説明

コンバイン

【課題】二番物の還元筒内における損傷。
【解決手段】選別戻し用螺旋40は、前記還元筒33の中間部分に形成した前記風選室24に還元しうる選別戻し口70を有する選別戻し部35に搬送する構成とする。前記脱穀戻し用螺旋38は前記搬送螺旋34まで還元物を揚穀搬送する構成とする。前記選別戻し用螺旋40および脱穀戻し用螺旋38の戻し用螺旋回転軸50は前記脱穀装置3の左側側板52に設けた上部取付部54に共に軸装可能な構成とし、前記選別戻し用螺旋40と脱穀戻し用螺旋38とを選択することにより二番還元揚穀装置32の還元先を前記脱穀室21または前記揺動選別棚25の何れかに切替える構成としたことを特徴とするコンバイン。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバインに係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来、刈り取った穀稈および穀粒を脱穀装置の脱穀室に供給して脱穀し、脱穀した被処理物を風選室で選別し、風選室の揺動選別棚の下方の一番コンベアにより一番物を回収し、一番コンベアの所定間隔を置いた後側の二番コンベアに回収された二番物を、脱穀室への還元と風選室への還元とに還元搬送先を切替え可能にし、還元搬送先の切替えを切替弁で行う構成は、公知である(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−284325号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記公知例は、単に、二番物の還元搬送先を、切替弁により切替える構成のため、風選室に戻すときは還元筒の中間の戻し口を閉塞部材を切り替えて開口させるが、還元筒内の還元搬送螺旋はそのまま存在するので、選別戻し口にまで揚穀された穀粒が直ぐに選別戻し口から風選室に排出されず、一部は選別戻し口を通過して上方に迄搬送される。
そのため、選別戻し口を通過した穀粒は、下方から揚穀される穀粒と擦れ合って損傷するという課題がある。
そこで、公知例の他の実施例では、還元搬送螺旋の長さの相違する脱穀戻し用螺旋と選別戻し用螺旋とを選択的に取り付けて還元先を切り替えるようにしているが、短い選別戻し用螺旋を取付ける軸受部の交換が面倒であり、還元先の切替作業が非常に煩雑であるという課題がある。
本願は、還元搬送螺旋の長さの相違する脱穀戻し用螺旋と選別戻し用螺旋とを選択的に取り付けて還元先を切り替える構成を採用して、穀粒の損傷を防止しつつ切替作業を容易にすると共に、脱穀戻し用螺旋による脱穀室への還元を工夫し、全体の選別精度および選別効率を向上させるようにしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の発明は、走行装置2の前方に、リール14と刈刃15とオーガー8を取付けたオーガーフレーム13を有する刈取装置6を設け、前記刈取装置6で刈り取った穀稈を前記走行装置2の上方に設けた脱穀装置3に搬送する搬送エレベーター16を設け、前記脱穀装置3は、扱胴20の外周に扱網22を配置して形成した脱穀室21の下方に、選別風を送風する唐箕23と送風方向に往復揺動する揺動選別装置26により穀粒を選別する風選室24を設け、前記揺動選別棚25の下方には一番コンベア30を設け、該一番コンベア30の所定間隔を置いた後側には二番コンベア31を設け、二番コンベア31の終端には、二番コンベア31に落下回収された二番物を、所定箇所に還元搬送する二番還元揚穀装置32を設け、該二番還元揚穀装置32は、前記二番コンベア31の終端に接続した還元筒33の先端を脱穀室21の始端部上方に臨ませ、該還元筒33の先端に二番物を脱穀室21の幅方向に拡散搬送する左右方向の搬送螺旋34の始端部を臨ませ、前記還元筒33内に設ける還元搬送螺旋36は、選別戻し用螺旋翼39を有する選別戻し用螺旋40と、脱穀戻し用螺旋翼37を有する脱穀戻し用螺旋38とを選択的に交換使用する構成とし、選別戻し用螺旋40は、前記還元筒33の中間部分に形成した前記風選室24に還元しうる選別戻し口70を有する選別戻し部35に搬送する構成とし、前記脱穀戻し用螺旋38は前記搬送螺旋34まで還元物を揚穀搬送する構成とし、前記選別戻し用螺旋40および脱穀戻し用螺旋