説明

コンバインの刈取前処理構造

【課題】中央側昇降フレームと搬送ケースとの間での切断茎稈の詰まりを抑制して、刈取り性能の向上を図れるコンバインの刈取前処理構造を提供する。
【解決手段】副切断装置14を、走行機体2より前方側に延出した複数本の昇降フレームで構成される昇降フレームユニット13に取付ける。昇降フレームユニット13における走行機体横幅方向の中央側に位置する中央側昇降フレーム13Aを、刈取搬送装置とその刈取搬送装置の下方に位置する車軸ケース25との間に配置される中央側上部フレーム部13aと、中央側上部フレーム部13aの先端から車軸ケース25の前方側で下向きに屈曲して延出される中央側下部フレーム部13b,13cで構成してある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミッションケースから左右横側方に向けて車軸ケースを延出し、前記車軸ケースに支持される走行装置を備えた走行機体に、植立穀稈の穂先着粒部を刈り取る主切断装置と、切断後に前記穂先着粒部を搬送する搬送装置とを、駆動昇降自在に取り付け、前記主切断装置より低い位置で前記植立穀稈に作用する副切断装置を、前記走行機体に対して昇降自在に支持してあるコンバインの刈取前処理構造に関する。
【背景技術】
【0002】
上下に位置する主副切断装置を設けている理由は、穀稈の穂先側の着粒部のみを脱穀装置に投入するために主切断装置で着粒部を切断するとともに、着粒部より下方の茎稈部を脱穀装置へ投入しないために副切断装置で株元部分を切断して圃場面上に放出するためである。
上記した主副切断装置は、刈取搬送装置において刈取フレームに取り付けられていた(例えば特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−97079号公報(段落番号〔0021〕図2−3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記構成になる主副切断装置は、刈取フレームに取付られており、刈り高さ調節を行う為に、刈取搬送装置を走行機体に対して上下動させると、主副切断装置もそれらの上下間隔を維持しながら上下動する。
長短稈に拘わらず主切断装置によって着粒部のみを切断できるものであるが、副切断装置は主切断装置の切断高さより一定間隔だけ低い部分を切断することとなるので、圃場に残る刈り株は、長稈であれば長く、短稈であれば短く切断されて残っている。
そうすると、圃場の管理上、刈残しにムラができるところから、刈取作業が不十分であるとの判断を受けることもあり、刈取作業の形態に改善の余地があった。
【0005】
本発明の目的は、副切断装置に対する支持構造に工夫を加えることによって刈残しにムラが発生し難く、かつ、その為に導入された昇降フレームユニットの形状に工夫を加えることによって、昇降フレームユニットを構成する中央側昇降フレームと搬送ケースとの間での切断茎稈の詰まりを抑制して、刈取り性能の向上を図れるコンバインの刈取前処理構造を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
〔構成〕
請求項1に係る本願発明の特徴構成は、前記副切断装置を、前記走行機体より前方側に延出した複数本の昇降フレームで構成される昇降フレームユニットに取付け、前記昇降フレームユニットにおける走行機体横幅方向の中央側に位置する中央側昇降フレームを、前記搬送装置とその搬送装置の下方に位置する前記車軸ケースとの間に配置される中央側上部フレーム部と、前記中央側上部フレーム部の先端から前記車軸ケースの前方側で下向きに屈曲して延出される中央側下部フレーム部とで構成してある点にあり、その作用効果は次の通りである。
【0007】
〔作用〕
副切断装置を主切断装置とは別個に走行機体に上下動自在に支持すべく、走行機体の前端から機体前方側に向けて複数本の昇降フレームからなる昇降フレームユニットを上下揺動自在に延出し、その延出端に副切断装置を取り付けている。このような構成によって、主切断装置が刈取り高さを変更しても、副切断装置は圃面から一定高さを維持する。
このことによって、主切断装置が穀稈の穂先部の高さに応じて刈高さを変更しても、刈株の高さを圃面から一定の高さに維持できるものである。
【0008】
しかも、昇降フレームユニットを構成する中央側昇降フレームとして、前記搬送装置とその搬送装置の下方に位置する前記車軸ケースとの間に配置される中央側上部フレーム部を、副切断装置に向けて1本の直線状に延出するのではなく、一旦、中央側上部フレーム部から下向きに屈曲して延出された中央側下部フレーム部を設けて、この中央側下部フレーム部に副切断装置を取り付ける構成を採った。
これによって、車軸ケースの上方を迂回する高い位置に中央側上部フレーム部を配置しながら、車軸ケースの前方に位置する中央側下部フレーム部を下向きに延出したものであるので、搬送装置と、中央側下部フレーム部と、副切断装置とで囲む大きな空間を形成できる。
この空間の存在によって、副切断装置に近接する植立茎稈、及び、副切断装置によって切断された切断茎稈が抜け易くなり滞留することが少なくなる。
【0009】
〔効果〕
したがって、主切断装置の昇降作動に拘わらず副切断装置を圃面から一定高さに維持して、刈株の高さを揃えることができる。
しかも、搬送装置と車軸ケースとの間の空間を通す必要のある中央側昇降フレームにおいて、車軸ケースの上方を迂回した部位で下向きに屈曲形成する形状の変更を加えるだけで、副切断装置で切断される直前の茎稈、及び、切断茎稈の滞留を抑制する空間の確保が容易に行え、円滑な刈り取り作業を行えるコンバインの刈取前処理構造を提供することができた。
【0010】
〔構成〕
