コンバインの排塵装置
【課題】稈身や葉の絡み付きを回避しやすい状態でフィーダから排塵できるコンバインの排塵装置を提供する。
【解決手段】フィーダ11のフィーダケース20における天板部24に設けた吸塵口26に連通する状態でフィーダケース20の外側に設けた排塵フード31を備えてある。排塵フード31の内部に、軸流形の吸排塵回転ファン32を、回転軌跡の下端部32aが吸塵口26の周縁27aの近傍に位置する状態で天板部24に平行な軸芯Xまわりに回転自在に設けてある。
【解決手段】フィーダ11のフィーダケース20における天板部24に設けた吸塵口26に連通する状態でフィーダケース20の外側に設けた排塵フード31を備えてある。排塵フード31の内部に、軸流形の吸排塵回転ファン32を、回転軌跡の下端部32aが吸塵口26の周縁27aの近傍に位置する状態で天板部24に平行な軸芯Xまわりに回転自在に設けてある。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、刈取装置からの刈取り穀稈を脱穀装置に供給するフィーダに作用するコンバインの排塵装置に関する。
【背景技術】
【0002】
フィーダのフィーダケースにおける天板部に吸塵口を設け、この吸塵口に連通する状態でフィーダケースの外側に設けた排塵フード、及びこの排塵フードの内部に回転自在に設けた吸排塵回転ファンを備えて、フィーダの前方やフィーダケースの内部に発生した塵埃を、吸排塵回転ファンの作用により、吸塵口から排塵フードの内部に吸引して排塵フードの内部を流動させて、排塵フードの排出口から所定の排出箇所に流出させるように排塵装置が構成されたものとして、従来、例えば特許文献1,2に記載されたものがあった。
特許文献1に記載されたものでは、排塵フードとしてのフード、及び吸排塵回転ファンとしての電動軸流ファンが備えられている。特許文献2の図9に記載されたものでは、排塵フードとしての上面フード、及び吸排塵回転ファンとしてのシロッコファンが備えられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−39024号公報
【特許文献2】特開2000−50721号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された技術を採用することによって排塵装置を構成した場合、吸排塵回転ファンの全体が吸塵口を覆う如く吸排塵回転ファンが吸塵口に対して近接した状態になる。特許文献2の図9に記載された技術を採用することによって排塵装置を構成した場合、吸排塵回転ファンのほぼ半分が吸塵口を覆う如く吸排塵回転ファンが吸塵口に対して近接した状態になる。これにより、フィーダケースの内部を移送される穀稈が吸塵口を設けてある箇所を通る際、稈身や葉が吸塵口から排塵フードに突入することがあると、吸排塵回転ファンに稈身や葉が絡み付きやすくなっていた。稈身や葉が吸塵口から排塵フードに突入することを防止するように吸塵口に網を設けた場合、網に稈身や葉が絡み付きやすくなっていた。
【0005】
本発明の目的は、稈身や葉の絡み付きトラブルを回避しやすい状態でフィーダから排塵できるコンバインの排塵装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本第1発明は、刈取装置からの刈取り穀稈を脱穀装置に供給するフィーダに作用するコンバインの排塵装置において、
前記フィーダのフィーダケースにおける天板部に設けた吸塵口に連通する状態で前記フィーダケースの外側に設けた排塵フードを備え、
前記排塵フードの内部に、軸流形の吸排塵回転ファンを、回転軌跡の下端部が前記吸塵口の周縁又はその近傍に位置する状態で前記天板部に平行な軸芯まわりに回転自在に設けてある。
【0007】
本第1発明の構成によると、吸排塵回転ファンが天板部に対して起立する状態で、かつ吸排塵回転ファンの全体あるいはほぼ全体が吸塵口の外側付近に位置する状態で吸排塵回転ファンを排塵フードの内部に設置して、フィーダによって移送される穀稈の稈身や葉が吸塵口から排塵フードに突入することがあっても吸排塵回転ファンに触れにくい状態で、吸排塵回転ファンが吸塵口に吸引力を及ぼすようにできる。吸排塵回転ファンの回転軌跡の下端部が吸塵口の周縁又はその近傍に位置するものだから、吸塵口に及ぶ吸排塵回転ファンの吸引力を低下させずに済む。これにより、稈身や葉が吸塵口から排塵フードに突入することを防止する網を吸塵口に設けなくとも、稈身や葉を吸排塵回転ファンに触れにくくできる。
【0008】
従って、刈取り穀稈が長稈の状態で移送されるフィーダに作用させるものでありながら、かつ塵埃の吸引排出を効果的にできるものでありながら、稈身や葉の絡み付きによる排塵不良が発生しにくい高品質の排塵装置を得ることができる。
【0009】
本第2発明では、前記吸排塵回転ファンを前記天板部の横端近傍に配置してある。
【0010】
吸排塵回転ファンから天板部の横端までの距離が大になると、吸排塵回転ファンからフィーダの横外側に向けて流動する塵埃が横外側に至るまでの途中で天板部の上に落下しやすくなる。本第2発明の構成によると、吸排塵回転ファンからフィーダの横外側までの距離を小に済ませ、吸排塵回転ファンからフィーダの横外側に向けて流動する塵埃が天板部の上に落下しにくくできる。
【0011】
従って、排塵フードから排出されるべき塵埃が天板部の上に落下して滞留する事態が発生しにくいように優れた排出性能を備えさせることができる。
【0012】
本第3発明では、前記吸排塵回転ファンを駆動するモータを、前記吸排塵回転ファンに対して塵埃流動方向上手側に配置して前記排塵フードの支持部に支持させてある。
【0013】
本第3発明の構成によると、フィーダケースから吸塵口を介して排塵フードの内部に吸引された塵埃が吸排塵回転ファンをモータが位置する側からモータが位置する側とは反対側に通過する状態で流動して、モータが収容されている部位への塵埃の流入を発生しにくくできる。
【0014】
従って、モータへの塵埃流入を防止するシール手段を構造簡単なものに済ませて安価に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】コンバインの全体を示す側面図である。
【図2】コンバインの全体を示す平面図である。
