ガス処理装置
【課題】 コロナ放電による凝集機能及び集塵機能とフィルタの集塵機能を用いて、ガス中の超微小粒子を凝集肥大化でき、しかも、車両搭載可能な排気ガス浄化装置としても使用できるような、高性能、低圧力損失でコンパクト化可能なガス処理装置を提供する。
【解決手段】 ガス中の捕集対象成分をコロナ放電により帯電させて凝集する帯電凝集部10と、該凝集させた成分を捕集するフィルタ部20とを備えたガス処理装置1であって、前記帯電凝集部10を上流側に、前記フィルタ部20を下流側に配設して構成する。
【解決手段】 ガス中の捕集対象成分をコロナ放電により帯電させて凝集する帯電凝集部10と、該凝集させた成分を捕集するフィルタ部20とを備えたガス処理装置1であって、前記帯電凝集部10を上流側に、前記フィルタ部20を下流側に配設して構成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工場ガス、発電所ガス、自動車ガス等の排ガスや、各種製造工場や医療現場等のガスを、コロナ放電を利用して浄化するガス処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
工場ガス,発電所ガス、自動車ガス等の排ガス処理装置として、又、各種製造工場や医療現場等のガス処理装置として、静電凝集装置や静電集塵装置等が使用されている。これらのガス処理装置では、コロナ電極と集塵電極の間に高電圧を印加してガス中にコロナ放電を発生させ、このコロナ放電によりガス中の浮遊微粒子を帯電し、この帯電した粒子を静電気力で集塵電極に引き寄せて捕捉したりしている。
【0003】
このようなガス処理装置の一つの例としては、工場排煙中の白煙及び霧状の微量汚染物質の除去を目的として、金属円管中に張った金属細線で形成される高圧放電線(コロナ電極)に高電圧を印加し、工場排煙等の浮遊微粒子を円筒電極に静電吸着して除去する円筒形電気集塵装置がある(例えば,特許文献1参照。)。
【0004】
また、導電性の柱からなる第1電極とこの第1電極を包囲する導電性の第2電極を有するコロナ放電部を筒状で形成し、これらの筒状の放電部を複数個設けた排気ガス浄化装置も提案されている(例えば、特許文献2及び特許文献3参照。)。
【0005】
更に、筒状の外部電極と筒状の軸心方向に延びる内部電極とからなるユニットを複数個並列に配置すると共に、これらのユニットをケーシングに納めたプラズマ式排気浄化装置も提案されている(例えば、特許文献4及び特許文献5参照。)。
【0006】
これらの放電を利用した静電集塵装置では、処理対象ガスを筒状体に通し、この筒状体で形成された集塵電極又は筒状体とは別に設けた筒状の集塵電極の略中央(軸中心)にコロナ電極を配置して、コロナ電極と集塵電極との間に高電圧を印加することによって、ガス中にコロナ放電を発生させ、ガス中の浮遊微粒子を帯電させる。
【0007】
この帯電した粒子を、コロナ電極と集塵電極との間に形成された電界によって静電気力で集塵電極表面に移動させて、集塵電極表面で捕捉する。この捕捉された粒子は、電気集塵装置等と同様な振るい落とし等により集塵電極から離脱させて集められたり、集塵電極に隣接して設けられたヒータ等の加熱により燃焼除去される。
【0008】
しかしながら、これらの静電集塵装置を単独で用いた場合には、静電集塵により、集塵電極の表面で捕捉された粒子間に結合が生じて、微粒子が大きくなるが、この捕捉粒子はガス流の影響により、集塵電極の表面から剥離して再飛散を起こすという問題がある。この再飛散粒子は、ガス処理装置内で帯電、捕捉、剥離を繰り返しながら、その粒径を徐々に大きくしていくが、最終的には再飛散により静電集塵装置から排出されてしまう。
【0009】
そのため、静電集塵装置の集塵電極を加熱して捕集したPMを燃焼除去することが考えられ、内燃機関等の排気ガス中の粒状固形物を除去するために、電気集塵フィルタの集塵電極の表面に電気伝導性金属酸化物を主成分とする触媒をコーティングした触媒層を設けて、集塵電極に捕集された粒状固形物を比較的低温で酸化燃焼させる排気ガス浄化装置も提案されている(例えば、特許文献6参照。)。
【0010】
集塵電極上にヒータを配置すると、放電空間内のガスならびに電極が加熱されることになり、放電の不安定性を引き起こす恐れがある。また、触媒層はガス状成分の酸化燃焼には有効であるが、粒状固形物、特にディーゼル排気ガス中のSoot(スート:煤)分の酸化燃焼には必ずしも有効に機能せず、特に静電集塵の電極面程度の表面積では実用上十分な効果を得られないという問題があった。さらに、これらの技術は年々強化されつつある排気ガス規制に十分対応できるまでの微粒子除去性能を得ることができないという問題があった。
【0011】
また、自動車に搭載したディーゼルエンジン等の排気ガスを対象とする場合には、固体化した成分だけでなく、ガス化した成分が含まれており、このガス化した成分も除去する必要がある。つまり、排気ガス中に含まれているPM(Particulate Matter:パティキュレート・マター:粒子状物質)が処理対象成分となるが、このPMには、特に燃焼が難しいと言われるSootと、高温では蒸気となっているSOF(Soluble Organic Fraction:可溶性有機成分)が含まれている。このSootは、炭素を主成分とするエンジンの排出物質であり、SOFは、燃料やオイルの燃え残りが原因で発生する、ベンゼン,トルエン等の有機溶剤に溶ける成分であり、酸化触媒表面で燃焼できる。
【0012】
この固形成分とガス化した成分を除去する装置として、上流側に、バグフィルタ等の集塵手段を、下流側にプラズマ発生手段をそれぞれ設け、ガス中の煤塵などの塵埃をバグフィルタ等で集塵し、塵埃が除去されたガス中の臭気成分及び有害成分を分解除去する浄化装置も提案されている(例えば、特許文献7参照。)。
【0013】
しかし、この固形成分をバグフィルタで集塵する場合には、微小粒子の捕集率を上げるために目が細かいフィルタが必要になるが、この目の細かいフィルタは圧力損失が大きくなるという問題がある。
【0014】
一方、本発明者らは、SOFに関して実験等により次のような知見を得た。
【0015】
排気ガス中のガス化したSOFは、冷却して凝縮して液化させると粘着性を持つミストとなり、このミスト状のSOFは、鳥もちの原理により超微小粒子を捕捉して凝集肥大化することができる。そして、超微小粒子の捕集に際して、このSOFの凝集肥大化機能を利用するためには、フィルタ等の集塵装置は電気凝集装置の下流側に設けることが有効であり、また、この集塵装置と組み合せた場合に、電気凝集装置において排気ガスを冷却してSOFを液化すると、著しく捕集効率が向上することが分かった。
【0016】
また、この下流側にフィルタを配置した構成では、排気ガス中の超微小粒子が、静電作用と液化したSOFの粘着機能との相乗効果により凝集肥大化し、電気凝集装置から、排出される粒子の粒径が大きくなるため、目の粗いフィルタでもこれらの粒子を容易に捕捉することができることが分かった。
【0017】
更に、ガス化状態のSOFは酸化触媒で酸化でき、この酸化触媒は温度が高いほど触媒活性が高いため、また、電気凝集装置は、ガス温度が500℃を超えると安定なコロナ放電の形成が難しくなり、650℃を超えると十分な電力投入が特に難しくなる等、高温域では、電気集塵作用が低下するため、通常はガスの温度が高い排気管の前方に酸化触媒を設置し、ガスの温度が低下する排気管後方に電気集塵装置を設置することが考えられるが、酸化触媒を電気凝集装置よりも、上流側に配設した場合には、SOFが酸化触媒で酸化されてしまうため、電気凝集装置における超微小粒子の捕捉効果が無くなってしまい、捕集効率が上がらなくなることも分かった。
【0018】
その上、酸化触媒にSOFとSoot等からなる凝集体が流入すると、触媒表面が酸化燃焼し難いSootで覆われ、触媒表面でのSOFの酸化燃焼効果が弱まってしまうので、この凝集体を捕捉して燃焼除去する粗い目のメタルフィルタを酸化触媒の上流側に設けることが必要で、結局は、上流側から電気凝集装置、フィルタ、酸化触媒の順に配置することがもっとも効果的に排気ガスを浄化できることが分かった。
【特許文献1】実用新案登録第3019526号公報
【特許文献2】特開平5−125928号公報
【特許文献3】特許第2849880号公報
【特許文献4】特開2002−30920号公報
【特許文献5】特開2002−30921号公報
【特許文献6】特開2000−213331号公報
【特許文献7】特開平11−128660号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本発明は、上記の知見を得て上述の問題を解決するためになされたものであり、その目的は、コロナ放電による凝集機能及び集塵機能とフィルタの集塵機能を用いて、ガス中の超微小粒子を凝集肥大化できて、しかも、車両搭載可能な排気ガス浄化装置としても使用できるような、高性能、低圧力損失でコンパクト化可能なガス処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
以上のような目的を達成するためのガス処理装置は、ガス中の捕集対象成分をコロナ放電により帯電させて凝集する帯電凝集部と、該凝集させた成分を捕集するフィルタ部とを備えたガス処理装置であって、前記帯電凝集部を上流側に、前記フィルタ部を下流側に配設して構成する。
【0021】
この構成によれば、上流側の帯電凝集部で捕集対象成分を凝集して粗大化及び肥大化させてから、下流側のフィルタ部で捕集するので、捕集効率が向上すると共に、後段のフィルタの目を比較的粗いものとすることができるので、圧力損失を小さくすることができる。
【0022】
つまり、上流側の帯電凝集部で、コロナ放電による帯電を利用して、ガス中のSoot(スート:煤)等の固形成分を帯電させると共に、ガス中のSOF(可溶性有機成分)等の液体成分をバインダーとして、効率良く電気的に捕集対象成分を凝集させることができる。この凝集体は、一時的には帯電凝集部の集塵電極の表面に捕集されるが、壁面上で粗大化し、ガスの流れにより集塵電極の表面から剥離し再飛散するので、この最飛散した凝集体を下流側のフィルタ部で捕集する。
【0023】
この下流側のフィルタ部では、流入する捕集対象成分は帯電凝集部により粗大化及び肥大化しているため、フィルタの目が比較的粗くても効率良く捕集することができる。そのため、フィルタ部を比較的目が粗く圧力損失の少ないフィルタで形成することができる。従って、比較的目の粗いが耐熱性に優れた金属フィルタ等も使用できるようになる。
【0024】
なお、ディーゼルエンジンの排気ガスを処理対象ガスとする場合には、この後段のフィルタでは、SootやSOF等を含むPMの捕集量が所定の限界値を超えた場合に、フィルタ温度を上昇させて燃焼除去するように構成されるが、金属フィルタを用いると耐熱性に優れているので有炎燃焼で溶損を心配することなく除去できるようになる。
【0025】
そして、上記のガス処理装置において、前記フィルタ部の下流側に酸化触媒を設けて構成すると、この酸化触媒により、ガス化したまま帯電凝集部とフィルタ部を通過してきたSOF等の蒸発成分をこの酸化触媒で酸化して除去することができる。なお、この酸化触媒を帯電凝集部やフィルタ部の上流側に配置した場合には、ガス化したSOF等の成分をこの酸化触媒で酸化してしまうため、SOF等をSootを凝集させるために使用することができなくなり、フィルタ部の捕集効率の向上に寄与させることができなくなる。
【0026】
また、上記のガス処理装置において、前記フィルタ部を、金属製のフィルタで形成すると、PM等の捕集物を燃焼除去する際に、高温にしても溶損し難いので、有炎燃焼により簡単に再生することができるようになる。なお、従来のアルミナやコーディライト等のDPFでは高温にすると溶損の恐れがあり、また、衝撃に弱かったが、金属製フィルタにするとこれらの欠点が無くなる。
【0027】
更に、上記のガス処理装置において、処理対象のガスが100℃以上650℃以下の温度である場合に、前記帯電凝集部でガスを冷却するように構成すると、このガスの冷却により、ガス状のSOF分が凝縮し、鳥もちのような効果を発揮してSoot等の微小粒子を効率よく凝集(凝縮したSOFによる微小粒子の液架橋と考えられる)できるようになる。また、ガス状のSOF分は帯電作用で電気集塵的に捕捉し難いが、ガスの冷却によって部分的にミスト化したSOFは帯電作用でもって集塵電極に引き寄せられ、微小粒子の凝集を促進させる。
【0028】
SOFは多様な成分からなり、その凝縮温度、蒸気圧曲線などを具体的に特定することは難しいが、実験事実として、排気ガス温度が100℃以下では冷却の有無による凝集作用に顕著な差はなく、排気ガス温度が100℃を超えると冷却の有無による凝集作用が顕著になる。SOFの冷却効果にかかわる温度の上限は確認できていないが、帯電凝集部の放電形成が安定に実現できる温度上限が650℃程度であり、実際の排気ガス温度が650℃を超えることが少ないため、実験的に確認できた適用温度範囲の上限は650℃程度である。
【0029】
このガスの冷却とは、帯電凝集部に冷媒を循環させるような冷却装置を設けたり、風を吹き付けて放熱を促進する積極的な冷却のみならず、帯電凝集部を外気に露出した場合等のような、自然対流や熱放射による自然放熱による冷却を含むものであり、積極的な保温対策を行わないことを意味する。
【0030】
また、上記のガス処理装置において、前記帯電凝集部の集塵電極を筒状体の低電圧電極で形成し、コロナ電極を前記筒状体の内部に配置した線状体の高電圧電極で形成すると共に、前記筒状体をガス通路の通路壁を兼ねる共にガスの冷却部として構成する。この構成によれば、筒状体をガスの冷却部とするので、構造が単純化すると共に、冷却面積を大きく取れるので冷却効果を上げ易い。特に、筒状体をガスの通路の外壁とし、この外壁を放熱面とすると外気温度が低い場合や冷たい風が当たる場合等では、自然対流や熱放射による自然放熱によりガスを冷却できるようになる。静電凝集作用は集塵極近傍でおきるため、ガス全体を冷却する必要がなく、集塵極近傍が冷却できれば静電凝集効果が促進されるのである。
【0031】
なお、この筒状体とは、その断面形状は通常は円形に形成されるが、三角形や四角形等を含む多角形形状や楕円形状等も含むものであり、一端部に入口、他端部に出口を有しその間を壁面で囲われて筒となる形状のものをいう。
【0032】
また、上記のガス処理装置において、前記帯電凝集部の集塵電極を筒状体の低電圧電極で形成し、コロナ電極を前記筒状体の内部に配置した線状体の高電圧電極で形成すると共に、前記筒状体の内側表面近傍のガスの流れに対して乱流を促進する乱流促進手段を、前記筒状体の表面又は表面近傍に設けて構成する。
【0033】
この乱流促進手段は、凹凸構造(突起構造)で構成でき、この凹凸構造は、単数又は複数の線状体(丸棒や角棒)を筒状体にスパイラル状にして挿入したり、筒状体の内側表面を溝切りしたり、リング状の凸部を筒状体の軸方向に間隔をおいて内面に設けたり、三次元構造を持つフィンを設けたり、ブラスト処理して乱雑な凹凸を設けたりして形成できる。これらの凹凸は一様に形成されていてもよく、分散配置されていてもよい。
【0034】
更に、筒状体を加工するだけでなく、加工により凹凸を設けた板材や、既に凹凸を有して市販されている面状体や板材を、筒状体に挿入可能に整形して挿入してもよい。この面状体としては、金網、パンチングメタル、エキスパンダメタル等のシート状突起物が有用であり、スリットグリル、ダイヤスクリーン、ディンプルスクリーン(孔無し)、ディンプルスクリーン(孔有り)、スリット出窓スクリーン、ブリッジ出窓スクリーン、三角出窓スクリーン、半円出窓スクリーン等々の打ち抜きスクリーンを使用できる。
【0035】
この乱流促進手段により、流路、特に、筒状体の表面近傍のガスの乱流化を促進して、流路断面方向の攪拌作用を大きくすることができる。そのため、流路空間全体においてガス中の成分の帯電に要する時間の短縮化、帯電粒子の集塵電極の対向面への接触の容易化、ガスの対向面近傍における主流方向流速の低速化に伴う滞留時間の増加を図ることができ、帯電粒子を集塵電極上に効果的に捕捉できるようになり、凝集効果が高まる。つまり、乱流促進手段により、帯電凝集部におけるガス中の帯電効果の向上ならびに凝集作用の促進がはかれ、後段でのフィルタ捕集作用を向上することができる。
【0036】
上記のガス処理装置において、前記帯電凝集部のガス通路壁を筒状体で形成し、低電圧電極となる集塵電極を前記ガス通路壁の表面近傍に配置された導電性の乱流促進手段を有する筒状体で形成すると共に、コロナ電極を前記筒状体の内部に配置した線状体の高電圧電極で形成して構成する。これにより、筒状体を絶縁体にすることもできるようになるので、より設計の自由度を増すことができる。
【0037】
上記のガス処理装置において、前記帯電凝集部を、前記コロナ電極と前記筒状体とを有して構成される帯電凝集ユニットを複数並列に配置して形成すると、多量のガスを効率良く処理することができ、また、筒状体の外壁の表面積を著しく大きくすることができるので、ガスの冷却性能を著しく向上することができる。
【発明の効果】
【0038】
以上に説明したように、本発明のガス処理装置によれば、上流側の帯電凝集部で捕集対象成分を凝集肥大化させてから、下流側のフィルタ部で捕集するので、捕集効率を著しく向上させることができ、しかも、フィルタの目を比較的粗いままとすることができるので、圧力損失を小さくすることができる。
【0039】
そして、フィルタ部の下流側に酸化触媒を設けると、この酸化触媒により、ガス化したまま帯電凝集部とフィルタ部を通過してきたSOF等の成分をこの酸化触媒で酸化して除去することができるので、よりPM等のガス中成分に対する除去効率を向上することができる。
【0040】
また、フィルタ部を、金属製のフィルタで形成すると、PM等の捕集物を燃焼除去する際に、高温にしても溶損し難いので、有炎燃焼により簡単に再生することができる。
【0041】
従って、コロナ放電の原理を用いて、ガス中の浮遊微粒子を効率よく凝集肥大化できて、しかも、圧力損失の小さい目の粗いフィルタを用いることができるので、超微小粒子の除去性能の向上、排気圧力を低く維持することによる燃費の向上、安定した排気圧力によるターボ負荷の軽減等を図ることができ、車両に搭載可能な排気ガス浄化装置としても使用できるような、高性能、低圧力損失でコンパクト化可能なガス処理装置となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
以下、本発明に係る実施の形態のガス処理装置について、ディーゼルエンジンの排気ガスを処理対象ガスとしたガス処理装置を例にして、図面を参照しながら説明する。
【0043】
