説明

カードリーダーユニット及びこれを備えた画像形成装置

【課題】カードリーダーをそのサイズに関係なくガタツキ無くトレイ内に確実に収容することができるカードリーダーユニットを提供すること。
【解決手段】カードをタッチすることによって該カードに記録された情報を読み取るカードリーダーと、下ケースと上ケースで構成されたカードリーダーケースと、該カードリーダーケース内の空間に配置された矩形ボックス状のトレイ12を備え、前記カードリーダーを前記トレイ12内に収容して成るカードリーダーユニットにおいて、前記トレイ12の壁12C,12Dをスライド可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カードをタッチすることによって該カードに記録された情報を読み取るカードリーダーユニットを備えた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、電子写真方式によって用紙に画像を形成する複写機やプリンタ或いは複合機(MFP)等の画像形成装置には、カードをタッチすることによって該カードに記録されたユーザーに関する情報を読み取ってユーザー認証を行うためのカードリーダーユニットを備えたものがある。
【0003】
ここで、カードリーダーユニットは、カードをタッチすることによって該カードに記録された情報を読み取るカードリーダーと、下ケースと上ケースで構成されたカードリーダーケースと、該カードリーダーケース内の空間に配置された矩形ボックス状のトレイを備えており、カードリーダーは、カードリーダーケース内のトレイ内に収容されている。
【0004】
尚、特許文献1には、遊技機のカード読取装置が故障した場合の取り替えを容易に行うことができる構成が提案され、特許文献2には、スーパーなどのレジカウンターに防犯のために取り付けられている防犯フェンスにカードリーダーを取り付ける構成が提案されている。又、特許文献3には、洗車機等の近くに設置されたスイッチやカード挿入口を風雨から保護するためのカバーを設ける構成が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6−304328号公報
【特許文献2】特開2004−049645号公報
【特許文献3】特開平6−044395号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、画像形成装置に備えられるユーザー認証のためのカードリーダーユニットにおいては、カードリーダーはメーカーが指定するものが装着されていたため、カードリーダーケースやトレイとしては1種類のカードリーダーを収容及び載置するものであれば良かった。
【0007】
しかしながら、近年、カードリーダーの種類やメーカーが増え、それだけユーザーの選択肢が広がりつつある。ここで、カードリーダーのサイズはメーカーによって様々であり、サイズの異なるカードリーダーを共通のトレイに収容しようとすると、特にカードリーダーがトレイに対して小さい場合には、このカードリーダーがトレイ内でガタつくという問題が発生する。
【0008】
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、その目的とする処は、カードリーダーをそのサイズに関係なくガタツキ無くトレイ内に確実に収容することができるカードリーダーユニット及びこれを備えた画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、カードをタッチすることによって該カードに記録された情報を読み取るカードリーダーと、下ケースと上ケースで構成されたカードリーダーケースと、該カードリーダーケース内の空間に配置された矩形ボックス状のトレイを備え、前記カードリーダーを前記トレイ内に収容して成るカードリーダーユニットにおいて、前記トレイは底壁から立設する複数の壁を備え、前記複数の壁の少なくとも1つの壁をスライド可能に構成したことを特徴とする。
【0010】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記トレイの前記複数の壁の上端辺には前記底面上に突出する突起が形成されていることを特徴とする。
【0011】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明において、前記トレイの前記底壁と前記カードリーダーの間に、弾性を有する板状部材であり、前記底壁と前記カードリーダーの下面に当接して弾性変形する部位が形成された支持部材を設けたことを特徴する。
【0012】
