらのレジストセンサ32a・32b・32cの出力信号がAD変換器51を介して画像補正コントローラ48に入力される。
【0036】
また、画像補正コントローラ48には、温度センサ34の出力信号がAD変換器51を介して入力される。
【0037】
図3は、図2に示した画像補正コントローラ48の概略構成を示すブロック図である。画像補正コントローラ48は、レジストセンサ32a・32b・32cの検出結果から補正値を取得する補正値取得部53と、制御部56の指示に基づてレジストパターンの画像データを生成するレジストパターン生成部54と、補正値取得部53で取得した補正値にしたがって色ずれ補正処理を行う補正処理部55と、これらの各部を制御する制御部56とを有している。
【0038】
補正処理部55では、主走査方向の位置ずれに対して、LSU16での書出位置の補正が行われる。また副走査方向の位置ずれに対して、LSU16での書出タイミングの補正が行われる。また走査線の傾きや湾曲に対して、画像データの並び替えによる補正が行われる。
【0039】
図4は、図1に示したLSU16の概略構成を示す模式図である。LSU16は、イエロー、マゼンタ、シアン及び黒の各色ごとの光源61〜64と、ポリゴンミラー(回転多面鏡)65と、fθレンズ66・67とを有し、各色ごとの光源61〜64が発する光ビームが、ポリゴンミラー65で主走査方向に偏向された後、fθレンズ66・67を通過して図1に示した感光体ドラム11a〜14a上に走査される。なお、LSU16には、この他に、各色ごとの光源61〜64が発する光ビームを、互いに干渉することなく各色ごとの感光体ドラム11a〜14aに導くミラーなどの光学素子が適宜に設けられる。
【0040】
特にここでは、イエロー及びマゼンタの光ビームがそれぞれ、ポリゴンミラー65の同一の角度位置の反射面に入射して概ね同一の方向に反射されて、各々の感光体ドラム11a・12aに導かれ、またシアン及び黒の光ビームがそれぞれ、ポリゴンミラー65の同一の角度位置の反射面に入射して概ね同一の方向に反射されて、各々の感光体ドラム13a・14aに導かれるようになっており、イエロー及びマゼンタの光ビームと、シアン及び黒の光ビームとでは、入射するポリゴンミラー65の反射面が異なり、ポリゴンミラー65を挟んで互いに相反する側に振り分けられる。
【0041】
このため、ポリゴンミラー65が矢印Aの向きに回転すると、イエロー及びマゼンタの光ビームは、イエロー及びマゼンタの感光体ドラム11a・12a上で、矢印S1の向きに走査され、他方、シアン及び黒の光ビームは、シアン及び黒の感光体ドラム13a・14a上で、矢印S1とは逆方向の矢印S2の向きに走査される。
【0042】
このようにイエロー及びマゼンタの色同士では、各々の感光体ドラム11a・12aに対する光ビームの走査方向が互いに同一となり、しかもイエロー及びマゼンタの光源61・62が互いに近接配置され、さらに光ビームがfθレンズ66などの光学要素を共用することから、温度などの環境変化に伴う主走査方向の位置ずれに関して互いに略同一の変動特性を示す。またこれと同様に、シアン及び黒の色同士でも、温度などの環境変化に伴う主走査方向の位置ずれに関して互いに略同一の変動特性を示す。
【0043】
このため、感光体11a〜14aに対する光ビームの走査方向が互いに同一となる色同士、すなわちイエロー及びマゼンタ、並びにシアン及び黒の組合せでグループ分けして、そのグループごとに選択された代表色のパターン画像のみを形成すれば、これにより取得した代表色の位置変化状況から同じグループに属する他の色の主走査方向の位置変化状況を予測することができる。
【0044】
なお、この例では、イエロー及びマゼンタの光源61・62とシアン及び黒の光源63・64とが、上面視でポリゴンミラー65の中心軸を中心にした点対称位置に配置されているが、本発明による露光装置はこのような構成に限定されるものではない。例えば、イエロー及びマゼンタの光源61・62とシアン及び黒の光源63・64とが、上面視でポリゴンミラー65の中心軸を通る直線を挟んで線対称位置に配置された構成なども可能である。
【0045】
図5は、図1に示したカラー画像形成装置における標準モードでのレジストパターンの作像状況を示す模式図である。各色ごとのトナー像の位置ずれは、図1に示したイエロー、マゼンタ、シアン、及び黒の各色ごとのプロセスユニット11〜14で作像されて中間転写ベルト17上に転写された各色ごとのレジストパターン(位置合わせ用のパターン画像)PY・PM・PC・PKをレジストセンサ32a・32b・32cに読み取らせることで行われる。各レジストパターンPY・PM・PC・PKは、互いに傾斜方向が逆となる帯状部分を前後に組み合わせたV字形状をなしている。
