グランド一体型アンテナ
【課題】幅方向のみならず高さ方向においてアンテナの小型化を図ることができ、かつ隣接するアンテナ間の干渉を抑制できるグランド一体型アンテナを実現する。
【解決手段】グランド一体型アンテナは、異なる2つの共振周波数帯域を有するアンテナ素子11,12を、同一のグランド部材10に複数個配置してなる。アンテナ素子11,12のそれぞれは、一方の共振周波数帯域に対応する第1の放射部11A,12Aと、他方の共振周波数帯域に対応する第2の放射部11B,12Bとを備えており、2つのアンテナ素子が隣接する箇所では、その隣接部に対してそれぞれのアンテナ素子の内側に位置する放射部の一方に、該放射部と接するように誘電体13が配置される。
【解決手段】グランド一体型アンテナは、異なる2つの共振周波数帯域を有するアンテナ素子11,12を、同一のグランド部材10に複数個配置してなる。アンテナ素子11,12のそれぞれは、一方の共振周波数帯域に対応する第1の放射部11A,12Aと、他方の共振周波数帯域に対応する第2の放射部11B,12Bとを備えており、2つのアンテナ素子が隣接する箇所では、その隣接部に対してそれぞれのアンテナ素子の内側に位置する放射部の一方に、該放射部と接するように誘電体13が配置される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、互いに異なる周波数帯域に対して共振するアンテナを、同一のグランド部材に複数個配置してなるグランド一体型アンテナに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、移動用情報通信機器の普及・高度化に伴い、大容量のデータを確実に短時間で通信することが求められてきている。これらの無線通信品質の向上・高速化を実現するために、複数の受信アンテナを配置してマルチパス・フェージングの低減を図ったダイバシティー技術や複数の送受信アンテナを配置して通信伝送線路を増やして高速化を図ったMIMO(Multiple Input Multiple Output)技術が実用化されている。
【0003】
これらの技術の適用に伴い、移動用情報端末機器に搭載されるアンテナの数も増えてきている。例えば従来のノートパソコンでは、図11(a)に示すように、無線LAN用に2つのアンテナが実装されていたものが、近年では、図11(b)に示すように、無線LAN用に3つのアンテナを実装したり、図11(c)に示すように、無線LAN用に2つのアンテナと他システム(Bluetooth / UWB(Ultra Wide Band) / GPS)用のアンテナとを実装したりすることが求められるようになっている。また、今後のさらなる要求により、実装されるアンテナの数がさらに多くなっていくことも予想される。このように多数のアンテナを実装する場合には、1つのグランド部材に対して2つ以上のアンテナ素子を搭載することも必要となる。
【0004】
一方、これらの移動用情報端末機器は、年々小型化が進んでおり、1つのグランド部材に対して複数のアンテナ素子を搭載する場合、アンテナ素子間の干渉を抑制するだけの十分な素子間距離を確保することが困難となってきている。アンテナ素子間の干渉が発生すると、ある一つのアンテナ素子から本来放射される電波が他方のアンテナ素子において吸収されるため、電波の輻射効率の低減に繋がり、通信速度の低下を招く。
【0005】
上記の問題に対し、特許文献1では、複数個のアンテナ素子が、接地導電部の形成範囲とは重ならない領域内に、互いに離間して実装される構成が開示されている。具体的には、2つのアンテナ素子の間に接地導電部(グランド部材の一部)が配置され、該接地導電部が各アンテナ素子を囲むような形状となっている。この構成では、2つのアンテナ素子の間に配置された接地導電部がアンテナ素子間の干渉を抑制する。このように、アンテナ素子周りのスペースを有効に利用して接地導電部を設けることで、誘電体基板の大型化を伴うことなく、2個のアンテナ素子間での干渉を抑制することが可能となっている。
【0006】
また、特許文献2では、端部に切り欠き部が形成されたグランド・パターン(グランド部材の一部)と、前記切り欠き部の一方の側に配置され給電部を備える第1のアンテナ素子と、前記切り欠き部の他方の側に配置され給電部を備える第2のアンテナ素子とを有する一体型平板多素子アンテナが開示されている。この構成では、グランド・パターンに切り欠き部を設けることによって、アンテナ素子の特性を分離し、アンテナ素子間の干渉を抑制することが可能となっている。
【特許文献1】特開2006−74446号公報(2006年3月16日公開)
【特許文献2】特開2007−13643号公報(2007年1月18日公開)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1の構成では、2つのアンテナ素子の間に配置される接地導電部が、各アンテナ素子を囲むような形状とされるため、アンテナ素子の上部にも接地導電部が存在することになり、高さ方向の寸法増加といった問題を生じる。
【0008】
また、上記特許文献2の構成では、グランド部材に切り欠き部を形成するため、該切り欠き部を設けるための高さ方向の寸法が必要となり、やはり高さ方向の寸法増加といった問題を生じる。
【0009】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、幅方向のみならず高さ方向においてアンテナの小型化を図ることができ、かつ隣接するアンテナ間の干渉を抑制できるグランド一体型アンテナを実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係るグランド一体型アンテナは、上記課題を解決するために、異なる2つの共振周波数帯域を有するアンテナ素子を、同一のグランド部材に複数個配置してなるグランド一体型アンテナにおいて、上記各アンテナ素子は、一方の共振周波数帯域に対応する第1の放射部と、他方の共振周波数帯域に対応する第2の放射部とを備えており、2つのアンテナ素子が隣接する箇所では、その隣接部に対してそれぞれのアンテナ素子の内側に位置する放射部の一方に、該放射部と接するように誘電体が配置されることを特徴としている。
【0011】
上記の構成によれば、隣接する2つのアンテナ素子の距離をとらなくても、この誘電体によって一方のアンテナ素子から他方のアンテナ素子に伝達する高周波信号をその途中で大きく減衰させることができ、アンテナ素子間の干渉を抑制することができる。また、このような誘電体の配置は、幅方向のみならず高さ方向においてもアンテナの寸法増加を招かず、アンテナの小型化に大きく寄与できる。なお、グランド部材とは、接地された導電部を有するプリント基板や、少なくとも一部が接地された金属部材を含む。
【0012】
また、上記グランド一体型アンテナにおいては、上記誘電体が配置される放射部は、その隣接部に対してそれぞれのアンテナ素子の内側に位置する2つの放射部のうち、より低い方の共振周波数帯域に対応する放射部である構成とすることができる。
【0013】
上記の構成によれば、上記誘電体の体積を大きく取ることができ、該誘電体による高周波信号の減衰効果が向上するため、アンテナ素子間の干渉を抑制する効果も向上できる。
【0014】
また、上記グランド一体型アンテナにおいては、上記2つの共振周波数帯域が無線LAN規格のIEEE802.11 a/b/gに対応するものであり、上記誘電体が配置される放射部は、2.4GHz帯域の共振に対応する放射部である構成とすることができる。
【0015】
また、上記グランド一体型アンテナにおいては、隣接する2つのアンテナ素子は、一方のアンテナ素子において5GHz帯域の共振数に対応する放射部を内側とし、他方のアンテナ素子において2.4GHz帯域の共振に対応する放射部を内側として配置される構成とすることができる。
