説明

クローラ走行作業車

【課題】簡単な構成で揺動リンクの支持箇所に対する強度を高め、少ない部品点数で加工工数も少なく、かつ構成部材の大型化を避けながら高強度の揺動リンク支持構造を備えたクローラ走行作業車を得る。
【解決手段】前後一対の揺動リンク11,12を介してクローラ走行装置1Lを昇降自在に支持させ、横連結フレーム21を左右のメインフレーム20の存在箇所よりも機体横外側へ延出し、この横連結フレーム21の機体横外側への延出箇所と左右の各メインフレーム20とにわたって、揺動リンク11,12の揺動支点となる枢支部が形成された支持ブラケット3を取り付けてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機体前後方向に沿う左右一対のメインフレームと、その左右一対のメインフレームに亘って横向きに延設された横連結フレームとを備えて格子状に形成された機体フレームを備え、前記機体フレームに対して、左右一対のクローラ走行装置を前後一対の揺動リンクを介して昇降自在に支持させたクローラ走行作業車に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のクローラ走行作業車では、下記[1]及び[2]に記載のものが知られている。
[1]左右一対のメインフレームの夫々に、前後の揺動リンクの取付部を設け、その揺動リンクの取付部箇所を多数の補強部材で補強するように構成したもの(特許文献1参照)。
[2]左右一対のメインフレームの夫々に、前後に長いトラックフレーム支持体を取り付け、そのトラックフレーム支持体に、トラックフレームを揺動自在に支持する揺動リンクを取り付けて、左右のトラックフレームを昇降操作自在に構成し、前記揺動リンクを取り付けた左右のトラックフレーム支持体同士を、そのトラックフレーム支持体同士に亘って横向きに延設されたブラケットで連結固定したもの(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−328828号公報(段落〔0008〕、図1、図2、図3、図4)
【特許文献2】特開2004−248561公報(段落〔0021〕、〔0022〕、〔0023〕、図2、図4、図5、図6)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記[1]のように、揺動リンクの取付部箇所を多数の補強部材で補強するように構成したものでは、揺動リンクの取付部の強度を多数の補強部材で高めることができるが、そのための多くの補強部材を要し、部品点数の増加や加工工数の増大などを招く傾向があった。
【0005】
また、上記[2]のように、揺動リンクを取り付けた左右のトラックフレーム支持体同士を、横向きに延設されたブラケットで連結固定するように構成したものでは、部品点数を削減する上では有効であるが、次のような問題がある。
つまり、左右のトラックフレーム支持体同士を連結固定するように横向きに延設されたブラケットは、トラックフレーム支持体同士を連結固定する上では有効であるが、そのブラケット自体は、メインフレームとトラックフレーム支持体との連結には関与していない。
このため、揺動リンクを支持するトラックフレーム支持体をメインフレームに対して強固に取り付けるために、トラックフレームを長大な構造にして、メインフレームとの接触面積を増大することにより取り付け強度を向上させたものであり、揺動リンクを支持するための構造が大掛かりなものになるという問題がある。
【0006】
本発明の目的は、簡単な構成で揺動リンクの支持箇所に対する強度を高め、少ない部品点数で加工工数も少なく、かつ構成部材の大型化を避けながら高強度の揺動リンク支持構造を備えたクローラ走行作業車を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために講じた本発明の技術手段は、次の点に構成上の特徴、及び作用効果がある。
〔解決手段1〕
本発明は、機体前後方向に沿う左右一対のメインフレームと、その左右一対のメインフレームに亘って横向きに延設された横連結フレームとを備えて格子状に形成された機体フレームを備え、前記機体フレームに対して、左右一対のクローラ走行装置を前後一対の揺動リンクを介して昇降自在に支持させたクローラ走行作業車であって、前記横連結フレームを左右のメインフレームの存在箇所よりも機体横外側へ延出し、この横連結フレームの前記機体横外側への延出箇所と前記左右の各メインフレームとにわたって、前記揺動リンクの揺動支点となる枢支部が形成された支持ブラケットを取り付けてあることを特徴とする。
【0008】
