説明

コンバータ

【課題】 コンバータにおけるブスバーでの浮遊インダクタンスを低減する。
【解決手段】 コンバータ2は、積層型ブスバーのブスバー4pと三相交流電源のR相と第1スイッチ素子8rpを接続し、ブスバー4pと三相交流電源のS相とに第2スイッチ素子8spを接続し、ブスバー4pと三相交流電源のT相とに第3スイッチ素子8tpを接続し、ブスバー4nとR相とに第4スイッチ素子8rnを接続し、ブスバー4nとS相とに第5スイッチ素子8snを接続し、ブスバー4nとT相とに第6スイッチ素子8tnを接続している。第1スイッチ素子8rpがブスバー4pに接続されるようにブスバー4pに設けた端子104aと、第4スイッチ素子8rnがブスバー4nに接続されるようにブスバー4nに設けたれた端子110bとが、離れた位置となるように配置してある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバータに関し、特に、スイッチ素子の配置に関する。
【背景技術】
【0002】
直流電源を交流電源に変換するインバータでは、複数のスイッチ素子を使用している。これらスイッチ素子は、直流電源にブスバーを介して接続されている。その一例が特許文献1に開示されている。特許文献1では、直流電源の正負両極間に平滑用コンデンサが接続され、直流電源の正極に接続された一方のブスバーに3つのスイッチ素子の一端がそれぞれ接続されている。これら3つのスイッチ素子にそれぞれ対応する別の3つのスイッチ素子の一端が他方のブスバーに接続されている。3つのスイッチ素子と、これらに対応するスイッチ素子との他端同士が接続されている。これら接続端が、モータに接続されている。2つのブスバーは、板状に形成され、互いに対向するように重ねて配置され、それらの間に板状樹脂が配置されている。これら2つのブスバーと板状樹脂によって積層ブスバーが構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−295227号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されているインバータの場合、2つのブスバーの一端間には平滑用コンデンサが接続されているので、各ブスバーを流れる電流は、ほぼ同じ大きさであり、同じ経路を反対方向に流れ、電流による磁束がキャンセルされて、浮遊インダクタンスを低減しやすい。しかし、三相交流電源をコンバータで裁断された中間電圧に変換し、この直流中間電圧をインバータで所望の交流に変換するインダイレクトマトリクスコンバータでは、コンバータからの直流中間電流が流れる直流中間リンクにブスバーを使用する。このブスバーとしては、特許文献1と同様な積層ブスバーを使用し、その長さ方向の両長手縁それぞれに沿ってコンバータ用のスイッチ素子を配置し、ブスバーの一端部側にインバータ用のスイッチ素子を接続することが考えられる。即ち、コンバータ用のスイッチ素子とインバータ用のスイッチ素子とが直角に配置される。この場合、積層ブスバーが直流中間リンクとして機能するが、この直流中間リンクに平滑用コンデンサが接続されて無く、各スイッチ素子のスイッチタイミングによっては、ブスバーの異なる箇所に接続されたスイッチ素子からブスバーに電流が供給されるので、ブスバーを流れる電流経路は、インバータのブスバーでの平滑コンデンサ以降での直流経路よりも長くなり、かつ電流経路が往復で重ならない。従って、電流によって発生する磁束をキャンセルすることができず、浮遊インダクタンスを低減することができない。浮遊インダクタンスが十分に低減できないとインダクタンスに蓄えられたエネルギーによってスイッチング素子にサージが発生する問題がある。この問題は、インダイレクトマトリクスコンバータに使用されているコンバータに限って発生するものではなく、一般的なコンバータにおいても発生する。
【0005】