【0046】
ここでは、左側のレジストセンサ32a、中央のレジストセンサ32b及び右側のレジストセンサ32cの各検出位置に、イエロー、マゼンタ、シアン、及び黒の各色ごとのレジストパターンPY・PM・PC・PKからなるパターン群GYMCKがそれぞれ形成される。
【0047】
これらのレジストパターンは、待機時(非印刷時)の他に連続印刷時でも、色ずれ補正の実行指示があると、ページごとの画像の間に挿入するようにプロセスユニット11〜14にて作像されて中間転写ベルト17上に転写される。これは、以下に示すレジストパターンについても同様である。
【0048】
図6は、図5に示した標準モードでのレジストパターンによる位置ずれ量取得の要領を示す模式図である。ここでは、イエローのレジストパターンPYの前部PYaと後部PYbとの距離LY、マゼンタのレジストパターンPMの前部PMaと後部PMbとの距離LM、シアンのレジストパターンPCの前部PCaと後部PCbとの距離LC、及び黒のレジストパターンPKの前部PKaと後部PKbとの距離LKがそれぞれ計測され、これらの距離LY・LM・LC・LKを各々の理論値と比較した差分に基づいて、黒を基準にしたイエロー、マゼンタ、及びシアンの各色ごとの相対的な主走査方向の位置ずれ量が求められる。
【0049】
また、黒のレジストパターンPKの前部PKaに対するイエローのレジストパターンPYの前部PYa、マゼンタのレジストパターンPMの前部PMa、並びにシアンのレジストパターンPCの前部PCaの各距離LKC・LKM・LKYがそれぞれ計測され、これらの距離LKC・LKM・LKYを各々の理論値と比較した差分により、黒を基準にしたイエロー、マゼンタ、及びシアンの各色ごとの相対的な副走査方向の位置ずれ量が求められる。
【0050】
このようにして黒を基準にしたイエロー、マゼンタ、及びシアンの各色ごとの主走査方向及び副走査方向の位置ずれ量が取得され、これに基づいてLSU16での主走査方向の書出位置及び副走査方向の書出位置の補正が画像補正コントローラ48の補正処理部55で行われる。
【0051】
図7は、図1に示したカラー画像形成装置における走査線の傾き及び湾曲の状態に関する情報の取得の要領を示す模式図である。前記のように標準モードでは、左側のレジストセンサ32a、中央のレジストセンサ32b及び右側のレジストセンサ32cの各検出位置での副走査方向の位置ずれ量SL・SC・SRが取得され、(A)に示すように、各検出位置での副走査方向の位置ずれ量SL・SC・SRが、主走査方向に次第に大きくなる、あるいは次第に小さくなっていれば、走査線の傾き(走査線の平行度のずれ)があることが分かる。また、(B)に示すように、両側の副走査方向の位置ずれ量SL・SRと、中央の副走査方向の位置ずれ量SCとの間に大きな差があれば、走査線の湾曲があることが分かる。
【0052】
前記の図5に示した標準モード時では、黒を基準にしたイエロー、マゼンタ、及びシアンの各色ごとの副走査方向の位置ずれ量が求められ、これらの各色ごとの副走査方向の位置ずれ量に基づいて、黒の走査線に対する各色ごとの走査線の傾き(走査線の平行度のずれ)の状態に関する情報を取得することができる。また、これと同様にして、黒の走査線を基準とした各色ごとの走査線の湾曲の状態に関する情報を取得することができる。
【0053】
このようにして走査線の傾き及び湾曲の状態に関する情報が取得され、これに基づいて画像データの並び替えによる補正が画像補正コントローラ48の補正処理部55で行われる。
【0054】
図8は、図1に示したカラー画像形成装置における短縮モードでのレジストパターンの作像状況を示す模式図である。ここでは、図4に示したように光ビームの走査方向が互いに同一で光ビームの位置ずれが略同一の変動特性を示す色のグループ、すなわちシアン及び黒のグループ、並びにイエロー及びマゼンタのグループからそれぞれ、グループの代表色として黒及びイエローが選択され、この黒及びイエローのレジストパターンPK・PYが、左側のレジストセンサ32a及び右側のレジストセンサ32cの各検出位置にそれぞれ形成される。
【0055】
この黒及びイエローのレジストパターンPK・PYにより、後述するように、黒及びイエローの位置ずれ量を取得し、その他の色、すなわちシアン及びマゼンタの位置ずれ量は、同じグループの代表色のレジストパターンの位置変化状況から予測する。すなわちシアンの位置ずれ量は、黒の位置変化状況から予測されるシアンの位置変化状況に基づいて取得し、またマゼンタの位置ずれ量は、イエローの位置変化状況から予測されるマゼンタの位置変化状況に基づいて取得する。