請求項2に係る本願発明の特徴構成は、前記中央側下部フレーム部を、前記中央側上部フレーム部の先端から前記車軸ケースの前方側で下向きに屈曲して延出される中央側縦向きフレーム部と、前記中央側縦向きフレーム部の下端から屈曲して前方側に延出された中央側前向きフレーム部とで構成してある点にあり、その作用効果は次の通りである。
【0011】
〔作用〕
中央側下部フレーム部を、下向きに延出される中央側縦向きフレーム部と、前方側に延出された中央側前向きフレーム部とを設けて構成しているので、副切断装置の後方で、中央側縦向きフレーム部と中央側前向きフレーム部と刈取搬送装置との間に空間を確保でき、切断茎稈の十分な移動空間を形成できて、この部分での滞留詰まりを抑制でき、切断作業に対する影響も抑えることができる。
【0012】
〔効果〕
このように中央側下部フレーム部を屈曲して構成することにより、副切断装置の後方に十分な切断茎稈に対する排出移動空間を確保することができ、切断作業の効率をより高いものにできるコンバインの刈取前処理構造を提供することができた。
【0013】
〔構成〕
請求項3に係る本願発明の特徴構成は、前記昇降フレームユニットにおける走行機体横幅方向の運転操縦部側に位置する一方側昇降フレームを、前記運転操縦部への搭乗ステップの下方で斜め下向きに延出される一方側上部フレーム部と、前記一方側上部フレーム部の先端から屈曲して前方側に延出された一方側下部フレーム部とで構成してある点にあり、その作用効果は次の通りである。
【0014】
〔作用効果〕
運転操縦部側に位置する一方側昇降フレームについては、一方側上部フレーム部と一方側下部フレーム部とを繋ぎ部位で下向きに屈曲する状態で形成して、上昇位置でも搭乗ステップとの干渉を回避可能なコンバインの刈取前処理構造を提供することができた。
【0015】
〔構成〕
請求項4に係る本願発明の特徴構成は、前記昇降フレームユニットにおける走行機体横幅方向の前記運転操縦部側とは反対側に位置する他方側昇降フレームを、斜め下向きに直線状に延出される単一のフレーム部で構成してある点にあり、その作用効果は次の通りである。
【0016】
〔作用効果〕
他方側昇降フレームは車軸ケースを迂回する必要はないので、直線状の単一のフレーム部で構成することができ、中央側昇降フレーム及び一方側昇降フレームのように屈曲形成する必要はなく、製作工程が複雑でなくコスト面でも有利である。
しかも、他方側昇降フレームは、直線状のものであるので、中央側昇降フレーム及び一方側昇降フレームのように屈曲したものに比べて全長が短く軽量でもあるので、振動等を抑制できるコンバインの刈取前処理構造を提供することができた。
【0017】
〔構成〕
請求項5に係る本願発明の特徴構成は、前記昇降フレームユニットを上向き付勢する付勢手段を設けている点にあり、その作用効果は次の通りである。
【0018】
〔作用効果〕
副切断装置が接地する圃場面に細かい凹凸が存在しても、付勢手段が作動して副切断装置の刈取高さの変動を抑えることができるとともに、大きな凸部が存在する場合には、副切断装置は上方に逃げ易くなり、植立茎稈の株元を処理する副切断装置の保護を図ることのできるコンバインの刈取前処理構造を提供することができた。
【0019】
〔構成〕
請求項6に係る本願発明の特徴構成は、前記主切断装置及び前記刈取搬送装置の昇降作動によって、前記副切断装置と前記主切断装置との上下間隔が所定間隔未満であれば前記副切断装置を前記主切断装置の昇降作動に連動させない状態に維持し、前記所定間隔以上になると、前記副切断装置を前記主切断装置の上昇作動に連動させる連動機構を備える点にあり、その作用効果は次の通りである。
【0020】
〔作用効果〕
主切断装置が長短稈に応じて昇降作動しても、副切断装置は所定の高さを維持しながら、畦等を越える場合に刈取搬送装置が大きく上昇作動する場合には、前記副切断装置と前記主切断装置との上下間隔が所定間隔以上となるので、連動機構を介して主切断装置とともに副切断装置も持ち上がる。
このように、主切断装置と副切断装置とを連動させる連動機構を導入することによって、刈取搬送装置の上昇度合いに対応した副切断装置の高さを設定でき、主切断装置と副切断装置とを備えた切断構造を有効に活用できるコンバインの刈取前処理構造を提供することができた。
【0021】
〔構成〕
請求項7に係る本願発明の特徴構成は、前記連動機構を、前記主切断装置を備えた搬送装置と前記副切断装置を備えた前記昇降フレームユニットとに亘って、前記主切断装置と前記副切断装置との上下間隔が一定以上になることを制限する連係部材を設けて構成してある点にあり、その作用効果は次の通りである。
【0022】
〔作用効果〕
連係部材によって、上下間隔が一定未満の場合には、副切断装置は主切断装置との間隔を自由に変更することができ、主切断装置が長短稈に応じて昇降作動しても、副切断装置は所定の高さを維持できる。
上下間隔が一定値に達すると上下間隔が広がることが制限され、以上になると、主切断装置に連動して副切断装置も持ち上がる。
このように、副切断装置と主切断装置との上下間隔を制限する連係部材を導入する構成によって、連動機構を簡易に構成できるコンバインの刈取前処理構造を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】コンバインの全体側面図である。
【図2】コンバインの全体平面図である。
【図3】副切断装置、連動機構、運転操縦部、搬送機構を示す正面図である。
【図4】副切断装置、連動機構、搬送機構を示す平面図である。
【図5】左側昇降フレームと副切断装置の駆動構造を示す左側面図である。
【図6】中央側昇降フレームと、その中央側昇降フレームと走行機体との間に設けた付勢手段を示す左側面図である。
【図7】右側昇降フレームを示す右側面図である。
【図8】副切断装置に対する偏芯駆動ユニットを示す縦断正面図である。
