説明

コンテナ用冷凍装置の電力供給装置

【課題】コンテナ用冷凍装置における電力供給装置の省エネルギ性を向上させる。
【解決手段】電力供給装置(10)は、エンジン発電機(2)と、バッテリ(1)と、コンテナ用冷凍装置(30)へ供給する電力の電力値を検出する電力センサ(5)と、電力センサ(5)の検出値に基づいてコンテナ用冷凍装置(30)の冷凍負荷が所定値以下に低下するとエンジン発電機(2)の発停を制御するコントローラ(6)とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンテナ用冷凍装置の電力供給装置に関し、特に、電力供給装置の省エネルギ技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、コンテナ用冷凍装置へ電力を供給する電力供給装置が知られている。そして、これらの電力供給装置には、上記コンテナ用冷凍装置へ供給するための電力を発生するエンジン発電機を備えたものがある。さらに、特許文献1には、クリップオン式の電力供給装置が開示されている。
【0003】
このクリップオン式の電力供給装置は、コンテナに着脱自在に構成されている。この電力供給装置は、例えば、空の状態のコンテナから取り外し、冷凍食品等を収容した状態のコンテナへ付け替えることができる。したがって、上記電力供給装置は、全てのコンテナに電力供給装置を設ける場合に比べて、経済的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第5,739,675号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の電力供給装置は、該電力供給装置とコンテナ用冷凍装置との間に、電力供給装置で発生した電力をコンテナ用冷凍装置へ供給するための電源線のみが接続されているに過ぎなかった。
【0006】
このことから、上記コンテナ用冷凍装置の運転状況に応じてエンジン発電機の運転を調整することが困難であった。このため、エンジン発電機は、常に起動させたままの状態にせざるを得なかった。この結果、上記電力供給装置の省エネルギ性が低下するという問題があった。
【0007】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、コンテナ用冷凍装置の電力供給装置において、省エネルギ性の向上を図ることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の発明は、コンテナ(51)に取り付けられたコンテナ用冷凍装置(30)へ供給する電力を発生するエンジン発電機(2)を備えた電力供給装置である。
【0009】
そして、第1の発明は、上記コンテナ用冷凍装置(30)へ供給する電力として上記エンジン発電機(2)の電力を蓄える蓄電部(1)と、上記エンジン発電機(2)および蓄電部(1)が接続され、上記コンテナ用冷凍装置(30)へ電力を供給する電源ライン(42)と、該電源ライン(42)からコンテナ用冷凍装置(30)へ供給される電力の電力値を検出する検出部(5)と、該検出部(5)の検出値に基づいて上記コンテナ用冷凍装置(30)の冷却負荷が所定値以下に低下すると上記エンジン発電機(2)の発停を制御する制御部(6)とを備えている。
【0010】
上記第1の発明では、上記電源ライン(42)に上記蓄電部(1)が接続されているので、上記エンジン発電機(2)を停止させたままで上記蓄電部(1)のみからコンテナ用冷凍装置(30)へ電力を供給する蓄電供給動作が行われる。
【0011】
また、上記制御部(6)は、上記検出部(5)で検出される電力値に基づいて上記コンテナ用冷凍装置(30)に対する冷却負荷を推測し、その推測した冷却負荷に応じて上記エンジン発電機(2)を発停させる。
【0012】
ここで、上記検出部(5)の電力値から冷却負荷を推測できる理由は、この電力値が冷却負荷に応じて変化するからである。つまり、上記冷却負荷が大きくなれば、それに伴って上記コンテナ用冷凍装置(30)の消費電力量が多くなるために上記電力値は高くなる。一方、上記冷却負荷が小さくなれば、それに伴って上記コンテナ用冷凍装置(30)の消費電力量が少なくなるために上記電力値は低くなる。このことから、上記検出部(5)の電力値と上記冷却負荷との間には相関関係があり、この相関関係に基づいて、上記電力値から冷却負荷を推測している。
【0013】
第2の発明は、第1の発明において、上記制御部(6)は、上記エンジン発電機(2)を運転している状態において、上記検出部(5)の検出値が第1閾値以下になると、上記エンジン発電機(2)を停止させる停止部(6a)を備えたものである。
【0014】
上記第2の発明は、上記制御部(6)において、上記コンテナ用冷凍装置(30)の冷却負荷が比較的に小さい状態であると判断すると、上記エンジン発電機(2)を停止させる。つまり、上記エンジン発電機(2)の運転中に、上記冷却負荷が低下すると、それに伴って上記検出部(5)の検出値も低下する。そして、この検出値が第1閾値以下になると、上記コンテナ用冷凍装置(30)に対する冷却負荷が小さい状態であると判断し、上記エンジン発電機(2)を停止させる。
【0015】
ここで、仮に、上述した冷却負荷が比較的に大きい状態で上記エンジン発電機(2)を停止させたとする。この場合には、冷却負荷が比較的に小さい状態で上記エンジン発電機(2)を停止させたときと比べて、上記蓄電部(1)の残蓄電量が早く減少する。こうなると、上記蓄電部(1)の残蓄電量が早く減少した分だけ、上記エンジン発電機(2)の起動が早まってしまう。したがって、上述したように、冷却負荷が小さいときに上記エンジン発電機(2)を停止することにより、該エンジン発電機(2)を比較的に長く停止させることが可能となる。
【0016】
なお、上記第1閾値は、上記コンテナ用冷凍装置(30)に対する最小冷却負荷に対応する最小大電力値に基づいて予め設定され、最小大電力値より所定値大きい値に設定されている。
【0017】
第3の発明は、第2の発明において、上記制御部(6)は、上記停止部(6a)がエンジン発電機(2)を停止させると同時に上記検出部(5)の検出値の積算を開始し、上記エンジン発電機(2)を停止している状態において、上記検出値の積算値が第2閾値以上になると、上記エンジン発電機(2)を運転させる運転開始部(6b)を備えたものである。
【0018】
上記第3の発明は、上記制御部(6)において、上記検出部(5)における電力値の積算値に基づいて上記蓄電部(1)の残蓄電量を推測する。そして、その推測した残蓄電量が比較的に少ない状態であると判断すると、上記エンジン発電機(2)を起動させる。
【0019】
ここで、上述したように、上記検出部(5)は、上記エンジン発電機(2)へ供給される電力の電力値を検出している。このことから、上記エンジン発電機(2)が停止している場合における上記検出部(5)の電力値は、上記蓄電部(1)から上記コンテナ用冷凍装置(30)へ供給される電力の電力値と一致する。
【0020】
そして、その電力値を積算すれば、上記蓄電部(1)から上記コンテナ用冷凍装置(30)への総供給電力量を求めることができる。この総供給電力量から上記蓄電部(1)の残蓄電量が推測される。例えば、この総供給電力量が多くなればなるほど、上記蓄電部(1)の残蓄電量は少ないと推測される。
【0021】
以上より、上記エンジン発電機(2)の停止中に、上記蓄電部(1)の供給電力量が多くなると、それに伴って上記検出部(5)における検出値の積算値も大きくなる。そして、この積算値が第2閾値以上になると、上記蓄電部(1)の残蓄電量が少ないと判断して、上記エンジン発電機(2)を運転させる。
【0022】
なお、上記第2閾値は、上記蓄電部(1)の最大蓄電量を超えない範囲で設定されている。
【0023】
第4の発明は、第3の発明において、上記制御部(6)は、上記停止部(6a)がエンジン発電機(2)を停止している状態において、上記運転開始部(6b)がエンジン発電機(2)を運転する前に、上記検出部(5)の検出値が第3閾値以上になると、上記エンジン発電機(2)を運転させる強制運転部(6c)を備えたものである。
【0024】
上記第4の発明は、上記検出部(5)における検出値の積算値が、上述した第2閾値を超えるまでの間に、急に冷却負荷が増大すると、それに伴って上記検出部(5)の検出値も増大する。そして、その増大した検出値が第3閾値以上になった場合には、上記蓄電部(1)の残蓄電量が短時間で急激に減少するおそれがあると判断して、上記エンジン発電機(2)を運転させる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、蓄電部(1)を設け、エンジン発電機(2)を停止させた状態でも、上記蓄電部(1)からコンテナ用冷凍装置(30)へ電力を供給することができる。これにより、上記コンテナ用冷凍装置(30)の運転中に、上記エンジン発電機(2)を停止させることができるので、従来よりも省エネルギ性を向上させることができる。
【0026】
また、上記制御部(6)は、上記検出部(5)が検出する電力値に基づいて上記コンテナ用冷凍装置(30)に対する冷却負荷を推測しているので、上記コンテナ用冷凍装置(30)との間において、運転状態を通信するための通信線を接続することなく、上述した冷却負荷の推測値に応じて上記エンジン発電機(2)を発停させることができる。
【0027】
また、上記第2の発明によれば、上記エンジン発電機(2)を運転させている状態において、上記コンテナ用冷凍装置(30)に対する冷却負荷が比較的に小さい状態であると判断すると、上記エンジン発電機(2)を停止させることができる。これにより、冷却負荷が比較的に大きい状態のときに上記エンジン発電機(2)を停止させた場合に比べて、上記エンジン発電機(2)の停止時間を長くすることができる。この結果、省エネルギ性を向上させることができる。
【0028】
また、上記第3の発明によれば、上記エンジン発電機(2)を停止させて上記蓄電部(1)だけでコンテナ用冷凍装置(30)へ電力を供給している場合に、残蓄電量が比較的に少ない状態であると判断すると、上記エンジン発電機(2)を起動させることができる。これにより、上記電力供給装置(10)からコンテナ用冷凍装置(30)への供給電力の不足が起きないようにすることができる。
【0029】
また、上記第4の発明によれば、上記エンジン発電機(2)を停止させて上記蓄電部(1)だけでコンテナ用冷凍装置(30)へ電力を供給しているときに、急に冷却負荷が増大した場合、上記蓄電部(1)の残蓄電量が比較的に少ない状態になるのを待たずに、上記エンジン発電機(2)を強制的に再起動させることができる。これにより、上記コンテナ用冷凍装置(30)への供給電力の不足が起きるのを確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】図1は、本実施形態に係る電力供給装置を搭載した冷凍車の全体図である。
【図2】図2は、本実施形態に係る電力供給装置の全体図である。
【図3】図3は、前面パネルを外したときの電力供給装置の全体図である。
【図4】図4は、本実施形態に係る電力供給装置の横断面図である。
【図5】図5は、本実施形態に係る電力供給装置の電気回路図である。
【図6】図6は、電力供給装置の運転動作を表すタイムチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0032】
図1に示すように、本実施形態に係る電力供給装置(10)は、コンテナ(51)に取り付けられたコンテナ用冷凍装置(30)(以下、単に冷凍装置という)へ電力を供給するものである。まず、電力供給装置(10)の構成について説明する。次に、電力供給装置(10)の運転制御について説明する。
【0033】
〈電力供給装置〉
図1は、冷凍食品や生鮮食品等を陸上輸送する冷凍車(50)を示している。この冷凍車(50)は、運転席および走行用エンジンが設けられた運転車両(52)と、該運転車両(52)の後方に着脱自在に連結された荷台車両(53)とを有している。この荷台車両(53)には、上述したコンテナ(51)が載置されている。このコンテナ(51)の前面(図1の運転車両(52)側の面)に上記冷凍装置(30)が設けられている。そして、このコンテナ(51)の前面であって上記冷凍装置(30)の上側に、上記電力供給装置(10)の本体部(11)が位置している。
【0034】
−ケーシング−
上記本体部(11)は、図2に示すように、上記コンテナ(51)に着脱自在なケーシング(12)を備えている。また、図3に示すように、上記ケーシング(12)には、該ケーシング(12)の内部空間(13)を上下に区画する第1仕切板(15)が下側寄りに設けられている。この第1仕切板(15)の下側に下側空間部(16)が形成され、上記第1仕切板(15)の上側に上側空間部(17)が形成されている。
【0035】
上記上側空間部(17)には、該上側空間部(17)を左右に区画する第2仕切板(18)が左側寄りに設けられている。この第2仕切板(18)の右側に右側空間部(20)が形成され、左側に左側空間部(19)が形成されている。
【0036】
ここで、上記下側空間部(16)は密閉状に形成されている。また、上記上側空間部(17)の前側には、図2に示すように、上記ケーシング(12)に着脱自在な前面パネル(21)が設けられている。この前面パネル(21)は、左右方向に沿って前方へ湾曲する湾曲面に形成されている。
【0037】
この前面パネル(21)の湾曲面には、第1および第2の通気口部(22,23)が形成されている。上記第1通気口部(22)は、上記前面パネル(21)の右側に矩形状に開口している。この第1通気口部(22)を介して、上記ケーシング(12)の外部と上記右側空間部(20)とが連通する。
【0038】
一方、上記第2通気口部(23)は上記前面パネル(21)の左下側であって横長の矩形状に開口している。この第2通気口部(23)は、上記ケーシング(12)を前方から視て左側空間部(19)および右側空間部(20)に跨るように形成されている。この第2通気口部(23)を介して、上記ケーシング(12)の外部と左側空間部(19)とが連通して、上記ケーシング(12)の外部と右側空間部(20)とが連通する。
【0039】
また、上記ケーシング(12)は、上記上側空間部(17)の上側に位置する天板(24)を有している。この天板(24)には、横長状に開口する第3通気口部(25)が形成されている。この第3通気口部(25)は、上記ケーシング(12)を上方から視て左側空間部(19)および右側空間部(20)に跨るように開口している。この第3通気口部(25)を介して、上記ケーシング(12)の外部と左側空間部(19)とが連通して、上記ケーシング(12)の外部と右側空間部(20)が連通する。
【0040】
−要素機器−
上記本体部(11)は、エンジン発電機(2)を有している。このエンジン発電機(2)は、エンジン部(3)を備えている。このエンジン部(3)は、上記ケーシング(12)の左右方向に略平行に延びる出力軸(図示なし)を有している。そして、上記出力軸の左端側に発電部(4)が取り付けられて該出力軸の右端側に冷却ファン(29)が取り付けられている。上記発電部(4)は、上記エンジン部(3)の左側に隣接するように配置されている。また、上記冷却ファン(29)は、上記エンジン部(3)の右側に隣接するように配置されている。なお、上記冷却ファン(29)の空気吸込面が上記ケーシング(12)の右側を向いて該冷却ファン(29)の空気吹出面が上記ケーシング(12)の左側を向いている。
【0041】
このエンジン部(3)が起動すると、この駆動力が該エンジン部(3)の出力軸を介して上記発電部(4)および冷却ファン(29)へ伝達される。これにより、上記発電部(4)で電力が発生するとともに上記冷却ファン(29)が回転する。
【0042】
そして、このエンジン発電機(2)は、上記ケーシング(12)の右側空間部(20)に収容されている。また、上記エンジン発電機(2)は、該エンジン発電機(2)の上方に上記天板(24)の第3通気口部(25)が位置し且つ該エンジン発電機(2)の発電部(4)の前方下側に上記前面パネル(21)の第2通気口部(23)が位置するような向きに配置されている。
【0043】
また、上記本体部(11)は、蓄電部であるバッテリ(1)を有している。このバッテリ(1)は、上記エンジン発電機(2)で発生した電力を上記冷凍装置(30)へ供給する供給電力として蓄えるものである。そして、このバッテリ(1)は、上記ケーシング(12)の左側空間部(19)に収容されている。また、上記バッテリ(1)は、該バッテリ(1)の上方に上記天板(24)の第3通気口部(25)が位置し且つ上記バッテリ(1)の前方下側に上記前面パネル(21)の第2通気口部(23)が位置するように配置されている。
【0044】
また、上記本体部(11)は、エンジン発電機用のラジエタ(7)を有している。このラジエタ(7)は空気熱交換器で構成され、上記エンジン発電機(2)の冷却ファン(29)で発生した風と上記エンジン発電機(2)のエンジン部(3)を冷却する冷却水とを熱交換させて該冷却水を冷却するものである。そして、このラジエタ(7)は、上記ケーシング(12)の右側空間部(20)に収容されている。また、上記ラジエタ(7)は、該ラジエタ(7)の空気側流出面が上記ケーシング(12)の左側を向き、且つ該ラジエタ(7)の空気側流入面が上記ケーシング(12)の右側を向くように配置されている。また、上記ラジエタ(7)は、該ラジエタ(7)の空気側流出面が上記エンジン発電機(2)の冷却ファン(29)の吸込側に隣接するように配置されている。
【0045】
また、上記本体部(11)は、図5に示すコンバータ(9a)およびインバータ(9b)を収納した電装品箱(8)を有している。上記コンバータ(9a)は、上記発電部(4)で発生した交流電力を直流電力に変換するためのものである。上記インバータ(9b)は、コンバータ(9a)で変換した直流電力および上記バッテリ(1)からの直流電力を交流電力に変換するためのものである。
【0046】
上記発電部(4)の交流電力は、上記コンバータ(9a)およびインバータ(9b)により、上記冷凍装置(30)の定格電圧および定格周波数(例えば、定格電圧が460V、定格周波数60Hz)を有する交流電力に変換される。また、上記バッテリ(1)の直流電力は、上記インバータ(9b)により、上記冷凍装置(30)の定格電圧および定格周波数(例えば、定格電圧が460V、定格周波数60Hz)を有する交流電力に変換される。
【0047】
そして、上記電装品箱(8)は、上記ケーシング(12)の右側空間部(20)に収容されている。また、上記電装品箱(8)は、上記ラジエタ(7)の右側に間隔を空けて配置され、上記右側空間部(20)の右隅に位置している。また、上記電装品箱(8)の前面には、コンバータ(9a)およびインバータ(9b)を冷却するための冷却フィン(8a)が設けられている。この冷却フィン(8a)のフィン面は、該フィン面の右端辺から左端辺へ向かって上記ケーシング(12)の前面側から背面側へ傾斜する傾斜面である。そして、上記電装品箱(8)は、上記冷却フィン(8a)が上記第1通気口部(22)に面するような向きに配置されている。
【0048】
また、上記本体部(11)は、燃料タンク(26)を有している。上記ケーシング(12)の下側空間部(16)が上記燃料タンク(26)を構成している。この燃料タンク(26)には、上記エンジン発電機(2)の燃料が封入されている。
【0049】
また、上記本体部(11)は、操作盤(27)を有している。この操作盤(27)は、上記ケーシング(12)の右側空間部(20)に収容されている。この操作盤(27)は、上記右側空間部(20)の左側寄りであって上記エンジン発電機(2)の発電部(4)と上記前面パネル(21)との間に位置している。なお、上記前面パネル(21)には、この操作盤(27)が対向する部分に開口部(28)が形成されており、この開口部(28)を通じて上記操作盤(27)の操作面が露出している。
【0050】
−冷却構造−
次に、上記電力供給装置(10)の起動時における発熱量が、何れも比較的に大きいエンジン発電機(2)、バッテリ(1)、および電装品箱(8)の冷却構造について説明する。上記本体部(11)では、2つの空気流れを利用して、エンジン発電機(2)、バッテリ(1)、および電装品箱(8)を冷却する。図3には、これらの空気流れが矢印で示されている。図3に示すように、この空気流れの1つは上記ケーシング(12)の第1通気口部(22)から流入して第3通気口部(25)へ流出する第1空気流れ(31)である。もう1つは上記ケーシング(12)の第2通気口部(23)から流入して第3通気口部(25)へ流出する第2空気流れ(32)である。
【0051】
−第1空気流れ−
まず、上記第1空気流れ(31)について説明する。上記エンジン発電機(2)が起動して冷却ファン(29)が回転することよって上記第1空気流れ(31)が形成される。また、この第1空気流れ(31)は、上記冷凍車(50)が走行することによっても生じる。このことから、上記冷却ファン(29)の回転により生じた空気流れが、上記冷凍車(50)の走行によって加速される。この加速によって、第1空気(31)とエンジン発電機(2)および電装品箱(8)との間の熱伝達率が向上する。
【0052】
具体的に、上記ケーシング(12)の第1通気口部(22)を通じて該ケーシング(12)の外側の空気が第1空気(31)として右側空間部(20)へ流入する。ここで、図3に示すように、該右側空間部(20)に流入した第1空気(31)の一部は、上記電装品箱(8)の冷却フィン面に沿って流れた後に上記ラジエタ(7)を通過する。一方、第1空気(31)の残りは、直接的にラジエタ(7)を通過する。これにより、この第1空気(31)によって上記電装品箱(8)および上記ラジエタ(7)が冷却される。
【0053】
ここで、図4に示すように、上記第1通気口部(22)は、上記前面パネル(21)の湾曲面上に形成されている。このため、上記第1通気口部(22)の開口面は、上記前面パネル(21)の中央側から右側へ行くに従って上記ケーシング(12)の背面側、つまり上記ラジエタ(7)側へ傾斜している。これにより、上記第1通気口部(22)の右側部分を通過した第1空気(31)が上記ラジエタ(7)の冷却フィン(8a)に沿って流れやすくなる。
【0054】
上記電装品箱(8)の冷却フィン面は、該フィン面の右端辺から左端辺へ向かって上記ケーシング(12)の背面側、つまり上記ラジエタ(7)の奥側へ傾斜している。これにより、上記冷却フィン面に接触した第1空気(31)をスムーズに上記ラジエタ(7)の奥側へ送られる。こうすると、第1空気(31)の流れが淀みにくくなる。これにより、上記ラジエタ(7)および上記電装品箱(8)の冷却が促進される。
【0055】
そして、上記ラジエタ(7)を通過した第1空気(31)は、上記エンジン発電機(2)の側面を伝って上方へ流れ、上記第3通気口部(25)からケーシング(12)の外側へ流出する。
【0056】
−第2空気流れ−
次に、上記第2空気流れ(32)について説明する。この第2空気流れ(32)は、上記冷凍車(50)が走行することによって生じる。また、上記第2空気流れ(32)は、上記エンジン発電機(2)の起動により、上記エンジン発電機(2)の発電部(4)に内蔵の送風ファン(図示なし)が回転することによっても生じる。
上記冷凍車(50)の走行により、図3に示すように、上記ケーシング(12)の外側の空気が第2空気(32)として上記第2通気口部(23)から吸い込まれる。該第2通気口部(23)に吸い込まれた第2空気(32)の一部が上記右側空間部(20)へ流入して、残りの第2空気(32)が上記左側空間部(19)へ流入する。
【0057】
上記右側空間部(20)に流入した第2空気(32)は、上記エンジン発電機(2)の発電部(4)の外面に接触した後で該外面に沿って上方へ流れる。そして、上方へ流れた第2空気(32)は、上記第3通気口部(25)からケーシング(12)の外側へ流出する。これにより、この第2空気(32)によって上記エンジン発電機(2)の発電部(4)が冷却される。
【0058】
一方、上記左側空間部(19)に流入した第2空気(32)は、上記バッテリ(1)の外面に接触した後で該外面に沿って上方へ流れる。そして、この上方へ流れた第2空気(32)は、上記第3通気口部(25)からケーシング(12)の外側へ流出する。これにより、この第2空気(32)によって上記バッテリ(1)が冷却される。
【0059】
〈電力供給装置の運転制御〉
次に、上記電力供給装置(10)の運転制御について説明する。
【0060】
上記本体部(11)は、冷凍装置(30)へ電力を供給するための電源回路(40)を備えている。図5は、本体部(11)の電源回路(40)と冷凍装置(30)の電気回路(41)とが接続された状態の電気回路図である。
【0061】
−冷凍装置の電気回路−
図5に示すように、冷凍装置(30)の電気回路(41)は、圧縮機(43)と電力変換回路(44)と電磁開閉器(45)とが接続されて構成されている。上記電力変換回路(44)および電磁開閉器(45)は、上記圧縮機(43)の運転制御を行うコントローラ(46)に電気的に接続されている。
【0062】
この冷凍装置(30)のコントローラ(46)の指令により、上記電磁開閉器(45)が閉じると、上記電源回路(40)から圧縮機(43)へ電流が流れる。また、上記電磁開閉器(45)が開くと、上記電源回路(40)から圧縮機(43)へ電流が流れなくなる。
【0063】
また、上記冷凍装置(30)のコントローラ(46)の指令により、上記電力変換回路(44)が、コンテナ(51)内の冷却負荷に応じて上記圧縮機(43)の運転周波数を変更する。これにより、冷凍装置(30)の冷凍能力が冷却負荷とつりあうように調整される。
【0064】
−電力供給装置の電源回路−
上記電源回路(40)は、エンジン発電機(2)の発電部(4)とバッテリ(1)とコンバータ(9a)とインバータ(9b)とが電力線(39)によって接続されて構成されている。
【0065】
具体的に、上記発電部(4)は、電力線(39)を介してコンバータ(9a)が接続されている。上記コンバータ(9a)には、バッテリ(1)とインバータ(9b)とが電力線(39)を介して接続されている。
【0066】
また、上記電源回路(40)と上記冷凍装置(30)の電気回路(41)とは、電源ライン(42)によって接続されている。つまり、上記電源ライン(42)は、上記電力供給装置(10)のインバータ(9b)と冷凍装置(30)の電力変換回路(44)とを接続している。
【0067】
また、上記電源回路(40)には、上記冷凍装置(30)への供給する電力の電力量を計測する検出部である電力センサ(5)が接続されている。具体的に、この電力センサ(5)は、上記電力線(39)に接続されている。
【0068】
−電源回路の動作−
また、上記電源回路(40)は、第1発電供給動作、第2発電供給動作、充電動作および蓄電供給動作を行うことが可能に構成されている。
【0069】
〈第1発電供給動作〉
上記第1発電供給動作は、上記冷凍装置(30)の電磁開閉器(45)が閉じられ且つ上記エンジン発電機(2)が起動している状態で、上記バッテリ(1)の電圧が上記発電部(4)の電圧よりも小さいときに行われる動作である。この動作により、上記発電部(4)における電力の一部を上記バッテリ(1)へ蓄えつつ、残りの電力を上記コンテナ用冷凍装置(30))へ供給する。
【0070】
具体的に、上記発電部(4)で発生した交流電流が上記コンバータ(9a)で直流電流へ変換された後、この直流電流が上記バッテリ(1)および上記インバータ(9b)の両方へ供給される。ここで、上記コンバータ(9a)から上記バッテリ(1)側へ流れる直流電流は、上記バッテリ(1)の電圧が上記発電部(4)の電圧と略同じになるまで、即ち上記バッテリ(1)の充電が完了するまで上記バッテリ(1)側へ流れ続ける。
【0071】
一方、上記コンバータ(9a)から上記インバータ(9b)へ流れた直流電流は、該インバータ(9b)で交流電流へ変換された後、上記電源ライン(42)を介して上記冷凍装置(30)の電気回路(41)へ流れる。
【0072】
〈第2発電供給動作〉
上記第2発電供給動作は、上記冷凍装置(30)の電磁開閉器(45)が閉じられ且つ上記エンジン発電機(2)が起動している状態で、上記バッテリ(1)の充電が完了しているときに行われる動作である。この動作により、上記発電部(4)で発生した全ての電力が上記コンテナ用冷凍装置(30)へ供給する。
【0073】
具体的に、上記コンバータ(9a)からの直流電流が、満充電状態のバッテリ(1)へ流れずに上記本体部側のインバータ(9b)へ流れる。そして、このインバータ(9b)で直流電流が交流電流へ変換された後、上記電源ライン(42)を介して上記冷凍装置(30)の電気回路(41)へ流れる。
【0074】
〈充電動作〉
上記充電動作は、上記冷凍装置(30)の電磁開閉器(45)が開かれ、且つ上記エンジン発電機(2)が起動している状態のときに行われる動作である。この動作により、上記発電部(4)で発生した全ての電力を上記バッテリ(1)へ蓄える。具体的に、上記電磁開閉器(45)が開かれているため、上記コンバータ(9a)からの直流電流は上記電力供給装置(10)のインバータ(9b)へ流れずに上記バッテリ(1)へ蓄えられる。
【0075】
〈蓄電供給動作〉
上記蓄電供給動作は、上記冷凍装置(30)の電磁開閉器(45)が閉じられ、且つ上記エンジン発電機(2)が停止している状態のときに行われる動作である。この動作により、上記バッテリ(1)に蓄えられた電力を上記コンテナ用冷凍装置(30)へ供給する。具体的に、上記エンジン発電機(2)は停止しているので、上記バッテリ(1)の電流が上記電力供給装置(10)のインバータ(9b)へ流れる。そして、このインバータ(9b)で直流電流が交流電流へ変換された後、上記電源ライン(42)を介して上記冷凍装置(30)の電気回路(41)へ流れる。
【0076】
−電力供給装置のコントローラ−
上記電力供給装置(10)のコントローラ(6)は、電力センサ(5)が接続されると共に、上記エンジン発電機(2)の発電部(4)が接続されている。上記電力センサ(5)は、上記冷凍装置(30)の供給電力量の検出値を電気信号に変換して計測信号として出力する。なお、この計測信号は、その電力量の大きさを示すものである。
【0077】
そして、上記コントローラ(6)は、上記電力センサ(5)から入力された計測信号に基づいて上記コンテナ用冷凍装置(30)の冷却負荷が所定値以下に低下すると上記エンジン発電機(2)を発停するための発停信号を上記エンジン発電機(2)に出力する制御部を構成している。
【0078】
つまり、上記コントローラ(6)は、停止部(6a)と運転開始部(6b)と強制運転部(6c)とを備えている。
【0079】
上記停止部(6a)は、上記エンジン発電機(2)を運転している状態において、上記電力センサ(5)の検出値が第1閾値以下になると、上記エンジン発電機(2)を停止させる。
【0080】
上記運転開始部(6b)は、上記停止部(6a)がエンジン発電機(2)を停止させると同時に上記電力センサ(5)の検出値の積算を開始し、上記エンジン発電機(2)を停止している状態において、上記検出値の積算値が第2閾値以上になると、上記エンジン発電機(2)を運転させる。
【0081】
上記強制運転部(6c)は、上記停止部(6a)がエンジン発電機(2)を停止している状態において、上記運転開始部(6b)がエンジン発電機(2)を運転する前に、上記電力センサ(5)の検出値が第3閾値以上になると、上記エンジン発電機(2)を運転させる。
【0082】
上記コントローラ(6)は、具体的に以下の動作を行う。
【0083】
(停止動作)
上記電源回路(40)が第1発電供給動作または第2発電供給動作を行っている状態において、上記コントローラ(6)の停止部(6a)は、上記電力センサ(5)から入力された計測信号が第1閾値以下であることを検知すると同時に、上記エンジン発電機(2)へ停止信号を出力する。この動作が上記コントローラ(6)の停止動作である。
【0084】
なお、上記第1閾値は、上記コンテナ用冷凍装置(30)の最小冷却負荷に対応する最小電力値よりやや大きい値に設定されている。
【0085】
ここで、上記電力センサ(5)の計測信号は、上記圧縮機(43)の運転周波数によって変化する。つまり、上記圧縮機(43)の運転周波数が大きくなれば上記計測信号の大きさは大きくなり、上記圧縮機(43)の運転周波数が小さくなれば上記計測信号の大きさは小さくなる。また、この運転周波数は、上述したようにコンテナ(51)内の冷却負荷に応じて変化する。このことから、上記計測信号の大きさと上記冷却負荷との間には相関関係があり、この相関関係に基づいて、上記計測信号からコンテナ(51)内の冷却負荷を推測することが可能となる。
【0086】
以上より、上記電源回路(40)が第1発電供給動作または第2発電供給動作を行っている間に、上記コンテナ(51)内の冷却負荷が小さくなると、上記コントローラ(6)が上記エンジン発電機(2)を停止させることにより、上記電源回路(40)の動作が第1発電供給動作または第2発電供給動作から蓄電供給動作へ切り換わる。
【0087】
(起動動作)
上記コントローラ(6)の運転開始部(6b)は、上記停止部(6a)がエンジン発電機(2)へ停止信号を出力すると同時に、上記計測信号の積算を開始する。そして、上記運転開始部(6b)は、その積算値が第2閾値以上であることを検知すると、上記エンジン発電機(2)へ起動信号を出力する。この動作が上記コントローラ(6)の起動動作である。なお、上記第2閾値は、当然に上記蓄電部(1)の最大蓄電量を超えない範囲で設定されている。
【0088】
ここで、上記電源回路(40)の蓄電供給動作中において、上記電力センサ(5)から出力される計測信号は、上記バッテリ(1)から上記冷凍装置(30)へ供給される電力の電力値を示している。そして、この計測信号を積算すれば、上記バッテリ(1)から上記冷凍装置(30)への総供給電力量を求めることができる。この総供給電力量から上記バッテリ(1)の残蓄電量が推測される。例えば、この総供給電力量が多くなればなるほど、上記バッテリ(1)の残蓄電量は少ないと推測される。
【0089】
以上より、上記電源回路(40)が蓄電供給動作を行っている間に、上記バッテリ(1)の残蓄電量が少なくなると、上記コントローラ(6)の運転開始部(6b)が上記エンジン発電機(2)を起動させ、上記電源回路(40)の動作が上記蓄電供給動作から第1発電供給動作へ切り換わる。
【0090】
(強制起動動作)
上記コントローラ(6)の強制運転部(6c)は、上記計測信号の積算値が第2閾値以上になるまでの間に、上記電力センサ(5)から入力された計測信号が第3閾値以上であることを検知すると、上記計測信号の積算値が第2閾値以上になるのを待たずに上記エンジン発電機(2)へ起動信号を強制的に出力する。この動作が上記コントローラ(6)の強制起動動作である。
【0091】
以上より、上記電源回路(40)が蓄電供給動作を行っている間に、上記冷凍装置(30)の冷却負荷が急に増加した場合、上記コントローラ(6)の強制運転部(6c)は、上記運転開始部(6b)がエンジン発電機(2)を起動させる前に、強制的に上記エンジン発電機(2)を起動させる。これにより、上記電源回路(40)の動作が、上述した起動動作の場合よりも早めに、上記蓄電供給動作から第1発電供給動作へ切り換わる。
【0092】
−電力供給装置の運転動作−
図6は、エンジン発電機(2)の出力電力値、バッテリ(1)の出力電力値、バッテリ(1)の総出力電力値、および冷凍装置(30)の入力電力値と、経過時間との関係を示したタイムチャート図である。図6を参照しながら、上記電力供給装置(10)の運転動作について説明する。
【0093】
上記電源回路(40)が、上記第2発電供給動作を行っている間に、該冷凍装置(30)の冷却負荷が小さくなると、その冷却負荷の減少に伴って上記発電部(4)の出力電力値(電力センサ(5)の計測信号)および上記冷凍装置(30)の入力電力値が減少する(図6のA)。
【0094】
そして、上記発電部(4)の出力電力値が第1閾値以下になると、上記コントローラ(6)の停止部(6a)が停止動作を行い、上記エンジン発電機(2)が停止し、上記電源回路(40)の動作が第2発電供給動作から蓄電供給動作へ切り換わる(図6のB)。これにより、上記発電部(4)の出力電力値がゼロになり、上記バッテリ(1)の出力電力値が上昇する。
【0095】
上記コントローラ(6)の運転開始部(6b)は、上記エンジン発電機(2)を停止させると同時に上記バッテリ(1)の出力電力値(電力センサ(5)の計測信号)の積算を開始する。このとき、上記冷凍装置(30)は、上記バッテリ(1)から供給される電力により駆動している(図6のC)。
【0096】
そして、上記バッテリ(1)の出力電力値の積算値が第2閾値以上になると、上記コントローラ(6)の運転開始部(6b)が起動動作を行い、上記エンジン発電機(2)が起動し、上記電源回路(40)の動作が蓄電供給動作から第2発電供給動作へ切り換わる。このとき、上記コントローラ(6)において、上記バッテリ(1)の出力電力値の積算値がリセットされる(図6のD)。
【0097】
その後、上記発電部(4)の出力電力値が、再び第1閾値以下になると、上記コントローラ(6)の停止部(6a)が停止動作を行い、上記エンジン発電機(2)が停止し、上記電源回路(40)の動作が第2発電供給動作から蓄電供給動作へ切り換わる(図6のE)。
【0098】
そして、上記冷凍装置(30)がサーモオフすると、該冷凍装置(30)における電気回路(41)の電磁開閉器(45)が開き、上記電力供給装置(10)が停止する(図6のE)。
【0099】
上記冷凍装置(30)のサーモオフ後に冷却負荷が増えると、該冷凍装置(30)がサーモオンして、電気回路(41)の電磁開閉器(45)が閉じる。このとき、上記エンジン発電機(2)は起動せず、上記電源回路(40)は蓄電供給動作を行う(図6のG)。
【0100】
上記コントローラ(6)では、この電源回路(40)における蓄電供給動作の開始と同時に、上記バッテリ(1)の出力電力値の積算を開始する。そして、この積算値が第2閾値以上になると、上記コントローラ(6)が起動動作を行い、上記エンジン発電機(2)が起動して上記電源回路(40)の動作が蓄電供給動作から第2発電供給動作へ切り換わる(図6のH)。
【0101】
このように、上記電力供給装置(10)は、上記エンジン発電機(2)が適宜に停止させながら上記冷凍装置(30)へ電力を供給することができる。
【0102】
また、上記コントローラ(6)の停止部(6a)が停止動作を行っている状態において、上記冷凍装置(30)の冷却負荷が急に増加し、発電部(4)の出力電力値が第3閾値以上になると、運転開始部(6b)がエンジン発電機(2)を起動させ前に強制運転部(6c)がエンジン発電機(2)を強制的に起動させる。
【0103】
−実施形態の効果−
本実施形態によれば、上記バッテリ(1)を設けることにより、上記エンジン発電機(2)を停止させた状態でも、上記電源回路(40)から冷凍装置(30)へ電力を供給することができる。これにより、上記冷凍装置(30)の運転中に、上記エンジン発電機(2)を停止させることができる分だけ、従来の電力供給装置よりも省エネルギ性を向上させることができる。
【0104】
また、上記電力供給装置(10)のコントローラ(6)は、上記電力センサ(5)からの計測信号に基づいて上記冷凍装置(30)に対する冷却負荷を推測する。これにより、上記電源回路(40)と上記冷凍装置(30)との間に、互いの運転状態を通信するための通信線を接続することなく、上述した冷却負荷の推測値に応じて上記エンジン発電機(2)を発停させることができる。
【0105】
また、本実施形態によれば、上記エンジン発電機(2)を運転させている間に、上記冷凍装置(30)に対する冷却負荷が比較的に小さい状態であると判断すると、上記エンジン発電機(2)を停止させることができる。これにより、冷却負荷が比較的に大きい状態のときに上記エンジン発電機(2)を停止させた場合に比べて、上記エンジン発電機(2)の停止時間を長くすることができる。
【0106】
以上より、上記エンジン発電機(2)の停止時間が長くなった分だけ、上記電力供給装置(10)における省エネルギ性を向上させることができる。
【0107】
また、本実施形態によれば、上記エンジン発電機(2)を停止させて上記バッテリ(1)だけで冷凍装置(30)へ電力を供給している場合に、残蓄電量が比較的に少ない状態であると判断すると、上記エンジン発電機(2)を起動させることができる。これにより、上記電力供給装置(10)から冷凍装置(30)への供給電力の不足が起きないようにすることができる。
【0108】
また、本実施形態によれば、上記エンジン発電機(2)を停止させて上記バッテリ(1)だけで冷凍装置(30)へ電力を供給しているときに、急に冷却負荷が増大した場合、上記バッテリ(1)の残蓄電量が比較的に少ない状態になるのを待たずに、上記エンジン発電機(2)を強制的に再起動させることができる。これにより、上記電力供給装置(10)から冷凍装置(30)への供給電力の不足が起きるのを確実に防止することができる。
【0109】
また、本実施形態によれば、上記冷凍装置(30)のサーモオン時に、上記エンジン発電機(2)を起動させなくても、上記電力供給装置(10)から冷凍装置(30)へ電力を供給することができる。このことから、上記エンジン発電機(2)の起動を遅らせた分だけ、該エンジン発電機(2)の連続運転時間を従来よりも短縮することができる。これにより、上記電力供給装置(10)における省エネルギ性を向上させることができる。
【0110】
《その他の実施形態》
上記実施形態については、以下のような構成としてもよい。
【0111】
本実施形態は、上記電力センサ(6)を電力線(39)に設けたが、これに限定する必要はなく、上記電源ライン(42)に接続されていてもよい。この場合であっても、上記冷凍装置(30)に供給される電力の電力量を計測することができる。
【0112】
本実施形態では、上記コンテナ(51)は、冷凍車(50)の荷台車両(53)に載置されるものであったが、これに限定する必要はなく、例えば、船舶の甲板等に載置されるものであってもよい。
【0113】
本実施形態では、上記冷凍装置(30)の電気回路(41)に上記電力変換回路(44)が接続されているが、これに限定される必要はなく、上記電気回路(41)に上記電力変換回路(44)が接続されていなくてもよい。この場合であっても、本実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0114】
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0115】
以上説明したように、本発明は、コンテナ用冷凍装置における電力供給装置について有用である。
【符号の説明】
【0116】
1 バッテリ(蓄電部)
2 エンジン発電機
3 エンジン部
4 発電部
5 電力センサ(検出部)
6 コントローラ(制御部)
7 ラジエタ
8 電装品箱
9a コンバータ
9b インバータ
10 電力供給装置
11 本体部
12 ケーシング
30 コンテナ用冷凍装置
40 電源回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテナ(51)に取り付けられたコンテナ用冷凍装置(30)へ供給する電力を発生するエンジン発電機(2)を備えた電力供給装置であって、
上記コンテナ用冷凍装置(30)へ供給する電力として上記エンジン発電機(2)の電力を蓄える蓄電部(1)と、
上記エンジン発電機(2)および蓄電部(1)が接続され、上記コンテナ用冷凍装置(30)へ電力を供給する電源ライン(42)と、
該電源ライン(42)からコンテナ用冷凍装置(30)へ供給される電力の電力値を検出する検出部(5)と、
該検出部(5)の検出値に基づいて上記コンテナ用冷凍装置(30)の冷却負荷が所定値以下に低下すると上記エンジン発電機(2)の発停を制御する制御部(6)とを備えている
ことを特徴とするコンテナ用冷凍装置の電力供給装置。
【請求項2】
請求項1において、
上記制御部(6)は、上記エンジン発電機(2)を運転している状態において、上記検出部(5)の検出値が第1閾値以下になると、上記エンジン発電機(2)を停止させる停止部(6a)を備えている
ことを特徴とするコンテナ用冷凍装置の電力供給装置。
【請求項3】
請求項2において、
上記制御部(6)は、上記停止部(6a)がエンジン発電機(2)を停止させると同時に上記検出部(5)の検出値の積算を開始し、上記エンジン発電機(2)を停止している状態において、上記検出値の積算値が第2閾値以上になると、上記エンジン発電機(2)を運転させる運転開始部(6b)を備えている
ことを特徴とするコンテナ用冷凍装置の電力供給装置。
【請求項4】
請求項3において、
上記制御部(6)は、上記停止部(6a)がエンジン発電機(2)を停止している状態において、上記運転開始部(6b)がエンジン発電機(2)を運転する前に、上記検出部(5)の検出値が第3閾値以上になると、上記エンジン発電機(2)を運転させる強制運転部(6c)を備えている
ことを特徴とするコンテナ用冷凍装置の電力供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−50324(P2012−50324A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−164408(P2011−164408)
【出願日】平成23年7月27日(2011.7.27)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】