説明

コンバイン

【課題】刈取作業中の塵埃の飛散、作業環境の悪化。
【解決手段】コンバインは、左右側壁6と底板9と後板10を備えたオーガーフレーム11と、リール12と刈刃13とオーガー8を備えた刈取部5とを有する。リール12を外したオーガーフレーム11には、左右一対の分草体36の後方に引起搬送装置37および刈刃41を設けたユニット38を左右方向に複数並設したロークロップユニット35を着脱自在に取付け、前記リール12を外したリール取付アーム25には前記ロークロップユニット35の上方を覆う透明シート部材45を着脱自在に装着可能な構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバインの特に、刈取部に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、左右側壁と、底板と、後板により構成したオーガーフレームに、リールと、刈刃とオーガーを設けて構成した刈取部を設けたコンバインにおいて、オーガーの上方に、脱穀部で発生する未処理物を回収して上方から流し込み供給するための誘導板を設けた構成は、公知である。
【特許文献1】特開2000−4654号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記公知例は、単に、オーガーの上方に、誘導板を設けているだけであるから、小豆や大豆の刈取作業で大量の塵埃が発生すると、この塵埃が操縦部の周辺に立ち込めて作業環境が悪化するという課題がある。
また、公知例では、オーガーフレームから粒や茎が飛散してロスとなるという課題がある。
本願は、刈取作業で発生する大量の塵埃の飛散を抑制するように工夫したものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
請求項1記載の発明は、 走行装置2の上側に脱穀装置3を設け、該脱穀装置3の横側前方に操縦部4を設け、該操縦部4の前側に刈取部5を設け、該刈取部5を、左右側壁6と底板9と後板10により構成したオーガーフレーム11に、リール12と刈刃13とオーガー8を設けて構成し、前記リール12を外したオーガーフレーム11には、左右一対の分草体36の後方に引起搬送装置37および刈刃41を設けたユニット38を左右方向に複数並設したロークロップユニット35を着脱自在に取付け、前記リール12を外したリール取付アーム25には前記ロークロップユニット35の上方を覆う透明シート部材45を着脱自在に装着可能な構成としたことを特徴とするコンバインとしたものであり、リール12を刈取部5のリール取付アーム25から一旦取外し、リール12を外した刈取部5にロークロップユニット35を改めて装着し、リール12を外した左右のリール取付アーム25にロークロップユニット35の上方覆う透明シート部材45を装着し、走行装置2により機体を走行させて、小豆や大豆の刈取作業を行い、刈取った刈稈穀稈および穀粒を回転するオーガー8により集め、搬送エレベーター14により脱穀装置3へ供給して脱穀する。
透明シート部材45はロークロップユニット35やオーガー8付近にて発生した塵埃が刈取部5の上方から周囲へ飛散するのを防止し、塵埃が操縦部4の周辺に立ち込めるのを防止する。
また、透明シート部材45はオーガーフレーム11から粒や茎が飛散してロスとなるのを防止し、刈取部5における回収効率を向上させる。
請求項2記載の発明は、前記リール12を外した左右のリール取付アーム25の先端には左右方向の案内ガイド46を設け、該案内ガイド46と左右のリール取付アーム25に前記透明シート部材45の周縁端部を装着するように構成としたことを特徴とするコンバインとしたものであり、リール12を外した左右のリール取付アーム25の先端には案内ガイド46を設けて連結しているので、案内ガイド46と左右のリール取付アーム25に透明シート部材45の周縁端部を装着でき、作業中、透明シート部材45の浮き上がりや「ばたつく」のを抑制して、塵埃の飛散を防止する。
また、透明シート部材45は透明部材により構成され、リール取付アーム25に取付けているので、刈取作業中のロークロップユニット35の作業状態を視認でき、作業状態に応じて、リール取付アーム25を上下させて、最適な状態で作業を行って、作業適応状態を広げることができる。