【図9】副切断装置に対する偏芯駆動ユニットを示す一部切り欠き側面図である。
【図10】畦越え時に、連動機構の連係ピンを連係部材の係合孔に係合させて、連係部材と刈取搬送装置とを連係して、副切断装置が主切断装置の昇降作動に連動して、持ち上がった状態を示す側面図である。
【図11】(a)左側橇を示す斜視図、(b)中央橇を示す斜視図、(c)右側橇を示す斜視図である。
【図12】(a)連係部材と連係ピンとの非係合状態を示す平面図、(b)連係部材と連係ピンとの非係合状態を示す平面図である。
【図13】(a)連係部材と、連係ピン及びガイドピンとの係合関係を示す側面図、(b)連係部材と、連係ピン及びガイドピンとの係合関係を示す縦断正面図である。
【図14】昇降フレームユニットを軸受部と共に走行機体から取り外した状態を示す正面図
【図15】中央側下部フレーム部を中央側縦向きフレーム部だけで構成し、その中央側縦向きフレーム部の下端に副切断装置を取り付けた状態を示す側面図
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1にはコンバインの全体側面が示されており、このコンバインは、走行装置としての左右一対のクローラ式走行装置1の駆動で走行する走行機体2の前部に、刈取対象穀稈を刈り取って後方に向けて搬送する刈取搬送装置3を左右向きの第1軸心X1周りに上下揺動可能に連結し、その刈取搬送装置3からの刈取対象穀稈に対して脱穀処理を施すとともに、この脱穀処理で得られた処理物に対して選別処理を施す脱穀装置4や、この脱穀装置4からの穀粒を貯留する穀粒タンク5などを走行機体2に搭載し、走行機体2における穀粒タンク5の前方箇所に運転操縦部6を形成して、稲や麦などを刈取対象穀稈とした全稈投入型に構成されている。
【0025】
図1及び図2に示すように、刈取搬送装置3は、走行機体の走行に伴って、その前部左右両端に装備されたデバイダ7が刈取対象穀稈と非刈取対象穀稈とを梳き分け、刈取搬送装置3の前部上方に配備された回転リール8が、左右のデバイダ7で梳き分けられた刈取対象穀稈を後方に向けて掻き込み、刈取搬送装置3の底部に装備されたバリカン形の主切断装置9が刈取対象穀稈の所定箇所を切断し、主切断装置9の後方に配備されたオーガ10が、主切断装置9による切断後の刈取対象穀稈を左右方向の所定箇所に寄せ集めるとともに、その所定箇所において後方に向けて送り出し、その所定箇所から脱穀装置4の前上部にわたる搬送装置としての搬送機構11が、オーガ10からの刈取対象穀稈を脱穀装置4に向けて搬送するように構成され、その搬送機構11と走行機体2とにわたって架設した油圧式のシリンダ12の作動で左右向き第1軸心X1周りに上下揺動し、その上下揺動で、刈取対象穀稈に対する主切断装置9の高さ位置を変更する刈り高さ調節を行えるようになっている。
【0026】
バリカン型の副切断装置14の支持構造について説明する。図2〜図4に示すように、走行機体2の前端上面に左右向きの角パイプ製の横向きフレーム16を架設してある。横向きフレーム16は、ミッションケース24を挟んで左側に位置する左側フレーム部16Aとミッションケース24より右側に位置する右側フレーム部16Bとで分離して設けてあり、左側フレーム部16Aの両端近傍の二箇所と、右側フレーム部16Bの右側端との3箇所に軸受部17を備えている。
図6及び図7に示すように、軸受部17は左右フレーム部16A、16Bに取付られる脚部17Aと、その脚部17Aと一体形成されたボス部17Bとからなり、ボス部17Bにニードルベアリングを介して筒状軸18を揺動自在に装着してある。
【0027】
横向きフレーム16における軸受部17に対する取付部位に、板状の受ブラケット16aを取り付けてあり、この受ブラケット16aに対して軸受部17の脚部17Aをボルト15で締め付け固定し、軸受部17を横向きフレーム16に対して着脱自在に構成してある。
【0028】
筒状軸18は、各軸受部17に設けてあり、その軸受部17のボス部17Bより第2軸芯X2に沿って横向きに突出し、その突出部分に昇降フレームユニット13を連結固定してある。左右方向の3箇所で軸受部17に支持された中央側昇降フレーム13A、右側昇降フレーム13B、左側昇降フレーム13Cを機体前方に向けて延出し、中央側昇降フレーム13A、右側昇降フレーム13B、左側昇降フレーム13Cの先端部同士をアングル状の連結フレーム13Dで連結して、昇降フレームユニット13を一体で揺動可能に構成してある。
【0029】
左右方向の3箇所に設けられた昇降フレームユニット13の内の走行機体幅方向の略中央に位置する中央側昇降フレーム13Aの構造について説明する。
図6に示すように、中央側昇降フレーム13Aは、ボス部17Bに一体連結され、そのボス部17Bから斜め下向きに延出された中央側上部フレーム部13aと、中央側上部フレーム部13aから折れ曲がり状態に下向きに延出された中央側縦向きフレーム部13bと、中央側縦向きフレーム部13bの下端から前方に向けて延出された中央側前向きフレーム部13cとを屈折状態で一体連結して構成されている。
中央側縦向きフレーム部13bと中央側前向きフレーム部13cとを総称して、請求項1に記載の中央側下部フレーム部とする。
【0030】
図3〜図6に示すように、中央側上部フレーム部13aの下方には、左右クローラ走行装置1の駆動スプロケット1Aを駆動すべくミッションケース24より左右に延出された車軸ケース25が配置してあり、中央側上部フレーム部13aは車軸ケース25の上方に配置してある。中央側上部フレーム部13aの下端より屈曲して下向きに延出されている中央側縦向きフレーム部13bは、車軸ケース25の前方に位置し、その下端より中央側前向きフレーム部13cが屈曲して前方向きに延出されて、中央側昇降フレーム13Aはクランク状に折れ曲がり形成されている。
なお、中央側上部フレーム部13bの上面には、受フレーム53が設けてあり、受フレーム53が搬送機構11の搬送ケース11Aの下面に当接することによって、副切断装置14とオーガケース10とが接触することを防止している。
【0031】
図6に示すように、中央側縦向きフレーム部13bの前方側と、中央側前向きフレーム部13cの上方側と、搬送ケース11Aとで囲む空間Dが形成され、副切断装置14で裁断された茎稈がこの空間内に移動できるようにして、裁断茎稈の詰まりを回避するように構成してある。
【0032】
次に、走行機体左右幅の右側で運転操縦部側に位置する右側昇降フレーム(一方側昇降フレームに相当)13Bについて説明する。図1、図3及び図7に示すように、右側昇降フレーム13Bも中央側昇降フレーム13Aと同様に右側軸受部17から下向きに延出されているが、右側軸受部17から斜め下向きに延出された右側上部フレーム部(一方側上部フレーム部に相当)13dと右側上部フレーム部13dの下端より前方に延出された右側下部フレーム部(一方側下部フレーム部に相当)13eとで構成してある。
右側上部フレーム部13dの下向き傾斜角が大きく、右側昇降フレーム13Bは右側上部フレーム部13dと右側下部フレーム部13eとの連結部位が下向きに突部となるように構成してある。
これによって、右側昇降フレーム13Bを上昇させた場合にも、上方に配置される搭乗ステップ49との干渉が回避される。
【0033】
走行機体左右幅の左側で運転操縦部6とは反対側に位置する左側昇降フレーム(他方側昇降フレームに相当)13Cについて説明する。図1〜図5に示すように、左側昇降フレーム13Cは、左側軸受部17のボス部17Bから斜め前方下方に向けて延出してある直線状を呈する単一のフレーム部で構成してある。
【0034】
昇降フレームユニット13の揺動範囲の下限位置を設定し、その昇降フレームユニット13を上昇側に付勢する付勢手段Aについて説明する。図3及び図6に示すように、左右方向3箇所に設けている昇降フレームユニット13のうちの中央に位置する中央昇降フレーム13Aに対して付勢手段Aを作用させて、昇降フレームユニット13を上昇側に付勢している。
【0035】
つまり、付勢手段Aは、圧縮コイルバネ19と、圧縮コイルバネ19の軸線位置に位置する支持ボルト軸20と、支持ボルト軸20の下端に螺合するホルダー21と、圧縮コイルバネ19の上下端を受け止める上下受ディスク22A、22Bとで構成してある。
下受ディスク22Bを支持するアングル状の受フレーム23を走行機体2の上下向き姿勢の前端フレーム2Aから前方に向けて延出し、受フレーム23の前端部を、ミッションケース24から左右クローラ式走行装置1の駆動スプロケット1Aに向けて延出された車軸ケース25に支持させている。
【0036】
受フレーム23に下受ディスク22Bを載置し、下受ディスク22Bの軸芯位置に支持ボルト軸20の下端に外嵌したホルダー21を内嵌保持してある。ホルダー21を介して下受ディスク22Bに支持された支持ボルト軸20は、中央側昇降フレーム13Aに向けて上向きに延出され、延出上端位置に上受ディスク22Aを装着してある。
【0037】
中央側昇降フレーム13Aの下面には皿状の受止具26が装着してあり、受止具26には調節ボルト27が取り付けてある。調節ボルト27の下端ボルト頭27Aを、支持ボルト軸20の上端ボルト頭20Aに当接させて、中央側昇降フレーム13Aを前記した圧縮式コイルバネ19で押し上げ付勢してある。調節ボルト27を受止具26に対して上下方向に出退調節させることによって、上受ディスク22Aとの当接位置を調節し、圧縮式コイルバネ19の押し上げ付勢力を調節可能である。
【0038】
昇降フレームユニット13の走行機体2に対する着脱構造について説明する。図3から図7に示すように、昇降フレームユニット13は、前記したように走行機体2の前端部における3箇所から機体前方に向けて延出してある中央側昇降フレーム13A、右側昇降フレーム13B、左側昇降フレーム13Cと、これらの下端部同士を連結する連結フレーム13Dとで構成してある。
【0039】
走行機体2の前端部における中央側部位と、左側部位と、右側部位とに、夫々、軸受部17を配置し、各軸受部17を走行機体2の前端部に左右方向に沿って配置した横向きフレーム16の左側フレーム部16A、及び、右側フレーム部16Bに、ボルト15を介して着脱可能に構成して、図14に示すように、各軸受部17を昇降フレームユニットと共に走行機体2に対して着脱可能に構成してある。
【0040】
各軸受部17には機体横向きの第2軸芯周りで揺動可能に筒状軸18を嵌入装着してある。走行機体2の前端部における中央側部位に位置する軸受部17に対しては、その軸受部17に嵌入装着してある筒状軸18に中央側昇降フレーム13Aの基端部が一体で揺動すべく連結してある。
同様に、右側部位に位置する軸受部17に対しては、右側昇降フレーム13Bが、左側部位に位置する軸受部17に対しては、左側昇降フレーム13Bが、夫々、連結してある。
【0041】
以上のような構成によって、図14に示すように、3つの軸受部17を横向きフレーム16より取り外すと、昇降フレームユニット13全体を軸受部17と共に取外すことができる。反対に取付も可能である。
したがって、組み立て後微妙な作動調節操作を必要とする各昇降フレーム13A、13B、13Cと軸受部17とを、組み立て状態を解除することなく昇降フレームユニット13として取り外し取付けが可能であるので、取付後の作動調整負担を大幅に軽減できる。
【0042】
副切断装置14は連結フレーム13Dに着脱自在に取り付けてあるので、単独で連結フレーム13Dから取り外し可能であり、かつ、昇降フレームユニット13と一体で取り外すことができる。
また、副切断装置14を駆動する偏芯駆動ユニットCは左側に位置する軸受部17に支持されており、駆動ロッド軸44、ベアリングブロック46、揺動駆動アーム47は左側昇降フレーム13Cに取り付けてあるので、副変速装置14の駆動構造も、昇降フレームユニット13と一体で着脱自在である。
【0043】
尚、図3、図4、図7、図14に示すように、右側昇降フレーム13Bは連結フレーム13Dとボルト74によって連結解除自在に構成してもよい。このように構成すると、右側部位に位置する軸受部17を横向きフレーム16から取り外し、右側昇降フレーム13Bと連結フレーム13Dとの連結を解除することによって、右側昇降フレーム13bを単独で取外すことができる。
そうすると、昇降フレームユニット13の全体を取り外すことなく、右側クローラ走行装置1の近傍や運転操縦部6の下方への入り込みが容易になり、それら右側クローラ走行装置1や運転操縦部6の下方に位置する機器へのメインテナンス作業を容易に行い得る。
【0044】
副切断装置14の構造について説明する。図1及び図6に示すように、副切断装置14は、連結フレーム13Dに背中合わせで取付固定されているアングル状の基台29と、基台29に装着された受け刃30と、受け刃30に支持されている可動刃32と、可動刃32を駆動するナイフバー33と、ナイフバー33を保持するナイフクリップ34とで構成されている。
【0045】
連結フレーム13Dの下向き面には橇48が後に張り出す状態で取り付けてあり、刈取り面の凹凸に副切断装置14が追従しやすく構成してある。橇48は、連結フレーム13Dの横方向3箇所に設けてあり、各昇降フレーム13A、13B、13Cの下方に設けてある。そして、3つの橇48は、左右のクローラ式走行装置1とは左右外側に偏位した位置に設けてある。副切断装置14が昇降時に、橇48がクローラ式走行装置1と干渉しないためである。
【0046】
橇48の構成について説明する。まず、右側昇降フレーム13Bと連結フレーム13Dの右端との連結部位に設けられる右側橇48Bについて説明する。図1、図3及び図7、図11(a)に示すように、右側橇48Bは、連結フレーム13Dの下方に位置する前上がり板部48aと、前上がり板部48aの後端に連なる接地板部48bと、接地板部48bの後端に連なる後上がり板部48cと、前上がり板部48aと、接地板部48bとの両側端から上向きに立設される側板部48dとを備えて構成されている。
【0047】
左右の両側板部48dの上端を連結フレーム13Dの下辺部13fに下方から当接する状態で固定し、右側橇48Bを連結フレーム13Dに取付固定している。後上がり板部48cは上辺側程細くなる台形状を呈しており、その上辺を右側昇降フレーム13Bの下面に当接する状態で、立ち上げてある。このように、後上がり板部48cを設けることによって、コンバインが後進しても、藁屑が左側橇48Cの両側板部48d内に入り込んでくることが少ない。
【0048】
左右の両側板部48dの上端は、連結フレーム13Dの下辺部13fと副切断装置14を取り付けているアングル状の基台29の下端の入り込みを許容する凹入部が設けてあり、副切断装置14の取付状態を安定させる載置座48eに構成してある。
左右の両側板部48dの上端に設ける載置座48eは、後記する中央側橇48A、左側橇48Cにも形成してある。
【0049】
中央側昇降フレーム13Aと連結フレーム13Dの中間部との連結部位に設けられる中央側橇48Aについて説明する。図6及び図11(b)に示すように、中央側橇48Aは、連結フレーム13Dの下方に位置する前上がり板部48aと、前上がり板部48aの後端に連なる接地板部48bと、接地板部48bの後端に連なる後上がり板部48cと、前上がり板部48aと、接地板部48bとの両側端から上向きに立設される側板部48dとを備えて構成されている。
つまり、中央側橇48Aの構成は右側橇48Bと同様の構成を採る。後上がり板部48cの形状は、上辺ほど細くなる台形に形成されており、後上がり板部48cの上辺は、中央側昇降フレーム13Aの下面に当接する状態まで立ち上げられている。
【0050】
図5及び図11(c)に示すように、左端に位置する左側橇48Cは、連結フレーム13Dの下方に位置する前上がり板部48aと、前上がり板部48aの後端に連なる接地板部48bと、接地板部48bの後端に連なる後上がり板部48cと、前上がり板部48aと、接地板部48bとの両側端から上向きに立設される側板部48dとを備えて構成されている。
ただし、左側橇48Cが中央側橇48A及び右側橇48Bと異なる構成は、後上がり板部48cが台形状を呈するのではなく、接地板部48bと同様の横幅を備えた長方形状に形成してあり、かつ、立上げ高さも左側昇降フレーム13Cの下面に達しない高さに止めてある点にある。
【0051】
副切断装置14の可動刃32に対する駆動機構Eについて説明する。図3〜図5に示すように、3個の昇降フレーム13A、13B、13Cを支持する軸受部17における左端に位置する左端軸受部17に駆動構造が設けてある。図8に示すように、左端軸受部17に支持された筒状軸18の内部空間に、左右一対の転がりベアリング35が内装してあり、左右の転がりベアリング35に亘って駆動軸36が支承してある。
【0052】
駆動軸36における筒状軸18より突出する片持ち端部36Aには、入力スプロケット37を取り付けた回転ボス38が取付てあり、入力スプロケット37の取付位置より更に片持ち先端部分に偏芯駆動ユニットCが取り付けてある。
【0053】
図8及び図9に示すように、偏芯駆動ユニットCは、駆動軸36に偏芯した状態で取付固定された回転コア部39と、回転コア部39に大ベアリング40を介して外嵌装着されている揺動ホルダー部41と、揺動ホルダー部41の上下両端軸41Aに小ベアリング42を介して装着されている駆動フォーク部43とからなっている。
【0054】
上記のような構成において、駆動軸36に取付られている回転コア部39は駆動軸36と一体回転するが偏芯状態にあるために、回転コア部39に大ベアリング40を介して外嵌されている揺動ホルダー部41は、矢印(a―b)で示すように、駆動軸36の回転軸芯に直交する軸芯周りで左右に揺動可能に駆動される。そして、この揺動ホルダー部41の上下両端軸に外嵌されている駆動フォーク部43も連動して左右に揺動可能に振れ作動する。このように、偏芯駆動ユニットCによって、駆動軸36の回転運動を駆動ロッド軸44の左右往復運動に変換する回転変換機構が構成されている。
【0055】
図3〜図5、図8及び図9に示すように、駆動フォーク部43には前方下向き姿勢の駆動ロッド軸44が取付固定してあり、駆動ロッド軸44を副切断装置14の近傍まで延出してある。左側昇降フレーム13Cの下端部から駆動ロッド軸44に向けて取付台45が延出してあり、取付台45の先端側にベアリングブロック46が取付固定され、このベアリングブロック46が駆動ロッド軸44の先端部を回転自在に支持している。
このような構成によって、駆動ロッド軸44は、駆動フォーク部43の左右揺動に連動して、駆動ロッド軸44自体の軸芯Z周りで揺動自在に構成されている。
【0056】
駆動ロッド軸44のベアリングブロック46より下方に突出する下端部に揺動駆動アーム47が取付固定してあり、この揺動駆動アーム47から延出したアーム連係部47Aを可動刃用のナイフバー33に連係してある。
以上のような構成によって、可動刃32は、偏芯駆動ユニットCの入力スプロケット37、駆動軸36、回転コア部39、揺動ホルダー部41、駆動フォーク部43、駆動ロッド軸44、揺動駆動アーム47、アーム連係部47Aを介して伝達された駆動力によって左右に往復駆動される。
【0057】
次に、副切断装置14を主切断装置9の昇降作動に連動させる状態と非連動状態とを現出する連動機構Bの構成について説明する。
図1〜4に示すように、連動機構Bは、副切断装置14と主切断装置9とを、主切断装置9が刈高さを変更すべく昇降作動を行っても、副切断装置14と主切断装置9との上下間隔が所定間隔未満であれば、副切断装置14を主切断装置9の昇降作動に連動させない状態に維持し、副切断装置14と主切断装置9との上下間隔が所定間隔以上になると、副切断装置14を主切断装置9の上昇作動に連動させるべく構成してある。
【0058】
図12及び図13に示すように、連動機構Bは、上下方向に長い帯板状の連係部材50と、その連係部材50の中間部を刈取搬送装置3の搬送ケース11Aに対して接続、及び接続を解除する状態に切換操作するための係合操作体51とで構成されている。
図3、図4及び図6に示すように、連係部材50は、その下端部に設けた連係孔を介して中央側昇降フレーム13Aから走行機体左右中央部に向けて横向きに延出された連結ピン52に嵌合装着することによって、上下向き姿勢に支持されている。
【0059】
連係部材50の上下中間部には、図13(a)に示すように、幅広の中間フレーム部50Aが設けてあり、この中間フレーム部50Aには、上下方向に長いガイド長孔50aが設けてある。更に、中間フレーム部50Aにはその中間フレーム部50Aの下端部近傍に横側方に張り出す張出し部50Bが設けてあり、この張出し部50Bに上下方向にやや長い係合孔50bを設けてある。
【0060】
図12及び図13(a)に示すように、係合孔50bの横側端部にはその係合孔50bの縁部をピン材50cで形成して、後記する連係ピン56を係合した際に、このピン材50cで係合孔50bを連係ピン56の鍔部56Aに引掛け係止すべく構成する。
また、図1〜図4に示すように、連係部材50の上端部には、握り操作具55が形成してあり、握り操作具55は運転操縦部6から操縦者が握り操作することが可能な高さに位置している。
【0061】
一方、図12(a)(b)、図13(a)(b)に示すように、搬送ケース11Aの横側面から連係部材50に向けてガイドピン54と連係ピン56とが延出してあり、ガイドピン54をガイド長孔50aに挿通し、連係ピン56を係合孔50bに係合すべく構成してある。
ガイドピン54には、先端ワッシャ部材57と、その先端ワッシャ部材57と協働してそのガイドピン54に外嵌した連係部材50を挟み込むスペーサ部材58と、スペーサ部材58よりガイドピン54の基端部側に固定された受ワッシャ部材59と、スペーサ部材58と受ワッシャ部材59との間に設けられるコイルバネ60とが外嵌装着されている。
【0062】
連係ピン56は、ガイドピン54と同じく搬送ケース11Aの横側面から横向きに延出されたものであるが、ガイドピン54より短く、先端部に鍔部56Aを設けている。
ガイド長孔50aと係合孔50b、及び、それらに係合するガイドピン54と連係ピン56とで係合操作体51を構成する。
【0063】
以上のような構成によって、コイルバネ60でスペーサ部材58をガイドピン54の先端部に押し付け付勢し、先端ワッシャ部材57で連係部材50を受止めてある。
連係部材50は、弾性の高い鋼板で構成してあり、握り操作具55を握って走行機体の左右方向、すなわち、連係部材50の板面に直交する方向で少し揺動操作すると、自身の弾性で撓み変形し、連係ピン56と係合孔50bとの相対位置を変更操作して、副切断装置14を刈取搬送装置3の昇降作動に連動する状態と連動しない状態とに切換えることができる。
【0064】
具体的には、図12(a)及び図13(b)の実線に示すように、コイルバネ60の付勢力によって、連係部材50をガイドピン54の先端部の先端ワッシャ部材57に押し付け付勢している状態では、連係ピン56と係合孔50bとは離間した状態にある。
図12(b)、図13(a)及び図13(b)の二点鎖線に示すように、この状態でコイルバネ60の付勢力に抗して連係部材50をその連係部材50の板面に直交する方向で少し揺動操作して搬送ケース11A側に近づけると、係合孔50bが連係ピン56に外嵌係合し、係合孔50bのピン材50cが連係ピン56の鍔部56Aに係止して、連係部材50が連係ピン56に連係する状態となる。
この状態においては、コイルバネ60がスペーサ部材58を介して連係部材50に対して押し出し方向に付勢力を及ぼしているので、ピン材50cが連係ピン56の鍔部56Aに強く押し付けられて、連係部材50が連係ピン56に係合する状態を維持している。
【0065】
図12(b)に示すように、連係部材50が連係ピン56に連係する状態で、刈取搬送装置3を上昇作動させると、図13(a)に示すように、連係ピン56が係合孔50bの上端縁に当接して、連係部材50を持ち上げ、連係部材50が持ち上がるとその連係部材50が中央側昇降フレーム13Aに取り付けた連結ピン52を持ち上げ、その連結ピン52が中央側昇降フレーム13Aを上昇させ、中央側昇降フレーム13A等に連結された副切断装置14が一体的に昇降作動することになる。
【0066】
この連係状態を解除するには、図12(b)に示す状態において、連係部材50をその連係部材50の板面に沿った方向に少し揺動操作させて、ピン材50cが連係ピン56の鍔部56Aから離間すると、連係部材50がコイルバネ60によって押し出されて、係合孔50bと連係ピン56との係合状態が解除される。
この状態で、刈取搬送装置3を昇降作動させると、連係ピン56からは連係部材50は駆動力を受けず、かつ、ガイドピン54もガイド孔50a内を相対移動するだけであるので、連係部材50が刈取搬送装置3に連動することはなく、副切断装置14は連動せず、所定の刈取り姿勢を維持する。
【0067】
尚、連係ピン56で連係部材50を引き上げ、副切断装置14を持ち上げる状態では、副切断装置14の重量が係合孔50bと連係ピン56との接触面に作用して、握り操作具55から手を離しても、係合用孔部54aと係合片56との係合状態が維持される。もちろん、刈取搬送装置3を下降させて副切断装置14が接地すると、その副切断装置14の重量が前記接触面に作用しなくなるので、前記連係部材50は自身の弾性でもとの状態に復帰し、前記係合状態は解除される。
【0068】
このように構成されたコンバインでは、図10に示すように、畦越え走行時などに、連動機構Bを操作して副切断装置14を刈取搬送装置3の昇降作動に連動する状態に切換え、刈取搬送装置3を上昇操作することによって、副切断装置14も追従して持ち上げられた姿勢とすることができる。
【0069】
次に、副切断装置14を圃場面側に付勢するガススプリング69について説明する。図1及び図2、図4及び図5に示すように、刈取り穂先着粒部を横送り搬送するオーガ10を収納するケース10Aにおける脱穀装置4に向かう面に、ガススプリング69が設けてある。ガススプリング69は、搬送機構11の両側に設けてある左右一対のものであり、一方のガススプリング69は前記脱穀装置4に向かう面の左右中央近くに位置し、他方のガススプリング69は前記脱穀装置4に向かう面の左側端部に位置し、両ガススプリング69は、オーガ10を収納するケース10Aから脱穀装置4に向けて延出されている。
【0070】
図4に示すように、脱穀装置4に向かう面に左右一対のブラケット70を設け、前記左右一対のブラケット70における左右中央側に位置するブラケット70Bに、一方のガススプリング69のシリンダ69Aの上端部を連結してあり、そのシリンダ69Aから下向きに延出されたピストン69Bの下端フォーク部69bを、左右中央に位置する中央側昇降フレーム13Aに取り付けた取付台45に取付けてある。
【0071】
左右一対のブラケット70における左側端に位置するブラケット70Aに、他方のガススプリング69のシリンダ69Aの上端部を連結してあり、そのシリンダ69Aから下向きに延出されたピストン69Bの下端フォーク部69bを左端に位置する左側昇降フレーム13Cに取り付けた取付台45に取付けてある。
【0072】
以上のような二つのガススプリング69によって、副切断装置14の昇降作動が抑制される。
刈取搬送装置3を刈り高さ制御によって、昇降作動させた場合にも、ガススプリング69を伸縮作動させることによって、副切断装置14の高さを付勢手段Aに受止られた略一定高さ位置に維持することができる。つまり、刈取搬送装置3を上昇作動させると、その上昇作動につれてガススプリング69のピストン69Bが伸長作動して、副切断装置14を略一定位置に維持する。
【0073】
畦越え等を行う為に、刈取搬送装置3を大きく上昇作動させた場合には、連動機構Bによって、副切断装置14を連係して上昇作動させるように構成してある。その場合に、ガススプリング69はピストン69Bを伸縮させた状態で、刈取搬送装置3と副切断装置14との間隔を維持している。
【0074】
〔別実施形態〕
(1) 前記実施形態では、中央側昇降フレーム13Aを、中央側上部フレーム部13aと、中央側縦向きフレーム部13bと、中央側前向きフレーム部13cとで構成したが、図15に示すように、中央側下部フレーム部としては、中央側前向きフレーム部13cはなくてもよく、中央側縦向きフレーム部13bだけで直線状の中央側下部フレーム部を構成し、中央側縦向きフレーム部13bの下端に副切断装置14を取り付けてもよい。
【0075】
(2) 中央側上部フレーム部13aと中央側下部フレーム部との連結部の側面視での形状としては、屈曲したものに限らず、側面視でアーチ状に湾曲した形状であってもよく、また、中央側下部フレーム部の側面視での形状としては、屈曲したものに限らず、側面視でアーチ状に湾曲した形状であってもよい。
【0076】
(3) 搭乗ステップ6Aとの干渉が避けられるものであるならば、右側昇降フレーム13Bも、左側昇降フレーム13Cと同様に、長手方向の途中で屈曲しない直線状のものであってもよい。