【0016】
また、上記グランド一体型アンテナにおいては、上記各アンテナ素子のアンテナ形状は、上記第1および第2の放射部をグランド部材に接続する短絡部の一部が、上記第1および第2の放射部と平行に配置される逆F字型である構成とすることができる。
【0017】
また、上記グランド一体型アンテナにおいては、上記各アンテナ素子のアンテナ形状は、上記第1および第2の放射部をグランド部材に接続する短絡部が、上記第1および第2の放射部と垂直に配置されるT字型である構成とすることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係るグランド一体型アンテナは、以上のように、異なる2つの共振周波数帯域を有するアンテナ素子を、同一のグランド部材に複数個配置してなるグランド一体型アンテナにおいて、上記各アンテナ素子は、一方の共振周波数帯域に対応する第1の放射部と、他方の共振周波数帯域に対応する第2の放射部とを備えており、2つのアンテナ素子が隣接する箇所では、その隣接部に対してそれぞれのアンテナ素子の内側に位置する放射部の一方に、該放射部と接するように誘電体が配置される構成である。
【0019】
それゆえ、隣接する2つのアンテナ素子の距離をとらなくても、この誘電体によって一方のアンテナ素子から他方のアンテナ素子に伝達する高周波信号をその途中で大きく減衰させることができ、アンテナ素子間の干渉を抑制することができる。また、このような誘電体の配置は、幅方向のみならず高さ方向においてもアンテナの寸法増加を招かず、アンテナの小型化に大きく寄与できるといった効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明の一実施形態について図1ないし図10に基づいて説明すると以下の通りである。先ずは、本実施の形態に係るグランド一体型アンテナの概略構成を図1を参照して説明する。
【0021】
図1に示すグランド一体型アンテナは、グランド部材10に2つのアンテナ素子11,12を搭載して構成されている。アンテナ素子11は、第1の放射部11A、第2の放射部11B、および短絡部11Cから構成される。短絡部11Cは、第1の放射部11Aおよび第2の放射部11Bとグランド部材10とを接続する部分であり、短絡部11Cに給電点がある。第1の放射部11Aと第2の放射部11Bとは、それぞれ異なる共振周波数帯域を有しており、給電点から放射部先端までの長さが対応する共振周波数の電波における1/4波長に相当している。
【0022】
アンテナ素子12は、アンテナ素子11と同様の構成を有するものであり、第1の放射部12A、第2の放射部12B、および短絡部12Cから構成されている。
【0023】
このように、アンテナ素子11,12は、それぞれ異なる共振周波数帯域を有する2つの放射部を有しているため、2種類の周波数帯域に対応する電波信号を放射または吸収できるようになっている。図1の例では、上記2種類の周波数帯域が無線LAN規格のIEEE802.11 a/b/gに対応しており、第1の放射部11A,12Aが2.4GHz帯域の共振に対応し、第2の放射部11B,12Bが5GHz帯域の共振に対応している。この場合、第1の放射部11A,12Aの方が対応周波数帯域が低い(波長が長い)ため、第1の放射部11A,12Aが第2の放射部11B,12Bに比べて長くなるように形成されている。
【0024】
同一のグランド部材10に対して備えられ、隣接して配置される2つのアンテナ素子11,12は、アンテナの小型化を図るためにこれらを近接して配置すると。アンテナ素子間での干渉の問題が生じることは従来技術において述べたとおりである。すなわち、図2(a)に示すように、2つのアンテナ素子を十分に離間して配置した場合には、一方のアンテナ素子から発信される高周波信号はグランド部材10等を伝わって他方のアンテナ素子に到達するまでに減衰するため、アンテナ素子間での干渉は生じない。しかしながら、図2(b)に示すように、2つのアンテナ素子を近接して配置した場合には、一方のアンテナ素子から発信される高周波信号は十分に減衰しきれずに他方のアンテナ素子に到達し、アンテナ素子間での干渉が生じる。
【0025】
本実施の形態に係るグランド一体型アンテナでは、隣接する2つのアンテナ素子11,12において、それぞれの素子の内側に位置する放射部の一方側に誘電体13を備えた構成としている。これにより隣接する2つのアンテナ素子の距離をとらなくても、図3に示すように、この誘電体13によって高周波信号を大きく減衰させることができ、素子間の干渉を抑制することができる。
【0026】
上記のようなグランド一体型アンテナは、基本的には材料となる導体板に対して、打ち抜きや折り曲げ等の板金加工を施すことによって製造されるものである。図4は、こうして形成されるグランド一体型アンテナの具体例を示す斜視図である。尚、図4において、14は同軸ケーブルからなる給電用配線であり、アンテナ素子11,12のそれぞれの給電点に接続される。
【0027】
以下の説明では、本発明のグランド一体型アンテナに対してさらに詳細な考察を加える。まずは、隣接する2つのアンテナ素子の配置関係と誘電体の配置箇所とを変更した場合の効果について考察する。すなわち、図1の例では、アンテナ素子11における5GHz帯域の共振に対応する第2の放射部11Bと、アンテナ素子12における2.4GHz帯域の共振に対応する第1の放射部12Aとが内側になるように配置され、誘電体13はこれら2つの放射部のうち低周波側である放射部12A側に備えられている。しかしながら、本発明はこのような例に限定されるものではなく、隣接する2つのアンテナ素子の配置関係と誘電体の配置箇所とを変更してもよい。
【0028】
図5(a),(b)に示す例では、アンテナ素子11における5GHz帯域の共振に対応する第2の放射部11Bと、アンテナ素子12における5GHz帯域の共振に対応する第2の放射部12Bとが内側になるように配置されている。また、図5(a)は誘電体13を備えていない例であり、図5(b)は誘電体13を放射部11B側において備えている例である。図5(a),(b)の例においてアイソレーション係数を計算した結果を以下の表1に示す。尚、アイソレーション係数Aは、下式によって計算できる。
【0029】
A=S21/(1−S11)(1−S22)
S21:アンテナ1からアンテナ2へ漏れた信号量
S11:アンテナ1の反射量
S22:アンテナ2の反射量
【0030】
【表1】
【0031】
先ず、誘電体13を備えない図5(a)の構成では、2.4GHz帯域の共振に対応する2つのアンテナ素子間距離は2.4GHz帯域の周波数の波長と比較して小さい(近接している)ため、2.4GHz帯域に関するアイソレーション係数は比較的大きい値となっている。また、5GHz帯域の共振に対応する2つのアンテナ素子間距離は5GHz帯域の周波数の波長と比較して小さいため5GHz帯域に関するアイソレーション係数も比較的大きい値となっている。
【0032】
一方、誘電体13を放射部11B側において備えた図5(b)の構成では、2.4GHz帯域および5GHz帯域共にアイソレーション係数が低減していることが分かる。すなわち、誘電体13を備えたことによって隣接するアンテナ素子間での干渉が抑制されている。
【0033】
次に、図6(a),(b)に示す例では、アンテナ素子11における5GHz帯域の共振に対応する第2の放射部11Bと、アンテナ素子12における2.4GHz帯域の共振に対応する第1の放射部12Aとが内側になるように配置されている。また、図6(a)は誘電体13を備えていない例であり、図6(b)は誘電体13を放射部11B側において備えている例である。図6(a),(b)の例においてアイソレーション係数を計算した結果を以下の表2に示す。
【0034】
【表2】
【0035】
先ず、誘電体13を備えない図6(a)の構成では、2.4GHz帯域の共振に対応する2つのアンテナ素子間距離は2.4GHz帯域の周波数の波長と比較して小さいため、2.4GHz帯域に関するアイソレーション係数は比較的大きい値となっている。一方、5GHz帯域の共振に対応する2つのアンテナ素子間距離は5GHz帯域の周波数の波長と比較して大きいため5GHz帯域に関するアイソレーション係数は比較的小さい値となっている。
【0036】
一方、誘電体13を放射部11B側において備えた図6(b)の構成では、特に、誘電体13を備えない場合にアイソレーション係数の大きかった2.4GHz帯域でアイソレーション係数が低減していることが分かる。すなわち、誘電体13を備えたことによって隣接するアンテナ素子間での干渉が抑制されている。尚、元々アイソレーション係数の小さかった5GHz帯域では、誘電体13を入れたことによる干渉の抑制効果は小さい。
【0037】
次に、図7(a),(b)に示す例では、アンテナ素子11における2.4GHz帯域の共振に対応する第1の放射部11Aと、アンテナ素子12における2.4GHz帯域の共振に対応する第1の放射部12Aとが内側になるように配置されている。また、図7(a)は誘電体13を備えていない例であり、図7(b)は誘電体13を放射部12A側において備えている例である。図7(a),(b)の例においてアイソレーション係数を計算した結果を以下の表3に示す。
【0038】
【表3】
【0039】
先ず、誘電体13を備えない図7(a)の構成では、2.4GHz帯域の共振に対応する2つのアンテナ素子間距離は2.4GHz帯域の周波数の波長と比較して小さいため、2.4GHz帯域に関するアイソレーション係数は比較的大きい値となっている。一方、5GHz帯域の共振に対応する2つのアンテナ素子間距離は5GHz帯域の周波数の波長と比較して大きいため5GHz帯域に関するアイソレーション係数は比較的小さい値となっている。
【0040】
一方、誘電体13を放射部11A側において備えた図7(b)の構成では、特に、誘電体13を備えない場合にアイソレーション係数の大きかった2.4GHz帯域でアイソレーション係数が低減していることが分かる。すなわち、誘電体13を備えたことによって隣接するアンテナ素子間での干渉が抑制されている。尚、元々アイソレーション係数の小さかった5GHz帯域では、誘電体13を入れたことによる干渉の抑制効果は殆ど無い。
【0041】
また、2.4GHz帯域でのアイソレーション係数の低減量は、図5(b)の例や図6(b)の例に比べてはるかに大きい。これは、図7(b)の例では、誘電体13を2.4GHz帯域の共振に対応する第1の放射部12A側に設けたことによって誘電体13の体積を大きく取ることができ、該誘電体13による高周波信号の減衰効果が向上したためと考えられる。つまり、5GHz帯域の共振に対応する放射部側に誘電体13を設けた場合、5GHz帯域の共振に対応する放射部は2.4GHz帯域の共振に対応する放射部に比べてその長さが短いため、誘電体13も小さくせざるを得なくなり、高周波信号の減衰効果が小さい。
【0042】
次に、図8(a),(b)に示す例では、アンテナ素子11における5GHz帯域の共振に対応する第2の放射部11Bと、アンテナ素子12における2.4GHz帯域の共振に対応する第1の放射部12Aとが内側になるように配置されている。また、図8(a)は誘電体13を備えていない例であり、図8(b)は誘電体13を放射部12A側において備えている例である。図8(a),(b)の例においてアイソレーション係数を計算した結果を以下の表4に示す。
【0043】
【表4】
【0044】
先ず、誘電体13を備えない図8(a)の構成では、2.4GHz帯域の共振に対応する2つのアンテナ素子間距離は2.4GHz帯域の周波数の波長と比較して小さいため、2.4GHz帯域に関するアイソレーション係数は比較的大きい値となっている。一方、5GHz帯域の共振に対応する2つのアンテナ素子間距離は5GHz帯域の周波数の波長と比較して大きいため5GHz帯域に関するアイソレーション係数は比較的小さい値となっている。
【0045】
一方、誘電体13を放射部12A側において備えた図8(b)の構成では、特に、誘電体13を備えない場合にアイソレーション係数の大きかった2.4GHz帯域でアイソレーション係数が低減していることが分かる。すなわち、誘電体13を備えたことによって隣接するアンテナ素子間での干渉が抑制されている。尚、元々アイソレーション係数の小さかった5GHz帯域では、誘電体13を入れたことによる干渉の抑制効果は殆ど無い。
【0046】
また、2.4GHz帯域でのアイソレーション係数の低減量は、図8(b)の例よりも図7(b)の例の方が大きい。しかしながら、これは、図7(b)の例では、2.4GHz帯域の共振に対応する2つのアンテナ素子間距離が図8(b)の例よりも小さく、誘電体13を備えない場合のアイソレーション係数が元々大きかったためである。但し、誘電体13を備えた場合での2.4GHz帯域でのアイソレーション係数のみを比べれば、図7(b)の例よりも図8(b)の例の方が小さい。
【0047】
上記図5〜図8および表1〜表4の結果から明らかなように、アンテナ素子間の干渉をよく制するために設けられる誘電体13は、その体積が大きい方が効果が高い。したがって、誘電体13は、隣接する2つのアンテナ素子11,12において、それぞれの素子の内側に位置する放射部のうち、低周波数帯域の共振周波数帯域を有する放射部側に設けることが好ましい。
【0048】
また、隣接するアンテナ素子間の干渉は、5GHz帯域の高周波信号よりも、対応波長の長い2.4GHz帯域の高周波信号で生じ易い(すなわち低周波数側の信号で生じ易い)。したがって、低周波数側の共振周波数を有する放射部同士を内側に配置することは好ましくなく、一方のアンテナ素子では低周波数側の共振周波数を有する放射部を内側とし、他方のアンテナ素子では高周波数側の共振周波数を有する放射部を内側とし。そして、誘電体13は、それぞれの素子の内側に位置する放射部のうち、低周波数の共振周波数を有する放射部側に設けることが最も好ましい。以上の結果より、図5(b)〜図8(b)に示す例の中で、図8(b)に示す例が最も好適であるといえる。
【0049】
上記の説明においては、アンテナ素子11,12は、高周波数側の共振周波数として5GHz帯域を有し、低周波数側の共振周波数として2.4GHz帯域を有しているが本発明はこれに限定されるものではない。以下の表5は、1.5GHz帯域と3.5GHz帯域の共振に対応するグランド一体型アンテナにおいてアイソレーション係数を計算した結果を示すものである。尚、表5の結果は、隣接する2つのアンテナ素子の配置関係と誘電体の配置箇所とを、図8(b)に示す配置例に合わせた場合に対応している。
【0050】
【表5】
【0051】
先ず、誘電体13を備えない場合では、1.5GHz帯域の共振に対応する2つのアンテナ素子間距離は1.5GHz帯域の周波数の波長と比較して小さいため、1.5GHz帯域に関するアイソレーション係数は比較的大きい値となっている。一方、3.5GHz帯域の共振に対応する2つのアンテナ素子間距離は3.5Gの波長と比較して大きいため3.5GHz帯域に関するアイソレーション係数は比較的小さい値となっている。
【0052】
一方、誘電体13を備えた場合では、特に、誘電体13を備えない場合にアイソレーション係数の大きかった1.5GHz帯域でアイソレーション係数が低減していることが分かる。また、3.5GHz帯域でもアイソレーション係数は低減している。すなわち、誘電体13を備えたことによって隣接するアンテナ素子間での干渉が抑制されている。
