説明

キャビネット連結構造

【課題】簡単にキャビネットどうしを連結できるとともに、キャビネットの前面に化粧桟を取り付けることの可能なキャビネット連結構造を提供する。
【解決手段】隣接するキャビネット5を連結する構造であって、該キャビネット5の側板51の内側面に突設された係止部2a、2bと、両側板51、51を挟持する断面略コの字型の挟持部1とからなり、該挟持部1には弾性挟持力が付与されているとともに、挟持部1を構成する左右挟持片11には上記係止部2に係合する長孔12a、12bが設けられる。好ましくは、上記キャビネット5を構成する左右側板51、51の対向する内側面に突設された係止部が、さらにキャビネット5の前面に懸架される化粧桟4を係止するようにされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャビネットを連結する構造、さらに、この構造を利用してキャビネットの前面に化粧桟を取り付けることのできるキャビネットの連結構造に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、台所に設置されるキャビネットの場合、シンク用、調理用、コンロ用等種々のキャビネットが施工現場で組立て連結される。従来からこれらキャビネットの連結は、下記特許文献1に開示されているように、隣接するキャビネットの側板どうしをネジ固定することにより行われている。
【特許文献1】特開平10−286136号公報(第1〜3頁、第1図、第2図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、ネジを用いて固定する方法は、隣接するキャビネットのネジ孔の位置合わせを正確にしてネジ固定しなければならず、作業性が悪いという問題がある。また、上記固定用のネジが外から見えて見映えが悪いという問題もある。本発明はこのような問題を解決し、簡単に作業性よくキャビネットとキャビネットとを連結することができるとともに、キャビネットの前面に化粧桟を取り付けることが可能なキャビネット連結構造を提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために、本発明においては、つぎのような技術的手段を講じている。すなわち、本発明によれば、隣接するキャビネットを連結する構造であって、該キャビネットの側板の内側面に突設された係止部と、両側板を挟持する断面略コの字型の挟持部とからなり、該挟持部には弾性挟持力が付与されているとともに、挟持部を構成する左右挟持片には上記係止部に係合する長孔が設けられたキャビネット連結構造が提供される。
【0005】
上記キャビネットを構成する左右側板の対向する内側面に突設された係止部が、さらにキャビネットの前面に懸架される化粧桟を係止するようにされる。また、上記係止部を上下2段に設けるとともに、上部係止部の上面と下部係止部の下面とにそれぞれ係合突起を設け、各係合突起に上記化粧桟に穿たれた上部係合用孔部と下部係合用孔部とが着脱自在に係合することが好ましい。
【0006】
上記挟持部に弾性挟持力を付与する手段としてはとくに限定されないが、バネ弾性を有する金属等を用いて挟持部を形成し、左右挟持片に隣接するキャビネットの両側板を弾性的に押圧する弾性挟持力を付与することが好ましい。
【発明の効果】
【0007】
請求項1に記載の発明は上記のとおりであり、隣接するキャビネットの両側板の内側面に突設された係止部と、両側板を挟持する断面略コの字型の挟持部とからなり、該挟持部には弾性挟持力が付与され、挟持部を構成する左右挟持片には上記係止部に係合する長孔が設けられているため、ビス等を用いることなく弾性挟持力により見栄えよく両側板を固定することができる。さらに、挟持部に両側板を嵌入して上記係止部を長孔に係合させるだけの簡単な作業により、しっかりと両側板を連結することができる。
【0008】
上記キャビネットを構成する左右側板の対向する内側面に突設された係止部が、さらにキャビネットの前面に化粧桟を懸架して取り付けるようにされているため、上記化粧桟によってキャビネットの前面を意匠性よく覆うことができる。
【0009】
上記係止部を上下2段に設けるとともに、上部係止部の上面と下部係止部の下面とにそれぞれ係合突起を設け、各係合突起に上記化粧桟に穿たれた上部係合用孔部と下部係合用孔部とが着脱自在に係合するため、化粧桟を上下2カ所でしっかりと取り付けることができる。また、メンテナンス等の場合、上記化粧桟を簡単に取り外すことができる。
【0010】
