ガラスパネル保持部材
【課題】 万一、凹溝部内に水が侵入しても、その水を早期に排出できるようにする。
【解決手段】 ガラスパネルAの周縁部A1が一連に嵌め込まれる凹溝部5と、その凹溝部に嵌め込んだ周縁部に対して厚み方向の両側から一連に密着する密着片6と、凹溝部に嵌め込んだ周縁部と凹溝部の底面10との間に空隙部11が形成されるように、周縁部を支持する支持部12と、その空隙部を凹溝部の外側に連通させる連通部13とを設ける。
【解決手段】 ガラスパネルAの周縁部A1が一連に嵌め込まれる凹溝部5と、その凹溝部に嵌め込んだ周縁部に対して厚み方向の両側から一連に密着する密着片6と、凹溝部に嵌め込んだ周縁部と凹溝部の底面10との間に空隙部11が形成されるように、周縁部を支持する支持部12と、その空隙部を凹溝部の外側に連通させる連通部13とを設ける。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ガラスパネルの周縁部が一連に嵌め込まれる凹溝部と、その凹溝部に嵌め込んだ前記周縁部に対して厚み方向の両側から一連に密着する密着片とが設けられているガラスパネル保持部材に関する。
【0002】
【従来の技術】上記ガラスパネル保持部材Bは、図18に示すように、凹溝部5に嵌め込んだガラスパネルAの周縁部(以下、パネル周縁部という)A1に対して厚み方向の両側から一連に密着する左右の密着片6を設けて、凹溝部内への雨水等の浸入を防止できるようにしたものであるが、従来、凹溝部5の底面10の形状をパネル周縁部A1の端面に沿わせた形状に形成している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】このため、密着片6を設けているにも関わらず、万一、凹溝部5内に水が侵入すると、その水がパネル周縁部A1の端面と凹溝部5の底面10との間に保持されて長期に亘って滞留し易く、かび等が繁殖して外観を損なう原因となる欠点がある。
【0004】特に、万一、凹溝部5内に侵入した水が長期に亘って滞留すると、ガラスパネルAが、図18に示すように、板面が互いに対向する一対の板ガラス1間に形成した空間部Vを、両板ガラス1間の周縁に沿って設けた有機系のシール材4で密閉してある複層ガラスの場合には、有機系のシール材4がその水によって膨潤し、接着強度が早期に低下して、そのシール機能が早期に劣化するおそれがあり、また、図示しないが、ガラスパネルが鋼等の金属製の網入りガラスの場合には、金属製の網がパネル周縁部の端面に臨んでいる部分から腐食するおそれがある。
【0005】本発明は上記実情に鑑みてなされたものであって、万一、凹溝部内に水が侵入しても、その水を早期に排出できるようにすることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明の特徴構成は、ガラスパネルの周縁部が一連に嵌め込まれる凹溝部と、その凹溝部に嵌め込んだ前記周縁部に対して厚み方向の両側から一連に密着する密着片とが設けられているガラスパネル保持部材であって、前記凹溝部に嵌め込んだ前記周縁部と前記凹溝部の底面との間に空隙部が形成されるように、前記周縁部を支持する支持部と、その空隙部を前記凹溝部の外側に連通させる連通部とが設けられている点にある。
【0007】つまり、ガラスパネルの周縁部を凹溝部に嵌め込むと、その周縁部が支持部に支持されて、周縁部と凹溝部の底面との間に空隙部が形成されるので、凹溝部内に侵入した水をその空隙部に沿って流動させて、連通部から凹溝部の外側に排出し易い。
【0008】従って、万一、凹溝部内に水が侵入しても、その水を早期に排出できる。
【0009】特に、ガラスパネルが前述のような複層ガラスであっても、有機系のシール材のシール機能が早期に劣化するおそれがなく、また、ガラスパネルが鋼等の金属製の網入りガラスであっても、その網が腐食するおそれが少ない。
【0010】請求項2記載の発明の特徴構成は、前記支持部が、前記凹溝部に沿って長い空隙部を形成するように設けられている点にある。