【0056】
図9は、図8に示した短縮モードでのレジストパターンによる位置ずれ量取得の要領を示す模式図である。ここでは、黒のレジストパターンPKの前部PKaと後部PKbとの距離LKが計測される。
【0057】
こここで、距離LKは、レジストセンサ32aが出力する信号のオンエッジ(立ち上がりエッジ)及びオフエッジ(立ち下がりエッジ)の検知タイミングを、読み取り開始時にスタートするカウンタの計数値により取得することで計測される。
【0058】
具体的には、まず、黒のレジストパターンPKの前部PKa及び後部PKbが、レジストセンサにより順次検出され、このときのレジストセンサ信号のオンエッジ及びオフエッジを示すカウンタ値K1・K2・K3・K4を取得する。
【0059】
次に、カウンタ値K1・K2・K3・K4から、黒のレジストパターンPKの前部PKa及び後部PKbの各中心位置に基づいて距離LKが次式にように算出される。
LK=(K3+K4)/2−(K1+K2)/2
【0060】
なお、カウンタは、1ラインの記録周期の1/n(nは整数)を計数する。nは、要求される位置ずれ量の精度に応じて設定される値であり、大きくとるほど精度が向上する。
【0061】
このようにして左側のレジストセンサ32aの検出位置に形成された黒のレジストパターンPKの主走査方向の位置を規定する距離LKが計測され、これと同様にして、右側のレジストセンサ32cの検出位置に形成されたイエローのレジストパターンPYの主走査方向の位置を規定する距離LYが計測される。
【0062】
他方、代表色でないシアン及びマゼンタの距離LC・LMは、前記のように代表色としてレジストパターンの実測により取得した黒及びイエローの距離LK・LYから予測する。
【0063】
具体的には、シアンの距離LCは同じグループの代表色である黒の距離LKに比例して変動することから、今回の短縮モードで取得した黒の実測値LK及び直近の標準モードで取得した黒の実測値LK’から求められる黒の変動比LK/LK’と、直近の標準モードで取得したシアンの実測値LC’とにより、シアンの予測値LCが次式により近似的に算出される。
LC=LC’×LK/LK’。
【0064】
またマゼンタの距離LMは同じグループの代表色であるイエローの距離LYに比例して変動することから、今回の短縮モードで取得したイエローの実測値LY及び直近の標準モードで取得したイエローの実測値LY’から求められるイエローの変動比LY/LY’と、直近の標準モードで取得したマゼンタの実測値LM’とにより、マゼンタの予測値LMが次式により近似的に算出される。
LM=LM’×LY/LY’。
【0065】
このようにしてイエロー、マゼンタ、シアン及び黒の各色ごとの距離LY・LM・LC・LKを取得し、これに基づいて黒を基準にしたイエロー、マゼンタ、及びシアンの各色ごとの主走査方向の位置ずれ量が求められる。そしてこれらの主走査方向の位置ずれ量に基づいてLSU16での主走査方向の書出位置の補正が行われる。
【0066】
図10は、図8に示した短縮モードでの位置ずれ量取得の手順を示すフロー図である。レジストパターンの読み取りを開始すると、まずレジストパターンの位置を計数するためのカウンタがスタートする(ステップ101)。そして副走査方向に移動する中間転写ベルト上の黒のレジストパターンPKの前部PKaがレジストセンサの検出位置に到達すると、レジストセンサ信号がオンとなり(ステップ102)、このときのカウンタ値K1がメモリに記憶される(ステップ103)。さらに黒のレジストパターンPKが副走査方向に移動して、その前部PKaがレジストセンサの検出位置から外れると、レジストセンサ信号がオフとなり(ステップ104)、このときのカウンタ値K2がメモリに記憶される(ステップ105)。
【0067】
ついで、これと同様にして、黒のレジストパターンPKの後部PKbがレジストセンサにより検出され、そのときのカウンタ値K3・K4がメモリに記憶され(ステップ106〜109)、全てのレジストパターンの検出が終わるとカウンタが停止する(ステップ110)。
【0068】
次にメモリに記憶されたカウンタ値K1・K2・K3・K4に基づいて、図9に示した黒の距離LKが算出され(ステップ111)、ついで、ここで算出された黒の距離LK、及び同様の手順で算出されたイエローの距離LYと、直近の標準モードで取得したイエロー、マゼンタ、シアン及び黒の各色ごとの距離LY’・LM’・LC’・LK’とに基づいて、シアン及びマゼンタの距離LC・LMが予測され、これに基づいて黒を基準にしたイエロー、マゼンタ、及びシアンの各色ごとの主走査方向の位置ずれ量が算出される(ステップ112)。