請求項3記載の発明は、前記ロークロップユニット35の複数のユニット38のうちの左右両側のユニット38には分草ガイド55を設け、分草ガイド55の下部はユニット38の分草体36に回動自在に取付け、分草ガイド55の上部は前記リール取付アーム25に移動自在に取付け、リール取付アーム25の上下回動により分草ガイド55の傾斜角度が変化しう構成としたことを特徴とするコンバインとしたものであり、分草ガイド55は、平面視、左右両側の分草体36よりも分草ガイド55の上部が側方に突出してオーガーフレーム11の左右両側の未刈り穀稈の分草を良好に行う。
また、分草ガイド55の上部はリール取付アーム25の支持部57に対して移動自在に取付けているから、リール取付アーム25の上下回動により分草ガイド55の傾斜角度を変化させることができ、圃場の未刈り穀稈の状態に分草ガイド55の傾斜角度を対応させ、分草効果を向上させる。
【発明の効果】
【0005】
請求項1の発明では、透明シート部材45により刈取作業で生じる大量の塵埃の飛散を抑制でき、また、オーガーフレーム11からの穀粒の飛散を抑制してヘッドロスを減少させ、収穫作業の効率を向上させることができる。
請求項2の発明では、上記請求項1の効果を奏するほかに、透明シート部材45の周縁端部を固定して、刈取作業中の透明シート部材45の浮き上がりや「ばたつく」のを抑制でき、塵埃の飛散を良好に防止して、操作環境を衛生的なものとするこができる。
請求項3の発明では、上記請求項1または請求項2の効果を奏するほかに、オーガーフレーム11の左右両側の未刈り穀稈の分草を良好に行え、刈取作業の能率を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明の一実施例を図面により説明すると、1は機体フレーム、2は機体フレーム1の下部に設けた走行装置、3は機体フレーム1上に設けた脱穀装置、4は脱穀装置3の前方の一側に設けた操縦部、5は該操縦部4の前方に設けた刈取部、7は穀粒貯留装置である。
刈取部5は、左右側壁6と、後述するオーガー8の下方に位置する底板9と、左右の側壁6と底板9とを連結するように設けた後板10により構成したオーガーフレーム11に、リール12と、刈刃13と前記オーガー8を設けて構成し、オーガーフレーム11には搬送エレベーター14の先端を取付け、搬送エレベーター14の基部は脱穀装置3の脱穀室に接続する。前記オーガー8は前記操縦部4のすぐ前方に位置させ、前記搬送エレベーター14は前記操縦部4の側部に位置させる。
前記オーガーフレーム11の後板10の反操縦部4側には前記搬送エレベーター14の先端を接続する。前記オーガー8は、略同径の円筒状部材の外周面であって前記搬送エレベーター14との接続部分の開口させた部分には搬送エレベーター14に穀稈および穀物を搬送するオーガーフィンガー15を設け、該オーガーフィンガー15の左右両側には穀稈および穀物を集送するスパイラル翼16を設ける。したがって、前記刈刃13に刈取られた穀稈はそのまま搬送エレベーター14に供給される。
【0007】
前記リール12は、回転軸20にリールフレーム21の中心を取付け、リールフレーム21にはリールタイン22を取付けた取付軸23を取付ける。
前記回転軸20の両端は左右一対のリール取付アーム25に着脱自在に夫々取付ける。リール取付アーム25はその基部をオーガーフレーム11に回動自在に取付け、オーガーフレーム11とリール取付アーム25の間に設けた上下シリンダ26により高さ位置を上下調節する。また、左右のリール取付アーム25には前後位置調節用アクチュエータ27を設け、前記リール12の前後位置を調節しうるようにする。また、前記リールタイン22の地面に対する角度も、後述するタイン角度調節機構30により調節可能に構成している。
【0008】
しかして、リール12を一旦外した刈取部5には、ロークロップユニット35を着脱自在に取付ける。ロークロップユニット35は、公知の構成であり、左右一対の分草体36を設け、分草体36の後方に引起搬送装置37を設けたユニット38を左右方向に複数連結して並設して構成し、オーガーフレーム11に着脱自在に取付ける。
39は上側搬送装置、40は下側搬送装置、41は円板状の刈刃である。
ロークロップユニット35を装着した刈取部5のリール取付アーム25には、透明シート部材45を着脱自在に取付ける。透明シート部材45はロークロップユニット35の上方を覆うように設ける。