本発明は、ブスバーでの浮遊インダクタンスを低減することができるコンバータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様のコンバータは、積層型の一対のブスバーを有している。この一対のブスバーは、第1極性、例えば正極性のブスバーと、第2極性、例えば負極性のブスバーとを備えている。第1極性のブスバーと三相交流電源の第1相とに第1スイッチ素子が接続されている。第1極性のブスバーと前記三相交流電源の第2相とに第2スイッチ素子が接続されている。第1極性のブスバーと前記三相交流電源の第3相とに第3スイッチ素子が接続されている。第2極性のブスバーと前記三相交流電源の第1相とに第4スイッチ素子が接続されている。第2極性のブスバーと前記三相交流電源の第2相とに第5スイッチ素子が接続されている。第2極性のブスバーと前記三相交流電源の第3相とに第6スイッチ素子とが接続されている。第1乃至第6スイッチ素子としては、制御電極を有し、この制御電極に駆動信号が供給されたとき、導通するものを使用することができ、例えばIGBT、MOSFET、FET、バイポーラトランジスタ等を使用することができる。第1スイッチ素子が第1極性のブスバーに接続されるように第1極性のブスバーに設けた第1端子と、第4スイッチ素子が第2極性のブスバーに接続されるように第2極性のブスバーに設けたれた第2端子とが、離れた位置となるように配置されている。
【0007】
同時に閉成されるスイッチ素子間の距離が長いと、ブスバー上を電流が流れる距離が長くなり、浮遊インダクタンスが大きくなる。三相交流電源の同じ相に接続されており、同時に閉成されることが禁止されている第1及び第4のスイッチ素子を、距離が長くなる位置に配置している。従って長い距離間を電流が流れることがなく、浮遊インダクタンスが大きくなることを防止できる。
【0008】
さらに、前記第1乃至第6のスイッチ素子を、前記1対のブスバーの両側に配置することができる。このとき、三相交流電源の同じ相に接続される第1スイッチ素子と第4スイッチ素子とが対角に配置されている。
【0009】
2つのスイッチ素子を配置する場合、ブスバーの対角に配置すると、両スイッチ素子の距離が最も長くなる。上述したように同時に閉成されることが禁止された第1及び第4のスイッチ素子の距離が最も長いので、浮遊インダクタンスをより低減させることができる。
【0010】
或いは、第4スイッチ素子の隣に第2スイッチ素子を配置することができる。第4スイッチ素子と第2スイッチ素子とは、三相交流電源の異なる相に接続されているので、両者が同時に閉成され、両者の間にあるブスバーの部分を電流が流れることがある。同時に閉成されることがある第2及び第4スイッチ素子を隣接して配置することによって両者の距離を短くすることができるので、浮遊インダクタンスをより低減させることができる。
【0011】
さらに、第1乃至第6スイッチ素子を、前記一対のブスバーの両側に配置し、一方の側には第4スイッチ素子と第6スイッチ素子を配置し、これらの間に第2スイッチ素子を配置し、他方の側には第1スイッチ素子と第3スイッチ素子とを配置し、これらの間に第5スイッチ素子を配置することもできる。第1スイッチ素子と第5スイッチ素子とが同時に閉成され、第1スイッチ素子と第6スイッチ素子とが同時に閉成され、第2スイッチ素子と第4スイッチ素子とが同時に閉成され、第2スイッチ素子と第6スイッチ素子とが同時に閉成され、第3スイッチ素子と第4スイッチ素子とが同時に閉成され、第3スイッチ素子と第5スイッチ素子とが同時に閉成される。上述したように第1乃至第6スイッチ素子を配置すると、第1スイッチ素子と第5スイッチ素子間の距離、第1スイッチ素子と第6スイッチ素子間の距離、第2スイッチ素子と第4スイッチ素子間の距離、第2スイッチ素子と第6スイッチ素子間の距離、第3スイッチ素子と第4スイッチ素子間の距離、第3スイッチ素子と第5スイッチ素子間の距離をそれぞれ短くすることができ、浮遊インダクタンスを低減させることができる。
【発明の効果】
【0012】
以上のように、本発明によれば、コンバータの一対のブスバーで発生する浮遊インダクタンスを低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の1実施形態のインダイレクトマトリクスコンバータの回路図である。