【0069】
以上のようにして算出された主走査方向の位置ずれ量に基づいて、画像補正コントローラ48の補正処理部73において、画像の位置ずれ補正が実行される。すなわち、主走査方向の位置ずれに対して、LSU16での書出位置の補正が行われる。
【0070】
図11は、図1に示したカラー画像形成装置における動作手順を示すフロー図である。まず温度センサにより検出された現在の温度が取得され(ステップ201)、また前回の補正時に取得した温度が読み出され(ステップ202)、ついで現在の温度と前回の温度とを比較して温度の変動量を求めてその温度の変動量が所定のしきい値を超えるか否かが判定される(ステップ203)。そして、温度の変動量が所定のしきい値を超えていれば、図5に示した標準モードが実行され(ステップ204)、ついで標準モードで取得した位置ずれ量に基づいて主走査方向及び副走査方向の位置ずれ並びに走査線の傾き及び湾曲に関する補正が実行される(ステップ205)。
【0071】
他方、温度の変動量が所定のしきい値を超えるか否かの判定(ステップ203)で、温度の変動量が所定のしきい値を超えていなければ、図8に示した短縮モードによる代表色のレジストパターンの形成及び距離LK・LYの計測が実行される(ステップ206)。
【0072】
次に、前回の標準モードで取得した黒の実測値LK’が読み出され(ステップ207)、ついで短縮モード(ステップ206)で取得した黒の実測値LKを前回の実測値LK’と比較して、黒の変動比LK/LK’が算出され、その黒の変動比が所定のしきい値を超えるか否かが判定される(ステップ208)。ここで黒の変動比が所定のしきい値を超えていれば、標準モードが実行され(ステップ204)、ついで標準モードで取得した位置ずれ量に基づいた補正が実行される(ステップ205)。
【0073】
他方、黒の変動比が所定のしきい値を超えるか否かの判定(ステップ208)で、黒の変動比が所定のしきい値を超えていなければ、短縮モード(ステップ206)で取得した位置ずれ量に基づいて主走査方向の位置ずれに関する補正が実行される(ステップ209)。
【0074】
このように事前に前回の補正時からの温度の変動状況に基づいて短縮モード及び及び標準モードのいずれが適切かの判定が行われ、ここで、前回の補正時からの温度の変動量が小さく、短縮モードによる主走査方向の位置ずれ補正のみで十分に高い精度を確保することができる場合には短縮モードが選択されるが、前回の補正時からの温度の変動量が大きく、短縮モードで十分に高い精度を確保することが難しいものと判定されると、標準モードが選択され、主走査方向の位置ずれ補正と共に副走査方向の位置ずれ補正並びに走査線の傾き及び湾曲に関する補正が行われる。
【0075】
また、短縮モードを実行した後に、前回の補正時からのレジストパターンの位置変化状況に基づいて、短縮モードで取得した主走査方向の位置ずれ情報に基づく補正処理の妥当性、すなわち短縮モードによる主走査方向の位置ずれ補正のみで十分に高い精度を確保することができる否かの判定が事前に行われ、ここで、前回の補正時からのレジストパターンの位置変化が小さく、短縮モードで十分に高い精度を確保することができる場合には、短縮モードに基づく補正が行われるが、前回の補正時からのレジストパターンの位置変化が大きく、短縮モードで十分に高い精度を確保することが難しいものと判定されると、短縮モードに基づく補正は行わず、改めて標準モードで位置ずれ情報を取得する処理が行われ、このとき、短縮モードで取得した位置ずれ情報は破棄され、標準モードで取得した位置ずれ情報に基づいて補正が行われる。
【0076】
なお、短縮モードによる補正処理の妥当性の判定(ステップ208)は、イエローの変動比LY/LY’に基づいて行うことも可能である。さらに、この短縮モードの妥当性の判断は、レジストパターンの位置変化状況にのみ基づいて行わず、要求される画像品質などの他の判断基準を加えて行うようにしても良い。
【0077】
また、前回の補正時からの温度の変動状況に基づいて短縮モード及び標準モードを選択する処理(ステップ201〜203)を事前に行わずに、最初から短縮モードを実行する構成も可能である。また、これとは逆に、短縮モードで取得した代表色のレジストパターンの位置変化状況に基づいて短縮モードの妥当性を判定する処理(ステップ207・208)を行わず、前回の補正時からの温度の変動状況に基づいて短縮モード及び標準モードを選択するのみの構成も可能である。