38の戻し用螺旋回転軸50は前記脱穀装置3の左側側板52に設けた上部取付部54に共に軸装可能な構成とし、前記選別戻し用螺旋40と脱穀戻し用螺旋38とを選択することにより二番還元揚穀装置32の還元先を前記脱穀室21または前記揺動選別棚25の何れかに切替える構成としたことを特徴とするコンバインとしたものであり、走行装置2により前進して刈取装置6が刈り取った穀稈および穀粒を脱穀装置3に供給し、脱穀装置3の脱穀室21で脱穀処理し、脱穀処理された被処理物を風選室24により風選処理し、二番コンベア31に回収された二番物を、二番還元揚穀装置32により脱穀室21または風選室24に還元搬送し、脱穀または風選の再処理を行う。
二番還元揚穀装置32の還元搬送螺旋36は、選別戻し用螺旋翼39を有する選別戻し用螺旋40と、搬送螺旋34まで還元物を揚穀搬送する脱穀戻し用螺旋翼37を有する脱穀戻し用螺旋38との何れかを選択し、選択した還元搬送螺旋36の戻し用螺旋回転軸50を脱穀装置3の左側側板52に設けた上部取付部54に共に軸装すると、二番還元揚穀装置32の還元先を切替られる。
また、二番還元揚穀装置32の脱穀戻し用螺旋38により揚穀された穀粒は、上部取付部54にて搬送螺旋34に引き継がれ、搬送螺旋34は二番物を脱穀室21内の幅方向に搬送しながら拡散させて、脱穀再処理を行う。
請求項2記載の発明は、前記二番還元揚穀装置32の還元搬送螺旋36は、該還元搬送螺旋36の始端部に前記二番コンベア31に伝達されたエンジンからの回転を伝達し、還元搬送螺旋36の回転を前記脱穀室搬送螺旋34に伝達する構成とし、前記還元搬送螺旋36の選別戻し用螺旋40の戻し用螺旋回転軸50は、前記脱穀戻し用螺旋38の戻し用螺旋回転軸50を軸装する上部取付部54に軸装する構成としたことを特徴とするコンバインとしたものであり、二番コンベア31に伝達されたエンジン回転を還元搬送螺旋36の脱穀戻し用螺旋38または選別戻し用螺旋40の何れかに伝達し、脱穀戻し用螺旋38または選別戻し用螺旋40は夫々脱穀室21または風選室24に穀粒を戻し、脱穀戻し用螺旋38は二番コンベア31からの駆動回転を搬送螺旋34に伝達して二番物を脱穀室21内の幅方向に搬送しながら拡散させる。
請求項3記載の発明は、前記選別戻し用螺旋40および脱穀戻し用螺旋38の戻し用螺旋回転軸50は、前記上部取付部54に対して着脱自在に取付け、前記戻し用螺旋回転軸50の従動傘歯車51は前記二番コンベア31からの回転を伝達する伝達傘歯車48に上方から噛み合わせ、前記脱穀戻し用螺旋38および前記選別戻し用螺旋40は前記還元筒33から上方に抜ける構成としたことを特徴とするコンバインとしたものであり、還元搬送螺旋36の選別戻し用螺旋40および脱穀戻し用螺旋38は還元筒33の上方から挿入して、選別戻し用螺旋40または脱穀戻し用螺旋38の何れかの戻し用螺旋回転軸50の下部の従動傘歯車51を二番コンベア31からの回転を伝達する伝達傘歯車48に上方から噛み合わせ、戻し用螺旋回転軸50の上部を上部取付部54に軸装して還元搬送螺旋36を組付ける。
また、選別戻し用螺旋40または脱穀戻し用螺旋38の何れかの戻し用螺旋回転軸50の上部を上部取付部54から外し、または、選別戻し用螺旋40または脱穀戻し用螺旋38の何れかの戻し用螺旋回転軸50の上部から上部取付部54を外し、還元搬送螺旋36の選別戻し用螺旋40または脱穀戻し用螺旋38の何れかを還元筒33から引き抜き、別の選別戻し用螺旋40または脱穀戻し用螺旋38を還元筒33の上方から挿入して、切替え作業を行う。
請求項4記載の発明は、前記選別戻し部35は、還元筒33の軸心方向と同一軸心の略半筒形状に開口させ選別戻し口70を有する筒部72に風選室24へ案内する一対の案内板73を設けて構成し、前記選別戻し口70には、該選別戻し口70を閉塞する円弧部74と前記案内板73に取付ける取付板部75を有する閉塞部材71を着脱自在な構成としたことを特徴とするコンバインとしたものであり、選別戻し部35の筒部72の閉塞部材71を取付け、脱穀戻し用螺旋38を還元筒33に取付けて還元先を脱穀室21とし、選別戻し部35の筒部72の選別戻し口70から閉塞部材71を外し、選別戻し用螺旋40を還元筒33に取付けて還元先を風選室24とする。