〔解決手段1にかかる発明の作用及び効果〕
上記解決手段1で示した構成によると、格子状に形成される機体フレームを構成するための左右一対のメインフレームと横連結フレームとを、揺動リンクの揺動支点となる枢支部が形成された支持ブラケットを取り付けるための手段として有効利用している。
つまり、機体フレームの構成材として大きな強度を備えたものであり、かつ左右一対のメインフレームに亘る長いスパンで強固に支持された部材であるところの横連結フレームを、左右のメインフレームの存在箇所よりも機体横外側へ延出させて用いるという、構造的にはきわめて簡単な構成を採用することによって、支持ブラケットの取り付け箇所の強度を向上させている。
【0009】
そして、支持ブラケットは、前後方向のメインフレームと左右方向の横連結フレームという、ともに機体フレーム構成材として大きな強度を有した部材によって、しかも、前後方向と左右方向との互いに交差する方向の両面にわたって強固に連結支持されることになる。その結果、単なる一平面上で連結支持される場合に比べて、少ない接触面積でも強固な連結支持が可能となり、支持ブラケットとして特別大きな接触面積を有した大型の構造のものを採用する必要はなく、部材の大型化を回避し易い。
また、支持ブラケットの横方向の連結支持のため構造としては、メインフレームの少し外側にまで延出された横連結フレーム部分を利用するものであるから、部品点数の増大を避けながら高強度の連結構造を得ることができる。
【0010】
〔解決手段2〕
上記課題を解決するために講じた本発明の他の技術手段は、請求項2に記載のように、横連結フレームが、メインフレームの下側を通って左右のメインフレームの存在箇所よりも機体横外側へ延出されていることである。
【0011】
〔解決手段2にかかる作用及び効果〕
上記の解決手段2で示した構成によると、例えば、メインフレームに横連結フレームを挿通するための貫通孔を形成して、その貫通孔に横連結フレームを通した状態で連結するような構造のものに比べて、メインフレーム自体の強度を損ねることなく横連結フレームをメインフレームの外側へ延出させることができる。
したがって、上述したような貫通孔形成による強度低下を見越してメインフレームの強度を予め向上させておく必要がなく、機体フレーム全体の無用な重量増加を避けて構成することができる点で有利である。
【0012】
〔解決手段3〕
上記課題を解決するために講じた本発明の他の技術手段は、請求項3に記載のように、前後一対の揺動リンクのうち、前方側に位置する前揺動リンクを支持する前側支持ブラケットは、クローラ走行装置の駆動輪の支持部を備えていることである。
【0013】
〔解決手段3にかかる作用及び効果〕
上記の解決手段3で示した構成によると、前方側に位置する前揺動リンクを支持する前側支持ブラケットに、クローラ走行装置の駆動輪の支持部を備えさせたので、この前側支持ブラケットを駆動輪の支持手段としても利用することができる。
したがって、前記前側支持ブラケットと駆動輪の支持部を備えた部材とを、別々の部材で構成した場合に比べて部品点数を削減することができる利点がある。
【0014】
〔解決手段4〕
上記課題を解決するために講じた本発明の他の技術手段は、請求項4に記載のように、支持ブラケットは、左右の各メインフレームの下側を迂回して各メインフレームの左右両側にわたって連結されていることである。
【0015】
〔解決手段4にかかる作用及び効果〕
上記の解決手段4で示した構成によると、支持ブラケットが、左右の各メインフレームの下側を迂回して各メインフレームの左右両側にわたって連結されているので、各メインフレームの左右両側の面を支持ブラケットとの連結のために利用することができる。したがって、メインフレームと各支持ブラケットとの連結に際しての接触面積を、各メインフレームの片側の面だけを連結のために用いる場合に比べてさらに増大することができ、強固な接続を行い易い利点がある。
【0016】
〔解決手段5〕
上記課題を解決するために講じた本発明の他の技術手段は、請求項5に記載のように、機体フレームは、左右一対のメインフレームと横連結フレームの他に、これらのメインフレーム及び横連結フレームの上側で格子状に枠組みされた枠組みフレームを備えて一体化されており、支持ブラケットのうちの前側支持ブラケットが、前記横連結フレームと枠組みフレームとが上下に重複する箇所で、横連結フレームと枠組みフレームとに亘って連結されていることである。
【0017】
〔解決手段5にかかる作用及び効果〕