図1に示すように、このガス処理装置1は、ガス中の捕集対象成分をコロナ放電により帯電させて凝集する帯電凝集部10を上流側に、この凝集させた成分を捕集するフィルタ部20を下流側に備えて構成される。また、更に、フィルタ部20の下流側に酸化触媒30を設けて構成される。
【0044】
つまり、コロナ放電によりPMを粗大化し凝集及び一時的に捕集する帯電凝集部10を前段に、この帯電凝集部10から再飛散する肥大化したPMを捕集するフィルタ部20を中段に、ガス化したままのSOF等の蒸発成分を浄化する酸化触媒30を後段に配置する。
【0045】
この帯電凝集部10は、複数、例えば、8本の帯電凝集ユニット11を並列に配置して構成される。この帯電凝集ユニット11は、図2及び図3に示すように、低電圧電極で形成される集塵電極11aと高電圧電極で形成されるコロナ電極11bとを有して構成される。
【0046】
この集塵電極11aは、例えば、SUS304製等の導電性の材料で、円筒状体等の筒状体に形成され、上流側はガス入口室11cに、下流側はガス出口室11dに接続される。この集塵電極である筒状体11aはガス通路の通路壁を兼ねる。この筒状体11aの断面形状としては特に限定されない。コロナ放電の安定性等を考えると円形が好ましいが、正方形等でもよく、特に、コロナ電極11bを複数設ける場合には、楕円形、三角形、長方形、その他の多角形であってもよい。
【0047】
コロナ電極11bは、電界集中係数の高い電極であればよく、細線電極、角状電極、突起構造付き電極等の線状(ワイヤ状)や棒状等の線状体、例えば、SUS304製の中空ワイヤ等で形成される。そして、筒状体11bの内部、例えば、筒状体の軸心部分等の中央に配置される。また、図4に示すように、筒状体11bの内部に、複数のコロナ電極11bを設けてもよい。
【0048】
この集塵電極11aとコロナ電極11bは互いに碍子等により電気的に絶縁状態にして構成される。この集塵電極11aは電気的に接地(アース)され、接地電位に保たれるが、必要に応じて、別電位に保持される。一方、コロナ電極11bは高圧電源に接続される。この高圧電源で発生し、コロナ電極11bに印加する高電圧は、一般的には、負極性の直流電圧を用いるのが好ましいが、直流、交流、パルス状のいずれであってもよく、また、極性も、負極性でも正極性でもあってもよい。また、電圧は、この筒状体11aとコロナ電極11bとの間を通過するガスG中にコロナ放電を発生できる電圧であればよい。
【0049】
そして、この筒状体11aの通路壁を冷却壁(ガス冷却部)とし、帯電凝集部10でガスGを冷却できるように構成する。つまりこの筒状体11aの外面側を自然空冷又は強制冷却するように構成する。
【0050】
この自然空冷においては、筒状体11aの外面を保温したり、筒状体11aを更に、ガス処理装置1のケース等の別の筒体(図示しない)で密閉せずに、図5に示すように、大気開放状態にしたり、ケースとなる別の筒体を通気孔を設けたものにする等、外気との接触を容易にし、自然対流伝熱が行われ易くする。また、熱放射による冷却効果を促進できるように、周囲の部材の温度を低くしたり、熱伝導による冷却効果を上げるために、低温の熱伝導体と接触させたりする。更に、筒状体11aの外部への放熱を促進する冷却用のフィンを筒状体11aの外面に設けることもできる。この冷却用フィンとしては、例えば、熱交換器等で一般的に用いられている平滑環状フィン、スロットフィン、テントフィン、短冊フィン、ワイヤーループフィン等がある。
【0051】
また、強制冷却においては、図6に示すように、ファン3等により筒状体11aの外面に送風して対流伝熱による強制冷却をしたり、図7に示すように筒状体11aを冷却水等の冷媒Wが通過する二重管構造とし、筒状体11aを冷媒で強制冷却するように構成する。これらの冷却手段に限られず、一般的な冷却手段を適用できる。
【0052】
そして、ガス処理装置1を車両に搭載した場合には、車両の走行により、帯電凝集部10の外気に露出した筒状体11等の部分に強い風が当たるので、自然対流や熱放射による自然放熱によってガスGが冷却される。そのため、特別あるいは能動的な冷却手段を設けなくても、積極的な保温手段を設けなければ、冷却効果を得ることができる。
【0053】
このガス冷却は、処理対象ガスGが100℃以上650℃以下の温度である場合において、特に有効である。SOFは多様な成分からなり、その凝縮温度、蒸気圧曲線などを具体的に特定することが難しいが、実験事実として、排気ガス温度が100℃以下では冷却の有無による凝集作用に顕著な差異はなく、排気ガス温度が100℃を超えると冷却の有無による凝集作用が顕著になる。SOFの冷却効果にかかわる温度の上限は確認できていないが、帯電凝集部の放電形成が安定に実現できる温度上限が650℃程度であり、実際の排気ガス温度が650℃を超えることが少ないため、実験的に確認できた適用温度範囲の上限は650℃程度である。
【0054】
フィルタ部20は、帯電凝集部10から、粗大化して再飛散してくる凝集体を捕集して除去するためのフィルタを有して構成される。そして、ディーゼルエンジンの排気ガスを対象とするこの実施の形態では、ディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF)で構成される。このDPFは、耐熱性に優れたコージェライト、シリコン、カーバイド、アルミナ繊維、シリカ繊維等のセラミック製であってもよし、ステンレス等の金属製のもので形成してもよい。金属製にすれば捕集したPMを燃焼除去する際、溶損し難く、熱衝撃や熱応力にも強いので、有炎燃焼等による再生も可能となる。
【0055】
また、このフィルタ部20は、上流側の帯電凝集部10で捕集対象成分を凝集肥大化させてから下流側で捕集するので、圧力損失の小さい、比較的目の粗いフィルタで形成することができる。そして、このフィルタ部20は、捕集量が増加し目詰まりしてきた時に、捕集物を燃焼除去するために、加熱用のヒータを備える構造としてもよい。なお、白金等の触媒を担持すると捕集したPMを触媒作用により低温で分解できるようになる。
【0056】
酸化触媒30は、セラミックのハニカム構造等の担持体に、白金等の酸化触媒を担持させて形成され、ガス冷却によっても液化しないで、気相状態でフィルタ部20を通過するSOF等の蒸発成分を浄化する。
【0057】
そして、このガス処理装置1においては、次のようにしてガスGを浄化する。
【0058】
最上流側の帯電凝集部10では、ガス入口室11cから各々の帯電凝集ユニット11の筒状体(集塵電極)11aの内部にガスGを通過させる。それと共に、コロナ電極11bと集塵電極11aとの間に高電圧を印加して、集塵電極11aの内部にコロナ放電を形成し、その内部を通過するガスG中のPM等の捕集対象成分を帯電させ、この帯電した粒子を凝集する。
【0059】
この帯電凝集部10では、コロナ放電による帯電を利用して、ガス中のSoot(スート:煤)等の固形成分を帯電させる。それと共に、ガスGが冷却され、この冷却により凝縮したミスト状のSOF(可溶性有機成分)等の液体成分がバインダーの役割を果す。そのため、このガス処理装置1では、冷却により凝縮した液体成分のバインダー機能を利用きるので、繊細なPMの粒子を、より効率良く凝集することができる。
【0060】
この凝集体は、コロナ電極11bと集塵電極11aの間の電場により、クローン力により集塵電極11aに移動し、一時的には集塵電極11aの表面に捕集されるが、集塵電極11aに触れて電荷を失い、また、壁面上で更に粗大化し、その結果、ガスGの流れにより集塵電極11aの表面から剥離し再飛散する。
【0061】
そして、この再飛散してくる凝集体や直接流入する捕集対象成分を、フィルタ部20で捕集するが、再飛散したり、SOFの回りに凝集したりした凝集体は、粗大化及び肥大化しているため、フィルタの目が比較的粗くても効率良く捕集することができる。従って、通常の物理的なフィルタだけで機械的にトラップする場合に比べ、より繊細なPMの粒子を効率良く捕集することができる。
【0062】
また、SootやSOF等を含むPM等の捕集対象成分が蓄積されて目詰まりが進行し、所定の限界値を超えた場合には、フィルタに設けた電気ヒータ(図示しない)によりフィルタを加熱して、フィルタの温度をPMの燃焼温度以上に上昇させてPMを燃焼除去するようにしてもよい。このフィルタの温度上昇は局部的であっても、一旦PMの燃焼が開始されると燃焼熱が発生し燃焼の伝播が起こるので、フィルタ全体のPMを燃焼除去して、フィルタ全体を再生できる。この場合に、フィルタ部20を金属製のフィルタで形成すると、PM等の捕集物を燃焼除去する際に、高温にしても溶損し難いので、有炎燃焼により簡単に再生することができる。
【0063】
また、最下流の酸化触媒30においては、ガス化したまま帯電凝集部10とフィルタ部20を通過してきたSOF等の成分を酸化して除去する。これにより、凝縮しなかったSOF等の蒸発成分も除去できる。
【0064】
従って、上記の構成のガス処理装置1によれば、帯電凝縮部10で、コロナ放電の電気集塵機能に加えて、ガス冷却により凝縮したSOF等の液体成分の接着機能を利用して、ガスG中の浮遊微粒子を効率よく凝集肥大化できる。その結果、フィルタ部20で、圧力損失の小さい目の粗いフィルタを用いることができるので、圧力損失を小さくでき、また、目詰まりまでの間、かなりの長時間連続運転することができる。さらに、酸化触媒30でガス化したままのSOF等の成分を酸化して除去するので、PMの除去能力をより高めることができる。