【0053】
次に、誘電体13を設ける場合において、誘電体13とアンテナ素子との配置関係について考察する。
【0054】
図9(a)は、誘電体13がアンテナ素子におけるグランド部材と短絡部とを覆う位置に配置された場合を示す。図9(b)は、誘電体13がアンテナ素子における放射部のみを覆う位置に配置された場合を示す。図9(c)は、誘電体13がアンテナ素子における放射部とグランド部材と短絡部とを覆う位置に配置された場合を示す。図9(a)〜(c)の例においてアイソレーション係数を計算した結果(比較のために誘電体無しの場合も示す)を以下の表6に示す。
【0055】
【表6】
【0056】
先ず、誘電体13がグランド部材と短絡部とを覆う(放射部を覆わない)場合には、誘電体無しの場合と比べてアイソレーションの抑制効果は殆ど無い。一方、誘電体13が放射部のみを覆う場合には、誘電体無しの場合と比べてアイソレーションが抑制されており、誘電体13は少なくともアンテナ素子の放射部を覆うように形成されていることが好ましい。また、誘電体13が放射部とグランド部材と短絡部とのすべてを覆う場合には、アイソレーション係数が最も低く、最も好適である。尚、誘電体13は、例えば樹脂を材料とし、板金からなるアンテナ素子を両側から挟みこむように形成することが好適である。
【0057】
次に、誘電体13を設ける場合において、誘電体13とアンテナ素子との配置関係について考察する。
【0058】
また、以上の説明では、アンテナ素子の形状は、短絡部の一部が放射部と平行に配置される、いわゆる逆F字型であるが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、図10(b)に示すように、短絡部が放射部と垂直に配置されるT字型のアンテナ素子21,22を用いたグランド一体型アンテナにも本発明は適用可能である。アンテナ素子21,22のそれぞれは、2.4GHz帯域の共振に対応する第1の放射部21A,22A、5GHz帯域の共振に対応する第2の放射部21B,22B、短絡部21C,22Cを備えている。図10(a)は誘電体13を備えていない例であり、図10(b)は誘電体13を放射部22A側において備えている例である。図10(a),(b)の例においてアイソレーション係数を計算した結果を以下の表7に示す。
【0059】
【表7】
【0060】
先ず、誘電体13を備えない図10(a)の構成では、2.4GHz帯域の共振に対応する2つのアンテナ素子間距離は2.4GHz帯域の周波数の波長と比較して小さいため、2.4GHz帯域に関するアイソレーション係数は比較的大きい値となっている。また、5GHz帯域の共振に対応する2つのアンテナ素子間距離は5GHz帯域の周波数の波長と比較して大きいため5GHz帯域に関するアイソレーション係数は比較的小さい値となっている。
【0061】
一方、誘電体13を放射部22A側において備えた図10(b)の構成では、2.4GHz帯域および5GHz帯域共にアイソレーション係数が低減していることが分かる。すなわち、誘電体13を備えたことによって隣接するアンテナ素子間での干渉が抑制されている。
【0062】
また、上記説明においては、グランド部材に対して2つのアンテナ素子を搭載して場合を例示してきたが、グランド部材に対して3つ以上のアンテナ素子を搭載する場合であっても本発明は適用可能である。この場合は、2つのアンテナ素子が隣接する少なくとも一箇所において誘電体が配置されればよい。
【0063】
本発明に係るグランド一体型アンテナは、例えば移動用情報通信機器等の送受信機器において好適に使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の実施形態を示すものであり、グランド一体型アンテナの概略構成を示す正面図である。
【図2】グランド一体型アンテナにおいて隣接する2つのアンテナ素子間での信号の干渉を示す図であり、(a)は2つのアンテナ素子を離して配置した場合の正面図、(b)の2つのアンテナ素子を近接して配置した場合の正面図である。
【図3】グランド一体型アンテナにおいて隣接する2つのアンテナ素子間での信号の干渉を示す図であり、一方のアンテナ素子に誘電体を配置した場合の正面図である。
【図4】本発明に係るグランド一体型アンテナの形状例を示す斜視図である。
【図5】グランド一体型アンテナにおいて、隣接する2つのアンテナ素子の配置関係と誘電体の配置箇所との一例を示す正面図であり、(a)は誘電体を備えない場合の図、(b)は誘電体を備えた場合の図である。
【図6】グランド一体型アンテナにおいて、隣接する2つのアンテナ素子の配置関係と誘電体の配置箇所との一例を示す正面図であり、(a)は誘電体を備えない場合の図、(b)は誘電体を備えた場合の図である。
【図7】グランド一体型アンテナにおいて、隣接する2つのアンテナ素子の配置関係と誘電体の配置箇所との一例を示す正面図であり、(a)は誘電体を備えない場合の図、(b)は誘電体を備えた場合の図である。
【図8】グランド一体型アンテナにおいて、隣接する2つのアンテナ素子の配置関係と誘電体の配置箇所との一例を示す正面図であり、(a)は誘電体を備えない場合の図、(b)は誘電体を備えた場合の図である。
【図9】(a)〜(c)は、誘電体とアンテナ素子との配置関係の例を示す正面図である。
【図10】グランド一体型アンテナにおいて、隣接する2つのアンテナ素子をT字型形状とした場合のアンテナ素子の配置関係と誘電体の配置箇所との一例を示す正面図であり、(a)は誘電体を備えない場合の図、(b)は誘電体を備えた場合の図である。
【図11】(a)〜(c)は、ノートパソコンにおける複数のアンテナのは一例を示す図である。
【符号の説明】
【0065】
10 グランド部材
11,12,21,22 アンテナ素子
11A,12A,21A,22A 第1の放射部
11B,12B,21B,22B 第2の放射部
11C,12C,21C,22C 短絡部
13 誘電体
【技術分野】
【0001】
本発明は、互いに異なる周波数帯域に対して共振するアンテナを、同一のグランド部材に複数個配置してなるグランド一体型アンテナに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、移動用情報通信機器の普及・高度化に伴い、大容量のデータを確実に短時間で通信することが求められてきている。これらの無線通信品質の向上・高速化を実現するために、複数の受信アンテナを配置してマルチパス・フェージングの低減を図ったダイバシティー技術や複数の送受信アンテナを配置して通信伝送線路を増やして高速化を図ったMIMO(Multiple Input Multiple Output)技術が実用化されている。
【0003】
これらの技術の適用に伴い、移動用情報端末機器に搭載されるアンテナの数も増えてきている。例えば従来のノートパソコンでは、図11(a)に示すように、無線LAN用に2つのアンテナが実装されていたものが、近年では、図11(b)に示すように、無線LAN用に3つのアンテナを実装したり、図11(c)に示すように、無線LAN用に2つのアンテナと他システム(Bluetooth / UWB(Ultra Wide Band) / GPS)用のアンテナとを実装したりすることが求められるようになっている。また、今後のさらなる要求により、実装されるアンテナの数がさらに多くなっていくことも予想される。このように多数のアンテナを実装する場合には、1つのグランド部材に対して2つ以上のアンテナ素子を搭載することも必要となる。
【0004】