【0011】つまり、ガラスパネルの周縁部を凹溝部に嵌め込むと、周縁部と凹溝部の底面との間にその凹溝部に沿って長い一連の空隙部が形成されるので、凹溝部内の水をその凹溝部に沿って流動させて排出できる。
【0012】従って、一連の空隙部の形成範囲内においては、凹溝部内のいずれの箇所に侵入した水でも、効率良く排出できる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。尚、図面において従来例と同一の符号で表示した部分は、同一又は相当の部分を示している。
【0014】〔第1実施形態〕図5は、ガラスパネルの一例としての矩形の複層ガラスAの周縁部(以下、パネル周縁部という)A1に本発明による樹脂製のガラスパネル保持部材(以下、単に保持部材という)Bを装着して、アルミ合金製のサッシュCに嵌め込んである状態を示す。
【0015】前記サッシュCは、図3に示すように、パネル周縁部A1に装着した保持部材Bが嵌め込まれる一連の嵌め込み溝C2を備えたチャンネル状の四つの枠部材C1を、それらの嵌め込み溝C2どうしが互いに対向するように矩形に組み付けて構成されている。
【0016】前記複層ガラスAは、図2,図3に示すように、板面を互いに対向させた一対の板ガラス1間にスぺーサ2を介在させて、それら両板ガラス1間に空間部Vを形成し、スペーサ2を有機系(ブチルゴム系)の一次シール材3にて各板ガラス1に接着するとともに、その空間部Vを両板ガラス1間の周縁に沿って設けた有機系(ポリサルファイド系)の二次シール材4で密閉して構成されている。
【0017】前記保持部材Bは、図1に示すように、パネル周縁部A1が一連に嵌め込まれる凹溝部5と、その凹溝部5に嵌め込んだパネル周縁部A1に対して厚み方向の両側から一連に密着する左右一対の密着片6と、パネル周縁部A1を厚み方向の両側から一連に密着して挟持する左右一対の挟持片7とを、軟質塩化ビニルや熱可塑性エラストマー等の軟質樹脂で長尺状に一体形成して構成され、左右の密着片6どうしの間隔、及び、左右の挟持片7どうしの間隔は、パネル周縁部A1の厚みよりも狭い間隔になるように形成されている。
【0018】前記各密着片6と挟持片7との間の外側部には、保持部材Bを枠部材C1の嵌め込み溝C2に嵌め込むに伴って、その嵌め込み溝C2の縁部C3が一連に嵌まり込んで係止する係止溝9が形成され、係止溝9の密着片6側には、嵌め込み溝C2の縁部C3が一連に密着する張り出し片8が延設されている。
【0019】前記凹溝部5の底部には、凹溝部5に嵌め込んだパネル周縁部A1とその凹溝部5の底面10との間に空隙部11が形成されるように、パネル周縁部A1を支持する支持部12と、その空隙部11を凹溝部5の外側に連通させる連通部としての貫通孔13とが設けられている。
【0020】前記支持部12は、横断面形状が三角山形の三つの突条部を凹溝部5の長手方向に沿って一体形成して、図3に示すように、パネル周縁部A1と突条部12との間に、凹溝部5に沿って長い空隙部11が形成されるように構成され、各空隙部11に対応して、貫通孔13が所定間隔を隔てて形成されている。
【0021】そして、図4に示すように、保持部材Bを複層ガラスAの各辺の長さに対応させた寸法で、かつ、切断端部が約45度の切り口角度になるように切断し、その切断した保持部材Bの凹溝部5にパネル周縁部A1を一連に嵌め込むとともに、左右の密着片6と左右の挟持片7とでパネル周縁部A1を挟み付けて、各保持部材Bを対応するガラス周縁部A1に装着するようにしてある。
【0022】前記保持部材Bは、ガラス周縁部A1に装着した状態では、係止溝9の底面間の間隔がサッシュCの嵌め込み溝C2の溝幅よりも広くなっており、パネル周縁部A1に装着した状態の保持部材Bを嵌め込み溝C2に嵌め込むと、係止溝9部分が嵌め込み溝C2の縁部C3に圧接されて、保持部材BとサッシュCとが水密に密着するとともに、左右の密着片6及び左右の挟持片7がパネル周縁部A1に圧接されて、保持部材Bとパネル周縁部A1とが水密に密着するようにしてある。
