説明

コンバイン

【課題】
コンバインにおいて、刈取無段変速装置の変速検出用の刈取トラニオン軸検出センサの異常を判定し、異常時には刈取無段変速装置の駆動を減速し停止し、刈取作業の安全を確保すると共に、刈取穀稈の滞留や詰まりを防止する。
【解決手段】
刈取無段変速装置(19)のトラニオン軸の変速状態を検出する刈取トラニオン軸検出センサ(SE1)と、刈取無段変速装置(19)を変速制御するコントローラ(35)と、コントローラ(35)における刈取無段変速装置(19)の刈取自動変速の入切を指定する刈取自動変速入切スイッチSW1とを備えたコンバインにおいて、刈取変速手段を変速操作したときに刈取トラニオン軸検出センサ(SE1)が変速検出をしない場合には、刈取トラニオン軸検出センサ(SE1)を異常と判定し、異常判定時には刈取無段変速装置(19)を減速し所定時間後に停止させる機能を前記コントローラ(35)に持たせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、コンバインにおける刈取無段変速装置の異常処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
走行無段変速装置と刈取無段変速装置を備え、刈取部と脱穀部とを走行装置の走行速度に連動して走行無段変速装置で変速回転駆動すると共に、刈取操作手段で走行車速に対する刈取部と脱穀部との回転数を増速又は減速制御するコンバインは、公知である(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−121099号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
走行装置変速用の走行無段変速装置と刈取搬送部変速用の刈取無段変速装置を備えたコンバインにおいて、刈取無段変速装置の変速検出用の刈取トラニオン軸検出センサの異常を判定すると共に、異常時には刈取無段変速装置の駆動を減速し停止して、刈取作業の安全を確保すると共に、刈取穀稈の滞留や詰まりを防止しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は、このような課題を解決するために、次の技術的手段を講じた。
【0006】
請求項1の発明は、走行装置(2)変速用の走行無段変速装置(15)と、該走行無段変速装置(15)を手動変速する主変速レバー(17)と、刈取搬送部(8)変速用の刈取無段変速装置(19)と、該刈取無段変速装置(19)を前記走行無段変速装置(15)に関連なく変速できる刈取変速手段と、前記刈取無段変速装置(19)のトラニオン軸の変速状態を検出する刈取トラニオン軸検出センサ(SE1)と、前記刈取無段変速装置(19)を変速制御するコントローラ(35)と、前記コントローラ(35)における刈取無段変速装置(19)の刈取自動変速の入切を指定する刈取自動変速入切スイッチSW1とを備え、前記刈取変速手段を変速操作したときに前記刈取トラニオン軸検出センサ(SE1)が変速検出をしない場合には、前記刈取トラニオン軸検出センサ(SE1)を異常と判定し、異常判定時には前記刈取無段変速装置(19)を減速し所定時間後に停止させる機能を前記コントローラ(35)に持たせたことを特徴とするコンバインとする。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記刈取トラニオン軸検出センサ(SE1)の異常判定時には、前記刈取無段変速装置(19)を段階的に複数段にわたって順次減速し所定時間後に停止する機能を前記コントローラ(35)に持たせたことを特徴とするコンバインとする。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2の発明において、前記走行無段変速装置(15)を変速制御する走行コントローラ(36)を設け、前記刈取トラニオン軸検出センサ(SE1)の異常判定時には、前記走行無段変速装置(19)の駆動を減速して停止させる機能を前記コントローラ(35)及び走行コントローラ(36)に持たせたことを特徴とするコンバインとする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の発明によると、刈取無段変速装置(19)の変速状態を検出する刈取トラニオン軸検出センサ(SE1)が異常になると、刈取無段変速装置(19)の駆動を減速し停止するので、安全であり、刈取搬送部(8)の穀稈の滞留や詰まりを防止することができる。
【0010】
請求項2の発明によると、請求項1の発明の前記効果に加えて、刈取搬送部(8)の急停止を防止し、穀稈の滞留や詰まりを確実に防止することができる。
【0011】
請求項3の発明によると、請求項1又は請求項2の発明の前記効果に加えて、刈取トラニオン軸検出センサ(SE1)が異常になると、刈取無段変速装置(19)に合わせて走行無段変速装置(15)の走行を停止するので、安全である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】コンバインの側面図である。
【図2】コンバインの平面図である。
【図3】コンバインの伝動展開図である。
【図4】制御ブロック図である。
【図5】制御フローチャートである。
【図6】制御フローチャートである。
【図7】制御フローチャートである。
【図8】制御フローチャートである。
【図9】制御フローチャートである。
【図10】制御フローチャートである。
【図11】制御フローチャートである。
【図12】接地センサの正面図、底面図、平面図である。
【図13】接地センサの検出電圧値を示す図である。
【図14】制御フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面に示すこの発明の実施例について説明する。
【0014】
まず、本発明を備えたコンバインの全体構成について説明する。図1及び図2に示すように、コンバイン1の走行車体2の下方には、左右一対のクローラ走行装置3,3を配設し、走行車体2上には、右側前部に操縦部4を、操縦部4の後方にグレンタンク6を、左側前部に脱穀部5を、脱穀部5及びグレンタンク6の後方に排稾処理装置7をそれぞれ配設している。操縦部4及び脱穀部5の前方には、植立穀稈を分草引起しながら刈り取り後方の脱穀部5に向けて搬送する刈取搬送部8を昇降自在に設けている。
【0015】
次に、図3に基づきコンバインの伝動構成について説明する。
【0016】
エンジンEの出力軸11の左右一側から排出伝動装置12を経由して穀粒排出装置13を駆動し、グレンタンク6の穀粒を排出するようにしている。また、左右他側の出力軸11から走行ベルト伝動装置14を経て静油圧式の走行無段変速装置15に動力を伝達し、走行無段変速装置15を主変速レバー17(図1に示す)で手動変速した走行動力をミッションケース16内の走行伝動装置を経由して左右クローラ走行装置3,3に伝達している。
【0017】
また、出力軸11の左右他側から刈取・脱穀動力を取り出し、刈取・脱穀伝動装置18を経由して刈取搬送部8駆動用の静油圧式の刈取無段変速装置19へ伝達している。しかして、刈取無段変速装置19で変速された刈取動力が刈取伝動ケース8aの刈取出力軸8b、刈取動力伝動装置8cを経て刈取搬送部8の刈取入力軸20へ伝達され、刈取無段変速装置19で変速された動力により刈取搬送部8の穀稈引起し装置、刈刃装置、穀稈搬送装置等が駆動される。また、刈取伝動ケース8aのフィードチエン出力軸8dを経て脱穀部5のフィードチエン21に動力が伝達される構成である。
【0018】
また、刈取・脱穀伝動装置18の中途部から脱穀動力を脱穀伝動装置22に分岐し、脱穀伝動装置22から処理胴伝動装置22aを経由して二番処理胴24及び排塵処理胴25に動力を伝達している。また、脱穀伝動装置22の中途部から扱胴伝動装置22bを経由して扱胴26に動力を伝達し、脱穀伝動装置22の終端側部から排藁伝動装置22cを経由して排稾搬送装置23に動力を伝達している。
【0019】
また、刈取・脱穀伝動装置18の終端側から唐箕伝動装置22dを経由して唐箕27に動力を伝達している。また、刈取・脱穀伝動装置18の終端側から脱穀後部伝動装置22eを経由して一番揚穀装置28、第2唐箕29、二番揚穀装置30、排塵ファン31及び揺動選別棚32に動力を伝達している。また、脱穀後部伝動装置22eの終端側から排藁処理伝動装置22fを分岐し、排稾処理装置7へ動力を伝達している。
【0020】
次に、走行無段変速装置15と刈取無段変速装置19の変速制御構成について説明する。
【0021】
コントローラ35の入力側には、刈取無段変速装置19のトラニオン軸の変速状態を検出する刈取トラニオン軸検出センサSE1と、刈取搬送部8の回転数を検出する刈取回転数検出センサSE2と、刈取・脱穀クラッチの入切を検出する刈取・脱穀クラッチセンサSE3と、車速センサSE4と、刈取搬送部8の刈取自動変速の入切を指定する刈取自動変速入切スイッチSW1を、接続している。
【0022】
コントローラ35の出力側には、駆動回路を経由して刈取無段変速装置19変速用の刈取変速レバー(あるいは刈取変速モータ)を増速調節する刈取増速リレー38と、減速調節する刈取減速リレー39と、刈取・脱穀クラッチを入切する刈取・脱穀駆動リレー40を、接続している。また、コントローラ35の出力側には、同期通信手段を経由してモニタ表示装置41を接続している。また、HCAN通信手段を経由して走行無段変速装置15制御用の走行コントローラ36を接続し、車速制限指示等を送信するようにしている。
【0023】
次に、コントローラ35及び走行コントローラ36の変速制御内容について説明する。
【0024】
刈取自動変速入切スイッチSW1を切り指定にした際には、主変速レバー17の操作位置に応じた駆動速度になるように走行無段変速装置15が変速され、この走行変速に応じて刈取無段変速装置18が所定比率に変速され、刈取搬送部8及び脱穀部5のフィードチエン21を所定回転数で駆動する。
【0025】
また、刈取自動変速入切スイッチSW1を入り指定にした際には、主変速レバー17の操作位置に応じて走行無段変速装置15が変速され、また、刈取増速リレー38、刈取減速リレー39を作動して刈取変速手段を作動すると、刈取無段変速装置19を増速あるいは減速し、クローラ走行装置3,3の走行速度と無関係に、刈取搬送部8及びフィードチエン21の回転速度を増減調節することができる。
【0026】
また、刈取自動変速入切スイッチSW1を入り指定にした際の刈取無段変速装置18の変速制御に際しては、主変速レバー17の操作位置に応じて走行無段変速装置15を変速し、この走行変速に応じて刈取無段変速装置19を変速設定し、所定時間後に刈取トラニオン軸検出センサSE1の検出値が設定値より低いときには、走行無段変速装置15を刈取速度に対応するように減速変速し、また、検出値が設定値より高いときには、走行無段変速装置15の刈取速度に応じた減速変速を停止するようにしている。
【0027】
このように構成によると、刈取自動変速入切スイッチSW1を入り指定にした際には、刈取搬送部8の刈取駆動速度が低いときには、走行無段変速装置15を減速変速するので、停止から走行を開始した低速走行中の刈取開始時においても、走行速度を適正化し、刈取搬送部8の駆動遅れによる刈取穀稈の踏み倒しによる穀稈の姿勢不良を回避できる。また、刈取搬送部8の穀稈搬送量の増大時において、刈取搬送部8の駆動効率不良による駆動速度低下時には、刈取駆動速度に対応するように車速を遅くすることができ、刈取負荷に応じた車速を自動的に設定し、穀稈の詰りによる機械の破損を防止し、耐久性及び刈取作業精度の向上を図ることができる。
【0028】
次に、図5に基づき刈取無段変速装置15の変速検出用の刈取トラニオン軸検出センサSE1の異常検出、及び、異常発生時の制御について説明する。
【0029】
コントローラ35から刈取増速リレー38あるいは刈取減速リレー39に増減速指令を出力しても、刈取トラニオン軸検出センサSE1の検出値が変化しない場合には、刈取トラニオン軸検出センサSE1の異常と判定する。そして、異常の判定をすると、刈取減速リレー39に刈取減速出力を所定時間にわたり出力し、所定時間が経過すると、刈取減速出力を停止し、刈取無段変速装置19を停止するようにしている。なお、図5はその制御フローを示すものである。
【0030】
前記構成によると、刈取トラニオン軸検出センサSE1の異常を発見すると、刈取無段変速装置19の駆動を停止するので、安全である。
【0031】
次に、図6に基づき他の実施例について説明する。
【0032】
コントローラ35から刈取増速リレー38あるいは刈取減速リレー39に増減速指令出力をしても、刈取トラニオン軸検出センサSE1の検出値が変化しない場合には、刈取トラニオン軸検出センサSE1の異常と判定する。次いで、刈取・脱穀クラッチが入りか否かを判定し、刈取・脱穀クラッチが入りであると、モニタ表示装置41に「刈取トラニオン軸検出センサSE1が異常である」旨の異常表示をし、刈取減速リレー39に刈取減速出力を所定時間にわたり出力し、所定時間が経過すると、刈取減速出力を全停止し、刈取無段変速装置19の駆動を停止する。また、刈取・脱穀クラッチが切りであると、モニタ表示装置41の異常表示を停止し、刈取増速リレー38、刈取減速リレー39の出力を許可する。
【0033】
なお、図6はその制御フローを示すものである。
【0034】
前記構成によると、刈取トラニオン軸検出センサSE1の異常を発見すると、刈取無段変速装置19の駆動を減速しながら停止するので安全であり、また、モニタ表示装置41に異常表示をするので、オペレータは異常内容を認識することができメンテナンス作業が容易になる。
【0035】
次に、図7に基づき他の実施例について説明する。
【0036】
コントローラ35から刈取増速リレー38あるいは刈取減速リレー39に増減速指令出力をし、刈取トラニオン軸検出センサSE1の検出値の変化の有無により異常か否かを判定する(ステップS1)。刈取トラニオン軸検出センサSE1の検出値が変化しない場合には、刈取トラニオン軸検出センサSE1の異常と判定し、モニタ表示装置41に異常表示をし、刈取減速リレー39に減速出力を所定時間にわたり出力し、所定時間が経過すると、刈取減速出力を全停止する(ステップS1)。
【0037】
次いで、刈取・脱穀クラッチが入りか否かを判定し(ステップS3)、刈取・脱穀クラッチが入りであると、前記ステップS1に戻り、刈取・脱穀クラッチが切りであると、モニタ表示装置41の異常表示を一旦解除する。刈取トラニオン軸検出センサSE1が異常でない場合には(ステップS1)、異常出力用タイマをセットし(ステップS2)、前記ステップS1に戻る。
【0038】
前記構成によると、刈取トラニオン軸検出センサSE1の異常のを発見すると、刈取無段変速装置19の駆動を減速して停止するので、安全であり、また、モニタ表示装置41に刈取トラニオン軸検出センサSE1が異常である旨の異常表示をするので、オペレータは異常の内容を認識することができ、メンテナンスが容易になる。また、刈取トラニオン軸検出センサSE1や刈取無段変速装置19の刈取変速モータの交換により、異常が直ると、モニタ表示装置41の異常表示が解除されていて、迅速に作業を再開することができる。
【0039】
なお、前記制御において、刈取トラニオン軸検出センサSE1の異常発生時における刈取減速リレー39の減速出力をパルス出力とし、ゆっくり段階的に減速するようにしている。図8はその制御フローを示すものである。このように構成すると、刈取無段変速装置19が高速状態で急停止することがなく、刈取搬送部8や脱穀部5のフィードチエン21での穀稈の詰まりを防止し、作業の再開を円滑にすることができる。
【0040】
次に、図9に基づき他の実施例について説明する。
【0041】
刈取トラニオン軸検出センサSE1の異常発生時には、刈取減速リレー39の減速出力をパルス出力とし、ゆっくり段階的に減速して刈取無段変速装置15を停止し、走行無段変速装置15もあわせてしゆっくり減速パルス出力をし、所定時間後に停止するようにしている。なお、図9はその制御フローである。
【0042】
次に、図10に基づき他の実施例について説明する。
【0043】
コントローラ35から刈取増速リレー38あるいは刈取減速リレー39に増減速指令出力をし、刈取トラニオン軸検出センサSE1の検出値の変化の有無により異常か否かを判定する(ステップS11)。刈取トラニオン軸検出センサSE1の検出値が変化する正常な場合には、異常出力用タイマをセットする(ステップS12)。
【0044】
また、刈取トラニオン軸検出センサSE1の検出値が変化しない場合には、刈取トラニオン軸検出センサSE1を異常と判定し(ステップS11)、モニタ表示装置41に刈取トラニオン軸検出センサSE1が異常である旨の異常表示をする。そして、刈取減速リレー39に刈取減速出力を所定時間にわたり出力し、所定時間が経過すると、刈取減速出力を全停止し、刈取無段変速装置19の駆動を停止する。合わせて、走行無段変速装置15に走行減速出力をし、所定時間後に停止させ、モニタ表示装置41に刈取無段変速装置19及び走行無段変速装置15が駆動停止である旨の異常表示をする。
【0045】
次いで、刈取・脱穀クラッチが入りか否かを判定し(ステップS13)、刈取・脱穀クラッチが入りであると、前記ステップS1に戻る。また、刈取・脱穀クラッチが切りであると、モニタ表示装置41の前記異常表示を一旦解除し、走行無段変速装置15の前記駆動停止命令を解除する。
【0046】
前記構成によると、刈取トラニオン軸検出センサSE1の異常を発見すると、刈取無段変速装置19及び走行無段変速装置15の駆動を停止するので安全である。また、モニタ表示装置41に異常表示をするので、オペレータは異常内容を知ることがで、メンテナンス作業が容易となる。また、刈取トラニオン軸検出センサSE1や刈取無段変速装置19の刈取変速モータの交換により異常が直ると、モニタ表示装置41の異常表示が解除されていて、迅速に刈取作業を再開することができる。また、刈取・脱穀クラッチが切り状態では、コンバインを走行させることができ便利である。
【0047】
次に、図11に基づき他の実施例について説明する。
【0048】
コントローラ35から刈取増速リレー38あるいは刈取減速リレー39に増減速指令出力をし、刈取トラニオン軸検出センサSE1の検出値の変化の有無により異常か否かを判定する(ステップS21)。刈取トラニオン軸検出センサSE1の検出値が変化する正常な場合には、刈取無段変速装置15の刈取最高回転数を予め設定し記憶している通常最高回転数にセットし、通常最高回転数に基づき変速制御する(ステップS22)。
【0049】
また、刈取トラニオン軸検出センサSE1が異常の場合には、車速の最高回転速度を異常時の低い異常時最高回転数に設定し、コントローラ35から走行無段変速コントローラ36に制御指令を送信し、走行無段変速装置15の最高回転速度を規制しながら変速制御する(ステップS23)。
【0050】
次いで、刈取無段変速装置15の刈取最高回転数を予め設定している低い異常時最高回転数にセットし、異常時最高回転数に基づき変速制御する(ステップS24)。
【0051】
前記構成によると、刈取トラニオン軸検出センサSE1の異常の場合には、走行無段変速装置15及び刈取無段変速装置19の最高回転数を所定の低い異常時回転数に規制し、作動部の破損を防止しながら刈取脱穀作業を継続することができる。
【0052】
次に、図12及び図13に基づき刈取搬送部8の分草杆の底部に設けた接地センサ46について説明する。
【0053】
コンバインには自動刈取部上昇制御機能を備えている。この制御は、コントローラ35の制御指令により、刈取穀稈センサが刈取搬送部8の前方の刈取穀稈の無し検出をすると、刈取搬送部8を自動的に一定量上昇させ、また、刈取搬送部8が下降状態で後進すると、刈取搬送部8を自動的に一定量上昇させるように制御するものである。そして、接地センサ46は、刈取搬送部8の分草杆下部の圃場面への接地を検出するものである。
【0054】
刈取搬送部8の分草杆の底部には接地センサ46を設けている。この接地センサ46は地面との接触で発生する歪み信号に含まれる高周波成分を除去した検出値を接地検出値とするようにしている。
【0055】
図12に示すように、接地センサ46は、センサボックス46aと、センサボックス46aの左右両側に進行方向に沿うように取り付けられていて、且つ、センサボックス46aの底部を所定間隔圃場面から浮上させる接地ガイド板46b,46bと、センサボックス46aの底部のセンサプレート46cに取り付けた圧電セラミックス46dと、により構成している。
【0056】
圧電セラミックス46dの検出電圧値は、図13に示すように、平坦な圃場面に接地した比較的長い正常な接地検出電圧値46eと、圃場の小石などの異物との衝突による短い歪み接地高周波成分電圧検出値46fとを検出する。しかして、正常な接地検出判定に際し、その接地高周波成分電圧検出値46fを除去した接地検出電圧値46eにより接地検出を判定し、安定した接地検出ができるようにしている。
【0057】
また、刈取搬送部8に前記接地センサ46を備えたコンバインで刈取搬送部8の刈高さ制御をするにあたり、接地センサ46が正常な接地検出電圧値46eを検出したときには、刈取搬送部8を低速度で上昇制御し、小石などの異物と衝突して短い歪み接地高周波成分の電圧検出値46fを検出したときには、刈取搬送部8を高速で上昇制御するようにし、刈取搬送部8のあげ速度を変更するようにしている。
【0058】
次に、図14に基づきコンバインの排出オーガ51の制御出力構成について説明する。
【0059】
コンバインの排出オーガ51(図1、図2に示す)の制御出力構成において、リモコン送信機から送られてくる電波を受信するリモコン受信機を設け、リモコン受信機からコントローラ35に送信し、予め設定した時間内の電波の途切れを無効とする機能をリモコン受信機(あるいはコントローラ35)に持たせている。なお、リモコン受信機と接続されているECUを設ける場合に、ECU側に同じ機能を持たせるようにしてもよい。
【0060】
本制御が開始すると、リモコン送信機の操作スイッチの操作信号をリモコン受信機が受信したか否かを判定をし(ステップS31)、Yesであると、コントローラ35から当該操作受信信号のON出力をする(ステップS32)。次いで、所定幅の受信電波途切れが発生したか否かを判定し(ステップS33)、Noであると、前記ステップS31に戻り、Yesであると、予め設定している途切れ判定タイマをセットし、計時を開始する(ステップS34)。次いで、途切れ判定タイマがアップしたか否かを判定し(ステップS35)、Yesであると、電波途切れが発生したか否かを判定する(ステップS36)。Noであると、前記ステップS31に戻り、Yesであると、前記操作受信信号のON出力をOFFにする(ステップS37)。
【0061】
無線による通信環境は使用空間の電波状態、周辺の構造物のレイアウト、リモコン送信機とリモコン受信機との相対的な位置関係によって変化するため、瞬間的な電波途切れが発生する。しかし、前記構成によると、予め設定した時間内の瞬間的な電波途切れを無効とするので、排出オーガ51の作動制御を円滑に行なうことができる。
【符号の説明】
【0062】
2 走行装置
5 脱穀部
8 刈取搬送部
15 走行無段変速装置
17 主変速レバー
19 刈取無段変速装置
35 コントローラ
36 走行コントローラ
SW1 刈取自動変速入切スイッチ
SE1 刈取トラニオン軸検出センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行装置(2)変速用の走行無段変速装置(15)と、該走行無段変速装置(15)を手動変速する主変速レバー(17)と、刈取搬送部(8)変速用の刈取無段変速装置(19)と、該刈取無段変速装置(19)を前記走行無段変速装置(15)に関連なく変速できる刈取変速手段と、前記刈取無段変速装置(19)のトラニオン軸の変速状態を検出する刈取トラニオン軸検出センサ(SE1)と、前記刈取無段変速装置(19)を変速制御するコントローラ(35)と、前記コントローラ(35)における刈取無段変速装置(19)の刈取自動変速の入切を指定する刈取自動変速入切スイッチSW1とを備え、前記刈取変速手段を変速操作したときに前記刈取トラニオン軸検出センサ(SE1)が変速検出をしない場合には、前記刈取トラニオン軸検出センサ(SE1)を異常と判定し、異常判定時には前記刈取無段変速装置(19)を減速し所定時間後に停止させる機能を前記コントローラ(35)に持たせたことを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
請求項1の発明において、前記刈取トラニオン軸検出センサ(SE1)の異常判定時には、前記刈取無段変速装置(19)を段階的に複数段にわたって順次減速し所定時間後に停止する機能を前記コントローラ(35)に持たせたことを特徴とするコンバイン。
【請求項3】
請求項1又は請求項2の発明において、前記走行無段変速装置(15)を変速制御する走行コントローラ(36)を設け、前記刈取トラニオン軸検出センサ(SE1)の異常判定時には、前記走行無段変速装置(19)の駆動を減速して停止させる機能を前記コントローラ(35)及び走行コントローラ(36)に持たせたことを特徴とするコンバイン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−193738(P2011−193738A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−61020(P2010−61020)
【出願日】平成22年3月17日(2010.3.17)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】