【図3】フィーダ及び排塵装置を示す縦断正面図である。
【図4】排塵装置を示す平面図である。
【図5】排塵装置を示す横断平面図である。
【図6】図3のVI−VI断面矢視図である。
【図7】排塵装置における吸排塵回転ファンの配設部を示す縦断正面図である。
【図8】第1の別実施例を示す排塵装置における吸排塵回転ファンの配設部を示す縦断正面図である。
【図9】第2の別実施例を示す排塵装置における吸排塵回転ファンの配設部を示す縦断正面図である。
【図10】第3の別実施例を示す排塵装置の平面図である。
【図11】第4の別実施例を示す排塵装置の平面図である。
【図12】第5の別実施例を示す排塵装置の平面図である。
【図13】第6の別実施例を示す排塵装置の平面図である。
【図14】第7の別実施例を示す排塵装置における吸排塵回転ファンの駆動構造を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施例に係るコンバインの全体を示す側面図である。図2は、本発明の実施例に係るコンバインの全体を示す平面図である。これらの図に示すように、本発明の実施例に係るコンバインは、左右一対のクローラ走行装置1,1によって走行するように構成され、かつ走行機体の前部の横一端側に設けられた運転部2及び原動部3を備えた走行機体と、この走行機体の機体フレーム4の後部に設けた脱穀装置5と、機体フレーム4の後部に運転部2の後方に配置して設けた穀粒タンク6と、脱穀装置5の前部にフィーダ11が連結された刈取り部10とを備えて構成してある。
【0017】
このコンバインは、稲、麦などの収穫作業を行なう。
すなわち、刈取り部10は、フィーダ11が油圧シリンダ12によって脱穀装置5に対して上下に揺動操作されることにより、刈取り部フレーム13が地面近くに下降した下降作業状態と、刈取り部フレーム13が地面から高く上昇した上昇作業状態とに昇降する。刈取り部10を下降作業状態に下降させて走行機体を走行させると、刈取り部10は、刈取り部フレーム13の基部から前方向きに揺動昇降操作自在に延出している左右一対の支持アーム14,14に駆動回動自在に支持された回転リール15によって、植立穀稈を刈取り部フレーム13の底部の前端側に設けられたバリカン形の刈取装置16に掻き寄せながら刈取装置16によって刈取り、刈取り穀稈を刈取り部フレーム13の内部に設けられた回転オーガ17の螺旋送り板17aによってフィーダ11の前方箇所に移送し、フィーダ11の前方箇所に到達した刈取り穀稈の株元から穂先までの全体を、回転オーガ17に設けられた掻き送りアーム18によってフィーダ11に送り込んでフィーダ11によって脱穀装置5に供給する。
【0018】
脱穀装置5は、供給された刈取り穀稈の株元から穂先までの全体を扱室(図示せず)に導入して脱穀処理する。穀粒タンク6は、脱穀装置5が送り出した脱穀粒を供給装置7によって送り込まれて貯留し、貯留した脱穀粒をスクリューコンベヤで成る排出オーガ8によって排出する。
【0019】
図1,3に示すように、フィーダ11は、刈取り部フレーム13の後壁部から脱穀装置5の前壁部に亘る横断面形状が矩形の筒状のフィーダケース20と、フィーダケース20の内部にフィーダ横方向に並べて駆動回動自在に設けられた一対の無端回動チェーン21,21と、無端回動チェーン21の長手方向での複数箇所に配置して一対の無端回動チェーン21,21に亘って取付けられた搬送体22とを備えて構成してある。
【0020】
従って、フィーダ11は、掻き送りアーム18によって刈取り部フレーム13の後壁部に位置する穀稈送出口(図示せず)からフィーダケース20に送り込まれた刈取り穀稈を、フィーダケース20の内部を一対の無端回動チェーン21,21によって移送される搬送体22によってフィーダケース20の底板部23の内側面に添わせて係止搬送して脱穀装置5の前壁部に位置する穀稈投入口(図示せず)に供給する。
【0021】
図1,2に示すように、フィーダ11は、フィーダケース20の搬送始端部に配備された排塵装置30を備えており、フィーダケース20に刈取り穀稈と共に入り込んだ土埃などの塵埃を排塵装置30によってフィーダケース20の外部に排出し、塵埃除去状態の刈取り穀稈を脱穀装置5に供給する。また、排塵装置30は、フィーダ11の前方で発生した塵埃をフィーダケース20を介して吸引して運転部2から離れた箇所に排出する。
【0022】
排塵装置30について説明する。
図3は、排塵装置30を示す縦断正面図である。図4は、排塵装置を示す平面図である。これらの図に示すように、排塵装置30は、フィーダケース20の外側に設けた排塵フード31と、排塵フード31の内部に設けた軸流形の吸排塵回転ファン32(以下、回転ファン32と略称する。)とを備えて構成してある。
【0023】
排塵フード31は、フィーダケース20の天板部24の外面側に位置する吸引フード部33と、この吸引フード部33の横側部とフィーダケース20の横板部25の外面側とに亘って位置する排出フード部34とを備えて構成してあり、吸引フード部33の下端部に設けた取付けフランジ33tにより、フィーダケース20の天板部24に設けた吸塵口26の周りで天板部24に連結されている。図6に示すように、回転ファン32の上半分を収容する吸引フード部33の上部33Uの回転ファン32の軸芯Xに沿う方向での縦断面形状が半円形になり、回転ファン32の下半分を収容する吸引フード部33の下部33Dの回転ファン32の軸芯Xに沿う方向での縦断面形状が矩形になっている。排塵フード31は、吸引フード部33に設けた矩形の連通孔33aで吸塵口26に連通しており、吸塵口26から排出フード部34の下端部に形成された排出口35に至る塵埃流動路を形成している。吸引フード部33及び排出フード部34は、所定の形状に成形された樹脂材によって構成してある。吸引フード部33と排出フード部34は、吸引フード部33の横端部に一体成形された連結フランジ33fと排出フード部34の上端側の横端部に一体成形された連結フランジ34fとの連結ねじによる連結によって連結されている。
【0024】
図6に示すように、排塵フード31の回転ファン32の軸芯Xに沿う方向視での上端側部31Uを回転ファン32の外周に沿った円弧形状に形成し、排塵フード31の上端側部31Uとフィーダケース20の天板部24との間に位置する下端側部31Dをフィーダ上下向きの直線形状に形成してある。回転ファン32の下部の両横側での回転ファン32の外周縁と排塵フード31の下端側部31Dとの隙間を埋めて排塵性能を高める樹脂製のシール壁板41を、吸引フード部33に一体形成した状態で排塵フード31の内部に設けてある。シール壁板41の上端41aは、回転ファン32の軸芯Xよりも少し低い配置高さに位置している。吸引フード部33の上部33Uとシール壁板41とが、回転ファン32のファンシュラウドとして機能する。
【0025】
図5,6,7に示すように、回転ファン32は、回転ファン32の回転軌跡の下端部32aが吸塵口26の周縁27のうちの吸塵口26の運転部側とは反対側の横端に位置する部分27aの近傍とフィーダケース20の天板部24の横端近傍とに位置するように配置されている。回転ファン32の回転支軸32bは、回転ファン32に対して塵埃流動方向上手側に位置するよう配置した電動式のモータ38の出力軸38aに一体回転自在に支持され、モータ38は、吸引フード部33の内部に設けた円筒形のステー36の端部に位置するフランジ形の支持部36aに連結ねじによって脱着自在に取付けられており、回転ファン32は、モータ38を介してステー36に回転自在に支持されているとともに回転支軸32bの軸芯であって、フィーダケース20の天板部24に平行な軸芯Xまわりにモータ38によって回転駆動される。回転ファン32は、回転支軸32b及びモータ32に塵埃が流入することを防止するシールカバー40を回転支軸32bの基部に一体回転自在に取付けられた状態で備えている。
【0026】
図7に示すように、モータ38を支持するステー36は、吸引フード部33の横側板部37から回転ファン32に向かって延出する状態で吸引フード部33の横側板部37に一体成形され、吸引フード部33の横側板部37に、モータ38の脱着に使用する作業開口42を形成してある。ステー36に配線溝43がステー36の成形時に同時に形成して備えられており、モータ38を駆動する電線44が配線溝43を通してモータ38から吸引フード部33の外部に引き出されている。ステー36の内部に、吸引フード部33の外部からモータ38に塵埃が入り込むことを防止するモータカバー45を設けてある。モータカバー45は、スポンジによって構成してあり、作業開口42からステー36の孔内に詰め込んで装着してある。モータカバー45の周縁部の一部が、配線溝43の内部に入り込み、電線44を配線溝43の内部に押し込んで固定している。吸引フード部33の横側板部37は、ステー36の配置高さよりも低い配置高さに位置する下端37pから上端に亘り、上端に至るほど回転ファン32に近づく状態で傾斜している。横側板部37の下端37pと取付けフランジ33tに亘り、取付けフランジ33tと横側板部37を連結する連結板部33rを設けてある。連結板部33rは、吸塵口26から上方に少し離れて位置し、吸塵口26の端部から横側板部37の下端側部37dに向かう塵埃流路を連結板部33rの下方に形成している。
【0027】
したがって、排塵装置30は、回転ファン32をモータ38によって軸芯Xまわりに回動駆動して回転ファン32に吸引及び送風作用を発揮させ、フィーダ11の前方やフィーダケース20の内部に発生した塵埃を、吸塵口26から連通孔33aを介して吸引フード部33の内部に流入させてステー36の周りからフィーダ横向きに流動させ、回転ファン32を通過させて排出フード部34の上端部内に流動させ、排出フード部34の上端部を形成するフード板部34aの傾斜内面34bの案内によってフィーダ下向きの流動に向き変更させて流動させ、排出口35からフィーダ11に対して運転部3が位置する側とは反対側でのフィーダ11の下方に向けて排出する。吸塵口6から吸引フード部33のステー36の周囲に流入した塵埃は、横側板部37の傾斜による流動案内を受けて回転ファン32に向かう流動向きにスムーズに向き変更して流動する。殊に吸塵口6の回転ファン32が位置する側とは反対側の端部から吸引される塵埃は、連結板部33rの下方の塵埃流路を通って吸引フード部33の内部に流入し、吸引フード部33に流入すると、横側板部37の下端側部37dの傾斜による流動案内を受けて回転フアン32に向かう流動向きにスムーズに向き変更して流動する。
【0028】
排塵装置30は、回転ファン32の回転軌跡の下端部32aがフィーダケース20の天板部24の横端24aの近傍に位置していて回転ファン32から天板部24の横端24aまでの距離が短くなっていることにより、回転ファン32を通過した塵埃を天板部24の上面に落下させないで排出フード部34の排出口35に向けて落下させる。
【0029】
〔第1の別実施例〕
図8は、第1の別実施例を示す排塵装置30における吸排塵回転ファン32の配設部を示す縦断正面図である。この図に示すように、第1の別実施例を示す排塵装置30では、排塵フード31の点とモータ38を支持させる点とにおいて、上記した実施例の排塵装置30と異なる構成を備え、その他の点において上記した実施例の排塵装置30と同じ構成を備えている。
【0030】
第1の別実施例を示す排塵装置30では、排塵フード31を、フィーダケース20の天板部24の外面側に設けた板金製の吸引フード部33と、この吸引フード部33の横側部とフィーダケース20の横板部25の外面側とに亘って設けた樹脂製の排出フード部34とを備えて構成してある。吸引フード部33と排出フード部34とは、端部どうしを連結ボルトで連結することによって連結してある。
【0031】
吸引フード部33の横側板部37は、ステー36が連結するほぼ鉛直姿勢の上側板部37aと、この上側板部37aとフィーダケース20の天板部24の間に位置する傾斜姿勢の下側板部37bとを備えている。下側板部37bは、ステー36に近づくほど回転ファン32との間隔が小になる傾斜内面37cを備えている。傾斜内面37cは、吸塵口26から吸引フード部33に流入した塵埃に流動案内する。これにより、吸塵口26からフィーダ上方向きに流動して吸引フード部33に入った塵埃が、ステー36の周囲に到達したとき、フィーダ横向きの流動向きにスムーズに向き変更し、ステー36の付近で塵埃が失速しにくくなる。排塵フード31は、回転ファン32の下端部から落下した塵埃を排出フード部34に向け流下案内する傾斜ガイド31aを備えている。
【0032】
第1の別実施例を示す排塵装置30では、モータ38を支持するステー36を、円筒形に形成した板金によって構成し、吸引フード部33の横壁部37に設けた作業開口42のまわりで横壁部37に連結ボルトによって連結してある。
【0033】
〔第2の別実施例〕
図9は、第2の別実施例を示す排塵装置30における吸排塵回転ファン32の配設部を示す縦断正面図である。この図に示すように、第2の別実施例を示す排塵装置30では、排塵フード31の点とモータ38及び吸排塵回転ファン32を支持させる点とにおいて、上記した実施例の排塵装置30と異なる構成を備え、その他の点において上記した実施例の排塵装置30と同じ構成を備えている。
【0034】
第2の別実施例を示す排塵装置30では、排塵フード31を、第1の別実施例の排塵装置30におけるフィーダケース20と同じ構成を備えている。
【0035】
第2の別実施例を示す排塵装置30では、モータ38を、吸引フード部33の横壁部37に設けたモータ取付け孔に嵌め込んだ状態で横壁部37に連結ボルトによって脱着自在に連結してある。
【0036】
第2の別実施例を示す排塵装置30では、吸排塵回転ファン32の回転支軸32bを、ステー36の端部に設けた支持部36aとモータ38の出力軸38aとに支持させてある。回転支軸32bは、モータ38の出力軸38aに連結具39を介して一体回転自在に連結されている。
【0037】
〔第3の別実施例〕
図10は、第3の別実施例を示す排塵装置30の平面図である。第3の別実施例を示す排塵装置30では、回転ファン32を、回転ファン32の回転軌跡の下端部が吸塵口26の周縁27のうち、吸塵口26の後方側端に沿って位置する部分の直上方に位置するように配置した状態で設けてある。
【0038】
〔第4の別実施例〕
図11は、第4の別実施例を示す排塵装置30の平面図である。第4の別実施例を示す排塵装置30では、回転ファン32を、回転ファン32の回転軌跡の下端部が吸塵口26の周縁27のうち、吸塵口26の前方側端に沿って位置する部分の直上方に位置するように配置した状態で設けてある。
【0039】
〔第5の別実施例〕
図12は、第5の別実施例を示す排塵装置30の平面図である。第5の別実施例を示す排塵装置30では、回転ファン32を、回転ファン32の回転軌跡の下端部が吸塵口26の周縁27のうち、吸塵口26の運転部側と反対側に位置する横端側の前方側における角部に位置する部分の直上方に位置するように配置した状態で設けてある。
【0040】
〔第6の別実施例〕
図13は、第6の別実施例を示す排塵装置30の平面図である。第6の別実施例を示す排塵装置30では、回転ファン32を、回転ファン32の回転軌跡の下端部が吸塵口26の周縁27のうち、吸塵口26の運転部側と反対側に位置する横端側の後方側における角部に位置する部分の直上方に位置するように配置した状態で設けてある。
【0041】
〔第7の別実施例〕
図14は、第7の別実施例を示す排塵装置30における吸排塵回転ファン32の駆動構造を示す概略図である。第7の別実施例を示す排塵装置30では、刈取り部駆動軸としてのフィーダ駆動軸50に伝動ベルト50aを介して原動部3から伝達される駆動力によって吸排塵回転ファン32を駆動するように、吸排塵回転ファン32の駆動構造を構成してある。
【0042】
すなわち、吸排塵回転ファン32の駆動構造は、フィーダ駆動軸50から刈取装置駆動軸51に動力伝達する無端回動チェーン52に係合して無端回動チェーン52を張り操作するテンションスプロケット53と、このテンションスプロケット53を支持する回転軸に一体回転自在に設けた伝動プーリ54と、この伝動プーリ54に伝動ベルト55によって連動された状態で回転ファン32の回転支軸32bに一体回転自在に設けたファン駆動プーリ56とを備えて構成してある。
つまり、フィーダ駆動軸50から刈取装置駆動軸51に伝達される駆動力を、テンションスプロケット53によって取り出して伝動プーリ54に伝達し、伝動プーリ54から伝動ベルト55及びファン駆動プーリ56によって増速して回転支軸32bに伝達することによって、吸排塵回転ファン32を駆動する。
【0043】
〔別実施例〕
(1)上記した実施例では、フィーダケース20の天板部24に矩形の吸塵口26を設けた例を示したが、矩形以外の各種の形状、例えば円形や楕円形の吸塵口26を設けて実施してもよい。
(2)上記した実施例において、回転ファン32を、天板部24の横端24aの直上方に位置する状態、つまり回転ファン32が天板部24の横端24aよりも横外側にはみ出る状態や、吸塵口26の周縁27(部分27a)の直上方に位置する状態、つまり回転ファン32が周縁27(部分27a)よりも吸塵口26の内側に入り込んだ状態で配備してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、脱穀装置5からの脱穀粒を穀粒タンク6に貯留して、穀粒タンク6から排出オーガ8によって取り出すオーガ排出型のコンバインに装備される排塵装置の他、脱穀装置5からの脱穀粒を袋詰めタンクに貯留して、袋詰めタンクから穀粒袋に取り出す袋詰め型のコンバインに装備される排塵装置にも利用できる。
【符号の説明】
【0045】
5 脱穀装置
11 フィーダ
16 刈取装置
20 フィーダケース
24 天板部
26 吸塵口
27a 周縁
31 排塵フード
32 吸排塵回転ファン
32a 回転軌跡の下端部
36b,37 排塵フードの支持部
38 モータ
X 軸芯
【技術分野】
【0001】
本発明は、刈取装置からの刈取り穀稈を脱穀装置に供給するフィーダに作用するコンバインの排塵装置に関する。
【背景技術】
【0002】
フィーダのフィーダケースにおける天板部に吸塵口を設け、この吸塵口に連通する状態でフィーダケースの外側に設けた排塵フード、及びこの排塵フードの内部に回転自在に設けた吸排塵回転ファンを備えて、フィーダの前方やフィーダケースの内部に発生した塵埃を、吸排塵回転ファンの作用により、吸塵口から排塵フードの内部に吸引して排塵フードの内部を流動させて、排塵フードの排出口から所定の排出箇所に流出させるように排塵装置が構成されたものとして、従来、例えば特許文献1,2に記載されたものがあった。
特許文献1に記載されたものでは、排塵フードとしてのフード、及び吸排塵回転ファンとしての電動軸流ファンが備えられている。特許文献2の図9に記載されたものでは、排塵フードとしての上面フード、及び吸排塵回転ファンとしてのシロッコファンが備えられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−39024号公報
【特許文献2】特開2000−50721号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された技術を採用することによって排塵装置を構成した場合、吸排塵回転ファンの全体が吸塵口を覆う如く吸排塵回転ファンが吸塵口に対して近接した状態になる。特許文献2の図9に記載された技術を採用することによって排塵装置を構成した場合、吸排塵回転ファンのほぼ半分が吸塵口を覆う如く吸排塵回転ファンが吸塵口に対して近接した状態になる。これにより、フィーダケースの内部を移送される穀稈が吸塵口を設けてある箇所を通る際、稈身や葉が吸塵口から排塵フードに突入することがあると、吸排塵回転ファンに稈身や葉が絡み付きやすくなっていた。稈身や葉が吸塵口から排塵フードに突入することを防止するように吸塵口に網を設けた場合、網に稈身や葉が絡み付きやすくなっていた。
【0005】
本発明の目的は、稈身や葉の絡み付きトラブルを回避しやすい状態でフィーダから排塵できるコンバインの排塵装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本第1発明は、刈取装置からの刈取り穀稈を脱穀装置に供給するフィーダに作用するコンバインの排塵装置において、
前記フィーダのフィーダケースにおける天板部に設けた吸塵口に連通する状態で前記フィーダケースの外側に設けた排塵フードを備え、
前記排塵フードの内部に、軸流形の吸排塵回転ファンを、回転軌跡の下端部が前記吸塵口の周縁又はその近傍に位置する状態で前記天板部に平行な軸芯まわりに回転自在に設けてある。
【0007】
本第1発明の構成によると、吸排塵回転ファンが天板部に対して起立する状態で、かつ吸排塵回転ファンの全体あるいはほぼ全体が吸塵口の外側付近に位置する状態で吸排塵回転ファンを排塵フードの内部に設置して、フィーダによって移送される穀稈の稈身や葉が吸塵口から排塵フードに突入することがあっても吸排塵回転ファンに触れにくい状態で、吸排塵回転ファンが吸塵口に吸引力を及ぼすようにできる。吸排塵回転ファンの回転軌跡の下端部が吸塵口の周縁又はその近傍に位置するものだから、吸塵口に及ぶ吸排塵回転ファンの吸引力を低下させずに済む。これにより、稈身や葉が吸塵口から排塵フードに突入することを防止する網を吸塵口に設けなくとも、稈身や葉を吸排塵回転ファンに触れにくくできる。
【0008】
従って、刈取り穀稈が長稈の状態で移送されるフィーダに作用させるものでありながら、かつ塵埃の吸引排出を効果的にできるものでありながら、稈身や葉の絡み付きによる排塵不良が発生しにくい高品質の排塵装置を得ることができる。
【0009】
本第2発明では、前記吸排塵回転ファンを前記天板部の横端近傍に配置してある。
【0010】
吸排塵回転ファンから天板部の横端までの距離が大になると、吸排塵回転ファンからフィーダの横外側に向けて流動する塵埃が横外側に至るまでの途中で天板部の上に落下しやすくなる。本第2発明の構成によると、吸排塵回転ファンからフィーダの横外側までの距離を小に済ませ、吸排塵回転ファンからフィーダの横外側に向けて流動する塵埃が天板部の上に落下しにくくできる。
【0011】
従って、排塵フードから排出されるべき塵埃が天板部の上に落下して滞留する事態が発生しにくいように優れた排出性能を備えさせることができる。
【0012】
本第3発明では、前記吸排塵回転ファンを駆動するモータを、前記吸排塵回転ファンに対して塵埃流動方向上手側に配置して前記排塵フードの支持部に支持させてある。
【0013】
本第3発明の構成によると、フィーダケースから吸塵口を介して排塵フードの内部に吸引された塵埃が吸排塵回転ファンをモータが位置する側からモータが位置する側とは反対側に通過する状態で流動して、モータが収容されている部位への塵埃の流入を発生しにくくできる。
【0014】
従って、モータへの塵埃流入を防止するシール手段を構造簡単なものに済ませて安価に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】コンバインの全体を示す側面図である。
【図2】コンバインの全体を示す平面図である。
【図3】フィーダ及び排塵装置を示す縦断正面図である。
【図4】排塵装置を示す平面図である。
【図5】排塵装置を示す横断平面図である。
【図6】図3のVI−VI断面矢視図である。
【図7】排塵装置における吸排塵回転ファンの配設部を示す縦断正面図である。
【図8】第1の別実施例を示す排塵装置における吸排塵回転ファンの配設部を示す縦断正面図である。
【図9】第2の別実施例を示す排塵装置における吸排塵回転ファンの配設部を示す縦断正面図である。
【図10】第3の別実施例を示す排塵装置の平面図である。
【図11】第4の別実施例を示す排塵装置の平面図である。
【図12】第5の別実施例を示す排塵装置の平面図である。
【図13】第6の別実施例を示す排塵装置の平面図である。
【図14】第7の別実施例を示す排塵装置における吸排塵回転ファンの駆動構造を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施例に係るコンバインの全体を示す側面図である。図2は、本発明の実施例に係るコンバインの全体を示す平面図である。これらの図に示すように、本発明の実施例に係るコンバインは、左右一対のクローラ走行装置1,1によって走行するように構成され、かつ走行機体の前部の横一端側に設けられた運転部2及び原動部3を備えた走行機体と、この走行機体の機体フレーム4の後部に設けた脱穀装置5と、機体フレーム4の後部に運転部2の後方に配置して設けた穀粒タンク6と、脱穀装置5の前部にフィーダ11が連結された刈取り部10とを備えて構成してある。
【0017】
このコンバインは、稲、麦などの収穫作業を行なう。
すなわち、刈取り部10は、フィーダ11が油圧シリンダ12によって脱穀装置5に対して上下に揺動操作されることにより、刈取り部フレーム13が地面近くに下降した下降作業状態と、刈取り部フレーム13が地面から高く上昇した上昇作業状態とに昇降する。刈取り部10を下降作業状態に下降させて走行機体を走行させると、刈取り部10は、刈取り部フレーム13の基部から前方向きに揺動昇降操作自在に延出している左右一対の支持アーム14,14に駆動回動自在に支持された回転リール15によって、植立穀稈を刈取り部フレーム13の底部の前端側に設けられたバリカン形の刈取装置16に掻き寄せながら刈取装置16によって刈取り、刈取り穀稈を刈取り部フレーム13の内部に設けられた回転オーガ17の螺旋送り板17aによってフィーダ11の前方箇所に移送し、フィーダ11の前方箇所に到達した刈取り穀稈の株元から穂先までの全体を、回転オーガ17に設けられた掻き送りアーム18によってフィーダ11に送り込んでフィーダ11によって脱穀装置5に供給する。
【0018】
脱穀装置5は、供給された刈取り穀稈の株元から穂先までの全体を扱室(図示せず)に導入して脱穀処理する。穀粒タンク6は、脱穀装置5が送り出した脱穀粒を供給装置7によって送り込まれて貯留し、貯留した脱穀粒をスクリューコンベヤで成る排出オーガ8によって排出する。
【0019】
図1,3に示すように、フィーダ11は、刈取り部フレーム13の後壁部から脱穀装置5の前壁部に亘る横断面形状が矩形の筒状のフィーダケース20と、フィーダケース20の内部にフィーダ横方向に並べて駆動回動自在に設けられた一対の無端回動チェーン21,21と、無端回動チェーン21の長手方向での複数箇所に配置して一対の無端回動チェーン21,21に亘って取付けられた搬送体22とを備えて構成してある。
【0020】
従って、フィーダ11は、掻き送りアーム18によって刈取り部フレーム13の後壁部に位置する穀稈送出口(図示せず)からフィーダケース20に送り込まれた刈取り穀稈を、フィーダケース20の内部を一対の無端回動チェーン21,21によって移送される搬送体22によってフィーダケース20の底板部23の内側面に添わせて係止搬送して脱穀装置5の前壁部に位置する穀稈投入口(図示せず)に供給する。
【0021】
図1,2に示すように、フィーダ11は、フィーダケース20の搬送始端部に配備された排塵装置30を備えており、フィーダケース20に刈取り穀稈と共に入り込んだ土埃などの塵埃を排塵装置30によってフィーダケース20の外部に排出し、塵埃除去状態の刈取り穀稈を脱穀装置5に供給する。また、排塵装置30は、フィーダ11の前方で発生した塵埃をフィーダケース20を介して吸引して運転部2から離れた箇所に排出する。
【0022】
排塵装置30について説明する。
図3は、排塵装置30を示す縦断正面図である。図4は、排塵装置を示す平面図である。これらの図に示すように、排塵装置30は、フィーダケース20の外側に設けた排塵フード31と、排塵フード31の内部に設けた軸流形の吸排塵回転ファン32(以下、回転ファン32と略称する。)とを備えて構成してある。
【0023】
排塵フード31は、フィーダケース20の天板部24の外面側に位置する吸引フード部33と、この吸引フード部33の横側部とフィーダケース20の横板部25の外面側とに亘って位置する排出フード部34とを備えて構成してあり、吸引フード部33の下端部に設けた取付けフランジ33tにより、フィーダケース20の天板部24に設けた吸塵口26の周りで天板部24に連結されている。図6に示すように、回転ファン32の上半分を収容する吸引フード部33の上部33Uの回転ファン32の軸芯Xに沿う方向での縦断面形状が半円形になり、回転ファン32の下半分を収容する吸引フード部33の下部33Dの回転ファン32の軸芯Xに沿う方向での縦断面形状が矩形になっている。排塵フード31は、吸引フード部33に設けた矩形の連通孔33aで吸塵口26に連通しており、吸塵口26から排出フード部34の下端部に形成された排出口35に至る塵埃流動路を形成している。吸引フード部33及び排出フード部34は、所定の形状に成形された樹脂材によって構成してある。吸引フード部33と排出フード部34は、吸引フード部33の横端部に一体成形された連結フランジ33fと排出フード部34の上端側の横端部に一体成形された連結フランジ34fとの連結ねじによる連結によって連結されている。
【0024】
図6に示すように、排塵フード31の回転ファン32の軸芯Xに沿う方向視での上端側部31Uを回転ファン32の外周に沿った円弧形状に形成し、排塵フード31の上端側部31Uとフィーダケース20の天板部24との間に位置する下端側部31Dをフィーダ上下向きの直線形状に形成してある。回転ファン32の下部の両横側での回転ファン32の外周縁と排塵フード31の下端側部31Dとの隙間を埋めて排塵性能を高める樹脂製のシール壁板41を、吸引フード部33に一体形成した状態で排塵フード31の内部に設けてある。シール壁板41の上端41aは、回転ファン32の軸芯Xよりも少し低い配置高さに位置している。吸引フード部33の上部33Uとシール壁板41とが、回転ファン32のファンシュラウドとして機能する。
【0025】
図5,6,7に示すように、回転ファン32は、回転ファン32の回転軌跡の下端部32aが吸塵口26の周縁27のうちの吸塵口26の運転部側とは反対側の横端に位置する部分27aの近傍とフィーダケース20の天板部24の横端近傍とに位置するように配置されている。回転ファン32の回転支軸32bは、回転ファン32に対して塵埃流動方向上手側に位置するよう配置した電動式のモータ38の出力軸38aに一体回転自在に支持され、モータ38は、吸引フード部33の内部に設けた円筒形のステー36の端部に位置するフランジ形の支持部36aに連結ねじによって脱着自在に取付けられており、回転ファン32は、モータ38を介してステー36に回転自在に支持されているとともに回転支軸32bの軸芯であって、フィーダケース20の天板部24に平行な軸芯Xまわりにモータ38によって回転駆動される。回転ファン32は、回転支軸32b及びモータ32に塵埃が流入することを防止するシールカバー40を回転支軸32bの基部に一体回転自在に取付けられた状態で備えている。
【0026】
図7に示すように、モータ38を支持するステー36は、吸引フード部33の横側板部37から回転ファン32に向かって延出する状態で吸引フード部33の横側板部37に一体成形され、吸引フード部33の横側板部37に、モータ38の脱着に使用する作業開口42を形成してある。ステー36に配線溝43がステー36の成形時に同時に形成して備えられており、モータ38を駆動する電線44が配線溝43を通してモータ38から吸引フード部33の外部に引き出されている。ステー36の内部に、吸引フード部33の外部からモータ38に塵埃が入り込むことを防止するモータカバー45を設けてある。モータカバー45は、スポンジによって構成してあり、作業開口42からステー36の孔内に詰め込んで装着してある。モータカバー45の周縁部の一部が、配線溝43の内部に入り込み、電線44を配線溝43の内部に押し込んで固定している。吸引フード部33の横側板部37は、ステー36の配置高さよりも低い配置高さに位置する下端37pから上端に亘り、上端に至るほど回転ファン32に近づく状態で傾斜している。横側板部37の下端37pと取付けフランジ33tに亘り、取付けフランジ33tと横側板部37を連結する連結板部33rを設けてある。連結板部33rは、吸塵口26から上方に少し離れて位置し、吸塵口26の端部から横側板部37の下端側部37dに向かう塵埃流路を連結板部33rの下方に形成している。
【0027】
したがって、排塵装置30は、回転ファン32をモータ38によって軸芯Xまわりに回動駆動して回転ファン32に吸引及び送風作用を発揮させ、フィーダ11の前方やフィーダケース20の内部に発生した塵埃を、吸塵口26から連通孔33aを介して吸引フード部33の内部に流入させてステー36の周りからフィーダ横向きに流動させ、回転ファン32を通過させて排出フード部34の上端部内に流動させ、排出フード部34の上端部を形成するフード板部34aの傾斜内面34bの案内によってフィーダ下向きの流動に向き変更させて流動させ、排出口35からフィーダ11に対して運転部3が位置する側とは反対側でのフィーダ11の下方に向けて排出する。吸塵口6から吸引フード部33のステー36の周囲に流入した塵埃は、横側板部37の傾斜による流動案内を受けて回転ファン32に向かう流動向きにスムーズに向き変更して流動する。殊に吸塵口6の回転ファン32が位置する側とは反対側の端部から吸引される塵埃は、連結板部33rの下方の塵埃流路を通って吸引フード部33の内部に流入し、吸引フード部33に流入すると、横側板部37の下端側部37dの傾斜による流動案内を受けて回転フアン32に向かう流動向きにスムーズに向き変更して流動する。
【0028】
排塵装置30は、回転ファン32の回転軌跡の下端部32aがフィーダケース20の天板部24の横端24aの近傍に位置していて回転ファン32から天板部24の横端24aまでの距離が短くなっていることにより、回転ファン32を通過した塵埃を天板部24の上面に落下させないで排出フード部34の排出口35に向けて落下させる。
【0029】
〔第1の別実施例〕
図8は、第1の別実施例を示す排塵装置30における吸排塵回転ファン32の配設部を示す縦断正面図である。この図に示すように、第1の別実施例を示す排塵装置30では、排塵フード31の点とモータ38を支持させる点とにおいて、上記した実施例の排塵装置30と異なる構成を備え、その他の点において上記した実施例の排塵装置30と同じ構成を備えている。
【0030】
第1の別実施例を示す排塵装置30では、排塵フード31を、フィーダケース20の天板部24の外面側に設けた板金製の吸引フード部33と、この吸引フード部33の横側部とフィーダケース20の横板部25の外面側とに亘って設けた樹脂製の排出フード部34とを備えて構成してある。吸引フード部33と排出フード部34とは、端部どうしを連結ボルトで連結することによって連結してある。
【0031】
吸引フード部33の横側板部37は、ステー36が連結するほぼ鉛直姿勢の上側板部37aと、この上側板部37aとフィーダケース20の天板部24の間に位置する傾斜姿勢の下側板部37bとを備えている。下側板部37bは、ステー36に近づくほど回転ファン32との間隔が小になる傾斜内面37cを備えている。傾斜内面37cは、吸塵口26から吸引フード部33に流入した塵埃に流動案内する。これにより、吸塵口26からフィーダ上方向きに流動して吸引フード部33に入った塵埃が、ステー36の周囲に到達したとき、フィーダ横向きの流動向きにスムーズに向き変更し、ステー36の付近で塵埃が失速しにくくなる。排塵フード31は、回転ファン32の下端部から落下した塵埃を排出フード部34に向け流下案内する傾斜ガイド31aを備えている。
【0032】
第1の別実施例を示す排塵装置30では、モータ38を支持するステー36を、円筒形に形成した板金によって構成し、吸引フード部33の横壁部37に設けた作業開口42のまわりで横壁部37に連結ボルトによって連結してある。
【0033】
〔第2の別実施例〕
図9は、第2の別実施例を示す排塵装置30における吸排塵回転ファン32の配設部を示す縦断正面図である。この図に示すように、第2の別実施例を示す排塵装置30では、排塵フード31の点とモータ38及び吸排塵回転ファン32を支持させる点とにおいて、上記した実施例の排塵装置30と異なる構成を備え、その他の点において上記した実施例の排塵装置30と同じ構成を備えている。
【0034】
第2の別実施例を示す排塵装置30では、排塵フード31を、第1の別実施例の排塵装置30におけるフィーダケース20と同じ構成を備えている。
【0035】
第2の別実施例を示す排塵装置30では、モータ38を、吸引フード部33の横壁部37に設けたモータ取付け孔に嵌め込んだ状態で横壁部37に連結ボルトによって脱着自在に連結してある。
【0036】
第2の別実施例を示す排塵装置30では、吸排塵回転ファン32の回転支軸32bを、ステー36の端部に設けた支持部36aとモータ38の出力軸38aとに支持させてある。回転支軸32bは、モータ38の出力軸38aに連結具39を介して一体回転自在に連結されている。
【0037】
〔第3の別実施例〕
図10は、第3の別実施例を示す排塵装置30の平面図である。第3の別実施例を示す排塵装置30では、回転ファン32を、回転ファン32の回転軌跡の下端部が吸塵口26の周縁27のうち、吸塵口26の後方側端に沿って位置する部分の直上方に位置するように配置した状態で設けてある。
【0038】
〔第4の別実施例〕
図11は、第4の別実施例を示す排塵装置30の平面図である。第4の別実施例を示す排塵装置30では、回転ファン32を、回転ファン32の回転軌跡の下端部が吸塵口26の周縁27のうち、吸塵口26の前方側端に沿って位置する部分の直上方に位置するように配置した状態で設けてある。
【0039】
〔第5の別実施例〕
図12は、第5の別実施例を示す排塵装置30の平面図である。第5の別実施例を示す排塵装置30では、回転ファン32を、回転ファン32の回転軌跡の下端部が吸塵口26の周縁27のうち、吸塵口26の運転部側と反対側に位置する横端側の前方側における角部に位置する部分の直上方に位置するように配置した状態で設けてある。
【0040】
〔第6の別実施例〕
図13は、第6の別実施例を示す排塵装置30の平面図である。第6の別実施例を示す排塵装置30では、回転ファン32を、回転ファン32の回転軌跡の下端部が吸塵口26の周縁27のうち、吸塵口26の運転部側と反対側に位置する横端側の後方側における角部に位置する部分の直上方に位置するように配置した状態で設けてある。
【0041】
〔第7の別実施例〕
図14は、第7の別実施例を示す排塵装置30における吸排塵回転ファン32の駆動構造を示す概略図である。第7の別実施例を示す排塵装置30では、刈取り部駆動軸としてのフィーダ駆動軸50に伝動ベルト50aを介して原動部3から伝達される駆動力によって吸排塵回転ファン32を駆動するように、吸排塵回転ファン32の駆動構造を構成してある。
【0042】
すなわち、吸排塵回転ファン32の駆動構造は、フィーダ駆動軸50から刈取装置駆動軸51に動力伝達する無端回動チェーン52に係合して無端回動チェーン52を張り操作するテンションスプロケット53と、このテンションスプロケット53を支持する回転軸に一体回転自在に設けた伝動プーリ54と、この伝動プーリ54に伝動ベルト55によって連動された状態で回転ファン32の回転支軸32bに一体回転自在に設けたファン駆動プーリ56とを備えて構成してある。
つまり、フィーダ駆動軸50から刈取装置駆動軸51に伝達される駆動力を、テンションスプロケット53によって取り出して伝動プーリ54に伝達し、伝動プーリ54から伝動ベルト55及びファン駆動プーリ56によって増速して回転支軸32bに伝達することによって、吸排塵回転ファン32を駆動する。
【0043】
〔別実施例〕
(1)上記した実施例では、フィーダケース20の天板部24に矩形の吸塵口26を設けた例を示したが、矩形以外の各種の形状、例えば円形や楕円形の吸塵口26を設けて実施してもよい。
(2)上記した実施例において、回転ファン32を、天板部24の横端24aの直上方に位置する状態、つまり回転ファン32が天板部24の横端24aよりも横外側にはみ出る状態や、吸塵口26の周縁27(部分27a)の直上方に位置する状態、つまり回転ファン32が周縁27(部分27a)よりも吸塵口26の内側に入り込んだ状態で配備してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、脱穀装置5からの脱穀粒を穀粒タンク6に貯留して、穀粒タンク6から排出オーガ8によって取り出すオーガ排出型のコンバインに装備される排塵装置の他、脱穀装置5からの脱穀粒を袋詰めタンクに貯留して、袋詰めタンクから穀粒袋に取り出す袋詰め型のコンバインに装備される排塵装置にも利用できる。
【符号の説明】
【0045】
5 脱穀装置
11 フィーダ
16 刈取装置
20 フィーダケース
24 天板部
26 吸塵口
27a 周縁
31 排塵フード
32 吸排塵回転ファン
32a 回転軌跡の下端部
36b,37 排塵フードの支持部
38 モータ
X 軸芯
【特許請求の範囲】
【請求項1】
刈取装置からの刈取り穀稈を脱穀装置に供給するフィーダに作用するコンバインの排塵装置であって、
前記フィーダのフィーダケースにおける天板部に設けた吸塵口に連通する状態で前記フィーダケースの外側に設けた排塵フードを備え、
前記排塵フードの内部に、軸流形の吸排塵回転ファンを、回転軌跡の下端部が前記吸塵口の周縁又はその近傍に位置する状態で前記天板部に平行な軸芯まわりに回転自在に設けてあるコンバインの排塵装置。
【請求項2】
前記吸排塵回転ファンを前記天板部の横端近傍に配置してある請求項1記載のコンバインの排塵装置。
【請求項3】
前記吸排塵回転ファンを駆動するモータを、前記吸排塵回転ファンに対して塵埃流動方向上手側に配置して前記排塵フードの支持部に支持させてある請求項1又は2記載のコンバインの排塵装置。
【請求項1】
刈取装置からの刈取り穀稈を脱穀装置に供給するフィーダに作用するコンバインの排塵装置であって、
前記フィーダのフィーダケースにおける天板部に設けた吸塵口に連通する状態で前記フィーダケースの外側に設けた排塵フードを備え、
前記排塵フードの内部に、軸流形の吸排塵回転ファンを、回転軌跡の下端部が前記吸塵口の周縁又はその近傍に位置する状態で前記天板部に平行な軸芯まわりに回転自在に設けてあるコンバインの排塵装置。
【請求項2】
前記吸排塵回転ファンを前記天板部の横端近傍に配置してある請求項1記載のコンバインの排塵装置。
【請求項3】
前記吸排塵回転ファンを駆動するモータを、前記吸排塵回転ファンに対して塵埃流動方向上手側に配置して前記排塵フードの支持部に支持させてある請求項1又は2記載のコンバインの排塵装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−44879(P2012−44879A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−187259(P2010−187259)
【出願日】平成22年8月24日(2010.8.24)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月24日(2010.8.24)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】
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