【図2】図1のインダイレクトマトリクスコンバータの平面図である。
【図3】図1のインダイレクトマトリクスコンバータで使用する1対のブスバーの平面図とこれら1対のブスバーを積層した状態の平面図である。
【図4】図1のインダイレクトマトリクスコンバータのスイッチングモードを示す図である。
【図5】図1のインダイレクトマトリクスコンバータにおけるコンバータの各スイッチ素子の配置を模式的に示した図と、従来のインダイレクトマトリクスコンバータにおけるコンバータのスイッチ素子の配置を模式的に示した図である。
【図6】図5の2つの配置におけるスイッチ素子間の距離及びそれらの間で発生するインダクタンスを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の第1の実施形態のインダイレクトマトリクスコンバータは、図1に示すように、第1の変換器、例えばコンバータ2と、1対の直流中間リンク4p、4nと、第2の変換器、例えばインバータ6とを、有している。
【0015】
コンバータ2は、スイッチ素子8rp、8rn、8sp、8sn、8tp、8tnを有している。スイッチ素子8rp、8sp、8tpは、例えばIGBT10ap、10bpのエミッタ同士を接続し、これらIGBT10ap、10bpのコレクタ、エミッタ間に逆並列にダイオード12ap、12bpを接続したもので、それぞれ1つのモジュールに構成されている。スイッチ素子8rn、8sn、8tnも、同様にIGBT10an、10bn、ダイオード12an、12bnを接続したもので、1つのモジュールに構成されている。
【0016】
スイッチ素子8rp(以下、第1スイッチ素子と称する。)の一端、即ちIGBT10apのコレクタが直流中間リンク4pに接続され、他端、即ち、IGBT10bpのコレクタがスイッチ素子8rn(以下第4スイッチ素子と称する)の一端、即ち、IGBT10anのコレクタに接続されている。第4スイッチ素子8rnの他端、即ち、IGBT10bnのコレクタが直流中間リンク4nに接続されている。このように、第1及び第4スイッチ素子8rp、8rnは、直流中間リンク4p、4n間に直列に接続されている。第1及び第4スイッチ素子8rp、8rnの接続点が、三相交流電源(図示せず)のR相に接続されている。即ち、R相の入力側とされている。
【0017】
同様に、スイッチ素子8sp、8sn(以下第2及び第5スイッチ素子と称する)の直列回路及びスイッチ素子8tp、8tn(以下第3及び第6スイッチ素子と称する。)の直列回路が、直流中間リンク4p、4n間に接続されている。第2及び第5スイッチ素子8sp、8snの接続点が三相交流電源のS相に接続され、S相の入力側とされ、第3及び第6スイッチ素子8tp、8tnの接続点が三相交流電源のT相に接続され、T相の入力側とされている。
【0018】
コンバータ2は、三相交流を直流中間に変換して、直流中間リンク4p、4n間に出力する。なお、コンバータ2の入力側では、各相R、S、T間に入力フィルタコンデンサ14rs、14st、14trが接続されている。
【0019】
インバータ6は、スイッチ素子16a、16b、16cを有している。スイッチ素子16aは、例えばIGBT18p、18nを有している。IGBT18pのコレクタが直流中間リンク4pに接続され、IGBT18pのエミッタが、IGBT18nのコレクタに接続され、IGBT18nのエミッタが直流中間リンク4nに接続されている。IGBT18p、18nそれぞれのコレクタ・エミッタ間には逆並列にダイオード20p、20nが接続されている。IGBT18p、18nの接続点が、負荷、例えば電動アクチュエータ(図示せず)のu相に接続されている。スイッチ素子16a(以下、第7スイッチ素子と称する)は、1つのモジュールに構成されている。
【0020】
スイッチ素子16b、16c(以下、第8及び第9スイッチ素子と称する。)も、同様に2つのIGBT18p、18n、ダイオード20p、20nを有し、第7スイッチ素子16aと同様に、直流中間リンク4p、4n間に接続されている。IGBT18a、18bの接続点が、第8スイッチ素子16bでは、電動アクチュエータのv相に接続され、第9スイッチ素子16cでは、電動アクチュエータのw相に接続されている。第8及び第9スイッチ素子16b、16cも、それぞれ1つのモジュールに構成されている。
【0021】
第7乃至第9スイッチ素子16a、16b、16cのIGBT18p、18nには、それぞれスナバ回路22p、22nが設けられている。スナバ回路22pでは、IGBT18pのコレクタにスナバコンデンサ24pの一端が接続され、他端がスナバダイオード26pのアノードに接続され、カソードがIGBT18pのエミッタに接続されている。スナバコンデンサ24pとスナバダイオード26pとの接続点は放電用抵抗器28によって直流中間リンク4nに接続されている。同様に、スナバ回路22nは、IGBT18nのコレクタにスナバダイオード26nのアノードが接続され、カソードがスナバコンデンサ24nの一端に接続されている。スナバコンデンサ24nの他端はIGBT18nのエミッタに接続されている。スナバダイオード26nとスナバコンデンサ24nとの接続点は、放電用抵抗器28nによって直流中間リンク4pに接続されている。
【0022】
なお、直流中間リンク4p、4n間には、蓄電手段、例えば電気二重層コンデンサや、これに対する充放電用のチョッパを設けることがあるが、図1では省略してある。インダイレクトマトリクスコンバータの動作は公知であるので、詳細な説明は省略する。
【0023】
このインダイレクトマトリクスコンバータは、図2に示すように、基板30上に構成されている。基板30は、ヒートシンクであることが多いが、例えば矩形状に形成されている。
【0024】
第1乃至第6スイッチ素子8rp、8sp、8tp、8rn、8sn、8tnのモジュールは、概略直方体状に形成されている。基板30の一方の面上に、基板30の長辺に沿って、一方の短辺側から第3スイッチ素子8tp、第5スイッチ素子8sn、第1スイッチ素子8tpが、この順に一列に配置されている。これら第3スイッチ素子8tp、第5スイッチ素子8sn、第1スイッチ素子8tpの列に並んで、第4スイッチ素子8rn、第2スイッチ素子8sp、第6スイッチ素子8tnが、一方の短辺側から一列に配置されている。第3スイッチ素子8tpと第4スイッチ素子8rnとが一直線上に所定の間隔をおいて位置し、第5スイッチ素子8snと第2スイッチ素子8spとが一直線上に所定の間隔をおいて位置し、第1スイッチ素子8rpと第6スイッチ素子8tnとが一直線上に位置している。
【0025】
図1に示すように直列に接続される第1スイッチ素子8rpと第4スイッチ素子8rとが対角に位置し、同じく直列に接続される第3スイッチ素子8tpと第6スイッチ素子8tnとが対角に位置している。直流中間リンク4nに接続される第4スイッチ素子8rnと第6スイッチ素子8tnとの間に、直流中間リンク4pに接続される第2スイッチ素子8spが位置している。これによって、第2スイッチ素子8spが第4スイッチ素子8rnと第6スイッチ素子8tnとに隣接して位置している。同様に直流中間リンク4pに接続される第3スイッチ素子8tpと第1スイッチ素子8rpとの間に、直流中間リンク4nに接続される第5スイッチ素子8snが位置している。これによって、第5スイッチ素子8snは、第3スイッチ素子8tpと第1スイッチ素子8rpとに隣接している。
【0026】
第1乃至第6スイッチ素子8rp、8sp、8tp、8rn、8sn、8tnの上面には、3つの端子が、それらの長さ方向に沿って一列に設けられている。
【0027】
第1乃至第6スイッチ素子8rp、8sp、8tpでは、端子32dcpが、端子列の一方の端に設けられている。端子32dcpは、その直流の電気口、即ちIGBT10apのコレクタに接続されている。この端子32dcpに隣接してIGBT10a、10bのゲートに接続された端子32gpが設けられている。この端子32gpに隣接して、端子32acpが設けられている。この端子32acpは、第1乃至第3スイッチ素子8rp、8sp、8tpの交流の電気口、IGBT10bpのコレクタに接続されている。第1乃至第3スイッチ素子8rp、8sp、8tpは、それらの端子32dcpが、基板30の中央側に位置するように配置されている。
【0028】
第4乃至第6スイッチ素子8rn、8sn、8tnでは、端子32dcnが、端子列の一方の端に設けられている。端子32dcnは、その直流の電気口、即ちIGBT10bnのコレクタに接続されている。この端子32dcnに隣接してIGBT10an、10bnのゲートに接続された端子32gnが設けられている。この端子32gnに隣接して、端子32acnが設けられている。この端子32acnは、第4乃至第6スイッチ素子8rn、8sn、8tnの交流の電気口、即ち、IGBT10anのコレクタに接続されている。第4乃至第6スイッチ素子8rn、8sn、8tnは、それらの端子32dcnが、基板30の中央側に位置するように配置されている。
【0029】
第7乃至第9スイッチ素子16a、16b、16cのモジュールも、概略直方体状に形成され、その上面の一方の端には、その直流の電気口、即ち、IGBT18pのコレクタに接続された端子36pと、IGBT18nのエミッタに接続された端子36nとが並んで配置され、他方の端には、その交流口、即ち、IGBT18pのコレクタに接続された端子34acpと、IGBT18nのエミッタに接続された端子34acnとが並んで配置されている。第7乃至第9スイッチ素子16a、16b、16cは、第1乃至第6スイッチ素子8rp、8sp、8tp、8rn、8sn、8tnの2列に対して間隔を開けて直角に位置するように配置されている。そして、第7乃至第9スイッチ素子16a、16b、16cでは、端子36p、36nが、第1乃至第6スイッチ素子8rp、8sp、8tp、8rn、8sn、8tn側に位置するように、配置されている。
【0030】
これら端子32dcp、32dcn、36p、36nの上方に、直流中間リンク4p、4nとして機能するブスバーが配置されている。以下、直流中間リンク4pに対応するブスバーに符号4pを付し、直流中間リンク4nに対応するブスバーに符号4nを付す。図3(a)、(b)に示すようにブスバー4p、4nが、コンバータ用スイッチ素子接続部分100p、100nと、インバータ用スイッチ素子接続部分102p、102nとから構成されている。コンバータ用スイッチ素子接続部分100p、100nは、同じ大きさの長方形状に形成され、インバータ用素子接続部分102p、102nは同じ大きさの長方形状に形成されている。コンバータ用スイッチ素子接続部分100p、100nと、インバータ用素子接続部分102p、102nとは、互いに直角になるように配置されている。
【0031】
コンバータ用スイッチ素子接続部分100pの一方の長手縁における一方の端の近傍、即ちコンバータ用スイッチ素子接続部分102pとの接続部分の近傍に、第1端子、例えば第1スイッチ素8rp接続用の端子104aが形成されている。また、コンバータ用スイッチ素子接続部分100pの一方の長手縁における他方の端に、第1端子、例えば第3スイッチ素子接続用端子104bが形成されている。端子104a、104bは同一形状、同一面積のものである。また、コンバータ用スイッチ素子接続部分100pの他方の長手縁の中間には、第2スイッチ素子8sp接続用の端子106が形成されている。
【0032】
同様に、コンバータ用素子接続部分100nの一方の長手縁の中間には、第5スイッチ素子8sn接続用の端子108が形成されている。コンバータ用素子接続部分100nの他方の長手縁における一方の端の近傍、即ちコンバータ用スイッチ素子接続部分102nとの接続部分の近傍に、第2端子、例えば第6スイッチ素8tn接続用の端子110aが形成されている。また、コンバータ用スイッチ素子接続部分100nの他方の長手縁における他方の端に、第2端子、例えば第4スイッチ素子接続用端子110bが形成されている。端子110a、110bは同一形状、同一面積のものである。
【0033】
同図(c)に示すようブスバー4p、4nを重ねた場合、端子104aが端子110aと同一直線上に位置し、端子104bが端子110bと同一直線上に位置し、端子106が端子108と同一直線上に位置する。ここで、端子104aと端子110bとが対角に位置し、端子104bが端子110aとが対角に位置する。
【0034】
インバータ用スイッチ素子接続部分102pには、コンバータ用スイッチ素子接続部分100pが接続されている長手縁と反対側の長手縁の一方の端側から所定の間隔をおいて、第7乃至第9スイッチ素子16a、16b、16cの端子36pに接続用の端子112が形成されている。同様に、インバータ用スイッチ素子接続部分102nには、コンバータ用スイッチ素子接続部分100nが接続されている長手縁と反対側の長手縁の一方の端側から所定の間隔をおいて、インバータ用スイッチ素子16a、16b、16cの端子36nに接続用の端子114が形成されている。同図(c)に示すようブスバー4p、4nを重ねた場合、端子112、112、112が端子114、114、114と隣接して位置する。この状態で、端子112、112、112の距離は等しく、また、端子114、114、114の距離も等しい。
【0035】
インバータ用スイッチ素子接続部分102p、102nの一方の端側には、ブスバー4p、4nを重ねた状態で並ぶように、直流中間リンクに接続される蓄電手段、例えば電気二重層コンデンサ(図示せず)接続用の端子116、118が形成されている。また、インバータ用スイッチ素子接続部分102p、102nの他方の端部側は、外方に一直線上に延長され、その延長部分のコンバータ用スイッチ素子接続部分100p、100nと反対側の端には、ブスバー4p、4nを重ねた状態で並ぶように、上述した二重層コンデンサに対して充放電する際に使用するチョッパ(図示せず)の接続用端子120、122が形成されている。
【0036】
このインダイレクトマトリクスコンバータでは、ブスバー4p、4nが絶縁紙(図示せず)を介して重なられて、積層型のブスバーとされる。コンバータ用スイッチ素子8rp、8sn、8tpが、ブスバー4p、4nのコンバータ用スイッチ素子接続部分100p、100nの一方の長手縁側に位置するように、コンバータ用スイッチ素子8tn、8sp、8rnが、ブスバー4p、4nの他方の長手縁側に位置するように、ブスバー4p、4nのコンバータ用スイッチ素子接続部分100p、100nを、コンバータ用スイッチ素子8rp、8sn、8tpの列と、8tn、8sp、8rnの列との間に配置してある。端子104a、104b、106には、第1スイッチ素子8rp、第3スイッチ素子8tp、第2スイッチ素子8spの端子34dcpが接続され、端子108a、108b、110には、第6スイッチ素子8tn、第4スイッチ素子8rn、第2スイッチ素子8spの端子34dcnが接続されている。
【0037】
上記のようにブスバー4p、4nのコンバータ用スイッチ素子接続部分100p、100nを配置したとき、インバータ用スイッチ素子接続部分102p、102nにおける第1変換器用スイッチ素子接続部分100p、100nと反対側には、インバータ用スイッチ素子16a、16b、16cが、インバータ用スイッチ素子接続部分102p、102nの長手縁に沿って位置している。そして、端子120、122には、インバータ用スイッチ素子16a、16b、16cの端子36p、36nがそれぞれ接続されている。
【0038】
なお、図2では、スナバ回路22p、22nは省略してある。
【0039】
図4は、コンバータ2が動作する際に、第1乃至第6スイッチ素子8rp、8sp、8tp、8rn、8sn、8tnのいずれといずれとが同時に閉成されるかのスイッチングパターンを示したものである。パターン1では、第5スイッチ素子8snと第3スイッチ素子8tpとが同時に閉成される。パターン2では、第2スイッチ素子8spと第6スイッチ素子8tnとが同時に閉成される。パターン3では、第4スイッチ素子8rnと第3スイッチ素子tpとが同時に閉成される。パターン4では、第4スイッチ素子8rnと第2スイッチ素子8spとが同時に閉成される。パターン5では、第1スイッチ素子8rpと第6スイッチ素子8tnとが同時に閉成される。パターン6では、第1スイッチ素子8rpと第5スイッチ素子8spとが同時に閉成される。
【0040】
図4から明らかなように、三相交流電源の同一相Rに接続されている第1及び第4スイッチ素子8rp、8rnが同時に閉成されることはなく、同様に三相交流電源の同一相Sに接続されている第2及び第5スイッチ素子8sp、8snが同時に閉成されることはなく、三相交流電源の同一相Tに接続されている第3及び第6スイッチ素子8tp、8tnが同時に閉成されることはない。同時に閉成されることがない第1及び第4スイッチ素子8rp、8rnが最も両者の距離が長くなる対角に位置し、同時に閉成されることがない第3及び第6スイッチ素子8tp、8tnが両者の距離が最も長くなる対角に位置している。
【0041】
図5(a)に、上述した第1乃至第6スイッチ素子8rp、8sp、8tp、8rn、8sn、8tnの配置を模式的に示す。図5(b)に従来のコンバータにおける第1乃至第6スイッチ素子8rp、8sp、8tp、8rn、8sn、8tnの配置を模式的に示す。従来のコンバータでは、ブスバー4pに接続されている第1乃至第3のスイッチ素子8rp、8sp、8tpが一列に配置され、ブスバー4nに接続されている第4乃至第6スイッチ素子8rn、8sn、8tnが一列に配置されている。従来の配置とコンバータ2の配置とを比較すると、第1及び第3のスイッチ素子8rp、8tpの位置が入れ替わり、第2及び第5スイッチ素子8sp、8snの位置が入れ替わったものである。
【0042】
図5(a)、(b)における第1乃至第6スイッチ素子8rp、8sp、8tp、8rn、8sn、8tnの距離関係が同一であるとすると、パターン1の場合、同時に閉成される第5スイッチ素子8snと第3スイッチ素子8tpとのブスバー4p、4nを通った距離は、図6に示すように、図5(a)の場合66mmであり、図5(b)の場合、91.93mmである。
【0043】
パターン2の場合、同時に閉成される第2及び第6スイッチのブスバー4p、4nを通った距離は、図5(a)の場合66mmであり、図5(b)の場合、91.93mmである。
【0044】
パターン3の場合、同時に閉成される第4及び第3スイッチ素子8rn、8tpのブスバー4p、4nを通った距離は、図5(a)の場合64mmであり、図5(b)の場合146.7mmである。
【0045】
パターン4の場合、同時に閉成される第4及び第1スイッチ8rn、8sp間のブスバー4p、4nを通った距離は、図5(a)の場合66mmであり、図5(b)の場合91.93mmである。
【0046】
パターン5の場合、同時に閉成される第1及び第6スイッチ素子8rp、8tn間のブスバー4p、4nを通った距離は、図5(a)の場合64mmであり、図5(b)の場合146.7mmである。
【0047】
パターン6の場合、同時に閉成される第1及び第5スイッチ素子8rp、8sn間のブスバー4p、4nを通った距離は、図5(a)の場合66mmであり、図5(b)の場合91.93mmである。
【0048】
図6から明らかなように、図5(a)に示すコンバータでの第1乃至第6スイッチ素子8rp、8sp、8tp、8rn、8sn、8tnの配置により、同時に閉成されるスイッチ素子間の距離を、従来の配置よりも短くすることができる。特にパターン3の第3及び第4スイッチ素子8tp、8rn間の距離、パターン5の第1及び第6スイッチ8rp、8tn間の距離は、従来のものの1/2以下であり、それら以外でも概ね2/3の長さとなっている。その結果、図6に示すように発生するインダクタンスも。図5(a)に示す配置とした方が、図5(b)の配置よりも小さくすることができる。
【0049】
上記の実施形態では、第1乃至第9スイッチ素子8rp、8rs、8sp、8sn、8tp、8ts、16a乃至16cには、それぞれIGBTを使用したが、これらに限ったものではなく、例えばMOSFET、FET、バイポーラトランジスタ等も使用することができる。
【0050】
上記の実施形態では、スイッチ素子8rpを第1スイッチ素子と認識し、スイッチ素子8tpを第3スイッチ素子と認識し、スイッチ素子8rnを第4スイッチ素子と認識し、スイッチ素子8tnを第6スイッチ素子と認識し説明した。しかし、スイッチ素子8tpを第1スイッチ素子と、スイッチ素子rpを第3スイッチ素子と、スイッチ素子8tnを第4スイッチ素子と、スイッチ素子8rnを第6スイッチ素子とそれぞれ認識することもできる。
【0051】
上記の実施形態では、ブスバー4p、4nをT字状として、インバータ用のスイッチ素子16a乃至16cを、コンバータ用の第1乃至第6スイッチ素子8rp、8sp、8tp、8rn、8sn、8tnに対して直角となるように配置したが、これに限ったものではない。例えばインバータ用素子接続部分102p、102nを除去し、その代わりに、コンバータ用素子接続部分100p、100nをその長さ方向に延長し、インバータ用素子接続部分100pの延長部分の一方の長手縁に沿って間隔をおいて端子112を設け、インバータ用素子接続部分100pの延長部分の一方の長手縁に沿って間隔をおいて端子114を設け、第7乃至第9のスイッチ素子16a乃至16cを、第1スイッチ素子8rp、第5スイッチ素子8sn、第3スイッチ素子8tpと同じ列に位置するように、或いは、第6スイッチ素子8tn、第2スイッチ素子8sp、第4スイッチ素子8rnと同じ列に位置するように配置し、第1端子112に第7乃至第9スイッチ素子16a乃至16cの端子36pを、第2端子114に第7乃至第9スイッチ素子16a乃至16cの端子36nをそれぞれ接続することもできる。
【0052】
上記の実施形態では、本発明をインダイレクトマトリクスコンバータに実施したが、これに限ったものではなく、例えば三相交流電源を直流電源に変換するために使用する通常のコンバータに実施することもできる。
【符号の説明】
【0053】
2 コンバータ
4p、4n 直流中間リンク(ブスバー)
8rp、8sp、8tp、8rn、8sn、8tn 第1乃至第6スイッチング素子
104a 第1端子(直流電気口)
110b 第2端子(直流電気口)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1極性のブスバーと第2極性のブスバーとを備える積層型の一対のブスバーと、
第1極性のブスバーと三相交流電源の第1相とに接続された第1スイッチ素子と、
第1極性のブスバーと前記三相交流電源の第2相とに接続された第2スイッチ素子と、
第1極性のブスバーと前記三相交流電源の第3相とに接続された第3スイッチ素子と、
第2極性のブスバーと前記三相交流電源の第1相とに接続された第4スイッチ素子と、
第2極性のブスバーと前記三相交流電源の第2相とに接続された第5スイッチ素子と、
第2極性のブスバーと前記三相交流電源の第3相とに接続された第6スイッチ素子とを、
備え、前記第1乃至第6のスイッチ素子は隣接して配置されたコンバータにおいて、
第1スイッチ素子が第1極性のブスバーに接続されるように第1極性のブスバーに設けた第1端子と、第4スイッチ素子が第2極性のブスバーに接続されるように第2極性のブスバーに設けたれた第2端子とが、離れた位置となるように配置したコンバータ。
【請求項2】
請求項1記載のコンバータにおいて、前記第1乃至第6のスイッチ素子は、前記1対のブスバーの両側に配置され、第1スイッチ素子と第4スイッチ素子とは対角に配置されたコンバータ。
【請求項3】
請求項1記載のコンバータにおいて、第4スイッチ素子の隣に第2スイッチ素子を配置したコンバータ。
【請求項4】
請求項3記載のコンバータにおいて、第1乃至第6スイッチ素子は、前記一対のブスバーの両側に配置され、一方の側には第4スイッチ素子と第6スイッチ素子との間に第2スイッチ素子が配置され、他方の側には第1スイッチ素子と第3スイッチ素子との間に第5スイッチ素子が配置されているコンバータ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate