コンバイン
【課題】本発明では、コンバインにおいて、操縦席の近傍に設ける操作レバーで、特にアタッチメント操作レバーの取付構成を簡略化することが課題である。
【解決手段】エンジン1を囲む原動ボックス25の上側で該原動ボックス25の上部フレーム2と脱穀装置13から伸びる脱穀フレーム3を前下り傾斜した連結フレーム4で連結し、この連結フレーム4に原動ボックス25の上側を覆う吸気ボックス6を取付けると共にアタッチメント操作レバー5を枢支し、このアタッチメント操作レバー5を前記吸気ボックス6の前下り傾斜面7から上方へ突出させて設けた。
【解決手段】エンジン1を囲む原動ボックス25の上側で該原動ボックス25の上部フレーム2と脱穀装置13から伸びる脱穀フレーム3を前下り傾斜した連結フレーム4で連結し、この連結フレーム4に原動ボックス25の上側を覆う吸気ボックス6を取付けると共にアタッチメント操作レバー5を枢支し、このアタッチメント操作レバー5を前記吸気ボックス6の前下り傾斜面7から上方へ突出させて設けた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、排藁処理装置等のアタッチメントの操作レバーを有したコンバインに関するものである。
【背景技術】
【0002】
コンバインは、機体の前側にオペレータが搭乗して運転する操縦席を設け、この操縦席の周りに機体の走行を操作する操縦装置や脱穀機の駆動断続及び穀粒の排出操作を行う排出操作レバーさらに排藁を切断したり結束したりするアタッチメントの切換レバーなどを設けている。
【特許文献1】特開2006−94781号公報
【特許文献2】特開2006−230282号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
コンバインでは、前記の如く、各種の操作レバー類が操縦席の周囲に設けられているために、その操作レバーを取付けるパネルの支持構成が複雑になり、制作費が嵩み整備も困難になっていた。
【0004】
そこで、本発明では、コンバインにおいて、操縦席の近傍に設ける操作レバーで、特にアタッチメント操作レバーの取付構成を簡略化することが課題である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の上記課題は次の構成によって達成される。
すなわち、エンジン(1)を囲む原動ボックス(25)の上部フレーム(2)と脱穀装置(13)側から前方に延出した脱穀フレーム(3)とを、原動ボックス(25)の上側において前下り傾斜した連結フレーム(4)によって連結し、この連結フレーム(4)に原動ボックス(25)の上側を覆う吸気ボックス(6)を取付けると共にアタッチメント操作レバー(5)を枢支し、このアタッチメント操作レバー(5)を前記吸気ボックス(6)の前部の前下り傾斜面(7)から上方へ突出させて設けたことを特徴とするコンバインとしたものである。
【0006】
この構成により、原動ボックス25の上部フレーム2と脱穀装置13の脱穀フレーム3を強固に連結する連結フレーム4に吸気ボックス6を取付け、さらにアタッチメント操作レバー5を枢支しているので、アタッチメント操作レバー5用パネルや取付け部材が格別に必要なくなる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によると、通常、機体の後部に設けるアタッチメントの切換作動部にワイヤーで連結して後方へ引き作用するアタッチメント操作レバー5を、連結フレーム4によって強固に支持出来る。そして、吸気ボックス6の前部の前下り傾斜面7がアタッチメント操作レバー5用パネルを兼ね、連結フレーム4がアタッチメント操作レバー5の支持部材を兼ねているので、構成を簡略化して製作コストを低減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明を具現化した農業機械であるコンバインを図面を参照しながら説明する。
本明細書では、左側及び右側とはコンバインが前進する方向に向いたときの方向を言う。
【0009】
コンバインの全体は、図1に示す如く構成され、クローラ走行装置11を有する車体10に脱穀装置13が搭載され、脱穀装置13の前方には刈取装置12が設けられ、脱穀装置13の後上部にはカッター14とノッター15からなるアタッチメント16が装着されている。刈取装置12が刈り取った穀稈は供給搬送装置17で後上方へ搬送され、穀稈脱穀搬送装置18に引き継がれ、穂先を脱穀装置13内へ供給して脱穀され、脱穀後の穀稈が脱穀装置13の最後部に設けたカッター14で細かく切断されたりノッター15で束にされて圃場へ放出される。カッター14を使用するかノッター15を使用するかは、後述するアタッチメント操作レバー5の切換操作で変更出来る。
【0010】
車体10の上方には、脱穀装置13の右側方にこの脱穀装置13で脱穀選別された穀粒を一時貯溜するグレンタンク19と、該グレンタンク19の前方に位置していてオペレータが搭乗してコンバインの操縦等の各種操作を実行する操縦席20が構成されている。
【0011】
操縦席20には、前側へ走行中に操縦操作を行う操向レバー21を立設し、後側の原動ボックス25上にオペレータが着座する座席9を設けている。原動ボックス25内には、エンジン1を搭載し、刈取装置12と脱穀装置13の各部を駆動すると共にクローラ走行装置11を駆動している。操縦席20の左側で車体10の中央位置には、副変速レバー22とスロットルレバー23及び刈取脱穀レバー24等を原動ボックス25上の操作パネル26から上方へ突出させている。
【0012】
図2は、原動ボックス25の拡大図で、エンジン1を囲む原動ボックス25の上側で前記操作パネル26の後側には上方から空気を吸い込む吸気管27を連結した吸気ボックス6を設けるが、この吸気ボックス6は、原動ボックス25の上部フレーム2と脱穀装置13の機枠から伸びる脱穀フレーム3を前下り傾斜状態で連結する連結フレーム4に上側を固定している。また、連結フレーム4には、前記アタッチメント16のカッター14とノッター15からなるアタッチメント16への排藁送り方向を切り換えるアタッチメント操作レバー5を枢支軸8で枢着している。このアタッチメント操作レバー5は、吸気ボックス6の前側に形成した前下り傾斜面7から上方へ突出させて、オペレータがこのアタッチメント操作レバー5を前後に回動してカッター14かノッター15のどちらかを使用するように切り換えるようにしている。
【0013】
図3は、エンジン1の出力軸43近傍の動力伝動状態を示している。
エンジン1の出力軸43には、大小のプーリ28,29を固着し、小プーリ28から脱穀装置13用の伝動ケース32の入力プーリ30へベルト31を巻き掛けてテンションプーリ41でベルト31を張って動力を伝動する。伝動ケース32から出力プーリ42で脱穀装置13の各部へ動力を出力する。
【0014】
大プーリ29からクローラ走行装置11への動力伝動を行うミッションケース44の油圧無段変速装置93の入力プーリ39へベルト38を巻き掛けてテンションプーリ40でベルト38を張って動力を伝動する。
【0015】
エンジン1のマウントブラケット45,46は、車体10のフレーム33,34へ防振マウント35,38を介して取り付け、一方のマウントブラケット45と一体にベルトストッパ37と取付けている。このベルトストッパ37は、小プーリ28に巻き掛けたベルト31がクラッチ切時に外れるのを防止するようにベルト31の外周を囲っていて、エンジン1本体と同期して振動するので、ベルト31が外れることがない。
【0016】
図4は、脱穀装置13用の伝動ケース32から脱穀装置13への動力伝動構成を示している。伝動ケース32の出力プーリ42から処理胴駆動軸52の入力プーリ54と扱胴駆動ケース61の入力プーリ51へ迂回プーリ59とテンションプーリ55で巻き掛けたベルト62で動力を伝動している。迂回プーリ59は、脱穀装置13の扱胴入口56をベルト62が迂回するようにしている。
【0017】
処理胴軸52の出力プーリ53から脱穀装置の後部で脱穀済排藁を搬送する排藁チェン駆動プーリ50へベルト63とテンションプーリ64で伝動している。
これらのベルト伝動機構の機体中央側には、下部のエンジン1からの排気管57とそれに続く横に曲がったテールパイプ58が設けられ、これを仕切る仕切カバー60を設けている。この仕切カバー60には下り傾斜面を形成し、脱穀装置13で発生する藁屑や塵埃が下り傾斜面で落下し、エンジン1側へ侵入しないようにすると共に、エンジン側の熱が脱穀装置13側へ伝わらないようにしている。また、この仕切カバー60は、エンジンの冷却ファンの風で車体10の下部フレーム上に溜まる藁屑を吹き飛ばすようになる。
【0018】
操縦席20の後に搭載したグレンタンク19の後側にこのグレンタンク19内の穀粒を送り上げる揚穀筒70が立設され、この揚穀筒70の上端に穀粒排出オーガ71が屈曲可能に連結されている。揚穀筒70は電気モータ(図示せず)にて旋回可能に構成され、また、穀粒排出オーガ71は油圧シリンダ(図示せず)にてその先端側が昇降可能に構成されている。