一方、これらの移動用情報端末機器は、年々小型化が進んでおり、1つのグランド部材に対して複数のアンテナ素子を搭載する場合、アンテナ素子間の干渉を抑制するだけの十分な素子間距離を確保することが困難となってきている。アンテナ素子間の干渉が発生すると、ある一つのアンテナ素子から本来放射される電波が他方のアンテナ素子において吸収されるため、電波の輻射効率の低減に繋がり、通信速度の低下を招く。
【0005】
上記の問題に対し、特許文献1では、複数個のアンテナ素子が、接地導電部の形成範囲とは重ならない領域内に、互いに離間して実装される構成が開示されている。具体的には、2つのアンテナ素子の間に接地導電部(グランド部材の一部)が配置され、該接地導電部が各アンテナ素子を囲むような形状となっている。この構成では、2つのアンテナ素子の間に配置された接地導電部がアンテナ素子間の干渉を抑制する。このように、アンテナ素子周りのスペースを有効に利用して接地導電部を設けることで、誘電体基板の大型化を伴うことなく、2個のアンテナ素子間での干渉を抑制することが可能となっている。
【0006】
また、特許文献2では、端部に切り欠き部が形成されたグランド・パターン(グランド部材の一部)と、前記切り欠き部の一方の側に配置され給電部を備える第1のアンテナ素子と、前記切り欠き部の他方の側に配置され給電部を備える第2のアンテナ素子とを有する一体型平板多素子アンテナが開示されている。この構成では、グランド・パターンに切り欠き部を設けることによって、アンテナ素子の特性を分離し、アンテナ素子間の干渉を抑制することが可能となっている。
【特許文献1】特開2006−74446号公報(2006年3月16日公開)
【特許文献2】特開2007−13643号公報(2007年1月18日公開)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1の構成では、2つのアンテナ素子の間に配置される接地導電部が、各アンテナ素子を囲むような形状とされるため、アンテナ素子の上部にも接地導電部が存在することになり、高さ方向の寸法増加といった問題を生じる。
【0008】
また、上記特許文献2の構成では、グランド部材に切り欠き部を形成するため、該切り欠き部を設けるための高さ方向の寸法が必要となり、やはり高さ方向の寸法増加といった問題を生じる。
【0009】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、幅方向のみならず高さ方向においてアンテナの小型化を図ることができ、かつ隣接するアンテナ間の干渉を抑制できるグランド一体型アンテナを実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係るグランド一体型アンテナは、上記課題を解決するために、異なる2つの共振周波数帯域を有するアンテナ素子を、同一のグランド部材に複数個配置してなるグランド一体型アンテナにおいて、上記各アンテナ素子は、一方の共振周波数帯域に対応する第1の放射部と、他方の共振周波数帯域に対応する第2の放射部とを備えており、2つのアンテナ素子が隣接する箇所では、その隣接部に対してそれぞれのアンテナ素子の内側に位置する放射部の一方に、該放射部と接するように誘電体が配置されることを特徴としている。
【0011】
上記の構成によれば、隣接する2つのアンテナ素子の距離をとらなくても、この誘電体によって一方のアンテナ素子から他方のアンテナ素子に伝達する高周波信号をその途中で大きく減衰させることができ、アンテナ素子間の干渉を抑制することができる。また、このような誘電体の配置は、幅方向のみならず高さ方向においてもアンテナの寸法増加を招かず、アンテナの小型化に大きく寄与できる。なお、グランド部材とは、接地された導電部を有するプリント基板や、少なくとも一部が接地された金属部材を含む。
【0012】
また、上記グランド一体型アンテナにおいては、上記誘電体が配置される放射部は、その隣接部に対してそれぞれのアンテナ素子の内側に位置する2つの放射部のうち、より低い方の共振周波数帯域に対応する放射部である構成とすることができる。
【0013】
上記の構成によれば、上記誘電体の体積を大きく取ることができ、該誘電体による高周波信号の減衰効果が向上するため、アンテナ素子間の干渉を抑制する効果も向上できる。
【0014】
また、上記グランド一体型アンテナにおいては、上記2つの共振周波数帯域が無線LAN規格のIEEE802.11 a/b/gに対応するものであり、上記誘電体が配置される放射部は、2.4GHz帯域の共振に対応する放射部である構成とすることができる。
【0015】
また、上記グランド一体型アンテナにおいては、隣接する2つのアンテナ素子は、一方のアンテナ素子において5GHz帯域の共振数に対応する放射部を内側とし、他方のアンテナ素子において2.4GHz帯域の共振に対応する放射部を内側として配置される構成とすることができる。
【0016】
また、上記グランド一体型アンテナにおいては、上記各アンテナ素子のアンテナ形状は、上記第1および第2の放射部をグランド部材に接続する短絡部の一部が、上記第1および第2の放射部と平行に配置される逆F字型である構成とすることができる。
【0017】
また、上記グランド一体型アンテナにおいては、上記各アンテナ素子のアンテナ形状は、上記第1および第2の放射部をグランド部材に接続する短絡部が、上記第1および第2の放射部と垂直に配置されるT字型である構成とすることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係るグランド一体型アンテナは、以上のように、異なる2つの共振周波数帯域を有するアンテナ素子を、同一のグランド部材に複数個配置してなるグランド一体型アンテナにおいて、上記各アンテナ素子は、一方の共振周波数帯域に対応する第1の放射部と、他方の共振周波数帯域に対応する第2の放射部とを備えており、2つのアンテナ素子が隣接する箇所では、その隣接部に対してそれぞれのアンテナ素子の内側に位置する放射部の一方に、該放射部と接するように誘電体が配置される構成である。
【0019】
それゆえ、隣接する2つのアンテナ素子の距離をとらなくても、この誘電体によって一方のアンテナ素子から他方のアンテナ素子に伝達する高周波信号をその途中で大きく減衰させることができ、アンテナ素子間の干渉を抑制することができる。また、このような誘電体の配置は、幅方向のみならず高さ方向においてもアンテナの寸法増加を招かず、アンテナの小型化に大きく寄与できるといった効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明の一実施形態について図1ないし図10に基づいて説明すると以下の通りである。先ずは、本実施の形態に係るグランド一体型アンテナの概略構成を図1を参照して説明する。
【0021】
図1に示すグランド一体型アンテナは、グランド部材10に2つのアンテナ素子11,12を搭載して構成されている。アンテナ素子11は、第1の放射部11A、第2の放射部11B、および短絡部11Cから構成される。短絡部11Cは、第1の放射部11Aおよび第2の放射部11Bとグランド部材10とを接続する部分であり、短絡部11Cに給電点がある。第1の放射部11Aと第2の放射部11Bとは、それぞれ異なる共振周波数帯域を有しており、給電点から放射部先端までの長さが対応する共振周波数の電波における1/4波長に相当している。
【0022】
アンテナ素子12は、アンテナ素子11と同様の構成を有するものであり、第1の放射部12A、第2の放射部12B、および短絡部12Cから構成されている。
【0023】
このように、アンテナ素子11,12は、それぞれ異なる共振周波数帯域を有する2つの放射部を有しているため、2種類の周波数帯域に対応する電波信号を放射または吸収できるようになっている。図1の例では、上記2種類の周波数帯域が無線LAN規格のIEEE802.11 a/b/gに対応しており、第1の放射部11A,12Aが2.4GHz帯域の共振に対応し、第2の放射部11B,12Bが5GHz帯域の共振に対応している。この場合、第1の放射部11A,12Aの方が対応周波数帯域が低い(波長が長い)ため、第1の放射部11A,12Aが第2の放射部11B,12Bに比べて長くなるように形成されている。