【0023】尚、本実施形態では、凹溝部5の幅方向で隣り合う各空隙部11に対応して同じ径の貫通孔13を形成したが、凹溝部5の幅方向中間位置で隣り合う2つの空隙部11に対応する2つの貫通孔13に代えて、それら2つの空隙部11のいずれにも連通する1つ大径の貫通孔を形成しても良い。
【0024】〔第2実施形態〕図6,図7は、パネル周縁部A1を支持する支持部12の別実施形態を示し、この支持部12は、扁平な底面10の左右両側にその底面10よりも高い段部を凹溝部5の長手方向に沿って一体形成して、左右の段部12の間に空隙部11を形成するように構成され、この空隙部11を凹溝部5の外側に連通させる連通部としての貫通孔13が所定間隔を隔てて形成されている。
【0025】また、複層ガラスAを構成している二次シ−ル材4の端面14を凹溝部5の底面10側から離間する凹面に形成して、凹溝部5内に侵入した水を一層早期に排出できるようにしてある。その他の構成は第1実施形態と同様である。
【0026】〔第3実施形態〕図8,図9は、パネル周縁部A1を支持する支持部12の別実施形態を示し、この支持部12は、第1実施形態で示した三角山形の突条部に代えて、扁平な底面10に、凹溝部5の長手方向に沿って長い三つの横断面形状が蒲鉾形の突条部を溝幅方向に間隔を隔てて一体形成して構成されている。その他の構成は第1実施形態と同様である。
【0027】〔第4実施形態〕図10,図11は、パネル周縁部A1を支持する支持部12の別実施形態を示し、この支持部12は、凹溝部5の底面10をV字状に形成して、横断面形状が下向きの三角形の空隙部11を形成するように構成され、この空隙部11を凹溝部5の外側に連通させる連通部としての貫通孔13が所定間隔を隔てて形成されている。その他の構成は第1実施形態と同様である。
【0028】〔第5実施形態〕図12,図13は、パネル周縁部A1を支持する支持部12の別実施形態を示し、この支持部12は、扁平な底面10の左右両側に三角山形の突条部を凹溝部5の長手方向に沿って一体形成して、空隙部11を形成するように構成され、この空隙部11を凹溝部5の外側に連通させる連通部としての貫通孔13が所定間隔を隔てて形成されている。その他の構成は第1実施形態と同様である。
【0029】〔第6実施形態〕図14,図15は、パネル周縁部A1を支持する支持部12の別実施形態を示し、この支持部12は、扁平な底面10に多数の突起部を一定間隔で一体形成して構成され、この空隙部11を凹溝部5の外側に連通させる連通部としての貫通孔13が所定間隔を隔てて形成されている。ている。その他の構成は第1実施形態と同様である。
【0030】〔第7実施形態〕図16,図17は、パネル周縁部A1を支持する支持部12の別実施形態を示し、この支持部12は、扁平な底面10に溝幅方向に沿う多数の突条部を溝長手方向に間隔を隔てて一体形成して、各突条部12間に空隙部11を形成するように構成され、各突条部12間に対応位置する凹溝部5の側壁部分15に、その空隙部11を凹溝部5の外側に連通させる連通部としての貫通孔13が形成されている。その他の構成は第1実施形態と同様である。
【0031】〔その他の実施形態〕
1.上記実施形態では、ガラスパネルとして複層ガラスを示したが、単板の板ガラスや金属網入り板ガラス等であっても良い。
2.上記実施形態で示した複層ガラスは、空間部が真空引きされている真空複層ガラスであっても良い。
3.上記実施形態では、凹溝部と支持部とを一体形成してあるガラスパネル保持部材を示したが、凹溝部と支持部とを各別に形成して組み付けてあるガラスパネル保持部材であっても良い。
4.上記実施形態では、凹溝部と密着片とを、同材質で一体形成してあるガラスパネル保持部材を示したが、凹溝部と密着片とを、別材質で各別に形成して一体接着して組み付けてあるガラスパネル保持部材であっても良い。
5.上記実施形態では、空隙部を凹溝部の外側に連通させる連通部として、凹溝部に貫通孔を形成したが、空隙部が凹溝部の長手方向に沿って一連に形成されている場合は、ガラスパネル保持部材の端部がその空隙部を凹溝部の外側に連通させる連通部として設けられていても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】ガラスパネル保持部材を示す斜視図