【0078】
また、以上の例では、黒を基準にしたイエロー、マゼンタ、及びシアンの各色ごとの位置ずれ量を取得するようにしたが、他の色を基準した位置ずれ量を取得して、画像の位置ずれ補正を実行することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明にかかるカラー画像形成装置は、補正制御の処理時間を大幅に短縮することにより、画像形成処理の生産性の低下を招くことなく、補正制御を頻繁に実施して高品位な画像を確保することができる効果を有し、各色ごとの感光体に対する露光手段による光ビームの走査により各色ごとの前記感光体に個別に像を形成し、それらを中間転写体上で合成してカラー画像を得るカラー画像形成装置、例えばプリンタ、ファクシミリ装置、複写機、複合機などとして有用である。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明によるカラー画像形成装置の一例を示す模式図
【図2】図1に示したカラー画像形成装置における制御に係る要部の概略構成を示すブロック図
【図3】図2に示した画像補正コントローラの概略構成を示すブロック図
【図4】図1に示したLSUの概略構成を示す模式図
【図5】図1に示したカラー画像形成装置における標準モードでのレジストパターンの作像状況を示す模式図
【図6】図5に示した標準モードでのレジストパターンによる位置ずれ量取得の要領を示す模式図
【図7】図1に示したカラー画像形成装置における走査線の傾き及び湾曲の状態に関する情報の取得の要領を示す模式図
【図8】図1に示したカラー画像形成装置における短縮モードでのレジストパターンの作像状況を示す模式図
【図9】図8に示した短縮モードでのレジストパターンによる位置ずれ量取得の要領を示す模式図
【図10】図8に示した短縮モードでの位置ずれ量取得の手順を示すフロー図
【図11】図1に示したカラー画像形成装置における動作手順を示すフロー図
【符号の説明】
【0081】
1 画像形成部
11〜14 プロセスユニット
11a〜14a 感光体ドラム
16 LSU(露光手段)
17 中間転写ベルト
32a〜32c レジストセンサ(画像検出手段)
48 画像補正コントローラ(補正制御手段)
61〜64 光源
65 ポリゴンミラー(回転多面鏡)
GYMCK パターン群
PK・PC・PM・PY レジストパターン(位置合わせ用のパターン画像)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
各色ごとの感光体に対する露光手段による光ビームの走査により各色ごとの前記感光体に個別に像を形成し、それらを中間転写体上で合成してカラー画像を得るカラー画像形成装置であって、
各色ごとの複数の光源が回転多面鏡に対する位置関係に応じて前記感光体に対する光ビームの走査方向が逆向きとなるように配置された露光手段と、前記中間転写体上に形成された位置合わせ用のパターン画像を、主走査方向に離間した複数の検出位置で検知する画像検出手段と、前記中間転写体上のパターン画像を前記画像検出手段に検出させてその検出結果に基づいて各色ごとの位置ずれ情報を取得して補正処理を行う補正制御手段とを有し、
この補正制御手段が、前記感光体に対する光ビームの走査方向が互いに同一となる色同士で同一のグループにグループ分けして、そのグループごとに選択された代表色のパターン画像のみを前記画像検出手段の各検出位置にそれぞれ形成させ、これにより取得した代表色のパターン画像の位置変化状況から同じグループに属する他の色のパターン画像の位置変化状況を予測して、基準色に対する他の各色ごとの主走査方向の位置ずれ情報を取得することを特徴とするカラー画像形成装置。
【請求項2】
前記補正制御手段が、前記代表色のパターン画像を前記画像検出手段の各検出位置にそれぞれ形成させてそのパターン画像を前記画像検出手段に検出させる短縮モードと、各色ごとのパターン画像の全てを前記画像検出手段の各検出位置にそれぞれ形成させてそのパターン画像を前記画像検出手段に検出させる標準モードとを実行可能であり、
前記短縮モードを実行した後に、この短縮モードで取得した前記代表色のパターン画像の位置変化状況に基づいて短縮モードによる補正処理の妥当性を判定し、ここで妥当でないものと判定された場合には、改めて前記標準モードを実行して、その標準モードにより取得した位置ずれ情報により補正処理を行うことを特徴とする請求項1に記載のカラー画像形成装置。
【請求項3】