小豆や大豆の刈取作業では大量の塵埃が発生し、この塵埃が操縦部4の周辺に立ち込めて作業環境が悪化するが、ロークロップユニット35の上方に透明シート部材45を設けているので、塵埃飛散を抑制する。
また、オーガーフレーム11から粒や茎が飛散してロスとなることがあるが、透明シート部材45は穀粒の飛散を防止し、回収効率を向上させられる。
【0009】
前記左右のリール取付アーム25の先端は、左右のリール取付アーム25を連結する案内ガイド46を設け、案内ガイド46と左右のリール取付アーム25に透明シート部材45の端部を着脱自在に固定する。
したがって、透明シート部材45の前端はリール取付アーム25の先端と同じに位置させ、透明シート部材45の後端は側面視オーガー8の後面と略同じに位置させる。
また、リール取付アーム25は刈取部5のオーガーフレーム11の左右の側壁6の略上方に位置するので、リール取付アーム25に取り付けた透明シート部材45はオーガーフレーム11の略全幅を覆うことになり、塵埃の飛散を抑制し、穀粒の回収効率を向上させる。
透明シート部材45の取付構成は任意であり、例えば、透明シート部材45の周縁に鳩目(図示省略)を設け、案内ガイド46と左右のリール取付アーム25に鳩目に係合する係合部材(図示省略)を設ける。また、透明シート部材45の後縁は図5のようにオーガーフレーム11の後板10の前側に垂らすと、塵埃飛散の抑制効果を向上させて好適である。
【0010】
しかして、前記ロークロップユニット35の複数のユニット38のうちの左右両側のユニット38には、分草ガイド55を設ける。分草ガイド55は、その下部をユニット38の分草体36の取付部56に向きや角度変更自在に取付け、分草ガイド55の上部は前記リール取付アーム25に支持されるが相対位置変更自在に取付ける。
分草ガイド55の上部は、平面視、左右両側の分草体36よりも側方に突出するように構成する。
分草ガイド55の上部は左右両側の分草体36よりも側方に突出させているので、オーガーフレーム11の左右両側の未刈り穀稈の分草を良好に行える。
リール取付アーム25の上下回動により分草ガイド55の傾斜角度が変化するように構成する。そのため、分草ガイド55の上部はリール取付アーム25の支持部57に対して移動自在に取付ける。
【0011】
例えば、分草ガイド55は、作物の背丈が高いときには、リール取付アーム25を上方回動させて分草ガイド55を起立させ、作物の背丈が低いときには、リール取付アーム25を下方回動させて分草ガイド55を倒伏させる。
したがって、刈取部5の左右両側の未刈り穀稈の分草を良好に行える。
しかして、前記リール12は、そのリールタイン22の下端が取付軸23に対して左右方向に移動して、正面視のリールタイン22の角度が変化するように構成する。
従来のリールタイン22は正面視略垂直(鉛直)の角度で回転移動するように、取付軸23に取付けているため、穀稈に対する引起作用が弱かったが、本願では、リールタイン22の正面角度を変化させて、穀稈に斜めに当接して、接触面積および接触抵抗を増加させ、引起作用を向上させる。
したがって、刈取部5における穀粒の回収効率を向上させる。
【0012】
具体的構成は任意であるが、一例を示すと、取付軸23の下面に上側スラット60を固定し、上側スラット60にリールタイン22の上部を軸61により回動自在に取付ける。
上側スラット60の下方には下側スラット63を左右方向に移動自在に固定部材64により取付ける。リールタイン22の軸61より下方部分には係合ピン65を設け、係合ピン65は下側スラット63に係合させる。
したがって、リールタイン22は、回動支点の軸61と案内用支点の係合ピン65の二カ所により取付軸23側に取付けられ、下側スラット63を左右に移動させることにより、リールタイン22の傾斜角度を変更させる。
即ち、下側スラット63を上側スラット60に対して相対的に左右何れ一方側に移動させることにより、上側スラット60に取付けた複数のリールタイン22の傾斜角度を一度に同じ傾斜に変更させる。
【0013】
この場合、リールタイン22はリール12の回転方向の前後に複数設けており、回転方向の前後のリールタイン22の傾斜方向は、交互に相違するように構成する。
例えば、一列目のリールタイン22Aは正面視左傾斜とすると、二列目のリールタイン22Bは右傾斜とし、次の、三列目のリールタイン22Cは左傾斜にする。
そのため、例えば、一列目のリールタイン22Aが保持できなかった穀稈を、二列目の反対傾斜のリールタイン22Bが保持して引起せるようになり、倒伏穀稈適応性を向上させられる。
即ち、例えば、一列目のリールタイン22Aは下側スラット63を左側に移動させて左傾斜とし、二列目のリールタイン22Bは下側スラット63を右側に移動させて右傾斜とし、次の、三列目のリールタイン22Cは下側スラット63を左側に移動させて左傾斜にする。
【0014】
また、リールタイン22には、嵌合溝70を形成し、該嵌合溝70に下側スラット63を嵌合させて、下側スラット63の一部を前後側から挟持する。
そのため、正面視における傾斜調節自在のリールタイン22の取付部分に掛かる負荷を吸収し、リールタイン22の取付部分の耐摩耗性を向上させる。
しかして、図14,図15はリールタイン22の装着に関する他の実施例であり、下側スラット63の所定位置には弾性変形する係合部71を設け、係合部71を取付軸23に着脱自在に係合させる。係合部71と取付軸23のいずれか一方には位置決め用の係合ピン72を設け、係合部71と取付軸23のいずれか他方には位置決め用の係合孔73を設け、係合ピン72または係合孔73のいずれかを複数形成して選択的に係合させ、これにより、下側スラット63の位置を変更してリールタイン22の角度を変更する。
したがって、係合部71を弾性変形させて取付軸23に着脱自在に係合させればよいので、工具を不要にしてリールタイン22の角度変更が行える。
【0015】
リールタイン22の側面視の角度は、リール12の回転速度が増速すると、後傾し(例えば、図16の実線状態)、リール12の回転速度が減速すると、後傾状態から垂直状態(例えば、図16の鎖線状態)に戻るように構成する。
そのため、倒伏穀稈の刈取作業のときは、リール12の回転速度を増速させてリールタイン22の側面視の角度を後傾状態にするので、引起性能が向上する。
反対に、通常穀稈や短稈の刈取作業のときは、リール12の回転速度を減速させてリールタイン22の側面視の角度を略垂直状態に近づけ、持ち回りや引起抵抗を減少させ、ヘッドロスを低減させる。
この場合、前記リール12の回転変速機構の構成は任意であり、歯車とチエン等により変速機構80を構成して、この歯車の噛み合わせ変更して変速したり、変速モータ(図示省略)により変速しても良い。
【0016】
同様に、リールタイン22の側面視のタイン角度調節機構30の構成は任意であり、一例を示すと、リールフレーム21の外側に角度変更用フレーム81を設ける。角度変更用フレーム81は、リールフレーム21の回転中心より外れた回転中心で回転するように、角度変更用フレーム81の軸85と取付軸23とをリンク82を介して取付け、リールフレーム21に対する角度変更用フレーム81の位置を操作レバー83または角度変更用モータ84により変更しうるように構成する。
操作レバー83(図19)または角度変更用モータ84(図18)により操作すると、リールフレーム21に対する角度変更用フレーム81の位置を変更させ、リールフレーム21に対する取付軸23の位置を変更させてリールタイン22の前後傾斜角度を変更するように構成している。
【0017】
(実施例の作用)
エンジンを始動し、走行装置2により機体を走行させると、リール12が回転し、未刈稈を掻き込み、掻込んだ穀稈を刈刃13で刈取り、刈取った穀稈および穀粒を回転するオーガー8の外周面のスパイラル翼16により集め、回転するオーガーフィンガー15により搬送エレベーター14内へ供給し、搬送エレベーター14により脱穀装置3へ供給されて脱穀される。
前記リール12は、刈取部5のリール取付アーム25に着脱自在に取付け、リール12を外した刈取部5には、ロークロップユニット35を設けて、小豆や大豆の刈取作業を行う。
このとき、左右のリール取付アーム25には前記ロークロップユニット35の上方覆う透明シート部材45を設けているので、オーガーフレーム11で発生した塵埃は透明シート部材45により飛散が防止され、塵埃が操縦部4の周辺に立ち込めるのを防止する。
したがって、操縦部4周辺の作業環境を悪化させない。
【0018】
また、オーガーフレーム11から粒や茎が飛散してロスとなることがあるが、透明シート部材45は穀粒の飛散を防止し、回収効率を向上させられる。
この場合、左右のリール取付アーム25の先端には案内ガイド46を設けて連結しており、案内ガイド46と左右のリール取付アーム25に透明シート部材45の端部(端縁)を着脱自在に固定しているから、作業中、透明シート部材45が浮き上がるのを抑制して、塵埃の飛散防止効果を低下させない。
また、透明シート部材45の前端はリール取付アーム25の先端と同じに位置させ、透明シート部材45の後端は側面視オーガー8の後面と略同じに位置させているから、塵埃の飛散防止効果を向上させる。
なお、透明シート部材45は、透明部材により構成しているので、刈取作業中のロークロップユニット35の作業状態を視認でき、作業状態に応じて、リール取付アーム25を上下させることができ、最適な状態で作業でき、作業適応状態を広げることができる。
【0019】
しかして、ロークロップユニット35の複数のユニット38のうちの左右両側のユニット38には分草ガイド55を設け、分草ガイド55は、その下部をユニット38の分草体36に回動自在に取付け、分草ガイド55の上部は前記リール取付アーム25に取付けているから、平面視、左右両側の分草体36よりも分草ガイド55の上部が側方に突出してオーガーフレーム11の左右両側の未刈り穀稈の分草を良好に行える。
また、分草ガイド55の上部はリール取付アーム25の支持部57に対して移動自在に取付けているから、リール取付アーム25の上下回動により分草ガイド55の傾斜角度を変化させることができ、圃場の未刈り穀稈の状態に分草ガイド55の傾斜角度を対応させ、分草効果を向上させる。
【0020】
即ち、分草ガイド55は、作物の背丈が高いときには、リール取付アーム25を上方回動させて起立させ、作物の背丈が低いときには、リール取付アーム25を下方回動させて倒伏させることができ、刈取部5の左右両側の未刈り穀稈の分草を良好に行える。
しかして、前記リール12は、そのリールタイン22の下端が取付軸23に対して左右方向に移動して、正面視のリールタイン22の角度が変化するように構成しているから、リールタイン22の角度を変化させて、穀稈に斜めに当接させることができ、接触面積および接触抵抗を増加させ、引起作用を向上させる。
したがって、刈取部5における穀粒の回収効率を向上させる。
具体的には、取付軸23の下面に上側スラット60を固定し、上側スラット60にリールタイン22の上部を軸61により回動自在に取付け、上側スラット60の下方には下側スラット63を左右方向に移動自在に固定部材64により取付け、リールタイン22の軸61より下方部分には係合ピン65を設け、係合ピン65は下側スラット63に係合させているから、固定部材64を外して下側スラット63を左右に移動させると、リールタイン22は軸61中心にその下端が下側スラット63の移動方向に移動して、複数のリールタイン22の傾斜角度を一度に変更する。
【0021】
この場合、リールタイン22はリール12の回転方向の前後に複数設けており、回転方向の前後のリールタイン22の傾斜方向を、交互に相違するように構成すると、例えば、一列目のリールタイン22Aが保持できなかった穀稈を、二列目の反対傾斜のリールタイン22Bが保持して引起せるようになり、倒伏穀稈適応性を向上させられる。
また、リールタイン22には、嵌合溝70を形成し、該嵌合溝70に下側スラット63を嵌合させて、下側スラット63の一部を前後側から挟持しているから、正面視における傾斜調節自在のリールタイン22の取付部分に掛かる負荷を吸収し、リールタイン22の取付部分の耐摩耗性を向上させる。
しかして、図14,15のリールタイン22の装着に関する他の実施例では、下側スラット63の所定位置には弾性変形する係合部71を設け、係合部71に係合孔73を設け、取付軸23に係合ピン72を設けているので、係合部71を弾性変形させて取付軸23から外して、他の係合ピン72に選択的に係合させるだけで、リールタイン22の正面視の傾斜角度の変更を、工具を不要にして行える。
【0022】
しかして、リールタイン22の側面視の角度は、リール12の回転速度が増速すると、後傾し、リール12の回転速度が減速すると、後傾から垂直状態に戻るように構成しているので、倒伏穀稈の刈取作業のときは、リール12の回転速度を増速させてリールタイン22の側面視の角度を後傾になるので、引起性能が向上する。
反対に、通常穀稈や短稈の刈取作業のときは、リール12の回転速度を減速させてリールタイン22の側面視の角度を略垂直状態に近づけ、持ち回りや引起抵抗が減少し、ヘッドロスを低減させる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】リールを装着したコンバインの一例の側面図。
【図2】リールを取り外して透明シート部材を装着したコンバインの一例の側面図。
【図3】同平面図。
【図4】刈取部の平面図。
【図5】同側面図。
【図6】ロークロップユニットに分草ガイドを取り付けた平面図。
【図7】同コンバイン側面図。
【図8】同刈取部側面図。
【図9】同平面図。
【図10】リールタイン部分の正面図。
【図11】同縦断側面図。
【図12】リールの正面図。
【図13】リールタインの断面図。
【図14】リールタインの取付構成の他の実施例正面図。
【図15】同側面図。
【図16】リールの側面図。
【図17】リールの回転変速機構の平面図。
【図18】リールの側面図。
【図19】リールの側面図。
【符号の説明】
【0024】
1…フレーム、2…走行装置、3…脱穀装置、4…操縦部、5…刈取部、6…左右側壁、8…オーガー、9…底板、10…後板、11…オーガーフレーム、12…リール、13…刈刃、14…搬送エレベーター、15…オーガーフィンガー、16…スパイラル翼、20…回転軸、21…リールフレーム、22…リールタイン、23…取付軸、25…取付アーム、26…上下シリンダ、27…前後位置調節用アクチュエータ、30…タイン角度調節機構、35…ロークロップユニット、36…分草体、37…引起搬送装置、38…ユニット、45…透明シート部材、46…案内ガイド、55…分草ガイド、56…取付部、57…支持部、60…上側スラット、61…軸61、63…下側スラット、64…固定部材、65…係合ピン、70…嵌合溝、71…係合部、72…係合ピン、73…係合孔、80…変速機構、81…角度変更用フレーム、82…リンク、83…操作レバー、84…角度変更用モータ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行装置(2)の上側に脱穀装置(3)を設け、該脱穀装置(3)の横側前方に操縦部(4)を設け、該操縦部(4)の前側に刈取部(5)を設け、該刈取部(5)を左右側壁(6)と底板(9)と後板(10)により構成したオーガーフレーム(11)に、リール(12)と刈刃(13)とオーガー(8)を設けて構成し、前記リール(12)を外したオーガーフレーム(11)には、左右一対の分草体(36)の後方に引起搬送装置(37)および刈刃(41)を設けたユニット(38)を左右方向に複数並設したロークロップユニット(35)を着脱自在に取付け、前記リール(12)を外したリール取付アーム(25)には前記ロークロップユニット(35)の上方を覆う透明シート部材(45)を着脱自在に装着可能な構成としたことを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
請求項1において、前記リール(12)を外した左右のリール取付アーム(25)の先端には左右方向の案内ガイド(46)を設け、該案内ガイド(46)と左右のリール取付アーム(25)に前記透明シート部材(45)の周縁端部を装着するように構成としたことを特徴とするコンバイン。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、前記ロークロップユニット(35)の複数のユニット(38)のうちの左右両側のユニット(38)には分草ガイド(55)を設け、分草ガイド(55)の下部はユニット(38)の分草体(36)に回動自在に取付け、分草ガイド(55)の上部は前記リール取付アーム(25)に移動自在に取付け、リール取付アーム(25)の上下回動により分草ガイド(55)の傾斜角度が変化しうる構成としたことを特徴とするコンバイン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2009−136206(P2009−136206A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−315703(P2007−315703)
【出願日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】