説明

コンバイン

【課題】脱穀効率を低下させずに刈取条数を増加させたコンバインを提供する。
【解決手段】上記課題は、左右の分草具(14L,14R)の左右方向間隔を変更自在に構成し、該左右の分草具(14L,14R)の間隔を広げた場合に設定速度を超える車速の増速を規制する最高車速規制手段(50,52,100)を備え、前記設定速度を変更可能な最高車速設定手段(109)を設け、左右の分草具(14L,14R)の間隔部を経て導入される単位時間あたりの穀稈量が、脱穀装置(3)の単位時間あたりの最大処理量を超えない範囲で、前記設定速度を左右の分草具(14L,14R)の開閉状態に応じて自動的に変更することで解決される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、コンバインに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、刈取装置の前部に設けた左右及び中央分草具の先端分草作用位置を左右位置調節可能に構成し、分草幅の広狭調節によって、左右の分草具の間から導入される穀稈の量を変更して刈取作業が行えるように構成したものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−201428号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された技術は、左右の分草具の間隔を広げた場合に、導入される穀稈の量が増加するため、刈刃装置や、脱穀装置に過大な負荷が生じて、適切な刈取や脱穀が行えなくなる虞がある。
【0005】
本願発明の課題は、上記問題を解消し、設定された刈取条数以上の穀稈を刈取ることができるものでありながら、適切な車速で走行しながら能率良く刈取作業を行うことができるコンバインを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決すべく次のような技術的手段を講じた。
即ち、請求項1記載の発明は、走行車体(1)の下側に走行装置(2)を設け、走行車体(1)の前側に刈取装置(4)を設け、該刈取装置(4)には、穀稈を分草して後方の引起装置(15)へ案内する左右の分草具(14L,14R)と、前記引起装置(15)によって引起された穀稈の株元を切断する刈刃装置(16)を備えたコンバインにおいて、前記左右の分草具(14L,14R)の左右方向間隔を変更自在に構成し、該左右の分草具(14L,14R)の間隔を広げた場合に設定速度を超える車速の増速を規制する最高車速規制手段(50,52,100)を備えたことを特徴とするコンバインである。
【0007】
請求項2記載の発明は、前記設定速度を変更可能な最高車速設定手段(109)を設けた請求項1記載のコンバインである。
請求項3記載の発明は、前記左右の分草具(14L,14R)の間隔部を経て導入される単位時間あたりの穀稈量が、脱穀装置(3)の単位時間あたりの最大処理量を超えない範囲で、前記設定速度を左右の分草具(14L,14R)の開閉状態に応じて自動的に変更する構成とした請求項2記載のコンバインである。
【0008】
請求項4記載の発明は、前記左右の分草具(14L,14R)の間に中分草具(14C)を備え、
前記左右の分草具(14L,14R)の先端を、機体内側に位置する閉状態と、該閉状態よりも機体外側に位置する開状態とに位置変更可能に構成し、前記閉状態における左右の分草具(14L,14R)と中分草具(14C)との各配置間隔を、左の分草具(14L)と中分草具(14C)との間、及び、右の分草具(14R)と中分草具(14C)との間に、それぞれ1条の穀稈が導入可能な幅に設定し、前記開状態では、左右の分草具(14L,14R)と中分草具(14C)との各配置間隔が、左の分草具(14L)と中分草具(14C)との間、及び、右の分草具(14R)と中分草具(14C)との間に、それぞれ2条の穀稈が導入可能な幅となるように設定し、前記左右の分草具(14L,14R)が閉状態である場合に、設定速度を、閉状態の左右の分草具(14L,14R)の間から導入される単位時間あたりの穀稈の量が脱穀装置(3)単位時間あたりの最大処理能力と略等しくなる第一上限速度(V1)に設定するとともに、前記左右の分草具(14L,14R)のうち、少なくともいずれか一方を前記開状態とした場合には、設定速度を前記第一上限速度(V1)よりも低い速度に設定する構成とした請求項1又は2又は3に記載のコンバインである。
【0009】
請求項5記載の発明は、前記左右の分草具(14L,14R)のうち、いずれか一方のみを開状態とした場合に、設定速度を前記第一上限速度(V1)よりも低い第二上限速度(V2)に設定し、左右の分草具(14L,14R)をともに開状態とした場合には、設定速度を前記第二上限速度(V2)よりも低い第三上限速度(V3)に設定する構成とした請求項4記載のコンバインである。
【0010】
請求項6記載の発明は、前記左右の分草具(14L,14R)に、夫々穀稈を検出する穀稈センサ(103R,103L)を設け、左右の分草具(14L,14R)のうち、少なくともいずれか一方が開状態であり、かつ、開状態の分草具(14L,14R)側の穀稈センサ(103R,103L)が穀稈を検出しない場合は、設定速度を第一上限速度(V1)に設定する構成とした請求項4又は5に記載のコンバインである。
【0011】
請求項7記載の発明は、前記設定速度を前記第一上限速度(V1)よりも低い速度に設定することを許可及び禁止する車速規制許可手段(104)を備えた請求項4又は5又は6に記載のコンバインである。
【0012】
請求項8記載の発明は、前記設定速度が前記第一上限速度(V1)よりも低い速度に設定されていることを操縦者に通知する車速規制通知手段(108)を備えた請求項4から7のいずれか一項に記載のコンバインである。
【発明の効果】
【0013】
請求項1記載の発明によれば、左右の分草具(14L,14R)の間隔を広げて、この2つの分草具(14L,14R)の間から引起装置(15)側に導入される穀稈の量が増大した場合に最高車速が規制されることで、刈刃装置(16)の過負荷を防止し、穀稈を確実に切断することができ、刈刃装置(16)の破損を防止することができる。また、脱穀装置の負荷を低減することができるので、脱穀効率を向上させることができる。
【0014】
請求項2記載の発明によれば、上記請求項1記載の発明による効果に加えて、設定速度が変更可能であることから、作業状態に適した速度で走行しながら刈取作業を行うことができる。
【0015】
請求項3記載の発明によれば、上記請求項2記載の発明による効果に加えて、設定速度を左右の分草具(14L,14R)の開閉状態に応じて自動的に変更しても、脱穀装置(3)の処理能力を超えることがなく、脱穀装置(3)における穀粒の回収効率を高めることができる。
【0016】
請求項4記載の発明によれば、請求項1又は2又は3に記載の発明による効果に加えて、左右の分草具(14L,14R)の少なくともいずれか一方を前記開状態とした場合には、前記第一上限速度(V1)よりも低い速度に設定するので、刈刃装置(16)や脱穀装置(3)の過負荷を防止することができる。
【0017】
請求項5記載の発明によれば、請求項4記載の発明による効果に加えて、左右の分草具(14L,14R)の開状態と閉状態との切り替えに対応して、自動的に適切な最高車速が設定されるので、左右の分草具(14L,14R)の位置切り替えに伴って最高車速を設定する操作が必要なく、刈取作業の能率を高めることができる。
【0018】
請求項6記載の発明によれば、請求項4又は請求項5記載の発明による効果に加えて、開状態の分草具(14L,14R)側の穀稈センサ(103R,103L)が穀稈を検出しない場合は、自動的に最高車速を第一上限速度(V1)に設定するので、分草具(14L,14R)を開状態としていても、左右の分草具(14L,14R)の間に導入される穀稈の量が少ない場合には、第一上限速度(V1)までの範囲で走行しながら刈取作業を行え、作業効率を向上させることができる。
【0019】
請求項7記載の発明によれば、請求項4から請求項6のいずれか一項に記載の発明による効果に加えて、穀稈が乾燥している場合や倒伏せずに直立している場合など、刈取作業に適した作業条件においては、車速規制許可手段(104)を規制禁止状態に設定して、第一上限速度(V1)までの範囲で走行しながら刈取作業を行うことができるので、必要以上に最高車速を規制することなく能率的な刈取作業を行うことができる。
【0020】
請求項8記載の発明によれば、請求項4から請求項7のいずれか一項に記載の発明による効果に加えて、設定速度が第一上限速度(V1)よりも低い速度に設定されていることを操縦者に通知する車速規制通知手段(108)を備えているので、自動的に設定速度が低く設定されたことを操縦者が認識することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】コンバインの平面図
【図2】コンバインの正面図
【図3】コンバインの側面図
【図4】同上要部の平面図
【図5】コンバインの一部を示す側面図
【図6】刈取装置の要部の正面図
【図7】同上要部の正面図
【図8】同上要部の正面図
【図9】同上要部の正面図
【図10】同上要部の正面図
【図11】分草具操作用レバーの側面図
【図12】同上正面図
【図13】制御ブロック図
【図14】制御フローチャート
【図15】制御フローチャート
【図16】車速制御マップ
【図17】車速制御の変速特性を示す図
【図18】車速制御の変速特性を示す図
【図19】運転操作部の要部側面図
【図20】運転操作部の要部側面図
【図21】刈取装置の要部正面図
【図22】刈取装置の要部正面図
【発明を実施するための形態】
【0022】
この発明の実施例を図面に基づき説明する。
以下の説明では特別に断らない限りにおいて、コンバインの前進方向を向いて運転席5に着座した操縦者から視て左側を左といい、右側を右という。
【0023】
図1乃至図3は、コンバインの全体図を示すものであり、この走行車体1には、油圧式無段変速装置と走行ミッションMを介して駆動される左右一対の走行クローラ2L,2Rを備え、後部に搭載した脱穀装置(脱穀部)3の前方部に刈取装置4を設置し,刈取装置4の横側部には、運転席5と、運転席前側のフロント操作ボックス6と、運転席左横側のサイド操作ボックス7とからなる運転操作部33を備え、更に、その運転操作部33の後方には脱穀粒を一時的に貯留するグレンタンクGを装備している。なお、油圧式無段変速装置の出力部からは走行ミッションMと刈取装置4とに分岐して伝動する伝動経路が形成されており、油圧式無段変速装置を変速すると、車速と刈取装置4の駆動速度が変化する。
【0024】
フロント操作ボックス6の右側には、左右方向の操作で機体の進行方向を操向制御し、前後方向の操作で刈取装置4を昇降制御するパワステレバー8が設置されている。運転席5左側のサイド操作ボックス7上には、刈取装置4及び脱穀部3への回転動力を断続操作する刈脱クラッチレバー9、図示せぬ油圧式無段変速装置を変速して走行速度を変更する変速レバー(HSTレバー)10、副変速レバー11等が配置されている。
(刈取装置)
刈取装置4は、後支持フレーム31で支持され、この後支持フレーム31基端部(後端部)を、走行車体1に設けた不図示の支持部に回動自在に軸支している。そして、後支持フレーム31の中間部と走行車体1の間に設けた刈取昇降シリンダSの油圧駆動による伸縮により、刈取装置4が上下昇降される。
【0025】
後支持フレーム31の先端部(前端部)には、左右方向の横支持フレーム32の左右中間部を連結しており、横支持フレーム32からコンバインの機体前方に向けて、分草支持フレーム21を、左右所定間隔をおいて複数配置している。
【0026】
刈取装置4には、立毛する穀稈を左右に分草する左右の分草具14L,14R及び中央の中分草具14Cと、分草後の穀稈を引き起す左右一対の穀稈引起装置15L,15R(15)と、引起し後の穀稈を刈り取るバリカン式刈刃装置16と、刈取後の穀稈を掻込搬送するスターホイル等の掻込搬送装置17、掻込搬送後の穀稈を脱穀部に揚上搬送して供給する揚上搬送装置18等を装備している。
【0027】
なお、前記各分草具14は分草支持フレーム21の先端に取り付けられている。
(分草具)
左右の分草具14L,14Rは、先端側が左内側方又は右外側方に向けて回動するよう分草支持フレーム21の途中部に設けた上下方向の縦軸22回りに回動自在に枢着している。
【0028】
図7に示すように、通常の2条刈作業を行う場合は、左右の分草具14L,14Rは閉状態にあって、左右の分草具14L,14Rと中分草具14Cとの間に1条ずつの穀稈が導入され、左右合わせて2条分の穀稈が刈刃側に分草案内されるようになっている。
【0029】
左右分草具14L,14Rのうち、左分草具14Lを外側方に開いた状態(開状態)では、中分草具14Cと左分草具14Lとの間に2条の穀稈が導入され、中分草具14Cと右分草具14Rとの間に導入される1条の穀稈と合わせて3条の穀稈が導入され(図8参照)、3条刈作業が可能となる。
【0030】
また、左右分草具14L,14Rのうち、右分草具14Rを外側方に開いた状態(開状態)は、中分草具14Cと右分草具14Rとの間に2条の穀稈が導入され、中分草具14Cと閉状態の左分草具14Lとの間に導入される1条の穀稈と合わせて3条の穀稈が導入され(図9参照)、上記と同様に3条刈作業ができるようになっている。
【0031】
そして、図10に示すように、左右の分草具14L,14Rを外側方に開いた時には、左分草具14Lと中分草具14C及び右分草具14Rと中分草具14Cとの間にはそれぞれ2条ずつの穀稈が導入され、左右合わせて4条分の穀稈が導入されるようになっており、4条刈作業が可能となる。
(刈取作業概要)
しかして、変速レバー10を前方に傾動させて、走行クローラ2L,2Rによって機体を前進させて刈取収穫作業を行うのであるが、コンバインの刈取収穫作業では、圃場を上方から視て半時計回りに回りながら周辺部から中心部に向かって穀稈を刈り取る。
(2条刈り作業)
2条刈りの作業(図7)では、右分草具14Rを既に刈り取った穀稈(既刈穀稈)の切り株Cの位置に合せると、左右分草具14L,14Rの間に2条分の穀稈が導入される間隔に設定しているので、操縦者は、運転席5の前方にある右分草具14Rの位置を切り株Cの上を通過するように前記パワステレバー8で機体を操向しながら前進すればよく、刈取作業における機体の操作を容易となる。
(3条刈り作業)
3条刈りの作業のうち、図8に示す作業では、左分草具14Lを圃場に植立する穀稈Kがこの左分草具14Lよりも内側に入るようにする。この作業形態は、主に畦際の穀稈を刈取る際に用いられ、左分草具14Lの先端が機体の左最外側に近づくことで、畦際の穀稈を刈取る際に周囲の障害物に機体を接触させることなく作業を行うことができ、周囲をコンクリート壁で囲まれた都市部の圃場などでは極めて有効である。
【0032】
図9に示す3条刈り作業は、コンバインの機体の左右両側に未刈り穀稈を位置させて行う所謂中割り作業に好適であり、走行クローラ2Rの外側端との距離が大きい右分草具14Rの先端を穀稈Kのすぐ右側に位置させて刈取ることで、この穀稈Kよりも機体進行方向右側に位置する穀稈と走行クローラ2Rとのクリアランスを確保して刈取作業を行なうため、未刈穀稈を走行クローラ2R,2Lによって踏みつけることなく中割り作業を行なうことができる。
(4条刈り作業)
4条刈りの作業(図10)では、二条枠の穀稈引起装置15L,15Rで4条分の穀稈を刈取ることができ、刈取作業の効率を更に高めることができる。特に、前述の中割り作業を行なうにあたり効果的であり、刈取作業中に機体の方向転換などを行なう際にも、走行クローラ2R,2Lによって穀稈を踏みつけることなく作業を行なうことができる。
(左右分草具の間隔変更による効果)
また、上述のように2条刈りから最大4条刈りまでに左右分草具14L,14Rの間隔を変更できることで、作業条件が良好な場合(穀稈が立毛状態であり、雨水や泥土等が付着していない場合や、穀稈の穂先の穀粒が比較的少ない場合)には、4条分の穀稈を刈取装置4に導入することで、圃場内を移動する距離や、機体の旋回を行なう回数を減少させ、能率的な作業を行なうことができる。
【0033】
また、穀稈が倒伏していたり、濡れていたり、穀粒が多く、刈取搬送や脱穀の負荷が高いことが予想される作業条件においては、刈取装置4に導入する穀稈の量を2条分に制限することで、刈取装置4や脱穀装置3の負荷を軽減し安定した作業を行うことができる。
(分草具の操作レバー)
左右の分草具14L,14Rとこれらを遠隔操作する操作レバー13L,13Rとは、操作ワイヤ23等を介して連動連結され、各操作レバー13L,13Rの支点Qを中心とする手前側(前方から後方)への引き操作により、左分草具14Lを左外側方へ、右分草具14Rを右外側方へ回動操作するように連動構成している。なお、操作レバー13L,13Rは、前方に押し操作すると、左右分草具14L,14Rは2条刈作業体勢の閉状態に復帰するようになっている。また、左右の操作レバー13L,13Rは、サイド操作ボックス7側において副変速レバー11の横側近傍に配置され、正面視で左右平行状に配置している(図12参照)。
(刈取装置のレイアウト)
また、図4に示すように、左右の分草具14L,14Rは、それらの先端部が刈刃16の端部、つまり、左右の分草支持フレーム21L,21Rを基準として内側と外側とに回動変位するようになっており、分草具14L,14R後部のフレーム部が分草支持フレーム21L,21Rに対して大きく屈折しないように構成しているので、分草具14L,14Rから分草支持フレーム21L,21Rに亘って穀稈の株元を円滑に案内できる。
【0034】
刈刃装置16の左右幅を、各々前記開状態とした前記左右の分草具14L,14Rの先端間隔よりも狭く設定したので、刈取装置4に導入する穀稈を、通常の刈取条数から、この条数に加えて2条分の穀稈を刈取りできるものでありながら、刈刃装置16の左右幅を穀稈の切断性能に支障がない範囲で狭くすることで、刈刃装置16が発生させる振動や騒音を低減することができる。加えて、刈取装置4をコンパクトに構成でき、旋回時に刈取装置4が周囲の畦畔等に接触し難く、操作性の優れたコンバインを提供することができる。
【0035】
また、刈刃装置16の左右幅を、各々前記閉状態とした左右の分草具14L,14Rの先端間隔よりも広く設定したことにより、刈取装置4に導入される刈取対象の穀稈量に対して刈刃装置16の切断能力に余裕が生まれ、確実に穀稈を刈取ることができる。
【0036】
また、左右の分草具14L,14Rのうち、未刈地側(左側)の分草具14Lは、これを外側方開状態に張出した時、この分草具14Lの先端が未刈地側の走行クローラ2Lの外端部よりも外方に位置するように設定している(図5参照)。これによると、未刈地側の穀稈が未刈地側の走行クローラ2Lによって踏み込まれるのを防止することができる。加えて、湿田等の軟弱地盤での作業においては、未刈地側の走行クローラ2Lが地面に沈下することによって泥が未刈地側に押し退けられるが、分草具14Lの先端及び刈刃装置16の外側端がこの走行クローラ2Lよりも外側方に位置するため、未刈穀稈の株元に泥土を押し上げず、次回の刈取行程の支障にならない。また、図5の例では、左右の分草具14L,14Rをそれぞれ外側に同時に開いた状態では、中分草具14Cと左右分草具14L,14R先端の距離A・Bは略同じ距離とし、内側に同時に閉じた状態においても中分草具と左右分草具先端の距離は略同じ距離としている。
(引起装置)
左右の穀稈引起装置15L,15Rは、左右対称形状に構成された引起しケース25と、ケース内上部に架設された駆動スプロケット26、テンションスプロケット27及びケース内下部に左右所定間隔をあけて架設された左右ガイドローラ28a,28bと、それらにわたって掛け回した引起ラグ29付無端チェン30を備えている。左右引起装置15L,15Rの始端側には、引起ラグ29によって導入された穀稈を外側から内側方の引起し経路Y2側に向けて掻き寄せる横方向所定幅の掻寄せ経路Y1が設けられている。掻寄せ経路Y1は、引起し経路Y1側が高く、又は低く傾斜するように構成してもよい。この掻寄せ経路Y1は、所定間隔をあけて配置した左右のガイドローラ28a,28b間において構成され、そして、この左右ガイドローラ28a,28b間のローラ間ピッチP1を引起ラグ29,29間のラグピッチP2と略同等に設定することで、この掻寄せ経路Y1中において、複数の引起ラグ29,29が下向き作用姿勢で横移動するようになっている。なお、引起し経路Y2では引起ラグ29が横向き姿勢で上昇移行する。
【0037】
すなわち、引起ラグ29が、掻寄せ経路Y1の終端位置近傍を移動中、或いは、掻寄せ経路Y1から引起し経路Y2に移行する過程で円弧軌跡を描いて移動中に、穀稈が引起ラグ29に係合した状態から離脱しても、掻寄せ経路Y1中に他の引起ラグ29が存在することで穀稈の受け止めができ、引起装置15L,15Rでの穀稈の取りこぼしを防止することができる。
【0038】
従って、上記構成の掻寄せ経路Y1によれば、片側に2条の穀稈が導入されても引起し経路Y2内へ確実に掻き寄せることができる。
なお、前記ラグピッチP2は、ローラ間ピッチP1にガイドローラ28aの外周長の4分の1を加えた長さよりも小さくし、望ましくは、ローラ間ピッチP1にガイドローラ28aの外周長の8分の1を加えた長さよりも小さくする。このようにローラ間ピッチP1とラグピッチP2とを設定することで、引起装置15L,15Rにおける穀稈の取りこぼしを防いで良好に引起すことができる。
【0039】
また、図6に示したように、前記左右分草具14L,14Rを、外側に開いた状態と内側に閉じた状態とのいずれの状態においても、左右分草部14L,14Rの正面視における内側端部が、引起ラグ29の移動軌跡と重合する構成としている。
【0040】
引起ラグ29は、非引起作用側において無端チェン30に沿う倒伏姿勢で移動し、ガイドローラ28aの側方に至ると、このガイドローラ28aに当該引起ラグ29の基部が当接して起立姿勢となるが、左右分草部14L,14Rの正面視における内側端部と、起立姿勢の引起ラグ29の軌跡を重合させたことで、左右分草具14L,14Rにより分草された穀稈を起立姿勢となった引起ラグ29に円滑に引継ぐことができる。
【0041】
そして、左右分草部14L,14Rを内側に閉じた状態では、ガイドローラ28aの軸心位置と左右方向で近接した状態となるので、左右分草部14L,14Rと引起ラグ29との間に、この引起ラグ29が作用しない領域が殆ど無く、分草案内された刈取対象の穀稈を確実に引起し経路Y2に向けて掻き寄せることができ、穀稈の取りこぼしを可及的に減少させることができる。
【0042】
なお、左右分草部14L,14Rを内側に閉じた際の当該左右分草部14L,14Rの先端位置は、ガイドローラ28aの軸心位置と左右方向で同一の位置から、ガイドローラ28aの外周側端部から引起ラグ29の突出長さの半分程度までの距離の範囲にあることが望ましく、この範囲内に配置することで、引起ラグ29の移動により穀稈に作用する力のうち、穀稈を下方へ押付ける方向への分力よりも、引起し経路Y2方向へ掻き込む方向への分力が大きくなり、穀稈への掻き込み作用を向上させることができる。
(引起ラグ29の移動軌跡変更機構)
図19及び図20は、引起装置15の別形態を示している。基部が引起装置15の枠体(ケース)に回動自在に支持されたアーム60によってガイドローラ28aを回動して変位可能としており、ガイドローラ28aを下方に移動させると、ガイドローラ28aとガイドローラ28bとの間に引起ラグ29が横移動する掻寄せ経路Y1が形成される。なお、この状態においては、アーム60と一体的に設けられたラグ起立ガイド61が無端チェン30に近接し、引起ラグ29を確実に起立させる。掻寄せ経路Y1は、図20に示すような引起し経路Y2側が高い傾斜状としてもよく、このようにすると、掻寄せ経路Y1で穀稈に過剰な横方向の搬送作用が働くことによる株抜けや稈切れを防止することができる。また、反対に、引起し経路Y2側を低くすることもでき、それにより、掻寄せ経路Y1から引起経路Y2への移行過程での穀稈の掬い上げ作用を高め、倒伏穀稈の引起し性能を高めることができる。
【0043】
上記アーム60は、ワイヤ等により、分草具14L,14Rの開閉に連繋させることが好ましく、分草具14L,14Rのうち、開状態となった側の引起装置15においてアームが下方向に回動し、掻寄せ経路Y1が形成されるようにする。
(車速制御)
前述した通り、刈取収穫作業に適さない作業条件(穀稈が濡れていたり、倒伏している場合等)においては、刈取条数を増加させると刈取搬送の負荷や脱穀負荷が増大する虞がある。この場合、左右の分草具14L,14Rを閉状態として刈取条数を制限することも有効であるが、頻繁に分草具14L,14Rの位置を切り替えることは、操作が煩雑になる上、作業計画の変更を余儀なくされるものである。
【0044】
この問題を解消するために、左右の分草具14L,14Rを開状態とした場合において、機体の走行速度を低下させて、刈取装置4や脱穀装置3の負荷を低減させることも望ましい。
【0045】
本実施形態においては、最高車速設定手段によって左右の分草具14L,14Rの位置により、自動的に最高車速を最適な速度に設定するように構成している。
(制御装置)
すなわち、図13に示す通り、本発明の最高車速規制手段としての制御装置100には、入力側ポートに変速レバー10の変速操作位置を検出する主変速レバーセンサ101、副変速レバー11の変速操作位置を検出する副変速レバーセンサ102、右の分草具14R近傍に設けられ、穀稈の存在を検出する右側穀稈センサ103R、左の分草具14L近傍に設けられ、穀稈の存在を検出する左側穀稈センサ103L、本発明の車速規制許可手段としての多条刈りボタン104、右の分草具14Rが開状態か閉状態かを判定する右側分草具位置センサ105R、左の分草具14Lが開状態か閉状態かを判定する左側分草具位置センサ105Lを接続している。また、出力側ポートには、前記油圧式変速装置の斜板角度を変更するHST変速アクチュエータ106、前記走行ミッションMの入力回転に対して出力回転の変速比を変更するミッションギア変速アクチュエータ107、本発明の速度規制通知手段である表示モニタ108を接続している。
【0046】
上記制御手段100内には、最高車速設定手段109が備えられており、入力ポートから入力される各信号によって、最適な設定速度を判断する。
なお、右側分草具位置センサ105R及び左側分草具位置センサ105Lは、操作レバー13R,13Lに夫々設けられているが、これは、分草具14R,14L側に設けてもよい。また、速度規制通知手段は、モニタ108に代えて、音声で通知するものや警告灯によるものとしてもよい。
(車速制御の第一形態)
車速制御の第一の形態について図14に基づいて説明する。
【0047】
まず、多条刈りボタン104が車速規制許可状態であるか否かを判定し(S1)、車速規制が禁止されている場合(多条刈りボタンがOFF)は、変速範囲を第一設定速度域に設定する。車速規制が許可されている場合(多条刈りボタン104がON)、左右の分草具14L,14Rの位置を判定する(S2)。ステップS2において、分草具14L,14Rがいずれも開状態である場合は、変速範囲を第三設定速度域に設定し(S5)、分草具14L,14Rの何れか一方のみが開状態である場合には、変速範囲を第二設定速度域に設定し(S4)、分草具14L,14Rがいずれも閉状態である場合には、変速範囲を第一設定速度域に設定する(S3)。
(車速制御の第二形態)
車速制御の第二の形態は、上記の車速制御の第一の形態とは分装具14L,14Rの近傍に備える右側穀稈センサ103R及び左側穀稈センサ103Lの検出結果によって変速範囲が変更される点で相違する。よって本形態により設定される変速範囲は、図16に示す如くであり、図16におけるM1とは第一設定速度域、M2とは第二設定速度域、M3とは第三設定速度域を表す。
【0048】
すなわち、図15に示す通り、多条刈りボタン104が車速規制許可状態であるか否かを判定し(S11)、車速規制が禁止されている場合(多条刈りボタンがOFF)は、変速範囲を第一設定速度域に設定する。車速規制が許可されている場合(多条刈りボタン104がON)、左右の分草具14L,14Rの位置を判定する(S12)。左右の分草具14L,14Rがいずれも閉状態であれば、変速範囲を第一設定速度域に設定する。そして、左右の分草具14L,14Rのうち、少なくとも何れか一方が開状態である場合、右側穀稈センサ103R及び左側穀稈センサ103Lによる穀稈の検出結果を参照する(S13,S14)。
【0049】
ステップS12において、分草具14L,14Rのいずれか一方のみが開状態である場合、ステップS13の穀稈の有無を判定するステップにおいて、右側穀稈センサ103R及び左側穀稈センサ103LのいずれもOFF(穀稈を検出していない状態)であるか、閉状態の分草具側の穀稈センサのみがON(穀稈を検出している状態)であれば、変速範囲を第一設定速度域に設定する。また、ステップS13において少なくとも開状態の分草具側の穀稈センサがONであれば、変速範囲を第二設定速度域に設定する。
【0050】
そして、ステップS12において、左右の分草具14L,14Rがともに開状態である場合には、穀稈の有無を判定するステップS14で、左右の穀稈センサが共にOFFであると、変速範囲を第一設定速度域に設定し、左右いずれかの穀稈センサがONであれば、変速範囲を第二設定速度域に設定し、左右の穀稈センサがともにONであれば、変速範囲を第三設定速度域に設定する。
【0051】
なお、上記車速制御の第一、第二の形態は、選択スイッチを設けて任意に切替可能にしてもよい。
(変速範囲)
上記2つの車速制御の形態による制御で設定される変速範囲について説明する。第一設定速度域、第二設定速度域、第三設定速度域は、それぞれ、最高車速(前記変速レバー10を前進側の操作範囲限度まで操作した状態)をV1、V2、V3とするものである。なお、図17及び図18のC1、C2、C3は、それぞれ第一設定速度域、第二設定速度域、第三設定速度域の各設定における変速ラインである。
【0052】
すなわち、図17に示す通り、変速レバー10が中立位置に操作されているときには車速が0であり、中立位置よりも前進側に操作されると、変速レバー10の操作量に比例して、車速が増大するように油圧式無段変速装置を変速し、設定された変速範囲における設定速度に対応する操作位置よりも前進側に操作しても、その設定速度以上には変速されない。
【0053】
また、図18には第二の変速特性を示しており、変速レバー10の前進側最大操作位置において、最高速度がV1、V2、V3となるように操作量に応じて一様に油圧式無断変速装置を変速するものである。
【0054】
しかして、第一の変速特性によると、前記変速範囲が変化しても、変速レバー10を中立位置から設定速度に対応する操作位置までの範囲での、変速レバー10の操作量に対する油圧式無段変速装置の変速量が変化しないため、操縦者が違和感無く操作することができる。
【0055】
また、第二の変速特性によると、変速レバー10の操作量に対する油圧式無段変速装置の変速量が変化することとなるが、変速レバー10の操作範囲を有効に利用して微細な速度変更ができ、速度調節が容易となる。
【0056】
次に、第三の制御特性の制御特性について説明する。これは油圧式無段変速装置の変速量を制御するものではなく、上述のミッションギア変速アクチュエータ107により、走行ミッションM内の変速比を変更するものである。走行ミッションMは、油圧式無段変速装置と走行装置2の間の伝動経路に設けられたものであり、走行ミッションMの変速比を変更すると、変速レバー10を操作した場合の走行速度の変化は、図18で示した線図と同様となる。
(各変速範囲における最高車速)
設定速度は、刈取装置4における搬送装置の搬送能力や、脱穀装置3の穀稈処理能力に応じて最適な速度に設定することが望ましい。
【0057】
一般論として例を示すと、脱穀装置3の扱胴径及び回転軸方向の長さと揺動選別棚の平面視における面積から、扱胴の回転速度やフィードチェンの駆動速度を設定し、フィードチェンの搬送速度と、刈取装置4の搬送装置における穀稈の合流箇所の数などから刈取装置4の駆動速度が設定され、これらに応じて走行装置2の第一設定速度域における設定速度(第一上限速度)V1が決定される。
【0058】
そして、第一設定速度域及び第二設定速度域における設定速度V2,V3は次の通り計算される。すなわち、第一設定速度域の設定速度(第一上限速度)はV2=V1×N/(N+1)であり、第二設定速度域の設定速度(第二上限速度)はV3=V1×N/(N+2)である。なお、これらの式におけるNとは、標準刈取条数であり、刈取装置4に設けられた引起装置15の数に対応する。
(リンク機構による最高車速設定)
また、左右の分草具14L,14Rと走行速度とは、前記制御装置100による連繋の他に、以下に説明するリンク機構によるものを採用することもできる。
【0059】
すなわち、図19に示すように、左右の分草具14L,14Rを開状態とするための操作レバー13R,13L(13)の下端部に、ピン等の突起が形成されており、この突起が本発明の最高車速規制手段としての連繋ロッド50の長孔51に挿入されている。そして、連繋ロッド50の他端は変速レバー10側とピン連結されている。従って、操作レバー13R,13Lを後方(図19における右側)へ引き操作すると、操作レバー13R,13Lの移動に伴い、連繋ロッド50が移動する。
【0060】
変速レバー10は、上記長孔51によって連繋ロッド50が操作レバー13R,13Lとは独立して移動可能な範囲で操作が可能になっているため、操作レバー13R,13Lが閉状態側の場合は、変速レバー10を後進、中立から前進側までの全域に亘って操作が可能となり、操作レバー13R,13Lが開状態側となると、前進側の最高車速近傍に対応する操作域への操作が牽制される。(変速レバー10が最高車速近傍に操作されている場合には、連繋ロッド50により、強制的に減速側に戻される)
すなわち、操作レバー13R,13Lが閉状態側では第一上限速度V1までの範囲で走行でき、操作レバー13R,13Lが開状態側では、第二上限速度V2又は第三上限速度V3までの範囲で走行できる。
【0061】
前記連繋ロッド50は、左右の操作レバー13R,13Lの双方に設けられているので、いずれか一方が開状態側に操作されると、前進側の最高車速近傍に対応する操作域への操作が牽制されることとなる。
(最高車速設定用リンク機構の別形態)
図20に示すのは、副変速レバー11に最高車速規制手段としての連繋ロッド52を設けたものであり、上記の変速レバー10のリンク機構と同様に、操作レバー13R,13Lの開状態側への操作によって、副変速レバー11を減速方向に戻すものである。
(3基以上の引起装置を備える刈取装置への適用)
以上の実施例においては、便宜上2基の引起装置15L,15Rを設けた刈取装置4について説明したが、刈取装置4は通常の刈取条数が3条以上であってもよく、その場合は、刈取装置4の通常の刈取条数分の引起装置15と、掻込装置や搬送装置を設けて、左右最外側に位置する引起装置の外側前方に左右の分草具14L,14Rを設け、各引起装置15の間の前方位置に夫々中分草具14Cを配置すればよい。
【符号の説明】
【0062】
1 走行車体
2 走行装置
4 刈取装置
14C 中分装具
14L 左の分草具(分草具)
14R 右の分草具(分草具)
15 引起装置
16 刈刃装置
50 最高車速規制手段(連繋ロッド)
52 最高車速規制手段(連繋ロッド)
100 最高車速規制手段(制御装置)
103R 穀稈センサ(右側穀稈センサ)
103L 穀稈センサ(左側穀稈センサ)
104 車速規制許可手段(多条刈りボタン)
108 車速規制通知手段(モニタ)
109 最高車速設定手段
V1 第一上限速度
V2 第二上限速度
Vn 標準上限速度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行車体(1)の下側に走行装置(2)を設け、走行車体(1)の前側に刈取装置(4)を設け、該刈取装置(4)には、穀稈を分草して後方の引起装置(15)へ案内する左右の分草具(14L,14R)と、前記引起装置(15)によって引起された穀稈の株元を切断する刈刃装置(16)を備えたコンバインにおいて、
前記左右の分草具(14L,14R)の左右方向間隔を変更自在に構成し、該左右の分草具(14L,14R)の間隔を広げた場合に設定速度を超える車速の増速を規制する最高車速規制手段(50,52,100)を備えたことを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
前記設定速度を変更可能な最高車速設定手段(109)を設けた請求項1記載のコンバイン。
【請求項3】
前記左右の分草具(14L,14R)の間隔部を経て導入される単位時間あたりの穀稈量が、脱穀装置(3)の単位時間あたりの最大処理量を超えない範囲で、前記設定速度を左右の分草具(14L,14R)の開閉状態に応じて自動的に変更する構成とした請求項2記載のコンバイン。
【請求項4】
前記左右の分草具(14L,14R)の間に中分草具(14C)を備え、
前記左右の分草具(14L,14R)の先端を、機体内側に位置する閉状態と、該閉状態よりも機体外側に位置する開状態とに位置変更可能に構成し、
前記閉状態における左右の分草具(14L,14R)と中分草具(14C)との各配置間隔を、左の分草具(14L)と中分草具(14C)との間、及び、右の分草具(14R)と中分草具(14C)との間に、それぞれ1条の穀稈が導入可能な幅に設定し、
前記開状態では、左右の分草具(14L,14R)と中分草具(14C)との各配置間隔が、左の分草具(14L)と中分草具(14C)との間、及び、右の分草具(14R)と中分草具(14C)との間に、それぞれ2条の穀稈が導入可能な幅となるように設定し、
前記左右の分草具(14L,14R)が閉状態である場合に、設定速度を、閉状態の左右の分草具(14L,14R)の間から導入される単位時間あたりの穀稈の量が脱穀装置(3)単位時間あたりの最大処理能力と略等しくなる第一上限速度(V1)に設定するとともに、前記左右の分草具(14L,14R)のうち、少なくともいずれか一方を前記開状態とした場合には、設定速度を前記第一上限速度(V1)よりも低い速度に設定する構成とした請求項1又は2又は3に記載のコンバイン。
【請求項5】
前記左右の分草具(14L,14R)のうち、いずれか一方のみを開状態とした場合に、設定速度を前記第一上限速度(V1)よりも低い第二上限速度(V2)に設定し、
左右の分草具(14L,14R)をともに開状態とした場合には、設定速度を前記第二上限速度(V2)よりも低い第三上限速度(V3)に設定する構成とした請求項4記載のコンバイン。
【請求項6】
前記左右の分草具(14L,14R)に、夫々穀稈を検出する穀稈センサ(103R,103L)を設け、左右の分草具(14L,14R)のうち、少なくともいずれか一方が開状態であり、かつ、開状態の分草具(14L,14R)側の穀稈センサ(103R,103L)が穀稈を検出しない場合は、設定速度を第一上限速度(V1)に設定する構成とした請求項4又は5に記載のコンバイン。
【請求項7】
前記設定速度を前記第一上限速度(V1)よりも低い速度に設定することを許可及び禁止する車速規制許可手段(104)を備えた請求項4又は5又は6に記載のコンバイン。
【請求項8】
前記設定速度が前記第一上限速度(V1)よりも低い速度に設定されていることを操縦者に通知する車速規制通知手段(108)を備えた請求項4から7のいずれか一項に記載のコンバイン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2013−48600(P2013−48600A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−189269(P2011−189269)
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】