【0019】
そして、揚穀筒70を旋回すると、穀粒排出オーガ71も一緒に旋回し、揚穀筒70に対して揚穀筒70が起伏し、さらに穀粒排出オーガ71も一定範囲で伸縮して先端の放出筒72の位置をトラック等に搭載した穀粒タンクの上方へ位置させる構成となっている。
【0020】
グレンタンク19の底部には横送り螺旋73を設けて穀粒を揚穀筒70側へ送って全量が排出されるようにしているが、この横送り螺旋73の動力伝動は、図5の如く、エンジン1の出力軸から中継ギアケース74へベルト伝動75で伝動し、さらに中継ギアケース74の出力軸から横送り螺旋73の入力軸へベルト伝動76で伝動している。ベルト伝動75はテンションプーリ78で動力の断続を行うが、このテンションプーリ78は、原動ボックス25を構成する縦支柱83へ枢支したリンク81へフック79とワイヤー80で連結し、揚穀筒70を中心にして開閉するグレンタンク19の機枠がフック79のピン82に当接するとテンションプーリ78を動力入位置に移動させるようにしている。従って、グレンタンク19を側方へ開くとテンションプーリ78が動力切位置になって、中継ギアケース74以降の動力伝動が行われなくなる。グレンタンク19を側方へ開く際には、ベルト伝動76を外すことになる。
【0021】
図7は、原動枠25の側部に設けるサイドカバー86を原動ボックス25を構成する縦枠90へヒンジ89で取り付け、側方へ開くようにしている。このサイドカバー86と内部のラジエータフレーム85をワイヤー87で繋ぎ、サイドカバー86の開き過ぎを防いでいる。ラジエータフレーム85は、ラジエータを取り付けているが、ワイヤー87の引きでラジエータフレーム85が倒れないように左側の操作フレーム91と補強プレート88で連結している。
【0022】
このように構成したコンバインを前進させて刈取作業をすると、刈取装置12で刈り取られた穀稈は供給搬送装置17にて後上方へ搬送され、穀稈脱穀搬送装置18へと引き継ぎ搬送される。この穀稈脱穀搬送装置18に引き継がれた穀稈は、穂先側が脱穀装置13へ供給されて脱穀選別され、脱穀済の穀稈がアタッチメント16で切断されたり結束されて圃場へ放出される。
【0023】
脱穀装置で脱穀された穀粒はグレンタンク19内へ送り込まれて貯留されるが、貯留される穀粒が増えてくると満杯センサが報知する。そして、グレンタンク19が満杯になったことを知ったオペレータは刈取り作業を中断して、コンバインを道路に停止したトラックへ近づけて揚穀筒70と穀粒排出オーガ71でグレンタンク19内の穀粒をトラック上の穀粒タンク内へ移し変える。
【0024】
図8は、エンジン出力の余力で発電して蓄電し、蓄電した電気でモータを駆動してエンジンの出力不足を補助するハイブリッド機能を有するコンバインで、グレンタンク19への穀粒の溜り具合によって蓄電量を変更する制御のフローチャートである。
【0025】
ステップS1でグレンタンク19の穀粒量が所定量以下であればエンジン1の負荷が軽いので、ステップS5で可変プーリで発電機の回転を高くしてバッテリへ多く蓄電し、穀粒量が所定量以上であればエンジン1の負荷が重いので、ステップS2で可変プーリで発電機の回転を低下させてバッテリへ少なく蓄電する。さらに、ステップS3でエンジン1の負荷状態を監視し、負荷が一定値以下であれば、ステップS6でモータ出力を使わず、負荷が一定値以上で有れば、ステップS4でエンジン出力をモータの出力を用いてアシストする。
【0026】
次に、このコンバインにおける油圧制御回路を図9以降で説明する。
図9において、オイルタンク94から吸い込まれて油圧ポンプ95から送り出される圧油は、メインリリーフ弁96で圧力を一定に維持され、リリーフ弁97を介して走行系油圧回路98へ送る流れと、直接的に作業系油圧回路99の第一分流弁100へ送る流れに分けられる。
【0027】
油圧ポンプ95の供給側では、走行速度を変速する油圧無段変速装置93にもオイルを送っている。
まず、走行系油圧回路98へ送られた圧油は、左右の電磁パイロット弁101,102へ送られ、この電磁パイロット弁101,102から左右の電磁比例弁105,106に送り、左右の走行クラッチシリンダ103,104と左右のブレーキシリンダ107,108を作動する。
【0028】
第一分流弁100へ送られた圧油は、第二分流弁109へ送る流れと車体制御回路123へ供給するシャトル弁111へ送る余剰流れに分岐され、さらに第一分流弁100の余剰圧油がシャトル弁111に供給される。第二分流弁109を通った圧油は、比例流量制御弁110とパイロット弁112を通って刈取シリンダ117とオーガシリンダ118へパイロット弁113,114とチェック弁134,135及び絞り付チェック弁115,116を介して送られる。また、第二分流弁109の分岐圧油は、手動閉鎖弁120へ通じて、二個のリリーフ弁121,122を通って電磁パイロット弁119へ送られ、適宜にパイロット弁113,114とチェック弁134,135へパイロット圧を供給する。手動閉鎖弁120は、車体制御回路123の左ローリングシリンダ130と右ローリングシリンダ131及びピッチングシリンダ132を手動で操作する場合に閉じる。
【0029】
電磁切換弁133は、刈取シリンダ117とオーガシリンダ118への圧油の供給が不足する場合に第一分流弁100の余剰圧油を比例流量制御弁110へ供給する。
シャトル弁111を通った圧油は、車体10とクローラ走行装置11の間に設ける左ローリングシリンダ130と右ローリングシリンダ131及びピッチングシリンダ132を制御する車体制御回路123へ送っている。各シリンダ130,131,132へ電磁制御弁124,125,126とチェック弁136,137,138及び絞り付チェック弁127,128,129を介して送っている。
【0030】
図10の油圧回路図は、図9におけるパイロット弁112を無くして電磁切換弁133のパイロット圧をパイロット弁113の刈取シリンダ117側から取っている。
図11の油圧回路図は、電磁切換弁133のパイロット圧を第二分流弁109の送出側から直接取り込んでいて、刈取シリンダ117とオーガシリンダ118の圧力不足に有効である。
【0031】
図12の油圧回路図は、第二分流弁109の送出側にパイロット弁140とチェック弁141を設けて、比例流量制御弁110が上げ指令時に戻り圧をオイルタンク94に逃がしてシャトル弁111がチャタリングを起こさないようにしている。
【0032】
図13の油圧回路図は、図12の第二分流弁109に代えて、分流絞り弁144とチェック弁147と遮断弁143とパイロット弁142を配置して、エンジンがアイドリングで流量が少ない場合に車体制御回路123へ圧油が供給される。
【0033】
図14の油圧回路図は、第一分流弁100の吐出側に電磁三方切換弁145とパイロット弁146を配置した回路で、第一分流弁100の余剰流を車体制御回路123に送ったり比例流量制御弁110へ送ったりするパイロット弁146を電磁三方切換弁145でパイロット圧を供給する。
【0034】
図15の油圧回路図は、図14において、パイロット弁146を手動操作弁付パイロット弁149に置き換えた回路で、手動操作で第一分流弁100の余剰流を車体制御回路123へ供給して左ローリングシリンダ130と右ローリングシリンダ131及びピッチングシリンダ132を作動できるようにしている。
【0035】
図16は、手動操作弁付パイロット弁149の構造を示すもので、ブロック150に電磁三方切換弁145とこの手動操作弁付パイロット弁149を組み込んでいて、ネジ式プラグ151を締め込むと第一分流弁100の余剰流をシャトル弁111へ送るようになる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明実施例のコンバイン全体を示す側面図
【図2】コンバインの一部拡大側断面図
【図3】コンバインの一部拡大側断面図
【図4】コンバインの一部拡大正断面図
【図5】コンバインの一部動力伝動線図
【図6】コンバインの一部説明斜視図
【図7】コンバインの一部平断面図
【図8】エンジン制御のフローチャート図
【図9】油圧制御回路図
【図10】別実施例の油圧制御回路図
【図11】別実施例の油圧制御回路図
【図12】別実施例の油圧制御回路図
【図13】別実施例の油圧制御回路図
【図14】別実施例の油圧制御回路図
【図15】別実施例の油圧制御回路図
【図16】油圧機器の平断面図
【符号の説明】
【0037】
1 エンジン
2 上部フレーム
3 脱穀フレーム
4 連結フレーム
5 アタッチメント操作レバー
6 吸気ボックス
7 前下り傾斜面
13 脱穀装置
25 原動ボックス
【技術分野】
【0001】
この発明は、排藁処理装置等のアタッチメントの操作レバーを有したコンバインに関するものである。
【背景技術】
【0002】
コンバインは、機体の前側にオペレータが搭乗して運転する操縦席を設け、この操縦席の周りに機体の走行を操作する操縦装置や脱穀機の駆動断続及び穀粒の排出操作を行う排出操作レバーさらに排藁を切断したり結束したりするアタッチメントの切換レバーなどを設けている。
【特許文献1】特開2006−94781号公報
【特許文献2】特開2006−230282号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
コンバインでは、前記の如く、各種の操作レバー類が操縦席の周囲に設けられているために、その操作レバーを取付けるパネルの支持構成が複雑になり、制作費が嵩み整備も困難になっていた。
【0004】
そこで、本発明では、コンバインにおいて、操縦席の近傍に設ける操作レバーで、特にアタッチメント操作レバーの取付構成を簡略化することが課題である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の上記課題は次の構成によって達成される。
すなわち、エンジン(1)を囲む原動ボックス(25)の上部フレーム(2)と脱穀装置(13)側から前方に延出した脱穀フレーム(3)とを、原動ボックス(25)の上側において前下り傾斜した連結フレーム(4)によって連結し、この連結フレーム(4)に原動ボックス(25)の上側を覆う吸気ボックス(6)を取付けると共にアタッチメント操作レバー(5)を枢支し、このアタッチメント操作レバー(5)を前記吸気ボックス(6)の前部の前下り傾斜面(7)から上方へ突出させて設けたことを特徴とするコンバインとしたものである。
【0006】
この構成により、原動ボックス25の上部フレーム2と脱穀装置13の脱穀フレーム3を強固に連結する連結フレーム4に吸気ボックス6を取付け、さらにアタッチメント操作レバー5を枢支しているので、アタッチメント操作レバー5用パネルや取付け部材が格別に必要なくなる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によると、通常、機体の後部に設けるアタッチメントの切換作動部にワイヤーで連結して後方へ引き作用するアタッチメント操作レバー5を、連結フレーム4によって強固に支持出来る。そして、吸気ボックス6の前部の前下り傾斜面7がアタッチメント操作レバー5用パネルを兼ね、連結フレーム4がアタッチメント操作レバー5の支持部材を兼ねているので、構成を簡略化して製作コストを低減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明を具現化した農業機械であるコンバインを図面を参照しながら説明する。
本明細書では、左側及び右側とはコンバインが前進する方向に向いたときの方向を言う。
【0009】
コンバインの全体は、図1に示す如く構成され、クローラ走行装置11を有する車体10に脱穀装置13が搭載され、脱穀装置13の前方には刈取装置12が設けられ、脱穀装置13の後上部にはカッター14とノッター15からなるアタッチメント16が装着されている。刈取装置12が刈り取った穀稈は供給搬送装置17で後上方へ搬送され、穀稈脱穀搬送装置18に引き継がれ、穂先を脱穀装置13内へ供給して脱穀され、脱穀後の穀稈が脱穀装置13の最後部に設けたカッター14で細かく切断されたりノッター15で束にされて圃場へ放出される。カッター14を使用するかノッター15を使用するかは、後述するアタッチメント操作レバー5の切換操作で変更出来る。
【0010】
車体10の上方には、脱穀装置13の右側方にこの脱穀装置13で脱穀選別された穀粒を一時貯溜するグレンタンク19と、該グレンタンク19の前方に位置していてオペレータが搭乗してコンバインの操縦等の各種操作を実行する操縦席20が構成されている。
【0011】
操縦席20には、前側へ走行中に操縦操作を行う操向レバー21を立設し、後側の原動ボックス25上にオペレータが着座する座席9を設けている。原動ボックス25内には、エンジン1を搭載し、刈取装置12と脱穀装置13の各部を駆動すると共にクローラ走行装置11を駆動している。操縦席20の左側で車体10の中央位置には、副変速レバー22とスロットルレバー23及び刈取脱穀レバー24等を原動ボックス25上の操作パネル26から上方へ突出させている。
【0012】
図2は、原動ボックス25の拡大図で、エンジン1を囲む原動ボックス25の上側で前記操作パネル26の後側には上方から空気を吸い込む吸気管27を連結した吸気ボックス6を設けるが、この吸気ボックス6は、原動ボックス25の上部フレーム2と脱穀装置13の機枠から伸びる脱穀フレーム3を前下り傾斜状態で連結する連結フレーム4に上側を固定している。また、連結フレーム4には、前記アタッチメント16のカッター14とノッター15からなるアタッチメント16への排藁送り方向を切り換えるアタッチメント操作レバー5を枢支軸8で枢着している。このアタッチメント操作レバー5は、吸気ボックス6の前側に形成した前下り傾斜面7から上方へ突出させて、オペレータがこのアタッチメント操作レバー5を前後に回動してカッター14かノッター15のどちらかを使用するように切り換えるようにしている。
【0013】
図3は、エンジン1の出力軸43近傍の動力伝動状態を示している。
エンジン1の出力軸43には、大小のプーリ28,29を固着し、小プーリ28から脱穀装置13用の伝動ケース32の入力プーリ30へベルト31を巻き掛けてテンションプーリ41でベルト31を張って動力を伝動する。伝動ケース32から出力プーリ42で脱穀装置13の各部へ動力を出力する。
【0014】
大プーリ29からクローラ走行装置11への動力伝動を行うミッションケース44の油圧無段変速装置93の入力プーリ39へベルト38を巻き掛けてテンションプーリ40でベルト38を張って動力を伝動する。
【0015】
エンジン1のマウントブラケット45,46は、車体10のフレーム33,34へ防振マウント35,38を介して取り付け、一方のマウントブラケット45と一体にベルトストッパ37と取付けている。このベルトストッパ37は、小プーリ28に巻き掛けたベルト31がクラッチ切時に外れるのを防止するようにベルト31の外周を囲っていて、エンジン1本体と同期して振動するので、ベルト31が外れることがない。
【0016】
図4は、脱穀装置13用の伝動ケース32から脱穀装置13への動力伝動構成を示している。伝動ケース32の出力プーリ42から処理胴駆動軸52の入力プーリ54と扱胴駆動ケース61の入力プーリ51へ迂回プーリ59とテンションプーリ55で巻き掛けたベルト62で動力を伝動している。迂回プーリ59は、脱穀装置13の扱胴入口56をベルト62が迂回するようにしている。
【0017】
処理胴軸52の出力プーリ53から脱穀装置の後部で脱穀済排藁を搬送する排藁チェン駆動プーリ50へベルト63とテンションプーリ64で伝動している。
これらのベルト伝動機構の機体中央側には、下部のエンジン1からの排気管57とそれに続く横に曲がったテールパイプ58が設けられ、これを仕切る仕切カバー60を設けている。この仕切カバー60には下り傾斜面を形成し、脱穀装置13で発生する藁屑や塵埃が下り傾斜面で落下し、エンジン1側へ侵入しないようにすると共に、エンジン側の熱が脱穀装置13側へ伝わらないようにしている。また、この仕切カバー60は、エンジンの冷却ファンの風で車体10の下部フレーム上に溜まる藁屑を吹き飛ばすようになる。
【0018】
操縦席20の後に搭載したグレンタンク19の後側にこのグレンタンク19内の穀粒を送り上げる揚穀筒70が立設され、この揚穀筒70の上端に穀粒排出オーガ71が屈曲可能に連結されている。揚穀筒70は電気モータ(図示せず)にて旋回可能に構成され、また、穀粒排出オーガ71は油圧シリンダ(図示せず)にてその先端側が昇降可能に構成されている。
【0019】
そして、揚穀筒70を旋回すると、穀粒排出オーガ71も一緒に旋回し、揚穀筒70に対して揚穀筒70が起伏し、さらに穀粒排出オーガ71も一定範囲で伸縮して先端の放出筒72の位置をトラック等に搭載した穀粒タンクの上方へ位置させる構成となっている。
【0020】
グレンタンク19の底部には横送り螺旋73を設けて穀粒を揚穀筒70側へ送って全量が排出されるようにしているが、この横送り螺旋73の動力伝動は、図5の如く、エンジン1の出力軸から中継ギアケース74へベルト伝動75で伝動し、さらに中継ギアケース74の出力軸から横送り螺旋73の入力軸へベルト伝動76で伝動している。ベルト伝動75はテンションプーリ78で動力の断続を行うが、このテンションプーリ78は、原動ボックス25を構成する縦支柱83へ枢支したリンク81へフック79とワイヤー80で連結し、揚穀筒70を中心にして開閉するグレンタンク19の機枠がフック79のピン82に当接するとテンションプーリ78を動力入位置に移動させるようにしている。従って、グレンタンク19を側方へ開くとテンションプーリ78が動力切位置になって、中継ギアケース74以降の動力伝動が行われなくなる。グレンタンク19を側方へ開く際には、ベルト伝動76を外すことになる。
【0021】
図7は、原動枠25の側部に設けるサイドカバー86を原動ボックス25を構成する縦枠90へヒンジ89で取り付け、側方へ開くようにしている。このサイドカバー86と内部のラジエータフレーム85をワイヤー87で繋ぎ、サイドカバー86の開き過ぎを防いでいる。ラジエータフレーム85は、ラジエータを取り付けているが、ワイヤー87の引きでラジエータフレーム85が倒れないように左側の操作フレーム91と補強プレート88で連結している。
【0022】
このように構成したコンバインを前進させて刈取作業をすると、刈取装置12で刈り取られた穀稈は供給搬送装置17にて後上方へ搬送され、穀稈脱穀搬送装置18へと引き継ぎ搬送される。この穀稈脱穀搬送装置18に引き継がれた穀稈は、穂先側が脱穀装置13へ供給されて脱穀選別され、脱穀済の穀稈がアタッチメント16で切断されたり結束されて圃場へ放出される。
【0023】
脱穀装置で脱穀された穀粒はグレンタンク19内へ送り込まれて貯留されるが、貯留される穀粒が増えてくると満杯センサが報知する。そして、グレンタンク19が満杯になったことを知ったオペレータは刈取り作業を中断して、コンバインを道路に停止したトラックへ近づけて揚穀筒70と穀粒排出オーガ71でグレンタンク19内の穀粒をトラック上の穀粒タンク内へ移し変える。
【0024】
図8は、エンジン出力の余力で発電して蓄電し、蓄電した電気でモータを駆動してエンジンの出力不足を補助するハイブリッド機能を有するコンバインで、グレンタンク19への穀粒の溜り具合によって蓄電量を変更する制御のフローチャートである。
【0025】
ステップS1でグレンタンク19の穀粒量が所定量以下であればエンジン1の負荷が軽いので、ステップS5で可変プーリで発電機の回転を高くしてバッテリへ多く蓄電し、穀粒量が所定量以上であればエンジン1の負荷が重いので、ステップS2で可変プーリで発電機の回転を低下させてバッテリへ少なく蓄電する。さらに、ステップS3でエンジン1の負荷状態を監視し、負荷が一定値以下であれば、ステップS6でモータ出力を使わず、負荷が一定値以上で有れば、ステップS4でエンジン出力をモータの出力を用いてアシストする。
【0026】
次に、このコンバインにおける油圧制御回路を図9以降で説明する。
図9において、オイルタンク94から吸い込まれて油圧ポンプ95から送り出される圧油は、メインリリーフ弁96で圧力を一定に維持され、リリーフ弁97を介して走行系油圧回路98へ送る流れと、直接的に作業系油圧回路99の第一分流弁100へ送る流れに分けられる。
【0027】
油圧ポンプ95の供給側では、走行速度を変速する油圧無段変速装置93にもオイルを送っている。
まず、走行系油圧回路98へ送られた圧油は、左右の電磁パイロット弁101,102へ送られ、この電磁パイロット弁101,102から左右の電磁比例弁105,106に送り、左右の走行クラッチシリンダ103,104と左右のブレーキシリンダ107,108を作動する。
【0028】
第一分流弁100へ送られた圧油は、第二分流弁109へ送る流れと車体制御回路123へ供給するシャトル弁111へ送る余剰流れに分岐され、さらに第一分流弁100の余剰圧油がシャトル弁111に供給される。第二分流弁109を通った圧油は、比例流量制御弁110とパイロット弁112を通って刈取シリンダ117とオーガシリンダ118へパイロット弁113,114とチェック弁134,135及び絞り付チェック弁115,116を介して送られる。また、第二分流弁109の分岐圧油は、手動閉鎖弁120へ通じて、二個のリリーフ弁121,122を通って電磁パイロット弁119へ送られ、適宜にパイロット弁113,114とチェック弁134,135へパイロット圧を供給する。手動閉鎖弁120は、車体制御回路123の左ローリングシリンダ130と右ローリングシリンダ131及びピッチングシリンダ132を手動で操作する場合に閉じる。
【0029】
電磁切換弁133は、刈取シリンダ117とオーガシリンダ118への圧油の供給が不足する場合に第一分流弁100の余剰圧油を比例流量制御弁110へ供給する。
シャトル弁111を通った圧油は、車体10とクローラ走行装置11の間に設ける左ローリングシリンダ130と右ローリングシリンダ131及びピッチングシリンダ132を制御する車体制御回路123へ送っている。各シリンダ130,131,132へ電磁制御弁124,125,126とチェック弁136,137,138及び絞り付チェック弁127,128,129を介して送っている。
【0030】
図10の油圧回路図は、図9におけるパイロット弁112を無くして電磁切換弁133のパイロット圧をパイロット弁113の刈取シリンダ117側から取っている。
図11の油圧回路図は、電磁切換弁133のパイロット圧を第二分流弁109の送出側から直接取り込んでいて、刈取シリンダ117とオーガシリンダ118の圧力不足に有効である。
【0031】
図12の油圧回路図は、第二分流弁109の送出側にパイロット弁140とチェック弁141を設けて、比例流量制御弁110が上げ指令時に戻り圧をオイルタンク94に逃がしてシャトル弁111がチャタリングを起こさないようにしている。
【0032】
図13の油圧回路図は、図12の第二分流弁109に代えて、分流絞り弁144とチェック弁147と遮断弁143とパイロット弁142を配置して、エンジンがアイドリングで流量が少ない場合に車体制御回路123へ圧油が供給される。
【0033】
図14の油圧回路図は、第一分流弁100の吐出側に電磁三方切換弁145とパイロット弁146を配置した回路で、第一分流弁100の余剰流を車体制御回路123に送ったり比例流量制御弁110へ送ったりするパイロット弁146を電磁三方切換弁145でパイロット圧を供給する。
【0034】
図15の油圧回路図は、図14において、パイロット弁146を手動操作弁付パイロット弁149に置き換えた回路で、手動操作で第一分流弁100の余剰流を車体制御回路123へ供給して左ローリングシリンダ130と右ローリングシリンダ131及びピッチングシリンダ132を作動できるようにしている。
【0035】
図16は、手動操作弁付パイロット弁149の構造を示すもので、ブロック150に電磁三方切換弁145とこの手動操作弁付パイロット弁149を組み込んでいて、ネジ式プラグ151を締め込むと第一分流弁100の余剰流をシャトル弁111へ送るようになる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明実施例のコンバイン全体を示す側面図
【図2】コンバインの一部拡大側断面図
【図3】コンバインの一部拡大側断面図
【図4】コンバインの一部拡大正断面図
【図5】コンバインの一部動力伝動線図
【図6】コンバインの一部説明斜視図
【図7】コンバインの一部平断面図
【図8】エンジン制御のフローチャート図
【図9】油圧制御回路図
【図10】別実施例の油圧制御回路図
【図11】別実施例の油圧制御回路図
【図12】別実施例の油圧制御回路図
【図13】別実施例の油圧制御回路図
【図14】別実施例の油圧制御回路図
【図15】別実施例の油圧制御回路図
【図16】油圧機器の平断面図
【符号の説明】
【0037】
1 エンジン
2 上部フレーム
3 脱穀フレーム
4 連結フレーム
5 アタッチメント操作レバー
6 吸気ボックス
7 前下り傾斜面
13 脱穀装置
25 原動ボックス
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジン(1)を囲む原動ボックス(25)の上部フレーム(2)と脱穀装置(13)側から前方に延出した脱穀フレーム(3)とを、原動ボックス(25)の上側において前下り傾斜した連結フレーム(4)によって連結し、この連結フレーム(4)に原動ボックス(25)の上側を覆う吸気ボックス(6)を取付けると共にアタッチメント操作レバー(5)を枢支し、このアタッチメント操作レバー(5)を前記吸気ボックス(6)の前部の前下り傾斜面(7)から上方へ突出させて設けたことを特徴とするコンバイン。
【請求項1】
エンジン(1)を囲む原動ボックス(25)の上部フレーム(2)と脱穀装置(13)側から前方に延出した脱穀フレーム(3)とを、原動ボックス(25)の上側において前下り傾斜した連結フレーム(4)によって連結し、この連結フレーム(4)に原動ボックス(25)の上側を覆う吸気ボックス(6)を取付けると共にアタッチメント操作レバー(5)を枢支し、このアタッチメント操作レバー(5)を前記吸気ボックス(6)の前部の前下り傾斜面(7)から上方へ突出させて設けたことを特徴とするコンバイン。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2008−271844(P2008−271844A)
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−118786(P2007−118786)
【出願日】平成19年4月27日(2007.4.27)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年4月27日(2007.4.27)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
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