【0065】
次に、帯電凝集部10の帯電凝集ユニット11の他の実施の形態について説明する。この他の実施の形態では、図8〜図10に示すように、帯電凝集部10の筒状体11aの内側表面近傍のガスGの流れに対して乱流を促進する乱流促進手段11eを筒状体11aの表面又は表面近傍に設ける。この乱流促進手段11eは凹凸構造(突起構造)で構成でき、伝熱特性を向上するための突起構造を参考にすることができる。また、この乱流促進手段11eは筒状体11aの表面を加工して設けてもよく、筒状体11aとは別体の構造物を筒状体11aの表面に当接又は浮かせて配置してもよい。
【0066】
この凹凸構造は、単数又は複数の線状体(丸棒や角棒)を筒状体11aにスパイラル状にして挿入し、筒状体11aの内側表面に巻き付けたり、筒状体11aの内側表面に溝きりにより台形形状の凸部や、格子溝や螺旋溝等の規則正しい凹凸を設けて、内面溝付き管構造とすることもできる。また、リング状の凸部を筒状体11aの内側表面に筒状体11aの軸方向に間隔をおいて形成したり、三次元構造を持つフィンで形成したり、ブラスト処理して乱雑な凹凸を形成したりすることもできる。これらの凹凸は一様に形成されていてもよく、分散配置されていてもよい。
【0067】
更に、筒状体11aを加工するだけでなく、加工により凹凸を設けた板材や、既に凹凸を有して形成されている板材を、筒状体11aに挿入可能に整形して挿入してもよく、既に凹凸を有して市販されているような面状体を筒状体11aを挿入してもよい。この面状体としては、金網やパンチングメタル、エキスパンダメタル等のシート状突起物が有用であり、スリットグリル、ダイヤスクリーン、ディンプルスクリーン(孔無し)、ディンプルスクリーン(孔有り)、スリット出窓スクリーン、ブリッジ出窓スクリーン、三角出窓スクリーン、半円出窓スクリーン等々の打ち抜きスクリーンを使用できる。
【0068】
なお、この凹凸構造の寸法に関しては、筒状体11aの断面の代表長さをD、内側表面の最大表面粗さをεとした時の相対粗さ(ε/D)を、好ましくは、0.01以上、0.1以下とする。この相対粗さ(ε/D)を0.01以上とするのは、好ましい乱流促進効果を得るためであり、0.1以下とするのは、放電の好ましい空間的均一性と安定性を得るためである。
【0069】
この断面の代表長さDと、筒状体11aの対向面の凹凸構造の無次元代表寸法ともいうべき相対粗さ(ε/D)について説明すると、代表長さDは、伝熱工学等で使用されている長さと同じであり、筒状体11aで囲われた流路断面積をS,濡れ縁長さをPとすると、D=4S/Pであり、円管の場合には、Dは円管の直径に相当する。
【0070】
この実施の形態の帯電凝集ユニットにおいては、乱流促進手段11eにより、筒状体11aの表面近傍でガスの流れの乱流を促進するので、流路断面方向の攪拌作用を大きくすることができる。そのため、流路空間全体においてガス中の成分の帯電に要する時間の短縮化、帯電粒子の集塵電極の対向面への接触の容易化、ガスの対向面近傍における主流方向流速の低速化に伴う滞留時間の増加を図ることができ、静電力による帯電粒子の捕捉を一層促進することができる。従って、この乱流促進手段11eにより、帯電凝集部10におけるガスG中の固形成分の帯電効果を向上できるので、集塵効果を向上することができる。
【0071】
次に、帯電凝集部10の帯電凝集ユニット11のもう一つの実施の形態について説明する。この実施の形態では、図11〜図15に示すように、帯電凝集ユニット11のガス通路壁、即ち、帯電凝集部10のガス通路壁を、筒状体11fで形成し、低電圧電極となる集塵電極11aをガス通路壁11fの表面近傍に配置された導電性の筒状体で形成する。また、コロナ電極11bを筒状体11fの内部に配置した線状体の高電圧電極で形成する。この筒状体11fと集塵電極11aは共に導電材料で形成してもよいが、筒状体11fを絶縁材料で形成し、集塵電極11aを導電材料で形成すると、帯電凝集ユニット11の表面が筒状体11fにより電気的に絶縁されるので、漏電等に対する安全性が増す。
【0072】
また、図11〜図14に示すように集塵電極11aの表面又は表面近傍に乱流促進手段11eを設けたり、図15に示すように集塵電極11aを乱流促進手段11eで形成すると、乱流促進手段11eによる効果を得ることができる。
【0073】
この構成では、集塵電極11aを筒状体11fと別体にして形成しているので、集塵電極11aはガス通路壁の機能が不要となる。そのため、集塵電極11aはガス通過性を有してもよくなり、表面積を増加できるので、より凝集肥大化の効果を大きくすることができる。また、筒状体11fを絶縁体で形成すると、帯電凝集ユニット11の表面を電気的に絶縁でき、漏電等に対する安全性を増すことができる。
【0074】
なお、上記の説明ではディーゼルエンジンの排気ガスを処理対象のガスとして説明したが、本発明は、自動車搭載の内燃機関の排気ガスのみならず、各種産業用機械や定置式の内燃機関の排ガスや工場ガス,発電所ガス等のガス処理装置として、又、各種製造工場や医療現場等のガス処理装置として使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明に係るガス処理装置の構成を模式的に示す図である。
【図2】帯電凝集ユニットの側断面図である。
【図3】筒状体の断面形状が円形の帯電凝集ユニットを示す断面図である。
【図4】筒状体の断面形状が端部が円形の偏平体で、コロナ電極が複数ある帯電凝集ユニットを示す断面図である。
【図5】帯電凝集ユニットの自然冷却の様子を模式的に示す断面図である。
【図6】帯電凝集ユニットをファンで強制冷却する様子を模式的に示す断面図である。
【図7】帯電凝集ユニットを二重管構造で強制冷却する様子を模式的に示す図である。
【図8】乱流促進手段を設けた帯電凝集ユニットの側断面図である。
【図9】乱流促進手段を設けた筒状体の断面形状が円形の帯電凝集ユニットを示す断面図である。
【図10】乱流促進手段を設けた筒状体の断面形状が端部が円形の偏平体で、コロナ電極が複数ある帯電凝集ユニットを示す断面図である。
【図11】集塵電極と筒状体を別体で形成した帯電凝集ユニットの側断面図である。
【図12】乱流促進手段を設けた集塵電極とは別体に形成した筒状体の断面形状が円形の帯電凝集ユニットを示す断面図である。
【図13】乱流促進手段を設けた集塵電極とは別体に形成した筒状体の断面形状が端部が円形の偏平体で、コロナ電極が複数ある帯電凝集ユニットを示す断面図である。
【図14】乱流促進手段を設けた集塵電極とは別体に形成した筒状体の断面形状が矩形の帯電凝集ユニットを示す断面図である。
【図15】乱流促進手段を兼ねる集塵電極とは別体に形成した筒状体の断面形状が長方形で、コロナ電極が複数ある帯電凝集ユニットを示す断面図である。
【符号の説明】
【0076】
1 ガス処理装置
10 帯電凝集部
11 帯電凝集ユニット
11a 集塵電極
11b コロナ電極
11e 乱流促進手段
11f 筒状体
【技術分野】
【0001】
本発明は、工場ガス、発電所ガス、自動車ガス等の排ガスや、各種製造工場や医療現場等のガスを、コロナ放電を利用して浄化するガス処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
工場ガス,発電所ガス、自動車ガス等の排ガス処理装置として、又、各種製造工場や医療現場等のガス処理装置として、静電凝集装置や静電集塵装置等が使用されている。これらのガス処理装置では、コロナ電極と集塵電極の間に高電圧を印加してガス中にコロナ放電を発生させ、このコロナ放電によりガス中の浮遊微粒子を帯電し、この帯電した粒子を静電気力で集塵電極に引き寄せて捕捉したりしている。
【0003】
このようなガス処理装置の一つの例としては、工場排煙中の白煙及び霧状の微量汚染物質の除去を目的として、金属円管中に張った金属細線で形成される高圧放電線(コロナ電極)に高電圧を印加し、工場排煙等の浮遊微粒子を円筒電極に静電吸着して除去する円筒形電気集塵装置がある(例えば,特許文献1参照。)。
【0004】
また、導電性の柱からなる第1電極とこの第1電極を包囲する導電性の第2電極を有するコロナ放電部を筒状で形成し、これらの筒状の放電部を複数個設けた排気ガス浄化装置も提案されている(例えば、特許文献2及び特許文献3参照。)。
【0005】
更に、筒状の外部電極と筒状の軸心方向に延びる内部電極とからなるユニットを複数個並列に配置すると共に、これらのユニットをケーシングに納めたプラズマ式排気浄化装置も提案されている(例えば、特許文献4及び特許文献5参照。)。
【0006】
これらの放電を利用した静電集塵装置では、処理対象ガスを筒状体に通し、この筒状体で形成された集塵電極又は筒状体とは別に設けた筒状の集塵電極の略中央(軸中心)にコロナ電極を配置して、コロナ電極と集塵電極との間に高電圧を印加することによって、ガス中にコロナ放電を発生させ、ガス中の浮遊微粒子を帯電させる。
【0007】
この帯電した粒子を、コロナ電極と集塵電極との間に形成された電界によって静電気力で集塵電極表面に移動させて、集塵電極表面で捕捉する。この捕捉された粒子は、電気集塵装置等と同様な振るい落とし等により集塵電極から離脱させて集められたり、集塵電極に隣接して設けられたヒータ等の加熱により燃焼除去される。
【0008】