【0024】
同一のグランド部材10に対して備えられ、隣接して配置される2つのアンテナ素子11,12は、アンテナの小型化を図るためにこれらを近接して配置すると。アンテナ素子間での干渉の問題が生じることは従来技術において述べたとおりである。すなわち、図2(a)に示すように、2つのアンテナ素子を十分に離間して配置した場合には、一方のアンテナ素子から発信される高周波信号はグランド部材10等を伝わって他方のアンテナ素子に到達するまでに減衰するため、アンテナ素子間での干渉は生じない。しかしながら、図2(b)に示すように、2つのアンテナ素子を近接して配置した場合には、一方のアンテナ素子から発信される高周波信号は十分に減衰しきれずに他方のアンテナ素子に到達し、アンテナ素子間での干渉が生じる。
【0025】
本実施の形態に係るグランド一体型アンテナでは、隣接する2つのアンテナ素子11,12において、それぞれの素子の内側に位置する放射部の一方側に誘電体13を備えた構成としている。これにより隣接する2つのアンテナ素子の距離をとらなくても、図3に示すように、この誘電体13によって高周波信号を大きく減衰させることができ、素子間の干渉を抑制することができる。
【0026】
上記のようなグランド一体型アンテナは、基本的には材料となる導体板に対して、打ち抜きや折り曲げ等の板金加工を施すことによって製造されるものである。図4は、こうして形成されるグランド一体型アンテナの具体例を示す斜視図である。尚、図4において、14は同軸ケーブルからなる給電用配線であり、アンテナ素子11,12のそれぞれの給電点に接続される。
【0027】
以下の説明では、本発明のグランド一体型アンテナに対してさらに詳細な考察を加える。まずは、隣接する2つのアンテナ素子の配置関係と誘電体の配置箇所とを変更した場合の効果について考察する。すなわち、図1の例では、アンテナ素子11における5GHz帯域の共振に対応する第2の放射部11Bと、アンテナ素子12における2.4GHz帯域の共振に対応する第1の放射部12Aとが内側になるように配置され、誘電体13はこれら2つの放射部のうち低周波側である放射部12A側に備えられている。しかしながら、本発明はこのような例に限定されるものではなく、隣接する2つのアンテナ素子の配置関係と誘電体の配置箇所とを変更してもよい。
【0028】
図5(a),(b)に示す例では、アンテナ素子11における5GHz帯域の共振に対応する第2の放射部11Bと、アンテナ素子12における5GHz帯域の共振に対応する第2の放射部12Bとが内側になるように配置されている。また、図5(a)は誘電体13を備えていない例であり、図5(b)は誘電体13を放射部11B側において備えている例である。図5(a),(b)の例においてアイソレーション係数を計算した結果を以下の表1に示す。尚、アイソレーション係数Aは、下式によって計算できる。
【0029】
A=S21/(1−S11)(1−S22)
S21:アンテナ1からアンテナ2へ漏れた信号量
S11:アンテナ1の反射量
S22:アンテナ2の反射量
【0030】
【表1】
【0031】
先ず、誘電体13を備えない図5(a)の構成では、2.4GHz帯域の共振に対応する2つのアンテナ素子間距離は2.4GHz帯域の周波数の波長と比較して小さい(近接している)ため、2.4GHz帯域に関するアイソレーション係数は比較的大きい値となっている。また、5GHz帯域の共振に対応する2つのアンテナ素子間距離は5GHz帯域の周波数の波長と比較して小さいため5GHz帯域に関するアイソレーション係数も比較的大きい値となっている。
【0032】
一方、誘電体13を放射部11B側において備えた図5(b)の構成では、2.4GHz帯域および5GHz帯域共にアイソレーション係数が低減していることが分かる。すなわち、誘電体13を備えたことによって隣接するアンテナ素子間での干渉が抑制されている。
【0033】
次に、図6(a),(b)に示す例では、アンテナ素子11における5GHz帯域の共振に対応する第2の放射部11Bと、アンテナ素子12における2.4GHz帯域の共振に対応する第1の放射部12Aとが内側になるように配置されている。また、図6(a)は誘電体13を備えていない例であり、図6(b)は誘電体13を放射部11B側において備えている例である。図6(a),(b)の例においてアイソレーション係数を計算した結果を以下の表2に示す。
【0034】
【表2】
【0035】
先ず、誘電体13を備えない図6(a)の構成では、2.4GHz帯域の共振に対応する2つのアンテナ素子間距離は2.4GHz帯域の周波数の波長と比較して小さいため、2.4GHz帯域に関するアイソレーション係数は比較的大きい値となっている。一方、5GHz帯域の共振に対応する2つのアンテナ素子間距離は5GHz帯域の周波数の波長と比較して大きいため5GHz帯域に関するアイソレーション係数は比較的小さい値となっている。
【0036】
一方、誘電体13を放射部11B側において備えた図6(b)の構成では、特に、誘電体13を備えない場合にアイソレーション係数の大きかった2.4GHz帯域でアイソレーション係数が低減していることが分かる。すなわち、誘電体13を備えたことによって隣接するアンテナ素子間での干渉が抑制されている。尚、元々アイソレーション係数の小さかった5GHz帯域では、誘電体13を入れたことによる干渉の抑制効果は小さい。
【0037】
次に、図7(a),(b)に示す例では、アンテナ素子11における2.4GHz帯域の共振に対応する第1の放射部11Aと、アンテナ素子12における2.4GHz帯域の共振に対応する第1の放射部12Aとが内側になるように配置されている。また、図7(a)は誘電体13を備えていない例であり、図7(b)は誘電体13を放射部12A側において備えている例である。図7(a),(b)の例においてアイソレーション係数を計算した結果を以下の表3に示す。
【0038】
【表3】
【0039】
先ず、誘電体13を備えない図7(a)の構成では、2.4GHz帯域の共振に対応する2つのアンテナ素子間距離は2.4GHz帯域の周波数の波長と比較して小さいため、2.4GHz帯域に関するアイソレーション係数は比較的大きい値となっている。一方、5GHz帯域の共振に対応する2つのアンテナ素子間距離は5GHz帯域の周波数の波長と比較して大きいため5GHz帯域に関するアイソレーション係数は比較的小さい値となっている。
【0040】
一方、誘電体13を放射部11A側において備えた図7(b)の構成では、特に、誘電体13を備えない場合にアイソレーション係数の大きかった2.4GHz帯域でアイソレーション係数が低減していることが分かる。すなわち、誘電体13を備えたことによって隣接するアンテナ素子間での干渉が抑制されている。尚、元々アイソレーション係数の小さかった5GHz帯域では、誘電体13を入れたことによる干渉の抑制効果は殆ど無い。
【0041】
また、2.4GHz帯域でのアイソレーション係数の低減量は、図5(b)の例や図6(b)の例に比べてはるかに大きい。これは、図7(b)の例では、誘電体13を2.4GHz帯域の共振に対応する第1の放射部12A側に設けたことによって誘電体13の体積を大きく取ることができ、該誘電体13による高周波信号の減衰効果が向上したためと考えられる。つまり、5GHz帯域の共振に対応する放射部側に誘電体13を設けた場合、5GHz帯域の共振に対応する放射部は2.4GHz帯域の共振に対応する放射部に比べてその長さが短いため、誘電体13も小さくせざるを得なくなり、高周波信号の減衰効果が小さい。
