説明

ケース体およびケース体の組み付け方法

【課題】シャーシとケースとの間の位置決めが容易であり、これらの組み付けの際に、取付部材に傷が生じるのを防止可能なケース体およびケース体の組み付け方法を提供すること。
【解決手段】底壁21および該底壁21の周縁部から立設される複数の側壁22を有すると共に、取付部材が取り付けられるシャーシ20と、シャーシ20に取り付けられる取付部材40と、シャーシ20に取り付けられると共に、取付部材40のうち底壁21に対して接離する立設面42a側およびこの立設面42aと交差する方向の天面42b側の少なくとも一方を外部に露出させるための開口部33,34を具備するケース30と、シャーシ20に設けられると共に、ケース30のシャーシ20に対する取り付けに際して、ケース30の位置ずれを吸収するための取付ガイド手段226と、を具備している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケース体およびケース体の組み付け方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、サテライトチューナラジオを始めとする、各種の電子機器においては、認証用のカートリッジが差し込まれる、樹脂成型部材が外部に露出するものがある。図5は、このようなケース体の一例を示す図である。図5に示すように、シャーシ1に取り付けられた樹脂成型部材2の側面は、側壁の間の部位に存在する周壁開口部3から、外部に露出している。また、シャーシ1には、ケース4が取り付けられる。ケース4には、周壁開口部3の他に上壁開口部5が設けられている。そのため、樹脂成型部材2の上面は、この上壁開口部5から外部に露出している。
【0003】
ここで、シャーシ1に対してケース4を取り付ける場合、図5に示すように、ケース4をシャーシ1に向けて下降させている。このとき、目視にて、シャーシ1とケース4との間のおおまかな位置決めを行い、その後、ケース4をシャーシ1に向けて被せるように下降させ、シャーシ1とケース4との間の組み付けを行っている。
【0004】
ところで、ケース4の周壁開口部3に、図6において破線で示されるような縁辺6が存在する場合、ケース4をシャーシ1に向けて被せる際に、当該縁辺6が樹脂成型部材2にぶつかってしまい、樹脂成型部材2を傷つけてしまう、という問題が発生する。そのため、現状の製品では、ケース4には、縁辺6が設けられていない状態となっている。
【0005】
なお、シャーシに対してケースを組み付ける先行技術としては、特許文献1に示すものがある。
【0006】
【特許文献1】実開平5−85080号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述のような縁辺が省略される構成では、ケース4のうち、特にA部における強度が弱くなり、そのA部において変形が生じ易い、という問題がある。そのため、強度面からすると、縁辺6が存在するのが好ましい。しかしながら、現状では、上述したように、組み付けの際に樹脂成型部材2に傷が生じ、製品不良となってしまう確率が高くなるので、縁辺6を設けることは困難となっている。また、縁辺6が存在しないケース4においても、目視での位置決めは難しく、そのため周壁開口部3の隅角部が樹脂成型部材2にぶつかってしまい、当該樹脂成型部材2に傷を生じさせてしまう場合がある。
【0008】
なお、特許文献1には、シャーシとケースを組み付ける手法は開示されているものの、上述の問題を解決する手法は何等開示されていない。
【0009】
本発明は上記の事情にもとづきなされたもので、その目的とするところは、シャーシとケースとの間の位置決めが容易であり、これらの組み付けの際に、取付部材に傷が生じるのを防止可能なケース体およびケース体の組み付け方法を提供しよう、とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明は、底壁および該底壁の周縁部から立設される複数の側壁を有すると共に、取付部材が取り付けられるシャーシと、シャーシに取り付けられると共に、取付部材のうち底壁に対して接離する立設面側およびこの立設面と交差する方向の天面側の少なくとも一方を外部に露出させるための開口部を具備するケースと、シャーシに設けられ側壁の一部を底壁と向かい合う側に傾斜させることにより構成されるテーパ部を有し、ケースのシャーシに対する取り付けに際して、ケースの位置ずれを吸収するための取付ガイド手段と、を具備するものである。