請求項4記載の発明は、請求項2記載の発明において、前記トレイは弾性を有する材料で形成されており、前記底壁からと突出して前記カードリーダーの下面に当接して弾性変形する部位が形成されていることを特徴する。
【0013】
請求項5記載の画像形成装置は、請求項1〜4の何れかに記載のカードリーダーユニットを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、カードリーダーを収容するトレイの少なくとも1つの壁をスライド可能に構成したため、該壁をカードリーダーのサイズに合わせてスライドさせることによってカードリーダーをそのサイズに関係なくガタツキ無くトレイ内に確実に収容することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る画像形成装置の斜視図である。
【図2】本発明に係るカードリーダーユニットの斜視図である。
【図3】本発明に係るカードリーダーユニットの上ケースを取り外した状態の斜視図である。
【図4】本発明に係るカードリーダーユニットの上ケースとカードリーダーを取り外した状態の斜視図である。
【図5】本発明に係るカードリーダーユニットの第1実施形態のトレイの斜視図である。
【図6】図5のA−A線断面図である。
【図7】図5のB−B線断面図である。
【図8】トレイの壁の斜視図である。
【図9】(a)は本発明に係るカードリーダーユニットの第2実施形態のトレイの斜視図、(b)は(a)のトレイにカードリーダーを装着した状態のC−C線断面図である。
【図10】(a)は本発明に係るカードリーダーユニットの第3実施形態のトレイの斜視図、(b)は(a)のトレイにカードリーダーを装着した状態のD−D線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0017】
図1は本発明に係る画像形成装置の斜視図であり、図示の画像形成装置1は、複写機能とプリンタ機能及びファクシミリ機能を兼備した複合機(MFP)であって、その装置本体2の上部には原稿を光学的に読み取るための原稿読取装置3が設けられている。ここで、原稿読取装置3の上面には透明なコンタクトガラスを覆う原稿カバー4が嵌め込まれており、画像読取装置3の前部片側には操作部5が配置されている。
【0018】
又、装置本体2の画像読取装置3の下方には開口部6が形成されており、この開口部6には排紙トレイ7が設けられている。そして、装置本体2の下半部には、内部に複数枚の用紙を積層収容して成る上下2段の給紙カセット8,9が手前側に引き出し可能に設けられている。尚、図示しないが、装置本体2の内部には、感光ドラム、帯電器、露光装置、現像装置、転写装置、定着装置等の各種プロセス機器が収容されている。
【0019】
更に、装置本体2の上端側部には本発明に係るカードリーダーユニット10が取り付けられている。このカードリーダーユニット10は、ユーザーがカードをこれにタッチすることによって、該カードに記録されているユーザーに関する情報を読み取ってユーザーの認証を行うものであり、以下、その構成の詳細を図2〜図8に基づいて説明する。
【0020】
図2はカードリーダーユニットの斜視図、図3は同カードリーダーユニットの上ケースを取り外した状態の斜視図、図4は同カードリーダーユニットの上ケースとカードリーダーを取り外した状態の斜視図、図5は同カードリーダーユニットの第1実施形態のトレイの斜視図、図6は図5のA−A線断面図、図7は図5のB−B線断面図、図8はトレイの壁の斜視図である。
【0021】
カードリーダーユニット10は、図2に示すように、上下に2分割された樹脂製の上ケース11Aと下ケース11Bとを接合一体化して成るカードリーダーケース11を備えており、該カードリーダーケース11の密閉された空間内には、図4に示すように上方が開放された矩形ボックス状のトレイ12が配置されている。具体的には、トレイ12は、カードリーダーケース11の下ケース11B上に載置されており、下ケース11BにはL字上に屈曲する板金製のブラケット13がネジ止めされて固定されている。ここで、ブラケット13には2つのネジ孔14,15が横方向に形成されており、カードリーダーユニット10は、ブラケット13のネジ孔14,15に挿通する不図示のネジを締め付けることによって図1に示すように装置本体2の上端側部に取り付けられている。
【0022】
前記トレイ12は、樹脂によって矩形ボックス状に成形されており、図5に示すようにその四周には垂直な壁12A,12B,12C,12Dがそれぞれ立設されており、これら4つの壁12A〜12Dのうち2つの壁12C,12Dは互いに直交する2方向(図示矢印a,b方向)にスライド可能に保持されている。ここで、トレイ12の底壁の壁12Eが設けられる2辺には、壁12C,12Dのスライド方向に長いスリット状の切欠き16,17がそれぞれ形成されている。