しかしながら、これらの静電集塵装置を単独で用いた場合には、静電集塵により、集塵電極の表面で捕捉された粒子間に結合が生じて、微粒子が大きくなるが、この捕捉粒子はガス流の影響により、集塵電極の表面から剥離して再飛散を起こすという問題がある。この再飛散粒子は、ガス処理装置内で帯電、捕捉、剥離を繰り返しながら、その粒径を徐々に大きくしていくが、最終的には再飛散により静電集塵装置から排出されてしまう。
【0009】
そのため、静電集塵装置の集塵電極を加熱して捕集したPMを燃焼除去することが考えられ、内燃機関等の排気ガス中の粒状固形物を除去するために、電気集塵フィルタの集塵電極の表面に電気伝導性金属酸化物を主成分とする触媒をコーティングした触媒層を設けて、集塵電極に捕集された粒状固形物を比較的低温で酸化燃焼させる排気ガス浄化装置も提案されている(例えば、特許文献6参照。)。
【0010】
集塵電極上にヒータを配置すると、放電空間内のガスならびに電極が加熱されることになり、放電の不安定性を引き起こす恐れがある。また、触媒層はガス状成分の酸化燃焼には有効であるが、粒状固形物、特にディーゼル排気ガス中のSoot(スート:煤)分の酸化燃焼には必ずしも有効に機能せず、特に静電集塵の電極面程度の表面積では実用上十分な効果を得られないという問題があった。さらに、これらの技術は年々強化されつつある排気ガス規制に十分対応できるまでの微粒子除去性能を得ることができないという問題があった。
【0011】
また、自動車に搭載したディーゼルエンジン等の排気ガスを対象とする場合には、固体化した成分だけでなく、ガス化した成分が含まれており、このガス化した成分も除去する必要がある。つまり、排気ガス中に含まれているPM(Particulate Matter:パティキュレート・マター:粒子状物質)が処理対象成分となるが、このPMには、特に燃焼が難しいと言われるSootと、高温では蒸気となっているSOF(Soluble Organic Fraction:可溶性有機成分)が含まれている。このSootは、炭素を主成分とするエンジンの排出物質であり、SOFは、燃料やオイルの燃え残りが原因で発生する、ベンゼン,トルエン等の有機溶剤に溶ける成分であり、酸化触媒表面で燃焼できる。
【0012】
この固形成分とガス化した成分を除去する装置として、上流側に、バグフィルタ等の集塵手段を、下流側にプラズマ発生手段をそれぞれ設け、ガス中の煤塵などの塵埃をバグフィルタ等で集塵し、塵埃が除去されたガス中の臭気成分及び有害成分を分解除去する浄化装置も提案されている(例えば、特許文献7参照。)。
【0013】
しかし、この固形成分をバグフィルタで集塵する場合には、微小粒子の捕集率を上げるために目が細かいフィルタが必要になるが、この目の細かいフィルタは圧力損失が大きくなるという問題がある。
【0014】
一方、本発明者らは、SOFに関して実験等により次のような知見を得た。
【0015】
排気ガス中のガス化したSOFは、冷却して凝縮して液化させると粘着性を持つミストとなり、このミスト状のSOFは、鳥もちの原理により超微小粒子を捕捉して凝集肥大化することができる。そして、超微小粒子の捕集に際して、このSOFの凝集肥大化機能を利用するためには、フィルタ等の集塵装置は電気凝集装置の下流側に設けることが有効であり、また、この集塵装置と組み合せた場合に、電気凝集装置において排気ガスを冷却してSOFを液化すると、著しく捕集効率が向上することが分かった。
【0016】
また、この下流側にフィルタを配置した構成では、排気ガス中の超微小粒子が、静電作用と液化したSOFの粘着機能との相乗効果により凝集肥大化し、電気凝集装置から、排出される粒子の粒径が大きくなるため、目の粗いフィルタでもこれらの粒子を容易に捕捉することができることが分かった。
【0017】
更に、ガス化状態のSOFは酸化触媒で酸化でき、この酸化触媒は温度が高いほど触媒活性が高いため、また、電気凝集装置は、ガス温度が500℃を超えると安定なコロナ放電の形成が難しくなり、650℃を超えると十分な電力投入が特に難しくなる等、高温域では、電気集塵作用が低下するため、通常はガスの温度が高い排気管の前方に酸化触媒を設置し、ガスの温度が低下する排気管後方に電気集塵装置を設置することが考えられるが、酸化触媒を電気凝集装置よりも、上流側に配設した場合には、SOFが酸化触媒で酸化されてしまうため、電気凝集装置における超微小粒子の捕捉効果が無くなってしまい、捕集効率が上がらなくなることも分かった。
【0018】
その上、酸化触媒にSOFとSoot等からなる凝集体が流入すると、触媒表面が酸化燃焼し難いSootで覆われ、触媒表面でのSOFの酸化燃焼効果が弱まってしまうので、この凝集体を捕捉して燃焼除去する粗い目のメタルフィルタを酸化触媒の上流側に設けることが必要で、結局は、上流側から電気凝集装置、フィルタ、酸化触媒の順に配置することがもっとも効果的に排気ガスを浄化できることが分かった。
【特許文献1】実用新案登録第3019526号公報
【特許文献2】特開平5−125928号公報
【特許文献3】特許第2849880号公報
【特許文献4】特開2002−30920号公報
【特許文献5】特開2002−30921号公報
【特許文献6】特開2000−213331号公報
【特許文献7】特開平11−128660号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本発明は、上記の知見を得て上述の問題を解決するためになされたものであり、その目的は、コロナ放電による凝集機能及び集塵機能とフィルタの集塵機能を用いて、ガス中の超微小粒子を凝集肥大化できて、しかも、車両搭載可能な排気ガス浄化装置としても使用できるような、高性能、低圧力損失でコンパクト化可能なガス処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
以上のような目的を達成するためのガス処理装置は、ガス中の捕集対象成分をコロナ放電により帯電させて凝集する帯電凝集部と、該凝集させた成分を捕集するフィルタ部とを備えたガス処理装置であって、前記帯電凝集部を上流側に、前記フィルタ部を下流側に配設して構成する。
【0021】
この構成によれば、上流側の帯電凝集部で捕集対象成分を凝集して粗大化及び肥大化させてから、下流側のフィルタ部で捕集するので、捕集効率が向上すると共に、後段のフィルタの目を比較的粗いものとすることができるので、圧力損失を小さくすることができる。
【0022】
つまり、上流側の帯電凝集部で、コロナ放電による帯電を利用して、ガス中のSoot(スート:煤)等の固形成分を帯電させると共に、ガス中のSOF(可溶性有機成分)等の液体成分をバインダーとして、効率良く電気的に捕集対象成分を凝集させることができる。この凝集体は、一時的には帯電凝集部の集塵電極の表面に捕集されるが、壁面上で粗大化し、ガスの流れにより集塵電極の表面から剥離し再飛散するので、この最飛散した凝集体を下流側のフィルタ部で捕集する。
【0023】
この下流側のフィルタ部では、流入する捕集対象成分は帯電凝集部により粗大化及び肥大化しているため、フィルタの目が比較的粗くても効率良く捕集することができる。そのため、フィルタ部を比較的目が粗く圧力損失の少ないフィルタで形成することができる。従って、比較的目の粗いが耐熱性に優れた金属フィルタ等も使用できるようになる。
【0024】
なお、ディーゼルエンジンの排気ガスを処理対象ガスとする場合には、この後段のフィルタでは、SootやSOF等を含むPMの捕集量が所定の限界値を超えた場合に、フィルタ温度を上昇させて燃焼除去するように構成されるが、金属フィルタを用いると耐熱性に優れているので有炎燃焼で溶損を心配することなく除去できるようになる。
【0025】
そして、上記のガス処理装置において、前記フィルタ部の下流側に酸化触媒を設けて構成すると、この酸化触媒により、ガス化したまま帯電凝集部とフィルタ部を通過してきたSOF等の蒸発成分をこの酸化触媒で酸化して除去することができる。なお、この酸化触媒を帯電凝集部やフィルタ部の上流側に配置した場合には、ガス化したSOF等の成分をこの酸化触媒で酸化してしまうため、SOF等をSootを凝集させるために使用することができなくなり、フィルタ部の捕集効率の向上に寄与させることができなくなる。
【0026】
また、上記のガス処理装置において、前記フィルタ部を、金属製のフィルタで形成すると、PM等の捕集物を燃焼除去する際に、高温にしても溶損し難いので、有炎燃焼により簡単に再生することができるようになる。なお、従来のアルミナやコーディライト等のDPFでは高温にすると溶損の恐れがあり、また、衝撃に弱かったが、金属製フィルタにするとこれらの欠点が無くなる。
【0027】
更に、上記のガス処理装置において、処理対象のガスが100℃以上650℃以下の温度である場合に、前記帯電凝集部でガスを冷却するように構成すると、このガスの冷却により、ガス状のSOF分が凝縮し、鳥もちのような効果を発揮してSoot等の微小粒子を効率よく凝集(凝縮したSOFによる微小粒子の液架橋と考えられる)できるようになる。また、ガス状のSOF分は帯電作用で電気集塵的に捕捉し難いが、ガスの冷却によって部分的にミスト化したSOFは帯電作用でもって集塵電極に引き寄せられ、微小粒子の凝集を促進させる。
【0028】
SOFは多様な成分からなり、その凝縮温度、蒸気圧曲線などを具体的に特定することは難しいが、実験事実として、排気ガス温度が100℃以下では冷却の有無による凝集作用に顕著な差はなく、排気ガス温度が100℃を超えると冷却の有無による凝集作用が顕著になる。SOFの冷却効果にかかわる温度の上限は確認できていないが、帯電凝集部の放電形成が安定に実現できる温度上限が650℃程度であり、実際の排気ガス温度が650℃を超えることが少ないため、実験的に確認できた適用温度範囲の上限は650℃程度である。
【0029】
このガスの冷却とは、帯電凝集部に冷媒を循環させるような冷却装置を設けたり、風を吹き付けて放熱を促進する積極的な冷却のみならず、帯電凝集部を外気に露出した場合等のような、自然対流や熱放射による自然放熱による冷却を含むものであり、積極的な保温対策を行わないことを意味する。
【0030】
また、上記のガス処理装置において、前記帯電凝集部の集塵電極を筒状体の低電圧電極で形成し、コロナ電極を前記筒状体の内部に配置した線状体の高電圧電極で形成すると共に、前記筒状体をガス通路の通路壁を兼ねる共にガスの冷却部として構成する。この構成によれば、筒状体をガスの冷却部とするので、構造が単純化すると共に、冷却面積を大きく取れるので冷却効果を上げ易い。特に、筒状体をガスの通路の外壁とし、この外壁を放熱面とすると外気温度が低い場合や冷たい風が当たる場合等では、自然対流や熱放射による自然放熱によりガスを冷却できるようになる。静電凝集作用は集塵極近傍でおきるため、ガス全体を冷却する必要がなく、集塵極近傍が冷却できれば静電凝集効果が促進されるのである。
【0031】
なお、この筒状体とは、その断面形状は通常は円形に形成されるが、三角形や四角形等を含む多角形形状や楕円形状等も含むものであり、一端部に入口、他端部に出口を有しその間を壁面で囲われて筒となる形状のものをいう。
【0032】
また、上記のガス処理装置において、前記帯電凝集部の集塵電極を筒状体の低電圧電極で形成し、コロナ電極を前記筒状体の内部に配置した線状体の高電圧電極で形成すると共に、前記筒状体の内側表面近傍のガスの流れに対して乱流を促進する乱流促進手段を、前記筒状体の表面又は表面近傍に設けて構成する。
【0033】
この乱流促進手段は、凹凸構造(突起構造)で構成でき、この凹凸構造は、単数又は複数の線状体(丸棒や角棒)を筒状体にスパイラル状にして挿入したり、筒状体の内側表面を溝切りしたり、リング状の凸部を筒状体の軸方向に間隔をおいて内面に設けたり、三次元構造を持つフィンを設けたり、ブラスト処理して乱雑な凹凸を設けたりして形成できる。これらの凹凸は一様に形成されていてもよく、分散配置されていてもよい。
【0034】
更に、筒状体を加工するだけでなく、加工により凹凸を設けた板材や、既に凹凸を有して市販されている面状体や板材を、筒状体に挿入可能に整形して挿入してもよい。この面状体としては、金網、パンチングメタル、エキスパンダメタル等のシート状突起物が有用であり、スリットグリル、ダイヤスクリーン、ディンプルスクリーン(孔無し)、ディンプルスクリーン(孔有り)、スリット出窓スクリーン、ブリッジ出窓スクリーン、三角出窓スクリーン、半円出窓スクリーン等々の打ち抜きスクリーンを使用できる。
【0035】
この乱流促進手段により、流路、特に、筒状体の表面近傍のガスの乱流化を促進して、流路断面方向の攪拌作用を大きくすることができる。そのため、流路空間全体においてガス中の成分の帯電に要する時間の短縮化、帯電粒子の集塵電極の対向面への接触の容易化、ガスの対向面近傍における主流方向流速の低速化に伴う滞留時間の増加を図ることができ、帯電粒子を集塵電極上に効果的に捕捉できるようになり、凝集効果が高まる。つまり、乱流促進手段により、帯電凝集部におけるガス中の帯電効果の向上ならびに凝集作用の促進がはかれ、後段でのフィルタ捕集作用を向上することができる。
【0036】
上記のガス処理装置において、前記帯電凝集部のガス通路壁を筒状体で形成し、低電圧電極となる集塵電極を前記ガス通路壁の表面近傍に配置された導電性の乱流促進手段を有する筒状体で形成すると共に、コロナ電極を前記筒状体の内部に配置した線状体の高電圧電極で形成して構成する。これにより、筒状体を絶縁体にすることもできるようになるので、より設計の自由度を増すことができる。
【0037】
上記のガス処理装置において、前記帯電凝集部を、前記コロナ電極と前記筒状体とを有して構成される帯電凝集ユニットを複数並列に配置して形成すると、多量のガスを効率良く処理することができ、また、筒状体の外壁の表面積を著しく大きくすることができるので、ガスの冷却性能を著しく向上することができる。
【発明の効果】
【0038】
以上に説明したように、本発明のガス処理装置によれば、上流側の帯電凝集部で捕集対象成分を凝集肥大化させてから、下流側のフィルタ部で捕集するので、捕集効率を著しく向上させることができ、しかも、フィルタの目を比較的粗いままとすることができるので、圧力損失を小さくすることができる。
【0039】
そして、フィルタ部の下流側に酸化触媒を設けると、この酸化触媒により、ガス化したまま帯電凝集部とフィルタ部を通過してきたSOF等の成分をこの酸化触媒で酸化して除去することができるので、よりPM等のガス中成分に対する除去効率を向上することができる。
【0040】
また、フィルタ部を、金属製のフィルタで形成すると、PM等の捕集物を燃焼除去する際に、高温にしても溶損し難いので、有炎燃焼により簡単に再生することができる。
【0041】
従って、コロナ放電の原理を用いて、ガス中の浮遊微粒子を効率よく凝集肥大化できて、しかも、圧力損失の小さい目の粗いフィルタを用いることができるので、超微小粒子の除去性能の向上、排気圧力を低く維持することによる燃費の向上、安定した排気圧力によるターボ負荷の軽減等を図ることができ、車両に搭載可能な排気ガス浄化装置としても使用できるような、高性能、低圧力損失でコンパクト化可能なガス処理装置となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
以下、本発明に係る実施の形態のガス処理装置について、ディーゼルエンジンの排気ガスを処理対象ガスとしたガス処理装置を例にして、図面を参照しながら説明する。
【0043】
図1に示すように、このガス処理装置1は、ガス中の捕集対象成分をコロナ放電により帯電させて凝集する帯電凝集部10を上流側に、この凝集させた成分を捕集するフィルタ部20を下流側に備えて構成される。また、更に、フィルタ部20の下流側に酸化触媒30を設けて構成される。
【0044】
つまり、コロナ放電によりPMを粗大化し凝集及び一時的に捕集する帯電凝集部10を前段に、この帯電凝集部10から再飛散する肥大化したPMを捕集するフィルタ部20を中段に、ガス化したままのSOF等の蒸発成分を浄化する酸化触媒30を後段に配置する。
【0045】
この帯電凝集部10は、複数、例えば、8本の帯電凝集ユニット11を並列に配置して構成される。この帯電凝集ユニット11は、図2及び図3に示すように、低電圧電極で形成される集塵電極11aと高電圧電極で形成されるコロナ電極11bとを有して構成される。
【0046】
この集塵電極11aは、例えば、SUS304製等の導電性の材料で、円筒状体等の筒状体に形成され、上流側はガス入口室11cに、下流側はガス出口室11dに接続される。この集塵電極である筒状体11aはガス通路の通路壁を兼ねる。この筒状体11aの断面形状としては特に限定されない。コロナ放電の安定性等を考えると円形が好ましいが、正方形等でもよく、特に、コロナ電極11bを複数設ける場合には、楕円形、三角形、長方形、その他の多角形であってもよい。
【0047】
コロナ電極11bは、電界集中係数の高い電極であればよく、細線電極、角状電極、突起構造付き電極等の線状(ワイヤ状)や棒状等の線状体、例えば、SUS304製の中空ワイヤ等で形成される。そして、筒状体11bの内部、例えば、筒状体の軸心部分等の中央に配置される。また、図4に示すように、筒状体11bの内部に、複数のコロナ電極11bを設けてもよい。
【0048】
この集塵電極11aとコロナ電極11bは互いに碍子等により電気的に絶縁状態にして構成される。この集塵電極11aは電気的に接地(アース)され、接地電位に保たれるが、必要に応じて、別電位に保持される。一方、コロナ電極11bは高圧電源に接続される。この高圧電源で発生し、コロナ電極11bに印加する高電圧は、一般的には、負極性の直流電圧を用いるのが好ましいが、直流、交流、パルス状のいずれであってもよく、また、極性も、負極性でも正極性でもあってもよい。また、電圧は、この筒状体11aとコロナ電極11bとの間を通過するガスG中にコロナ放電を発生できる電圧であればよい。
【0049】
そして、この筒状体11aの通路壁を冷却壁(ガス冷却部)とし、帯電凝集部10でガスGを冷却できるように構成する。つまりこの筒状体11aの外面側を自然空冷又は強制冷却するように構成する。
【0050】
この自然空冷においては、筒状体11aの外面を保温したり、筒状体11aを更に、ガス処理装置1のケース等の別の筒体(図示しない)で密閉せずに、図5に示すように、大気開放状態にしたり、ケースとなる別の筒体を通気孔を設けたものにする等、外気との接触を容易にし、自然対流伝熱が行われ易くする。また、熱放射による冷却効果を促進できるように、周囲の部材の温度を低くしたり、熱伝導による冷却効果を上げるために、低温の熱伝導体と接触させたりする。更に、筒状体11aの外部への放熱を促進する冷却用のフィンを筒状体11aの外面に設けることもできる。この冷却用フィンとしては、例えば、熱交換器等で一般的に用いられている平滑環状フィン、スロットフィン、テントフィン、短冊フィン、ワイヤーループフィン等がある。