【0077】
(4) 左右側昇降フレーム13B、13Cも中央側昇降フレーム13Aと同一の屈曲形状に形成してもよい。この場合には、一種類の昇降フレームを製作すればよい。
【0078】
(5) 昇降フレームユニット13としては、中央側昇降フレーム13Aのみ、または、中央側昇降フレーム13Aと左右いずれかの昇降フレーム13B、13Cとの二本の昇降フレームで構成してもよい。
【0079】
(6)連係部材50としては、前記した帯板状のものに代えて、チェーンを搬送機構11の搬送ケース11Aの側面と昇降フレームユニット13とに亘って架設して設けてもよい。
【0080】
(7)付勢手段としては、コイルバネ以外に皿バネ等であってよい。
【0081】
(8)走行装置1としては、クローラ式以外に車輪式を採用してもよい。
【0082】
(9) 図6に示す構成において、中央側上部フレーム部13a、中央側縦向きフレーム部13b、中央側前向きフレーム部13cを各々別部品で構成し、これらの3者を溶接やボルト等の締結具等により連結して、図6に示す形状にしてもよい。
【0083】
(10) 図15に示す構成において、中央側上部フレーム部13a、中央側縦向きフレーム部13bを各々別部品で構成し、この両者を溶接やボルト等の締結具等により連結して、図15に示す形状にしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0084】
本願発明は、主副切断装置9、14を装備したコンバインに利用可能である。
【符号の説明】
【0085】
1 クローラ走行装置(走行装置)
2 走行機体
3 刈取搬送装置(搬送装置)
6 運転操縦部
6A 搭乗ステップ
9 主切断装置
13 昇降フレームユニット
13A 中央側昇降フレーム
13B 右側昇降フレーム(一方側昇降フレーム)
13C 左側昇降フレーム(他方側昇降フレーム)
13a 中央側上部フレーム部
13b 中央側縦向きフレーム部(中央側下部フレーム部)
13c 中央側前向きフレーム部(中央側下部フレーム部)
13d 右側上部フレーム部(一方側上部フレーム部)
13e 右側下部フレーム部(一方側下部フレーム部)
14 副切断装置
24 ミッションケース
25 車軸ケース
50 連係部材
A 付勢手段
B 連動機構




【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミッションケースから左右横側方に向けて車軸ケースを延出し、前記車軸ケースに支持される走行装置を備えた走行機体に、植立穀稈の穂先着粒部を刈り取る主切断装置と、切断後に前記穂先着粒部を搬送する搬送装置とを、駆動昇降自在に取り付け、前記主切断装置より低い位置で前記植立穀稈に作用する副切断装置を、前記走行機体に対して昇降自在に支持してあるコンバインの刈取前処理構造であって、
前記副切断装置を、前記走行機体より前方側に延出した複数本の昇降フレームで構成される昇降フレームユニットに取付け、前記昇降フレームユニットにおける走行機体横幅方向の中央側に位置する中央側昇降フレームを、前記搬送装置とその搬送装置の下方に位置する前記車軸ケースとの間に配置される中央側上部フレーム部と、前記中央側上部フレーム部の先端から前記車軸ケースの前方側で下向きに屈曲して延出される中央側下部フレーム部とで構成してあるコンバインの刈取前処理構造。
【請求項2】
前記中央側下部フレーム部を、前記中央側上部フレーム部の先端から前記車軸ケースの前方側で下向きに屈曲して延出される中央側縦向きフレーム部と、前記中央側縦向きフレーム部の下端から屈曲して前方側に延出された中央側前向きフレーム部とで構成してある請求項1記載のコンバインの刈取前処理構造。
【請求項3】
前記昇降フレームユニットにおける走行機体横幅方向の運転操縦部側に位置する一方側昇降フレームを、前記運転操縦部への搭乗ステップの下方で斜め下向きに延出される一方側上部フレーム部と、前記一方側上部フレーム部の先端から屈曲して前方側に延出された一方側下部フレーム部とで構成してある請求項1又は2記載のコンバインの刈取前処理構造。
【請求項4】
前記昇降フレームユニットにおける走行機体横幅方向の前記運転操縦部側とは反対側に位置する他方側昇降フレームを、斜め下向きに直線状に延出される単一のフレーム部で構成してある請求項1から3のうちのいずれか一項にコンバインの刈取前処理構造。
【請求項5】
前記昇降フレームユニットを上向き付勢する付勢手段を設けている請求項1から4のうちのいずれか一項に記載のコンバインの刈取前処理構造。
【請求項6】
前記主切断装置及び前記搬送装置の昇降作動によって、前記副切断装置と前記主切断装置との上下間隔が所定間隔未満であれば前記副切断装置を前記主切断装置の昇降作動に連動させない状態に維持し、前記所定間隔以上になると、前記副切断装置を前記主切断装置の上昇作動に連動させる連動機構を備える請求項1から5のうちのいずれか一項に記載のコンバインの刈取前処理構造。
【請求項7】
前記連動機構を、前記主切断装置を備えた搬送装置と前記副切断装置を備えた前記昇降フレームユニットとに亘って、前記主切断装置と前記副切断装置との上下間隔が一定以上になることを制限する連係部材を設けて構成してある請求項6記載のコンバインの刈取前処理構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−227019(P2010−227019A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−78623(P2009−78623)
【出願日】平成21年3月27日(2009.3.27)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】