【0023】
又、図8に示すように、例えばスライド可能な一方の壁12Cの幅方向中央下部には、トレイ12の底壁12Eに形成された前記切欠き16,17と略同一幅(若干狭い)嵌合部12aが形成されており、この嵌合部12aの下端からは切欠き16の幅よりも広い矩形板状の保持部12bが直角に屈曲して水平に形成されている。
【0024】
而して、図5〜図6に示すように、壁12Cの嵌合部12aをトレイ12の底壁12Eに形成された切欠き16に嵌め込めば、壁12Cは、保持部12bとの間でトレイ12の底壁12Eを上下から挟持するようにしてトレイ12の底壁12Eに垂直且つ図5の矢印a方向にスライド可能に支持される。この場合、壁12Cはトレイ12の切欠き16を嵌合部12aが移動可能な範囲で矢印a方向にスライドすることができる。尚、図示しないが、他方の壁12Dも壁12Cと同様に構成され、トレイ12の底壁12E上を図5の矢印b方向にスライドすることができる。
【0025】
而して、図3に示すように、トレイ12内には偏平な矩形ブロック状のカードリーダー18が収容されるが、このカードリーダー18のサイズはメーカーによって様々である。本実施の形態では、サイズが様々であるカードリーダー18を共通のトレイ12に収容する場合、そのカードリーダー18のサイズに合わせて可動の壁12C,12Dを図5に示す矢印a,b方向にそれぞれスライドさせ、これらの壁12C,12Dをカードリーダー18の縦及び横の側面に密着させれば、カードリーダー18はトレイ12内にガタツキ無く確実に収容される。そして、このようにカードリーダー18がトレイ12内にガタ無く収容されると、カードリーダーケース11の下ケース11Bに上ケース11Aを被せて両者を接合一体化することによってカードリーダー18の組み付けが完了する。
【0026】
以上のように、本実施の形態に係るカードリーダーユニット10においては、カードリーダー18を収容するトレイ12の2つの壁12C,12Dをスライド可能に構成したため、これらの壁12C,12Dをカードリーダー18のサイズに合わせてスライドさせることによってカードリーダー18をそのサイズに関係なくガタツキ無くトレイ12内に確実に収容することができるという効果が得られる。
【0027】
次に、第2実施形態のトレイを図9に基づいて説明する。尚、第1実施形態のトレイ12と共通する部分については説明を省略する。
【0028】
図9(a)は第2実施形態のトレイの斜視図、図9(b)は図9(a)のC−C線断面図であり、図9に示すように、第2実施形態に係るトレイ20は基本的な形状において図5に示す第1実施形態に係るトレイ12と同じである。トレイ20のトレイ12との違いは、四周の垂直に立設される壁20A,20B,20C,20Dのそれぞれの上端において、互いに離れた2箇所の位置に対向する壁に向かって底壁20Eに対して平行に所定長さだけ突出する突起20F,20G,20H,20Iが形成されていることである。
【0029】
又、第2実施形態に係るトレイ20では、底面20Eとカードリーダー22との間に、支持部材21が設けられている。支持部材22は、弾性を有する樹脂部材や板金部材等で構成されている。支持部材22は矩形の平板形状の部材であり、四隅の矩形領域21A,21b、21C、21Dをそれぞれ一辺を切り込み線で切り離し、隣接する他方の辺で同じ方向に折り曲げて傾斜させている。それ以外の部分は平面部21Eを形成している。そして、矩形領域21A,21B、21C、21Dの先端がトレイ20の底壁20Eに当接するように収納されている。
【0030】
カードリーダー22をトレイ20に装着する際には、スライド可能な壁21C,21Dを対向する壁21A、21Bから離す方向に移動させるか、トレイ20から一時的に取り外す。そして、カードリーダー20を支持部材22の平面部21Eに載せて押し下げながら、上面を突起21F、21Gの下に潜り込ませて、側面が壁21A,21Bに当接する位置まで押し込む。その状態で、壁21C,21Dをスライドさせ、カードリーダー22の上面が突起21H、21Iの下に潜り込むようにして側面22に当接する位置において固定する。
【0031】
支持部材22は弾性部材であるため、カードリーダー22の厚さに応じて四隅の矩形領域21A,21B、21C、21Dが弾性変形により傾斜角度が変化して、カードリーダー22の上面が突起20F,20G,20H,20Iに当接する位置に保持する。これにより、縦横のサイズだけでなく、厚さの異なる各種のカードリーダーを1種類のトレイに装着することが可能である。