【0042】
次に、図8(a),(b)に示す例では、アンテナ素子11における5GHz帯域の共振に対応する第2の放射部11Bと、アンテナ素子12における2.4GHz帯域の共振に対応する第1の放射部12Aとが内側になるように配置されている。また、図8(a)は誘電体13を備えていない例であり、図8(b)は誘電体13を放射部12A側において備えている例である。図8(a),(b)の例においてアイソレーション係数を計算した結果を以下の表4に示す。
【0043】
【表4】
【0044】
先ず、誘電体13を備えない図8(a)の構成では、2.4GHz帯域の共振に対応する2つのアンテナ素子間距離は2.4GHz帯域の周波数の波長と比較して小さいため、2.4GHz帯域に関するアイソレーション係数は比較的大きい値となっている。一方、5GHz帯域の共振に対応する2つのアンテナ素子間距離は5GHz帯域の周波数の波長と比較して大きいため5GHz帯域に関するアイソレーション係数は比較的小さい値となっている。
【0045】
一方、誘電体13を放射部12A側において備えた図8(b)の構成では、特に、誘電体13を備えない場合にアイソレーション係数の大きかった2.4GHz帯域でアイソレーション係数が低減していることが分かる。すなわち、誘電体13を備えたことによって隣接するアンテナ素子間での干渉が抑制されている。尚、元々アイソレーション係数の小さかった5GHz帯域では、誘電体13を入れたことによる干渉の抑制効果は殆ど無い。
【0046】
また、2.4GHz帯域でのアイソレーション係数の低減量は、図8(b)の例よりも図7(b)の例の方が大きい。しかしながら、これは、図7(b)の例では、2.4GHz帯域の共振に対応する2つのアンテナ素子間距離が図8(b)の例よりも小さく、誘電体13を備えない場合のアイソレーション係数が元々大きかったためである。但し、誘電体13を備えた場合での2.4GHz帯域でのアイソレーション係数のみを比べれば、図7(b)の例よりも図8(b)の例の方が小さい。
【0047】
上記図5〜図8および表1〜表4の結果から明らかなように、アンテナ素子間の干渉をよく制するために設けられる誘電体13は、その体積が大きい方が効果が高い。したがって、誘電体13は、隣接する2つのアンテナ素子11,12において、それぞれの素子の内側に位置する放射部のうち、低周波数帯域の共振周波数帯域を有する放射部側に設けることが好ましい。
【0048】
また、隣接するアンテナ素子間の干渉は、5GHz帯域の高周波信号よりも、対応波長の長い2.4GHz帯域の高周波信号で生じ易い(すなわち低周波数側の信号で生じ易い)。したがって、低周波数側の共振周波数を有する放射部同士を内側に配置することは好ましくなく、一方のアンテナ素子では低周波数側の共振周波数を有する放射部を内側とし、他方のアンテナ素子では高周波数側の共振周波数を有する放射部を内側とし。そして、誘電体13は、それぞれの素子の内側に位置する放射部のうち、低周波数の共振周波数を有する放射部側に設けることが最も好ましい。以上の結果より、図5(b)〜図8(b)に示す例の中で、図8(b)に示す例が最も好適であるといえる。
【0049】
上記の説明においては、アンテナ素子11,12は、高周波数側の共振周波数として5GHz帯域を有し、低周波数側の共振周波数として2.4GHz帯域を有しているが本発明はこれに限定されるものではない。以下の表5は、1.5GHz帯域と3.5GHz帯域の共振に対応するグランド一体型アンテナにおいてアイソレーション係数を計算した結果を示すものである。尚、表5の結果は、隣接する2つのアンテナ素子の配置関係と誘電体の配置箇所とを、図8(b)に示す配置例に合わせた場合に対応している。
【0050】
【表5】
【0051】
先ず、誘電体13を備えない場合では、1.5GHz帯域の共振に対応する2つのアンテナ素子間距離は1.5GHz帯域の周波数の波長と比較して小さいため、1.5GHz帯域に関するアイソレーション係数は比較的大きい値となっている。一方、3.5GHz帯域の共振に対応する2つのアンテナ素子間距離は3.5Gの波長と比較して大きいため3.5GHz帯域に関するアイソレーション係数は比較的小さい値となっている。
【0052】
一方、誘電体13を備えた場合では、特に、誘電体13を備えない場合にアイソレーション係数の大きかった1.5GHz帯域でアイソレーション係数が低減していることが分かる。また、3.5GHz帯域でもアイソレーション係数は低減している。すなわち、誘電体13を備えたことによって隣接するアンテナ素子間での干渉が抑制されている。
【0053】
次に、誘電体13を設ける場合において、誘電体13とアンテナ素子との配置関係について考察する。
【0054】
図9(a)は、誘電体13がアンテナ素子におけるグランド部材と短絡部とを覆う位置に配置された場合を示す。図9(b)は、誘電体13がアンテナ素子における放射部のみを覆う位置に配置された場合を示す。図9(c)は、誘電体13がアンテナ素子における放射部とグランド部材と短絡部とを覆う位置に配置された場合を示す。図9(a)〜(c)の例においてアイソレーション係数を計算した結果(比較のために誘電体無しの場合も示す)を以下の表6に示す。
【0055】
【表6】
【0056】
先ず、誘電体13がグランド部材と短絡部とを覆う(放射部を覆わない)場合には、誘電体無しの場合と比べてアイソレーションの抑制効果は殆ど無い。一方、誘電体13が放射部のみを覆う場合には、誘電体無しの場合と比べてアイソレーションが抑制されており、誘電体13は少なくともアンテナ素子の放射部を覆うように形成されていることが好ましい。また、誘電体13が放射部とグランド部材と短絡部とのすべてを覆う場合には、アイソレーション係数が最も低く、最も好適である。尚、誘電体13は、例えば樹脂を材料とし、板金からなるアンテナ素子を両側から挟みこむように形成することが好適である。
【0057】
次に、誘電体13を設ける場合において、誘電体13とアンテナ素子との配置関係について考察する。
【0058】
また、以上の説明では、アンテナ素子の形状は、短絡部の一部が放射部と平行に配置される、いわゆる逆F字型であるが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、図10(b)に示すように、短絡部が放射部と垂直に配置されるT字型のアンテナ素子21,22を用いたグランド一体型アンテナにも本発明は適用可能である。アンテナ素子21,22のそれぞれは、2.4GHz帯域の共振に対応する第1の放射部21A,22A、5GHz帯域の共振に対応する第2の放射部21B,22B、短絡部21C,22Cを備えている。図10(a)は誘電体13を備えていない例であり、図10(b)は誘電体13を放射部22A側において備えている例である。図10(a),(b)の例においてアイソレーション係数を計算した結果を以下の表7に示す。
【0059】
【表7】
【0060】
先ず、誘電体13を備えない図10(a)の構成では、2.4GHz帯域の共振に対応する2つのアンテナ素子間距離は2.4GHz帯域の周波数の波長と比較して小さいため、2.4GHz帯域に関するアイソレーション係数は比較的大きい値となっている。また、5GHz帯域の共振に対応する2つのアンテナ素子間距離は5GHz帯域の周波数の波長と比較して大きいため5GHz帯域に関するアイソレーション係数は比較的小さい値となっている。
【0061】
一方、誘電体13を放射部22A側において備えた図10(b)の構成では、2.4GHz帯域および5GHz帯域共にアイソレーション係数が低減していることが分かる。すなわち、誘電体13を備えたことによって隣接するアンテナ素子間での干渉が抑制されている。
【0062】
また、上記説明においては、グランド部材に対して2つのアンテナ素子を搭載して場合を例示してきたが、グランド部材に対して3つ以上のアンテナ素子を搭載する場合であっても本発明は適用可能である。この場合は、2つのアンテナ素子が隣接する少なくとも一箇所において誘電体が配置されればよい。
【0063】
本発明に係るグランド一体型アンテナは、例えば移動用情報通信機器等の送受信機器において好適に使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の実施形態を示すものであり、グランド一体型アンテナの概略構成を示す正面図である。
【図2】グランド一体型アンテナにおいて隣接する2つのアンテナ素子間での信号の干渉を示す図であり、(a)は2つのアンテナ素子を離して配置した場合の正面図、(b)の2つのアンテナ素子を近接して配置した場合の正面図である。
【図3】グランド一体型アンテナにおいて隣接する2つのアンテナ素子間での信号の干渉を示す図であり、一方のアンテナ素子に誘電体を配置した場合の正面図である。
【図4】本発明に係るグランド一体型アンテナの形状例を示す斜視図である。
【図5】グランド一体型アンテナにおいて、隣接する2つのアンテナ素子の配置関係と誘電体の配置箇所との一例を示す正面図であり、(a)は誘電体を備えない場合の図、(b)は誘電体を備えた場合の図である。
【図6】グランド一体型アンテナにおいて、隣接する2つのアンテナ素子の配置関係と誘電体の配置箇所との一例を示す正面図であり、(a)は誘電体を備えない場合の図、(b)は誘電体を備えた場合の図である。
【図7】グランド一体型アンテナにおいて、隣接する2つのアンテナ素子の配置関係と誘電体の配置箇所との一例を示す正面図であり、(a)は誘電体を備えない場合の図、(b)は誘電体を備えた場合の図である。
【図8】グランド一体型アンテナにおいて、隣接する2つのアンテナ素子の配置関係と誘電体の配置箇所との一例を示す正面図であり、(a)は誘電体を備えない場合の図、(b)は誘電体を備えた場合の図である。
【図9】(a)〜(c)は、誘電体とアンテナ素子との配置関係の例を示す正面図である。
【図10】グランド一体型アンテナにおいて、隣接する2つのアンテナ素子をT字型形状とした場合のアンテナ素子の配置関係と誘電体の配置箇所との一例を示す正面図であり、(a)は誘電体を備えない場合の図、(b)は誘電体を備えた場合の図である。
【図11】(a)〜(c)は、ノートパソコンにおける複数のアンテナのは一例を示す図である。
【符号の説明】
【0065】
10 グランド部材
11,12,21,22 アンテナ素子
11A,12A,21A,22A 第1の放射部
11B,12B,21B,22B 第2の放射部
11C,12C,21C,22C 短絡部
13 誘電体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
異なる2つの共振周波数帯域を有するアンテナ素子を、同一のグランド部材に複数個配置してなるグランド一体型アンテナにおいて、
上記各アンテナ素子は、一方の共振周波数帯域に対応する第1の放射部と、他方の共振周波数帯域に対応する第2の放射部とを備えており、
2つのアンテナ素子が隣接する箇所では、その隣接部に対してそれぞれのアンテナ素子の内側に位置する放射部の一方に、該放射部と接するように誘電体が配置されることを特徴とするグランド一体型アンテナ。
【請求項2】
上記誘電体が配置される放射部は、その隣接部に対してそれぞれのアンテナ素子の内側に位置する2つの放射部のうち、より低い方の共振周波数帯域に対応する放射部であることを特徴とする請求項1に記載のグランド一体型アンテナ。
【請求項3】
上記2つの共振周波数帯域がIEEE802.11 a/b/gに対応するものであり、
上記誘電体が配置される放射部は、2.4GHz帯域の共振に対応する放射部であることを特徴とする請求項2に記載のグランド一体型アンテナ。
【請求項4】
隣接する2つのアンテナ素子は、一方のアンテナ素子において5GHz帯域の共振に対応する放射部を内側とし、他方のアンテナ素子において2.4GHz帯域の共振に対応する放射部を内側として配置されることを特徴とする請求項3に記載のグランド一体型アンテナ。
【請求項5】
上記各アンテナ素子のアンテナ形状は、上記第1および第2の放射部をグランド部材に接続する短絡部の一部が、上記第1および第2の放射部と平行に配置される逆F字型であることを特徴とする請求項4に記載のグランド一体型アンテナ。
【請求項6】
上記各アンテナ素子のアンテナ形状は、上記第1および第2の放射部をグランド部材に接続する短絡部が、上記第1および第2の放射部と垂直に配置されるT字型であることを特徴とする請求項3に記載のグランド一体型アンテナ。
【請求項7】
上記請求項1から6の何れかに記載のグランド一体型アンテナを備えたことを特徴とする送受信機器。
【請求項1】
異なる2つの共振周波数帯域を有するアンテナ素子を、同一のグランド部材に複数個配置してなるグランド一体型アンテナにおいて、
上記各アンテナ素子は、一方の共振周波数帯域に対応する第1の放射部と、他方の共振周波数帯域に対応する第2の放射部とを備えており、
2つのアンテナ素子が隣接する箇所では、その隣接部に対してそれぞれのアンテナ素子の内側に位置する放射部の一方に、該放射部と接するように誘電体が配置されることを特徴とするグランド一体型アンテナ。
【請求項2】
上記誘電体が配置される放射部は、その隣接部に対してそれぞれのアンテナ素子の内側に位置する2つの放射部のうち、より低い方の共振周波数帯域に対応する放射部であることを特徴とする請求項1に記載のグランド一体型アンテナ。
【請求項3】
上記2つの共振周波数帯域がIEEE802.11 a/b/gに対応するものであり、
上記誘電体が配置される放射部は、2.4GHz帯域の共振に対応する放射部であることを特徴とする請求項2に記載のグランド一体型アンテナ。
【請求項4】
隣接する2つのアンテナ素子は、一方のアンテナ素子において5GHz帯域の共振に対応する放射部を内側とし、他方のアンテナ素子において2.4GHz帯域の共振に対応する放射部を内側として配置されることを特徴とする請求項3に記載のグランド一体型アンテナ。
【請求項5】
上記各アンテナ素子のアンテナ形状は、上記第1および第2の放射部をグランド部材に接続する短絡部の一部が、上記第1および第2の放射部と平行に配置される逆F字型であることを特徴とする請求項4に記載のグランド一体型アンテナ。
【請求項6】
上記各アンテナ素子のアンテナ形状は、上記第1および第2の放射部をグランド部材に接続する短絡部が、上記第1および第2の放射部と垂直に配置されるT字型であることを特徴とする請求項3に記載のグランド一体型アンテナ。
【請求項7】
上記請求項1から6の何れかに記載のグランド一体型アンテナを備えたことを特徴とする送受信機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図4】
【図2】
【図3】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図4】
【公開番号】特開2009−44604(P2009−44604A)
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−209167(P2007−209167)
【出願日】平成19年8月10日(2007.8.10)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年8月10日(2007.8.10)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]