前記補正制御手段が、前記代表色のパターン画像を前記画像検出手段の各検出位置にそれぞれ形成させてそのパターン画像を前記画像検出手段に検出させる短縮モードと、各色ごとのパターン画像の全てを前記画像検出手段の各検出位置にそれぞれ形成させてそのパターン画像を前記画像検出手段に検出させる標準モードとを実行可能であり、
前記短縮モード及び標準モードのいずれかを、環境条件の変動状況に応じて選択することを特徴とする請求項1に記載のカラー画像形成装置。
【請求項4】
前記補正制御手段が、前記代表色のパターン画像の位置変化状況から同じグループに属する他の色のパターン画像の位置変化状況を予測するにあたり、前記パターン画像に基づく代表色の実測値を、当該代表色の前回の実測値と比較して変動比を取得し、この変動比と、前記代表色と同じグループに属する他の色の前回の実測値とから、当該他の色の予測値を算出することを特徴とする請求項1に記載のカラー画像形成装置。
【請求項1】
各色ごとの感光体に対する露光手段による光ビームの走査により各色ごとの前記感光体に個別に像を形成し、それらを中間転写体上で合成してカラー画像を得るカラー画像形成装置であって、
各色ごとの複数の光源が回転多面鏡に対する位置関係に応じて前記感光体に対する光ビームの走査方向が逆向きとなるように配置された露光手段と、前記中間転写体上に形成された位置合わせ用のパターン画像を、主走査方向に離間した複数の検出位置で検知する画像検出手段と、前記中間転写体上のパターン画像を前記画像検出手段に検出させてその検出結果に基づいて各色ごとの位置ずれ情報を取得して補正処理を行う補正制御手段とを有し、
この補正制御手段が、前記感光体に対する光ビームの走査方向が互いに同一となる色同士で同一のグループにグループ分けして、そのグループごとに選択された代表色のパターン画像のみを前記画像検出手段の各検出位置にそれぞれ形成させ、これにより取得した代表色のパターン画像の位置変化状況から同じグループに属する他の色のパターン画像の位置変化状況を予測して、基準色に対する他の各色ごとの主走査方向の位置ずれ情報を取得することを特徴とするカラー画像形成装置。
【請求項2】
前記補正制御手段が、前記代表色のパターン画像を前記画像検出手段の各検出位置にそれぞれ形成させてそのパターン画像を前記画像検出手段に検出させる短縮モードと、各色ごとのパターン画像の全てを前記画像検出手段の各検出位置にそれぞれ形成させてそのパターン画像を前記画像検出手段に検出させる標準モードとを実行可能であり、
前記短縮モードを実行した後に、この短縮モードで取得した前記代表色のパターン画像の位置変化状況に基づいて短縮モードによる補正処理の妥当性を判定し、ここで妥当でないものと判定された場合には、改めて前記標準モードを実行して、その標準モードにより取得した位置ずれ情報により補正処理を行うことを特徴とする請求項1に記載のカラー画像形成装置。
【請求項3】
前記補正制御手段が、前記代表色のパターン画像を前記画像検出手段の各検出位置にそれぞれ形成させてそのパターン画像を前記画像検出手段に検出させる短縮モードと、各色ごとのパターン画像の全てを前記画像検出手段の各検出位置にそれぞれ形成させてそのパターン画像を前記画像検出手段に検出させる標準モードとを実行可能であり、
前記短縮モード及び標準モードのいずれかを、環境条件の変動状況に応じて選択することを特徴とする請求項1に記載のカラー画像形成装置。
【請求項4】
前記補正制御手段が、前記代表色のパターン画像の位置変化状況から同じグループに属する他の色のパターン画像の位置変化状況を予測するにあたり、前記パターン画像に基づく代表色の実測値を、当該代表色の前回の実測値と比較して変動比を取得し、この変動比と、前記代表色と同じグループに属する他の色の前回の実測値とから、当該他の色の予測値を算出することを特徴とする請求項1に記載のカラー画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2007−155895(P2007−155895A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−347882(P2005−347882)
【出願日】平成17年12月1日(2005.12.1)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年12月1日(2005.12.1)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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