コネクタ付光ファイバコード牽引治具及び方法
【課題】本発明の課題は、ワイヤクリップにより保護キャップを取り付けた光コネクタを牽引することにより、簡単な構成で作業性よくコネクタ付光ファイバコードを牽引するコネクタ付光ファイバコード牽引治具を提供することにある。
【解決手段】本発明は、コネクタ付光ファイバコードを配線する際にコネクタ付光ファイバコードを牽引する治具であって、コネクタ付光ファイバコードの一端に取り付けられたSCコネクタ本体10の先端部分を保護するキャップ12と、SCコネクタ本体10と保護キャップ12を固定するワイヤクリップ13で構成され、ワイヤクリップ13に回動自在に設けられた、牽引索19が取り付けられる牽引索取付部11を具備することを特徴とするものである。
【解決手段】本発明は、コネクタ付光ファイバコードを配線する際にコネクタ付光ファイバコードを牽引する治具であって、コネクタ付光ファイバコードの一端に取り付けられたSCコネクタ本体10の先端部分を保護するキャップ12と、SCコネクタ本体10と保護キャップ12を固定するワイヤクリップ13で構成され、ワイヤクリップ13に回動自在に設けられた、牽引索19が取り付けられる牽引索取付部11を具備することを特徴とするものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバコードの端部に光コネクタが設けられたコネクタ付光ファイバコードを、例えば屋内の配管等に布設・配線する際にコネクタ付光ファイバコードを牽引するためのコネクタ付光ファイバコード牽引治具及び方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
光ファイバコードを布設・配線を行う場合には、配線を行うルートあるいは配管にあらかじめ牽引索、すなわちロープやワイヤを布設しておき、その牽引索と布設を行う光ファイバコードを結合し、牽引索を巻き取ることにより光ファイバコードが布設される。
【0003】
近年は光ファイバコードの先端に光コネクタがついた状態で布設するものも提案されている。光ファイバの牽引装置としては、特許文献1のようなものがある。
【0004】
従来の牽引索と光ファイバコードとの接続に用いる牽引用具においては、SC(Single fiber Coupling)コネクタの把持に係止片を用いる方法であるため、部材数が多く、結果として管路径に対して長く、大きい物となり、管路の凹凸部分や曲がりの部分にて掛かりにより牽引が困難になり、またそれにより、光コネクタ部分及び光ファイバが破損する可能性もあった。また、牽引治具を構成する部品点数が多く、かつ高価な材質や高価な加工方法が求められるものであり、コストが高くなるという問題点があった。
【0005】
さらに、光コネクタハウジングの突起部に牽引治具を掛けて光ファイバコードを牽引するという方法は、突起部への負荷が大きくなり、光コネクタハウジングが破損する可能性があるのと、それによる牽引時の安定性を欠くという問題があった。
【0006】
【特許文献1】特開平9−127345号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたもので、ワイヤクリップにより保護キャップを光コネクタ先端部に容易に取り付けることができ、保護キャップにより光コネクタ先端部の破損を防止し、且つワイヤクリップにより保護キャップが取り付けられた光コネクタを牽引することにより、簡単な構成で作業性よくコネクタ付光ファイバコードを牽引することができ、コネクタ付光ファイバコードの布設・配線作業の作業性を向上できると共に、部品点数を少なくして小型化・細径化を行い得るコネクタ付光ファイバコード牽引治具及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明は、光ファイバコードの端部に光コネクタが設けられたコネクタ付光ファイバコードを配線する際にコネクタ付光ファイバコードを牽引するためのコネクタ付光ファイバコード牽引治具であって、コネクタ付光ファイバコードの光コネクタ先端部に配置された保護キャップと、前記コネクタ付光ファイバコードの光コネクタと前記保護キャップを固定するワイヤクリップと、前記ワイヤクリップに回動自在に設けられ、牽引索が取り付けられる牽引索取付部とを具備することを特徴とするものである。
【0009】
また本発明は、前記コネクタ付光ファイバコード牽引治具において、保護キャップとして、ワイヤクリップの一部を挿入するための溝が設けられた保護キャップを用いることを特徴とするものである。
【0010】
また本発明は、前記コネクタ付光ファイバコード牽引治具において、保護キャップとして、コネクタ付光ファイバコードの光コネクタの両側面に設けられた溝にそれぞれ嵌合されるアーム部を一体に有する保護キャップを用いることを特徴とするものである。
【0011】
また本発明は、前記コネクタ付光ファイバコード牽引治具において、ワイヤクリップとして、保護キャップの先端面及びアーム部外面、光コネクタの上面及び後端面に当接されるワイヤクリップを用いることを特徴とするものである。
【0012】
また本発明は、前記コネクタ付光ファイバコード牽引治具において、ワイヤクリップとして、コネクタ付光ファイバコードの光コネクタハウジングとブーツの間に掛けられる爪部を両端部に有するU字状のワイヤクリップを用いることを特徴とするものである。
【0013】
また本発明は、前記コネクタ付光ファイバコード牽引治具において、ワイヤクリップとして、2つの長方形のそれぞれ一方の短辺を共通として共通部としたV字状のワイヤクリップを用いることを特徴とするものである。
【0014】
また本発明は、光ファイバコードの端部に光コネクタが設けられたコネクタ付光ファイバコードを配線する際にコネクタ付光ファイバコードを牽引するためのコネクタ付光ファイバコード牽引治具であって、コネクタ付光ファイバコードの光コネクタ先端部に配置された保護キャップと、前記コネクタ付光ファイバコードの光コネクタと前記保護キャップを固定する複数のU字状のワイヤクリップと、前記保護キャップに回動自在に設けられ、牽引索が取り付けられる牽引索取付部とを具備することを特徴とするものである。
【0015】
また本発明は、前記コネクタ付光ファイバコード牽引治具において、ワイヤクリップとして、ばね材よりなるワイヤクリップを用いることを特徴とするものである。
【0016】
また本発明のコネクタ付光ファイバコード牽引方法は、前記コネクタ付光ファイバコード牽引治具を用い、ワイヤクリップにより保護キャップをコネクタ付光ファイバコードの光コネクタに取り付けて後、コネクタ付光ファイバコードに牽引索取付部を介して牽引索を接続し、その後、牽引索によりコネクタ付光ファイバコードを牽引することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明のコネクタ付光ファイバコード牽引治具及び方法は、ワイヤクリップにより保護キャップを光コネクタ先端部に容易に取り付けることができ、保護キャップにより光コネクタ先端部の破損を防止し、且つワイヤクリップにより保護キャップが取り付けられた光コネクタを牽引することにより、簡単な構成で作業性よくコネクタ付光ファイバコードを牽引することができ、コネクタ付光ファイバコードの布設・配線作業の作業性を向上できると共に、部品点数を少なくして小型化・細径化を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。本発明の実施の形態では光コネクタの一例としてSCコネクタを用いて説明する。
【0019】
図1は本発明の第1の実施形態に係るコネクタ付光ファイバコード牽引治具を示す斜視図、図2(a)は本発明の第1の実施形態に係るコネクタ付光ファイバコード牽引治具の保護キャップを示す斜視図、図2(b)は本発明の第1の実施形態に係るコネクタ付光ファイバコード牽引治具のワイヤクリップを示す斜視図、図3は本発明の第1の実施形態に係るコネクタ付光ファイバコード牽引治具の使用方法を示す説明図である。
【0020】
図1〜図3において、10はSCコネクタ本体、11は牽引索取付部、12は保護キャップ、13はワイヤクリップ、14はブーツ、15はワイヤクリップ固定溝、16はアーム部、17は上部つまみ部、18は光ファイバコード、19は牽引索である。
【0021】
図1に示すように、光ファイバコード18の一端にはSCコネクタ本体10及びブーツ14が取り付けられてコネクタ付光ファイバコードが構成される。前記SCコネクタ本体10の先端部には保護キャップ12が配置され、前記保護キャップ12とSCコネクタ本体10はワイヤクリップ13により固定される。前記ワイヤクリップ13の先端中央部には牽引索取付部11が回動自在にして取り付けられ、前記牽引索取付部11には例えばロープもしくはワイヤ等の牽引索19が取り付けられる。
【0022】
前記保護キャップ12は、図2(a)に示すように、先端面に丸みをもたせたかまぼこ状の保護キャップ本体の先端部にワイヤクリップ固定溝15が軸方向に設けられると共に、前記かまぼこ状の保護キャップ本体の両側後端部にそれぞれ板状のアーム部16が左右対称に一体に突出して設けられる。
【0023】
前記ワイヤクリップ13は、図2(b)に示すように、ループ状のばね材よりなる線材を曲げて形成される。
【0024】
すなわち、図1に示すように、SCコネクタ本体10の先端部両側面には左右対称に溝が設けられ、前記SCコネクタ本体10の先端部両側面の溝には保護キャップ12のアーム部16が挿入されてSCコネクタ本体10と保護キャップ12が嵌合する。その後、ワイヤクリップ13が保護キャップ12のワイヤクリップ固定溝15に挿入されと共に、保護キャップ12のアーム部16外面、SCコネクタ本体10の上面及び後端面に当接されるようにして取り付けられる。前記ワイヤクリップ13には牽引索取付部11が回動自在に取り付けられ、縒り戻しを一体化させる。前記牽引索取付部11には例えばロープもしくはワイヤ等の牽引索19が取り付けられる。
【0025】
前記ワイヤクリップ13がSCコネクタ本体10と保護キャップ12に取り付けられる方法を説明すると、先ず、保護キャップ12をSCコネクタ本体10の先端から挿入する。次に、図2(b)及び図3に示すように、ワイヤクリップ13の上部つまみ部17を矢印方向へ広げ、SCコネクタ本体10に対し下部側から上部側方向に向けて取り付ける。ばね材よりなるワイヤクリップ13の変形は元の状態に戻るので、ワイヤクリップ13のSCコネクタ本体10への取り付け後、上部つまみ部17の復元によってワイヤクリップ13からSCコネクタ本体10が脱落しないように固定できる。また、ワイヤクリップ13は、保護キャップ12に設けられたワイヤクリップ固定溝15によって、コネクタ付光ファイバコードの牽引時に引っ張り力が加わっても、SCコネクタ本体10からずれないように固定できる。SCコネクタ本体10から牽引治具を取り外す場合はワイヤクリップ13の上部つまみ部17を矢印方向へ広げることで固定が解除され、ワイヤクリップ13をSCコネクタ本体10の下部方向に取り外すことができる。
【0026】
また、牽引索取付部11は縒り戻しを一体化させ、配線時に生じた縒りを牽引索取付部11の回転によって随時解消できるように、回動自在な構造となっている。
【0027】
図4は本発明の第2の実施形態に係るコネクタ付光ファイバコード牽引治具を示す斜視図、図5は本発明の第2の実施形態に係るコネクタ付光ファイバコード牽引治具を示す断面側面図、図6は本発明の第2の実施形態に係るコネクタ付光ファイバコード牽引治具の保護キャップを示す斜視図である。
【0028】
図4〜図6において、20はSCコネクタ本体、21は牽引索取付部、22は保護キャップ、23はワイヤクリップ、24はブーツ、25はワイヤクリップ固定溝、26はアーム部、27は爪部、28は光ファイバコード、29は牽引索である。
【0029】
図4に示すように、光ファイバコード28の一端にはSCコネクタ本体20及びブーツ24が取り付けられてコネクタ付光ファイバコードが構成される。前記SCコネクタ本体20の先端部には保護キャップ22が配置され、前記保護キャップ22とSCコネクタ本体20はワイヤクリップ23により固定される。前記ワイヤクリップ23の先端中央部には牽引索取付部21が回動自在にして取り付けられ、前記牽引索取付部21には例えばロープもしくはワイヤ等の牽引索29が取り付けられる。
【0030】
前記保護キャップ22は、図6に示すように、先端面の各稜線に丸みをもたせた直方体状の保護キャップ本体の先端面にワイヤクリップ固定溝25が略対角線に設けられると共に、前記保護キャップ本体の両側後端部にそれぞれ板状のアーム部26が左右対称に一体に突出して設けられる。
【0031】
前記ワイヤクリップ23は、図4及び図5に示すように、U字状のばね材よりなる線材で形成され、ワイヤクリップ23の両端部にはSCコネクタ本体20の光コネクタハウジングとブーツ24の間に掛けられる爪部27が設けられる。
【0032】
すなわち、図4〜図6に示すように、SCコネクタ本体20の先端部両側面には左右対称に溝が設けられ、前記SCコネクタ本体20の先端部両側面の溝には保護キャップ22のアーム部26が挿入されてSCコネクタ本体20と保護キャップ22が嵌合する。その後、ワイヤクリップ23が保護キャップ22のワイヤクリップ固定溝25に挿入されと共に、保護キャップ22の上面及びSCコネクタ本体20の上面、保護キャップ22の下面及びSCコネクタ本体20の下面に当接されるようにし、爪部27をSCコネクタ本体20の光コネクタハウジングとブーツ24の間に掛けられて取り付けられる。前記ワイヤクリップ23には牽引索取付部21が回動自在に取り付けられ、縒り戻しを一体化させる。前記牽引索取付部21には例えばロープもしくはワイヤ等の牽引索29が取り付けられる。
【0033】
前記ワイヤクリップ23がSCコネクタ本体20と保護キャップ22に取り付けられる方法を説明すると、先ず、保護キャップ22をSCコネクタ本体20の先端から挿入する。次に、図4〜図6に示すように、ワイヤクリップ23の中央部を保護キャップ22のワイヤクリップ固定溝25に挿入して後、ワイヤクリップ23の爪部27をSCコネクタ本体20の光コネクタハウジングとブーツ24の間に掛けることにより、ワイヤクリップ23がSCコネクタ本体20と保護キャップ22に取り付けられる。
【0034】
図7は本発明の第3の実施形態に係るコネクタ付光ファイバコード牽引治具を示す斜視図、図8は本発明の第3の実施形態に係るコネクタ付光ファイバコード牽引治具のワイヤクリップを示す斜視図、図9は本発明の第3の実施形態に係るコネクタ付光ファイバコード牽引治具の保護キャップを示す斜視図である。
【0035】
図7〜図9において、30はSCコネクタ本体、31は牽引索取付部、32は保護キャップ、33はワイヤクリップ、34はブーツ、35はワイヤクリップ固定溝、36はアーム部、37は共通部、38は光ファイバコード、39は牽引索である。
【0036】
図7に示すように、光ファイバコード38の一端にはSCコネクタ本体30及びブーツ34が取り付けられてコネクタ付光ファイバコードが構成される。前記SCコネクタ本体30の先端部には保護キャップ32が配置され、前記保護キャップ32とSCコネクタ本体30はワイヤクリップ33により固定される。前記ワイヤクリップ33の先端部には牽引索取付部31が回動自在にして取り付けられ、前記牽引索取付部31には例えばロープもしくはワイヤ等の牽引索39が取り付けられる。
【0037】
前記ワイヤクリップ33は、図8に示すように、2つの長方形のそれぞれ一方の短辺を共通にして共通部37としたV字状のばね材よりなる線材で形成される。
【0038】
前記保護キャップ32は、図9に示すように、先端面の各稜線に丸みをもたせた直方体状の保護キャップ本体の先端面にワイヤクリップ固定溝35が略垂直に設けられると共に、前記保護キャップ本体の両側後端部にそれぞれ板状のアーム部36が左右対称に一体に突出して設けられる。
【0039】
すなわち、図7〜図9に示すように、SCコネクタ本体30の先端部両側面には左右対称に溝が設けられ、前記SCコネクタ本体30の先端部両側面の溝には保護キャップ32のアーム部36が挿入されてSCコネクタ本体30と保護キャップ32が嵌合する。その後、ワイヤクリップ33の2つの長方形部に保護キャップ32及びSCコネクタ本体30の両側面が挿入されると共に、ワイヤクリップ33の共通部37が保護キャップ32のワイヤクリップ固定溝35に挿入されて、ワイヤクリップ33が保護キャップ32及びSCコネクタ本体30に取り付けられる。前記ワイヤクリップ33の共通部37には牽引索取付部31が回動自在に取り付けられ、縒り戻しを一体化させる。前記牽引索取付部31には例えばロープもしくはワイヤ等の牽引索39が取り付けられる。
【0040】
図10は本発明の第4の実施形態に係るコネクタ付光ファイバコード牽引治具を示す斜視図、図11(a),(b)は本発明の第4の実施形態に係るコネクタ付光ファイバコード牽引治具のワイヤクリップを示す上面図、図12は本発明の第4の実施形態に係るコネクタ付光ファイバコード牽引治具の保護キャップを示す斜視図である。
【0041】
図10〜図12において、40はSCコネクタ本体、41は牽引索取付部、42は保護キャップ、43はワイヤクリップ、44はブーツ、45はワイヤクリップ固定溝、46はアーム部、47は取付孔、48は光ファイバコード、49は牽引索、50は取付部、51はワイヤクリップ取付穴である。
【0042】
図10に示すように、光ファイバコード48の一端にはSCコネクタ本体40及びブーツ44が取り付けられてコネクタ付光ファイバコードが構成される。前記SCコネクタ本体40の先端部には保護キャップ42が配置され、前記保護キャップ42とSCコネクタ本体40はワイヤクリップ43により固定される。前記保護キャップ42の先端突出部には取付孔47が設けられ、前記取付孔47には牽引索取付部41が回動自在にして取り付けられ、前記牽引索取付部41には例えばロープもしくはワイヤ等の牽引索49が取り付けられる。
【0043】
前記ワイヤクリップ43は、図10及び図11に示すように、複数のU字状のばね材よりなる線材で形成されると共に、U字状線材のそれぞれ端部に取付部50が折り曲げて形成される。
【0044】
前記保護キャップ42は、図12に示すように、先端面の各稜線に丸みをもたせた直方体状の保護キャップ本体の先端突出部に取付孔47が設けられ、前記保護キャップ本体の上面及び下面にはそれぞれワイヤクリップ固定溝45が設けられると共に、前記ワイヤクリップ固定溝45にはワイヤクリップ取付穴51がもうけられる。前記保護キャップ本体の両側後端部にそれぞれ板状のアーム部46が左右対称に一体に突出して設けられる。
【0045】
すなわち、図10〜図12に示すように、SCコネクタ本体40の先端部両側面には左右対称に溝が設けられ、前記SCコネクタ本体40の先端部両側面の溝には保護キャップ42のアーム部46が挿入されてSCコネクタ本体40と保護キャップ42が嵌合する。その後、2つのワイヤクリップ43がそれぞれ保護キャップ42のワイヤクリップ固定溝45に挿入されると共に、2つのワイヤクリップ43端部の取付部50が保護キャップ42のワイヤクリップ取付穴51に回動自在に挿入される。2つのワイヤクリップ43はそれぞれSCコネクタ本体40の側面を挿入するように回動してSCコネクタ本体40の上面、下面及び後端面に掛けて取り付けられる。このようにして、ワイヤクリップ43が保護キャップ42及びSCコネクタ本体40に取り付けられる。前記保護キャップ42の取付孔47には牽引索取付部41が回動自在に取り付けられ、縒り戻しを一体化させる。前記牽引索取付部41には例えばロープもしくはワイヤ等の牽引索49が取り付けられる。
【0046】
尚、コネクタ付光ファイバコード先端部に取り付ける保護キャップは、コネクタ付光ファイバコード牽引時の配管等との接触による光コネクタ先端部の破損を防ぐものであり、かつ、ワイヤクリップ固定溝が設けられたことによりワイヤクリップを固定するためのものである。またワイヤクリップは、ばね材を使用することにより、変形させても元の状態に戻ることを特徴とし、保護キャップと光コネクタハウジングを嵌合させる際は、変形により嵌合位置に設置することができ、設置後は嵌合力を保持できるものである。
【0047】
以上のように、各実施形態のいずれかのコネクタ付光ファイバコード牽引治具を用い、ワイヤクリップにより保護キャップをコネクタ付光ファイバコードの光コネクタに取り付けて後、コネクタ付光ファイバコードに牽引索取付部を介して牽引索を接続し、その後、牽引索によりコネクタ付光ファイバコードを牽引する。これにより、コネクタ付光ファイバコードの光コネクタと嵌合する部品点数を少なくし、かつ、それぞれの部品の材質・製造方法を安価にできる。また、ワイヤクリップで光コネクタハウジングを固定することにより、牽引時の安定性も向上できる。さらに、コネクタ付光ファイバコードの布設・配線作業の経済性・作業性を向上できる効果がある。すなわち、コネクタ付光ファイバコードの光コネクタと接続するための光コネクタ接続部を新規の把持方法により小型化・細径化を行い、管路の凹凸部分や曲がりの部分での掛かりを防ぎ、コネクタ付光ファイバコードの布設・配線作業の作業性を向上できると共に、治具を構成する部品点数を少なくし、かつ、安価な材質で安価な製造方法で製作できる。
【0048】
なお、本発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るコネクタ付光ファイバコード牽引治具を示す斜視図である。
【図2】(a)は本発明の第1の実施形態に係るコネクタ付光ファイバコード牽引治具の保護キャップを示す斜視図、(b)は本発明の第1の実施形態に係るコネクタ付光ファイバコード牽引治具のワイヤクリップを示す斜視図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係るコネクタ付光ファイバコード牽引治具の使用方法を示す説明図である。
【図4】本発明の第2の実施形態に係るコネクタ付光ファイバコード牽引治具を示す斜視図である。
【図5】本発明の第2の実施形態に係るコネクタ付光ファイバコード牽引治具を示す断面側面図である。
【図6】本発明の第2の実施形態に係るコネクタ付光ファイバコード牽引治具の保護キャップを示す斜視図である。
【図7】本発明の第3の実施形態に係るコネクタ付光ファイバコード牽引治具を示す斜視図である。
【図8】本発明の第3の実施形態に係るコネクタ付光ファイバコード牽引治具のワイヤクリップを示す斜視図である。
【図9】本発明の第3の実施形態に係るコネクタ付光ファイバコード牽引治具の保護キャップを示す斜視図である。
【図10】本発明の第4の実施形態に係るコネクタ付光ファイバコード牽引治具を示す斜視図である。
【図11】(a),(b)は本発明の第4の実施形態に係るコネクタ付光ファイバコード牽引治具のワイヤクリップを示す上面図である。
【図12】本発明の第4の実施形態に係るコネクタ付光ファイバコード牽引治具の保護キャップを示す斜視図である。
【符号の説明】
【0050】
10…SCコネクタ本体、11…牽引索取付部、12…保護キャップ、13…ワイヤクリップ、14…コネクタブーツ、15…ワイヤクリップ固定溝、16…アーム部、17…上部つまみ部、18…光ファイバコード、19…牽引索。
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバコードの端部に光コネクタが設けられたコネクタ付光ファイバコードを、例えば屋内の配管等に布設・配線する際にコネクタ付光ファイバコードを牽引するためのコネクタ付光ファイバコード牽引治具及び方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
光ファイバコードを布設・配線を行う場合には、配線を行うルートあるいは配管にあらかじめ牽引索、すなわちロープやワイヤを布設しておき、その牽引索と布設を行う光ファイバコードを結合し、牽引索を巻き取ることにより光ファイバコードが布設される。
【0003】
近年は光ファイバコードの先端に光コネクタがついた状態で布設するものも提案されている。光ファイバの牽引装置としては、特許文献1のようなものがある。
【0004】
従来の牽引索と光ファイバコードとの接続に用いる牽引用具においては、SC(Single fiber Coupling)コネクタの把持に係止片を用いる方法であるため、部材数が多く、結果として管路径に対して長く、大きい物となり、管路の凹凸部分や曲がりの部分にて掛かりにより牽引が困難になり、またそれにより、光コネクタ部分及び光ファイバが破損する可能性もあった。また、牽引治具を構成する部品点数が多く、かつ高価な材質や高価な加工方法が求められるものであり、コストが高くなるという問題点があった。
【0005】
さらに、光コネクタハウジングの突起部に牽引治具を掛けて光ファイバコードを牽引するという方法は、突起部への負荷が大きくなり、光コネクタハウジングが破損する可能性があるのと、それによる牽引時の安定性を欠くという問題があった。
【0006】
【特許文献1】特開平9−127345号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたもので、ワイヤクリップにより保護キャップを光コネクタ先端部に容易に取り付けることができ、保護キャップにより光コネクタ先端部の破損を防止し、且つワイヤクリップにより保護キャップが取り付けられた光コネクタを牽引することにより、簡単な構成で作業性よくコネクタ付光ファイバコードを牽引することができ、コネクタ付光ファイバコードの布設・配線作業の作業性を向上できると共に、部品点数を少なくして小型化・細径化を行い得るコネクタ付光ファイバコード牽引治具及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明は、光ファイバコードの端部に光コネクタが設けられたコネクタ付光ファイバコードを配線する際にコネクタ付光ファイバコードを牽引するためのコネクタ付光ファイバコード牽引治具であって、コネクタ付光ファイバコードの光コネクタ先端部に配置された保護キャップと、前記コネクタ付光ファイバコードの光コネクタと前記保護キャップを固定するワイヤクリップと、前記ワイヤクリップに回動自在に設けられ、牽引索が取り付けられる牽引索取付部とを具備することを特徴とするものである。
【0009】
また本発明は、前記コネクタ付光ファイバコード牽引治具において、保護キャップとして、ワイヤクリップの一部を挿入するための溝が設けられた保護キャップを用いることを特徴とするものである。
【0010】
また本発明は、前記コネクタ付光ファイバコード牽引治具において、保護キャップとして、コネクタ付光ファイバコードの光コネクタの両側面に設けられた溝にそれぞれ嵌合されるアーム部を一体に有する保護キャップを用いることを特徴とするものである。
【0011】
また本発明は、前記コネクタ付光ファイバコード牽引治具において、ワイヤクリップとして、保護キャップの先端面及びアーム部外面、光コネクタの上面及び後端面に当接されるワイヤクリップを用いることを特徴とするものである。
【0012】
また本発明は、前記コネクタ付光ファイバコード牽引治具において、ワイヤクリップとして、コネクタ付光ファイバコードの光コネクタハウジングとブーツの間に掛けられる爪部を両端部に有するU字状のワイヤクリップを用いることを特徴とするものである。
【0013】
また本発明は、前記コネクタ付光ファイバコード牽引治具において、ワイヤクリップとして、2つの長方形のそれぞれ一方の短辺を共通として共通部としたV字状のワイヤクリップを用いることを特徴とするものである。
【0014】
また本発明は、光ファイバコードの端部に光コネクタが設けられたコネクタ付光ファイバコードを配線する際にコネクタ付光ファイバコードを牽引するためのコネクタ付光ファイバコード牽引治具であって、コネクタ付光ファイバコードの光コネクタ先端部に配置された保護キャップと、前記コネクタ付光ファイバコードの光コネクタと前記保護キャップを固定する複数のU字状のワイヤクリップと、前記保護キャップに回動自在に設けられ、牽引索が取り付けられる牽引索取付部とを具備することを特徴とするものである。
【0015】
また本発明は、前記コネクタ付光ファイバコード牽引治具において、ワイヤクリップとして、ばね材よりなるワイヤクリップを用いることを特徴とするものである。
【0016】
また本発明のコネクタ付光ファイバコード牽引方法は、前記コネクタ付光ファイバコード牽引治具を用い、ワイヤクリップにより保護キャップをコネクタ付光ファイバコードの光コネクタに取り付けて後、コネクタ付光ファイバコードに牽引索取付部を介して牽引索を接続し、その後、牽引索によりコネクタ付光ファイバコードを牽引することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明のコネクタ付光ファイバコード牽引治具及び方法は、ワイヤクリップにより保護キャップを光コネクタ先端部に容易に取り付けることができ、保護キャップにより光コネクタ先端部の破損を防止し、且つワイヤクリップにより保護キャップが取り付けられた光コネクタを牽引することにより、簡単な構成で作業性よくコネクタ付光ファイバコードを牽引することができ、コネクタ付光ファイバコードの布設・配線作業の作業性を向上できると共に、部品点数を少なくして小型化・細径化を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。本発明の実施の形態では光コネクタの一例としてSCコネクタを用いて説明する。
【0019】
図1は本発明の第1の実施形態に係るコネクタ付光ファイバコード牽引治具を示す斜視図、図2(a)は本発明の第1の実施形態に係るコネクタ付光ファイバコード牽引治具の保護キャップを示す斜視図、図2(b)は本発明の第1の実施形態に係るコネクタ付光ファイバコード牽引治具のワイヤクリップを示す斜視図、図3は本発明の第1の実施形態に係るコネクタ付光ファイバコード牽引治具の使用方法を示す説明図である。
【0020】
図1〜図3において、10はSCコネクタ本体、11は牽引索取付部、12は保護キャップ、13はワイヤクリップ、14はブーツ、15はワイヤクリップ固定溝、16はアーム部、17は上部つまみ部、18は光ファイバコード、19は牽引索である。
【0021】
図1に示すように、光ファイバコード18の一端にはSCコネクタ本体10及びブーツ14が取り付けられてコネクタ付光ファイバコードが構成される。前記SCコネクタ本体10の先端部には保護キャップ12が配置され、前記保護キャップ12とSCコネクタ本体10はワイヤクリップ13により固定される。前記ワイヤクリップ13の先端中央部には牽引索取付部11が回動自在にして取り付けられ、前記牽引索取付部11には例えばロープもしくはワイヤ等の牽引索19が取り付けられる。
【0022】
前記保護キャップ12は、図2(a)に示すように、先端面に丸みをもたせたかまぼこ状の保護キャップ本体の先端部にワイヤクリップ固定溝15が軸方向に設けられると共に、前記かまぼこ状の保護キャップ本体の両側後端部にそれぞれ板状のアーム部16が左右対称に一体に突出して設けられる。
【0023】
前記ワイヤクリップ13は、図2(b)に示すように、ループ状のばね材よりなる線材を曲げて形成される。
【0024】
すなわち、図1に示すように、SCコネクタ本体10の先端部両側面には左右対称に溝が設けられ、前記SCコネクタ本体10の先端部両側面の溝には保護キャップ12のアーム部16が挿入されてSCコネクタ本体10と保護キャップ12が嵌合する。その後、ワイヤクリップ13が保護キャップ12のワイヤクリップ固定溝15に挿入されと共に、保護キャップ12のアーム部16外面、SCコネクタ本体10の上面及び後端面に当接されるようにして取り付けられる。前記ワイヤクリップ13には牽引索取付部11が回動自在に取り付けられ、縒り戻しを一体化させる。前記牽引索取付部11には例えばロープもしくはワイヤ等の牽引索19が取り付けられる。
【0025】
前記ワイヤクリップ13がSCコネクタ本体10と保護キャップ12に取り付けられる方法を説明すると、先ず、保護キャップ12をSCコネクタ本体10の先端から挿入する。次に、図2(b)及び図3に示すように、ワイヤクリップ13の上部つまみ部17を矢印方向へ広げ、SCコネクタ本体10に対し下部側から上部側方向に向けて取り付ける。ばね材よりなるワイヤクリップ13の変形は元の状態に戻るので、ワイヤクリップ13のSCコネクタ本体10への取り付け後、上部つまみ部17の復元によってワイヤクリップ13からSCコネクタ本体10が脱落しないように固定できる。また、ワイヤクリップ13は、保護キャップ12に設けられたワイヤクリップ固定溝15によって、コネクタ付光ファイバコードの牽引時に引っ張り力が加わっても、SCコネクタ本体10からずれないように固定できる。SCコネクタ本体10から牽引治具を取り外す場合はワイヤクリップ13の上部つまみ部17を矢印方向へ広げることで固定が解除され、ワイヤクリップ13をSCコネクタ本体10の下部方向に取り外すことができる。
【0026】
また、牽引索取付部11は縒り戻しを一体化させ、配線時に生じた縒りを牽引索取付部11の回転によって随時解消できるように、回動自在な構造となっている。
【0027】
図4は本発明の第2の実施形態に係るコネクタ付光ファイバコード牽引治具を示す斜視図、図5は本発明の第2の実施形態に係るコネクタ付光ファイバコード牽引治具を示す断面側面図、図6は本発明の第2の実施形態に係るコネクタ付光ファイバコード牽引治具の保護キャップを示す斜視図である。
【0028】
図4〜図6において、20はSCコネクタ本体、21は牽引索取付部、22は保護キャップ、23はワイヤクリップ、24はブーツ、25はワイヤクリップ固定溝、26はアーム部、27は爪部、28は光ファイバコード、29は牽引索である。
【0029】
図4に示すように、光ファイバコード28の一端にはSCコネクタ本体20及びブーツ24が取り付けられてコネクタ付光ファイバコードが構成される。前記SCコネクタ本体20の先端部には保護キャップ22が配置され、前記保護キャップ22とSCコネクタ本体20はワイヤクリップ23により固定される。前記ワイヤクリップ23の先端中央部には牽引索取付部21が回動自在にして取り付けられ、前記牽引索取付部21には例えばロープもしくはワイヤ等の牽引索29が取り付けられる。
【0030】
前記保護キャップ22は、図6に示すように、先端面の各稜線に丸みをもたせた直方体状の保護キャップ本体の先端面にワイヤクリップ固定溝25が略対角線に設けられると共に、前記保護キャップ本体の両側後端部にそれぞれ板状のアーム部26が左右対称に一体に突出して設けられる。
【0031】
前記ワイヤクリップ23は、図4及び図5に示すように、U字状のばね材よりなる線材で形成され、ワイヤクリップ23の両端部にはSCコネクタ本体20の光コネクタハウジングとブーツ24の間に掛けられる爪部27が設けられる。
【0032】
すなわち、図4〜図6に示すように、SCコネクタ本体20の先端部両側面には左右対称に溝が設けられ、前記SCコネクタ本体20の先端部両側面の溝には保護キャップ22のアーム部26が挿入されてSCコネクタ本体20と保護キャップ22が嵌合する。その後、ワイヤクリップ23が保護キャップ22のワイヤクリップ固定溝25に挿入されと共に、保護キャップ22の上面及びSCコネクタ本体20の上面、保護キャップ22の下面及びSCコネクタ本体20の下面に当接されるようにし、爪部27をSCコネクタ本体20の光コネクタハウジングとブーツ24の間に掛けられて取り付けられる。前記ワイヤクリップ23には牽引索取付部21が回動自在に取り付けられ、縒り戻しを一体化させる。前記牽引索取付部21には例えばロープもしくはワイヤ等の牽引索29が取り付けられる。
【0033】
前記ワイヤクリップ23がSCコネクタ本体20と保護キャップ22に取り付けられる方法を説明すると、先ず、保護キャップ22をSCコネクタ本体20の先端から挿入する。次に、図4〜図6に示すように、ワイヤクリップ23の中央部を保護キャップ22のワイヤクリップ固定溝25に挿入して後、ワイヤクリップ23の爪部27をSCコネクタ本体20の光コネクタハウジングとブーツ24の間に掛けることにより、ワイヤクリップ23がSCコネクタ本体20と保護キャップ22に取り付けられる。
【0034】
図7は本発明の第3の実施形態に係るコネクタ付光ファイバコード牽引治具を示す斜視図、図8は本発明の第3の実施形態に係るコネクタ付光ファイバコード牽引治具のワイヤクリップを示す斜視図、図9は本発明の第3の実施形態に係るコネクタ付光ファイバコード牽引治具の保護キャップを示す斜視図である。
【0035】
図7〜図9において、30はSCコネクタ本体、31は牽引索取付部、32は保護キャップ、33はワイヤクリップ、34はブーツ、35はワイヤクリップ固定溝、36はアーム部、37は共通部、38は光ファイバコード、39は牽引索である。
【0036】
図7に示すように、光ファイバコード38の一端にはSCコネクタ本体30及びブーツ34が取り付けられてコネクタ付光ファイバコードが構成される。前記SCコネクタ本体30の先端部には保護キャップ32が配置され、前記保護キャップ32とSCコネクタ本体30はワイヤクリップ33により固定される。前記ワイヤクリップ33の先端部には牽引索取付部31が回動自在にして取り付けられ、前記牽引索取付部31には例えばロープもしくはワイヤ等の牽引索39が取り付けられる。
【0037】
前記ワイヤクリップ33は、図8に示すように、2つの長方形のそれぞれ一方の短辺を共通にして共通部37としたV字状のばね材よりなる線材で形成される。
【0038】
前記保護キャップ32は、図9に示すように、先端面の各稜線に丸みをもたせた直方体状の保護キャップ本体の先端面にワイヤクリップ固定溝35が略垂直に設けられると共に、前記保護キャップ本体の両側後端部にそれぞれ板状のアーム部36が左右対称に一体に突出して設けられる。
【0039】
すなわち、図7〜図9に示すように、SCコネクタ本体30の先端部両側面には左右対称に溝が設けられ、前記SCコネクタ本体30の先端部両側面の溝には保護キャップ32のアーム部36が挿入されてSCコネクタ本体30と保護キャップ32が嵌合する。その後、ワイヤクリップ33の2つの長方形部に保護キャップ32及びSCコネクタ本体30の両側面が挿入されると共に、ワイヤクリップ33の共通部37が保護キャップ32のワイヤクリップ固定溝35に挿入されて、ワイヤクリップ33が保護キャップ32及びSCコネクタ本体30に取り付けられる。前記ワイヤクリップ33の共通部37には牽引索取付部31が回動自在に取り付けられ、縒り戻しを一体化させる。前記牽引索取付部31には例えばロープもしくはワイヤ等の牽引索39が取り付けられる。
【0040】
図10は本発明の第4の実施形態に係るコネクタ付光ファイバコード牽引治具を示す斜視図、図11(a),(b)は本発明の第4の実施形態に係るコネクタ付光ファイバコード牽引治具のワイヤクリップを示す上面図、図12は本発明の第4の実施形態に係るコネクタ付光ファイバコード牽引治具の保護キャップを示す斜視図である。
【0041】
図10〜図12において、40はSCコネクタ本体、41は牽引索取付部、42は保護キャップ、43はワイヤクリップ、44はブーツ、45はワイヤクリップ固定溝、46はアーム部、47は取付孔、48は光ファイバコード、49は牽引索、50は取付部、51はワイヤクリップ取付穴である。
【0042】
図10に示すように、光ファイバコード48の一端にはSCコネクタ本体40及びブーツ44が取り付けられてコネクタ付光ファイバコードが構成される。前記SCコネクタ本体40の先端部には保護キャップ42が配置され、前記保護キャップ42とSCコネクタ本体40はワイヤクリップ43により固定される。前記保護キャップ42の先端突出部には取付孔47が設けられ、前記取付孔47には牽引索取付部41が回動自在にして取り付けられ、前記牽引索取付部41には例えばロープもしくはワイヤ等の牽引索49が取り付けられる。
【0043】
前記ワイヤクリップ43は、図10及び図11に示すように、複数のU字状のばね材よりなる線材で形成されると共に、U字状線材のそれぞれ端部に取付部50が折り曲げて形成される。
【0044】
前記保護キャップ42は、図12に示すように、先端面の各稜線に丸みをもたせた直方体状の保護キャップ本体の先端突出部に取付孔47が設けられ、前記保護キャップ本体の上面及び下面にはそれぞれワイヤクリップ固定溝45が設けられると共に、前記ワイヤクリップ固定溝45にはワイヤクリップ取付穴51がもうけられる。前記保護キャップ本体の両側後端部にそれぞれ板状のアーム部46が左右対称に一体に突出して設けられる。
【0045】
すなわち、図10〜図12に示すように、SCコネクタ本体40の先端部両側面には左右対称に溝が設けられ、前記SCコネクタ本体40の先端部両側面の溝には保護キャップ42のアーム部46が挿入されてSCコネクタ本体40と保護キャップ42が嵌合する。その後、2つのワイヤクリップ43がそれぞれ保護キャップ42のワイヤクリップ固定溝45に挿入されると共に、2つのワイヤクリップ43端部の取付部50が保護キャップ42のワイヤクリップ取付穴51に回動自在に挿入される。2つのワイヤクリップ43はそれぞれSCコネクタ本体40の側面を挿入するように回動してSCコネクタ本体40の上面、下面及び後端面に掛けて取り付けられる。このようにして、ワイヤクリップ43が保護キャップ42及びSCコネクタ本体40に取り付けられる。前記保護キャップ42の取付孔47には牽引索取付部41が回動自在に取り付けられ、縒り戻しを一体化させる。前記牽引索取付部41には例えばロープもしくはワイヤ等の牽引索49が取り付けられる。
【0046】
尚、コネクタ付光ファイバコード先端部に取り付ける保護キャップは、コネクタ付光ファイバコード牽引時の配管等との接触による光コネクタ先端部の破損を防ぐものであり、かつ、ワイヤクリップ固定溝が設けられたことによりワイヤクリップを固定するためのものである。またワイヤクリップは、ばね材を使用することにより、変形させても元の状態に戻ることを特徴とし、保護キャップと光コネクタハウジングを嵌合させる際は、変形により嵌合位置に設置することができ、設置後は嵌合力を保持できるものである。
【0047】
以上のように、各実施形態のいずれかのコネクタ付光ファイバコード牽引治具を用い、ワイヤクリップにより保護キャップをコネクタ付光ファイバコードの光コネクタに取り付けて後、コネクタ付光ファイバコードに牽引索取付部を介して牽引索を接続し、その後、牽引索によりコネクタ付光ファイバコードを牽引する。これにより、コネクタ付光ファイバコードの光コネクタと嵌合する部品点数を少なくし、かつ、それぞれの部品の材質・製造方法を安価にできる。また、ワイヤクリップで光コネクタハウジングを固定することにより、牽引時の安定性も向上できる。さらに、コネクタ付光ファイバコードの布設・配線作業の経済性・作業性を向上できる効果がある。すなわち、コネクタ付光ファイバコードの光コネクタと接続するための光コネクタ接続部を新規の把持方法により小型化・細径化を行い、管路の凹凸部分や曲がりの部分での掛かりを防ぎ、コネクタ付光ファイバコードの布設・配線作業の作業性を向上できると共に、治具を構成する部品点数を少なくし、かつ、安価な材質で安価な製造方法で製作できる。
【0048】
なお、本発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るコネクタ付光ファイバコード牽引治具を示す斜視図である。
【図2】(a)は本発明の第1の実施形態に係るコネクタ付光ファイバコード牽引治具の保護キャップを示す斜視図、(b)は本発明の第1の実施形態に係るコネクタ付光ファイバコード牽引治具のワイヤクリップを示す斜視図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係るコネクタ付光ファイバコード牽引治具の使用方法を示す説明図である。
【図4】本発明の第2の実施形態に係るコネクタ付光ファイバコード牽引治具を示す斜視図である。
【図5】本発明の第2の実施形態に係るコネクタ付光ファイバコード牽引治具を示す断面側面図である。
【図6】本発明の第2の実施形態に係るコネクタ付光ファイバコード牽引治具の保護キャップを示す斜視図である。
【図7】本発明の第3の実施形態に係るコネクタ付光ファイバコード牽引治具を示す斜視図である。
【図8】本発明の第3の実施形態に係るコネクタ付光ファイバコード牽引治具のワイヤクリップを示す斜視図である。
【図9】本発明の第3の実施形態に係るコネクタ付光ファイバコード牽引治具の保護キャップを示す斜視図である。
【図10】本発明の第4の実施形態に係るコネクタ付光ファイバコード牽引治具を示す斜視図である。
【図11】(a),(b)は本発明の第4の実施形態に係るコネクタ付光ファイバコード牽引治具のワイヤクリップを示す上面図である。
【図12】本発明の第4の実施形態に係るコネクタ付光ファイバコード牽引治具の保護キャップを示す斜視図である。
【符号の説明】
【0050】
10…SCコネクタ本体、11…牽引索取付部、12…保護キャップ、13…ワイヤクリップ、14…コネクタブーツ、15…ワイヤクリップ固定溝、16…アーム部、17…上部つまみ部、18…光ファイバコード、19…牽引索。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ファイバコードの端部に光コネクタが設けられたコネクタ付光ファイバコードを配線する際にコネクタ付光ファイバコードを牽引するためのコネクタ付光ファイバコード牽引治具であって、
コネクタ付光ファイバコードの光コネクタ先端部に配置された保護キャップと、
前記コネクタ付光ファイバコードの光コネクタと前記保護キャップを固定するワイヤクリップと、
前記ワイヤクリップに回動自在に設けられ、牽引索が取り付けられる牽引索取付部と
を具備することを特徴とするコネクタ付光ファイバコード牽引治具。
【請求項2】
保護キャップとして、ワイヤクリップの一部を挿入するための溝が設けられた保護キャップを用いることを特徴とする請求項1に記載のコネクタ付光ファイバコード牽引治具。
【請求項3】
保護キャップとして、コネクタ付光ファイバコードの光コネクタの両側面に設けられた溝にそれぞれ嵌合されるアーム部を一体に有する保護キャップを用いることを特徴とする請求項1又は2に記載のコネクタ付光ファイバコード牽引治具。
【請求項4】
ワイヤクリップとして、保護キャップの先端面及びアーム部外面、光コネクタの上面及び後端面に当接されるワイヤクリップを用いることを特徴とする請求項3に記載のコネクタ付光ファイバコード牽引治具。
【請求項5】
ワイヤクリップとして、コネクタ付光ファイバコードの光コネクタハウジングとブーツの間に掛けられる爪部を両端部に有するU字状のワイヤクリップを用いることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のコネクタ付光ファイバコード牽引治具。
【請求項6】
ワイヤクリップとして、2つの長方形のそれぞれ一方の短辺を共通として共通部としたV字状のワイヤクリップを用いることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のコネクタ付光ファイバコード牽引治具。
【請求項7】
光ファイバコードの端部に光コネクタが設けられたコネクタ付光ファイバコードを配線する際にコネクタ付光ファイバコードを牽引するためのコネクタ付光ファイバコード牽引治具であって、
コネクタ付光ファイバコードの光コネクタ先端部に配置された保護キャップと、
前記コネクタ付光ファイバコードの光コネクタと前記保護キャップを固定する複数のU字状のワイヤクリップと、
前記保護キャップに回動自在に設けられ、牽引索が取り付けられる牽引索取付部と
を具備することを特徴とするコネクタ付光ファイバコード牽引治具。
【請求項8】
ワイヤクリップとして、ばね材よりなるワイヤクリップを用いることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載のコネクタ付光ファイバコード牽引治具。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれかに記載のコネクタ付光ファイバコード牽引治具を用い、ワイヤクリップにより保護キャップをコネクタ付光ファイバコードの光コネクタに取り付けて後、コネクタ付光ファイバコードに牽引索取付部を介して牽引索を接続し、その後、牽引索によりコネクタ付光ファイバコードを牽引することを特徴とするコネクタ付光ファイバコード牽引方法。
【請求項1】
光ファイバコードの端部に光コネクタが設けられたコネクタ付光ファイバコードを配線する際にコネクタ付光ファイバコードを牽引するためのコネクタ付光ファイバコード牽引治具であって、
コネクタ付光ファイバコードの光コネクタ先端部に配置された保護キャップと、
前記コネクタ付光ファイバコードの光コネクタと前記保護キャップを固定するワイヤクリップと、
前記ワイヤクリップに回動自在に設けられ、牽引索が取り付けられる牽引索取付部と
を具備することを特徴とするコネクタ付光ファイバコード牽引治具。
【請求項2】
保護キャップとして、ワイヤクリップの一部を挿入するための溝が設けられた保護キャップを用いることを特徴とする請求項1に記載のコネクタ付光ファイバコード牽引治具。
【請求項3】
保護キャップとして、コネクタ付光ファイバコードの光コネクタの両側面に設けられた溝にそれぞれ嵌合されるアーム部を一体に有する保護キャップを用いることを特徴とする請求項1又は2に記載のコネクタ付光ファイバコード牽引治具。
【請求項4】
ワイヤクリップとして、保護キャップの先端面及びアーム部外面、光コネクタの上面及び後端面に当接されるワイヤクリップを用いることを特徴とする請求項3に記載のコネクタ付光ファイバコード牽引治具。
【請求項5】
ワイヤクリップとして、コネクタ付光ファイバコードの光コネクタハウジングとブーツの間に掛けられる爪部を両端部に有するU字状のワイヤクリップを用いることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のコネクタ付光ファイバコード牽引治具。
【請求項6】
ワイヤクリップとして、2つの長方形のそれぞれ一方の短辺を共通として共通部としたV字状のワイヤクリップを用いることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のコネクタ付光ファイバコード牽引治具。
【請求項7】
光ファイバコードの端部に光コネクタが設けられたコネクタ付光ファイバコードを配線する際にコネクタ付光ファイバコードを牽引するためのコネクタ付光ファイバコード牽引治具であって、
コネクタ付光ファイバコードの光コネクタ先端部に配置された保護キャップと、
前記コネクタ付光ファイバコードの光コネクタと前記保護キャップを固定する複数のU字状のワイヤクリップと、
前記保護キャップに回動自在に設けられ、牽引索が取り付けられる牽引索取付部と
を具備することを特徴とするコネクタ付光ファイバコード牽引治具。
【請求項8】
ワイヤクリップとして、ばね材よりなるワイヤクリップを用いることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載のコネクタ付光ファイバコード牽引治具。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれかに記載のコネクタ付光ファイバコード牽引治具を用い、ワイヤクリップにより保護キャップをコネクタ付光ファイバコードの光コネクタに取り付けて後、コネクタ付光ファイバコードに牽引索取付部を介して牽引索を接続し、その後、牽引索によりコネクタ付光ファイバコードを牽引することを特徴とするコネクタ付光ファイバコード牽引方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2008−170470(P2008−170470A)
【公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−707(P2007−707)
【出願日】平成19年1月5日(2007.1.5)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【出願人】(000102739)エヌ・ティ・ティ・アドバンステクノロジ株式会社 (265)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年1月5日(2007.1.5)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【出願人】(000102739)エヌ・ティ・ティ・アドバンステクノロジ株式会社 (265)
【Fターム(参考)】
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