上記挟持部を弾性を有する金属体から形成し、左右挟持片には隣接するキャビネットの両側板を弾性的に押圧する弾性挟持力が付与されているため、両側板が金属の有するバネ弾性によってしっかりと連結される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して、詳細に説明する。図1は、本発明にかかるキャビネット連結構造Aを示す分解斜視図である。図1に示されているように、キャビネット連結構造Aは、隣接するキャビネット5の側板51の内側面に上下2段に突設された上部係止部2a、下部係止部2bと断面略コの字型の挟持部1とからなり、挟持部1の挟持片11には上記上部係止部2a、下部係止部2bに嵌合する上部長孔12a、下部長孔12bが設けられている。また、上部係止部2aの上面と下部係止部2bの下面にはそれぞれ上部係合突起3a、下部係合突起3bが設けられ、これらの係合突起は化粧桟4に穿たれた上部係合用孔部4a、下部係合用孔部4bに係合される。上記挟持部1はバネ弾性を有する金属を断面略コの字型にして形成され、左右の挟持片11には弾性挟持力が付与されているため、キャビネット5の両側板51、51を弾性的に挟持する。
【0012】
すなわち、隣接するキャビネット5の両側板51、51に矢印の方向に上記挟持片を押し込むことにより側板51どうしが固定され、連結される。押し込み動作を続けると、上部係止部2aと下部係止部2bとが挟持片11に穿たれた上部長孔12a、下部長孔12bとに係合し、挟持部1がしっかりと保持される。図2は隣接するキャビネット5の両側板51、51を本発明のキャビネット連結構造Aを用いて連結した状態を示す正面図である。
【0013】
図3は、図2に示すように挟持部1によって挟持された側板51から、上部長孔12a、下部長孔12bを経て突出した上部係止部2aと下部係止部2bに化粧桟4を係合する状態を示す説明図である。すなわち、図3に点線で示すように、化粧桟4に設けられた上部係合用孔部4a、下部係合用孔部4bを上部係合突起3a、下部係合突起3bにそれぞれ係合させることにより、化粧桟4を上部係止部2aと下部係止部2bとに意匠性よく取り付けることができる。
【0014】
図4は上記のようにして隣接するキャビネット5の両側板51、51を本発明にかかるキャビネット連結構造Aを用いて連結し、キャビネット5を構成する左右側板51の内側面間に化粧桟4を取り付けた状態を示す斜視図である。図4から、キャビネット5とキャビネット5とが固定用ビス等を用いることなく見栄えよく連結されるとともに、キャビネット5の前面にも本発明のキャビネット連結構造Aを用いて化粧桟4を意匠性よく取り付けられることが明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明にかかるキャビネット連結構造を示す分解斜視図である。
【図2】隣接するキャビネットの両側板を本発明のキャビネット連結構造を用いて連結した状態を示す正面図である。
【図3】図2に示す上部係止部と下部係止部とに化粧桟を係合する状態を示す説明図である。
【図4】本発明にかかるキャビネット連結構造を用いてキャビネットを連結するとともに、化粧桟を取り付けた状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0016】
A 本発明にかかるキャビネット連結構造
1 挟持部
11 挟持片
12a 上部長孔
12b 下部長孔
2a 上部係止部
2b 下部係止部
3a 上部係合突起
3b 下部係合突起
4 化粧桟
4a 上部係合用孔部
4b 下部係合用孔部
5 キャビネット
51 側板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
隣接するキャビネットを連結する構造であって、該キャビネットの側板の内側面に突設された係止部と、両側板を挟持する断面略コの字型の挟持部とからなり、該挟持部には弾性挟持力が付与されているとともに、挟持部を構成する左右挟持片には上記係止部に係合する長孔が設けられたキャビネット連結構造。
【請求項2】
上記キャビネットを構成する左右側板の対向する内側面に突設された係止部が、さらにキャビネットの前面に懸架される化粧桟を係止するようにされた請求項1に記載のキャビネット連結構造。
【請求項3】
上記係止部を上下2段に設けるとともに、上部係止部の上面と下部係止部の下面とにそれぞれ係合突起が設けられ、各係合突起に上記化粧桟に穿たれた上部係合用孔部と下部係合用孔部とが着脱自在に係合する請求項2に記載のキャビネット連結構造。
【請求項4】
上記挟持部を弾性を有する金属体から形成し、左右挟持片には隣接するキャビネットの両側板を弾性的に押圧する弾性挟持力が付与された請求項1に記載のキャビネット連結構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−320364(P2006−320364A)
【公開日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−143593(P2005−143593)
【出願日】平成17年5月17日(2005.5.17)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】