【0051】
また、強制冷却においては、図6に示すように、ファン3等により筒状体11aの外面に送風して対流伝熱による強制冷却をしたり、図7に示すように筒状体11aを冷却水等の冷媒Wが通過する二重管構造とし、筒状体11aを冷媒で強制冷却するように構成する。これらの冷却手段に限られず、一般的な冷却手段を適用できる。
【0052】
そして、ガス処理装置1を車両に搭載した場合には、車両の走行により、帯電凝集部10の外気に露出した筒状体11等の部分に強い風が当たるので、自然対流や熱放射による自然放熱によってガスGが冷却される。そのため、特別あるいは能動的な冷却手段を設けなくても、積極的な保温手段を設けなければ、冷却効果を得ることができる。
【0053】
このガス冷却は、処理対象ガスGが100℃以上650℃以下の温度である場合において、特に有効である。SOFは多様な成分からなり、その凝縮温度、蒸気圧曲線などを具体的に特定することが難しいが、実験事実として、排気ガス温度が100℃以下では冷却の有無による凝集作用に顕著な差異はなく、排気ガス温度が100℃を超えると冷却の有無による凝集作用が顕著になる。SOFの冷却効果にかかわる温度の上限は確認できていないが、帯電凝集部の放電形成が安定に実現できる温度上限が650℃程度であり、実際の排気ガス温度が650℃を超えることが少ないため、実験的に確認できた適用温度範囲の上限は650℃程度である。
【0054】
フィルタ部20は、帯電凝集部10から、粗大化して再飛散してくる凝集体を捕集して除去するためのフィルタを有して構成される。そして、ディーゼルエンジンの排気ガスを対象とするこの実施の形態では、ディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF)で構成される。このDPFは、耐熱性に優れたコージェライト、シリコン、カーバイド、アルミナ繊維、シリカ繊維等のセラミック製であってもよし、ステンレス等の金属製のもので形成してもよい。金属製にすれば捕集したPMを燃焼除去する際、溶損し難く、熱衝撃や熱応力にも強いので、有炎燃焼等による再生も可能となる。
【0055】
また、このフィルタ部20は、上流側の帯電凝集部10で捕集対象成分を凝集肥大化させてから下流側で捕集するので、圧力損失の小さい、比較的目の粗いフィルタで形成することができる。そして、このフィルタ部20は、捕集量が増加し目詰まりしてきた時に、捕集物を燃焼除去するために、加熱用のヒータを備える構造としてもよい。なお、白金等の触媒を担持すると捕集したPMを触媒作用により低温で分解できるようになる。
【0056】
酸化触媒30は、セラミックのハニカム構造等の担持体に、白金等の酸化触媒を担持させて形成され、ガス冷却によっても液化しないで、気相状態でフィルタ部20を通過するSOF等の蒸発成分を浄化する。
【0057】
そして、このガス処理装置1においては、次のようにしてガスGを浄化する。
【0058】
最上流側の帯電凝集部10では、ガス入口室11cから各々の帯電凝集ユニット11の筒状体(集塵電極)11aの内部にガスGを通過させる。それと共に、コロナ電極11bと集塵電極11aとの間に高電圧を印加して、集塵電極11aの内部にコロナ放電を形成し、その内部を通過するガスG中のPM等の捕集対象成分を帯電させ、この帯電した粒子を凝集する。
【0059】
この帯電凝集部10では、コロナ放電による帯電を利用して、ガス中のSoot(スート:煤)等の固形成分を帯電させる。それと共に、ガスGが冷却され、この冷却により凝縮したミスト状のSOF(可溶性有機成分)等の液体成分がバインダーの役割を果す。そのため、このガス処理装置1では、冷却により凝縮した液体成分のバインダー機能を利用きるので、繊細なPMの粒子を、より効率良く凝集することができる。
【0060】
この凝集体は、コロナ電極11bと集塵電極11aの間の電場により、クローン力により集塵電極11aに移動し、一時的には集塵電極11aの表面に捕集されるが、集塵電極11aに触れて電荷を失い、また、壁面上で更に粗大化し、その結果、ガスGの流れにより集塵電極11aの表面から剥離し再飛散する。
【0061】
そして、この再飛散してくる凝集体や直接流入する捕集対象成分を、フィルタ部20で捕集するが、再飛散したり、SOFの回りに凝集したりした凝集体は、粗大化及び肥大化しているため、フィルタの目が比較的粗くても効率良く捕集することができる。従って、通常の物理的なフィルタだけで機械的にトラップする場合に比べ、より繊細なPMの粒子を効率良く捕集することができる。
【0062】
また、SootやSOF等を含むPM等の捕集対象成分が蓄積されて目詰まりが進行し、所定の限界値を超えた場合には、フィルタに設けた電気ヒータ(図示しない)によりフィルタを加熱して、フィルタの温度をPMの燃焼温度以上に上昇させてPMを燃焼除去するようにしてもよい。このフィルタの温度上昇は局部的であっても、一旦PMの燃焼が開始されると燃焼熱が発生し燃焼の伝播が起こるので、フィルタ全体のPMを燃焼除去して、フィルタ全体を再生できる。この場合に、フィルタ部20を金属製のフィルタで形成すると、PM等の捕集物を燃焼除去する際に、高温にしても溶損し難いので、有炎燃焼により簡単に再生することができる。
【0063】
また、最下流の酸化触媒30においては、ガス化したまま帯電凝集部10とフィルタ部20を通過してきたSOF等の成分を酸化して除去する。これにより、凝縮しなかったSOF等の蒸発成分も除去できる。
【0064】
従って、上記の構成のガス処理装置1によれば、帯電凝縮部10で、コロナ放電の電気集塵機能に加えて、ガス冷却により凝縮したSOF等の液体成分の接着機能を利用して、ガスG中の浮遊微粒子を効率よく凝集肥大化できる。その結果、フィルタ部20で、圧力損失の小さい目の粗いフィルタを用いることができるので、圧力損失を小さくでき、また、目詰まりまでの間、かなりの長時間連続運転することができる。さらに、酸化触媒30でガス化したままのSOF等の成分を酸化して除去するので、PMの除去能力をより高めることができる。
【0065】
次に、帯電凝集部10の帯電凝集ユニット11の他の実施の形態について説明する。この他の実施の形態では、図8〜図10に示すように、帯電凝集部10の筒状体11aの内側表面近傍のガスGの流れに対して乱流を促進する乱流促進手段11eを筒状体11aの表面又は表面近傍に設ける。この乱流促進手段11eは凹凸構造(突起構造)で構成でき、伝熱特性を向上するための突起構造を参考にすることができる。また、この乱流促進手段11eは筒状体11aの表面を加工して設けてもよく、筒状体11aとは別体の構造物を筒状体11aの表面に当接又は浮かせて配置してもよい。
【0066】
この凹凸構造は、単数又は複数の線状体(丸棒や角棒)を筒状体11aにスパイラル状にして挿入し、筒状体11aの内側表面に巻き付けたり、筒状体11aの内側表面に溝きりにより台形形状の凸部や、格子溝や螺旋溝等の規則正しい凹凸を設けて、内面溝付き管構造とすることもできる。また、リング状の凸部を筒状体11aの内側表面に筒状体11aの軸方向に間隔をおいて形成したり、三次元構造を持つフィンで形成したり、ブラスト処理して乱雑な凹凸を形成したりすることもできる。これらの凹凸は一様に形成されていてもよく、分散配置されていてもよい。
【0067】
更に、筒状体11aを加工するだけでなく、加工により凹凸を設けた板材や、既に凹凸を有して形成されている板材を、筒状体11aに挿入可能に整形して挿入してもよく、既に凹凸を有して市販されているような面状体を筒状体11aを挿入してもよい。この面状体としては、金網やパンチングメタル、エキスパンダメタル等のシート状突起物が有用であり、スリットグリル、ダイヤスクリーン、ディンプルスクリーン(孔無し)、ディンプルスクリーン(孔有り)、スリット出窓スクリーン、ブリッジ出窓スクリーン、三角出窓スクリーン、半円出窓スクリーン等々の打ち抜きスクリーンを使用できる。
【0068】
なお、この凹凸構造の寸法に関しては、筒状体11aの断面の代表長さをD、内側表面の最大表面粗さをεとした時の相対粗さ(ε/D)を、好ましくは、0.01以上、0.1以下とする。この相対粗さ(ε/D)を0.01以上とするのは、好ましい乱流促進効果を得るためであり、0.1以下とするのは、放電の好ましい空間的均一性と安定性を得るためである。
【0069】
この断面の代表長さDと、筒状体11aの対向面の凹凸構造の無次元代表寸法ともいうべき相対粗さ(ε/D)について説明すると、代表長さDは、伝熱工学等で使用されている長さと同じであり、筒状体11aで囲われた流路断面積をS,濡れ縁長さをPとすると、D=4S/Pであり、円管の場合には、Dは円管の直径に相当する。
【0070】
この実施の形態の帯電凝集ユニットにおいては、乱流促進手段11eにより、筒状体11aの表面近傍でガスの流れの乱流を促進するので、流路断面方向の攪拌作用を大きくすることができる。そのため、流路空間全体においてガス中の成分の帯電に要する時間の短縮化、帯電粒子の集塵電極の対向面への接触の容易化、ガスの対向面近傍における主流方向流速の低速化に伴う滞留時間の増加を図ることができ、静電力による帯電粒子の捕捉を一層促進することができる。従って、この乱流促進手段11eにより、帯電凝集部10におけるガスG中の固形成分の帯電効果を向上できるので、集塵効果を向上することができる。