【0032】
次に、第3実施形態に係るトレイを図10に基づいて説明する。尚、第1実施形態に係るトレイ12及び第2実施形態に係るトレイ20共通する部分については説明を省略する。
【0033】
図10(a)は第3実施形態に係るトレイの斜視図、図10(b)は図10(a)のD−D線断面図であり、第3実施形態に係るトレイ30と図9に示す第2実施形態に係るトレイ20との違いは、支持部材21を使用することなく、底面30Eに支持片30F〜30Iを形成していることである。トレイ30は弾性を有する樹脂材料で成形加工した部材であり、底壁30Eか垂直に立設して壁30A,30Bが形成され、壁30A,30Bの上端辺にはそれぞれ、互いに離れた2箇所の位置に底壁30E上に平行に所定長さ突出する突起30J,30Kが形成されている。又、底壁30Eの4箇所には、底壁30Eから上方に傾斜して延びる支持片30F〜30Iが形成されている。更に、トレイ30に対してそれぞれに着脱可能な部材により、装着した状態において、それぞれに壁30A,30Bに対向する壁30C,30Dが形成される。壁30A,30Bの上端辺にはそれぞれ互いに離れた2箇所の位置に底壁30E上に平行に所定長さ突出する突起30L,20Mが形成されている。
【0034】
カードリーダー31をトレイ30への装着は、第2実施形態に係るトレイ20への装着と類似しており、カードリーダー31の底面が支持片30F〜30Iに当接して支持され、上面が突起30J〜30Mに潜り込んで当接した状態で支持される。トレイ30は弾性樹脂で形成されているため、カードリーダー31の厚みに合わせて支持片30F〜30Iが弾性変形して傾斜角度が変化する。従って、縦横のサイズだけでなく、厚さの異なる各種のカードリーダーをトレイ30に装着することが可能である。
【0035】
尚、以上の実施の形態では、トレイ12の4つの壁12A〜12Dのうち、2つの壁12C,12Dをスライド可能に構成したが、4つ全ての壁12A〜12Dをスライド可能に構成しても同様の効果が得られる。又、カードリーダー18の厚さの変化に対応するには、例えば薄いカードリーダー18を収容するような場合には、可動の壁12C,12Dを上下逆にして取り付けることによって対応することがもできる。
【符号の説明】
【0036】
1 画像形成装置
2 装置本体
3 画像読取装置
4 コンタクトガラス
5 操作部
6 装置本体の開口部
7 排紙トレイ
8,9 給紙カセット
10 カードリーダーユニット
11 カードリーダーケース
11A 上ケース
11B 下ケース
12 トレイ
12A〜12D トレイの壁
12E トレイの底壁
12a 壁の嵌合部
12b 壁の保持部
13 ブラケット
14,15 ネジ孔
16,17 トレイの切欠き
18 カードリーダー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カードをタッチすることによって該カードに記録された情報を読み取るカードリーダーと、下ケースと上ケースで構成されたカードリーダーケースと、該カードリーダーケース内の空間に配置された矩形ボックス状のトレイを備え、前記カードリーダーを前記トレイ内に収容して成るカードリーダーユニットにおいて、
前記トレイは底壁から立設する複数の壁を備え、前記複数の壁の少なくとも1つの壁をスライド可能に構成したことを特徴とするカードリーダーユニット。
【請求項2】
前記トレイの前記複数の壁の上端辺には前記底面上に突出する突起が形成されていることを特徴とする請求項1記載のカードリーダーユニット。
【請求項3】
前記トレイの前記底壁と前記カードリーダーの間に、弾性を有する板状部材であり、前記底壁と前記カードリーダーの下面に当接して弾性変形する部位が形成された支持部材を設けたことを特徴する請求項2記載のカードリーダーユニット
【請求項4】
前記トレイは弾性を有する材料で形成されており、前記底壁からと突出して前記カードリーダーの下面に当接して弾性変形する部位が形成されていることを特徴する請求項2記載のカードリーダーユニット。
【請求項5】
請求項1〜4の何れかに記載のカードリーダーユニットを備えることを特徴とする画像形成装置。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2013−30043(P2013−30043A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−166475(P2011−166475)
【出願日】平成23年7月29日(2011.7.29)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】