請求項5記載の発明は、前記選別戻し部35の一対の案内板73のうち下側の案内板73は、下向き傾斜に形成したことを特徴とするコンバインとしたものであり、選別戻し用螺旋40により揚穀された穀粒は、選別戻し口70から排出され傾斜する案内板73により風選室24へ案内されて流入し、風選の再処理を受ける。
【発明の効果】
【0006】
請求項1記載の発明では、選択した選別戻し用螺旋40または脱穀戻し用螺旋38の戻し用螺旋回転軸50を、脱穀装置3の左側側板52の上部取付部54に軸装すればよいので、切替え作業を頗る容易にでき、また、上部取付部54は選別戻し用螺旋40と脱穀戻し用螺旋38の兼用構成にでき、部品点数を減少させてコストを低くすることができ、二番還元揚穀装置32の脱穀戻し用螺旋38により揚穀された穀粒は搬送螺旋34により二番物を脱穀室21内の幅方向に拡散搬送できるので、脱穀精度および脱穀効率を向上させることができる。
請求項2記載の発明では、上記効果に加えて、還元搬送螺旋36は、脱穀戻し用螺旋38と選別戻し用螺旋40の何れであっても、二番コンベア31からの回転を伝達でき、回転伝達機構を兼用することができ、部品点数を減少させてコストを低くすることができる。
請求項3記載の発明では、上記効果に加えて、還元搬送螺旋36は、選別戻し用螺旋40と脱穀戻し用螺旋38の何れであっても還元筒33の上方から挿入し、還元筒33から引き抜けるので、交換作業を頗る簡単にでき、切替え作業全般を容易にすることができる。
請求項4記載の発明では、上記効果に加えて、選別戻し部35の筒部72の選別戻し口70に閉塞部材71を取付けて還元先を脱穀室21とするので、切替え作業全般を容易にすることができる。
請求項5記載の発明では、上記効果に加えて、選別戻し用螺旋40により揚穀された穀粒は風選室24へ円滑・確実に流入させることができ、詰まり発生を防止することができ、また、詰まり発生を防止することで、穀粒の損傷も防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】コンバインの側面図。
【図2】刈取装置の側面図。
【図3】脱穀装置の概略断面図。
【図4】脱穀装置の側面図。
【図5】二番還元揚穀装置の背面図。
【図6】脱穀戻し用螺旋および選別戻し用螺旋の平面図。
【図7】二番還元揚穀装置の平面図。
【図8】二番還元揚穀装置の下部取付部の背面図。
【図9】同側面図。
【図10】同平面図。
【図11】二番還元揚穀装置の上部取付部の背面図。
【図12】同側面図。
【図13】同平面図。
【図14】二番還元揚穀装置の選別戻し部の断面図。
【図15】同側面図。
【図16】同正面図。
【図17】還元筒の分解図。
【図18】扱網の実施例の側面図。
【図19】同背面図。
【図20】扱網の他の実施例の側面図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の一実施例を図面により説明すると、1は刈り取った圃場の穀稈を投入して脱穀する所謂汎用コンバインの機体フレームであり、機体フレーム1の下方には走行装置2を設け、機体フレーム1の上方には脱穀装置3を設け、脱穀装置3の側方にグレンタンク4を設け、グレンタンク4の前方に操縦部5を設け、操縦部5および前記脱穀装置3の前方には刈取装置6を設けている。
刈取装置6は、左右側壁7と後述するオーガー8の下方に位置する底板11と左右の側壁7と底板11とを連結するように設けた後板12とにより構成したオーガーフレーム13に、リール14と、刈刃15と前記オーガー8を設けて構成し、オーガーフレーム13には搬送エレベーター16の先端を取付け、搬送エレベーター16の基部は脱穀装置3の脱穀室に接続する。前記オーガー8は前記操縦部5のすぐ前方に位置させ、前記搬送エレベーター16は前記操縦部5の側部に位置させる。
また、刈取装置6は、搬送エレベーター16と共に、搬送エレベーター16の基部を回動中心にして上下するように構成している。
搬送エレベーター16内には、前記脱穀装置3に穀稈および穀粒を搬送する搬送コンベア17を設ける。搬送エレベーター16の基部は脱穀装置3に接続する。
前記脱穀装置3の構成は任意であるが、一例を示すと、上部に扱胴20を軸装した脱穀室21を設けている。なお、理解を容易にするため、便宜的に方向を示して以下説明するが、これにより構成が限定されるものではない。
【0009】
