コンバイン
【課題】ラジエータとインタクーラとをメンテナンス作業が行いやすくなるように配置するとともに、十分に冷却可能とする。
【解決手段】エンジンカバー35の内部にエンジン16を設けるとともに、前記エンジンカバー35の外側にラジエータ90を設け、前記エンジンカバー35とラジエータ90の一側側方に外気導入カバー111を設けたコンバインにおいて、前記エンジンカバー35と外気導入カバー111との間にインタクーラ100を設け、該ラジエータ90とインタクーラ100のそれぞれに冷却ファン91・103を対向配置した。
【解決手段】エンジンカバー35の内部にエンジン16を設けるとともに、前記エンジンカバー35の外側にラジエータ90を設け、前記エンジンカバー35とラジエータ90の一側側方に外気導入カバー111を設けたコンバインにおいて、前記エンジンカバー35と外気導入カバー111との間にインタクーラ100を設け、該ラジエータ90とインタクーラ100のそれぞれに冷却ファン91・103を対向配置した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、左右一対の走行クローラを具備して移動するコンバインに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エンジンカバーの内部にエンジンを設けるとともに、エンジンカバーの外側にラジエータを設け、エンジンカバーとラジエータの一側に外気導入カバーを設けたコンバインは公知となっている(例えば特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平10−286018号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、従来のコンバインにおいては、エンジンに過給器を設ける場合、インタクーラが必要となるが、インタクーラをメンテナンス作業の行いやすい場所に配置することができなかった。また、インタクーラをラジエータと左右方向に並設して、ラジエータの冷却ファンを利用して冷却するように構成することも可能であるが、この場合にはラジエータとインタクーラを十分に冷却することができないという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0005】
即ち、請求項1においては、エンジンカバーの内部にエンジンを設けるとともに、前記エンジンカバーの外側にラジエータを設け、該エンジンカバーとラジエータの一側側方に外気導入カバーを設けたコンバインにおいて、前記エンジンカバーと外気導入カバーとの間にインタクーラを設け、該ラジエータとインタクーラのそれぞれに冷却ファンを対向配置したものである。
【0006】
請求項2においては、前記ラジエータとインタクーラとを機体前後方向に配置して、外気導入カバーの内側に設けたものである。
【0007】
請求項3においては、前記ラジエータとインタクーラとの間の機台にフレームを立設し、該フレームの上下中央部にエンジンへの潤滑油の給油口を設けたものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0009】
請求項1においては、インタクーラをエンジンの近傍にコンパクトに配置でき、外気導入カバーを開けて、インタクーラのメンテナンス作業を容易に行うことができる。ラジエータとインタクーラのそれぞれに対して冷却に必要な風量を確保して、ラジエータとインタクーラを十分に冷却することができる。
【0010】
請求項2においては、外気導入カバーを開けてラジエータとインタクーラのメンテナンス作業を容易に行うことができる。また、ラジエータと同様に外気導入カバーを介してインタクーラに外気を導入するため、従来からの外気導入カバーを利用でき、インタクーラを設けたときのコストを抑制できる。
【0011】
請求項3においては、給油口が機体側面まで延設することができ、機体内側に位置するエンジンに潤滑油を給油しやすくなる。また、給油口がフレームに支持されて、支持剛性を高く保つことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
次に、発明の実施の形態を説明する。
【0013】
図1は本発明の一実施例に係るコンバインの左側面図、図2はコンバインの平面図、図3はコンバインの右側面図、図4は機体前部の正面説明図、図5は機台の平面説明図、図6は機体前部の左側面図、図7はエンジンの出力系統図、図8はエンジン部の背面図、図9はエンジンの後側出力部の背面図、図10は同じく斜視図、図11は機体前部の平面図、図12は機体前部の正面図、図13は機体前部の右側面図、図14はエンジンの給油口及び給油ホースの支持構造の断面図、図15はインタクーラ部の背面図、図16は回転羽根の正面図、図17は回転羽根の断面図、図18は回転羽根の斜視図、図19は外気導入カバーの別実施例の左側面図である。
【0014】
図1、図2、図3に示すように、本発明の一実施例に係るコンバインにおいては、トラックフレーム1の左右に走行クローラ2が設けられ、トラックフレーム1の上に機台3が配設されている。機台3の上には脱穀部4が設けられ、該脱穀部4に扱胴5や当該扱胴5の側方に配設されたフィードチェン6などが備えられている。そして、脱穀部4の前方に刈取部7が設けられ、後方に排藁処理部8が設けられている。排藁処理部8には排藁チェン9が備えられ、該排藁チェン9の始端がフィードチェン6の終端に臨むように配置されている。
【0015】
また、脱穀部4の側方に当該脱穀部4からの穀粒を揚穀筒11を介して搬入する穀物タンク10がその前部が機体側方へ回動可能となるように設けられ、該穀物タンク10の後方及び上方に穀物タンク10内の穀粒を機外に排出する排出オーガ12が設けられている。穀物タンク10の前方には運転キャビン13が設けられ、該運転キャビン13に操向ハンドルなど運転操作部14や運転席15が備えられ、該運転キャビン13の下方にエンジン16が設けられている。こうして、コンバインはエンジン16の駆動によって圃場を走行移動しながら穀稈を刈取部7で連続的に刈取り、脱穀部4で脱穀するように構成されている。
【0016】
図4から図7に示すように、機台3の前側で左右の走行クローラ2の間にはミッションケース22が設けられている。ミッションケース22はエンジン16と略直列に前後方向に配設されて、該ミッションケース22を介してエンジン16から走行クローラ2に動力が伝達可能とされている。また、エンジン16の左側方で機台3上面にはカウンタケース23が設けられ、該カウンタケース23を介してエンジン16から脱穀部4や刈取部7に動力が伝達可能とされている。
【0017】
前記カウンタケース23の前方で機台3上面には左右の支持台24・25が立設され、該支持台24・25に刈取入力ケース26が回転自在に軸支されている。刈取入力ケース26には刈取フレーム27が連結され、該刈取入力ケース26回りに回動可能とされている。そして、刈取フレーム27と機台3との間に油圧シリンダが介装され、該油圧シリンダの伸縮動作によって刈取部7が刈取フレーム27を介して昇降可能とされている。
【0018】
また、ミッションケース22の右側方で機台3上面にキャビン前フレーム28が立設され、該前フレーム28の上部にキャビン13のステップフレーム29の前部が回動支点軸30を介して設けられて、キャビン13が回転支点軸30回りに前方に回動可能に支持されている。さらに、前記右支持台25に左後フレーム31が立設される一方、右支持台25の左側方で機台3上面に右後フレーム32が立設され、左右の後フレーム31・32の上部が横フレーム33で連結されている。そして、横フレーム33に設けられた台ブラケット34にキャビン13のステップフレーム29の後部が係脱可能とされて、キャビン13が横フレーム33に固定されるように構成されている。
【0019】
また、図8、図11、図12にも示すように、キャビン13の下方で左右の後フレーム31・32の間にエンジンカバー35が設けられ、該エンジンカーバ35の内側で機台3の上面に前記エンジン16が設けられている。エンジン16の出力軸36はエンジンカバー35の下部から前方及び後方に突出され、出力軸36の前側にミッションケース22の入力軸37が連結される一方、出力軸36の後側に出力プーリ38・39が設けられている。
【0020】
図13、図14に示すように、前記左後フレーム32の上下中央部にはエンジン16の潤滑油を給油するための給油口130が外側を向いて設けられ、該給油口130とエンジン16とが左後フレーム32で支持された給油ホース131を介して連通接続されている。このようにして、エンジン16の給油口130が機体外側に向けて配置されて、機体内側に配置されたエンジン16へ潤滑油を給油しやすくされている。また、給油口130は左後フレーム32に取り付けられている為、支持剛性が高くすることができる。更に、潤滑油を給油するときに、補給用タンクは高く持ち上げることなく、また、腰を屈めることなく、給油口130は適度の高さまで延設することができる。
【0021】
前記エンジン16の前方に配置されるミッションケース22には一対の油圧走行ポンプ40と油圧走行モータ41とで走行主変速用の油圧式無段変速機構を構成する走行変速部材42や、一対の油圧旋回ポンプ43及び油圧旋回モータ44とで旋回用の油圧式無段変速機構を構成する旋回部材45、副変速機構、差動機構、減速機構などが備えられている。
【0022】
走行主変速用の油圧式無段変速機構で構成される走行変速部材42は、走行ポンプ40の傾斜角度の変更により走行モータ41の正逆転と回転数の制御を行うものであり、走行ポンプ40のポンプ軸46がミッションケース22の入力軸37を介してエンジン16の出力軸36に連結されて駆動可能とされている。そして、走行モータ41の走行モータ軸47が副変速機構などを介して差動機構に連結されて、走行変速部材42にて変速された動力が差動機構に伝達可能とされている。
【0023】
旋回用の油圧式無段変速機構で構成される旋回部材45は、旋回ポンプ43の斜板角度の変更により旋回モータ44の正逆回転と回転数の制御を行うものであり、旋回ポンプ43のポンプ軸48がエンジン16の出力軸36にミッションケース22の入力軸37を介して連結されて駆動可能とされている。そして、旋回モータ44の出力軸が減速機構などを介して差動機構に連結されて、旋回部材45にて変速された動力が差動機構に伝達可能とされている。
【0024】
こうして、走行変速部材42と旋回部材45とから差動機構に連動連結された左右の車軸20を介して走行クローラ2の各駆動輪21に動力が伝達可能とされて、コンバインは走行変速部材42の制御によって前後方向の直進走行が行われるように構成されている。また、旋回部材45の制御によって左右の駆動輪の回転数を相対的に増減させて走行クローラ2を駆動することで旋回が行われるように構成されている。
【0025】
前記走行モータ41の走行モータ軸47はミッションケースから左側方へ突出され、該走行モータ軸47の突出側端部に刈取部7に動力を伝達する刈取駆動プーリ49が設けられている。また、走行ポンプ40と旋回ポンプ43の各ポンプ軸46・48はファン軸89を介してミッションケース22の入力軸37と連結されている。ファン軸89はミッションケース22に軸支されて右側方へ突出され、該ファン軸89の突出側端部にラジエータ90の冷却ファン91が設けられて、ファン軸89の駆動に伴って駆動可能とされている。
【0026】
また、前記カウンタケース23には入力軸50・51や出力軸52・53・54が軸支され、該カウンタケース23から前後及び左右方向に突出されたこれらの入力軸50・51や出力軸52・53・54の突出側端部にそれぞれ入力プーリ55、車速同調プーリ56、脱穀プーリ57、刈取プーリ58、選別プーリ59が設けられている。入力軸50上の入力プーリ55はカウンタケース23の後方に配置され、エンジン16の出力軸36の後側に設けられた作業出力プーリ38にテンションククラッチ60を介してベルト61で連結されている。
【0027】
入力軸51上の車速同調プーリ56はカウンタケース23の右側方に配置され、ミッションケース22の刈取駆動プーリ49に右支持台25の前方に設けられたアイドルプーリ62を介してベルト63・64で連結さている。こうして、各入力軸50・51を介してエンジン16からカウンタケース23に動力が伝達されるように構成されている。
【0028】
出力軸52上の脱穀プーリ57はカウンタケース23の前方に配置され、脱穀部4に設けられた扱胴5の駆動入力プーリ65にベルト66で連結されている。該脱穀プーリ57により出力軸52を介してカウンタケース23から扱胴5に動力が伝達されるように構成されている。
【0029】
出力軸53上の刈取プーリ58はカウンタケース23の左側方に配置され、刈取入力ケース26の左側方に刈取入力軸67を介して軸支された刈取入力プーリ68にベルト69で連結されている。該刈取プーリ58により出力軸53を介してカウンタケース23から刈取部7の各部に動力が伝達されるように構成されている。
【0030】
また、出力軸54上の選別プーリ59が刈取プーリ58と同様にカウンタケース23の左側方に配置され、該選別プーリ59により出力軸54を介してカウンタケース23から扱胴5の下方に設けられた選別唐箕や揺動選別機構に動力が伝達されるように構成されている。
【0031】
さらに、カウンタケース23にはフィードチェン入力軸70が軸支されて左側方へ突出されている。該フィードチェン入力軸70の突出側端部にはフィードチェン6の駆動スプロケット71が左側方に移動可能に設けられ、フィードチェン入力軸70の駆動に伴って駆動可能とされている。
【0032】
また、前記エンジン16の略後方で穀物タンク10の下部前面に駆動ケース73が配設されている。駆動ケース73には入力軸74が軸支され、該駆動ケース73から前方へ突出された入力軸74の突出側端部に入力プーリ75が設けられて、エンジン16の出力軸36の後側に設けられた出力プーリ39とベルト76で連結されている。そして、駆動ケース73で入力軸74が穀物タンク10内の穀粒を排出する穀粒排出装置77の駆動軸78と連結されて、エンジン16から穀粒排出装置77に動力が伝達可能とされている。
【0033】
図8、図9、図10に示すように、前記出力プーリ39の外周部には、該出力プーリ39に巻回支持されたベルト76の外周面に沿って略「U」字状に形成されたベルト押え80が設けられ、該ベルト押え80にてベルト76が出力プーリ39から容易に外れないように構成されている。同様に、出力プーリ39よりもエンジン16側に配置された出力プーリ38の外周部にも、該出力プーリ38の外周部に沿って略「U」字状に形成されたベルト押え81が設けられている。
【0034】
前後に配置されるベルト押え80・81のうち、ベルト押え81のエンジン側外周縁部には、その外周形状に沿って取付部81aが形成されている。そして、該取付部81aの上側がエンジンカバー35の下部に取付部材82を介して取り付けられ、取付部81aの下側が機台3に支持部材83などを介して取り付けられて、ベルト押え81が固定されている。また、取付部81aの上側には当該取付部81aと直交する方向に固定部81bが形成され、該固定部81bの後端部のベルト押え80上方付近に固定孔が設けられている。
【0035】
また、ベルト押え80のエンジン側外周縁部の上側に取付部80aが形成され、下側に支持部80bが形成されている。該取付部80aのベルト押え80側の側面に前記ベルト押え81の固定部81bに設けた固定孔とが一致するように固定用ボルト84を螺装するボス部80cが設けられて、進行方向右側方からボルト84を挿入して螺装できるように構成されている。またさらに、支持部80bはベルト押え81の取付部81aの下側に回動可能且つ係脱可能に軸支されている。詳しくは、支持部80bに切欠を設けて取付部81aに設けたネジ等に係止できるようにしている。こうして、ベルト押え80の下側をベルト押え81に係止し、ベルト押え81の固定孔を機体側方から挿通させたボルト84をベルト押え80のボス部80cに螺挿することで、ベルト押え80がベルト押え81に固定されるように構成されている。
【0036】
このように構成することにより、穀物タンク10とキャビン13との隙間からベルト押え80とベルト押え81とを締結固定するボルト84を外すことが可能となり、該ボルト84を外した状態でベルト押え80を回動させて右側へ引き抜くことでベルト76に対しベルト押え80を取り外すことができる。したがって、出力プーリ39と入力プーリ75に巻回支持されたベルト76が切れて、ベルト押え80を取り外す必要が生じた際に、穀物タンク10を機体側方に回動させずにベルト押え80を取り外すことができるので、穀物タンク10が穀粒で一杯の状態でその回動が困難な場合でも、簡単にベルト押え80の取外作業を行うことが可能となり、メンテナンス時の作業性が向上する。
【0037】
図11、図12、図13に示すように、前記エンジン16を覆うエンジンカバー35の前方で機台3上面にラジエータ90が設けられている。ラジエータ90の進行方向左側方には前記冷却ファン91が配置され、該冷却ファン91とラジエータ90との間にシュラウド92が設けられている。また、ラジエータ90の右側方にはラジエータダクト93が設けられ、該ラジエータダクト93の機体外側にその外気導入孔93aを覆うフィルタ94が設けられている。
【0038】
こうして、ラジエータ90の冷却ファン91の駆動時に、該冷却ファン91にてラジエータ90よりも内側の領域が負圧域とされて、外気が冷却風として外気導入孔93aからフィルタ94を介してラジエータダクト93に導入された後、ラジエータ90を介して強制的にラジエータ90よりも内側の領域に吸引されるように構成されている。該冷却ファン91による外気の吸引に際して、外気に含まれる細かな塵などは外気が外気導入孔93aからラジエータダクト93に導入される前にフィルタ94によって除去可能とされている。
【0039】
また、エンジンカバー35の右側方でラジエータ90の後方にインタクーラ100が設けられている。インタクーラ100は左後フレーム32とエンジンカバー35の右側方で機台3に立設された支持フレーム101とに支持され、エンジンカバー35上部の右側方に配置されている。インタクーラ100の筐体の右側面には矩形状の外気導入孔100aが設けられ、該外気導入孔100aを覆うようにフィルタ102が設けられている。
【0040】
図15にも示すように、前記インタクーラ100の左側方には冷却ファン103が設けられ、該冷却ファン103とインタクーラ100との間にシュラウド104が設けられている。ここで、シュラウド104はインタクーラ100の筐体と一体に形成され、部品点数の削減とともにインタクーラ100の取付作業の簡易化が図られている。
【0041】
また、インタクーラ100の冷却ファン103とエンジンカバー35との間に、冷却ファン103の駆動軸105と該駆動軸105に連結される伝動軸106とを軸支する駆動ケース107が設けられている。該駆動ケース107はエンジンカバー35に沿って配置され、その後端部がエンジンカバー35の後端部と略一致する位置まで延出されている。そして、該駆動ケース107の後端部から伝動軸106が後方に突出され、該伝動軸106の突出側端部に入力プーリ108が設けられている(図7参照)。該入力プーリ108がエンジン16の出力軸36の後側に設けられた出力プーリ109とベルト110で連結されて、伝動軸106を介してエンジン16から冷却ファン103に動力が伝達可能とされている。
【0042】
こうして、インタクーラ100の冷却ファン103の駆動時に、該冷却ファン103にてインタクーラ100よりも内側の領域が負圧域とされて、外気が冷却風として外気導入孔100aからフィルタ102を介してインタクーラ100内部の空間に導入された後、強制的にインタクーラ100よりも内側の領域に吸引されるように構成されている。該冷却ファン91による外気の吸引に際して、外気に含まれる細かな塵などは外気がインタクーラ100内部の空間に導入される前にフィルタ102によって除去可能とされている。
【0043】
また、前記インタクーラ100の冷却ファン103と対向するエンジンカバー35上部の右側面35aは左斜上方に傾斜する傾斜面とされて、該傾斜面に沿って冷却ファン103から排出される冷却風が滞留せずに機体上方へ流れやすくなるように構成されている。
【0044】
そして、前記ラジエータ90とインタクーラ100の右側方に外気導入カバー111が設けられている。外気導入カバー111は中空状の筐体から構成され、その後端部がインタクーラ100の後方で支持フレーム101から機体側方に突出される逆「L」字状の取付フレーム112に取り付けられて、回動軸113で機体側方に回動可能とされている。該外気導入カバー111の機体外側面となる右側面の中央部には円形状の外気導入孔111aが設けられ、該外気導入孔111aに回転して吸込面の塵を除去するロータリスクリーン115が設けられている。
【0045】
また、外気導入カバー111の機体内側面となる左側面の前下部と後上部に連通孔111b・111cが設けられ、前下部の連通孔111bがラジエータダクト93の外気導入孔93aに対向配置され、後上部の連通孔111cがインタクーラ100の外気導入孔100aに対向配置されている。こうして、外気導入カバー111が閉じられた状態で、外気導入カバー111の一方の連通孔111bとラジエータダクト93の外気導入孔93aとを介して外気導入カバー111内部の空間とラジエータダクト93が連通され、外気導入カバー111の他方の連通孔111cとインタクーラ100の外気導入孔100aとを介して外気導入カバー111内部の空間とインタクーラ100内部の空間とが連通されるように構成されている。
【0046】
このように構成することにより、ラジエータ90の冷却ファン91が駆動されると、該冷却ファン91によりラジエータ90よりも内側の領域に空気が吸引されて、外気導入カバー111内部の空間に外気導入孔111aからロータリスクリーン115を介して外気が導入される。そして、外気導入カバー111内部の空間に導入された外気が冷却風として連通孔111b及びラジエータダクト93の外気導入孔93aからフィルタ94を介してラジエータダクト93に導入され、該ラジエータダクト93から冷却風がラジエータ90を介して冷却ファンに吸引されて、ラジエータ90が冷却される。
【0047】
また、インタクーラ100の冷却ファン103が駆動されると、該冷却ファン103によりインタクーラ100よりも内側の領域に空気が吸引されて、前記同様に外気導入カバー111内部の空間に外気導入孔111aからロータリスクリーン115を介して外気が導入される。そして、外気導入カバー111内部の空間に導入された外気が冷却風として連通孔111c及びインタクーラ100の外気導入孔100aからフィルタ102を介してインタクーラ100内部の空間に導入され、該インタクーラ100から冷却風が冷却ファンに吸引されて、インタクーラ100が冷却される。
【0048】
なお、外気導入カバー111の左側面には前記連通孔111b・111cの他に二つ連通孔111d・111eが設けられ、一方の連通孔111dがエンジンカバー35上部前面に設けられた外気導入孔35bとダクト117を介して連通されて、エンジン16の冷却ファン118によりエンジンカバー35内に外気が導入可能とされている。また、他方の連通孔111eよりロータリスクリーン115で回収した塵が排出可能とされている。
【0049】
また、図15から図18に示すように、外気導入カバー111のインタクーラ100側の連通孔111cに回転羽根120が設けられている。回転羽根120は、回転軸121の直径方向に延出されてインタクーラ100のフィルタ102と対向する板状基部122aと、該板状基部122aの幅方向両端部からフィルタ102の対向側に折り曲がる板状羽根部122b・122cとからなる略「コ」字状の長尺な板状羽根122から構成されている。そして、板状基部122aが外気導入カバー111内部に設けられた支持フレーム125に連通孔111cの中央部に位置するように回転軸121で軸支されて、回転軸121回りに板状羽根122が回転可能とされている。
【0050】
前記板状羽根122において、回転軸121を挟んで対角状に位置する各一対の羽根部122b・122cは互いの板状基部122aに対する折れ角が異なるように一側羽根部122bの折れ角θ1が他側羽根部122cの折れ角θ2よりも大きくなるように形成されている。こうして、小さな折れ角θ2の他側羽根部121cによる空気抵抗が大きな折れ角θ1の一側羽根部122bによる空気抵抗よりも大きくされて、該空気抵抗の違いにより回転羽根120が図の矢印X方向に自転可能とされている。
【0051】
そして、回転羽根120がその板状羽根部122b・122cでインタクーラ100の外気導入孔100aを覆うように設けられたフィルタ102と僅少間隔を隔て対向配置され、板状基部122aと板状羽根部122b・122cとによって形成される空間によって、回転羽根120の自転時に回転羽根120とフィルタ102との間に負圧域が形成されるように構成されている。なお、回転羽根120の自転速度は、板状羽根部122b・122cの折れ角θ1・θ2を適宜調節することによって調整可能である。
【0052】
これにより、インタクーラ100の冷却ファン103が駆動されて前述のように外気導入カバー111からインタクーラ100に外気が導入されると、ロータリスクリーン115で除塵されなかった藁屑などの小さな塵埃がインタクーラ100の外気導入孔100aを覆うように設けられたフィルタ102に付着することになるが、該外気導入孔100aに対向配置される外気導入カバー111の連通孔111cに前記回転羽根120が設けられていることから、フィルタ102を通過する直前の空気流が回転羽根120に衝突し、該回転羽根120の一側羽根部122bと他側羽根部122cとに作用する空気抵抗の違いにより回転羽根120が図16の矢印X方向に自転するとともに、自転する回転羽根120とフィルタ102との間に負圧域が形成されて、該負圧域内にインタクーラ100側から回転羽根120に向かう負圧気流が発生し、該負圧気流によりフィルタ102に付着した塵埃がフィルタ102から浮き上がり、該塵埃のフィルタ102に対する方向を変えることができる。
【0053】
したがって、方向変換した塵埃をインタクーラ100のフィルタ102を通過する外気とともにフィルタ102を通過させることが可能となる。そのため、フィルタ102への塵埃の付着量を少なくでき、インタクーラ100の冷却に必要な風量を確保して、インタクーラ100の冷却効率の低下を防止することができる。また、前記ベルト76が切断されて冷却ファン103が停止した場合には、回転羽根120も停止するため、冷却ファン103の異常を即座に認識できる。
【0054】
さらに、図19に示すように、外気導入カバー111のラジエータ90側の連通孔111bにも同様の回転羽根128を設けることも可能である。この場合もラジエータダクト93に設けたフィルタ94への塵埃の付着量を少なくでき、ラジエータ90の冷却に必要な風量を確保して、ラジエータ90の冷却効率の低下を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の一実施例に係るコンバインの左側面図。
【図2】コンバインの平面図。
【図3】コンバインの右側面図。
【図4】機体前部の正面説明図。
【図5】機台の平面説明図。
【図6】機体前部の左側面図。
【図7】エンジンの出力系統図。
【図8】エンジン部の背面図。
【図9】エンジンの後側出力部の背面図。
【図10】同じく斜視図。
【図11】機体前部の平面図。
【図12】機体前部の正面図。
【図13】機体前部の右側面図。
【図14】エンジンの給油口及び給油ホースの支持構造の断面図。
【図15】インタクーラ部の背面図。
【図16】回転羽根の正面図。
【図17】回転羽根の断面図。
【図18】回転羽根の斜視図。
【図19】外気導入カバーの別実施例の左側面図。
【符号の説明】
【0056】
16 エンジン
32 フレーム
35 エンジンカバー
90 ラジエータ
91 冷却ファン
100 インタクーラ
103 冷却ファン
111 外気導入カバー
130 給油口
【技術分野】
【0001】
本発明は、左右一対の走行クローラを具備して移動するコンバインに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エンジンカバーの内部にエンジンを設けるとともに、エンジンカバーの外側にラジエータを設け、エンジンカバーとラジエータの一側に外気導入カバーを設けたコンバインは公知となっている(例えば特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平10−286018号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、従来のコンバインにおいては、エンジンに過給器を設ける場合、インタクーラが必要となるが、インタクーラをメンテナンス作業の行いやすい場所に配置することができなかった。また、インタクーラをラジエータと左右方向に並設して、ラジエータの冷却ファンを利用して冷却するように構成することも可能であるが、この場合にはラジエータとインタクーラを十分に冷却することができないという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0005】