【図2】要部断面図
【図3】装着状態を示す要部断面図
【図4】装着方法の説明図
【図5】使用状態を示す斜視図
【図6】第2実施形態のガラスパネル保持部材を示す斜視図
【図7】装着状態を示す要部断面図
【図8】第3実施形態のガラスパネル保持部材を示す斜視図
【図9】装着状態を示す要部断面図
【図10】第4実施形態のガラスパネル保持部材を示す斜視図
【図11】装着状態を示す要部断面図
【図12】第5実施形態のガラスパネル保持部材を示す斜視図
【図13】装着状態を示す要部断面図
【図14】第6実施形態のガラスパネル保持部材を示す斜視図
【図15】装着状態を示す要部断面図
【図16】第7実施形態のガラスパネル保持部材を示す斜視図
【図17】装着状態を示す要部断面側面図
【図18】従来例を示す要部断面図
【符号の説明】
5 凹溝部
6 密着片
10 底面
11 空隙部
12 支持部
13 連通部
A ガラスパネル
A1 周縁部
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ガラスパネルの周縁部が一連に嵌め込まれる凹溝部と、その凹溝部に嵌め込んだ前記周縁部に対して厚み方向の両側から一連に密着する密着片とが設けられているガラスパネル保持部材に関する。
【0002】
【従来の技術】上記ガラスパネル保持部材Bは、図18に示すように、凹溝部5に嵌め込んだガラスパネルAの周縁部(以下、パネル周縁部という)A1に対して厚み方向の両側から一連に密着する左右の密着片6を設けて、凹溝部内への雨水等の浸入を防止できるようにしたものであるが、従来、凹溝部5の底面10の形状をパネル周縁部A1の端面に沿わせた形状に形成している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】このため、密着片6を設けているにも関わらず、万一、凹溝部5内に水が侵入すると、その水がパネル周縁部A1の端面と凹溝部5の底面10との間に保持されて長期に亘って滞留し易く、かび等が繁殖して外観を損なう原因となる欠点がある。
【0004】特に、万一、凹溝部5内に侵入した水が長期に亘って滞留すると、ガラスパネルAが、図18に示すように、板面が互いに対向する一対の板ガラス1間に形成した空間部Vを、両板ガラス1間の周縁に沿って設けた有機系のシール材4で密閉してある複層ガラスの場合には、有機系のシール材4がその水によって膨潤し、接着強度が早期に低下して、そのシール機能が早期に劣化するおそれがあり、また、図示しないが、ガラスパネルが鋼等の金属製の網入りガラスの場合には、金属製の網がパネル周縁部の端面に臨んでいる部分から腐食するおそれがある。
【0005】本発明は上記実情に鑑みてなされたものであって、万一、凹溝部内に水が侵入しても、その水を早期に排出できるようにすることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明の特徴構成は、ガラスパネルの周縁部が一連に嵌め込まれる凹溝部と、その凹溝部に嵌め込んだ前記周縁部に対して厚み方向の両側から一連に密着する密着片とが設けられているガラスパネル保持部材であって、前記凹溝部に嵌め込んだ前記周縁部と前記凹溝部の底面との間に空隙部が形成されるように、前記周縁部を支持する支持部と、その空隙部を前記凹溝部の外側に連通させる連通部とが設けられている点にある。
【0007】つまり、ガラスパネルの周縁部を凹溝部に嵌め込むと、その周縁部が支持部に支持されて、周縁部と凹溝部の底面との間に空隙部が形成されるので、凹溝部内に侵入した水をその空隙部に沿って流動させて、連通部から凹溝部の外側に排出し易い。
【0008】従って、万一、凹溝部内に水が侵入しても、その水を早期に排出できる。
【0009】特に、ガラスパネルが前述のような複層ガラスであっても、有機系のシール材のシール機能が早期に劣化するおそれがなく、また、ガラスパネルが鋼等の金属製の網入りガラスであっても、その網が腐食するおそれが少ない。
【0010】請求項2記載の発明の特徴構成は、前記支持部が、前記凹溝部に沿って長い空隙部を形成するように設けられている点にある。
【0011】つまり、ガラスパネルの周縁部を凹溝部に嵌め込むと、周縁部と凹溝部の底面との間にその凹溝部に沿って長い一連の空隙部が形成されるので、凹溝部内の水をその凹溝部に沿って流動させて排出できる。
【0012】従って、一連の空隙部の形成範囲内においては、凹溝部内のいずれの箇所に侵入した水でも、効率良く排出できる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。尚、図面において従来例と同一の符号で表示した部分は、同一又は相当の部分を示している。
【0014】〔第1実施形態〕図5は、ガラスパネルの一例としての矩形の複層ガラスAの周縁部(以下、パネル周縁部という)A1に本発明による樹脂製のガラスパネル保持部材(以下、単に保持部材という)Bを装着して、アルミ合金製のサッシュCに嵌め込んである状態を示す。
【0015】前記サッシュCは、図3に示すように、パネル周縁部A1に装着した保持部材Bが嵌め込まれる一連の嵌め込み溝C2を備えたチャンネル状の四つの枠部材C1を、それらの嵌め込み溝C2どうしが互いに対向するように矩形に組み付けて構成されている。
【0016】前記複層ガラスAは、図2,図3に示すように、板面を互いに対向させた一対の板ガラス1間にスぺーサ2を介在させて、それら両板ガラス1間に空間部Vを形成し、スペーサ2を有機系(ブチルゴム系)の一次シール材3にて各板ガラス1に接着するとともに、その空間部Vを両板ガラス1間の周縁に沿って設けた有機系(ポリサルファイド系)の二次シール材4で密閉して構成されている。
【0017】前記保持部材Bは、図1に示すように、パネル周縁部A1が一連に嵌め込まれる凹溝部5と、その凹溝部5に嵌め込んだパネル周縁部A1に対して厚み方向の両側から一連に密着する左右一対の密着片6と、パネル周縁部A1を厚み方向の両側から一連に密着して挟持する左右一対の挟持片7とを、軟質塩化ビニルや熱可塑性エラストマー等の軟質樹脂で長尺状に一体形成して構成され、左右の密着片6どうしの間隔、及び、左右の挟持片7どうしの間隔は、パネル周縁部A1の厚みよりも狭い間隔になるように形成されている。
【0018】前記各密着片6と挟持片7との間の外側部には、保持部材Bを枠部材C1の嵌め込み溝C2に嵌め込むに伴って、その嵌め込み溝C2の縁部C3が一連に嵌まり込んで係止する係止溝9が形成され、係止溝9の密着片6側には、嵌め込み溝C2の縁部C3が一連に密着する張り出し片8が延設されている。
【0019】前記凹溝部5の底部には、凹溝部5に嵌め込んだパネル周縁部A1とその凹溝部5の底面10との間に空隙部11が形成されるように、パネル周縁部A1を支持する支持部12と、その空隙部11を凹溝部5の外側に連通させる連通部としての貫通孔13とが設けられている。
【0020】前記支持部12は、横断面形状が三角山形の三つの突条部を凹溝部5の長手方向に沿って一体形成して、図3に示すように、パネル周縁部A1と突条部12との間に、凹溝部5に沿って長い空隙部11が形成されるように構成され、各空隙部11に対応して、貫通孔13が所定間隔を隔てて形成されている。
【0021】そして、図4に示すように、保持部材Bを複層ガラスAの各辺の長さに対応させた寸法で、かつ、切断端部が約45度の切り口角度になるように切断し、その切断した保持部材Bの凹溝部5にパネル周縁部A1を一連に嵌め込むとともに、左右の密着片6と左右の挟持片7とでパネル周縁部A1を挟み付けて、各保持部材Bを対応するガラス周縁部A1に装着するようにしてある。
【0022】前記保持部材Bは、ガラス周縁部A1に装着した状態では、係止溝9の底面間の間隔がサッシュCの嵌め込み溝C2の溝幅よりも広くなっており、パネル周縁部A1に装着した状態の保持部材Bを嵌め込み溝C2に嵌め込むと、係止溝9部分が嵌め込み溝C2の縁部C3に圧接されて、保持部材BとサッシュCとが水密に密着するとともに、左右の密着片6及び左右の挟持片7がパネル周縁部A1に圧接されて、保持部材Bとパネル周縁部A1とが水密に密着するようにしてある。
【0023】尚、本実施形態では、凹溝部5の幅方向で隣り合う各空隙部11に対応して同じ径の貫通孔13を形成したが、凹溝部5の幅方向中間位置で隣り合う2つの空隙部11に対応する2つの貫通孔13に代えて、それら2つの空隙部11のいずれにも連通する1つ大径の貫通孔を形成しても良い。
【0024】〔第2実施形態〕図6,図7は、パネル周縁部A1を支持する支持部12の別実施形態を示し、この支持部12は、扁平な底面10の左右両側にその底面10よりも高い段部を凹溝部5の長手方向に沿って一体形成して、左右の段部12の間に空隙部11を形成するように構成され、この空隙部11を凹溝部5の外側に連通させる連通部としての貫通孔13が所定間隔を隔てて形成されている。
【0025】また、複層ガラスAを構成している二次シ−ル材4の端面14を凹溝部5の底面10側から離間する凹面に形成して、凹溝部5内に侵入した水を一層早期に排出できるようにしてある。その他の構成は第1実施形態と同様である。
【0026】〔第3実施形態〕図8,図9は、パネル周縁部A1を支持する支持部12の別実施形態を示し、この支持部12は、第1実施形態で示した三角山形の突条部に代えて、扁平な底面10に、凹溝部5の長手方向に沿って長い三つの横断面形状が蒲鉾形の突条部を溝幅方向に間隔を隔てて一体形成して構成されている。その他の構成は第1実施形態と同様である。
【0027】〔第4実施形態〕図10,図11は、パネル周縁部A1を支持する支持部12の別実施形態を示し、この支持部12は、凹溝部5の底面10をV字状に形成して、横断面形状が下向きの三角形の空隙部11を形成するように構成され、この空隙部11を凹溝部5の外側に連通させる連通部としての貫通孔13が所定間隔を隔てて形成されている。その他の構成は第1実施形態と同様である。
【0028】〔第5実施形態〕図12,図13は、パネル周縁部A1を支持する支持部12の別実施形態を示し、この支持部12は、扁平な底面10の左右両側に三角山形の突条部を凹溝部5の長手方向に沿って一体形成して、空隙部11を形成するように構成され、この空隙部11を凹溝部5の外側に連通させる連通部としての貫通孔13が所定間隔を隔てて形成されている。その他の構成は第1実施形態と同様である。
【0029】〔第6実施形態〕図14,図15は、パネル周縁部A1を支持する支持部12の別実施形態を示し、この支持部12は、扁平な底面10に多数の突起部を一定間隔で一体形成して構成され、この空隙部11を凹溝部5の外側に連通させる連通部としての貫通孔13が所定間隔を隔てて形成されている。ている。その他の構成は第1実施形態と同様である。
【0030】〔第7実施形態〕図16,図17は、パネル周縁部A1を支持する支持部12の別実施形態を示し、この支持部12は、扁平な底面10に溝幅方向に沿う多数の突条部を溝長手方向に間隔を隔てて一体形成して、各突条部12間に空隙部11を形成するように構成され、各突条部12間に対応位置する凹溝部5の側壁部分15に、その空隙部11を凹溝部5の外側に連通させる連通部としての貫通孔13が形成されている。その他の構成は第1実施形態と同様である。
【0031】〔その他の実施形態〕
1.上記実施形態では、ガラスパネルとして複層ガラスを示したが、単板の板ガラスや金属網入り板ガラス等であっても良い。
2.上記実施形態で示した複層ガラスは、空間部が真空引きされている真空複層ガラスであっても良い。
3.上記実施形態では、凹溝部と支持部とを一体形成してあるガラスパネル保持部材を示したが、凹溝部と支持部とを各別に形成して組み付けてあるガラスパネル保持部材であっても良い。
4.上記実施形態では、凹溝部と密着片とを、同材質で一体形成してあるガラスパネル保持部材を示したが、凹溝部と密着片とを、別材質で各別に形成して一体接着して組み付けてあるガラスパネル保持部材であっても良い。
5.上記実施形態では、空隙部を凹溝部の外側に連通させる連通部として、凹溝部に貫通孔を形成したが、空隙部が凹溝部の長手方向に沿って一連に形成されている場合は、ガラスパネル保持部材の端部がその空隙部を凹溝部の外側に連通させる連通部として設けられていても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】ガラスパネル保持部材を示す斜視図
【図2】要部断面図
【図3】装着状態を示す要部断面図
【図4】装着方法の説明図
【図5】使用状態を示す斜視図
【図6】第2実施形態のガラスパネル保持部材を示す斜視図
【図7】装着状態を示す要部断面図
【図8】第3実施形態のガラスパネル保持部材を示す斜視図
【図9】装着状態を示す要部断面図
【図10】第4実施形態のガラスパネル保持部材を示す斜視図
【図11】装着状態を示す要部断面図
【図12】第5実施形態のガラスパネル保持部材を示す斜視図
【図13】装着状態を示す要部断面図
【図14】第6実施形態のガラスパネル保持部材を示す斜視図
【図15】装着状態を示す要部断面図
【図16】第7実施形態のガラスパネル保持部材を示す斜視図
【図17】装着状態を示す要部断面側面図
【図18】従来例を示す要部断面図
【符号の説明】
5 凹溝部
6 密着片
10 底面
11 空隙部
12 支持部
13 連通部
A ガラスパネル
A1 周縁部
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ガラスパネルの周縁部が一連に嵌め込まれる凹溝部と、その凹溝部に嵌め込んだ前記周縁部に対して厚み方向の両側から一連に密着する密着片とが設けられているガラスパネル保持部材であって、前記凹溝部に嵌め込んだ前記周縁部と前記凹溝部の底面との間に空隙部が形成されるように、前記周縁部を支持する支持部と、その空隙部を前記凹溝部の外側に連通させる連通部とが設けられているガラスパネル保持部材。
【請求項2】 前記支持部が、前記凹溝部に沿って長い空隙部を形成するように設けられている請求項1記載のガラスパネル保持部材。
【請求項1】 ガラスパネルの周縁部が一連に嵌め込まれる凹溝部と、その凹溝部に嵌め込んだ前記周縁部に対して厚み方向の両側から一連に密着する密着片とが設けられているガラスパネル保持部材であって、前記凹溝部に嵌め込んだ前記周縁部と前記凹溝部の底面との間に空隙部が形成されるように、前記周縁部を支持する支持部と、その空隙部を前記凹溝部の外側に連通させる連通部とが設けられているガラスパネル保持部材。
【請求項2】 前記支持部が、前記凹溝部に沿って長い空隙部を形成するように設けられている請求項1記載のガラスパネル保持部材。
【図1】
【図2】
【図7】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図18】
【図16】
【図17】
【図2】
【図7】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図18】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2000−64732(P2000−64732A)
【公開日】平成12年2月29日(2000.2.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平10−235461
【出願日】平成10年8月21日(1998.8.21)
【出願人】(000004008)日本板硝子株式会社 (853)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成12年2月29日(2000.2.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成10年8月21日(1998.8.21)
【出願人】(000004008)日本板硝子株式会社 (853)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]