【0071】
次に、帯電凝集部10の帯電凝集ユニット11のもう一つの実施の形態について説明する。この実施の形態では、図11〜図15に示すように、帯電凝集ユニット11のガス通路壁、即ち、帯電凝集部10のガス通路壁を、筒状体11fで形成し、低電圧電極となる集塵電極11aをガス通路壁11fの表面近傍に配置された導電性の筒状体で形成する。また、コロナ電極11bを筒状体11fの内部に配置した線状体の高電圧電極で形成する。この筒状体11fと集塵電極11aは共に導電材料で形成してもよいが、筒状体11fを絶縁材料で形成し、集塵電極11aを導電材料で形成すると、帯電凝集ユニット11の表面が筒状体11fにより電気的に絶縁されるので、漏電等に対する安全性が増す。
【0072】
また、図11〜図14に示すように集塵電極11aの表面又は表面近傍に乱流促進手段11eを設けたり、図15に示すように集塵電極11aを乱流促進手段11eで形成すると、乱流促進手段11eによる効果を得ることができる。
【0073】
この構成では、集塵電極11aを筒状体11fと別体にして形成しているので、集塵電極11aはガス通路壁の機能が不要となる。そのため、集塵電極11aはガス通過性を有してもよくなり、表面積を増加できるので、より凝集肥大化の効果を大きくすることができる。また、筒状体11fを絶縁体で形成すると、帯電凝集ユニット11の表面を電気的に絶縁でき、漏電等に対する安全性を増すことができる。
【0074】
なお、上記の説明ではディーゼルエンジンの排気ガスを処理対象のガスとして説明したが、本発明は、自動車搭載の内燃機関の排気ガスのみならず、各種産業用機械や定置式の内燃機関の排ガスや工場ガス,発電所ガス等のガス処理装置として、又、各種製造工場や医療現場等のガス処理装置として使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明に係るガス処理装置の構成を模式的に示す図である。
【図2】帯電凝集ユニットの側断面図である。
【図3】筒状体の断面形状が円形の帯電凝集ユニットを示す断面図である。
【図4】筒状体の断面形状が端部が円形の偏平体で、コロナ電極が複数ある帯電凝集ユニットを示す断面図である。
【図5】帯電凝集ユニットの自然冷却の様子を模式的に示す断面図である。
【図6】帯電凝集ユニットをファンで強制冷却する様子を模式的に示す断面図である。
【図7】帯電凝集ユニットを二重管構造で強制冷却する様子を模式的に示す図である。
【図8】乱流促進手段を設けた帯電凝集ユニットの側断面図である。
【図9】乱流促進手段を設けた筒状体の断面形状が円形の帯電凝集ユニットを示す断面図である。
【図10】乱流促進手段を設けた筒状体の断面形状が端部が円形の偏平体で、コロナ電極が複数ある帯電凝集ユニットを示す断面図である。
【図11】集塵電極と筒状体を別体で形成した帯電凝集ユニットの側断面図である。
【図12】乱流促進手段を設けた集塵電極とは別体に形成した筒状体の断面形状が円形の帯電凝集ユニットを示す断面図である。
【図13】乱流促進手段を設けた集塵電極とは別体に形成した筒状体の断面形状が端部が円形の偏平体で、コロナ電極が複数ある帯電凝集ユニットを示す断面図である。
【図14】乱流促進手段を設けた集塵電極とは別体に形成した筒状体の断面形状が矩形の帯電凝集ユニットを示す断面図である。
【図15】乱流促進手段を兼ねる集塵電極とは別体に形成した筒状体の断面形状が長方形で、コロナ電極が複数ある帯電凝集ユニットを示す断面図である。
【符号の説明】
【0076】
1 ガス処理装置
10 帯電凝集部
11 帯電凝集ユニット
11a 集塵電極
11b コロナ電極
11e 乱流促進手段
11f 筒状体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス中の捕集対象成分をコロナ放電により帯電させて凝集する帯電凝集部と、該凝集させた成分を捕集するフィルタ部とを備えたガス処理装置であって、前記帯電凝集部を上流側に、前記フィルタ部を下流側に配設したことを特徴とするガス処理装置。
【請求項2】
前記フィルタ部の下流側に酸化触媒を設けたことを特徴とする請求項1記載のガス処理装置。
【請求項3】
前記フィルタ部を、金属製のフィルタで形成したことを特徴とする請求項1又は2に記載のガス処理装置。
【請求項4】
処理対象のガスが100℃以上650℃以下の温度である場合に、前記帯電凝集部でガスを冷却するように構成したことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のガス処理装置。
【請求項5】
前記帯電凝集部の集塵電極を筒状体の低電圧電極で形成し、コロナ電極を前記筒状体の内部に配置した線状体の高電圧電極で形成すると共に、前記筒状体をガス通路の通路壁を兼ねる共にガスの冷却部として構成したことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のガス処理装置。
【請求項6】
前記帯電凝集部の集塵電極を筒状体の低電圧電極で形成し、コロナ電極を前記筒状体の内部に配置した線状体の高電圧電極で形成すると共に、前記筒状体の内側表面近傍のガスの流れに対して乱流を促進する乱流促進手段を、前記筒状体の表面又は表面近傍に設けて構成したことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のガス処理装置。
【請求項7】
前記帯電凝集部のガス通路壁を筒状体で形成し、低電圧電極となる集塵電極を前記ガス通路壁の表面近傍に配置された導電性の乱流促進手段を有する筒状体で形成すると共に、コロナ電極を前記筒状体の内部に配置した線状体の高電圧電極で形成して構成したことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のガス処理装置。
【請求項8】
前記帯電凝集部を、前記コロナ電極と前記筒状体とを有して構成される帯電凝集ユニットを複数並列に配置して形成したことを特徴とする請求項5〜7のいずれか1項に記載のガス処理装置。
【請求項1】
ガス中の捕集対象成分をコロナ放電により帯電させて凝集する帯電凝集部と、該凝集させた成分を捕集するフィルタ部とを備えたガス処理装置であって、前記帯電凝集部を上流側に、前記フィルタ部を下流側に配設したことを特徴とするガス処理装置。
【請求項2】
前記フィルタ部の下流側に酸化触媒を設けたことを特徴とする請求項1記載のガス処理装置。
【請求項3】
前記フィルタ部を、金属製のフィルタで形成したことを特徴とする請求項1又は2に記載のガス処理装置。
【請求項4】
処理対象のガスが100℃以上650℃以下の温度である場合に、前記帯電凝集部でガスを冷却するように構成したことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のガス処理装置。
【請求項5】
前記帯電凝集部の集塵電極を筒状体の低電圧電極で形成し、コロナ電極を前記筒状体の内部に配置した線状体の高電圧電極で形成すると共に、前記筒状体をガス通路の通路壁を兼ねる共にガスの冷却部として構成したことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のガス処理装置。
【請求項6】
前記帯電凝集部の集塵電極を筒状体の低電圧電極で形成し、コロナ電極を前記筒状体の内部に配置した線状体の高電圧電極で形成すると共に、前記筒状体の内側表面近傍のガスの流れに対して乱流を促進する乱流促進手段を、前記筒状体の表面又は表面近傍に設けて構成したことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のガス処理装置。
【請求項7】
前記帯電凝集部のガス通路壁を筒状体で形成し、低電圧電極となる集塵電極を前記ガス通路壁の表面近傍に配置された導電性の乱流促進手段を有する筒状体で形成すると共に、コロナ電極を前記筒状体の内部に配置した線状体の高電圧電極で形成して構成したことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のガス処理装置。
【請求項8】
前記帯電凝集部を、前記コロナ電極と前記筒状体とを有して構成される帯電凝集ユニットを複数並列に配置して形成したことを特徴とする請求項5〜7のいずれか1項に記載のガス処理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2006−102575(P2006−102575A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−289730(P2004−289730)
【出願日】平成16年10月1日(2004.10.1)
【出願人】(000000170)いすゞ自動車株式会社 (1,721)
【出願人】(000003942)日新電機株式会社 (328)
【出願人】(000193531)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年10月1日(2004.10.1)
【出願人】(000000170)いすゞ自動車株式会社 (1,721)
【出願人】(000003942)日新電機株式会社 (328)
【出願人】(000193531)
【Fターム(参考)】
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