【0011】
また、他の発明は、上述の発明に加えて更に、底壁は、平面視した場合の形状が略矩形に設けられていると共に、側壁は、フロント側壁と、このフロント側壁と対向する周縁部に設けられるバック側壁と、を有していて、テーパ部は、バック側壁に設けられる後方テーパ部を有していて、後方テーパ部は、ケースのシャーシに対する取り付けに際して、ケースのうちフロント側壁側かつ底壁側を支点としてシャーシ側に密接させて当該ケースを回動させる場合に、バック側壁のうち底壁から離間する端部に衝突可能に設けられているものである。
【0012】
さらに、他の発明は、上述の発明に加えて更に、側壁は、さらにフロント側壁およびバック側壁に対して略垂直を為す周縁部に設けられる一対のサイド側壁を有していて、テーパ部は、さらにサイド側壁に設けられる側方テーパ部を有していて、この側方テーパ部により、ケースのシャーシに対する取り付けに際して、一対のサイド側壁を結ぶ方向の位置ずれを吸収可能としているものである。
【0013】
また、他の発明は、上述の各発明に加えて更に、開口部には、取付部材の立設面側を外部に露出させるための周壁開口部と、取付部材の天面側を外部に露出させるための天面開口部とが存在すると共に、シャーシには、周壁開口部に対応する位置が開放していると共に取付部材の側面を外部に露出させるための切欠部を有していて、取付部材は、周壁開口部、天面開口部および切欠部を介して、外部に突出する突出部を有しているものである。
【0014】
さらに、他の発明は、上述の発明に加えて更に、取付部材は、ケースのうち周壁開口部よりも天面から離間させる側を開口させずに残存させている縁辺を有していて、縁辺は、突出部よりも天面から離間する側に位置しているものである。
【0015】
また、他の発明は、底壁および該底壁の周縁部から立設されるフロント側壁および該フロント側壁と対向するバック側壁とを有すると共に、このバック側壁に底壁と向かい合う側に傾斜している後方テーパ部を有し、かつ取付部材が取り付けられるシャーシと、取付部材のうち底壁に対して接離する立設面側およびこの立設面と交差する方向の天面側を外部に露出させるための開口部を具備するケースと、を具備するケース体の組み付け方法であって、ケースを傾斜させて、このケースのうち天面から離間する側であって立設面を外部に露出させるための開口部が存在する周壁側をフロント側壁のうち底壁側に密接させ、ケースのうちシャーシに密接させている部位を支点としてケースを回動させ、この回動によって開口部と対向する周壁側を後方テーパ部に衝突させ、さらに開口部と対向する周壁側を押し込み、当該周壁およびバック側壁を撓み変形させながらケースを回動させるものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明によると、シャーシとケースとの間の位置決めが容易となり、これらの組み付けの際に、取付部材に傷が生じるのを防止可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の一実施の形態に係るケース体11を具備する、サテライトチューナラジオを始めとする電子機器10について、図1から図4に基づいて説明する。図1は、シャーシ20とケース30が分離された状態を示す斜視図である。図1に示すように、ケース体11は、シャーシ20と、ケース30とを具備している。
【0018】
シャーシ20は、底壁21と、複数の側壁22とを有している。これらのうち、底壁21は電子機器10の基準となる部位であり、各種の回路基板や部材が取り付けられる。また、複数の側壁22には、フロント側壁221と、サイド側壁222A,222Bと、バック側壁223とが存在する。これらのうち、フロント側壁221は、本実施の形態では、図1において、シャーシ20の前面のうち、左側の部位にのみ設けられている。そのため、フロント側壁221の矢示X方向における長さ寸法は、当該シャーシ20の前面のX方向に沿う幅寸法よりも十分に小さく設けられている。それによって、シャーシ20の前面のうち、フロント側壁221が存在しない部位には、切欠部224が形成される状態となっている。
【0019】
なお、本実施の形態では、フロント側壁221の長さ寸法は、シャーシ20の前面の幅寸法の1/2以下となっている。また、フロント側壁221の高さ寸法(矢示Z方向における寸法)は、ケース30を組み付けた際の、当該ケース30の高さ方向の位置決めが為される程度の高さ寸法となっている。
【0020】
また、一対のサイド側壁222A,222Bは、シャーシ20の底壁21のうち、X方向におけるそれぞれの端部に設けられていて、Y方向に沿うように設けられている。また、サイド側壁222の高さ寸法は、フロント側壁221と同程度となっていて、ケース30の高さ方向の位置決めを行うことが可能となっている。加えて、サイド側壁222A,222Bの上方側には、取付ガイド手段およびテーパ部の一部に相当する側方テーパ部225が設けられている。側方テーパ部225は、ケース30をシャーシ20に組み付ける際の、X方向におけるガイドとして機能する部位である。
【0021】
この側方テーパ部225は、サイド側壁222A,222Bのうち側方テーパ部225以外の部位に対して、所定の角度α(図1参照)だけ傾斜している。しかも、側方テーパ部225は、上方に向かうにつれて、他方のサイド側壁222B,222Aに徐々に近接する向きに傾斜している。なお、側方テーパ部225が側方テーパ部225以外のサイド側壁222A,222Bと為す、所定の角度αの角度範囲として好適なものとしては、5〜15度とするものがある。しかしながら、側方テーパ部225の傾斜角度αは、これには限られず、15度以上の90度未満の傾斜角度を有していても良い。
【0022】
また、側方テーパ部225は、サイド側壁222の高さ方向のうち、底壁から2/3以上の高さとなっている位置から、傾斜している。しかしながら、側方テーパ部225の傾斜が開始される位置(側方テーパ部225の付け根の位置)は、底壁から2/3以上の高さ位置には限られず、種々設定可能である。
【0023】
また、図1に示す例では、サイド側壁222A,222Bは、シャーシ20のY方向(奥行き方向)の全体に亘って設けられる必要はなく、部分的に存在しているが、奥行き方向の全体に亘って設けるようにしても良い。加えて、左右のサイド側壁222A,222Bは、右側のサイド側壁222Aの途中部分に切り欠いた部分が存在するのに対して左側のサイド側壁222Bに切り欠いた部分が存在しない等、左右で異なる形状となっているが、左右で同一の形状としても良い。
【0024】
また、バック側壁223は、図1および図2に示すように、底壁21の背面側に設けられている。このバック側壁223は、その高さ寸法が、後述する後方テーパ部226を含めても、フロント側壁221、サイド側壁222A,222Bよりも低く設けられている。しかしながら、後方テーパ部226がケース30の取り付けの際のガイドとして機能するものであれば、バック側壁223の高さ寸法は、フロント側壁221およびサイド側壁222A,222Bと同程度であっても良い。
【0025】
図1および図2に示すように、バック側壁223の上方側にも、サイド側壁222A,222Bと同様に、取付ガイド手段およびテーパ部の一部に相当する後方テーパ部226が設けられている。後方テーパ部226は、その上方側に向かうにつれて、フロント側壁221に徐々に近接する向きに傾斜している。ここで、バック側壁223の後方テーパ部226は、サイド側壁222A,222Bの後方テーパ部226に対して、その傾斜角度β(図2参照)が大きく設けられている。この傾斜角度βの一例としては、40度とするものがある。しかしながら、後方テーパ部226の傾斜角度βは、これには限られない。なお、傾斜角度βの好適な範囲としては、25度〜55度とするものがある。
【0026】
また、後方テーパ部226の高さ方向に向かう突出寸法は、図2に示すようにケース30を回動させた場合に、ケース30の下端部が衝突する程度に設けられている。なお、本実施の形態では、ケース30の下端部を後方テーパ部226に確実に衝突させるべく、後方テーパ部226の長さ寸法は、所定の余裕を持つ長さ寸法に設けられている。
【0027】
また、本実施の形態では、後方テーパ部226は、X方向に沿って2つ設けられている。しかしながら、後方テーパ部226の個数は、2つには限られず、3つ以上存在していても良く、1つのみ存在していても良い。
【0028】
続いて、ケース30の構成について説明する。ケース30は、上壁31と、複数の周壁32とを有している。また、周壁32には、フロント周壁321と、サイド周壁322A,322Bと、バック周壁323とが設けられている。そのため、ケース30は、下方が開放している箱形状に設けられている。また、ケース30のうち、上壁31には、天面開口部33(開口部の一部に相当)が設けられていて、さらにフロント周壁321には、周壁開口部34(開口部の一部に相当)が設けられている。これら天面開口部33と周壁開口部34とは、互いに位置合わせされた状態で連なっている。そのため、樹脂成型部材40を取り付けた場合に、当該樹脂成型部材40が外部に露出可能となっている。
【0029】
ここで、フロント周壁321のうち、周壁開口部34の下方には、縁辺35(取付ガイド手段の一部に相当)が存在している。すなわち、本実施の形態では、図5に示すような周壁開口部(縁辺が存在しないもの)とは異なり、周壁開口部34は下端まで突っ切らなく、フロント周壁321の下端から所定だけ上側の部位まで形成されている。
【0030】
なお、シャーシ20および/またはケース30には、その他、切り欠き、孔部、ネジ孔、リブ等が、必要に応じて種々形成されている。
【0031】
図3に示す樹脂成型部材40は、取付部材に対応し、図4に示すように、シャーシ20に取り付けられる。この樹脂成型部材40は、樹脂を材質とする成型品であり、シャーシ20の孔部に対して例えばネジを介して取り付けられる。また、樹脂成型部材40は、前面側(フロント側)および上面側のそれぞれに、周縁部41と、露出部42とを有している。これらのうち、周縁部41は、ケース30の裏面側に接触する部位である。また、露出部42は、突出部に相当し、周縁部41よりも前方または上方に向かって突出して設けられている。そのため、周縁部41と露出部42との間には、段差が設けられている。
【0032】
ここで、露出部42のうち、フロント側の露出部42a(立設面に相当)は、ケース30のフロント周壁321の前面321aと面一か、または前面321aよりも前方側に向かって僅かに突出するように設けられている。加えて、上面側の露出部42b(天面に相当)は、ケース30の上壁31の上面31aと面一か、または上面31aよりも上方に向かって僅かに突出するように設けられている。
【0033】
また、樹脂成型部材40は、カートリッジ読み取り部の構成要素の一部である。そのため、樹脂成型部材40には、認証用のカートリッジが差し込まれる、差し込み部43が設けられている。かかるカートリッジの差し込みを実現すべく、樹脂成型部材40は、フロント側および上面側に露出する構成となっている。
【0034】
<組み付け方法に関して>
以上のような構成を有する、電子機器10のケース体11を組み付ける、組み付け方法について、以下に説明する。
【0035】
まず、樹脂成型部材40を始めとする、各種の部材をシャーシ20に取り付ける。すると、樹脂成型部材40は、シャーシ20のフロント側壁221の前面221aよりも、若干前方に突出する状態となる。この状態で、シャーシ20の組付けを行う。その組み付けに際しては、ケース30とシャーシ20のX方向におけるおおまかな位置合わせを行う(図1参照)。
【0036】
その後、ケース30のうち、縁辺35側を最も下となるようにケース30を傾けて、さらにケース30をシャーシ20に向けて下降させる。すると、ケース30とシャーシ20との間で、幅方向(X方向)における位置ずれが生じている場合、側方テーパ部225には、サイド周壁322A,322Bの下端部が衝突する。その衝突後、さらにケース30を下降させると、当該ケース30は、側方テーパ部225によってガイドされ、幅方向(X方向)における位置ずれが吸収される。
【0037】
ここで、上述のようにケース30を下降させる場合、縁辺35がフロント側壁221と接触しないよう、縁辺35をフロント側壁221よりも前方側に位置させる。そして、ケース30の下降が終了した後に、縁辺35がフロント側壁221に接触するように、ケース30を後方にずらすようにする。しかしながら、ケース30を後方にずらさないようにしても良い。また、かかるケース30の下降が終了した後に、縁辺35を樹脂成型部材40の下側に位置させる。このとき、図2において破線で示すように、フロント周壁321と上壁31とが為す隅角部Cが、最も前側に位置する状態で、縁辺35を樹脂成型部材40の下側に位置させる。
【0038】
続いて、ケース30を、図2において時計回りとなる向きに回動させる。このとき、縁辺35がシャーシ20に接触する状態を維持し、この縁辺35の下辺が回動の支点となるようにする。すると、バック周壁323の下端部323aの描く軌跡は、円弧状となる。また、下端部323aが円弧状の軌跡を描きながらケース30が所定だけ回動したときに、下端部323aが後方テーパ部226に衝突する。この衝突後、さらにケース30の回動を継続すると、後方テーパ部226を含めたバック側壁223は奥行き方向で手前側に撓むと共に、ケース30のバック周壁323は奥行き方向の奥側に撓む。
【0039】
なお、かかる撓みが発生する際には、縁辺35側は、撓みの反力によって上方に向かって浮き上がろうとする。しかしながら、縁辺35がシャーシ20に接触する状態を維持すれば、縁辺35の上辺側が露出部42aの下端にぶつかる。すなわち、縁辺35が露出部42aの下端に引っ掛かり、ケース30のうち縁辺35側の浮き上がりが防止される。
【0040】
そして、回動の継続により、下端部323aが後方テーパ部226の付け根の部分を通過した後には、回動するにつれてバック側壁223およびバック周壁323の撓みは徐々に少なくなる。そして、回動するにつれて、天面開口部33の縁部の裏側が、露出部42bの上側よりも低くなり、最終的には天面開口部33の裏側が、周縁部41に接触する。ケース30の回動において、天面開口部33の縁部は、露出部42bに衝突しない状態となっている。また、天面開口部33の裏側が、周縁部41に接触する最終的な状態では、ケース30がシャーシ20に対して平行となるが、このとき、バック側壁223およびバック周壁323の撓みが存在しない状態となる。
【0041】
その後、ネジ等によって、ケース30とシャーシ20との間を固定し、その他必要な部材の取り付けを行う。それにより、電子機器10が完成する。
【0042】
<本発明の適用による効果>
以上のような構成のケース体11、およびケース体11の組み付け方法によれば、後方テーパ部226を有している。このため、下端部323aを後方テーパ部226に衝突させ、さらにケース30を回動させながら取り付ければ、ケース30の多少の位置ずれを吸収しつつ、ケース体11を組み付けることが可能となる。その際、樹脂成型部材40の露出部42にケース30が接触するのを防止しつつ、ケース30をシャーシ20に取り付けることが可能となる。そのため、ケース30によって露出部42に傷を生じさせるのを防止可能となり、製品不良となるのを防止可能となる。
【0043】
また、本実施の形態では、ケース30に縁辺35が存在している。そのため、ケース30の強度を維持可能となっている。特に、ケース30に変形が生じ難いため、当該ケース30の初期の形状を維持可能となるので、シャーシ20にケース30を取り付ける際に、ケース30の変形による位置ずれが生じてしまい、樹脂成型部材40に傷が生じてしまう、といった事態を防止することが可能となる。加えて、縁辺35が存在する構成でありながらも、ケース30をシャーシ20に取り付ける際に、樹脂成型部材40に傷が生じるのを防止可能となっている。
【0044】
また、本実施の形態のように、天面開口部33および周壁開口部34といった、2面に亘って開口部を有するケース30であっても、露出部42に傷が生じない状態で簡易に取り付けることが可能となる。
【0045】
さらに、本実施の形態では、シャーシ20には、側方テーパ部225も設けられている。そのため、ケース30の幅方向(X方向)における位置ずれも、側方テーパ部225によって吸収可能となり、シャーシ20にケース30を取り付ける場合に、良好にガイド可能となる。
【0046】
また、本実施の形態では、縁辺35を露出部42aの下端に当接させ(引っ掛けて)、その後、縁辺35の下端側の当接部位を支点として、ケース30を回動させて、ケース30のシャーシ20に対する組み付けを行うようにしている。そのため、組み付け方法を簡素化することが可能となり、生産効率を向上させることが可能となる。
【0047】
さらに、本実施の形態では、後方テーパ部226の傾斜角度βは、側方テーパ部225の傾斜角度αよりも大きく設けられている。そのため、後方テーパ部226は、下端部323aに衝突し易い状態となり、ケース30のシャーシ20に対する組み付けを良好にガイドさせることが可能となる。
【0048】
<変形例>
以上、本発明の一実施の形態について説明したが、本発明はこれ以外にも種々変形可能となっている。以下、それについて述べる。
【0049】
上述の実施の形態においては、ケース体11をサテライトチューナラジオを始めとする電子機器10に適用した場合について述べている。しかしながら、ケース体11は、サテライトチューナラジオを始めとする電子機器10に適用される場合には限られず、樹脂成型部材40のような取付部材が突出する状態で露出させる必要のある、各種機器に適用することが可能となる。
【0050】
なお、サテライトチューナラジオ以外の電子機器10の例としては、オーディオ装置、カーナビゲーション装置、携帯電話装置を始めとする無線装置、カードリーダ装置、映像や音声を記録可能な情報記録装置、電源装置、コンピュータ等がある。また、電子機器10以外の機器としては、各種の物を収納するための収納機器、各種のおもちゃ等がある。
【0051】
また、上述の実施の形態では、ケース30は、天面開口部33および周壁開口部34の2面の開口部を有する構成となっている。しかしながら、樹脂成型部材40が、1面のみ露出させれば良い構成の場合、天面開口部33または周壁開口部34のいずれか一方の開口部のみを備える構成としても良い。
【0052】
さらに、上述の実施の形態では、取付ガイド手段には、側方テーパ部225、後方テーパ部226、および縁辺35が相当している。しかしながら、これらのうち、少なくとも後方テーパ部226が存在すれば良く、そのため後方テーパ部226のみが存在する構成を採用しても良い。この場合には、後方テーパ部226が取付ガイド手段に相当する。
【0053】
また、上述の実施の形態では、取付部材として樹脂成型部材40を用いる場合について説明している。しかしながら、取付部材は、樹脂成型部材40には限られず、種々のものを適用可能である。例えば、ガラス製品、表面にめっき等のコーティングが施された製品、表面が研磨加工が施された製品等が代表例として挙げられる。
【0054】
また、上述の実施の形態における縁辺35を省略する構成を採用しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明のケース体およびケース体の組み付け方法は、サテライトチューナラジオを始めとする各種の機器の分野において利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の一実施の形態に係るケース体の構成を示す分解斜視図である。
【図2】ケース体の組み付けの途中段階を示す側面図である。
【図3】樹脂成型部材の構成を示す斜視図である。
【図4】ケース体の組み付けの途中段階を示す斜視図である。
【図5】従来のケース体の組み付け方法を示す斜視図である。
【図6】従来のケースの構成を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0057】
10…電子機器
11…ケース体
20…シャーシ
21…底壁
22…側壁
221…フロント側壁
222A,222B…サイド側壁
223…バック側壁
224…切欠部
225…側方テーパ部(取付ガイド手段およびテーパ部の一部に相当)
226…後方テーパ部(取付ガイド手段およびテーパ部の一部に相当)
30…ケース
31…上壁
32…周壁
321…フロント周壁
322A,322B…サイド周壁
323…バック周壁
33…天面開口部(開口部の一部に相当)
34…周壁開口部(開口部の一部に相当)
35…縁辺(取付ガイド手段の一部に相当)
40…樹脂成型部材(取付部材に相当)
41…周縁部
42…露出部
C…隅角部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底壁および該底壁の周縁部から立設される複数の側壁を有すると共に、取付部材が取り付けられるシャーシと、
上記シャーシに取り付けられると共に、上記取付部材のうち上記底壁に対して接離する立設面側およびこの立設面と交差する方向の天面側の少なくとも一方を外部に露出させるための開口部を具備するケースと、
上記シャーシに設けられ上記側壁の一部を上記底壁と向かい合う側に傾斜させることにより構成されるテーパ部を有し、上記ケースの上記シャーシに対する取り付けに際して、上記ケースの位置ずれを吸収するための取付ガイド手段と、
を具備することを特徴とするケース体。
【請求項2】
前記底壁は、平面視した場合の形状が略矩形に設けられていると共に、
前記側壁は、フロント側壁と、このフロント側壁と対向する前記周縁部に設けられるバック側壁と、を有していて、
前記テーパ部は、上記バック側壁に設けられる後方テーパ部を有していて、
上記後方テーパ部は、前記ケースの前記シャーシに対する取り付けに際して、前記ケースのうち上記フロント側壁側かつ前記底壁側を支点として前記シャーシ側に密接させて当該ケースを回動させる場合に、上記バック側壁のうち前記底壁から離間する端部に衝突可能に設けられている、
ことを特徴とする請求項1記載のケース体。
【請求項3】
前記側壁は、さらに前記フロント側壁および前記バック側壁に対して略垂直を為す前記周縁部に設けられる一対のサイド側壁を有していて、
前記テーパ部は、さらに前記サイド側壁に設けられる側方テーパ部を有していて、
この側方テーパ部により、前記ケースの前記シャーシに対する取り付けに際して、一対の上記サイド側壁を結ぶ方向の位置ずれを吸収可能としている、
ことを特徴とする請求項2記載のケース体。
【請求項4】
前記開口部には、前記取付部材の前記立設面側を外部に露出させるための周壁開口部と、前記取付部材の前記天面側を外部に露出させるための天面開口部とが存在すると共に、
前記シャーシには、上記周壁開口部に対応する位置が開放していると共に前記取付部材の側面を外部に露出させるための切欠部を有していて、
前記取付部材は、上記周壁開口部、上記天面開口部および上記切欠部を介して、外部に突出する突出部を有している、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のケース体。
【請求項5】
前記取付部材は、前記ケースのうち前記周壁開口部に隣接する部位であって前記天面開口部から離間させる部位を開口させずに残存させている縁辺を有していて、
上記縁辺は、前記突出部よりも前記天面から離間する側に位置している、
ことを特徴とする請求項4記載のケース体。
【請求項6】
底壁および該底壁の周縁部から立設されるフロント側壁および該フロント側壁と対向するバック側壁とを有すると共に、このバック側壁に上記底壁と向かい合う側に傾斜している後方テーパ部を有し、かつ取付部材が取り付けられるシャーシと、上記取付部材のうち上記底壁に対して接離する立設面側およびこの立設面と交差する方向の天面側を外部に露出させるための開口部を具備するケースと、
を具備するケース体の組み付け方法であって、
上記ケースを傾斜させて、このケースのうち上記天面から離間する側であって上記立設面を外部に露出させるための開口部が存在する周壁側を上記フロント側壁のうち上記底壁側に密接させ、
上記ケースのうち上記シャーシに密接させている部位を支点として上記ケースを回動させ、この回動によって上記開口部と対向する周壁側を上記後方テーパ部に衝突させ、
さらに上記開口部と対向する周壁側を押し込み、当該周壁および上記バック側壁を撓み変形させながら上記ケースを回動させる、
ことを特徴とするケース体の組み付け方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−267264(P2009−267264A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−117773(P2008−117773)
【出願日】平成20年4月28日(2008.4.28)
【出願人】(000003595)株式会社ケンウッド (1,981)
【Fターム(参考)】