即ち、請求項1においては、エンジンカバーの内部にエンジンを設けるとともに、前記エンジンカバーの外側にラジエータを設け、該エンジンカバーとラジエータの一側側方に外気導入カバーを設けたコンバインにおいて、前記エンジンカバーと外気導入カバーとの間にインタクーラを設け、該ラジエータとインタクーラのそれぞれに冷却ファンを対向配置したものである。
【0006】
請求項2においては、前記ラジエータとインタクーラとを機体前後方向に配置して、外気導入カバーの内側に設けたものである。
【0007】
請求項3においては、前記ラジエータとインタクーラとの間の機台にフレームを立設し、該フレームの上下中央部にエンジンへの潤滑油の給油口を設けたものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0009】
請求項1においては、インタクーラをエンジンの近傍にコンパクトに配置でき、外気導入カバーを開けて、インタクーラのメンテナンス作業を容易に行うことができる。ラジエータとインタクーラのそれぞれに対して冷却に必要な風量を確保して、ラジエータとインタクーラを十分に冷却することができる。
【0010】
請求項2においては、外気導入カバーを開けてラジエータとインタクーラのメンテナンス作業を容易に行うことができる。また、ラジエータと同様に外気導入カバーを介してインタクーラに外気を導入するため、従来からの外気導入カバーを利用でき、インタクーラを設けたときのコストを抑制できる。
【0011】
請求項3においては、給油口が機体側面まで延設することができ、機体内側に位置するエンジンに潤滑油を給油しやすくなる。また、給油口がフレームに支持されて、支持剛性を高く保つことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
次に、発明の実施の形態を説明する。
【0013】
図1は本発明の一実施例に係るコンバインの左側面図、図2はコンバインの平面図、図3はコンバインの右側面図、図4は機体前部の正面説明図、図5は機台の平面説明図、図6は機体前部の左側面図、図7はエンジンの出力系統図、図8はエンジン部の背面図、図9はエンジンの後側出力部の背面図、図10は同じく斜視図、図11は機体前部の平面図、図12は機体前部の正面図、図13は機体前部の右側面図、図14はエンジンの給油口及び給油ホースの支持構造の断面図、図15はインタクーラ部の背面図、図16は回転羽根の正面図、図17は回転羽根の断面図、図18は回転羽根の斜視図、図19は外気導入カバーの別実施例の左側面図である。
【0014】
図1、図2、図3に示すように、本発明の一実施例に係るコンバインにおいては、トラックフレーム1の左右に走行クローラ2が設けられ、トラックフレーム1の上に機台3が配設されている。機台3の上には脱穀部4が設けられ、該脱穀部4に扱胴5や当該扱胴5の側方に配設されたフィードチェン6などが備えられている。そして、脱穀部4の前方に刈取部7が設けられ、後方に排藁処理部8が設けられている。排藁処理部8には排藁チェン9が備えられ、該排藁チェン9の始端がフィードチェン6の終端に臨むように配置されている。
【0015】
また、脱穀部4の側方に当該脱穀部4からの穀粒を揚穀筒11を介して搬入する穀物タンク10がその前部が機体側方へ回動可能となるように設けられ、該穀物タンク10の後方及び上方に穀物タンク10内の穀粒を機外に排出する排出オーガ12が設けられている。穀物タンク10の前方には運転キャビン13が設けられ、該運転キャビン13に操向ハンドルなど運転操作部14や運転席15が備えられ、該運転キャビン13の下方にエンジン16が設けられている。こうして、コンバインはエンジン16の駆動によって圃場を走行移動しながら穀稈を刈取部7で連続的に刈取り、脱穀部4で脱穀するように構成されている。
【0016】
図4から図7に示すように、機台3の前側で左右の走行クローラ2の間にはミッションケース22が設けられている。ミッションケース22はエンジン16と略直列に前後方向に配設されて、該ミッションケース22を介してエンジン16から走行クローラ2に動力が伝達可能とされている。また、エンジン16の左側方で機台3上面にはカウンタケース23が設けられ、該カウンタケース23を介してエンジン16から脱穀部4や刈取部7に動力が伝達可能とされている。
【0017】
前記カウンタケース23の前方で機台3上面には左右の支持台24・25が立設され、該支持台24・25に刈取入力ケース26が回転自在に軸支されている。刈取入力ケース26には刈取フレーム27が連結され、該刈取入力ケース26回りに回動可能とされている。そして、刈取フレーム27と機台3との間に油圧シリンダが介装され、該油圧シリンダの伸縮動作によって刈取部7が刈取フレーム27を介して昇降可能とされている。
【0018】
また、ミッションケース22の右側方で機台3上面にキャビン前フレーム28が立設され、該前フレーム28の上部にキャビン13のステップフレーム29の前部が回動支点軸30を介して設けられて、キャビン13が回転支点軸30回りに前方に回動可能に支持されている。さらに、前記右支持台25に左後フレーム31が立設される一方、右支持台25の左側方で機台3上面に右後フレーム32が立設され、左右の後フレーム31・32の上部が横フレーム33で連結されている。そして、横フレーム33に設けられた台ブラケット34にキャビン13のステップフレーム29の後部が係脱可能とされて、キャビン13が横フレーム33に固定されるように構成されている。
【0019】
また、図8、図11、図12にも示すように、キャビン13の下方で左右の後フレーム31・32の間にエンジンカバー35が設けられ、該エンジンカーバ35の内側で機台3の上面に前記エンジン16が設けられている。エンジン16の出力軸36はエンジンカバー35の下部から前方及び後方に突出され、出力軸36の前側にミッションケース22の入力軸37が連結される一方、出力軸36の後側に出力プーリ38・39が設けられている。
【0020】
図13、図14に示すように、前記左後フレーム32の上下中央部にはエンジン16の潤滑油を給油するための給油口130が外側を向いて設けられ、該給油口130とエンジン16とが左後フレーム32で支持された給油ホース131を介して連通接続されている。このようにして、エンジン16の給油口130が機体外側に向けて配置されて、機体内側に配置されたエンジン16へ潤滑油を給油しやすくされている。また、給油口130は左後フレーム32に取り付けられている為、支持剛性が高くすることができる。更に、潤滑油を給油するときに、補給用タンクは高く持ち上げることなく、また、腰を屈めることなく、給油口130は適度の高さまで延設することができる。
【0021】
前記エンジン16の前方に配置されるミッションケース22には一対の油圧走行ポンプ40と油圧走行モータ41とで走行主変速用の油圧式無段変速機構を構成する走行変速部材42や、一対の油圧旋回ポンプ43及び油圧旋回モータ44とで旋回用の油圧式無段変速機構を構成する旋回部材45、副変速機構、差動機構、減速機構などが備えられている。
【0022】
走行主変速用の油圧式無段変速機構で構成される走行変速部材42は、走行ポンプ40の傾斜角度の変更により走行モータ41の正逆転と回転数の制御を行うものであり、走行ポンプ40のポンプ軸46がミッションケース22の入力軸37を介してエンジン16の出力軸36に連結されて駆動可能とされている。そして、走行モータ41の走行モータ軸47が副変速機構などを介して差動機構に連結されて、走行変速部材42にて変速された動力が差動機構に伝達可能とされている。
【0023】
旋回用の油圧式無段変速機構で構成される旋回部材45は、旋回ポンプ43の斜板角度の変更により旋回モータ44の正逆回転と回転数の制御を行うものであり、旋回ポンプ43のポンプ軸48がエンジン16の出力軸36にミッションケース22の入力軸37を介して連結されて駆動可能とされている。そして、旋回モータ44の出力軸が減速機構などを介して差動機構に連結されて、旋回部材45にて変速された動力が差動機構に伝達可能とされている。
【0024】
こうして、走行変速部材42と旋回部材45とから差動機構に連動連結された左右の車軸20を介して走行クローラ2の各駆動輪21に動力が伝達可能とされて、コンバインは走行変速部材42の制御によって前後方向の直進走行が行われるように構成されている。また、旋回部材45の制御によって左右の駆動輪の回転数を相対的に増減させて走行クローラ2を駆動することで旋回が行われるように構成されている。
【0025】
前記走行モータ41の走行モータ軸47はミッションケースから左側方へ突出され、該走行モータ軸47の突出側端部に刈取部7に動力を伝達する刈取駆動プーリ49が設けられている。また、走行ポンプ40と旋回ポンプ43の各ポンプ軸46・48はファン軸89を介してミッションケース22の入力軸37と連結されている。ファン軸89はミッションケース22に軸支されて右側方へ突出され、該ファン軸89の突出側端部にラジエータ90の冷却ファン91が設けられて、ファン軸89の駆動に伴って駆動可能とされている。
【0026】
また、前記カウンタケース23には入力軸50・51や出力軸52・53・54が軸支され、該カウンタケース23から前後及び左右方向に突出されたこれらの入力軸50・51や出力軸52・53・54の突出側端部にそれぞれ入力プーリ55、車速同調プーリ56、脱穀プーリ57、刈取プーリ58、選別プーリ59が設けられている。入力軸50上の入力プーリ55はカウンタケース23の後方に配置され、エンジン16の出力軸36の後側に設けられた作業出力プーリ38にテンションククラッチ60を介してベルト61で連結されている。
【0027】
入力軸51上の車速同調プーリ56はカウンタケース23の右側方に配置され、ミッションケース22の刈取駆動プーリ49に右支持台25の前方に設けられたアイドルプーリ62を介してベルト63・64で連結さている。こうして、各入力軸50・51を介してエンジン16からカウンタケース23に動力が伝達されるように構成されている。
【0028】
出力軸52上の脱穀プーリ57はカウンタケース23の前方に配置され、脱穀部4に設けられた扱胴5の駆動入力プーリ65にベルト66で連結されている。該脱穀プーリ57により出力軸52を介してカウンタケース23から扱胴5に動力が伝達されるように構成されている。
【0029】
出力軸53上の刈取プーリ58はカウンタケース23の左側方に配置され、刈取入力ケース26の左側方に刈取入力軸67を介して軸支された刈取入力プーリ68にベルト69で連結されている。該刈取プーリ58により出力軸53を介してカウンタケース23から刈取部7の各部に動力が伝達されるように構成されている。
【0030】
また、出力軸54上の選別プーリ59が刈取プーリ58と同様にカウンタケース23の左側方に配置され、該選別プーリ59により出力軸54を介してカウンタケース23から扱胴5の下方に設けられた選別唐箕や揺動選別機構に動力が伝達されるように構成されている。
【0031】
さらに、カウンタケース23にはフィードチェン入力軸70が軸支されて左側方へ突出されている。該フィードチェン入力軸70の突出側端部にはフィードチェン6の駆動スプロケット71が左側方に移動可能に設けられ、フィードチェン入力軸70の駆動に伴って駆動可能とされている。
【0032】
また、前記エンジン16の略後方で穀物タンク10の下部前面に駆動ケース73が配設されている。駆動ケース73には入力軸74が軸支され、該駆動ケース73から前方へ突出された入力軸74の突出側端部に入力プーリ75が設けられて、エンジン16の出力軸36の後側に設けられた出力プーリ39とベルト76で連結されている。そして、駆動ケース73で入力軸74が穀物タンク10内の穀粒を排出する穀粒排出装置77の駆動軸78と連結されて、エンジン16から穀粒排出装置77に動力が伝達可能とされている。
【0033】
図8、図9、図10に示すように、前記出力プーリ39の外周部には、該出力プーリ39に巻回支持されたベルト76の外周面に沿って略「U」字状に形成されたベルト押え80が設けられ、該ベルト押え80にてベルト76が出力プーリ39から容易に外れないように構成されている。同様に、出力プーリ39よりもエンジン16側に配置された出力プーリ38の外周部にも、該出力プーリ38の外周部に沿って略「U」字状に形成されたベルト押え81が設けられている。
【0034】
前後に配置されるベルト押え80・81のうち、ベルト押え81のエンジン側外周縁部には、その外周形状に沿って取付部81aが形成されている。そして、該取付部81aの上側がエンジンカバー35の下部に取付部材82を介して取り付けられ、取付部81aの下側が機台3に支持部材83などを介して取り付けられて、ベルト押え81が固定されている。また、取付部81aの上側には当該取付部81aと直交する方向に固定部81bが形成され、該固定部81bの後端部のベルト押え80上方付近に固定孔が設けられている。
【0035】
また、ベルト押え80のエンジン側外周縁部の上側に取付部80aが形成され、下側に支持部80bが形成されている。該取付部80aのベルト押え80側の側面に前記ベルト押え81の固定部81bに設けた固定孔とが一致するように固定用ボルト84を螺装するボス部80cが設けられて、進行方向右側方からボルト84を挿入して螺装できるように構成されている。またさらに、支持部80bはベルト押え81の取付部81aの下側に回動可能且つ係脱可能に軸支されている。詳しくは、支持部80bに切欠を設けて取付部81aに設けたネジ等に係止できるようにしている。こうして、ベルト押え80の下側をベルト押え81に係止し、ベルト押え81の固定孔を機体側方から挿通させたボルト84をベルト押え80のボス部80cに螺挿することで、ベルト押え80がベルト押え81に固定されるように構成されている。
【0036】
このように構成することにより、穀物タンク10とキャビン13との隙間からベルト押え80とベルト押え81とを締結固定するボルト84を外すことが可能となり、該ボルト84を外した状態でベルト押え80を回動させて右側へ引き抜くことでベルト76に対しベルト押え80を取り外すことができる。したがって、出力プーリ39と入力プーリ75に巻回支持されたベルト76が切れて、ベルト押え80を取り外す必要が生じた際に、穀物タンク10を機体側方に回動させずにベルト押え80を取り外すことができるので、穀物タンク10が穀粒で一杯の状態でその回動が困難な場合でも、簡単にベルト押え80の取外作業を行うことが可能となり、メンテナンス時の作業性が向上する。
【0037】
図11、図12、図13に示すように、前記エンジン16を覆うエンジンカバー35の前方で機台3上面にラジエータ90が設けられている。ラジエータ90の進行方向左側方には前記冷却ファン91が配置され、該冷却ファン91とラジエータ90との間にシュラウド92が設けられている。また、ラジエータ90の右側方にはラジエータダクト93が設けられ、該ラジエータダクト93の機体外側にその外気導入孔93aを覆うフィルタ94が設けられている。
【0038】
こうして、ラジエータ90の冷却ファン91の駆動時に、該冷却ファン91にてラジエータ90よりも内側の領域が負圧域とされて、外気が冷却風として外気導入孔93aからフィルタ94を介してラジエータダクト93に導入された後、ラジエータ90を介して強制的にラジエータ90よりも内側の領域に吸引されるように構成されている。該冷却ファン91による外気の吸引に際して、外気に含まれる細かな塵などは外気が外気導入孔93aからラジエータダクト93に導入される前にフィルタ94によって除去可能とされている。
【0039】
また、エンジンカバー35の右側方でラジエータ90の後方にインタクーラ100が設けられている。インタクーラ100は左後フレーム32とエンジンカバー35の右側方で機台3に立設された支持フレーム101とに支持され、エンジンカバー35上部の右側方に配置されている。インタクーラ100の筐体の右側面には矩形状の外気導入孔100aが設けられ、該外気導入孔100aを覆うようにフィルタ102が設けられている。
【0040】
図15にも示すように、前記インタクーラ100の左側方には冷却ファン103が設けられ、該冷却ファン103とインタクーラ100との間にシュラウド104が設けられている。ここで、シュラウド104はインタクーラ100の筐体と一体に形成され、部品点数の削減とともにインタクーラ100の取付作業の簡易化が図られている。
【0041】
また、インタクーラ100の冷却ファン103とエンジンカバー35との間に、冷却ファン103の駆動軸105と該駆動軸105に連結される伝動軸106とを軸支する駆動ケース107が設けられている。該駆動ケース107はエンジンカバー35に沿って配置され、その後端部がエンジンカバー35の後端部と略一致する位置まで延出されている。そして、該駆動ケース107の後端部から伝動軸106が後方に突出され、該伝動軸106の突出側端部に入力プーリ108が設けられている(図7参照)。該入力プーリ108がエンジン16の出力軸36の後側に設けられた出力プーリ109とベルト110で連結されて、伝動軸106を介してエンジン16から冷却ファン103に動力が伝達可能とされている。
【0042】
こうして、インタクーラ100の冷却ファン103の駆動時に、該冷却ファン103にてインタクーラ100よりも内側の領域が負圧域とされて、外気が冷却風として外気導入孔100aからフィルタ102を介してインタクーラ100内部の空間に導入された後、強制的にインタクーラ100よりも内側の領域に吸引されるように構成されている。該冷却ファン91による外気の吸引に際して、外気に含まれる細かな塵などは外気がインタクーラ100内部の空間に導入される前にフィルタ102によって除去可能とされている。
【0043】
また、前記インタクーラ100の冷却ファン103と対向するエンジンカバー35上部の右側面35aは左斜上方に傾斜する傾斜面とされて、該傾斜面に沿って冷却ファン103から排出される冷却風が滞留せずに機体上方へ流れやすくなるように構成されている。
【0044】
そして、前記ラジエータ90とインタクーラ100の右側方に外気導入カバー111が設けられている。外気導入カバー111は中空状の筐体から構成され、その後端部がインタクーラ100の後方で支持フレーム101から機体側方に突出される逆「L」字状の取付フレーム112に取り付けられて、回動軸113で機体側方に回動可能とされている。該外気導入カバー111の機体外側面となる右側面の中央部には円形状の外気導入孔111aが設けられ、該外気導入孔111aに回転して吸込面の塵を除去するロータリスクリーン115が設けられている。
【0045】
また、外気導入カバー111の機体内側面となる左側面の前下部と後上部に連通孔111b・111cが設けられ、前下部の連通孔111bがラジエータダクト93の外気導入孔93aに対向配置され、後上部の連通孔111cがインタクーラ100の外気導入孔100aに対向配置されている。こうして、外気導入カバー111が閉じられた状態で、外気導入カバー111の一方の連通孔111bとラジエータダクト93の外気導入孔93aとを介して外気導入カバー111内部の空間とラジエータダクト93が連通され、外気導入カバー111の他方の連通孔111cとインタクーラ100の外気導入孔100aとを介して外気導入カバー111内部の空間とインタクーラ100内部の空間とが連通されるように構成されている。
【0046】
このように構成することにより、ラジエータ90の冷却ファン91が駆動されると、該冷却ファン91によりラジエータ90よりも内側の領域に空気が吸引されて、外気導入カバー111内部の空間に外気導入孔111aからロータリスクリーン115を介して外気が導入される。そして、外気導入カバー111内部の空間に導入された外気が冷却風として連通孔111b及びラジエータダクト93の外気導入孔93aからフィルタ94を介してラジエータダクト93に導入され、該ラジエータダクト93から冷却風がラジエータ90を介して冷却ファンに吸引されて、ラジエータ90が冷却される。
【0047】
また、インタクーラ100の冷却ファン103が駆動されると、該冷却ファン103によりインタクーラ100よりも内側の領域に空気が吸引されて、前記同様に外気導入カバー111内部の空間に外気導入孔111aからロータリスクリーン115を介して外気が導入される。そして、外気導入カバー111内部の空間に導入された外気が冷却風として連通孔111c及びインタクーラ100の外気導入孔100aからフィルタ102を介してインタクーラ100内部の空間に導入され、該インタクーラ100から冷却風が冷却ファンに吸引されて、インタクーラ100が冷却される。
【0048】
なお、外気導入カバー111の左側面には前記連通孔111b・111cの他に二つ連通孔111d・111eが設けられ、一方の連通孔111dがエンジンカバー35上部前面に設けられた外気導入孔35bとダクト117を介して連通されて、エンジン16の冷却ファン118によりエンジンカバー35内に外気が導入可能とされている。また、他方の連通孔111eよりロータリスクリーン115で回収した塵が排出可能とされている。
【0049】
また、図15から図18に示すように、外気導入カバー111のインタクーラ100側の連通孔111cに回転羽根120が設けられている。回転羽根120は、回転軸121の直径方向に延出されてインタクーラ100のフィルタ102と対向する板状基部122aと、該板状基部122aの幅方向両端部からフィルタ102の対向側に折り曲がる板状羽根部122b・122cとからなる略「コ」字状の長尺な板状羽根122から構成されている。そして、板状基部122aが外気導入カバー111内部に設けられた支持フレーム125に連通孔111cの中央部に位置するように回転軸121で軸支されて、回転軸121回りに板状羽根122が回転可能とされている。
【0050】
前記板状羽根122において、回転軸121を挟んで対角状に位置する各一対の羽根部122b・122cは互いの板状基部122aに対する折れ角が異なるように一側羽根部122bの折れ角θ1が他側羽根部122cの折れ角θ2よりも大きくなるように形成されている。こうして、小さな折れ角θ2の他側羽根部121cによる空気抵抗が大きな折れ角θ1の一側羽根部122bによる空気抵抗よりも大きくされて、該空気抵抗の違いにより回転羽根120が図の矢印X方向に自転可能とされている。
【0051】
そして、回転羽根120がその板状羽根部122b・122cでインタクーラ100の外気導入孔100aを覆うように設けられたフィルタ102と僅少間隔を隔て対向配置され、板状基部122aと板状羽根部122b・122cとによって形成される空間によって、回転羽根120の自転時に回転羽根120とフィルタ102との間に負圧域が形成されるように構成されている。なお、回転羽根120の自転速度は、板状羽根部122b・122cの折れ角θ1・θ2を適宜調節することによって調整可能である。
【0052】
これにより、インタクーラ100の冷却ファン103が駆動されて前述のように外気導入カバー111からインタクーラ100に外気が導入されると、ロータリスクリーン115で除塵されなかった藁屑などの小さな塵埃がインタクーラ100の外気導入孔100aを覆うように設けられたフィルタ102に付着することになるが、該外気導入孔100aに対向配置される外気導入カバー111の連通孔111cに前記回転羽根120が設けられていることから、フィルタ102を通過する直前の空気流が回転羽根120に衝突し、該回転羽根120の一側羽根部122bと他側羽根部122cとに作用する空気抵抗の違いにより回転羽根120が図16の矢印X方向に自転するとともに、自転する回転羽根120とフィルタ102との間に負圧域が形成されて、該負圧域内にインタクーラ100側から回転羽根120に向かう負圧気流が発生し、該負圧気流によりフィルタ102に付着した塵埃がフィルタ102から浮き上がり、該塵埃のフィルタ102に対する方向を変えることができる。
【0053】
したがって、方向変換した塵埃をインタクーラ100のフィルタ102を通過する外気とともにフィルタ102を通過させることが可能となる。そのため、フィルタ102への塵埃の付着量を少なくでき、インタクーラ100の冷却に必要な風量を確保して、インタクーラ100の冷却効率の低下を防止することができる。また、前記ベルト76が切断されて冷却ファン103が停止した場合には、回転羽根120も停止するため、冷却ファン103の異常を即座に認識できる。
【0054】
さらに、図19に示すように、外気導入カバー111のラジエータ90側の連通孔111bにも同様の回転羽根128を設けることも可能である。この場合もラジエータダクト93に設けたフィルタ94への塵埃の付着量を少なくでき、ラジエータ90の冷却に必要な風量を確保して、ラジエータ90の冷却効率の低下を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の一実施例に係るコンバインの左側面図。
【図2】コンバインの平面図。
【図3】コンバインの右側面図。
【図4】機体前部の正面説明図。
【図5】機台の平面説明図。
【図6】機体前部の左側面図。
【図7】エンジンの出力系統図。
【図8】エンジン部の背面図。
【図9】エンジンの後側出力部の背面図。
【図10】同じく斜視図。
【図11】機体前部の平面図。
【図12】機体前部の正面図。
【図13】機体前部の右側面図。
【図14】エンジンの給油口及び給油ホースの支持構造の断面図。
【図15】インタクーラ部の背面図。
【図16】回転羽根の正面図。
【図17】回転羽根の断面図。
【図18】回転羽根の斜視図。
【図19】外気導入カバーの別実施例の左側面図。
【符号の説明】
【0056】
16 エンジン
32 フレーム
35 エンジンカバー
90 ラジエータ
91 冷却ファン
100 インタクーラ
103 冷却ファン
111 外気導入カバー
130 給油口
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンカバーの内部にエンジンを設けるとともに、前記エンジンカバーの外側にラジエータを設け、該エンジンカバーとラジエータの一側側方に外気導入カバーを設けたコンバインにおいて、前記エンジンカバーと外気導入カバーとの間にインタクーラを設け、該ラジエータとインタクーラのそれぞれに冷却ファンを対向配置したことを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
前記ラジエータとインタクーラとを機体前後方向に配置して、外気導入カバーの内側に設けたことを特徴とする請求項1に記載のコンバイン。
【請求項3】
前記ラジエータとインタクーラとの間の機台にフレームを立設し、該フレームの上下中央部にエンジンへの潤滑油の給油口を設けたことを特徴とする請求項2に記載のコンバイン。
【請求項1】
エンジンカバーの内部にエンジンを設けるとともに、前記エンジンカバーの外側にラジエータを設け、該エンジンカバーとラジエータの一側側方に外気導入カバーを設けたコンバインにおいて、前記エンジンカバーと外気導入カバーとの間にインタクーラを設け、該ラジエータとインタクーラのそれぞれに冷却ファンを対向配置したことを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
前記ラジエータとインタクーラとを機体前後方向に配置して、外気導入カバーの内側に設けたことを特徴とする請求項1に記載のコンバイン。
【請求項3】
前記ラジエータとインタクーラとの間の機台にフレームを立設し、該フレームの上下中央部にエンジンへの潤滑油の給油口を設けたことを特徴とする請求項2に記載のコンバイン。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2006−254798(P2006−254798A)
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−77154(P2005−77154)
【出願日】平成17年3月17日(2005.3.17)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【出願人】(000005164)セイレイ工業株式会社 (125)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年3月17日(2005.3.17)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【出願人】(000005164)セイレイ工業株式会社 (125)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]