扱胴20の周囲は扱網22により包囲している。扱網22の下方には唐箕23を設ける。前記脱穀室21の下方には前記唐箕23の送風により穀粒と異物とを風選し得る風選室24を形成し、風選室24内には、唐箕23の送風方向(前後方向)に往復揺動する揺動選別棚25により構成した揺動選別装置26を設ける。
27はシーブ、28は唐箕23の吸引開口部である。
揺動選別棚25の下方には一番コンベア30を設け、一番コンベア30の後側には二番コンベア31を設ける。
二番コンベア31には、二番物を還元する二番還元揚穀装置32を設ける。二番還元揚穀装置32は、二番還元揚穀装置32による還元先を、前記脱穀室21または前記揺動選別棚25の始端部(風選室24)との何れかに切替え可能に構成する。
二番還元揚穀装置32は、還元筒33の基部を前記二番コンベア31の終端に接続し(図5参照)、還元筒33の先端を前記脱穀室21の始端部上方に臨ませる。還元筒33の先端には左右方向の搬送螺旋34の始端部を接続し(図5参照)、搬送螺旋34は還元筒33からの還元物を搬送しながら脱穀室21内に拡散供給させる。
【0010】
搬送螺旋34が拡散搬送する構成は任意であるが、例えば、搬送螺旋34の下方に設けた受樋34Aの幅を先端に至るに従い狭くし、均等に落下するようにする(図5参照)。
還元筒33の中間部には前記揺動選別棚25への選別戻し部35を設け(図4参照)、還元筒33内には還元搬送螺旋36を設ける。還元搬送螺旋36は、前記搬送螺旋34まで還元物を揚穀搬送する脱穀戻し用螺旋翼37を有する脱穀戻し用螺旋38と、選別戻し用螺旋翼39を有する選別戻し用螺旋40とを選択して取付け(図6参照)、二番還元揚穀装置32による還元先を、前記脱穀室21または前記揺動選別棚25の何れかに切替える。
そのため、選別戻し用螺旋40では、脱穀戻し用螺旋38と回転伝達機構を共用しつつ、選別戻し部35から先の脱穀戻し用螺旋翼37を不要にするので、装置全体の軽量化が図れる。
【0011】
実施例では、稲麦の作業ときは脱穀戻し用螺旋38を取付け、大豆小豆等の場合には選別戻し用螺旋40を取付ける。
前記二番コンベア31の回転軸42の始端部には、図5のように、エンジンからの回転を入力する入力プーリ43を設け、回転軸42の終端には伝達用出力歯車44を設ける。伝達用出力歯車44には中間軸45の従動歯車46との間にチエン47を掛け回す。中間軸45には伝達傘歯車48を設け、伝達傘歯車48は脱穀戻し用螺旋38または選別戻し用螺旋40の戻し用螺旋回転軸50の基部の従動傘歯車51を噛み合わせる。
還元筒33の下部は脱穀装置3の左側側板52に設けた下部取付部53に取付け、還元筒33の上部は前記左側側板52に設けた上部取付部54に取付け、戻し用螺旋回転軸50の基部は下部取付部53に軸装し、戻し用螺旋回転軸50の先端は上部取付部54に軸装する。
【0012】
前記中間軸45と従動歯車46とチエン47と伝達傘歯車48と従動傘歯車51は下部取付部53内に設ける。
前記上部取付部54内の戻し用螺旋回転軸50には傘歯車55を設け(図7)、傘歯車55には中間軸56の傘歯車57を噛み合わせる。中間軸56には中間歯車58を設け、中間歯車58には搬送螺旋34の脱穀送り螺旋回転軸59の従動歯車60との間にチエン61を掛け回す。
したがって、脱穀戻し用螺旋38の戻し用螺旋回転軸50と選別戻し用螺旋40の戻し用螺旋回転軸50とを入れ替えるだけで、二番還元揚穀装置32の還元先の切替えを行える。
この場合、脱穀戻し用螺旋38の戻し用螺旋回転軸50と選別戻し用螺旋40の戻し用螺旋回転軸50とは同じ長さとし、脱穀戻し用螺旋38の戻し用螺旋回転軸50と選別戻し用螺旋40の戻し用螺旋回転軸50との先端は何れも上部取付部54に軸装する。
【0013】
また、脱穀戻し用螺旋38の脱穀戻し用螺旋翼37および選別戻し用螺旋40の選別戻し用螺旋翼39の夫々の先端には穀粒を跳ね飛ばす羽根体62を設けるが(図6)、脱穀戻し用螺旋38の先端より搬送方向下手側には、戻し用螺旋回転軸50と交差する穀粒戻し板63を設けている。
前記中間軸56と従動歯車60とチエン61は上部取付部54の上部チエンケース65内に設け、上部チエンケース65は上部取付部54の本体66に対して着脱自在に構成する。
そのため、上部チエンケース65を上部取付部54の本体66から外し、脱穀戻し用螺旋38または選別戻し用螺旋40の戻し用螺旋回転軸50の基部の従動傘歯車51から伝達傘歯車48を外すと、脱穀戻し用螺旋38または選別戻し用螺旋40は還元筒33から上方に抜くことができる。
したがって、この点でも、脱穀戻し用螺旋38または選別戻し用螺旋40の切替えは容易となり、しかも、脱穀戻し用螺旋38または選別戻し用螺旋40は還元筒33から上方に抜けるので、メンテナンス作業も容易となる。
【0014】
この場合、戻し用螺旋回転軸50の従動傘歯車51は前記二番コンベア31からの回転を伝達する伝達傘歯車48に上方から噛み合わせて、前記脱穀戻し用螺旋38および前記選別戻し用螺旋40は前記還元筒33からそのまま上方に抜ける構成とする。
67は下部チエンケースである(図5参照)。
前記選別戻し部35には、選別戻し口70を閉塞する閉塞部材71を設ける。
選別戻し部35は、還元筒33の中間部に着脱自在に設ける。選別戻し部35は還元筒33の軸心方向に連続する筒部72を有し、筒部72に選別戻し口70を開口させて筒部72を半筒形状に形成し、筒部72に揺動選別棚25へ案内する案内板73を設けて構成する。前記閉塞部材71は、選別戻し口70を閉塞する円弧部74と案内板73に取付ける取付板部75を有して形成し、取付板部75を案内板73に係合部材あるいは止着部材76により着脱自在に取付ける。
そのため、還元先を脱穀室21としたとき、選別戻し口70を閉塞部材71により閉塞し、還元物が直接揺動選別棚25に戻るのを防止する。
選別戻し部35の案内板73のうち下側の案内板73は、下向き傾斜に形成する。
【0015】
そのため、二番還元揚穀装置32による還元物の揺動選別棚25への還元を良好に行え、還元物の詰まり発生を防止する。
なお、選別戻し部35を還元筒33および左側側板52に対して着脱自在に設けているので、還元物の詰まり除去等のメンテナンス作業を容易にする。
しかして、二番還元揚穀装置32の還元筒33は、全長に亘って内側ケーシング78と外側ケーシング79とに分割形成すると共に、外側ケーシング79は内側ケーシング78に対してボルト77により着脱自在に取付ける。
そのため、還元筒33は、外側ケーシング79を外すと、残った内側ケーシング78により半割形状となって掃除口80を形成し、掃除口80から還元物の詰まり除去等のメンテナンス作業を容易にする。
しかして、図18は、脱穀室21を構成する扱胴20の周囲を包囲する扱網22に関するものであり、扱網22(濾過部材)は扱胴20の軸心方向に平行のローラー85を扱胴20の円周方向に所定間隔を置いて複数並設して構成する。ローラー85は所定部分を枠体86に回転自在に軸装する。各ローラー85の軸心方向の中間所定位置には仕切り案内体87を設ける。仕切り案内体87は板部材により形成し、下から上に至るに従い脱穀室21の終端側に位置するように、側面視で傾斜させ、扱胴20の軸心方向に所定間隔を置いて複数並設する。
【0016】
そのため、脱穀室21内の被処理物がローラー85に接触すると、接触抵抗でローラー85が回転し、被処理物とローラー85との接触抵抗よる塵埃発生を抑制し、更に、仕切り案内体87により脱穀室21の終端への送り作用により処理時間を短縮し、選別効率を向上させる。
大豆や小豆の作業では、ローラー85による塵埃発生の抑制と、仕切り案内体87による送り作用による処理時間の短縮により、大豆や小豆の被処理物の塵埃の汚染を抑制する。
また、米麦の作業では、ローラー85による接触抵抗の低下と、仕切り案内体87による送り作用による処理時間の短縮により、稈切れ発生を抑制し、選別精度や選別効率を向上させられる。
前記各仕切り案内体87は、傾斜角度調節自在に構成しても良い(図20)。
【0017】
即ち、脱穀室21内の被処理物への送り作用が低下すると、夾雑物等の揺動選別棚25への落下量が増加し、選別不良や選別ロスが発生するが、仕切り案内体87の傾斜を変更することにより送り作用をコントロールでき、最適な状態で脱穀・選別作業を行える。
前記各仕切り案内体87の傾斜角度を調節自在にする構成は、任意であるが、例えば、各仕切り案内体87の上部を枠体86に対して回動自在に軸88により取付け、各仕切り案内体87の下部に回動を停止させるストッパ89を設ければよい。
【0018】
(実施例の作用)
機体を走行させると、圃場の穀稈をリール14がオーガーフレーム13内に掻込み、刈刃15が穀稈を刈取り、刈り取った穀稈および穀粒はオーガー8により集められて搬送エレベーター16に供給され、搬送エレベーター16は穀稈および穀粒を脱穀装置3の脱穀室21に供給する。
脱穀装置3の脱穀室21内では回転する扱胴20により穀稈から穀粒を分離して脱粒させて脱穀し、穀粒は扱網22から下方の揺動選別棚25上に落下し、揺動選別棚25の揺動と唐箕23からの送風により選別され、穀粒が主体の一番物は揺動選別棚25の下方の一番コンベア30に落下し、グレンタンク4に一時貯留される。
一番コンベア30に落下しない揺動選別棚25上の被処理物は、一番コンベア30の後方の二番コンベア31に落下する。二番コンベア31に落下回収された二番物は、二番還元揚穀装置32により脱穀室21または揺動選別棚25に戻されて再処理される。
【0019】
この場合、二番還元揚穀装置32は、二番物の還元先を、脱穀室21または揺動選別棚25の何れかに切替え可能に構成しているので、対象作物の種類・対象作物の性状等の条件に応じて還元先を脱穀室21または揺動選別棚25の何れかに切替える。
例えば、稲麦の場合は、二番物は脱穀室21に還元し、再度脱穀処理から選別処理まで行って、穀粒に付着している枝梗等の除去を行い、脱穀・選別精度を向上させる。
また、大豆・小豆等の二番物は、揺動選別棚25に戻すことにより、扱胴20の回転による穀粒の損傷を回避させ、脱穀・選別によるロスの発生を抑制する。
二番還元揚穀装置32は、還元筒還元筒33の基部を二番コンベア31の終端に接続し、還元筒33の先端を脱穀室21の始端部上方に臨ませ、還元筒33の先端に左右方向の搬送螺旋34の始端部を接続しているので、二番還元揚穀装置32により脱穀室21に還元される二番物は還元筒33により揚穀され、還元筒33から搬送螺旋34に引き継がれ、搬送螺旋34は還元物を搬送しながら脱穀室21の幅方向に拡散させながら還元供給する。
【0020】
この場合、二番コンベア31の回転軸42の始端部にはエンジンからの回転を入力する入力プーリ43を設け、回転軸42の終端には伝達用出力歯車44を設けているので、回転軸42の回転は伝達用出力歯車44と従動歯車46とチエン47と伝達傘歯車48等を介して二番還元揚穀装置32の還元搬送螺旋36の戻し用螺旋回転軸50に回転伝達し、還元搬送螺旋36の回転を搬送螺旋34に伝達して駆動させる。
そのため、二番還元揚穀装置32(還元搬送螺旋36)および搬送螺旋34の伝動機構を簡素に構成できる。
また、二番還元揚穀装置32および回転伝達機構は脱穀装置3の左側側板52の外面側に設けているので、メンテナンス作業を容易にする。
二番還元揚穀装置32は、還元筒33の中間部に揺動選別棚25への選別戻し部35を設け、還元筒33内には還元搬送螺旋36を設け、還元搬送螺旋36は搬送螺旋34まで還元物を揚穀搬送する脱穀戻し用螺旋翼37を有する脱穀戻し用螺旋38と、選別戻し用螺旋翼39を有する選別戻し用螺旋40とを選択して取付ける構成とし、二番還元揚穀装置32による還元先を、脱穀戻し用螺旋38と選別戻し用螺旋40とを入れ替えることで、脱穀室21または揺動選別棚25の何れかに切替える。
【0021】
そのため、選別戻し用螺旋40では、脱穀戻し用螺旋38の回転伝達機構を共用しつつ、選別戻し部35から先の脱穀戻し用螺旋翼37を不要にするので、装置全体の軽量化が図れる。
実施例では、稲麦の作業ときは脱穀戻し用螺旋38を取付け、大豆小豆等の場合には選別戻し用螺旋40を取付ける。
二番還元揚穀装置32の還元搬送螺旋36は、二番コンベア31の回転を還元搬送螺旋36に伝達する伝達傘歯車48に、還元搬送螺旋36の戻し用螺旋回転軸50の従動傘歯車51を上方から噛み合わせ、還元搬送螺旋36の戻し用螺旋回転軸50の先端は脱穀装置3の左側側板52に設けた上部取付部54に軸装し、上部取付部54内の戻し用螺旋回転軸50に搬送螺旋34に回転伝達する傘歯車55等を設けて構成しているので、二番還元揚穀装置32は、還元搬送螺旋36の脱穀戻し用螺旋38の戻し用螺旋回転軸50と選別戻し用螺旋40の戻し用螺旋回転軸50とを入れ替えるだけで、二番還元揚穀装置32の還元先の切替えを行える。
【0022】
この場合、戻し用螺旋回転軸50の傘歯車55に噛み合っている傘歯車57は、中間軸56に取付けられ、中間軸56は従動歯車60とチエン61と共に上部チエンケース65内に設けられ、上部チエンケース65は上部取付部54の本体66に対して着脱自在に構成しているので、上部チエンケース65を外して、戻し用螺旋回転軸50の傘歯車55に噛み合っている傘歯車57を外す。
次に、二番コンベア31の回転を還元搬送螺旋36に伝達する伝達傘歯車48には、還元搬送螺旋36の戻し用螺旋回転軸50の従動傘歯車51を上方から噛み合わせているので、上部チエンケース65を上部取付部54から外すと、脱穀戻し用螺旋38または選別戻し用螺旋40は還元筒33から上方に抜くことができる。
したがって、この点でも、脱穀戻し用螺旋38または選別戻し用螺旋40の切替えは容易となり、しかも、脱穀戻し用螺旋38または選別戻し用螺旋40は還元筒33から上方に抜けるので、メンテナンス作業も容易となる。
【0023】
二番還元揚穀装置32の還元筒33に設けた選別戻し部35には選別戻し口70を形成し、選別戻し口70には選別戻し口70を開閉する閉塞部材71を着脱自在に設けているので、還元搬送螺旋36の脱穀戻し用螺旋38を装着して、還元先を脱穀室21とする場合は閉塞部材71により選別戻し口70を閉塞する。
そのため、二番物が直接揺動選別棚25に還元されるのを防止し、脱穀・選別精度を低下させない。
また、二番還元揚穀装置32の還元搬送螺旋36を選別戻し用螺旋40に交換し、選別戻し部35の選別戻し口70から閉塞部材71を外して開口させると、二番物は選別戻し口70から揺動選別棚25上に直接供給され、脱穀の再処理を受けずに選別される。
選別戻し部35は、還元筒33の中間部に着脱自在に設け、選別戻し部35は還元筒33の軸心方向に連続する筒部72を有し、筒部72に選別戻し口70を開口させて筒部72を半筒形状に形成し、筒部72に揺動選別棚25へ案内する案内板73を設けて構成し、閉塞部材71は、選別戻し口70を閉塞する円弧部74と案内板73に取付ける取付板部75を有して形成しているので、取付板部75を案内板73に係合部材あるいは止着部材76により着脱自在に取付ける。
【0024】
そのため、選別戻し口70の開閉作業を頗る容易にする。
選別戻し部35の案内板73のうち下側の案内板73は、下向き傾斜に形成しているので、二番還元揚穀装置32による還元物の揺動選別棚25への還元を良好に行え、還元物の詰まり発生を防止する。
二番還元揚穀装置32の還元筒33は、全長に亘って内側ケーシング78と外側ケーシング79とに分割形成すると共に、外側ケーシング79は内側ケーシング78に対して着脱自在に取付けているので、還元筒33は、外側ケーシング79を外すと、残った内側ケーシング78により半割形状となって掃除口80を形成し、掃除口80から還元物の詰まり除去等のメンテナンス作業を容易にする。
なお、前記した各実施例は、理解を容易にするために、個別または混在させて図示、あるいは説明しているが、これらは夫々種々組合せ可能であり、これらの表現によって、構成・作用等が限定されるものではなく、また、相乗効果を奏する場合も勿論存在する。
【符号の説明】
【0025】
1……機体フレーム、2…走行装置、3…脱穀装置、4…グレンタンク、5…操縦部、6…刈取装置、7…左右側壁、8…オーガー、11…底板、12…後板、13…オーガーフレーム、14…リール、15…刈刃、16…搬送エレベーター、17…搬送コンベア、20…扱胴、21…脱穀室、23…唐箕、24…風選室、25…揺動選別棚、26…揺動選別装置、30…一番コンベア、31…二番コンベア、32…二番還元揚穀装置、33…還元筒、34…搬送螺旋、35…選別戻し部、36…還元搬送螺旋、37…脱穀戻し用螺旋翼、38…脱穀戻し用螺旋、39…選別戻し用螺旋翼、40…選別戻し用螺旋、42…回転軸、43…入力プーリ、44…伝達用出力歯車、45…中間軸、46…従動歯車、47…チエン、48…伝達傘歯車、50…戻し用螺旋回転軸、51…従動傘歯車、52…左側側板、53…下部取付部、54…上部取付部、55…傘歯車、56…中間軸、57…傘歯車、58…中間歯車、59…脱穀送り螺旋回転軸、60…従動歯車、61…チエン、65…上部チエンケース、70…選別戻し口、71…閉塞部材、72…筒部、73…案内板、74…円弧部、75…取付板部、76…止着部材、79…外側ケーシング、85…ローラー、86…枠体、87…仕切り案内体。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行装置(2)の前方に、リール(14)と刈刃(15)とオーガー(8)を取付けたオーガーフレーム(13)を有する刈取装置(6)を設け、前記刈取装置(6)で刈り取った穀稈を前記走行装置(2)の上方に設けた脱穀装置(3)に搬送する搬送エレベーター(16)を設け、前記脱穀装置(3)は、扱胴(20)の外周に扱網(22)を配置して形成した脱穀室(21)の下方に、選別風を送風する唐箕(23)と送風方向に往復揺動する揺動選別装置(26)により穀粒を選別する風選室(24)を設け、前記揺動選別棚(25)の下方には一番コンベア(30)を設け、該一番コンベア(30)の所定間隔を置いた後側には二番コンベア(31)を設け、二番コンベア(31)の終端には、二番コンベア(31)に落下回収された二番物を、所定箇所に還元搬送する二番還元揚穀装置(32)を設け、該二番還元揚穀装置(32)は、前記二番コンベア(31)の終端に接続した還元筒(33)の先端を脱穀室(21)の始端部上方に臨ませ、該還元筒(33)の先端に二番物を脱穀室(21)の幅方向に拡散搬送する左右方向の搬送螺旋(34)の始端部を臨ませ、前記還元筒(33)内に設ける還元搬送螺旋(36)は、選別戻し用螺旋翼(39)を有する選別戻し用螺旋(40)と、脱穀戻し用螺旋翼(37)を有する脱穀戻し用螺旋(38)とを選択的に交換使用する構成とし、選別戻し用螺旋(40)は、前記還元筒(33)の中間部分に形成した前記風選室(24)に還元しうる選別戻し口(70)を有する選別戻し部(35)に搬送する構成とし、前記脱穀戻し用螺旋(38)は前記搬送螺旋(34)まで還元物を揚穀搬送する構成とし、前記選別戻し用螺旋(40)および脱穀戻し用螺旋(38)の戻し用螺旋回転軸(50)は前記脱穀装置(3)の左側側板(52)に設けた上部取付部(54)に共に軸装可能な構成とし、前記選別戻し用螺旋(40)と脱穀戻し用螺旋(38)とを選択することにより二番還元揚穀装置(32)の還元先を前記脱穀室(21)または前記揺動選別棚(25)の何れかに切替える構成としたことを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
請求項1において、前記二番還元揚穀装置(32)の還元搬送螺旋(36)は、該還元搬送螺旋(36)の始端部に前記二番コンベア(31)に伝達されたエンジンからの回転を伝達し、還元搬送螺旋(36)の回転を前記脱穀室搬送螺旋(34)に伝達する構成とし、前記還元搬送螺旋(36)の選別戻し用螺旋(40)の戻し用螺旋回転軸(50)は、前記脱穀戻し用螺旋(38)の戻し用螺旋回転軸(50)を軸装する上部取付部(54)に軸装する構成としたことを特徴とするコンバイン。
【請求項3】
請求項2において、前記選別戻し用螺旋(40)および脱穀戻し用螺旋(38)の戻し用螺旋回転軸(50)は、前記上部取付部(54)に対して着脱自在に取付け、前記戻し用螺旋回転軸(50)の従動傘歯車(51)は前記二番コンベア(31)からの回転を伝達する伝達傘歯車(48)に上方から噛み合わせ、前記脱穀戻し用螺旋(38)および前記選別戻し用螺旋(40)は前記還元筒(33)から上方に抜ける構成としたことを特徴とするコンバイン。
【請求項4】
請求項1または請求項2または請求項3において、前記選別戻し部(35)は、還元筒(33)の軸心方向と同一軸心の略半筒形状に開口させ選別戻し口(70)を有する筒部(72)に風選室(24)へ案内する一対の案内板(73)を設けて構成し、前記選別戻し口(70)には、該選別戻し口(70)を閉塞する円弧部(74)と前記案内板(73)に取付ける取付板部(75)を有する閉塞部材(71)を着脱自在な構成としたことを特徴とするコンバイン。
【請求項5】
請求項4において、前記選別戻し部(35)の一対の案内板(73)のうち下側の案内板(73)は、下向き傾斜に形成したことを特徴とするコンバイン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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