上記の解決手段5で示した構成によると、横連結フレームと枠組みフレームとが上下に重複する箇所で、横連結フレームと枠組みフレームとに亘って前側支持ブラケットが連結されている。これによって、前側支持ブラケットは、メインフレームと、そのメインフレームに交差する横連結フレームと、その横連結フレームの上方に位置する枠組みフレームとの三者にわたって連結されることになり、前側支持ブラケットは、より一層強固に連結支持される利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】コンバインの全体側面図
【図2】機体フレームとクローラ走行装置部分とを示す側面図
【図3】左側のクローラ走行装置部分を示す平面図
【図4】機体フレーム部分を示す平面図
【図5】機体フレーム部分を示す側面図
【図6】機体フレームの一部を示す平面図
【図7】機体フレームの一部を示す側面図
【図8】図4におけるVIII−VIII線断面図
【図9】図4におけるIX−IX線断面図
【図10】支持ブラケットの取り付け状態を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態の一例を図面の記載に基づいて説明する。
〔コンバインの全体構成〕
図1は、本発明におけるクローラ走行作業車の一例であるところの、普通型のコンバインを示している。
このコンバインは、稲・麦などの穀粒を収穫するためのものであり、左右一対のクローラ走行装置1L,1R上に機体フレーム2を搭載して自走機体1を構成し、この自走機体1上に、運転座席41が装備された搭乗運転部40と、及び運転座席41の下方に位置するエンジン(図外)が装備された原動部と、脱穀対象の被処理物を脱穀及び選別処理する脱穀装置42と、脱穀された被処理物を貯留するグレンタンク43とを搭載設置してある。
上記自走機体1の機体前方側には、刈り取り対象茎稈を収穫するための刈取前処理装置5のフィーダ50を、その後端部の横軸心x周りで回動自在に連結してあり、これらの各装置の組み合わせによって、刈り取られた脱穀処理対象物の全稈を脱穀処理する普通型コンバインを構成してある。
【0020】
前記刈取前処理装置5は、刈取装置53の上方に位置して植立茎稈の上端側を前処理フレーム51の後方側に掻き込むように回転するリール式掻き込み装置54を備えるとともに、前記前処理フレーム51の下部に位置するプラットホームの上面側に搬送用オーガ55を備えている。
そして、前記刈取装置53で刈り取られ、プラットホーム上に掻き込まれた刈取茎稈を、搬送用オーガ55によってフィーダ50の前側に寄せ搬送し、フィーダ50の前側に位置した刈取茎稈を前記搬送用オーガ55が一体回転自在に備えている掻き込み杆によってフィーダ50側へ送り込むように構成されている。
【0021】
前記脱穀装置42は、前記フィーダ50から扱室に供給された刈取り穀稈を自走機体1の前後向きの軸芯周りに回動する軸流型の扱胴(図外)によって脱穀処理し、脱穀処理物を脱穀粒と排稈とに選別処理し、脱穀粒を前記グレンタンク43に供給するように構成してある。脱穀粒以外の排稈などは、自走機体1の後方に落下放出するように構成してある。
【0022】
〔クローラ走行装置の構成〕
左右一対のクローラ走行装置1L,1Rは、左右対称に構成した同様のものであるから、右側のクローラ走行装置1Rについての説明は省略し、左側のクローラ走行装置1Lを図面に基づいて説明する。
【0023】
図2、図3に示すように、左側のクローラ走行装置1Lは、機体フレーム2の左横側部に設けた前後一対の揺動リンク11,12を介して、機体前後向きのトラックフレーム10が上下位置変更自在に連結されている。
このトラックフレーム10には、その長手方向に並ぶ状態でトラックフレーム10に遊転自在に支持させた複数個の接地転輪14、及び前記トラックフレーム10の後端部にテンションロッド15aを介して遊転自在に支持させたテンション輪体15を備えるとともに、上方側に遊転自在な上部転輪16を支持させてある。
そして、機体フレーム2の前端側に固定してあるミッションケースMに駆動回動自在に支持されているクローラ駆動輪体13を備え、これらの全ての輪体13,14,15,16にわたってゴム製のクローラベルト17を巻回して、前記クローラ走行装置1Lが構成されている。
【0024】
上記クローラ走行装置1L,1Rは、ベルクランク状に形成された前後一対の揺動リンク11,12を介して機体フレーム2に連結してあり、この前後一対の揺動リンク11,12のうち、機体後方側に位置する後揺動リンク12の、前記トラックフレーム10に連結された側とは反対側の端部が、機体フレーム2側に装備された昇降駆動用の油圧シリンダ18に連結されている。
そして、機体前方側に位置する前揺動リンク11の、前記トラックフレーム10に連結された側とは反対側の端部は、前記後揺動リンク12の前記油圧シリンダ18が連結された側の端部に対して、連係ロッド19を介して連結されている。
したがって、前記昇降駆動用の油圧シリンダ18の伸縮作動によって、前後一対の揺動リンク11,12が、夫々横軸心x1,x2周りで回動され、機体フレーム2に対してトラックフレーム10を相対的に昇降作動させるように構成されている。
【0025】
〔機体フレームの構造〕
前記機体フレーム2は、図4乃至図6に示す如く構成してある。
すなわち、機体フレーム2は、機体前後方向に沿う左右一対のメインフレーム20,20と、その左右一対のメインフレーム20,20に亘って横向きに延設された前後一対の横連結フレーム21,21とを備えて格子状に形成された基台枠フレーム2Aと、その基台枠フレーム2Aの上側で格子状に枠組みされた枠組みフレーム2Bとを一体化して構成されている。
【0026】
前記枠組フレーム2Bは、前記左右一対のメインフレーム20,20の両横外側、及び前記左右のメインフレーム20,20の中間に位置して前後方向に沿う状態で配置される縦向きフレーム22と、前記左右一対のメインフレーム20,20の両横外側に位置する縦向きフレーム22にわたって架設された、機体横方向に沿う複数本の横向きフレーム23とを、格子状に枠組みされた状態に連結して構成されている。
【0027】
前記基台枠フレーム2Aを構成するメインフレーム20,20は、図7乃至図9に示すように、矩形断面の鋼管を上下二段に重ねた状態で互いに溶接連結してある。そして、そのメインフレーム20,20の下側には、このメインフレーム20,20の下面に接する状態で、ほぼ正方形の矩形断面を有した鋼管からなる横連結フレーム21,21を交差させて、かつ、その横連結フレーム21,21の機体横外方側の端部が、前記メインフレーム20,20の存在箇所を越えて、メインフレーム20,20の機体横外方側の側面20aよりも横側方へ突出した状態で溶接連結してある。
【0028】
前記メインフレーム20,20の下面側で、かつ前後の横連結フレーム21,21の間には、上側のメインフレーム20,20及び前後の横連結フレーム21,21の夫々に対して溶接接続される矩形断面の鋼管からなる中間繋ぎフレーム24が設けてある。
【0029】
また、前記メインフレーム20,20の下面側には、後述するように、前後一対の揺動リンク11,12を支承するための支持ブラケット3が設けられている。この支持ブラケット3のうち、後揺動リンク12を支持する機体後方側の後側支持ブラケット3Bよりも後方側における前記メインフレーム20,20の下面側には、断面U字状に形成されていて、かつ側面視で後方側ほど先細り形状となる板金製の後部先細りフレーム25が、後側支持ブラケット3Bの後面側とメインフレーム20,20の下面側とに対して溶接接続してある。
【0030】
〔支持ブラケット〕
前記基台枠フレーム2Aに対して前後一対の揺動リンク11,12を支持させるための支持ブラケット3は、次のように構成されている。
すなわち、支持ブラケット3は、前揺動リンク11を支持するように機体前方側に設けられた前側支持ブラケット3Aと、後揺動リンク12を支持するように機体後方側に設けられた後側支持ブラケット3Bとで構成されている。
【0031】
<前側支持ブラケット>
図7、図8,及び図10に示すように、前側支持ブラケット3Aは、前記前揺動リンク11の支軸11aを枢支する枢支部としての筒ボス30aを備えて、前記メインフレーム20,20、及び機体前方側位置の横連結フレーム21に連結される前側支持ブラケット本体30と、前記メインフレーム20,20の横側位置で、上方の枠組みフレーム2Bと下方の横連結フレーム21との間に配置したチャンネル状断面の前側補助支持体31とで構成されている。
【0032】
前記前側支持ブラケット本体30は、メインフレーム20,20の機体横外方側の側面20a、及び前記中間繋ぎフレーム24の機体横外方側の側面24aに対して溶接接続される外側取り付け面30bと、前記メインフレーム20,20の機体横内方側の側面20bに対して溶接接続される内側取り付け面30cとを備えている。
また、この前側支持ブラケット本体30は、前記外側取り付け面30bのさらに横外側に膨出したボックス状の支え枠体30dを備えており、この支え枠体30dの一部に、前記横連結フレーム21の横側方へ突出した部分に対して下側から嵌り込むように、上方側が切り欠き形成された凹入部30eを設けてある。
【0033】
さらに、前側支持ブラケット本体30には、前記外側取り付け面30bと内側取り付け面30cとにわたり、かつ、前記上下二段に重ねられた鋼管材からなるメインフレーム20,20の前端部に対面した状態で溶接連結される当て板部材30fを備えている。また、前記支え枠体30dの前端部には、ミッションケースMから機体横外方へ突出するクローラ駆動輪体13の駆動軸13aを枢支するための支持部30gが一体的に形成されている。
【0034】
このように構成された前側支持ブラケット本体30は、前記外側取り付け面30bと内側取り付け面30cとで、メインフレーム20,20の機体横方向の内外の側面20a,20b、及び中間繋ぎフレーム24の機体横外方側の側面24aに対して溶接接続されるとともに、前記凹入部30eを前記横連結フレーム21の、前記メインフレーム20,20の機体横方向横側方へ突出した部分に対して下側から嵌り込む状態で溶接接続される。
さらに、前記当て板部材30fを介して、メインフレーム20,20の前端部に対しても、これに対面した状態で溶接することにより連結される。
【0035】
そして、この前側支持ブラケット本体30に備えた筒ボス30aは、最も機体横外側方位置の支え枠体30dと、最も機体横内側方位置の内側取り付け面30cと、それらの中間に位置する外側取り付け面30bとの三箇所の板状部材を貫通する状態で強固に支持されている。
【0036】
前記前側支持ブラケット本体30とは別部材で構成された前側補助支持体31は、図7、図8,及び図10に示すように、水平方向での断面形状がチャンネル状に屈曲形成された金属板で構成され、前記メインフレーム20,20の機体横内方側の側面20b、及び機体前方側位置の横連結フレーム21の上面、ならびに上方の枠組みフレーム2Bのうちの横向きフレーム23の下面に対して溶接接続されるように構成してある。
この前側補助支持体31の機体前方側及び後方側の面には、ロッド挿通用開口31aを形成してある。このロッド挿通用開口31aは、油圧シリンダ18の伸縮作動に伴って前揺動リンク11を揺動操作させるように、後揺動リンク12と前揺動リンク11とを連結する連係ロッド19を挿通するためのものであり、前揺動リンク11の揺動作動に伴って多少上下動する連係ロッド19の上下移動を許容する上下幅を有した大きさに形成されている。
【0037】
<後側支持ブラケット>
前記支持ブラケット3のうち、後揺動リンク12を支持する機体後方側の後側支持ブラケット3Bは次のように構成されている。
【0038】
図7、図9,及び図10に示すように、後側支持ブラケット3Bは、前記後揺動リンク12の支軸12aを枢支する枢支部としての筒ボス32aを備えて、前記メインフレーム20,20、及び機体後方側位置の横連結フレーム21に連結される後側支持ブラケット本体32と、前記メインフレーム20,20の横側位置で、下方の横連結フレーム21の上側に配置したチャンネル状断面の後側補助支持体33とで構成されている。
【0039】
前記後側支持ブラケット本体32は、メインフレーム20,20の機体横外方側の側面20aに対して溶接接続される外側取り付け面32bと、前記メインフレーム20,20の機体横内方側の側面20bに対して溶接接続される内側取り付け面32cとを備えている。
【0040】
この後側支持ブラケット本体32は、前記外側取り付け面32bのさらに横外側に膨出した支え枠体32dを備えており、その支え枠体32dの前端部に、前記横連結フレーム21の横側方へ突出した部分に対して後側及び下側から嵌り込むように、上方前側が切り欠き形成された切り欠き凹入部32eを設けてある。
また、前記支え枠体32dの上縁側には、前記横連結フレーム21の横側方へ突出した部分の後端面に接する位置から、前記筒ボス32aの外側を迂回して後方下方に至るように延出されたリブ状部材32fが設けてある。
【0041】
さらに、後側支持ブラケット本体32には、前記外側取り付け面32bと内側取り付け面32cとにわたり、この外側取り付け面32bと内側取り付け面32cとの後端部に位置させてた状態で溶接連結される当て板部材32gを備えている。
この当て板部材32gの後面側には、前述した、側面視で後方側ほど先細り形状となる板金製の後部先細りフレーム25が、前記当て板部材32gとメインフレーム20,20の下面側とに対して溶接接続してある。
【0042】
前記後側支持ブラケット本体32とは別部材で構成された後側補助支持体33は、図7、図9,及び図10に示すように、前記メインフレーム20,20の機体内方側の横側面20bに接する端縁と、機体後方側位置の横連結フレーム21の上面に接する端縁とを備えた三角形状となるように屈曲形成された金属板で構成してある。
そして、前記メインフレーム20,20の機体横内方側の側面20b、及び機体後方側位置の横連結フレーム21の上面に対して溶接接続されるように構成してある。
【0043】
そして、この後側支持ブラケット本体32に備えた筒ボス32aは、最も機体横外側方位置の支え枠体32dと、最も機体横内側方位置の内側取り付け面32cと、それらの中間に位置する外側取り付け面32bとの三箇所の板状部材を貫通する状態で強固に支持されている。
【0044】
〔別実施形態の1〕
上記実施形態で示したように、メインフレーム20の下側に横連結フレーム21を交差させて溶接連結する構造に限らず、メインフレーム20の下面側に上方側への凹入溝部分を設けて横連結フレーム21を嵌入させたり、メインフレーム21に貫通孔を形成して横連結フレーム21を挿通するなどして交差させ、溶接連結するようにしてもよい。
【0045】
〔別実施形態の2〕
前側支持ブラケット3Aは、実施の形態で示したように、筒ボス30aを備える前側支持ブラケット本体30と、前側補助支持体31との個々に分離された部材によって構成されたものに限らず、これらを一体に形成した一つの部材によって構成してもよい。
また、前記前側補助支持体31を用いずに、筒ボス30aを備える前側支持ブラケット本体30のみで前側支持ブラケット3Aを構成してもよい。
【0046】
〔別実施形態の3〕
後側支持ブラケット3Bは、実施の形態で示したように、筒ボス32aを備える後側支持ブラケット本体32と、後側補助支持体33との個々に分離された部材によって構成されたものに限らず、これらを一体に形成した一つの部材によって構成してもよい。
また、前記後側補助支持体33を用いずに、筒ボス32aを備える後側支持ブラケット本体32のみで後側支持ブラケット3Bを構成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明は、実施の形態で示した普通型コンバインの他、自脱型コンバインにも適用することができ、また、コンバイン以外の、玉ねぎ、人参などを各種の作物を収穫対象とするものや、運搬車、トラクタ、土工作業車などの各種作業車でクローラ走行装置を用いるものにも適用することができる。
【符号の説明】
【0048】
1L,1R クローラ走行装置
2 機体フレーム
2A 基台枠フレーム
2B 枠組みフレーム
3 支持ブラケット
3A 前側支持ブラケット
3B 後側支持ブラケット
11,12 揺動リンク
13 駆動輪
20 メインフレーム
21 横連結フレーム
30 前側支持ブラケット本体
31 前側補助支持体
30a,32a 筒ボス(枢支部)
32 後側支持ブラケット本体
33 後側補助支持体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体前後方向に沿う左右一対のメインフレームと、その左右一対のメインフレームに亘って横向きに延設された横連結フレームとを備えて格子状に形成された機体フレームを備え、
前記機体フレームに対して、左右一対のクローラ走行装置を前後一対の揺動リンクを介して昇降自在に支持させたクローラ走行作業車であって、
前記横連結フレームを左右のメインフレームの存在箇所よりも機体横外側へ延出し、この横連結フレームの前記機体横外側への延出箇所と前記左右の各メインフレームとにわたって、前記揺動リンクの揺動支点となる枢支部が形成された支持ブラケットを取り付けてあることを特徴とするクローラ走行作業車。
【請求項2】
横連結フレームは、メインフレームの下側を通って左右のメインフレームの存在箇所よりも機体横外側へ延出されている請求項1記載のクローラ走行作業車。
【請求項3】
前後一対の揺動リンクのうち、前方側に位置する前揺動リンクを支持する前側支持ブラケットは、クローラ走行装置の駆動輪の支持部を備えている請求項1又は2記載のクローラ走行作業車。
【請求項4】
支持ブラケットは、左右の各メインフレームの下側を迂回して各メインフレームの左右両側にわたって連結されている請求項1、2、又は3記載のクローラ走行作業車。
【請求項5】
機体フレームは、左右一対のメインフレームと横連結フレームの他に、これらのメインフレーム及び横連結フレームの上側で格子状に枠組みされた枠組みフレームを備えて一体化されており、支持ブラケットのうちの前側支持ブラケットが、前記横連結フレームと枠組みフレームとが上下に重複する箇所で、横連結フレームと枠組みフレームとに亘って連結されている請求項1〜4のいずれか1項記載のクローラ走行作業車。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate